JP6970438B2 - Ni基超合金 - Google Patents

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本発明は、ジェットエンジンやガスタービンの高温下で使用される部材に好適に用いられるNi基超合金に関する。
Ni基超合金は普通鋳造(CC:Conventional Casting)合金、一方向凝固(DS:Directional Solidification)合金、単結晶(SC:Single Crystal)合金と製造方法が変わり、それにつれて高温強度が改善され耐用温度が向上した。このうちの単結晶合金であるNi基単結晶合金だけでも、初期の第1世代からReを3重量%程度含む第2世代、Reを5重量%程度含む第3世代、さらにReと白金族元素のRuを含む第4世代、第5世代、最新の第6世代と開発が進み耐用温度が向上している。最近ではNi基超合金粉末を用いた3D加工技術による製造方法が新たに加わった。
ガスタービン機関の効率を向上させる目的でタービンガス入り口温度の高温化がなされている。これに伴い、ガスタービン機関のタービンブレードやタービンベーンとして使用されるNi基超合金に、より高温に耐える強度が要求される。Ni基超合金に要求されるのは強度ばかりではない。従来硫化腐食が問題にならなかった部位も温度上昇とともに次第に硫化腐食温度域に入りつつある。第1世代から第6世代までのNi基単結晶超合金の硫化腐食についての研究(非特許文献1参照)によると、第1世代のNi基単結晶超合金の耐硫化腐食は他世代のNi基単結晶超合金より特に劣ることが明らかとなっている。講演論文集には特に硫化腐食が問題となる温度域は低温側のタイプIIといわれる約700℃と高温側のタイプIといわれる約900℃の二つの温度域があり、これら温度域での硫化腐食挙動が記されている。
第1世代に相当するNi基単結晶超合金として、ReneN4(商標、特許文献1参照)、PWA1480(商標、非特許文献2の参考文献10参照)、TMS−1700(商標、特許文献2参照)が知られている。
これらReneN4(商標)、PWA1480(商標)およびTMS−1700(商標)の第1世代Ni基単結晶超合金は耐腐食性に対して効果があると一般に言われるCr量が多いにもかかわらず第2世代のCr量が少ないNi基単結晶超合金より耐硫化腐食性が良くないことから改善が求められている。また、一般に耐硫化腐食性は合金組成で決定づけられ、製造方法により大差がつくことはない。
米国特許第5399313号 日本国特許第6016016号
公益社団法人 日本ガスタービン学会第45回日本ガスタービン学会定期講演会講演論文集pp.193―196(2017) 宇多田悟志、原田広史、川岸京子、鈴木進補 『タービン翼用超合金の進化とリサイクル技術開発』 日本ガスタービン学会誌Vol.45 pp.445―451(2017)
本発明は、従来の第1世代Ni基超合金に比べ高温でのクリープ特性および耐硫化腐食に優れており、製造コストは従来の第2世代より低いコストでのNi基超合金を提供することを課題としている。
上記のとおりの課題を解決するために、本発明は、以下のとおりの特徴を有している。
すなわち、本発明のNi基超合金は、
Cr:6質量%以上12質量%以下、
Mo:0.4質量%以上3.0質量%以下、
W:6質量%以上10質量%以下、
Al:4.0質量%以上6.5質量%以下、
Ta:8質量%以上12質量%以下、
Re:0.01質量%以上1.0質量%以下、および
Si:0.01質量%以上0.2質量%以下、
を必須組成元素として含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなるNi基超合金であって、任意的組成元素として下記の元素を含有する。
Co:0質量%以上3質量%以下、
Ti:0質量%以上1質量%以下、
Nb:0質量%以上1質量%以下、
Hf:0質量%以上0.15質量%以下、
Zr:0質量%以上0.04質量%以下、
B:0質量%以上0.03質量%以下、
C:0質量%以上0.3質量%以下。
また、本発明のNi基超合金は、
Cr:7質量%以上12質量%以下、
Mo:0.4質量%以上2.5質量%以下、
W:7質量%以上10質量%以下、
Al:4.0質量%以上6.5質量%以下、
Ta:9質量%以上11質量%以下、
Re:0.08質量%以上0.95質量%以下、および
Si:0.01質量%以上0.2質量%以下、
を必須組成元素として含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなるNi基超合金であって、任意的組成元素として下記の元素を含有する。
Co:0質量%以上3質量%以下、
Ti:0質量%以上1質量%以下、
Nb:0質量%以上1質量%以下、
Hf:0質量%以上0.15質量%以下、
Zr:0質量%以上0.04質量%以下、
B:0質量%以上0.03質量%以下、
C:0質量%以上0.3質量%以下。
また、本発明のNi基超合金は、
Cr:8質量%以上10質量%以下、
Mo:0.4質量%以上2.0質量%以下、
W:7質量%以上9質量%以下、
Al:4.0質量%以上6.5質量%以下、
Ta:10質量%以上11質量%以下、
Re:0.1質量%以上0.9質量%以下、および
Si:0.01質量%以上0.2質量%以下、
を必須組成元素として含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなるNi基超合金であって、任意的組成元素として下記の元素を含有する。
Co:0質量%以上3質量%以下、
Ti:0質量%以上1質量%以下、
Nb:0質量%以上1質量%以下、
Hf:0質量%以上0.15質量%以下、
Zr:0質量%以上0.04質量%以下、
B:0質量%以上0.03質量%以下、
C:0質量%以上0.3質量%以下。
本発明のNi基超合金において、温度800℃で応力735MPaにおけるクリープ寿命が196時間以上である。
本発明のNi基超合金において、温度900℃で応力392MPaにおけるクリープ寿命が267時間以上である。
本発明のNi基超合金において、温度1000℃で応力245MPaにおけるクリープ寿命が81時間以上である。
本発明のNi基超合金において、温度1100℃で応力137MPaにおけるクリープ寿命が237時間以上である。
本発明のNi基超合金において、所定条件のるつぼ試験において温度700℃で50時間保持の腐食表面積割合が90%以下であり900℃で20時間保持のメタルロスが2.0mm以下であるNi基超合金。
本発明のNi基超合金を用いて、普通鋳造法、一方向凝固法、単結晶凝固法、粉末を用いた焼結および3D造形法の何れかにより作成したタービン部材。
本発明のNi基超合金は、従来の第1世代Ni基超合金に比べ高温でのクリープ特性および耐硫化腐食に優れており、製造コストは従来の第2世代より低いコストで提供できる。
実施例No.1、実施例No.2、比較合金No.3、比較合金No.4および比較合金No.5について、75%NaSO+25%NaClの混合塩中で700℃、50時間全浸漬のるつぼ試験結果である。 実施例No.1、実施例No.2、比較合金No.3、比較合金No.4および比較合金No.5について、75%NaSO+25%NaClの混合塩中で900℃、20時間全浸漬のるつぼ試験結果である。 実施例No.1、実施例No.2、比較合金No.3、比較合金No.4および比較合金No.5の、800℃、応力735MPaでのクリープ試験結果である。 実施例No.1、実施例No.2、比較合金No.3、比較合金No.4および比較合金No.5の、900℃、応力392MPaでのクリープ試験結果である。 実施例No.1、実施例No.2、比較合金No.3、比較合金No.4および比較合金No.5の、1000℃、応力245MPaでのクリープ試験結果である。 実施例No.1、実施例No.2、比較合金No.3、比較合金No.4および比較合金No.5の、1100℃、応力137MPaでのクリープ試験結果である。 比較合金No.3の75%NaSO+25%NaClの混合塩中で700℃、50時間全浸漬のるつぼ試験後の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例No.1の75%NaSO+25%NaClの混合塩中で700℃、50時間全浸漬のるつぼ試験後の走査型電子顕微鏡写真である。
上記のとおりの特徴を有するNi基超合金における組成成分およびその組成比は、以下の観点に基づいている。
Cr(クロム)は、Ni基超合金の高温耐食性および高温耐酸化性を向上させる。Crの組成比は、6質量%以上12質量%以下である。組成比が、6質量%未満であると、高温耐食性および高温耐酸化性を確保することが難しく、12質量%を超えると、σ相やμ相の有害相が生成して高温強度が低下する。Crの組成比は、好ましくは7質量%以上12質量%以下であり、より好ましくは8質量%以上10質量%以下である。
Mo(モリブデン)は、素地中に固溶し、かつ析出硬化により高温強度の上昇に寄与する。Moの組成比は、0.4質量%以上3.0質量%以下である。組成比が、0.4質量%未満であると、高温強度が低下し、3.0質量%を超えると、有害相が生成して高温強度が低下する。Moの組成比は、好ましくは0.4質量%以上2.5質量%以下であり、より好ましくは0.4質量%以上2.0質量%以下である。
W(タングステン)は、Moと同様に、固溶強化および析出硬化の作用があり、Ni基超合金の高温強度を向上させる。Wの組成比は、6質量%以上10質量%以下である。組成比が、6質量%未満であると、TMF特性およびクリープ特性が低下し、10質量%を超えると、有害相が生成してTMF特性およびクリープ特性が低下する。Wの組成比は、好ましくは7質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは7質量%以上9質量%以下である。
ここで、TMF特性とは、熱疲労(Thermo-mechanical fatigue)特性をいい、例えばタービン動翼における多軸熱疲労条件下でのき裂発生寿命(深さ2mm程度のき裂)を指す。クリープ特性とは、材料のクリープ強さであり、クリープ試験又はクリープ破断試験が用いられる。クリープ破断試験は、ある応力のもとで破断するまでの時間を求めることを目的とし、試験機にはマルチプル型(1試験機あたり多数の試験片)が多く使用されるが、シングル型(1試験機あたり単一の試験片)でもよい。
Al(アルミニウム)は、Niと化合して、ガンマ母相中に析出するガンマプライム相を構成するNiAlで示される金属間化合物を形成し、特に1000℃以下の低温側のTMF特性およびクリープ特性を向上させる。Alの組成比は、4.0質量%以上6.5質量%以下である。組成比が、4質量%未満であると、ガンマプライム相量が少なく、要求されるTMF特性およびクリープ特性が得られず、6.5質量%を超えると、要求されるTMF特性およびクリープ特性が得られない。
Ta(タンタル)は、ガンマプライム相を強化してクリープ特性を向上させる。Taの組成比は、8質量%以上12質量%以下である。組成比が、8質量%未満であると、要求されるTMF特性およびクリープ特性が得られず、12質量%を超えると、共晶ガンマプライム相の生成を促し、溶体化熱処理が困難となる。Taの組成比は、好ましくは9質量%以上11質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上11質量%以下である。
Re(レニウム)は、ガンマ相に固溶して固溶強化により高温強度を向上させるだけでなく耐食性を向上させる効果もある。ただ、Reを多量に含有すると、高温時にTCP相が析出して高温強度を低下させるおそれがある。また、Reは高価でありコストパフォーマンスの点から少量で高温強度と耐食性に効果が発揮されることが望ましい。TCP相の析出を抑制し有害相の生成しないReの範囲を絞り込む必要がある。そのためには他の添加元素とのバランスが必要であり、本発明の各元素の請求範囲でのReは、0.01質量%以上1.0質量%以下である。さらに好ましくは0.08質量%以上0.95質量%以下である。より好ましくは0.1質量%以上0.9質量%以下である。
ここで、TCP相とは、topological close-packed phaseの略称であり、Frank-Kasper (FK) phasesともいい、Ni基超合金の場合はσ相やμ相をいう。
Si(ケイ素)は、合金表面にSiO皮膜を生成させて保護被膜として耐酸化性を向上させ、かつ合金表面からの微少クラックの発生を抑制してTMF特性を改善する可能性がある。Siの組成比は、0.01質量%以上0.2質量%以下である。組成比が0.01質量%未満であると、耐酸化性の向上、TMF特性の改善の効果が得られない。また、組成比が0.2質量%を超えると、他の元素の固溶限を低下させることになるため、要求されるTMF特性およびクリープ特性が得られない。
Co(コバルト)は、Al、Ta等の母相に対する高温下での固溶限度を大きくし、熱処理によって微細なγ’相を分散析出させ、高温強度を向上させる。Coの組成比は、任意的組成元素とし、0質量%以上3質量%以下である。組成比が、3質量%を超えると、所望の高温強度を確保できないので好ましくない。
Ti(チタン)は、ガンマプライム相を強化してクリープ特性を向上させる。Tiの組成比は、任意的組成元素とし、0質量%以上1質量%以下である。組成比が、1質量%を超えると、所望の高温強度を確保できないので好ましくない。
Nb(ニオブ)の組成比は、任意的組成元素とし、0質量%以上1質量%以下である。組成比が、1質量%を超えると、高温において有害相が生成し、TMF特性およびクリープ特性が低下する。
Hf(ハフニウム)は、普通凝固および一方向凝固による柱状結晶化の際、粒界強化に寄与するものであり、かつ耐酸化性を向上させ、そのうえTMF特性を改善する可能性がある。また、単結晶で用いる場合も何らかの理由で、再結晶してしまっても粒界が弱くなるのを防ぐことが可能である。Hfの組成比は、任意的組成元素とし、0質量%以上0.15質量%以下である。組成比が、0.15質量%を超えると、有害相の生成が助長され、TMF特性およびクリープ特性が低下する。
Zr(ジルコニウム)は、普通凝固および一方向凝固による柱状結晶化の際、結晶粒界に偏析し、粒界強度を高める効果があるが、ほとんどは合金の主成分であるニッケルと金属間化合物NiZrを形成する。この化合物は合金の延性を低下させ、また著しく低融点であるため、合金の溶体化処理を困難にするなど、有害な作用が多い。そのため、Zrの組成比は、任意的組成元素とし、0質量%以上0.04質量%以下である。
B(ホウ素)は普通凝固および一方向凝固による柱状結晶化の際、結晶粒界に偏析して粒界強度を向上させるとともに、一部は(Cr、Ni、Mo)等のホウ化物を形成し、合金の粒界に析出する。粒界強化の効果が得られるには0.01%以上の添加が必要であるが、生成するホウ化物は融点が合金の融点よりも低く、合金の融点温度を低下させ、溶体化処理温度範囲を狭くする。そのため、任意的組成元素とし、Bの組成比は0質量%以上0.03質量%以下である。
C(炭素)は結晶粒界に偏析して粒界強度を向上させ、一部はTaC等の炭化物を形成して塊状に析出する。結晶粒界に偏析して粒界強度を上げる場合には、0.08%以上の添加をするとよい。しかし、0.3%を超えて添加すると過剰の炭化物が形成され、高温強度や延性が低下し、耐食性も低下する。また、凝固時における炭化物の晶出温度が高くなることから、デンドライト間に炭化物がピニングされ、鋳造欠陥であるポロシティの生成を招きうる。そのため、任意的組成元素とし、Cの組成比は0質量%以上0.3質量%以下である。
なお、単結晶凝固法により作成するタービンブレードやタービンベーン部品では以下のような熱処理を施して製造することができる。すなわち、熱処理は、1280℃〜1300℃で2時間〜40時間保持後に200℃/min〜400℃/minで空冷または不活性ガス雰囲気中で冷却する溶体化処理、1000℃〜1150℃で2時間〜5時間保持後に空冷または不活性ガス雰囲気中で冷却する1次時効処理、そして850℃〜950℃で10時間〜30時間保持後に空冷または不活性ガス雰囲気中で冷却する2次時効処理という一連のものである。
また、普通鋳造法により作成するタービンブレードやタービンベーン部品では以下のような熱処理を施して製造することができる。すなわち、熱処理は、1200℃〜1300℃で2時間〜40時間保持後に150℃/min〜400℃/minで空冷または不活性ガス雰囲気中で冷却する溶体化処理、1000℃〜1150℃で2時間〜5時間保持後に空冷または不活性ガス雰囲気中で冷却する1次時効処理、そして800℃〜950℃で10時間〜30時間保持後に空冷または不活性ガス雰囲気中で冷却する2次時効処理という一連のものである。
また、一方向凝固法により作成するタービンブレードやタービンベーン部品では以下のような熱処理を施して製造することができる。すなわち、熱処理は、1200℃〜1300℃で2時間〜40時間保持後に200℃/min〜400℃/minで空冷または不活性ガス雰囲気中で冷却する溶体化処理、1000℃〜1150℃で2時間〜5時間保持後に空冷または不活性ガス雰囲気中で冷却する1次時効処理、そして800℃〜950℃で10時間〜30時間保持後に空冷または不活性ガス雰囲気中で冷却する2次時効処理という一連のものである。
さらに、本発明のNi基超合金粉末を用いて焼結または3D造形で作成されたタービンブレードやタービンベーン部品では以下のような熱処理を施して製造することができる。すなわち、熱処理は、1200℃〜1300℃で2時間〜40時間保持後に200℃/min〜400℃/minで空冷または不活性ガス雰囲気中で冷却する溶体化処理、1000℃〜1150℃で2時間〜5時間保持後に空冷または不活性ガス雰囲気中で冷却する1次時効処理、そして850℃〜950℃で10時間〜30時間保持後に空冷または不活性ガス雰囲気中で冷却する2次時効処理という一連のものである。
このような一連の所定温度で所定時間の保持は、すべて真空中または不活性ガス雰囲気中で行うことが、高温酸化の影響を受けないという観点からも好ましい。
以下、実施例を示し、本発明のNi基超合金についてさらに詳しく説明する。
表1に示した組成(質量%)を有するNi基単結晶超合金を、真空溶解炉を用いて溶解し、加熱保持されたロストワックス鋳型で鋳造し、鋳型を200mm/hの凝固速度で引き下げて単結晶凝固鋳造物を得た。次に、得られた単結晶凝固鋳造物を真空中において1320℃で5時間保持してから約300℃/minで空冷する溶体化処理を行った。その後、真空中において1100℃で2時間保持してから空冷する1次時効処理と、真空中において870℃で24時間保持してから空冷する2次時効処理とを行った。
実施例No.1および実施例No.2のNi基単結晶超合金の溶体化処理の温度範囲は1280℃〜1340℃であり、1次時効処理の温度範囲は1000℃〜1150℃である。比較合金No.3および比較合金No.4は、1280℃で1時間保持してから1320℃に昇温し5時間保持後に空冷した。次いで1100℃に4時間保持してから空冷し、この後、870℃に20時間保持して空冷する熱処理を施した。比較合金No.5の熱処理は、1130℃で1時間保持してから1180℃に昇温し2時間保持後に空冷し、その後1050℃に4時間保持してから空冷し、この後、870℃に20時間保持して空冷する熱処理を施した。
Figure 0006970438
硫化腐食が問題となる低温側のタイプIIといわれる約700℃での耐硫化腐食性については、るつぼ試験法による加速試験を実施し検討した。
るつぼ試験に用いた溶融塩組成は、通常最もよく用いられる75%NaSO+25%NaClとした。この組成の混合塩12gを容量15mlのアルミナ磁製るつぼ中で700℃に溶融させ、試験片(φ9mm×5mm)を全浸漬させた。なお、試験片表面はあらかじめエメリー紙#600まで研磨した後、試験片をアセトンで洗浄して腐食試験に供した。腐食試験時間は50hとし、試験終了後の腐食表面積を求めて試験結果とした。図1に結果を示す。実施例No.1および実施例No.2は比較合金No.3、比較合金No.4および比較合金No.5のいずれより腐食面積率が少なく耐硫化性の良いことが明らかである。
高温側のタイプIといわれる約900℃での耐硫化腐食性については供試合金、溶融塩組成、るつぼ容量、試験形状は低温側の試験条件と同様である。高温側(タイプI)の硫化腐食試験は試験温度900℃、試験時間を20hとした。試験終了後スケールをワイヤブラシでおとして重量減(%)を測定し、これを表面からの金属の消耗量に換算して試験結果とし図2に示す。実施例No.1および実施例No.2は比較合金No.3、比較合金No.4および比較合金No.5のいずれよりメタルロスが少なく耐硫化腐食性の良いことが明らかである。
表2に、図1及び図2に示す耐硫化腐食性の試験結果の数値を表す。700℃の試料表面部腐食割合が2段で記載してあるのは、実験回数が2回あって、その試験結果に対応している。
Figure 0006970438
高温でのクリープ試験は、熱処理後の単結晶凝固合金鋳造物を平行部の直径が4mmで、長さが20mmのクリープ試験片に加工し、800℃で735MPa、900℃で392MPa、1000℃で245MPaおよび1100℃で137MPaの条件でクリープ試験を行った。
実施例No.1、実施例No.2、比較合金No.3、比較合金No.4および比較合金No.5の800℃で735MPa条件でのクリープ試験の結果を図3に示す。発明合金のクリープ寿命が比較例より優れていることが図3からも確認される。
実施例No.1、実施例No.2、比較合金No.3、比較合金No.4および比較合金No.5の900℃で392MPa条件でのクリープ試験の結果を図4に示す。発明合金のクリープ寿命が比較例より優れていることが図4からも確認される。
実施例No.1、実施例No.2、比較合金No.3、比較合金No.4および比較合金No.5の1000℃で245MPa条件でのクリープ試験の結果を図5に示す。発明合金のクリープ寿命が比較例より優れていることが図5からも確認される。
実施例No.1、実施例No.2、比較合金No.3、比較合金No.4および比較合金No.5の1100℃で137MPa条件でのクリープ試験の結果を図6に示す。発明合金のクリープ寿命が比較例より優れていることが図6からも確認される。
表3に、図3〜図6に示すクリープ破断試験結果の数値(単位:h)を表す。
Figure 0006970438
比較合金No.3の75%NaSO+25%NaClの混合塩中で700℃、50時間全浸漬のるつぼ試験後の走査型電子顕微鏡写真を図7に示す。酸化被膜が400μmと厚く、縦方向に酸化物が形成されており基材の酸化を防ぎにくい組織である。
実施例No.1の75%NaSO+25%NaClの混合塩中で700℃、50時間全浸漬のるつぼ試験後の走査型電子顕微鏡写真を図8に示す。酸化被膜が200μmと薄く、層状に重なるように酸化物が形成されており基材の酸化を防ぐ組織である。実施例No.2も同様の酸化被膜を形成していた。
本発明のNi基超合金は、耐硫化腐食性、クリープ特性に優れ、実用面においてコストパフォーマンスに優れている。したがって、ジェットエンジンやガスタービンのタービンブレードやタービンベーンの高温かつ高応力下で使用される部材に有効である。
1 酸化被膜
2 基材

Claims (6)

  1. Cr:6質量%以上12質量%以下、
    Mo:0.4質量%以上3.0質量%以下、
    W:6質量%以上10質量%以下、
    Al:4.0質量%以上6.5質量%以下、
    Ta:8質量%以上12質量%以下、
    Re:0.01質量%以上1.0質量%以下、
    Si:0.01質量%以上0.2質量%以下、
    を必須組成元素として含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなるNi基超合金であって、任意的組成元素として下記の元素を含有することを特徴とするNi基超合金。
    Co:0質量%以上3質量%以下、
    Ti:0質量%以上1質量%以下、
    Nb:0質量%以上1質量%以下、
    Hf:0質量%以上0.15質量%以下、
    Zr:0質量%以上0.04質量%以下、
    B:0質量%以上0.03質量%以下、
    C:0質量%以上0.3質量%以下。
  2. Cr:7質量%以上12質量%以下、
    Mo:0.4質量%以上2.5質量%以下、
    W:7質量%以上10質量%以下、
    Al:4.0質量%以上6.5質量%以下、
    Ta:9質量%以上11質量%以下、
    Re:0.08質量%以上0.95質量%以下、および
    Si:0.01質量%以上0.2質量%以下、
    を必須組成元素として含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなるNi基超合金であって、任意的組成元素として下記の元素を含有することを特徴とするNi基超合金。
    Co:0質量%以上3質量%以下、
    Ti:0質量%以上1質量%以下、
    Nb:0質量%以上1質量%以下、
    Hf:0質量%以上0.15質量%以下、
    Zr:0質量%以上0.04質量%以下、
    B:0質量%以上0.03質量%以下、
    C:0質量%以上0.3質量%以下。
  3. Cr:8質量%以上10質量%以下、
    Mo:0.4質量%以上2.0質量%以下、
    W:7質量%以上9質量%以下、
    Al:4.0質量%以上6.5質量%以下、
    Ta:10質量%以上11質量%以下、
    Re:0.1質量%以上0.9質量%以下、および
    Si:0.01質量%以上0.2質量%以下、
    を必須組成元素として含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなるNi基超合金であって、任意的組成元素として下記の元素を含有することを特徴とするNi基超合金。
    Co:0質量%以上3質量%以下、
    Ti:0質量%以上1質量%以下、
    Nb:0質量%以上1質量%以下、
    Hf:0質量%以上0.15質量%以下、
    Zr:0質量%以上0.04質量%以下、
    B:0質量%以上0.03質量%以下、
    C:0質量%以上0.3質量%以下。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のNi基超合金であって、
    温度800℃で応力735MPaにおけるクリープ寿命が196時間以上であり、温度900℃で応力392MPaにおけるクリープ寿命が267時間以上であり、温度1000℃で応力245MPaにおけるクリープ寿命が80時間以上であり、温度1100℃で応力137MPaにおけるクリープ寿命が237時間以上であるNi基超合金。
  5. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のNi基超合金であって、
    所定条件のるつぼ試験において温度700℃で50時間保持の腐食表面積割合が90%以下であり、900℃で20時間保持のメタルロスが2.0mm以下であるNi基超合金。
  6. 請求項1乃至3のいずれかのNi基超合金を用いて、普通鋳造法、一方向凝固法、単結晶凝固法、粉末を用いた焼結および3D造形法の何れかにより作成したタービン部材。
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