JP6969492B2 - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁を備える内燃機関に適用される内燃機関の燃料噴射制御装置に関する。
たとえば下記特許文献1には、吸入空気量に基づき要求される燃料量を、吸気行程に燃料を噴射する吸気行程噴射と、排気行程に燃料を噴射する排気行程噴射とに分割して噴射すべくポート噴射弁を操作するマルチ噴射処理を実行する燃料噴射制御装置が記載されている。
特開平5−256172号公報
発明者は、マルチ噴射処理において、燃料噴射量に、燃焼室内に充填される新気量から定まる量に対して様々な補正を施す場合、分割した噴射量の少なくとも1つがポート噴射弁の最小噴射量未満となるおそれがあり、その場合、噴射量の制御性が低下して排気特性が悪化するおそれがあることを見出した。
以下、上記課題を解決するための手段およびその作用効果について記載する。
1.内燃機関の燃料噴射制御装置は、吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁を備える内燃機関に適用され、前記内燃機関の気筒内に充填される新気量に基づき、空燃比を目標空燃比に制御するための要求噴射量を算出する要求噴射量算出処理と、前記要求噴射量の燃料を噴射すべく、前記ポート噴射弁を操作して、吸気バルブの開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射と、前記吸気同期噴射よりも進角側のタイミングにて燃料を噴射する吸気非同期噴射とを実行するマルチ噴射処理と、前記充填される新気量が同一であっても、所定の条件が成立する場合、前記要求噴射量を減量する減量処理と、前記減量処理により減量された前記要求噴射量から定まる前記吸気非同期噴射の噴射量である非同期噴射量が前記ポート噴射弁が許容する最小噴射量未満である場合、前記非同期噴射量を前記最小噴射量以上となるように増量し、前記吸気同期噴射の噴射量である同期噴射量を減量する双方補正処理と、を実行する。
上記構成では、非同期噴射量が最小噴射量未満である場合、非同期噴射量を最小噴射量以上となるように増量し、同期噴射量を減量する。これにより、非同期噴射量が最小噴射量未満となることを回避しつつも、非同期噴射量と同期噴射量との和が要求噴射量からずれることを抑制できる。したがって、噴射量の制御性の低下を抑制することができる。
2.上記1記載の燃料噴射制御装置において、前記双方補正処理は、補正前の前記非同期噴射量と前記最小噴射量との差分を、前記非同期噴射量の増量補正量および前記同期噴射量の減量補正量とするものであり、前記ポート噴射弁を操作して前記要求噴射量の燃料を前記吸気非同期噴射によって噴射するシングル噴射処理と、前記マルチ噴射処理とのいずれかを選択する選択処理を実行し、前記選択処理は、前記減量補正量によって減量された前記同期噴射量が前記最小噴射量未満となる場合、前記シングル噴射処理を選択する処理を含む。
非同期噴射量と最小噴射量との差分を同期噴射量の減量補正量として補正することによって、同期噴射量が最小噴射量未満となる場合には、マルチ噴射処理を実行しつつ、非同期噴射量および同期噴射量の双方を最小噴射量以上とすることはできない。そこで上記構成では、こうした場合にシングル噴射処理を実行することにより、最小噴射量未満の燃料をポート噴射弁に噴射させる事態を十分に抑制することができる。
3.上記1または2記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記所定の条件には、前記新気量が減少する旨の条件が含まれ、前記減量処理は、前記新気量が減少する場合、前記非同期噴射量を減量することによって前記要求噴射量を減量する過渡補正処理を含む。
新気量が減少する場合、吸気通路に付着している燃料量が過渡的に減少していき、この減少分が上乗せされて燃焼室内に流入することから、新気量に基づき算出した要求噴射量が空燃比を目標空燃比に制御する上で過剰となるおそれがある。そこで上記構成では、新気量が減少する場合、非同期噴射量を減量することによって、要求噴射量が過剰となることを抑制する。ただし、その場合、非同期噴射量が最小噴射量未満となるおそれがある。このため、双方補正処理の利用価値が特に大きい。
4.上記1〜3のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記ポート噴射弁を操作して前記要求噴射量の燃料を前記吸気非同期噴射によって噴射するシングル噴射処理と、前記マルチ噴射処理とのいずれかを選択する選択処理を実行し、前記所定の条件は、前記選択処理によって前記シングル噴射処理が選択されていた状態から前記マルチ噴射処理が選択される状態に切り替わる旨の条件が含まれ、前記減量処理は、前記選択処理によって前記シングル噴射処理が選択されていた状態から前記マルチ噴射処理が選択される状態に切り替わる場合、前記非同期噴射量を減量することによって前記要求噴射量を減量する過渡補正処理を含む。
吸気同期噴射は吸気非同期噴射よりも吸気通路に付着する燃料が少ないことから、マルチ噴射処理を実施しているときには、シングル噴射処理を実施しているときと比較して吸気通路に付着する燃料量が少ない。このため、シングル噴射処理からマルチ噴射処理に切り替わると、吸気通路に付着している燃料量が過渡的に減少していき、この減少分が燃焼室内に流入することから、新気量に基づき算出した要求噴射量が空燃比を目標空燃比に制御する上で過剰となるおそれがある。そこで上記構成では、マルチ噴射処理に切り替わる場合、非同期噴射量を減量することによって、要求噴射量が過剰となることを抑制する。ただし、その場合、非同期噴射量が最小噴射量未満となるおそれがある。このため、双方補正処理の利用価値が特に大きい。
5.上記1〜4のいずれか1項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記要求噴射量を前記非同期噴射量と前記同期噴射量とに分割する分割処理を実行し、前記減量処理は、前記非同期噴射量に限って減量する処理である。
非同期噴射量を変化させる場合と比較して同期噴射量を変化させる場合には、排気特性が大きく変動するおそれがある。そこで上記構成では、減量処理の減量対象を非同期噴射量に限ることにより、減量処理によって排気特性が悪化することを抑制できる。
一実施形態にかかる制御装置および内燃機関を示す図。 同実施形態にかかる制御装置が実行する処理を示すブロック図。 (a)および(b)は、同実施形態にかかる噴射パターンを示すタイムチャート。 同実施形態にかかる噴射弁操作処理の手順を示す流れ図。 (a)および(b)は、同実施形態にかかる到達終了時期の設定の意義を示す図。 (a)〜(c)は、同実施形態にかかる作用を示すタイムチャート。 (a)〜(c)は、同実施形態にかかる作用を示すタイムチャート。
以下、内燃機関の燃料噴射制御装置にかかる一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示す内燃機関10の吸気通路12には、スロットルバルブ14が設けられており、スロットルバルブ14の下流には、ポート噴射弁16が設けられている。吸気通路12に吸入された空気とポート噴射弁16から噴射された燃料とは、吸気バルブ18の開弁に伴って、シリンダ20およびピストン22によって区画された燃焼室24に流入する。燃焼室24において、燃料と空気との混合気は、点火装置26の火花放電によって燃焼に供され、その際生成される燃焼エネルギは、ピストン22を介してクランク軸28の回転エネルギに変換される。燃焼に供された混合気は、排気バルブ30の開弁に伴って、排気として排気通路32に排出される。排気通路32には、触媒34が設けられている。
クランク軸28の回転動力は、タイミングチェーン38を介して、吸気側カム軸40および排気側カム軸42に伝達される。なお、本実施形態では、吸気側カム軸40には、吸気側バルブタイミング調整装置44を介してタイミングチェーン38の動力が伝達される。吸気側バルブタイミング調整装置44は、クランク軸28と吸気側カム軸40との回転位相差を調整することによって、吸気バルブ18の開弁タイミングを調整するアクチュエータである。
制御装置50は、内燃機関10を制御対象とし、その制御量(トルク、排気成分比率等)を制御するために、上記スロットルバルブ14や、ポート噴射弁16、点火装置26、吸気側バルブタイミング調整装置44等の内燃機関10の操作部を操作する。この際、制御装置50は、クランク角センサ60の出力信号Scrや、エアフローメータ62によって検出される吸入空気量Ga、空燃比センサ64によって検出される空燃比Af、吸気側カム角センサ66の出力信号Sca、水温センサ68によって検出される内燃機関10の冷却水の温度(水温THW)を参照する。なお、図1には、スロットルバルブ14を操作するための操作信号MS1、ポート噴射弁16を操作するための操作信号MS2、点火装置26を操作するための操作信号MS3および吸気側バルブタイミング調整装置44を操作するための操作信号MS4を記載している。
制御装置50は、CPU52、ROM54、および制御装置50内の各箇所に電力を供給する電源回路56を備えており、ROM54に記憶されたプログラムをCPU52が実行することにより、上記制御量の制御を実行する。
図2に、制御装置50が実行する処理の一部を示す。図2に示す処理は、ROM54に記憶されたプログラムをCPU52が実行することにより実現される。
吸気位相差算出処理M10は、クランク角センサ60の出力信号Scrと吸気側カム角センサ66の出力信号Scaとに基づき、クランク軸28の回転角度に対する吸気側カム軸40の回転角度の位相差である吸気位相差DINを算出する処理である。目標吸気位相差算出処理M12は、内燃機関10の動作点に基づき、目標吸気位相差DIN*を可変設定する処理である。なお、本実施形態では、回転速度NEと充填効率ηとによって動作点を定義している。ここで、CPU52は、回転速度NEを、クランク角センサ60の出力信号Scrに基づき算出し、充填効率ηを回転速度NEおよび吸入空気量Gaに基づき算出する。なお、充填効率ηは、燃焼室24内に充填される新気量を定めるパラメータである。
吸気位相差制御処理M14は、吸気位相差DINを目標吸気位相差DIN*に制御するために吸気側バルブタイミング調整装置44を操作すべく、操作信号MS4を出力する処理である。
ベース噴射量算出処理M20は、充填効率ηに基づき、燃焼室24内の混合気の空燃比を目標空燃比とするための燃料量のベース値であるベース噴射量Qbを算出する処理である。詳しくは、ベース噴射量算出処理M20は、たとえば充填効率ηが百分率で表現される場合、空燃比を目標空燃比とするための充填効率ηの1%当たりの燃料量QTHに、充填効率ηを乗算することによりベース噴射量Qbを算出する処理とすればよい。ベース噴射量Qbは、燃焼室24内に充填される新気量に基づき、空燃比を目標空燃比に制御するために算出された燃料量である。ちなみに、目標空燃比は、たとえば理論空燃比とすればよい。
フィードバック処理M22は、空燃比Afを目標値Af*にフィードバック制御するための操作量であるフィードバック操作量としてのベース噴射量Qbの補正比率δに「1」を加算したフィードバック補正係数KAFを算出して出力する処理である。詳しくは、フィードバック処理M22は、空燃比Afと目標値Af*との差を入力とする比例要素および微分要素の各出力値と、同差に応じた値の積算値を保持し出力する積分要素の出力値との和を補正比率δとする。
低温補正処理M24は、水温THWが規定温度Tth(たとえば70℃)未満の場合、ベース噴射量Qbを増量すべく、低温増量係数Kwを「1」よりも大きい値に算出する処理である。詳しくは、低温増量係数Kwは、水温THWが低い場合に高い場合よりも大きい値に算出される。なお、水温THWが規定温度Tth以上の場合には、低温増量係数Kwは「1」とされ、低温増量係数Kwによるベース噴射量Qbの補正量をゼロとする。
過渡補正処理M26は、吸気通路12に付着している燃料量が変化する過渡時に、燃焼室24内に流入する燃料量の過不足が生じることを抑制するフィードフォワード制御の操作量としての過渡補正量ΔQを算出する処理である。過渡補正処理M26は、たとえば、充填効率ηが減少する場合、吸気通路12に付着している燃料量が過渡的に減少していき、この減少分が上乗せされて燃焼室24内に流入する燃料量がベース噴射量Qbに対して過剰となることから、過渡補正量ΔQを負の値に算出する処理を含む。またたとえば、過渡補正処理M26は、充填効率ηが増加する場合、吸気通路12に付着している燃料量が過渡的に増加していくことに起因して、この増加分だけ燃焼室24内に流入する燃料量がベース噴射量Qbに対して不足することから、過渡補正量ΔQを正の値に算出する処理を含む。詳しくは、過渡補正処理M26は、充填効率η、水温THW、回転速度NEおよび吸気位相差DINと、後述するマルチ噴射処理であるかシングル噴射処理であるかに基づき、過渡補正量ΔQを算出する処理である。なお、過渡補正量ΔQは、定常時にはゼロとなる。
ちなみに、図2には、マルチ噴射処理の場合の充填効率ηと付着量との関係を示す曲線f2と、シングル噴射処理の場合の充填効率ηと付着量との関係を示す曲線f1と、マルチ噴射処理の場合に充填効率ηが「η1」から「η2」に変化する際の付着量の変化量が「ΔQ」である旨を模式的に示した。ただし、本実施形態では、たとえば1燃焼サイクルにおいて充填効率が「η1」から「η2」に減少した場合に次の燃焼サイクルに限って過渡補正量ΔQを図2に模式的に示した値とすることを意味せず、所定期間に渡って過渡補正量ΔQをゼロと異なる値とする。
噴射弁操作処理M30は、ベース噴射量Qb、フィードバック補正係数KAF、低温増量係数Kwおよび過渡補正量ΔQに基づき、ポート噴射弁16を操作すべく、ポート噴射弁16に操作信号MS2を出力する処理である。詳しくは、ポート噴射弁16から1燃焼サイクル内に1つの気筒に供給することが要求される燃料量である要求噴射量Qdをポート噴射弁16から噴射させる処理である。ここで、要求噴射量Qdは、「KAF・Kw・Qb+ΔQ」である。
本実施形態では、燃料噴射処理として、図3(a)に例示する処理と、図3(b)に例示する処理との2通りの処理を有する。
図3(a)は、吸気バルブ18の開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射と、吸気同期噴射よりも進角側のタイミングにて燃料を噴射する吸気非同期噴射との2つの燃料噴射を実行するマルチ噴射処理である。詳しくは、吸気同期噴射は、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置(吸気ポートの下流端、換言すれば燃焼室24への入り口部分)に到達する期間が吸気バルブ18の開弁期間に収まるように燃料を噴射するものである。ここで、「到達する期間」の始点は、ポート噴射弁16から噴射された燃料のうちの最も早いタイミングで噴射された燃料が開弁前の位置に到達するタイミングであり、終点は、ポート噴射弁16から噴射された燃料のうちの最も遅いタイミングで噴射された燃料が開弁前の位置に到達するタイミングである。これに対し、吸気非同期噴射は、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18が開弁する前に吸気バルブ18に到達するように燃料を噴射するものである。換言すれば、吸気非同期噴射は、ポート噴射弁16から噴射された燃料が、吸気バルブ18が開弁するまでは吸気通路12内で滞留し、開弁した後に燃焼室24内に流入する噴射である。なお、本実施形態において吸気非同期噴射は、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間が吸気バルブ18の閉弁期間に収まるように燃料を噴射するものとする。
図3(b)は、吸気非同期噴射のみを実行するシングル噴射処理である。
本実施形態においてマルチ噴射処理は、排気中の粒子状物質(PM)の数(PN)を低減することを狙って実行される。すなわち、水温THWがある程度低い場合、充填効率ηがある程度大きい領域においてシングル噴射処理を実行すると、PNが増加する傾向がある。これは、充填効率ηが大きい場合には小さい場合よりも要求噴射量Qdが大きい値となり、結果、吸気通路12に付着する燃料量が多くなることに起因していると考えられる。詳しくは、吸気通路12に付着している燃料量がある程度多くなる場合、付着している燃料のせん断によって、付着している燃料の一部が液滴のまま燃焼室24に流入するためであると推察される。そこで本実施形態では、充填効率ηがある程度大きい領域においては、要求噴射量Qdの一部を吸気同期噴射によって噴射することにより吸気通路12に付着する燃料量を要求噴射量Qdが多い割に少なくし、ひいてはPNの低減を図る。
なお、図2の過渡補正処理M26は、マルチ噴射処理とシングル噴射処理との切り替わりにおいても過渡補正量ΔQをゼロ以外の値とする。すなわち、シングル噴射処理を実施しているときの方がマルチ噴射処理を実施しているときよりも吸気通路12に付着している燃料量が多くなる。そのため、たとえばシングル噴射処理からマルチ噴射処理に切り替わる場合、吸気通路12に付着している燃料量が過渡的に減少していき、この減少分が上乗せされて燃焼室24に流入する。そのため、過渡補正量ΔQをゼロよりも小さい値とすることにより、燃焼室24内に流入する燃料量が過剰となることを抑制する。
図4に、噴射弁操作処理M30の処理の手順を示す。図4に示す処理は、ROM54に記憶されたプログラムをCPU52がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。なお、以下では、先頭に「S」が付与された数字によって各処理のステップ番号を表現する。
図4に示す一連の処理において、CPU52は、まずマルチ噴射処理を実行する要求があるか否かを判定する(S10)。ここでCPU52は、以下の条件(ア)、(イ)および(ウ)の論理積が真である場合、マルチ噴射処理を実行する要求があると判定する。
条件(ア):充填効率ηが所定値以上である旨の条件である。この条件は、シングル噴射処理をしたのでは吸気通路12に付着する燃料量が過度に大きくなり、PNが顕著となるおそれがある旨の条件である。
条件(イ):回転速度NEが所定速度NEth以下である旨の条件である。この条件は、吸気非同期噴射の終了タイミングと吸気同期噴射の開始タイミングとの時間間隔をポート噴射弁16の構造から定まる所定時間以上に確保できる旨の条件である。また、この条件は、マルチ噴射処理がシングル噴射処理よりも演算負荷が大きいことから、制御装置50の演算負荷の増大によって発熱量が過大となることを抑制する旨の条件である。
条件(ウ):水温THWが上記規定温度Tth以下である旨の条件である。この条件は、吸気通路12に付着する燃料量が大きくなり、PNが顕著となるおそれがある旨の条件である。
そして、CPU52は、要求がないと判定する場合(S10:NO)、シングル噴射処理を実行することとして要求噴射量Qdを算出する(S12)。
次にCPU52は、噴射開始時期Isinを算出する(S14)。詳しくは、CPU52は、図3(b)に示すように、吸気バルブ18の開弁時期に対して所定量Δ1だけ進角したタイミングを、ポート噴射弁16から噴射された燃料のうち最も遅いタイミングで噴射された燃料が吸気バルブ18の閉弁期間における位置に到達するタイミングの目標値である到達終了時期AEnsとする。次にCPU52は、要求噴射量から定まるポート噴射弁16による噴射期間と、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の閉弁時の位置に到達するまでの飛行時間等を加算した値だけ、到達終了時期AEnsに対して進角したタイミングを噴射開始時期Isinとする。図4に戻り、CPU52は、噴射開始時期Isinにおいて要求噴射量Qdの燃料を噴射すべくポート噴射弁16に操作信号MS2を出力してポート噴射弁16を操作する(S16)。
一方、CPU52は、マルチ噴射処理の実行要求があると判定する場合(S10:YES)、ベース噴射量Qbに占める同期噴射量Qsの割合である同期噴射割合Ksを算出する(S18)。ここで、CPU52は、回転速度NE、充填効率η、水温THWおよび吸気位相差DINに応じて、同期噴射割合Ksを算出する。詳しくは、回転速度NE、充填効率η、水温THWおよび吸気位相差DINを入力変数とし、同期噴射割合Ksを出力変数とするマップデータが予めROM54に記憶された状態で、CPU52により同期噴射割合Ksがマップ演算される。
なお、マップデータとは、入力変数の離散的な値と、入力変数の値のそれぞれに対応する出力変数の値と、の組データである。またマップ演算は、たとえば、入力変数の値がマップデータの入力変数の値のいずれかに一致する場合、対応するマップデータの出力変数の値を演算結果とし、一致しない場合、マップデータに含まれる複数の出力変数の値の補間によって得られる値を演算結果とする処理とすればよい。
次にCPU52は、要求噴射量Qdから過渡補正量ΔQを除いたものに対する同期噴射量Qsの割合として非同期噴射割合Knsを算出する(S20)。詳しくは、CPU52は、「1」から「Ks/(KAF・Kw)」を減算することによって、非同期噴射割合Knsを算出する。次に、CPU52は、ベース噴射量Qbに同期噴射割合Ksを乗算した値を、同期噴射量Qsに代入する(S22)。次にCPU52は、要求噴射量Qdから過渡補正量ΔQを除いた値「KAF・Kw・Qb」に非同期噴射割合Knsを乗算した値と過渡補正量ΔQとの和を、非同期噴射量Qnsに代入する(S24)。
これにより、非同期噴射量Qnsは、以下の値となる。
Ksn・KAF・Kw・Qb+ΔQ=KAF・Kw・Qb−Ks・Qb+ΔQ
このため、非同期噴射量Qnsと同期噴射量Qsとの和は、「KAF・Kw・Qb+ΔQ」となり、これは要求噴射量Qdに等しい。すなわち、S18〜S24の処理によって、要求噴射量Qdの燃料が、非同期噴射量Qnsと同期噴射量Qsとに分割される。ちなみに、同期噴射量Qsは、フィードバック補正係数KAF、低温増量係数Kwおよび過渡補正量ΔQの値に影響されることなく、「Ks・Qb」となる。これは、ベース噴射量Qbを、同期噴射量Qsと、「(1−Ks)・Qb」とに分割した後、「(1−Ks)・Qb」が補正された値が非同期噴射量Qnsとなることを意味する。このように、同期噴射量Qsを固定する理由は、同期噴射量Qsを変化させる場合の排気成分の変化が、非同期噴射量Qnsを変化させる場合の排気成分の変化よりも顕著となるためである。
次にCPU52は、非同期噴射量Qnsが、ポート噴射弁16の構造上の最小噴射量Qmin以上であるか否かを判定する(S26)。ここで最小噴射量Qminは、ポート噴射弁16から燃料を噴射させる場合、噴射量の精度が許容範囲に収まる下限値に基づき設定されている。CPU52は、最小噴射量Qmin未満であると判定する場合(S26:NO)、最小噴射量Qminから非同期噴射量Qnsを減算した値である差分ΔINSを算出する(S28)。次にCPU52は、同期噴射量Qsから差分ΔINSを減算した値が最小噴射量Qmin以上であるか否かを判定する(S30)。そしてCPU52は、最小噴射量Qmin未満であると判定する場合(S30:NO)、同期噴射量Qsおよび非同期噴射量Qnsの双方を同時に最小噴射量Qmin以上とすることはできないとして、S12の処理に移行する。
これに対しCPU52は、最小噴射量Qmin以上であると判定する場合(S30:YES)、S24の処理によって算出された非同期噴射量Qnsを、差分ΔINSだけ増量補正するとともに、S22の処理によって算出された同期噴射量Qsを、差分ΔINSだけ減量補正する(S32)。
CPU52は、S32の処理が完了する場合やS26の処理において肯定判定する場合には、回転速度NE、充填効率η、水温THWおよび吸気位相差DINに基づき、図3(a)に示す到達終了時期AEsを算出する(S34)。そしてCPU52は、到達終了時期と同期噴射量Qsと回転速度NEとに基づき、吸気同期噴射の噴射開始時期Isを算出する(S36)。ここで、CPU52は、同期噴射量Qsが大きい場合に小さい場合よりも噴射開始時期Isをより進角側の値に算出する。また、CPU52は、回転速度NEが大きい場合に小さい場合よりも噴射開始時期Isをより進角側の値とする。なお、到達終了時期AEsは、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前に吸気バルブ18の閉弁時の位置に到達することがないように適合されている。次にCPU52は、噴射開始時期Isに基づき、非同期噴射の噴射開始時期Insを算出する(S38)。ここでは、吸気非同期噴射の噴射終了時期と噴射開始時期Isとの時間間隔が上記所定時間以上となるようにする。
上記処理により、吸気同期噴射の噴射開始時期Isが、吸気非同期噴射の噴射開始時期Insとは独立に設定される。これは、吸気同期噴射の上記到達終了時期が排気中のPNやHCに特に影響しやすいためである。
図5(a)に、吸気非同期噴射や吸気同期噴射の上記到達終了時期を変化させたときのPNを示し、図5(b)に、吸気非同期噴射や吸気同期噴射の上記到達終了時期を変化させたときのHC発生量を示す。ここで、白抜きのプロットは、吸気非同期噴射の到達終了時期を固定し、吸気同期噴射の到達終了時期を変化させたときのものであり、黒塗りのプロットは、吸気同期噴射の到達終了時期を固定し、吸気非同期噴射の到達終了時期を変化させたときのものである。また、○印、ひし形、四角、三角のプロットのそれぞれは、非同期噴射量Qnsと同期噴射量Qsとの割合が、「8:2」,「7:3」,「6:4」,「5:5」のそれぞれに対応する。
図5の白抜きのプロットに示されるように、非同期噴射量Qnsと同期噴射量Qsとの割合がいずれの割合であるときであっても、吸気同期噴射の到達終了時期の変化によって、PNやHCの発生量が大きく変化する。このため、本実施形態では、吸気同期噴射の到達終了時期を、PNやHCの発生量を低減できる適切な値に設定する。
図4に戻り、CPU52は、噴射開始時期Isにおいて同期噴射量Qsの燃料を噴射し、噴射開始時期Insにおいて非同期噴射量Qnsの燃料を噴射すべく、ポート噴射弁16に操作信号MS2を出力してポート噴射弁16を操作する(S16)。
なお、CPU52は、S16の処理が完了する場合、図4に示す一連の処理を一旦終了する。
ここで、本実施形態の作用および効果について説明する。
図6に、充填効率ηが減少する場合の過渡補正量ΔQの影響を例示する。図6(a)は、充填効率ηの減少前の非同期噴射量Qnsおよび同期噴射量Qsを噴射期間の長さによって示す。図6(b)は、充填効率ηが減少した際にS22,S24の処理によって算出される非同期噴射量Qnsおよび同期噴射量Qsを噴射期間の長さによって示す。図6(c)は、充填効率ηが減少した際にS32の処理によって算出される非同期噴射量Qnsおよび同期噴射量Qsを噴射期間の長さによって示す。
図6(b)に示すように、充填効率ηが減少すると、過渡補正量ΔQによって非同期噴射量Qnsが非常に小さくなり、最小噴射量Qmin未満となる。この場合、CPU52は、最小噴射量Qminとの差分ΔINSだけ同期噴射量Qsを減量補正し、非同期噴射量Qnsを最小噴射量Qminまで増量補正する。これにより、非同期噴射量Qnsおよび同期噴射量Qsをともに、最小噴射量Qmin以上とすることができる。
図7に、シングル噴射処理からマルチ噴射処理に切り替える場合を例示する。図7(a)は、シングル噴射処理時の噴射量を噴射期間の長さによって示す。図7(b)は、マルチ噴射処理に切り替わる際にS22,S24の処理によって算出される非同期噴射量Qnsおよび同期噴射量Qsを噴射期間の長さによって示す。図7(c)は、マルチ噴射処理に切り替わる際にS32の処理によって算出される非同期噴射量Qnsおよび同期噴射量Qsを噴射期間の長さによって示す。
図7(b)に示すように、マルチ噴射処理に切り替わる場合、過渡補正量ΔQによって非同期噴射量Qnsが非常に小さくなり、最小噴射量Qmin未満となる。この場合、CPU52は、最小噴射量Qminとの差分ΔINSだけ同期噴射量Qsを減量補正し、非同期噴射量Qnsを最小噴射量Qminまで増量補正する。これにより、非同期噴射量Qnsおよび同期噴射量Qsをともに、最小噴射量Qmin以上とすることができる。
なお、マルチ噴射処理に切り替える際に過渡補正量ΔQの絶対値が大きくなる状況としては、たとえば回転速度NEが低下する場合がある。すなわち、回転速度NEが大きい場合、充填効率ηが規定値以上となり、CPU52は、S10の処理において上記(イ)の条件を満たさないと判定し、シングル噴射処理を実行する。ここで、回転速度NEが低下すると、規定値が大きくなることから、CPU52は、上記(イ)の条件を満たすとして、マルチ噴射処理に切り替える。この場合、充填効率ηが比較的大きくなることがあり、シングル噴射処理を実施しているときに吸気通路12に付着している燃料量とマルチ噴射処理を実施しているときに吸気通路12内に付着している燃料量との差が大きいため、過渡補正量ΔQの絶対値が大きくなることがある。
<対応関係>
上記実施形態における事項と、上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。[1]要求噴射量算出処理は、ベース噴射量算出処理M20、フィードバック処理M22、低温補正処理M24および過渡補正処理M26に対応する。すなわち、要求噴射量Qdは、「Qb・KAF・Kw+ΔQ」であるため、上記各処理がそれぞれ、ベース噴射量Qb、フィードバック補正係数KAF、低温増量係数Kw、および過渡補正量ΔQを算出することによって、要求噴射量Qdが算出されたとみなせる。マルチ噴射処理は、S38の処理から移行したS16の処理に対応する。減量処理は、過渡補正量ΔQが負である場合のS24の処理に対応する。双方補正処理は、S32の処理に対応する。燃料噴射制御装置は、制御装置50に対応する。[2]選択処理は、S10,S30の処理に対応する。[3]図6に例示する処理に対応する。[4]図7に例示する処理に対応する。[5]分割処理は、S18〜S24の処理に対応する。
<その他の実施形態>
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・「要求噴射量について」
要求噴射量Qdを、低温増量係数Kwや過渡補正量ΔQ、フィードバック補正係数KAFに加えて、学習値LAFによってベース噴射量Qbが補正されたものとしてもよい。ちなみに、学習値LAFの算出処理は、フィードバック補正係数KAFを入力とし、フィードバック補正係数KAFによるベース噴射量Qbの補正比率が小さくなるように学習値LAFを更新する処理である。なお、学習値LAFは、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリに記憶されることが望ましい。
また、たとえば外乱燃料割合に基づくフィードフォワード制御によって、外乱燃料割合が大きい場合に小さい場合よりも要求噴射量Qdが小さくなるようにして要求噴射量Qdを算出してもよい。ここで、外乱燃料割合とは、1燃焼サイクル内においてポート噴射弁16から噴射される燃料以外に内燃機関10の燃焼室24に流入する燃料量の燃焼室24内に流入する燃料総量に対する割合である。また、外乱燃料としては、たとえばポート噴射弁16から噴射される燃料を貯蔵する燃料タンクからの燃料蒸気を捕集するキャニスタと、キャニスタ内の流体の吸気通路12への流入量を調整する調整装置とを内燃機関が備える場合、キャニスタから吸気通路12に流入する燃料蒸気がある。またたとえば、クランクケース内の燃料蒸気を吸気通路12に戻すシステムを備える場合には、クランクケースから吸気通路12に流入する燃料蒸気がある。
・「減量処理について」
上記「要求噴射量について」の欄に記載したように、外乱燃料割合に応じて要求噴射量を算出する場合、外乱燃料によって要求噴射量を減量する処理を、減量処理に含めてもよい。
・「吸気非同期噴射について」
上記実施形態では、吸気非同期噴射を、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間が吸気バルブ18の閉弁期間に収まるように燃料を噴射するものとしたが、これに限らない。たとえば回転速度NEが高くて且つ非同期噴射量Qnsが過度に多い場合、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間の一部が吸気バルブ18の開弁期間と重複してもよい。
・「吸気同期噴射について」
上記実施形態では、回転速度NE、充填効率η、水温THWおよび吸気位相差DINに基づき、到達終了時期を設定したが、これに限らない。たとえば、回転速度NE、充填効率η、水温THWおよび吸気位相差DINに基づき噴射開始時期Isを設定してもよい。また、燃焼室24内に充填される新気量を示すパラメータである負荷を示すパラメータとして、充填効率ηに代えて、たとえばベース噴射量Qbを用いてもよい。また、回転速度NE、負荷、水温THWおよび吸気位相差DINの4つのパラメータに関しては、そのうちの3つのパラメータのみに基づき、到達終了時期や噴射開始時期Isを可変設定したり、2つのパラメータのみに基づき可変設定したり、1つのパラメータのみに基づき可変設定したりしてもよい。
・「シングル噴射処理について」
上記実施形態では、シングル噴射処理を、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間が吸気バルブ18の閉弁期間に収まるように燃料を噴射するものとしたがこれに限らない。たとえば、要求噴射量Qdが大きい場合には、ポート噴射弁16から噴射された燃料が吸気バルブ18の開弁前の位置に到達する期間の一部が吸気バルブ18の開弁期間と重複することがあってもよい。なお、シングル噴射処理を実行することは必須ではない。
・「選択処理について」
マルチ噴射処理の実行条件としては、上記(ア)、(イ)および(ウ)の条件に限らない。たとえば、上記(イ)の条件を、「Kw・KAF・Qb」が規定量以下である旨の条件(エ)に変更してもよい。ここで、規定量は、回転速度NEが高い場合に低い場合よりも小さい値とする。この場合、水温THWが上昇することによってマルチ噴射処理に切り替わる場合にも過渡補正量ΔQが大きい値となりうる。すなわち、水温THWが低い場合、低温増量係数Kwが大きい値となることから、CPU52が上記(エ)の条件を満たさないと判定することとなる。一方、水温THWがわずかに上昇しCPU52が上記(エ)の条件を満たすようになると、マルチ噴射処理に切り替えるが、その場合、「Kw・KAF・Qb」が大きい。このため、シングル噴射処理を実施しているときとマルチ噴射処理を実施しているときとで吸気通路12内に付着している燃料量の差が大きく、ひいては過渡補正量ΔQの絶対値が大きくなる。
・「要求噴射量の分割手法について」
上記実施形態では、回転速度NE、充填効率η、水温THWおよび吸気位相差DINに基づき、ベース噴射量Qbのうちの同期噴射量Qsの占める割合を示す同期噴射割合Ksを可変設定したが、これに限らない。たとえば、燃焼室24内に充填される新気量を示すパラメータである負荷パラメータとして、充填効率ηに代えて、要求噴射量Qdを用いてもよい。また、負荷パラメータと回転速度NEと水温THWと吸気位相差DINとの4つのパラメータについては、それらのうちの3つパラメータのみに基づき可変設定したり、2つのパラメータのみに基づき可変設定したり、1つのパラメータのみに基づき可変設定したりしてもよい。なお、この際、負荷パラメータおよび水温THWのうちの少なくとも1つを極力用いて可変設定することが望ましい。また、上記4つのパラメータ以外にたとえば、吸気圧や、吸入空気の流速を用いてもよい。ただし、上記4つのパラメータによれば、吸気圧や吸入空気の流速を把握することができる。
また、非同期噴射割合Knsを、要求噴射量から過渡補正量ΔQを除いた値のうちの非同期噴射量Qnsが占める割合を示す量とすること自体必須ではない。たとえば、非同期噴射割合Knsを、ベース噴射量Qbのうちの非同期噴射量Qnsが占める割合を示す量としてもよい。この場合、「Kns+Ks=1」が成立する。なお、この場合、最終的な非同期噴射量Qnsは、「Qb・Kns+Qb・(KAF・Kw−1)+ΔQ」とすればよい。
また、同期噴射割合Ksを定めること自体、必須ではない。たとえば上記実施形態やその変形例において同期噴射割合Ksを定めたパラメータに基づき、同期噴射量Qsを算出してもよい。この場合、非同期噴射量Qnsは、「Qb・KAF・Kw+ΔQ−Qs」とすればよい。
たとえばベース噴射量Qbがフィードバック補正係数KAFによって補正された値「KAF・Qb」を、同期噴射割合Ksによって分割したものを同期噴射量Qsとしてもよい。この場合、同期噴射量Qsは、「Ks・KAF・Qb」となる。
上記実施形態では、充填効率ηが減少した場合に、過渡補正量ΔQによって非同期噴射量Qnsのみを減量補正したが、これに限らない。たとえば、過渡補正量ΔQのうちの1パーセントに限って、同期噴射量Qsの減量補正量としてもよい。
上記実施形態では、シングル噴射処理からマルチ噴射処理に切り替わる際に過渡補正量ΔQによって非同期噴射量Qnsのみを減量補正したが、これに限らない。たとえば、過渡補正量ΔQの1パーセントに限って、同期噴射量Qsに割り振ってもよい。
・「吸気バルブの特性可変装置について」
吸気バルブ18の特性を変更する特性可変装置としては、吸気側バルブタイミング調整装置44に限らない。たとえば、吸気バルブ18のリフト量を変更するものであってもよい。この場合、吸気バルブ18のバルブ特性を示すパラメータは、吸気位相差DINに代えて、リフト量等となる。
・「燃料噴射制御装置について」
燃料噴射制御装置がCPU52とROM54とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理する専用のハードウェア回路(たとえばASIC等)を備えてもよい。すなわち、燃料噴射制御装置は、以下の(a)〜(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するROM等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア処理回路や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。すなわち、上記処理は、1または複数のソフトウェア処理回路および1または複数の専用のハードウェア回路の少なくとも一方を備えた処理回路によって実行されればよい。
・「そのほか」
たとえば、ポート噴射弁16の噴射圧を変更制御可能な装置を備える場合において、一度S26の処理において否定判定される場合には、次の気筒についてはS26の処理において肯定判定されるようにすべく、噴射圧の低下制御を実行してもよい。
内燃機関10が吸気バルブ18の特性を変更する特性可変装置を備えることは必須ではない。内燃機関10がスロットルバルブ14を備えることは必須ではない。
10…内燃機関、12…吸気通路、14…スロットルバルブ、16…ポート噴射弁、18…吸気バルブ、20…シリンダ、22…ピストン、24…燃焼室、26…点火装置、28…クランク軸、30…排気バルブ、32…排気通路、34…触媒、38…タイミングチェーン、40…吸気側カム軸、42…排気側カム軸、44…吸気側バルブタイミング調整装置、50…制御装置、52…CPU、54…ROM、60…クランク角センサ、62…エアフローメータ、64…空燃比センサ、66…吸気側カム角センサ、68…水温センサ、76…電源回路。

Claims (4)

  1. 吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁を備える内燃機関に適用され、
    前記内燃機関の気筒内に充填される新気量に基づき、空燃比を目標空燃比に制御するための要求噴射量を算出する要求噴射量算出処理と、
    前記要求噴射量の燃料を噴射すべく、前記ポート噴射弁を操作して、吸気バルブの開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射と、前記吸気同期噴射よりも進角側のタイミングにて燃料を噴射する吸気非同期噴射とを実行するマルチ噴射処理と、
    前記充填される新気量が同一であっても、所定の条件が成立する場合、前記要求噴射量を減量する減量処理と、
    前記減量処理により減量された前記要求噴射量から定まる前記吸気非同期噴射の噴射量である非同期噴射量が前記ポート噴射弁が許容する最小噴射量未満である場合、前記非同期噴射量を前記最小噴射量以上となるように増量し、前記吸気同期噴射の噴射量である同期噴射量を減量する双方補正処理と、を実行し、
    前記双方補正処理は、補正前の前記非同期噴射量と前記最小噴射量との差分を、前記非同期噴射量の増量補正量および前記同期噴射量の減量補正量とするものであり、
    前記ポート噴射弁を操作して前記要求噴射量の燃料を前記吸気非同期噴射によって噴射するシングル噴射処理と、前記マルチ噴射処理とのいずれかを選択する選択処理を実行し、
    前記選択処理は、前記減量補正量によって減量された前記同期噴射量が前記最小噴射量未満となる場合、前記シングル噴射処理を選択する処理を含む内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁を備える内燃機関に適用され、
    前記内燃機関の気筒内に充填される新気量に基づき、空燃比を目標空燃比に制御するための要求噴射量を算出する要求噴射量算出処理と、
    前記要求噴射量の燃料を噴射すべく、前記ポート噴射弁を操作して、吸気バルブの開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射と、前記吸気同期噴射よりも進角側のタイミングにて燃料を噴射する吸気非同期噴射とを実行するマルチ噴射処理と、
    前記充填される新気量が同一であっても、所定の条件が成立する場合、前記要求噴射量を減量する減量処理と、
    前記減量処理により減量された前記要求噴射量から定まる前記吸気非同期噴射の噴射量である非同期噴射量が前記ポート噴射弁が許容する最小噴射量未満である場合、前記非同期噴射量を前記最小噴射量以上となるように増量し、前記吸気同期噴射の噴射量である同期噴射量を減量する双方補正処理と、
    前記ポート噴射弁を操作して前記要求噴射量の燃料を前記吸気非同期噴射によって噴射するシングル噴射処理と、前記マルチ噴射処理とのいずれかを選択する選択処理と、を実行し、
    前記所定の条件には、前記選択処理によって前記シングル噴射処理が選択されていた状態から前記マルチ噴射処理が選択される状態に切り替わる旨の条件が含まれ、
    前記減量処理は、前記選択処理によって前記シングル噴射処理が選択されていた状態から前記マルチ噴射処理が選択される状態に切り替わる場合、前記非同期噴射量を減量することによって前記要求噴射量を減量する過渡補正処理を含む内燃機関の燃料噴射制御装置。
  3. 吸気通路に燃料を噴射するポート噴射弁を備える内燃機関に適用され、
    前記内燃機関の気筒内に充填される新気量に基づき、空燃比を目標空燃比に制御するための要求噴射量を算出する要求噴射量算出処理と、
    前記要求噴射量の燃料を噴射すべく、前記ポート噴射弁を操作して、吸気バルブの開弁期間に同期して燃料を噴射する吸気同期噴射と、前記吸気同期噴射よりも進角側のタイミングにて燃料を噴射する吸気非同期噴射とを実行するマルチ噴射処理と、
    前記充填される新気量が同一であっても、所定の条件が成立する場合、前記要求噴射量を減量する減量処理と、
    前記減量処理により減量された前記要求噴射量から定まる前記吸気非同期噴射の噴射量である非同期噴射量が前記ポート噴射弁が許容する最小噴射量未満である場合、前記非同期噴射量を前記最小噴射量以上となるように増量し、前記吸気同期噴射の噴射量である同期噴射量を減量する双方補正処理と
    前記要求噴射量を前記非同期噴射量と前記同期噴射量とに分割する分割処理と、を実行し、
    前記減量処理は、前記非同期噴射量に限って減量する処理である内燃機関の燃料噴射制御装置。
  4. 前記所定の条件には、前記新気量が減少する旨の条件が含まれ、
    前記減量処理は、前記新気量が減少する場合、前記非同期噴射量を減量することによって前記要求噴射量を減量する過渡補正処理を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
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