《第一実施形態》
以下、本発明に係る第一実施形態について図1から図6を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、歯車研削装置(工作機械)1は、歯車となるワークWを砥石(工具)Tで研削する研削装置である。歯車研削装置1では、砥石TとワークWとを同期回転させながら接触させることでワークWが研削される。ワークWは、例えば、円盤状や円筒状に形成されている被加工対象である。ワークWは、砥石Tによって、外周面に形成されている歯が研削される。
砥石Tは、円筒状に形成されている。砥石Tの外周面には、所望の歯車の歯形に対応する螺旋状の研削歯が形成されている。
歯車研削装置1は、砥石TでワークWに対して加工を行う研削装置本体(工作機械本体)10と、研削装置本体10の各種機器の位置を調整する操作システム20とを備えている。
研削装置本体10は、研削油を供給しながら、砥石TでワークWを研削する装置である。研削装置本体10は、ベッド11と、外装部12と、砥石支持部13と、テーブル(第一移動部)14と、カウンタコラム15と、を有している。
ベッド11は、図1に示すように、床面に設置される台座である。ベッド11には、砥石支持部13と、テーブル14と、カウンタコラム15と、が取り付けられている。
外装部12は、研削装置本体10の外観をなすカバー体である。外装部12は、ベッド11上を覆うように設けられている。外装部12には、窓121を備えた扉が設けられている。窓121は、作業者が研削装置本体10の外部からベッド11上の加工エリア内を視認するために設けられている。
砥石支持部13は、ワークWを研削する砥石Tを回転駆動させる。砥石支持部13は、ベッド11上でテーブル14に対して砥石Tを移動可能に支持している。砥石支持部13は、図2に示すように、コラム(第二移動部)131と、サドル(第三移動部)132と、砥石ヘッド(第四移動部)133と、を有している。
コラム131は、ベッド11上で、テーブル14に対して離れて配置されている。コラム131は、テーブル14に対して砥石Tを水平方向のうちの一直進方向に移動可能とされている。ここで、ベッド11に対するコラム131の移動方向をX軸方向と称する。X軸方向は、水平方向の一つであって、ベッド11の長手方向である。したがって、コラム131が移動することで、テーブル14に対する砥石TのX軸方向の位置が調整される。
サドル132は、コラム131に対してZ軸方向(鉛直方向)に移動可能とされている。したがって、サドル132が移動することで、テーブル14に対する砥石TのZ軸方向の位置が調整される。また、サドル132は、X軸方向に延びるサドル軸線O1を中心にコラム131に対して回転可能とされている。したがって、サドル132が回転することで、テーブル14に対する砥石Tの角度が調整される。つまり、サドル132は、ベッド11に対して、Z軸方向を一直進方向として移動可能とされるとともに、サドル軸線O1を回転中心とする一回転方向に移動可能とされている。
砥石ヘッド133は、サドル132に対して、水平方向のうちY軸方向を含むX軸方向と直交する方向に移動可能とされている。Y軸方向は、X軸方向及びZ軸方向と直交する方向であって、ベッド11の幅方向である。砥石ヘッド133は、サドル132が回転していない場合には、ベッド11に対してY軸方向に移動される。砥石ヘッド133は、ベッド11上でのテーブル14に対する砥石TのY軸方向の位置を調整する。つまり、砥石ヘッド133は、ベッド11に対して、Y軸方向を一直進方向として移動可能とされている。砥石ヘッド133は、砥石Tが着脱可能とされた砥石回転軸(第五移動部)134を有している。砥石回転軸134は、砥石ヘッド133に設けられたモータ等の駆動源の動力により、X軸と直交する砥石軸線O2を中心に回転する。つまり、砥石回転軸134は、ベッド11に対して、砥石軸線O2を回転中心とする一回転方向に移動可能とされている。砥石Tを砥石回転軸134に取り付けた状態において、砥石Tの回転軸線は、砥石軸線O2と一致している。
テーブル14は、ベッド11上でワークWを回転可能に支持している。テーブル14は、ワークWを砥石TとX軸方向に対面させることが可能な位置でベッド11に対して取り付けられている。テーブル14は、ベッド11に対して、Z軸方向に延びるテーブル軸線O3を回転中心とする一回転方向に回転可能とされている。したがって、コラム131、サドル132、砥石ヘッド133、砥石回転軸134、及びテーブル14のベッド11に対する移動方向は互いに異なっている。
カウンタコラム15は、砥石支持部13に対してテーブル14を挟んでX軸方向に離れた位置に配置されている。カウンタコラム15の外周には、Z軸方向に延びるカウンタコラム軸線O4を中心として回転する旋回リング151が設けられている。旋回リング151には、ワークWを保持可能な保持部である一対のグリッパ152と、砥石Tをドレッシングするためのドレッシング装置(不図示)とが設けられている。一対のグリッパ152は、カウンタコラム軸線O4に対して対称に設けられている。グリッパ152により、ワークWをテーブル14に搬入及び搬出する。また、ドレッシング装置は、旋回リング151の外周において、一対のグリッパ152の間に配置されている。また、カウンタコラム15には、テールストック153が設けられている。テールストック153は、テーブル14に支持されたワークWにZ軸方向の上方からワークWをテーブル14に向かって押さえるようにカウンタコラム15に対して移動可能とされている。
操作システム20は、コラム131、サドル132、砥石ヘッド133、砥石回転軸134、及びテーブル14の位置を調整する。操作システム20は、図1及び図3から図6に示すように、操作盤3と、制御部(移動指示部)8と、を有している。
操作盤3は、研削装置本体10の運転操作時や調整時に作業者が操作するために必要な各種装置をまとめて配置したものである。操作盤3は、操作盤本体4と、操作部5と、姿勢選択スイッチ6とを有している。
操作盤本体4は、矩形状をなしている。操作盤本体4は、外装部12に固定されている。操作盤本体4には、操作部5及び姿勢選択スイッチ6が設けられている。なお、操作盤本体4には、操作部5及び姿勢選択スイッチ6以外の研削装置本体10の各種機器を操作するためのボタン等が複数設けられている。
操作部5は、作業者によって操作されるジョイスティックである。操作部5は、図3に示すように、基部51と、レバー部52と、姿勢変更部(切替部)53と、を有している。
基部51は、姿勢変更部53を介して操作盤本体4に支持されている。基部51の一つの面には、一方向に延びる長穴が形成されている。基部51には、基部51に対して傾動可能かつ回転可能とされたレバー部52が設けられている。また、基部51にはポテンショメータや加速度センサのような基部51の姿勢(向き)を検知するセンサ部511が内蔵されている。センサ部511は、現状の基部51の姿勢の情報を制御部8に出力する。
レバー部52は、レバー本体55と、グリップ部56とを有している。
レバー本体55は、レバー軸線(中心軸)O5を中心として延びる棒状をなしている。レバー本体55は、長穴に挿通された状態で、下端部(一方の端部)が基部51内部で図示しない支持部によって傾動可能かつ回転可能に支持されている。これより、レバー本体55は、基部51に対して長穴の延びる一直進方向のみに傾動可能とされている。また、レバー本体55は、基部51に対してレバー軸線O5を回転中心として回転可能とされている。これにより、レバー本体55は、基部51に対して一回転方向のみに回転可能とされている。
第一実施形態のレバー本体55は、ポテンショメータ等のレバー本体55の中立位置からの可動方向や可動量を検出する検出装置(不図示)が基部51内部で固定されている。ここで、可動方向とは、レバー本体55の動かされる前の状態である中立位置からの基部51に対するレバー本体55の傾動する方向及び回転する方向である。また、可動量とは、中立位置からの基部51に対するレバー本体55の傾動量や回転量である。検出された可動方向や可動量の情報は、後述する制御部8に出力される。
グリップ部56は、レバー本体55の上端部(他方の端部)に固定されている。グリップ部56は、レバー本体55よりも大きな径をなす円柱状に形成され、作業者により把持可能とされている。グリップ部56の上端面(レバー本体55と接続されていない側の端面)には、レバー部52の可動方向を示す方向指示部57が設けられている。本実施形態の方向指示部57は、基部51に対するレバー本体55の傾動する方向及び回転する方向が矢印として表示されたものである。
姿勢変更部53は、操作盤本体4と基部51とを連結しているアクチュエータである。姿勢変更部53は、操作盤本体4に対する基部51の姿勢である基部姿勢を複数(本実施形態では、三つ)の状態に切替可能とするとともに、切替後の基部姿勢を保持可能とされている。これにより、姿勢変更部53は、操作盤本体4及び外装部12を介してベッド11に対する基部51の姿勢を複数の基部姿勢の何れかに切替可能としている。姿勢変更部53は、姿勢選択スイッチ6からの信号に基づいて、第一姿勢、第二姿勢、及び第三姿勢の三つの基部姿勢のいずれか一つの基部姿勢となるように基部51を移動させる。
ここで、第一姿勢とは、図3に示す状態であって、中立位置でのレバー本体55のレバー軸線O5の延びる方向の延びる方向がZ軸方向とされた状態、かつ、長穴の延びる方向がX軸方向とされた状態となる基部51の姿勢である。したがって、第一姿勢では、ベッド11から見た際のレバー本体55の傾動する方向がコラム131の移動方向と対応しており、レバー本体55は基部51に対してX軸方向に傾動する。第一姿勢では、ベッド11から見た際のレバー本体55の回転する方向がテーブル14の回転方向と対応しており、レバー本体55は基部51に対してZ軸方向に延びる回転軸を中心として回転する。
第二姿勢とは、図4に示すように、中立位置でのレバー本体55のレバー軸線O5の延びる方向の延びる方向がX軸方向とされた状態、かつ、長穴の延びる方向がY軸方向とされた状態となる基部51の姿勢である。したがって、第二姿勢では、ベッド11から見た際のレバー本体55の傾動する方向が砥石ヘッド133の移動方向と対応しており、レバー本体55は基部51に対してY軸方向に傾動する。また、第二姿勢では、ベッド11から見た際のレバー本体55の回転する方向がサドル132の回転方向と対応しており、レバー本体55は基部51に対してX軸方向に延びる回転軸を中心として回転する。
第三姿勢とは、図5に示すように、中立位置でのレバー本体55のレバー軸線O5の延びる方向がY軸方向とされた状態、かつ、長穴の延びる方向がZ軸方向とされた状態となる基部51の姿勢である。したがって、第三姿勢では、ベッド11から見た際のレバー本体55の傾動する方向がサドル132の移動方向と対応しており、レバー本体55は基部51に対してZ軸方向に傾動する。また、第三姿勢では、ベッド11から見た際のレバー本体55の回転する方向が砥石回転軸134の回転方向と対応しており、レバー本体55は基部51に対してY軸方向に延びる回転軸を中心として回転する。
したがって、第一姿勢、第二姿勢、及び第三姿勢では、ベッド11から見た際に、レバー本体55の傾動する方向が互いに直交する異なる方向となっている。また、第一姿勢、第二姿勢、及び第三姿勢では、ベッド11から見た際に、レバー本体55の回転する際の中心軸であるレバー軸線O5の延びる方向が互いに直交する異なる方向となっている。
また、各基部姿勢では、レバー軸線O5の延びる方向が自身の回転軸の延びる方向と一致する機器の回転移動や、レバー本体55の傾動する方向が自身の移動方向と一致する機器の直進移動が操作対象となる。したがって、例えば、基部51が第一姿勢となっている場合、操作対象は、コラム131の直進移動またはテーブル14の回転移動となる。また、基部51が第二姿勢となっている場合、操作対象は、砥石ヘッド133の直進移動またはサドル132の回転となる。基部51が第三姿勢となっている場合、操作対象は、サドル132の直進移動または砥石回転軸134の回転移動となる。
姿勢選択スイッチ6は、作業者によって操作されることで、第一基部姿勢、第二基部姿勢、及び第三基部姿勢の三つの基部姿勢のいずれか一つの基部姿勢が選択可能とされている。選択された基部姿勢の情報が姿勢選択スイッチ6から制御部8に出力される。
制御部8は、作業者による操作盤3での操作に基づいて、研削装置本体10において操作対象物となる各種機器を移動させるコンピュータである。制御部8は、各基部姿勢でのベッド11から見たレバー部52の可動方向を操作方向として認識する。制御部8は、操作方向と同一方向にベッド11上で操作対象物を移動させる。その際、制御部8は、レバー本体55の可動量に応じた移動量だけ研削装置本体10の各種機器を移動させる。制御部8は、図6に示すように、入力部81と、判定部82と、出力部83とを有する。
入力部81には、操作盤3からの操作情報が入力される。操作情報とは、例えば、各基部姿勢でのレバー部52の可動方向である操作方向の情報、中立位置からのレバー本体55の可動量の情報、及び姿勢選択スイッチ6で選択された基部姿勢の情報である。また、入力部81には、検出した現状の基部姿勢の情報がセンサ部511から入力される。入力部81は、入力された操作情報を判定部82に出力する。
判定部82は、姿勢選択スイッチ6から入力された基部姿勢の情報に基づいて、選択された基部姿勢に切り替える指示を姿勢変更部53に送るように出力部83に信号を出力する。その後、判定部82は、センサ部511から基部姿勢の情報に基づいて、操作方向を判別して操作対象物の移動方向を判断する。具体的には、判定部82は、姿勢選択スイッチ6からの基部姿勢の情報と、センサ部511から基部姿勢の情報とが一致しているか否かを判定する。一致していると判定した場合、判定部82は、レバー本体55から入力された操作方向の情報に基づいて、各基部姿勢に対応する操作対象物をレバー本体55の可動方向と一致した方向に移動させるよう出力部83に信号を出力する。その際、判定部82は、レバー本体55の可動量に応じて(例えば、予めレバー本体55の傾動量や回転量に対応させて比率に対応させて)、操作対象物を移動させるように出力部83に信号を出力する。なお、一致していない場合には、操作盤本体4に設けられた不図示の表示装置等を介して作業者にその旨を報知するようにしてもよい。
出力部83は、判定部82からの信号に基づいて、選択された基部姿勢となるように姿勢変更部53に指示を送る。出力部83は、判定部82からの信号に基づいて、レバー本体55の可動方向と一致した方向に移動するよう操作対象物に指示を送る。その結果、各基部姿勢でのレバー部52の操作方向と同一の方向に操作対象物が移動される。
具体的には、第一姿勢でレバー本体55が基部51に対して傾動された場合、同一方向に直進移動するように出力部83からコラム131に指示が送られる。また、第一姿勢でレバー本体55が基部51に対して回転された場合、同一方向に回転移動するように出力部83からテーブル14に指示が送られる。
同様に、第二姿勢でレバー本体55が基部51に対して傾動された場合、同一方向に直進移動するように出力部83から砥石ヘッド133に指示が送られる。また、第二姿勢でレバー本体55が基部51に対して回転された場合、同一方向に回転移動するように出力部83からサドル132に指示が送られる。
第三姿勢でレバー本体55が基部51に対して傾動された場合、同一方向に直進移動するように出力部83からサドル132に指示が送られる。また、第三姿勢でレバー本体55が基部51に対して回転された場合、同一方向に回転移動するように出力部83から砥石回転軸134に指示が送られる。
上記のような第一実施形態の歯車研削装置1では、レバー部52の操作方向と、コラム131、サドル132、砥石ヘッド133、砥石回転軸134、及びテーブル14等の操作対象物のベッド11上の移動方向とが同一方向となっている。つまり、レバー本体55の動きと操作対象物の動きが相似なものとなる。したがって、作業者は、移動させたい操作対象物のベッド11上の移動方向に、レバー本体55を動かすだけで、操作対象物を操作することができる。そのため、複数のボタン等を操作するなど複雑な操作を行うことなく、作業者は直感的に操作対象物を移動させたい方向に移動させることができる。これにより、操作時のヒューマンエラーの発生を抑制することができる。
また、操作対象物となるコラム131、サドル132、砥石ヘッド133、砥石回転軸134、及びテーブル14の移動方向が互いに異なっている。そのため、ベッド11上で同じ方向に移動する機器がなくなり、作業者が操作するレバー本体55の可動方向と一致する方向に移動する機器がベッド11上で一つのみとなる。つまり、一つの方向にレバー部52を動かした場合に、動かすことができる操作対象物は、コラム131、サドル132、砥石ヘッド133、砥石回転軸134、及びテーブル14のうちの一つのみとなる。したがって、作業者が意図しない操作対象物を移動させてしまうことを抑制できる。これにより、操作時のヒューマンエラーの発生をより抑制することができる。
また、レバー本体55を動かす際の回転中心であるレバー軸線O5の延びる方向や傾動する方向がそれぞれ互いに直交するように、第一姿勢、第二姿勢、及び第三姿勢が定められている。したがって、第一姿勢、第二姿勢、及び第三姿勢では、レバー本体55の動きはそれぞれ違うものとなる。そのため、異なる基部姿勢において、同じ方向にレバー本体55を動かすことができない。その結果、作業者が誤って操作するべきでない基部姿勢でレバー部52を操作してしまうことを防ぐことができる。したがって、作業者が意図しない操作対象物を移動させてしまうことを抑制できる。これにより、操作時のヒューマンエラーの発生をより抑えることができる。
また、グリップ部56の上端面に方向指示部57が形成されていることで、基部51に対するレバー本体55の可動方向を作業者に容易に認識させることができる。
また、センサ部511で基部姿勢を検出され、現状の基部姿勢の情報が制御部8に出力されている。そのため、姿勢変更部53の動作不良等によって切り替えられた基部姿勢が実際の基部姿勢と異なっているなどの不具合を検出することができる。したがって、コラム131、サドル132、砥石ヘッド133、砥石回転軸134、及びテーブル14が意図しない方向に移動してしまうことを防ぐことができる。
《第二実施形態》
次に、本発明の歯車研削装置の第二実施形態について、図7から図9を参照して説明する。第二実施形態で示す歯車研削装置は、操作システムの一部が第一実施形態と異なっている。したがって、第二実施形態の説明においては、第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに重複説明を省略する。
図7に示すように、第二実施形態の操作システム20Aの操作部7は、基部71と、複数(本実施形態では三つ)のレバー部72と、を有している。
基部71は、操作盤本体4に対して固定されている。基部71は、球状に形成された基部本体711と、基部本体711を操作盤本体4に接続する基部接続部712とを有している。
基部本体711は、内部が空洞とされている。基部本体711には、中心を原点として直交する三方向に穴がそれぞれ形成されている。この孔に対して移動可能にレバー部72がはめ込まれている。
基部接続部712は、棒状をなしている。基部接続部712は、一方の端部が操作盤本体4に固定され、他方の端部が基部本体711に固定されている。
レバー部72としては、第一レバー部721と、第二レバー部722と、第三レバー部723とが設けられている。第一レバー部721、第二レバー部722、及び第三レバー部723は、配置が異なるだけでそれぞれ同じ構造を有している。そのため、本実施形態では、第三レバー部723を例に挙げて説明する。
第三レバー部723は、図7及び図8に示すように、レバー本体74と、レバー本体支持部75と、表示部79とを有している。
レバー本体74は、レバー軸線(中心軸)O7を中心とする円盤状をなしている。レバー本体74は、レバー軸線O7の延びる方向を向く一方の面が外側に向かって突出する凸曲面741とされている。レバー本体74は、基部本体711に形成された穴から凸曲面741が突出するように配置されている。レバー本体74では、凸曲面741から窪む凹部742がレバー軸線O7を挟んで離れて二つ形成されることで、レバー軸線O7が通る中央部分に作業者によって指で掴むことが可能なツマミ部743が構成されている。
レバー本体支持部75は、レバー軸線O7を基準として基部本体711に対してレバー本体74を傾動可能かつ回転可能に支持している。レバー本体支持部75は、ポテンショメータ76と、傾動支持部77と、傾動量検出部78と、を有している。
ポテンショメータ76は、基部本体711内に配置されている。ポテンショメータ76では、メータ本体部761と、メータ本体部761に対してメータ回転軸762が回転可能とされている。メータ本体部761内には、メータ回転軸762を元の位置に戻すように付勢する戻りばね(不図示)が設けられている。メータ回転軸762の回転中心とレバー軸線O7とが一致するように、メータ回転軸762にレバー本体74が固定されている。つまり、ポテンショメータ76は、レバー軸線O7を中心として回転可能にレバー本体74を支持している。これにより、レバー本体74は、基部本体711に対して一回転方向のみに回転可能とされている。
傾動支持部77は、ポテンショメータ76を基部本体711内で傾動可能に支持している。傾動支持部77は、支持部本体771と、ガイドレール772と、ガイドローラ773と、バネ部774と、を有している。
支持部本体771には、メータ本体部761が固定されている。支持部本体771には、ガイドローラ773が回転可能な状態で支持されている。
ガイドレール772は、円弧状をなす棒状部材である。ガイドレール772は、両端が支持部本体771の外部に突出するように、支持部本体771内を挿通した状態で配置されている。ガイドレール772は、基部本体711の内部に固定されている。
ガイドローラ773は、ガイドレール772を挟みこむことで支持部本体771を円弧上に移動可能としている。ガイドローラ773は、対になった状態でガイドレール772を挟み込むように配置されている。一対のガイドローラ773は、ガイドレール772の延びる方向に離れて二組配置されている。
バネ部774は、一つのガイドレール772に対して二つ設けられている。バネ部774は、ガイドレール772の端部と支持部本体771とを繋いでいる。両端に接続されたバネ部774によって、ガイドレール772に対して移動した支持部本体771は、元の位置に戻るように付勢されている。
このような構造の傾動支持部77により、レバー本体74は、ガイドレール772の延びる方向に移動可能とされている。レバー本体74は、傾動支持部77によって、基部本体711の内面に沿って傾動可能とされている。
傾動量検出部78は、ガイドレール772に対する支持部本体771の移動量を検出するセンサである。傾動量検出部78は、支持部本体771内に収容されている。傾動量検出部78は、例えば、ガイドレール772に形成された複数のスリット(不図示)を検出するフォトリフレクタである。
表示部79は、図7に示すように、レバー本体74の凸曲面741に設けられている。表示部79は、点灯することで、入力可能であることを第三レバー部723自体に表示している。
ここで、第一レバー部721では、中立位置でのレバー本体74のレバー軸線O7の延びる方向がZ軸方向であって、かつ、レバー本体74の傾動する方向がX軸方向とされている。したがって、第一レバー部721では、ベッド11から見た際のレバー本体74の傾動する方向がコラム131の移動方向と対応しており、レバー本体74は基部本体711に対してX軸方向に傾動する。また、第一レバー部721では、ベッド11から見た際のレバー本体74の回転する方向がテーブル14の回転方向と対応しており、レバー本体74は基部本体711に対してZ軸方向に延びる回転軸を中心として回転する。
第二レバー部722では、中立位置でのレバー本体74のレバー軸線O7の延びる方向がX軸方向であって、かつ、レバー本体74の傾動する方向がY軸方向とされている。したがって、第二レバー部722では、ベッド11から見た際のレバー本体74の傾動する方向が砥石ヘッド133の移動方向と対応しており、レバー本体74は基部本体711に対してY軸方向に傾動する。また、第二レバー部722では、ベッド11から見た際のレバー本体74の回転する方向がサドル132の回転方向と対応しており、レバー本体74は基部本体711に対してX軸方向に延びる回転軸を中心として回転する。
第三レバー部723では、中立位置でのレバー本体74のレバー軸線O7の延びる方向がY軸方向であって、かつ、レバー本体74の傾動する方向がZ軸方向とされている。したがって、第三レバー部723では、ベッド11から見た際のレバー本体74の傾動する方向がサドル132の移動方向と対応しており、レバー本体74は基部本体711に対してZ軸方向に傾動する。また、第三レバー部723では、ベッド11から見た際のレバー本体74の回転する方向が砥石回転軸134の回転方向と対応しており、レバー本体74は基部本体711に対してY軸方向とに延びる回転軸を中心として回転する。
したがって、第一レバー部721、第二レバー部722、及び第三レバー部723では、ベッド11から見た際に、レバー本体74の傾動する方向が互いに直交する異なる方向となっている。また、第一レバー部721、第二レバー部722、及び第三レバー部723では、ベッド11から見た際に、レバー本体74の回転する際の中心軸であるレバー軸線O7の延びる方向が互いに直交する異なる方向となっている。
また、第二実施施形態の操作盤3Aは、レバー選択スイッチ(切替部)6Aを有している。レバー選択スイッチ6Aは、作業者によって操作されることで、複数の操作モード間の何れか一つが選択可能とされている。ここで、一つの操作モードでは、複数のレバー部72の中の対応する一つのレバー部72の操作のみが制御部8Aを介して操作対象物に伝えられる。したがって、複数の操作モード同士では、入力可能な状態となるレバー部72が異なっている。このレバー選択スイッチ6Aでは、第一操作モード、第二操作モード、及び第三操作モードの三つの操作モードのいずれか一つの操作モードが選択される。選択された操作モードの情報がレバー選択スイッチ6Aから制御部8Aに出力される。
ここで、第一操作モードとは、第一レバー部721の操作情報のみが制御部8Aに入力される状態である。また、第二操作モードとは、第二レバー部722の操作情報のみが制御部8Aに入力される状態である。また、第三操作モードとは、第三レバー部723の操作情報のみが制御部8Aに入力される状態である。
また、各操作モードでは、各レバー部72におけるレバー軸線O7の延びる方向が自身の回転軸の延びる方向と一致する機器の回転移動や、各レバー本体74の傾動する方向が自身の移動方向と一致する機器の直進移動が操作対象となる。したがって、例えば、第一操作モードでは、操作対象は、コラム131の直進移動またはテーブル14の回転移動となる。また、第二操作モードでは、操作対象は、砥石ヘッド133の直進移動またはサドル132の回転となる。第三操作モードでは、操作対象は、サドル132の直進移動または砥石回転軸134の回転移動となる
図9に示すように、第二実施形態の入力部81Aには、操作盤3Aからの操作情報が入力される。操作情報とは、例えば、各レバー部72の可動方向である操作方向の情報、中立位置からのレバー本体74の可動量の情報、及びレバー選択スイッチ6Aで選択された操作モードの情報である。操作方向の情報や可動量の情報は、レバー本体支持部75のメータ本体部761や傾動量検出部78から入力される。入力部81Aは、入力された操作情報を判定部82Aに出力する。
第二実施形態の判定部82Aは、レバー選択スイッチ6Aから入力された操作モードの情報に基づいて、選択された操作モードに対応するレバー部72の表示部79に点灯する指示を送るように出力部83Aに信号を出力する。その後、判定部82Aは、レバー本体支持部75から入力された操作情報がレバー選択スイッチ6Aで選択された操作モードに対応するレバー部72からの操作情報であるか否かを判定する。選択された操作モードに対応するレバー部72からの操作情報であると判定された場合には、レバー本体支持部75から入力された操作方向の情報に基づいて、各レバー部72に対応する操作対象物をレバー本体74の可動方向と一致した方向に移動させるよう出力部83Aに信号を出力する。その際、判定部82Aは、レバー本体74の可動量に応じて、操作対象物を移動させるように出力部83Aに信号を出力する。また、判定部82Aは、選択された操作モードに対応するレバー部72からの操作情報ではないと判定された場合には、出力部83Aには信号を出力しない。
出力部83Aは、判定部82Aからの信号に基づいて、選択された操作モードに対応するレバー部72の表示部79に点灯するよう指示を送る。出力部83Aは、判定部82Aからの信号に基づいて、レバー本体74の可動方向と一致した方向に移動するよう操作対象物に指示を送る。その結果、各レバー部72の操作方向と同一の方向に操作対象物が移動される。
具体的には、第一操作モードが選択された状態で、第一レバー部721のレバー本体74が基部本体711に対して傾動された場合、同一方向に直進移動するように出力部83Aからコラム131に指示が送られる。また、第一操作モードが選択された状態で、第一レバー部721のレバー本体74が基部本体711に対して回転された場合、同一方向に回転移動するように出力部83Aからテーブル14に指示が送られる。
同様に、第二操作モードが選択された状態で、第二レバー部722のレバー本体74が基部本体711に対して傾動された場合、同一方向に直進移動するように出力部83Aから砥石ヘッド133に指示が送られる。また、第二操作モードが選択された状態で、第二レバー部722のレバー本体74が基部本体711に対して回転された場合、同一方向に回転移動するように出力部83Aからサドル132に指示が送られる。
第三操作モードが選択された状態で、第三レバー部723のレバー本体74が基部本体711に対して傾動された場合、同一方向に直進移動するように出力部83Aからサドル132に指示が送られる。また、第三操作モードが選択された状態で、第三レバー部723のレバー本体74が基部本体711に対して回転された場合、同一方向に回転移動するように出力部83Aから砥石回転軸134に指示が送られる。
上記のような第二実施形態の歯車研削装置1Aでは、第一実施形態と同様に、レバー部72の操作方向と、コラム131、サドル132、砥石ヘッド133、砥石回転軸134、及びテーブル14等の操作対象物のベッド11上の移動方向とが同一方向となっている。つまり、レバー本体74の動きと操作対象物の動きが相似なものとなる。したがって、作業者は、移動させたい操作対象物のベッド11上の移動方向に、レバー本体74を動かすだけで、作業者は直感的に操作対象物を操作することができる。
さらに、一つの操作モードでの操作情報のみが制御部8Aを介して操作対象物に伝えられる。そのため、選択した操作モード以外の他の操作モードに対応するレバー部72での操作は、操作対象物には反映されずに無効とされる。そのため、操作モードの選択を誤った状態でレバー部72を動かしても操作対象物は移動しないこととなる。つまり、作業者の意図しない操作対象物が移動してしまうことを防ぐことができる。これにより、操作時のヒューマンエラーの発生をより確実に抑制することができる。
また、第一実施形態と同様に、同一方向に動かされる操作対象物がないだけでなく、第一レバー部721、第二レバー部722、及び第三レバー部723の可動方向が異なっている。したがって、第一レバー部721、第二レバー部722、及び第三レバー部723では、レバー本体74の動きはそれぞれ違うものとなる。そのため、異なるレバー部72において、同じ方向にレバー本体74を動かすことができない。その結果、作業者が誤って操作するべきでないレバー部72を操作してしまうことを防ぐことができる。したがって、作業者が意図しない操作対象物を移動させてしまうことを抑制できる。これにより、操作時のヒューマンエラーの発生をより抑えることができる。
さらに、第一実施形態と異なり、操作盤本体4に対して基部71の姿勢を切り替える必要がない。つまり、姿勢を変更するためのアクチュエータを設ける必要がなくなる。これにより、コストを抑えて操作時のヒューマンエラーの発生を抑制することが可能な操作システム20Aを得ることができる。
また、表示部79が点灯することで、どのレバー部72が入力可能な状態とされているかを作業者は一目で確認することができる。したがって、作業者はより直感的に操作を行うことができる。
(実施形態の他の変形例)
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
なお、工作機械は、本実施形態のように歯車研削装置1、1Aに限定されるものではない。工作機械は、複数の移動部を有し、工具でワークWを加工する工作機械であればよい。たとえば、工作機械は、多軸制御のマシニングセンタであってもよい。
また、コラム131、サドル132、砥石ヘッド133、砥石回転軸134、及びテーブル14は、本実施形態で示した方向に移動することに限定されるものではない。コラム131、サドル132、砥石ヘッド133、砥石回転軸134、及びテーブル14は、ベッド11に対して一直進方向および一回転方向の少なくとも一方を移動方向として移動可能とされていればよい。
操作システム20、20Aは、コラム131、サドル132、砥石ヘッド133、テーブル14のみを移動させることが限定されるものではない。操作システム20、20Aは、ベッド11に対して移動可能な移動部の位置を調整することができればよい。例えば、操作システム20、20Aは、旋回リング151やテールストック153の位置を調整してもよい。
操作システム20、20Aでは、操作盤本体4が外装部12に固定されている構造に限定されるものではない。たとえば、操作盤本体4が外装部12に設けられておらず、操作システム20、20Aが研削装置本体10とは独立して離れた位置に設けられていてもよい。
レバー部52、72は、本実施形態のように、基部51、71に対して一直進方向及び一回転方向のみが可動方向とされた構造に限定されるものでない。レバー部52、72のベッド11から見た可動方向が、複数の操作対象物のうちのいずれかの移動方向と対応していればよく、例えば、レバー部52、72は、基部51、71に対して異なる複数の直進方向及び回転方向を可動方向とされていてもよい。
また、第一実施形態における姿勢変更部53は、操作盤本体4に対する基部51の姿勢を切り替える構造に限定されるものではなく、ベッド11に対する基部51の姿勢を切り替えることができればよい。さらに、姿勢変更部53は、第一実施形態のように、第一姿勢、第二姿勢、及び第三姿勢のすべてに切替可能な構成に限定されるものではない。姿勢変更部53は、第一姿勢、第二姿勢、及び第三姿勢のうちの二つ以上の基部姿勢に切り替え可能とされていればよい。
また、第一実施形態において、第一姿勢、第二姿勢、及び第三姿勢では、研削装置本体10から見た際に、レバー本体55の傾動する方向や回転する際の回転軸が互いに直交することに限られるものではない。第一姿勢、第二姿勢、及び第三姿勢では、研削装置本体10から見た際に、レバー本体55の傾動する方向や回転する際の回転軸が互いに交差する方向であればよい。
また、第一実施形態では、姿勢選択スイッチ6が設けられていなくてもよい。この場合、作業者によってレバー部52が倒されていずれかの基部姿勢となることで、制御部8に基部姿勢の情報を出力する装置が設けられていることが好ましい。
また、第二実施形態の操作部7は、レバー部72として、第一レバー部721、第二レバー部722、及び第三レバー部723のすべてを含む構造に限定されるものでない。一つの基部本体711に対して、第一レバー部721、第二レバー部722、及び第三レバー部723のうちの二つ以上が設けられていればよい。