JP6965875B2 - 正帯電性ブラックトナー - Google Patents
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Description
しかしながら、近年、高解像度、高画質に対する要求水準のさらなる高まりに伴い、重合トナーであっても、解決しなければならない問題点が指摘されている。
また、中抜け、カブリ等が起こりやすいという問題に対応するために、高帯電性の帯電制御剤を用いた場合には、カーボンブラックが凝集しやすくなってしまうため、カーボンブラックを増量しても画像濃度を向上することはできなかった。
前記着色樹脂粒子0.25gと、フェライトキャリア(球状、樹脂コートなし)9.75gとを、容積30cc(内寸底面直径30mm、高さ50mm)のガラス製容器に入れ、ローラ式撹拌機を用いて30分間、160回転/分の回転を与え、23℃、相対湿度50%の環境において摩擦帯電処理を行う。前記摩擦帯電処理後の着色樹脂粒子とフェライトキャリアの混合物0.2gをファラデーゲージに投入し、ブローオフ粉体帯電量測定装置を用いて、窒素ガス圧0.098MPaの条件で30秒間ブローオフして、前記着色樹脂粒子のブローオフ帯電量(μC/g)を測定する。
本発明では、前記帯電量測定方法で使用するフェライトキャリアが標準キャリアであるEF−80B2(商品名、パウダーテック社製、Mn−Mg−Sr−Fe系、球状、樹脂コートなし、粒径80μm)であり、前記ブローオフ粉体帯電量測定装置がMODEL TB200(商品名、東芝ケミカル株式会社製)であることが好ましい。
前記着色樹脂粒子0.25gと、フェライトキャリア(球状、樹脂コートなし)9.75gとを、容積30cc(内寸底面直径30mm、高さ50mm)のガラス製容器に入れ、ローラ式撹拌機を用いて30分間、160回転/分の回転を与え、23℃、相対湿度50%の環境において摩擦帯電処理を行う。前記摩擦帯電処理後の着色樹脂粒子とフェライトキャリアの混合物0.2gをファラデーゲージに投入し、ブローオフ粉体帯電量測定装置を用いて、窒素ガス圧0.098MPaの条件で30秒間ブローオフして、前記着色樹脂粒子のブローオフ帯電量(μC/g)を測定する。
本発明のトナーは、結着樹脂、カーボンブラック、及び帯電制御樹脂である4級アンモニウム塩基含有共重合体を含む着色樹脂粒子を含有する。
以下、本発明のトナーを構成する着色樹脂粒子の製造方法、当該製造方法により得られる着色樹脂粒子、当該着色樹脂粒子を用いた本発明のトナーの製造方法及び本発明のトナーについて、順に説明する。
一般に、着色樹脂粒子の製造方法は、粉砕法等の乾式法、並びに乳化重合凝集法、懸濁重合法、及び溶解懸濁法等の湿式法に大別され、画像再現性等の印字特性に優れたトナーが得られ易いことから湿式法が好ましい。湿式法の中でも、ミクロンオーダーで比較的小さい粒径分布を持つトナーを得やすいことから、乳化重合凝集法、及び懸濁重合法等の重合法が好ましく、重合法の中でも懸濁重合法がより好ましい。
(A−1)重合性単量体組成物の調製工程
まず、重合性単量体、カーボンブラック、及び帯電制御樹脂である4級アンモニウム塩基含有共重合体さらに必要に応じて添加される軟化剤、分子量調整剤、離型剤等のその他の添加物を混合し、重合性単量体組成物の調製を行う。重合性単量体組成物を調製する際の混合には、例えば、メディア式分散機を用いて行う。
本発明では、架橋性の重合性単量体を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.1〜5質量部、好ましくは0.3〜2質量部の割合で用いることが望ましい。
マクロモノマーは、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.03〜5質量部、さらに好ましくは0.05〜1質量部用いる。
該4級アンモニウム塩基含有共重合体は、ブラックトナーを得るのに充分な程度に無色である。4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体を共重合することにより、共重合体中に4級アンモニウム塩基を含有させ、それによって、該4級アンモニウム塩基含有共重合体を正帯電性の帯電制御樹脂として使用することができる。
前記4級アンモニウム塩基含有共重合体中の前記4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体の共重合割合は、0.1〜2.5質量%の範囲内であり、好ましくは0.5〜2.0質量%の範囲内であり、更に好ましくは1.0〜1.5質量%の範囲内である。
(a) ビニル系単量体と4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体とを共重合することによって得る方法。
(b) (a)で得られた共重合体をパラトルエンスルホン酸やメタンスルホン酸等と反応させることによって得る方法。
(c) ビニル系単量体とジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート単量体とを共重合して得られた共重合体におけるジアルキルアミノアルキル基の窒素原子を4級化剤で4級化することによって得る方法。
ビニル芳香族炭化水素単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、2−プロピルスチレン、3−プロピルスチレン、4−プロピルスチレン、2−イソプロピルスチレン、3−イソプロピルスチレン、4−イソプロピルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、2−メチル−α−メチルスチレン、3−メチル−α−メチルスチレン、4−メチル−α−メチルスチレン、2−エチル−α−メチルスチレン、3−エチル−α−メチルスチレン、4−エチル−α−メチルスチレン、2−プロピル−α−メチルスチレン、3−プロピル−α−メチルスチレン、4−プロピル−α−メチルスチレン、2−イソプロピル−α−メチルスチレン、3−イソプロピル−α−メチルスチレン、4−イソプロピル−α−メチルスチレン、2−クロロ−α−メチルスチレン、3−クロロ−α−メチルスチレン、4−クロロ−α−メチルスチレン、2,3−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、2,3−ジエチルスチレン、3,4−ジエチルスチレン、2,4−ジエチルスチレン、2,6−ジエチルスチレン、2−メチル−3−エチルスチレン、2−メチル−4−エチルスチレン、2−クロロ−4−メチルスチレン、2,3−ジメチル−α−メチルスチレン、3,4−ジメチル−α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,6−ジメチル−α−メチルスチレン、2,3−ジエチル−α−メチルスチレン、3,4−ジエチル−α−メチルスチレン、2,4−ジエチル−α−メチルスチレン、2,6−ジエチル−α−メチルスチレン、2−エチル−3−メチル−α−メチルスチレン、2−メチル−4−プロピル−α−メチルスチレン、2−クロロ−4−エチル−α−メチルスチレン等が挙げられる。これらの単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
4級アンモニウム塩基含有共重合体の質量平均分子量(Mw)が、上記範囲にある場合には、4級アンモニウム塩基含有共重合体を、重合性単量体組成物中に好適に分散させることができ、経時的に安定した帯電量が付与されたトナーが得られる。4級アンモニウム塩基含有共重合体の質量平均分子量(Mw)が、8,000未満である場合には、保存性や印字耐久性が低下するおそれがある。一方、4級アンモニウム塩基含有共重合体の質量平均分子量(Mw)が28,000を超える場合には、定着性が低下するおそれがある。
帯電制御樹脂の添加量が上記範囲にある場合には、本発明のトナーと構成する着色樹脂粒子において、帯電制御樹脂を構成する成分である4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体単位の含有量を、結着樹脂100質量部に対して、0.034〜0.050質量部の範囲内とすることができるため、得られる着色樹脂粒子の帯電量が制御し易くなる。
R1−COO−R2 一般式(1)
(上記一般式(1)中、R1は炭素数15〜23の直鎖アルキル基を示し、R2は炭素数16〜24の直鎖アルキル基を示す。)
R1とR2は同じ基であってもよいし、互いに異なる基であってもよい。
軟化剤の添加量は、重合性単量体100質量部に対して、10〜25質量部であるとより好ましく、12〜22質量部であることがさらに好ましい。
軟化剤の融点は、例えば、示差走査熱量分析機(商品名:DSC−6220、セイコーインスツル社製)等を用いて、特定の温度範囲において100℃/分で昇温する条件で測定を行い、得られたDSC曲線のピークのトップを融点(TmD)とすることができる。
モノエステル化合物の製造方法の典型例は以下の通りである。なお、本発明に用いられるモノエステル化合物の製造方法は、以下の典型例に限定されない。
まず、反応容器に、原料となるアルコールとカルボン酸を加える。アルコールとカルボン酸のモル比は、目的とする軟化剤の化学構造に合わせて適宜調整する。すなわち、モノエステル化合物の場合は、アルコール:カルボン酸=1:1のモル比となるようにアルコールとカルボン酸を混合する。なお、脱水縮合反応における反応性等を考慮して、アルコールとカルボン酸のうちいずれか一方を、上記比より若干過剰に加えてもよい。
次に、混合物を適宜加熱し、脱水縮合反応を行う。脱水縮合反応により得られるエステル化粗生成物に対し、塩基性水溶液、及び適宜有機溶媒を加え、未反応のアルコール及びカルボン酸を脱プロトン化し水相に分離する。あとは、適宜水洗、溶媒留去、及びろ過を行うことにより、所望のモノエステル化合物が得られる。
分子量調整剤としては、一般にトナー用の分子量調整剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、N,N’−ジオクタデシル−N,N’−ジイソプロピルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;等が挙げられる。これらの分子量調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、分子量調整剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部の割合で用いることが望ましい。
離型剤としては、一般にトナー用の離型剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、及び低分子量ポリブチレン等のポリオレフィンワックス;キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、及びホホバ等の天然ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、及びペトロラタム等の石油ワックス;モンタン、セレシン、及びオゾケライト等の鉱物ワックス;フィッシャートロプシュワックス等の合成ワックス;ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、及びペンタエリスリトールテトララウレート等のペンタエリスリトールエステル、並びに、ジペンタエリスリトールヘキサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート、及びジペンタエリスリトールヘキサラウレート等のジペンタエリスリトールエステル等の多価アルコールエステル化合物;等が挙げられる。これらの離型剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、離型剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常0.1〜30質量部、好ましくは1〜20質量部の割合で用いることが望ましい。この量が少ないと十分な離型性が得られないことがあり、逆に多いとトナーの保存性が低下することがある。
上記(A−1)重合性単量体組成物の調製工程を経て得られる重合性単量体組成物を、水系分散媒体中に懸濁させて懸濁液(重合性単量体組成物分散液)を得る。ここで、懸濁とは、水系分散媒体中で重合性単量体組成物の液滴を形成させることを意味する。液滴形成のための分散処理は、例えば、(インライン型)乳化分散機(商品名:マイルダー、大平洋機工社製)、高速乳化分散機(商品名:T.K.ホモミクサー MARK II型、プライミクス社製)等の強攪拌が可能な装置を用いて行うことができる。
上記(A−2)懸濁液を得る工程(液滴形成工程)により得られた、所望の懸濁液(重合性単量体組成物の液滴を含有する水系分散媒体)を、加熱し、重合を開始し、着色樹脂粒子の水分散液が得られる。
重合性単量体組成物の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
着色樹脂粒子が分散している水系分散媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)と重合開始剤を添加し、重合することでコアシェル型の着色樹脂粒子を得ることができる。
上記(A−3)重合工程後に得られる着色樹脂粒子の水分散液は、常法に従い、洗浄、濾過、脱水、及び乾燥の一連の操作を、必要に応じて数回繰り返し行われることが好ましい。
粉砕法を採用して着色樹脂粒子を製造する場合、以下のようなプロセスにより行われる。
まず、結着樹脂、カーボンブラック、及び帯電制御樹脂である4級アンモニウム塩基含有共重合体、さらに必要に応じて添加される軟化剤、離型剤等のその他の添加物を混合機、例えば、ボールミル、V型混合機、FMミキサー(:商品名、日本コークス工業社製)、高速ディゾルバ、インターナルミキサー等を用いて混合する。次に、上記により得られた混合物を、加圧ニーダー、二軸押出混練機、ローラ等を用いて加熱しながら混練する。得られた混練物を、ハンマーミル、カッターミル、ローラミル等の粉砕機を用いて、粗粉砕する。更に、ジェットミル、高速回転式粉砕機等の粉砕機を用いて微粉砕して粉砕法による着色樹脂粒子を得る。
上述の(A)懸濁重合法、又は(B)粉砕法等の製造方法により、本発明のトナーに含有される着色樹脂粒子が得られる。
以下、トナーを構成する着色樹脂粒子について述べる。なお、以下で述べる着色樹脂粒子は、コアシェル型のものとそうでないもの両方を含む。
前記カーボンブラック含有量は、前記結着樹脂100質量部に対して10〜15質量部の範囲内であり、好ましくは11〜14質量部、より好ましくは12〜13質量部である。
[帯電量測定方法]
着色樹脂粒子0.25gと、フェライトキャリア(球状、樹脂コートなし)9.75gとを、容積30cc(内寸底面直径30mm、高さ50mm)のガラス製容器に入れ、ローラ式撹拌機を用いて30分間、160回転/分の回転を与え、23℃、相対湿度50%の環境において摩擦帯電処理を行う。前記摩擦帯電処理後の着色樹脂粒子とフェライトキャリアの混合物0.2gをファラデーゲージに投入し、ブローオフ粉体帯電量測定装置を用いて、窒素ガス圧0.098MPaの条件で30秒間ブローオフして、着色樹脂粒子のブローオフ帯電量(μC/g)を測定する。
式(1)
着色樹脂粒子のブローオフ帯電量(μC/g)=混合物のブローオフ帯電量(μC)/混合物の重量(0.2g)×混合物中の着色樹脂粒子含有割合(2.5%)
また、前記ブローオフ粉体帯電量測定装置はMODEL TB200(商品名、東芝ケミカル株式会社製)であることが好ましい。
上記着色樹脂粒子の平均円形度が0.96未満の場合、印字の細線再現性が悪くなるおそれがある。
また、前記帯電制御樹脂を構成する成分である4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体単位の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.034〜0.050質量部、さらに好ましくは0.037〜0.040質量部であることが望ましい。
帯電制御樹脂及び4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体単位の含有量が上記範囲にある場合には、着色樹脂粒子の帯電量を上記範囲に制御し易くなる。
帯電制御樹脂の含有量又は前記4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体単位の含有量が、上記範囲未満である場合には、着色樹脂粒子に付与される帯電量が不十分となり、トナーの印字性能に悪影響を及ぼすおそれがある。一方、帯電制御樹脂の含有量又は前記4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体単位の含有量が、上記範囲を超える場合には、帯電量が高くなり過ぎて、印字性能が低下するおそれがある。
本発明においては、上記着色樹脂粒子を、外添剤と共に混合攪拌して外添処理を行うことにより、着色樹脂粒子の表面に、外添剤を付着させて1成分トナー(現像剤)とすることが好ましい。なお、1成分トナーは、さらにキャリア粒子と共に混合攪拌して2成分現像剤としてもよい。
なお、これらの外添剤は、それぞれ単独で用いることもできるが、2種以上を併用して用いることができる。中でも粒径の異なる2種以上のシリカ微粒子を併用することが好ましい。
本発明のトナーは、カブリの発生が少なく紙面上のトナー量が少ない条件でも印字面で鮮明な黒色を発現することができる正帯電性ブラックトナーである。
本実施例及び比較例において行った試験方法は以下のとおりである。
[製造例1]
1−1.重合性単量体組成物の調製
スチレン75部及びn−ブチルアクリレート25部、ポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(商品名:AA6、東亜合成化学工業社製、Tg=94℃)0.25部、ジビニルベンゼン0.7部、ブラック着色剤としてカーボンブラック10部を、メディア型乳化分散機(商品名:ダイノミル、シンマルエンタープライゼス社製)を用いて分散させて、重合性単量体混合物を得た。湿式粉砕により得られた混合物に、帯電制御樹脂として4級アンモニウム塩基含有アクリレート単量体単位の共重合割合が1質量%であるスチレンアクリル系ポリマー(商品名:アクリベース FCA−676P、藤倉化成社製)3.7部、エステルワックス(商品名:WE−6、日油社製)20部及びテトラエチルチウラムジスルフィド1.0部を添加し、混合、溶解して、重合性単量体組成物を調製した。
イオン交換水280部に塩化マグネシウム10.4部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム7.3部を溶解した水溶液を、攪拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド分散液を調製した。
上記水酸化マグネシウムコロイド分散液(水酸化マグネシウムコロイド量5.3部)に、上記重合性単量体組成物を投入し、さらに攪拌して、そこへ重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート6部を添加した。重合開始剤を添加した分散液を、インライン型乳化分散機(商品名:マイルダー MDN303V、大平洋機工社製)により、回転数15,000rpmにて分散を行い、重合性単量体組成物の液滴を形成した。
重合性単量体組成物の液滴を含有する分散液を、反応器に入れ、90℃に昇温して重合反応を行った。重合転化率がほぼ100%に達した後、シェル用重合性単量体としてメチルメタクリレート及び、シェル用重合開始剤として2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ハイドロキシエチル)−プロピオンアミド〕(商品名:VA−086、和光純薬社製)0.1部を反応器に添加した。次いで、95℃で4時間維持して、重合を更に継続した後、水冷して反応を停止し、コアシェル型着色樹脂粒子の水分散液を得た。
着色樹脂粒子の水分散液を攪拌しながら、pHが4.5以下となるまで硫酸を添加して酸洗浄を行った後(25℃、10分間)、濾別した着色樹脂粒子を、水で洗浄し、洗浄水をろ過した。この際の濾液の電気伝導度は、20μS/cmであった。さらに洗浄・ろ過工程後の着色樹脂粒子を脱水・乾燥し、乾燥した着色樹脂粒子(1)(円形度 0.986、Dv=5.8μm、Dv/Dn=1.14)を得た。
製造例1において、カーボンブラック添加量を11部に変更したこと以外は、着色樹脂粒子(1)と同様に、着色樹脂粒子(2)を得た。
製造例1において、カーボンブラック添加量を12部に変更したこと以外は、着色樹脂粒子(1)と同様に、着色樹脂粒子(3)を得た。
製造例1において、カーボンブラック添加量を13部に変更したこと以外は、着色樹脂粒子(1)と同様に、着色樹脂粒子(4)を得た。
製造例1において、カーボンブラック添加量を12部としたこと、及び、FCA−676P添加量を3.5部に変更したこと以外は、着色樹脂粒子(1)と同様に、着色樹脂粒子(5)を得た。
製造例1において、カーボンブラック添加量を12部としたこと、及び、FCA−676P添加量を4.7部に変更したこと以外は、着色樹脂粒子(1)と同様に、着色樹脂粒子(6)を得た。
製造例1において、帯電制御樹脂として4級アンモニウム塩基含有アクリレート単量体単位の共重合割合が2質量%であるスチレンアクリル系ポリマー(商品名:アクリベース FCA−592P、藤倉化成社製)を1.7部使用したこと以外は、着色樹脂粒子(1)と同様に、着色樹脂粒子(7)を得た。
製造例1において、カーボンブラック添加量を12部に変更したこと、及び、帯電制御樹脂としてFCA−592Pを1.7部使用したこと以外は、着色樹脂粒子(1)と同様に、着色樹脂粒子(8)を得た。
製造例1において、カーボンブラック添加量を8部に変更したこと、及び、帯電制御樹脂としてFCA−592Pを1.7部使用したこと以外は、着色樹脂粒子(1)と同様に、着色樹脂粒子(9)を得た。
製造例1において、カーボンブラック添加量を8部に変更したこと、及び、帯電制御樹脂として4級アンモニウム塩基含有アクリレート単量体単位の共重合割合が8質量%であるスチレンアクリル系ポリマー(商品名:アクリベース FCA−161P、藤倉化成社製)を0.4部使用したこと以外は、着色樹脂粒子(1)と同様に、着色樹脂粒子(10)を得た。
製造例1において、帯電制御樹脂としてFCA−161Pを0.4部使用したこと以外は、着色樹脂粒子(1)と同様に、着色樹脂粒子(11)を得た。
製造例1において、カーボンブラック添加量を12部に変更したこと、及び、帯電制御樹脂としてFCA−161Pを0.4部使用したこと以外は、着色樹脂粒子(1)と同様に、着色樹脂粒子(12)を得た。
製造例1において、カーボンブラック添加量を13部に変更したこと、及び、帯電制御樹脂としてFCA−161Pを0.4部使用したこと以外は、着色樹脂粒子(1)と同様に、着色樹脂粒子(13)を得た。
製造例1において、カーボンブラック添加量を12部に変更したこと、及び、帯電制御樹脂としてFCA−676Pを3.0部使用したこと以外は、着色樹脂粒子(1)と同様に、着色樹脂粒子(14)を得た。
製造例1において、カーボンブラック添加量を12部に変更したこと、及び、帯電制御樹脂としてFCA−676Pを6.0部使用したこと以外は、着色樹脂粒子(1)と同様に、着色樹脂粒子(15)を得た。
なお、着色樹脂粒子(2)乃至(15)の円形度、Dv、及び、Dv/Dnは着色樹脂粒子(1)と概ね同じであった。
[実施例1]
着色樹脂粒子(1)100部に、疎水化処理した平均粒径7nmのシリカ微粒子0.6部と、疎水化処理した平均粒径35nmのシリカ微粒子1部とを添加し、高速攪拌機(商品名:FMミキサー、日本コークス社製)を用いて混合することによって、実施例1のブラックトナーを得た。
実施例2において着色樹脂粒子(2)を、実施例3において着色樹脂粒子(3)を、実施例4において着色樹脂粒子(4)を、参考例Aにおいて着色樹脂粒子(5)を、参考例Bにおいて着色樹脂粒子(6)を、参考例Cにおいて着色樹脂粒子(7)、参考例Dにおいて着色樹脂粒子(8)をそれぞれ使用したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2〜4、参考例A〜Dのトナーを得た。
比較例1において着色樹脂粒子(9)を、比較例2において着色樹脂粒子(10)を、比較例3において着色樹脂粒子(11)を、比較例4において着色樹脂粒子(12)を、比較例5において着色樹脂粒子(13)を、比較例6において着色樹脂粒子(14)を、比較例7において着色樹脂粒子(15)をそれぞれ使用したこと以外は、実施例1と同様にしての比較例1〜7のトナーを得た。
上記実施例1〜実施例4、参考例A〜参考例D、及び比較例1〜比較例7のトナーに使用した着色樹脂粒子(1)〜(15)について、特性を調べた。詳細は以下の通りである。
着色樹脂粒子の体積平均粒径Dvは粒径測定機(商品名:マルチサイザー、ベックマン・コールター社製)により測定した。このマルチサイザーによる測定は、アパーチャー径:100μm、分散媒体:アイソトンII(:商品名、ベックマン・コールター社製)、濃度10%、測定粒子個数:100,000個の条件で行った。
具体的には、着色樹脂粒子サンプル0.2gをビーカーに取り、その中に分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸水溶液(商品名:ドライウェル、富士フィルム社製)を加えた。そこへ、更に分散媒体を2mL加え、着色樹脂粒子を湿潤させた後、分散媒体を10mL加え、超音波分散器で1分間分散させてから上記の粒径測定器による測定を行った。
着色樹脂粒子0.25gと、標準キャリアであるフェライトキャリア(商品名:EF−80B2、パウダーテック社製、Mn−Mg−Sr−Fe系、球状、樹脂コートなし、粒径80μm)9.75gとを、容積30cc(内寸底面直径30mm、高さ50mm)のガラス製容器に入れ、ローラ式撹拌機を用いて30分間、160回転/分の回転を与え、23℃、相対湿度50%の環境において摩擦帯電処理を行った。前記摩擦帯電処理後の着色樹脂粒子とフェライトキャリアの混合物0.2gをファラデーゲージに投入し、ブローオフ粉体帯電量測定装置(商品名:MODEL TB200、東芝ケミカル株式会社製)を用いて、窒素ガス圧0.098MPaの条件で30秒間ブローオフして、前記混合物のブローオフ帯電量(μC)を測定した。着色樹脂粒子のブローオフ帯電量(μC/g)は、以下の式(1)によって算出した。
式(1)
着色樹脂粒子のブローオフ帯電量(μC/g)=混合物のブローオフ帯電量(μC)/混合物の重量(0.2g)×混合物中の着色樹脂粒子含有割合(2.5%)
着色樹脂粒子の体積固有抵抗値(logΩ/cm)は、着色樹脂粒子約3gを直径5cmの錠剤成型器に入れ、約100kgの荷重を1分間かけて試験片を作製した。当該試験片を用いて、誘電体損測定器(機種名:TRS−10型、安藤電気社製)による測定を、温度30℃、周波数1kHzの条件下で測定した実施することにより、着色粒子の体積固有抵抗値を求めた。
上記実施例1〜実施例4、参考例A〜参考例D、及び比較例1〜比較例7のトナーについて、印字評価を行った。詳細は以下の通りである。
画像濃度測定には、市販の非磁性一成分現像方式のプリンターを用い、現像装置のトナーカートリッジに、トナーを充填した後、印字用紙をセットした。
常温常湿(N/N)環境下(温度:23℃、湿度:50%)で、24時間放置した後、同環境下にて、紙面上のトナー載り量が0.3mg/cm2となる一点に固定して、5%印字濃度で初期から連続印刷を行った。
10枚目の用紙に黒ベタ印字(印字濃度100%)を行い、反射式画像濃度計(商品名:RD918、マクベス社製)を用いて黒ベタ画像の印字濃度を測定した。
市販の非磁性一成分現像方式プリンター(印刷速度:28枚/分)に印字用紙をセットし、現像装置にトナーを入れ、温度35℃、湿度80%RHの高温高湿(H/H)環境下及び温度10℃/相対湿度20%の低温低湿(L/L)環境下でそれぞれ24時間放置した後、同環境下にて、5%印字濃度で3枚連続印字を行った。
その後、各環境下において、5%濃度で初期から連続印字を行った。連続印字10,000枚目の後に白ベタ印字を行い、そして印字を途中で停止し、現像後の感光体上にある非画像部のトナーを粘着テープで剥ぎ取り、それを新しい印字用紙に貼り付けた。前述の反射式画像濃度計を用いて、その色調を測定し、それぞれLab空間の座標として表し、色差ΔEを算出して、カブリ値とした。この値の小さい方が、カブリが少ないことを示す。
実施例1〜実施例4、参考例A〜参考例D及び比較例1〜比較例7の正帯電性ブラックトナーの評価結果を表1に示す。なお、下記表1中、「共重合割合(%)」とは、4級アンモニウム塩基含有共重合体である3種類の帯電制御樹脂(FCA−676P、FCA−592P、FCA161P)における4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体の各共重合割合(質量%)を意味する。また、下記表1中、帯電制御樹脂含有量、4級アンモニウム塩基含有アクリレート単量体単位含有量、カーボンブラック含有量とは、結着樹脂100質量部に対する、各成分の含有量(質量部)を意味する。また、下記表1中、「初期カブリ」の「HH」とは、上記カブリ試験における高温高湿(H/H)環境下でのカブリ値を意味し、「初期カブリ」の「LL」とは、上記カブリ試験における低温低湿(L/L)環境下でのカブリ値を意味する。
まず、比較例1のトナーについて検討する。表1より、比較例1のトナーは、4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体単位の共重合割合(以下、単に共重合割合と称することがある。)が1質量%の帯電制御樹脂を使用し、カーボンブラックを8部含むトナーである。
表1より、比較例1のトナーは、LL初期カブリが0.4、HH初期カブリが0.5と低くカブリの発生は少ないが、反射IDが1.24と画像濃度が低かった。
以上より、共重合割合が2質量%の帯電制御樹脂を使用し、及びカーボンブラックを8部含む比較例1のトナーは、紙面上のトナー載り量が0.3mg/cm2と少ない条件では、鮮明な黒色を発現できないことが分かる。
表1より、比較例2〜5のトナーは、LL初期カブリが0.5以下、HH初期カブリが1.0以下と低く、カブリの発生は少ないが、カーボンブラックの含有量の大小にかかわらず、反射IDが1.24以下と画像濃度が低かった。
以上より、共重合割合が8質量%と高い帯電制御樹脂を使用する比較例2〜5のトナーでは、カーボンブラックの含有量を8部から13部へ増量しても、紙面上のトナー載り量が0.3mg/cm2と少ない条件では、画像濃度を向上することはできなかった。
表1に示すとおり、着色樹脂粒子(10)−(13)では、カーボンブラックの含有量を8部から13部へ増量するに従い、着色樹脂粒子の電気抵抗が10.75Ω・cmから10.22Ω・cmと低下した。上述のようにカーボンブラックを増量しても画像濃度が向上しない理由は、共重合割合が8質量%と高い帯電制御樹脂着色を使用した場合には、樹脂粒子内でカーボンブラックが凝集してしまうためであると考えられる。
表1より、比較例6のトナーは、反射IDが1.38と画像濃度は高く、LL初期カブリも0.2と低いが、HH初期カブリが3.5と非常に高かった。
以上より、比較例6のトナーでは、トナーを構成する着色樹脂粒子のブローオフ帯電量が−2μC/gと低すぎるため、高温高湿環境下における初期カブリが発生しやすいことが分かる。
表1より、比較例7のトナーは、反射IDが1.39と画像濃度は高く、HH初期カブリも0.1と低いが、LL初期カブリが2.7と非常に高かった。
以上より、比較例7のトナーでは、トナーを構成する着色樹脂粒子のブローオフ帯電量が82μC/gと高すぎるため、低温低湿環境下における初期カブリが発生しやすいことが分かる。
表1より、実施例1〜4、参考例A〜参考例Dのトナーは、反射IDが1.31以上と画像濃度は高く、LL初期カブリが1.7以下、HH初期カブリが1.7以下と低かった。
したがって、4級アンモニウム塩基含有共重合体における前記4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体単位の共重合割合が1〜2質量%の範囲であり、前記カーボンブラック含有量が、結着樹脂100質量部に対して10〜13質量部の範囲であり、着色樹脂粒子のブローオフ帯電量が7〜60μC/gの範囲である実施例1〜4、参考例A〜参考例Dのトナーは、カブリが抑制され且つ紙面上のトナー量が少ない条件でも印字面で鮮明な黒色を発現する正帯電性ブラックトナーであることが分かる。
Claims (3)
- 結着樹脂、カーボンブラック、及び帯電制御樹脂である4級アンモニウム塩基含有共重合体を含む着色樹脂粒子を含有する正帯電性ブラックトナーであって、
前記4級アンモニウム塩基含有共重合体は、4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体単位を含むスチレンアクリル系ポリマーであり、
前記4級アンモニウム塩基含有共重合体における前記4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体の共重合割合が0.1〜2.5質量%の範囲であり、
前記4級アンモニウム塩基含有共重合体のガラス転移温度Tgは70〜80℃であり、
前記カーボンブラック含有量が、前記結着樹脂100質量部に対し10〜15質量部の範囲であり、
下記帯電量測定方法で測定される前記着色樹脂粒子のブローオフ帯電量が30〜47μC/gの範囲であること、を特徴とする正帯電性ブラックトナー。
[帯電量測定方法]
前記着色樹脂粒子0.25gと、フェライトキャリア(球状、樹脂コートなし)9.75gとを、容積30cc(内寸底面直径30mm、高さ50mm)のガラス製容器に入れ、ローラ式撹拌機を用いて30分間、160回転/分の回転を与え、23℃、相対湿度50%の環境において摩擦帯電処理を行う。前記摩擦帯電処理後の着色樹脂粒子とフェライトキャリアの混合物0.2gをファラデーゲージに投入し、ブローオフ粉体帯電量測定装置を用いて、窒素ガス圧0.098MPaの条件で30秒間ブローオフして、前記着色樹脂粒子のブローオフ帯電量(μC/g)を測定する。 - 重合トナーであることを特徴とする請求項1に記載の正帯電性ブラックトナー。
- 前記帯電量測定方法で使用する前記フェライトキャリアが標準キャリアであるEF−80B2(商品名、パウダーテック社製、Mn−Mg−Sr−Fe系、球状、樹脂コートなし、粒径80μm)であり、前記ブローオフ粉体帯電量測定装置がMODEL TB200(商品名、東芝ケミカル株式会社製)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の正帯電性ブラックトナー。
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