JP6957615B2 - 糖脂質による細胞凍結保存性の向上 - Google Patents

糖脂質による細胞凍結保存性の向上 Download PDF

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Description

関連出願への相互参照
この非仮出願は、2016年7月22日に出願された米国仮出願第62/365,512号の利益を主張する。先の出願の開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
本開示は、低温での細胞、組織および臓器保存(例えば、凍結保存)の分野に関する。より具体的には、本開示は糖脂質を用いた細胞材料の処理方法、例えば、凍結耐性/凍結回避生物および/または植物から単離された不凍糖脂質(AFGL)などに関し、急速冷却のような最適以下の冷却条件下であっても、保存後の細胞生存率が向上した細胞集団を提供する。
凍結保存への従来のアプローチは、一般に、クライオバイアル中の懸濁液中の細胞への10%DMSOの添加および誘導核形成を伴うまたは伴わない遅い冷却速度、および‐80℃または‐135℃以下での貯蔵を含む。生存可能な細胞が解凍時に存在さえすれば、細胞収量はしばしば従来のアプローチにおける二次的考慮事項である。しかしながら、保存が困難な細胞型および組織、ならびに細胞治療用途などの細胞収量が重要である状況がある。細胞の生存率および収量を(最適以下の冷却条件下でさえ)改善し、そして典型的に保存するのが困難である細胞型の保存を可能にする代替のプロトコルおよび解決策が必要とされている。
自然界は、生物/植物が極端な温度に耐える/生き残ることを可能にするためのさまざまな代替戦略を開発した。どのようにして生物/植物が極端な温度に耐えられるかの研究は、それらが凍結を避けるか、またはより暖かい温度が利用可能になるまで凍結に耐えるのを助ける様々な不凍化合物を作り出すことを明らかにした。例えば、魚や昆虫における不凍タンパク質の発見は、代替の保存戦略を探るための道を提供した。
これに関して、不凍タンパク質の存在は溶液の凝固点を低下させ、そしてまた氷の形状および形成を変化させることが見出された。例えば、不凍ペプチド(AFP)は氷晶の表面に吸着し、成長部位への水分子の付加を妨げ、結晶が成長する温度(ヒステリシス凝固点と呼ばれる)を13℃も低下させる。AFPはまた、初期の氷晶に結合することができ、それによって氷核形成を阻害し、そして氷点よりかなり下で広範囲の過冷却を可能にする。それらはまた、氷構造を改変し、再結晶化を抑制し、そして溶液の流動特性を改変し、それにより氷点下環境における生物の生存を延長することができると考えられている。このようにして、潜在的により少ない凍結保護物質(抗凍結剤)を使用して細胞を保存し、潜在的な細胞毒性を減少させることができる。
不凍ペプチド(AFP)は知られており、そして広く研究されてきたが、種々の不凍糖脂質(AFGL)も、昆虫(凍結耐性昆虫および凍結回避昆虫の両方)および凍結耐性植物を含む、いくつかの生物/植物において見出されている。しかしながら、本開示の方法論の前には、哺乳動物細胞を保存するという文脈におけるそのようなより大きな分子の使用は幾分制限されていた(一部には、哺乳動物細胞膜はより大きな分子に対して不透過性であると考えられ(Castro, A.G., Lapinski, J., Tunnacliffe, A. Nature Biotechnology 18:473, 2000)、そして分子が生存を増強するのに効果的であるためには、そのような分子は細胞膜の内側と外側の両方に存在する必要があるとこれまで信じられていた)。そのようなAFGLの単離は、様々な細胞および組織タイプのための保存方法を開発/強化する機会を提供する。
この概要は、詳細な説明において以下にさらに説明される概念の選択を紹介するために提供される。この概要は、特許請求の範囲に記載されている主題の重要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図しておらず、特許請求されている主題の範囲を限定する助けとして使用されることも意図していない。
1つ以上の生物から単離されたAFGLなどの糖脂質の存在下での様々な条件下での細胞材料のインキュベーションは、例えば急速冷却などの最適以下の冷却条件下を含む様々な条件下での細胞生存の増加をもたらすことが分かった。
したがって、本出願は、急速冷却などの最適以下の冷却条件下であっても、これらの細胞材料を凍結保存手順に耐える能力を向上させる、AFGLなどの糖脂質による細胞材料の処理方法を提供する。
図1は、ケラチノサイトをRPMI中の10%DMSO中でバイアル中または培養プレート中で凍結保存した場合の凍結保存後の細胞生存率に関して得られたデータの説明図である。 図2は、凍結保存する前に細胞を1M DMSO中のAFGLに曝露した、DMSO中のTipula trivittat(ガガンボの一種)AFGLの段階希釈物を用いた凍結保存後の細胞生存に関して得られたデータの図である。 図3は、凍結保存後のA10細胞の細胞生存率および増殖に関して得られたデータの説明図であり、ここでA10細胞を20,000細胞/ウェルで播種し、次いで1.0M DMSO+/−Tipula trivittatAFGL中で凍結保存した。 図4は、4つの昆虫および1つの植物種から得られたAFGLを含むDMSO中での凍結保存後の細胞生存に関して得られたデータの説明図であり、細胞は凍結保存前に1M DMSO中の10ppmのAFGLに曝露された。
用語と定義
以下の説明において、本開示の理解を提供するために多数の詳細が述べられる。しかしながら、本開示の方法はこれらの詳細なしに実施され得ること、および記載された実施形態からの多数の変形または修正が可能であり得ることが当業者によって理解され得る。
最初に、そのような実際の実施形態の開発において、システム関連の制約やビジネス関連の制約への準拠など、開発者固有の目標を達成するために、実装固有の多数の決定を下すことができ、これは実装ごとに異なることに留意する。さらに、そのような開発努力は複雑で時間がかかる可能性があるが、それにもかかわらず、本開示の恩恵を受ける当業者にとっては日常的な仕事であることが理解されよう。さらに、本明細書で使用/開示されている組成物はまた、列挙したもの以外のいくつかの成分を含むことができる。要約およびこの詳細な説明において、各数値は、用語「約」(既に明示的に変更されていない限り)によって修正されたものとして一回読まれるべきであり、その後、文脈上特に指示がない限り、修正されていないものとして再度読まれるべきである。
本明細書で使用されるとき、量に関連して使用される用語「約」は、述べられた値を含み、そして文脈によって示される意味を有する。例えば、それは少なくとも特定の量の測定に関連する誤差の程度を含む。範囲の文脈で使用されるとき、修飾語句「約」はまた、2つの端点の絶対値によって定義された範囲を開示すると見なされるべきである。例えば、「約2〜約4」の範囲は「2〜4」の範囲も開示する。
本明細書中に別段の記載がない限り、温度(℃)に関する修飾語「約」は、記載の温度または記載の温度範囲ならびに記載(記載された温度または一連の温度の終点)の±1〜4%の温度を指す。細胞生存率(%)および細胞保持率(%)に関しては、本明細書中に別段の記載がない限り、修飾語句「約」は、細胞生存率(%)および細胞保持率(%)に関して、表示値または値の範囲ならびに表示値または値の範囲±1〜3%を指す。本明細書中に別段の記載がない限り、例えば、百万分の一(ppm)または十億分の一(ppb)のいずれかの単位を有する表現内容に関して、細胞生存率および細胞保持率(%)に関する修飾語「約」は、表示値または値の範囲ならびに表示値または値の範囲の±1〜3%を指す。単位μg/mLで含有量を表現することに関して、本明細書中に別段の記載がない限り、μg/mLでの値に関する修飾語「約」は、記載の値または値の範囲ならびに記載されている値または値の範囲±1〜4%を指す。モル濃度(M)に関して、本明細書中に別段の記載がない限り、モル濃度(M)に関する修飾語「約」は、記載された値または値の範囲、ならびに記載された値または値の範囲±1〜2%を指す。冷却速度(℃/分)に関して、本明細書中に別段の記載がない限り、冷却速度(℃/分)に関する修飾語「約」は、表示値または値の範囲ならびに表示値または値の範囲±1〜3%を指す。
また、要約およびこの詳細な説明において、有用、適切などであると列挙または説明されている範囲は、終点を含む範囲内のすべての点が記載されていると見なされるため、少なくともその範囲内の任意の考えられる小範囲に対するサポートを含むことを意図していることを理解されたい。例えば、「1から10までの範囲」は、約1から約10の間の連続体に沿った各可能な数を示すものとして読まれるべきである。さらに、例えば、±1〜4%は、1〜4の間の連続体に沿って各可能な数を示すものとして読まれるべきである。さらに、本実施例における1つ以上のデータポイントは、互いに組み合わせられてもよく、または明細書における1つのデータポイントと組み合わせられて範囲を作成してもよく、したがってこの範囲内の各可能な値または数を含む。したがって、(1)範囲内の多数の特定のデータポイントが明示的に識別されていても、(2)範囲内のいくつかの特定のデータ点を参照したとしても、または(3)範囲内のデータ点が明確に識別されていないときでも、(i)範囲内の任意の考えられるデータ点が特定されたと見なされるべきであることを本発明者らは認識し理解していること、および(ii)本発明者らは、範囲全体、範囲内の各考えられる小範囲、および範囲内の考えられる各点についての知識を有していたことが理解されるべきである。さらに、本明細書に例示的に開示された本出願の主題は、本明細書に具体的に開示されていない要素がなくても適切に実施することができる。
そうでないと明示的に述べられていない限り、「または」は包括的な「または」を意味し、排他的な「または」を意味しない。例えば、条件AまたはBは、以下のいずれかによって満たされる:Aは真(すなわち、存在する)でありBは偽(すなわち、存在しない)、Aは偽(すなわち、存在しない)でありBは真(すなわち、存在する)、そしてAとBの両方は真(すなわち、存在する)である。
さらに、「1つ(a)」または「1つ(an)」の使用は、本明細書の実施形態の要素および構成要素を説明するために採用されている。これは単に便宜上および本開示による一般的な概念の意味を与えるために行われる。この説明は、1つまたは少なくとも1つを含むように読まれるべきであり、単数形は、特に明記しない限り複数形も含む。
本明細書で使用される用語および表現は説明を目的としたものであり、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。「含む」、「備える」、「有する」、「含有する」、または「伴う」などの言語、およびその変形は、広義であることが意図され、その後に列挙されている構成要素、均等物、および列挙されていない追加の構成要素を包含するものとする。
また、本明細書で使用される場合、「1つの実施形態」または「一実施形態」への言及は、その実施形態に関連して説明された特定の要素、特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の様々な箇所における「一実施形態では」という句の出現は、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。
本明細書で使用される場合、用語「室温」は、標準圧力で約18℃から約25℃の温度を指す。様々な例では、室温は、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、または約25℃であり得る。
本明細書中で使用される場合、「細胞材料」または「細胞試料」とは、材料が天然であろうと人工であろうと細胞成分を含む生きている生物材料をいい、天然または人工であろうと細胞、組織および器官を含む。そのような用語はまた、細胞、組織および器官のような、凍結保存されるべきあらゆる種類の生物材料を意味する。いくつかの実施形態では、細胞、組織および器官は哺乳動物器官(ヒト器官など)、哺乳動物細胞(ヒト細胞など)および哺乳動物組織(ヒト組織など)であり得る。
本明細書では、「臓器」という用語は、例えば肝臓、肺、腎臓、腸、心臓、膵臓、精巣、胎盤、胸腺、副腎、動脈、静脈、リンパ節、骨または骨格筋などの任意の臓器を指す。本明細書で使用されるとき、用語「組織(単数)」または「組織(複数)」は、任意の種類の細胞型を含む任意の組織型(例えば、上記の器官のうちの1つから)およびそれらの組み合わせを含み、例えば、卵巣組織、精巣組織、臍帯組織、胎盤組織、結合組織、心臓組織、筋肉、軟骨および骨由来の組織、内分泌組織、ならびに神経組織が挙げられる。用語「組織(単数)」または「組織(複数)」はまた、脂肪組織または歯髄組織を含み得る。いくつかの実施形態では、組織または器官は、ヒト肝臓、ヒト肺、ヒト腎臓、ヒト腸、ヒト心臓、ヒト膵臓、ヒト精巣、ヒト胎盤、ヒト胸腺、ヒト副腎、ヒト動脈、ヒト静脈、ヒトリンパ節、ヒト骨、またはヒト骨格筋、などのヒトから得られるものである。
本明細書中で使用される場合、用語「細胞」は、例えば、体細胞(組織や臓器のあらゆる種類の細胞を含む)、線維芽細胞、ケラチノサイト、肝細胞、心筋細胞、平滑筋細胞、幹細胞、前駆細胞、卵母細胞、***、および生殖細胞など、任意の種類の細胞を含む。そのような細胞は、単離された形態または細胞を含有する体液、組織または器官の形態のような単離されていない形態のいずれであってもよい。いくつかの実施形態では、細胞は、上記のヒトの組織または臓器などの哺乳動物の組織または臓器に由来する。
本明細書中で使用される場合、「保存プロトコル」とは、生きている生物学的材料を含む細胞に有効期間を提供するためのプロセスをいう。保存プロトコルは、凍結および/もしくはガラス化による凍結保存、並びに/または、凍結乾燥または乾燥による無水生物学的保存を含み得る。
本明細書中で使用される場合、用語「凍結保護物質」とは、凍結保護物質なしの冷却の効果と比較して、組織が氷点下の温度に冷却されたときに細胞/組織/器官における氷晶形成を最小にし、そして加温後に細胞/組織/器官に実質的に損傷を与えない化学物質を意味する。
本明細書中で使用される場合、凍結保存材料に関して用語「凍結保存後に機能する」は、凍結保存後の臓器、組織または細胞などの凍結保存材料が凍結保存後に許容されるおよび/または意図される機能を保持することを意味する。いくつかの実施形態では、凍結保存後の細胞材料はその全ての意図された機能を保持している。
いくつかの実施形態において、本開示の方法によって保存された細胞凍結保存材料は、意図された機能の少なくとも50%、例えば意図された機能の少なくとも60%、例えば意図された機能の少なくとも70%、例えば意図された機能の少なくとも80%、例えば意図された機能の少なくとも90%、例えば意図された機能の少なくとも95%、例えば意図された機能の100%を保持する。例えば、細胞の生存能力を保存するとともに、細胞/組織/器官の生理学的機能も維持/保存すること、例えば、心臓の場合、ポンピング機能、および/または組織/細胞(例えば、移植されるもの)が周囲の組織/細胞と統合する能力、が重要であり得る。
本明細書中で使用される場合、用語「糖脂質」とは、脂肪酸鎖、セラミド、または任意の他の脂質に結合した少なくとも1つの炭水化物鎖を有する任意の分子をいう。AFGLなどの糖脂質は、天然(例えば、単離および/または精製)または合成起源のものであり得る。「炭水化物鎖」という用語は、1つより多い単糖単位を含有する糖部分を指す。すなわち、炭水化物という用語は、多糖類および/またはオリゴ糖を含む。実施形態では、炭水化物はまた、例えばキシロースおよびマンノース反復単位を含む多糖などの様々な単糖反復単位の混合物でもあり得る。本明細書で使用される「脂質」という用語は、脂肪、ワックス、ステロール、脂溶性ビタミン、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、リン脂質などを含む、天然に存在する分子または合成分子の群からの任意の分子を指す。
本明細書で使用される「単離された」という用語は、例えば抽出、遠心分離、氷親和性精製(例えば、複数回の凍結/融解氷精製サイクルを伴う)および/またはクロマトグラフィー分離(例えば、薄層クロマトグラフィーまたは高速液体クロマトグラフィー)を含む実験室的精製手順を受けた任意の組成物または混合物を指す。通常、そのような手順は、物理的、化学的、または電位的性質に基づいて単離された組成物または混合物を提供する。手順の選択に応じて、単離された組成物または混合物は、同様の化学的性質を有する他の組成物、化合物または混合物を含み得る。
本明細書中で使用される場合、用語「精製された」とは、それらの天然の環境から取り出され、単離されまたは分離された分子(例えば、糖脂質)をいう。例えば、いくつかの実施形態では、本開示の方法で使用される糖脂質は、それらが天然に会合している他の成分(たとえば、タンパク質(AFPなど)など)(すなわち、他の成分の検出可能な分光信号を含まない(例えば、Varian UNITY Plus 600MHz FT-NMR分光計で取得されたHNMR信号)は存在しない)精製糖脂質(1つまたは複数の生物/植物から単離されたAFGLなど)である。
本明細書中で使用される場合、「実質的に精製された」分子(例えば、実質的に精製された糖脂質)は、それらが天然に関連する他の成分を少なくとも50%含まない、または少なくとも90%、もしくは少なくとも95%、もしくは少なくとも99%含まない。例えば、いくつかの実施形態では、本開示の方法で使用される糖脂質は、それらが天然に関連する他の成分(たとえば、タンパク質(AFPなど)など)を少なくとも50%含まない、または、少なくとも90%、もしくは少なくとも95%、もしくは少なくとも99%含まない、実質的に精製された糖脂質(例えば、1つまたは複数の生物/植物から単離されたAFGLなど)である。
本明細書中で使用される場合、用語「無菌」は、生きている細菌、微生物、および増殖することができる他の生物を含まないことを意味する。
本明細書で使用されるとき、用語「凍結保護物質を実質的に含まない」は、0.01w/w%未満の量の凍結保護物質を意味する。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、DMSOなどの凍結保護物質を実質的に含まない培地/溶液および/または細胞材料を使用および/または達成することができる。
実施形態
本開示は、生体材料/試料/器官/組織/細胞/細胞を保存するための方法に関する(「材料」、「サンプル」、「器官」、「組織」、および「細胞」という用語は互換的に使用され、細胞成分を含有するあらゆる生物学的材料を包含する。)。
本開示の方法は、細胞を、少なくとも1つの糖脂質(および任意に凍結保護物質)を含有する溶液に接触させることを含む。いくつかの実施形態では、これは、少なくとも1つの糖脂質(および任意に凍結保護物質)を含有する培地/溶液中で細胞をインキュベートし、例えば、少なくとも1つの糖脂質(および任意に凍結保護物質)を含む培地/溶液中で細胞をインキュベートする(または接触させる)ことを含み得る。実施形態では、少なくとも1つの糖脂質は、細胞の生存をより助長する環境を提供するのに有効な量で(ケラチノサイト、肝細胞、および心筋細胞のような、保存が難しい細胞でさえ)、培地/溶液中に存在し得る。
本開示の方法では、細胞は、細胞を凍結保存温度に冷却する前に起こる少なくとも1つの糖脂質(および任意に凍結保護物質)と接触させた後、凍結保存中に保護される。実施形態では、少なくとも1つの糖脂質(および任意に凍結保護物質)と接触させることは、細胞が凍結保存組成物中の少なくとも1つの糖脂質(および任意に凍結保護物質)によって安定化/保護されているので、凍結保存温度への温度の低下中に細胞の生存率は有意に低下しないように、細胞を、少なくとも1つの糖脂質(および任意に凍結保護物質)と、何らかの方法で接触させることを意味する。
本開示の方法で使用するのに適した糖脂質は、米国特許第8,604,002号に記載されているAFGLなどの任意の糖脂質を含むことができ、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれ、それは氷の形成を抑制/減少/防止する構造を持っている。これに関して、AFGLなどの適切な糖脂質は、細胞質内への細胞外氷の致死的拡散を防止する構造を有し得る。いくつかの実施形態では、AFGLなどの適切な糖脂質は、細胞外氷が細胞質ゾルに致死的に広がるのを防ぐ方法で、凍結保存されている生細胞物質に対して(例えば、細胞膜の外表面に)位置することができる糖脂質などの熱ヒステリシス(TH)生成糖脂質であるような構造を有することができる。いくつかの実施形態では、この配向は細胞表面に氷結合モチーフを配置し得る。適切な糖脂質(上述の機能を達成するもの)としては、例えば、マンノースおよびキシロースが主要な糖成分である糖脂質などのキシロマンナン系不凍糖脂質(脂肪酸などの可変量の脂質を含む)が挙げられ得、これは米国特許第8,604,002号に記載されている。
AFGLの単離/製造は、米国特許第8,604,002号に記載されている。簡単に説明すると、AFGLは、膜抽出とそれに続く氷結合法を用いて天然源から単離および精製することができ、あるいはそれらは化学的および/または酵素的手順によって合成することができる。AFGLを自然に生産する植物、特にズルカマラ(Solanum dulcamara)(ビタースイートナイトシェイド)のような多年生植物は、これらの材料の好ましい供給源である。そのような植物は作物の畑として生育し、AFGLが生産された後の秋の適切な時期に収穫され、そして次にAFGLは抽出されそして様々な不凍液用途で使用するために精製されることができる。
大きな分子量の不凍剤(例えば不凍タンパク質)の存在を示す、溶液の融点と凝固点との間の差である熱ヒステリシス(TH)は、動物、植物、細菌および真菌において記載されている。耐凍結性甲虫、Upis ceramboidesからの高活性熱ヒステリシス因子(THF)は、氷親和性によって単離されている。アミノ酸クロマトグラフィー分析、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、UV−Vis分光光度法およびNMR分光分析は、THFがタンパク質をほとんどまたは全く含まないことを示したが、それでも、5mg/mLで3.7±0.3℃のTHを生じ、最も活発な昆虫不凍タンパク質のそれに匹敵した。組成分析および構造分析は、この不凍剤がβ−マンノピラノシル−(1→4)β−キシロピラノース骨格および脂肪酸成分を含み、脂質が糖に共有結合するかまたは糖に静電的に(イオン的に)結合できることを示す。
いくつかの実施形態では、本開示の方法で使用される糖脂質は、それらと会合するタンパク質をほとんどまたは全く有さず、そして有意な熱ヒステリシス特性を保有し得る。例えば、本開示の方法で使用される糖脂質は、以下の多糖部分を含む不凍糖脂質組成物を含み得る。
Figure 0006957615
ここで、D‐ManpはD‐マンノピラノース部分を表し、D‐XylpはD‐キシロピラノース部分を表し、そしてnは、約5〜約70であり、上記式の多糖類部分に共有結合するか、または上に示した多糖類部分と静電的に会合した1つ以上の脂質部分を表す。
本開示の方法において使用される糖脂質は、糖脂質コンジュゲートの集合体であり得るか、または例えばイオン結合を介して脂肪酸などの脂質部分と静電的に会合したキシロマンナン多糖類の集合体であり得る。例えば、本開示の方法は、以下の式の1つ以上の糖脂質を含み得る。
Figure 0006957615
ここで、親油性部分(R)が、糖成分の一方、両方、またはそれらの組み合わせに共有結合しており、脂質部分(R)は、糖部分に直接(例えば、エーテルまたはエステル基を介して)共有結合することができ、またはグリセロールなどの連結基を介して糖部分に結合することができる。
いくつかの実施形態では、本開示の方法で使用される糖脂質は、以下の式によって表されるように、脂質部分と静電的に会合していてもよいキシロマンナン多糖類であり得る。
Figure 0006957615
ここで、親油性部分が、例えば、1個以上のヒドロキシル基またはカルボキシ基で置換されたアルキル鎖、脂肪酸、モノ‐、ジ‐、もしくはトリ‐グリセリド、ステロール、またはリン脂質である。
いくつかの実施形態では、親油性部分Rは、静電相互作用によってまたは直接共有結合によって糖鎖と会合している任意の脂質分子または部分であり得る。脂質分子は、例えば、アルキル鎖、脂肪酸、モノ‐、ジ‐、もしくはトリ‐グリセリド、ステロール、またはリン脂質であり得る。脂質分子がサッカリド鎖に共有結合している場合、共有結合はサッカリド鎖(例えば、C2、C3、C4において、他の糖部分、C6、またはアノマー位置C1に結合していない場合)の任意のヒドロキシル基にあり得る。コンジュゲーションは、1つ以上のマンノース糖、1つ以上のキシロース糖、またはそれらの組み合わせ上に存在し得る。
いくつかの実施形態では、本開示の方法で使用される糖脂質は、以下のように多糖部分を含み得る。
Figure 0006957615
式中、nは約5〜約70であり、各Rは独立してHまたは親油性部分Rであり得、ここで分子の少なくとも1つのRはRである。組成物がキシロマンナンと脂質部分との静電的会合である場合、キシロマンナンは次式の糖類であり得る。
Figure 0006957615
ここで、脂質部分は、上記式の糖の1つ以上の酸素原子に静電的に結合している。いくつかの実施形態では、本開示の方法で使用される糖脂質は、米国特許第8,604,002号に記載されているものなどの様々な既知のAFGLの組み合わせ、例えば、米国特許第8,604,002号の式VIの多糖と式VIIの多糖との組み合わせなどであり得、ここで、いくつかの脂質部分は多糖に共有結合しており、他のものは米国特許第8,604,002号の式VIおよび/または式VIIの多糖にイオン的に会合している。
いくつかの実施形態では、本開示の方法では、少なくとも1つの糖脂質(および任意に凍結保護物質)を含有する水性媒体(「媒体(培地)」および「溶液」という用語は互換的に使用される)を細胞と混合して、細胞懸濁液を含む凍結保存組成物を調製し得る。水性媒体は、これらの目的のために任意の適切な濃度の少なくとも1つの糖脂質(および任意に凍結保護物質)を含有することができる。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの糖脂質が、器官、細胞、および組織、例えば、哺乳類の臓器、哺乳類の細胞、哺乳類の組織などの組織(後に移植される可能性があるものも含む)からなる群から選択される生細胞材料/試料の生存率の改善(凍結保存後)をもたらすような量で本開示の方法に用いられる。。「細胞生存率の改善」または「生存率の改善」という句は、例えば、80%以上など、少なくとも60%の細胞生存率(%)を指す。改善された細胞生存率(%)は、50%以上、60%以上、70%以上、73%以上、75%以上、77%以上、80%以上、83%以上、85%以上、87%以上、90%以上、93%以上、95%以上、97%以上、98%以上、または99%以上であり得る。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの糖脂質は、以下のうちの1つ以上を達成することが有効であるように、本開示の方法においてある量で使用される:熱ヒステリシスの生成、氷の核形成の抑制、氷の構造の変更、氷の生成の低減、氷の生成の防止、より速い冷却速度の使用を可能にする程度までの氷の生成の低減/防止、細胞および組織を保存するのが難しいために、細胞の生存をより助長する環境を提供するのに必要とされる凍結保護物質の量の減少を可能にする程度に氷の生成の低減/防止。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの糖脂質は、保存される細胞を含む培地の全重量の約0.000001%〜約0.5%、例えば、保存される細胞を含む培地の全重量の約0.00001%〜約0.1%、または保存される細胞を含む培地の全重量の約0.0005%〜約0.05%を示す。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの糖脂質は、意図された結果を達成するために任意の所望の/有効な量で存在してもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの糖脂質は、約0.01pg/mlを超える量、例えば、約0.1pg/mlを超える量、または約1pg/mlを超える量、または約10pg/mlを超える量、または約200pg/mlを超える量を超える量で培地中に存在し得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの糖脂質は、約0.01ng/mlを超える量、例えば、約0.1ng/mlを超える量、または約1ng/mlを超える量、または約10ng/mlを超える量、または約200ng/mlを超える量を超える量で培地中に存在し得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの糖脂質は、約0.01μg/mlを超える量、例えば、約0.1μg/mlを超える量、または約1μg/mlを超える量、または約10μg/mlを超える量、または約200μg/mlを超える量を超える量で培地中に存在する。
いくつかの実施形態では、培地は1pM〜1000μM、1pM〜500μM、1pM〜30μM、1pM〜1000nM、1pM〜500nM、1pM〜250nM、100pM〜750μM、100pM〜500μM、100pM〜20μM、100pM〜1000nM、1pM〜750nM、1pM〜500nM、1pM〜250nM、1pM〜1nM、500pM〜500μM、500pM〜250μM、500pM〜100μM、500pM〜10μM、500pM〜1000nM、500pM〜750nM、500pM〜500nM、500pM〜250nM、500pM〜100nM、500pM〜1nM、1nM〜1000μM、1nM〜750μM、1nM〜500μM、1nM〜250μM、1nM〜100μM、1pM〜1μM、100nM〜1000μM、100nM〜750μM、100nM〜500μM、100nM〜250μM、100nM〜100μM、100pM〜1μM、250nM〜1000μM、250nM〜750μM、250nM〜500μM、250nM〜250μM、250nM〜100μM、250nM〜1μM、500nM〜1000μM、500nM〜750μM、500nM〜500μM、500nM〜250μM、100nM〜100μM、500nM〜1μM、750nM〜1000μM、750nM〜750μM、750nM〜500μM、750nM〜250μM、750nM〜100μM、750nM〜1μM、0.5μM〜1000μM、10μM〜950μM、20μM〜900μM、30μM〜850μM、40μM〜800μM、50μM〜750μM、60μM〜700μM、70μM〜650μM、80μM〜600μM、90μM〜550μM、100μM〜500μM、110μM〜450μM、120μM〜400μM、130μM〜350μM、140μM〜300μM、150μM〜250μM、160μM〜200μM、0.5μM〜100μM、1μM〜90μM、5μM〜90μM、10μM〜85μM、10μM〜75μM、20μM〜85μM、20μM〜65μM、30μM〜70μM、30〜50μM、40μM〜80μM、または40μM〜50μMの範囲の濃度で少なくとも1つの糖脂質を含有し、ここで、上記の範囲内で生じる任意の濃度はまた、範囲の終点として役立ち得る。
いくつかの実施形態では、培地は、0.001ppb〜10,000ppm、0.01ppb〜1,000ppm、0.1ppm〜100ppm、1ppb〜100ppm、1ppm〜500ppm、1ppb〜250ppm、100ppm〜750ppm、100ppm〜500ppm、100ppm〜1000ppm、1ppm〜750ppm、0.1ppm〜500ppm、1ppb〜250ppm、1ppb〜1ppm、500ppb〜500ppm、500ppb〜250ppm、500ppb〜100ppm、500ppb〜10ppm、500ppb〜1000ppm、500ppb〜750ppm、500ppb〜500ppm、50ppb〜250ppm、1ppm〜1000ppm、1ppm〜750ppm、1ppm〜500ppm、1ppm〜250ppm、1ppm〜100ppm、1ppm〜1,000ppm、100ppm〜1,000ppm、100ppm〜750ppm、100ppm〜500ppm、100ppm〜250ppm、10ppm〜950ppm、20ppm〜900ppm、30ppm〜850ppm、40ppm〜800ppm、50ppm〜750ppm、60ppm〜700ppm、70ppm〜650ppm、80ppm〜600ppm、90ppm〜550ppm、100ppm〜500ppm、110ppm〜450ppm、120ppm〜400ppm、130ppm〜350ppm、140ppm〜300ppm、150ppm〜250ppm、160ppm〜200ppm、0.5ppm〜100ppm、1ppm〜90ppm、5ppm〜90ppm、5ppm〜85ppm、5ppm〜75ppm、2ppm〜15ppm、2ppm〜50ppm、3ppm〜20ppm、3〜50ppm、4ppm〜80ppm、または4ppm〜50ppmの範囲の濃度で少なくとも1つの糖脂質を含有し、上記の範囲内で生じる任意の濃度もまた、範囲の終点として役立ち得る。
実施形態では、少なくとも1つの糖脂質を含む上記の培地は、例えば、向上した生存率(凍結保存後)をもたらすために、および/または組織損傷を防止/保護するために、および/または以下の、熱ヒステリシスの生成、氷の核形成の抑制、氷の構造の変更、氷の生成の低減、氷の生成の防止、より速い冷却速度の使用を可能にする程度までの氷の生成の低減/防止、細胞および組織を保存するのが難しいために、細胞の生存をより助長する環境を提供するのに必要とされる凍結保護物質の量の減少を可能にする程度に氷の生成の低減/防止、のうちの1つ以上を達成するために、少なくとも1つの糖脂質の所望の投与量(有効投与量など)が細胞もしくは組織に存在するまで細胞または組織と任意の所望の期間接触させることとしてもよい。
いくつかの実施形態では、凍結保存される細胞はまた、例えば、少なくとも塩基性塩溶液、エネルギー源(例えばグルコース)、および冷却された温度で中性のpHを維持することができる緩衝液からなる凍結適合性pH緩衝液と接触し得る。そのような周知の材料には、例えば、ダルベッコの改良イーグル培地(DMEM)が含まれる。この材料はまた、凍結保存組成物の一部として含まれてもよい。例えば、Campbell et al., "Cryopreservation of Adherent Smooth Muscle and Endothelial Cells with Disaccharides," In: Katkov I. (ed.) Current Frontiers in Cryopreservation. Croatia: In Tech (2012);および Campbell et al., "Development of Pancreas Storage Solutions: Initial Screening of Cytoprotective Supplements for β-cell Survival and Metabolic Status after Hypothermic Storage," Biopreservation and Biobanking 11(1): 12-18 (2013)を参照されたい。
本開示の方法において使用される凍結保存組成物はまた、当該分野で公知の任意の凍結保護材料を含み得る。いくつかの実施形態では、凍結保護物質は、凍結保存組成物中に、例えば、約0.05Mから約11M、約0.1〜約8M、約0.25〜約11M、約1〜約11M、約2〜約11M、約4〜約11M、約6〜約11M、約8〜約11M、約0.25〜約11M、約0.25〜約9M、約0.25〜約8M、約0.25〜約7M、約0.25〜約10M、約1〜約7M、約1〜約8M、約1〜約9M、約3〜約10M、約2〜約10M、約0.5〜約10M、約0.5〜約9M、約0.5〜約9M、約0.5〜約8M、または約0.5〜約7M、または約6.5〜約11Mの量で存在してもよい。いくつかの実施形態では、凍結保護物質は、凍結保存組成物中に、例えば、約0.05M〜約6M、約0.1〜約3M、約0.25〜約6M、約1〜約6M、約2〜約6M、約3〜約6M、約4〜約6M、約5〜約6M、約0.25〜約1M、約0.25〜約2M、約0.25〜約3M、約0.25〜約4M、約0.25〜約5M、約1〜約4M、約1〜約3M、約1〜約2M、約3〜約5M、約2〜約4M、約0.5〜約6M、約0.5〜約5M、約0.5〜約4M、約0.5〜約3M、約0.5〜約2M、または約0.5〜約1Mの量で存在してもよい。
いくつかの実施形態において、保存される細胞は、保存される細胞を少なくとも1つの糖脂質を含む培地中でインキュベートする前、その間、またはその後に、凍結保護物質含有組成物と接触させることができる。
適切な凍結防止剤としては、例えば、アセトアミド、アガロース、アルギン酸塩、アラニン、アルブミン、酢酸アンモニウム、不凍タンパク質、ブタンジオール(2,3−ブタンジオールなど)、コンドロイチン硫酸、クロロホルム、コリン、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジオン、シクロヘキサントリオール、デキストラン、ジエチレングリコール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド(n−ジメチルホルムアミドなど)、ジメチルスルホキシド、エリトリトール、エタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ホルムアミド、グルコース、グリセリン、グリセロリン酸塩、グリセリルモノアセテート、グリシン、糖タンパク質、ヒドロキシエチルデンプン、イノシトール、ラクトース、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、マルトース、マンニトール、マンノース、メタノール、メトキシプロパンジオール、メチルアセトアミド、メチルホルムアミド、メチル尿素、メチルグルコース、メチルグリセロール、フェノール、プルロニックポリオール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、プロリン、プロパンジオール(1,2プロパンジオールおよび1,3プロパンジオールなど)、ピリジンNオキシド、ラフィノース、リボース、セリン、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、ソルビトール、ショ糖、トレハロース、トリエチレングリコール、酢酸トリメチルアミン、尿素、バリン、キシロースが挙げられ得る。
本開示において使用され得る他の凍結保護物質は、Fahyらの米国特許第6,395,467号、Wowkらの米国特許第6,274,303号、Khirabadiらの米国特許第6,194,137号、Fahyらの米国特許第6,187,529号、Fahyらの米国特許第5,962,214号、Calacoらの米国特許第5,955,448号、Merymanの米国特許第5,629,145号、および/またはKhirabadiらによる米国特許出願第09/691,197号に対応する、WO02/32225A2に記載されており、その開示内容はそれぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本開示のいくつかの実施形態において、凍結保護物質含有組成物は、少なくとも1つの糖脂質および少なくとも1つの糖を含み得る。糖は、糖の混合物であり得、そして少なくとも1つの多糖、トレハロースおよび/もしくはスクロースなどの二糖、並びに/またはラフィノースなどの三糖を含み得る。組成物は、約0.1から2.0Mの糖、または約0.2から0.6Mの糖を含有してもよい。凍結保護物質含有組成物は、糖脂質含有媒体であり得る。場合により、細胞材料を凍結またはガラス化する前に、追加の糖および/または他の凍結保護物質をこの培地に添加してもよい。
凍結保護物質組成物は、凍結保護物質化合物として、少なくとも1種のシクロヘキサンジオール(CHD)化合物、例えば1,3シクロヘキサンジオール(1,3CHD)または1,4シクロヘキサンジオール(1,4CHD)のシスもしくはトランス形態、またはそれらのラセミ混合物も含み得る。
CHD化合物は、例えば約0.05〜約2M、約0.1M〜約1M、約0.1〜約2M、約0.1〜約1M、約0.1〜約1.5M、約0.1〜約0.5M、約0.1〜約0.25M、約1〜約2M、約1.5〜約2M、約0.75〜約2M、約0.75〜約1.5M、約0.75〜約1M、約0.05〜約1M、約0.05〜約0.75M、約0.05〜約0.5M、または約0.05〜約0.1Mの量で凍結保存組成物中に存在することとしてもよい。凍結保存組成物はまた、細胞、組織および器官の器官保存によく適した溶液を含み得る。溶液は、上述の緩衝液を含み得る。溶液は、例えば、デキストロース、一塩基性および二塩基性リン酸カリウム、重炭酸ナトリウム、ならびに塩化カリウムで構成されるEuroCollins溶液であり得る。例えば、Taylor et al., "Comparison of Unisol with Euro-Collins Solution as a Vehicle Solution for Cryoprotectants," Transplantation ProCeedings 33: 677-679 (2001)を参照されたい。
なおさらに、本開示の方法において使用するための凍結保存組成物はまた、不凍タンパク質/ペプチド(AFP)、または「熱ヒステリシス」タンパク質(THP)を含み得る。天然に存在するAFPは、発達中の氷結晶のプリズム面に結合し、それによってそれらの形成を変えることができると考えられている。この点に関して、本方法では、新たに発見されたまたは周知のAFPを使用することができる。例えば、そのような8つのタンパク質を説明する、Sicheri and Yang, Nature, 375:427-431, (1995); DeVries, "Antifreeze glycopeptides and peptides: interactions with ice and water," Meth. Enzymol. 127:293-303 (1986); Duman, "Antifreeze and ice nucleator proteins in terrestrial arthropods," Annual Rev. Physiol. 63:327-3257 (2001); Holmstrup et al. "Dehydration and cold hardiness in the Arctic collembolan Onychiurus arcticus," J. Comp. Physiol. B 168: 197-203 (1998); Kuiper et al., "Purification of antifreeze proteins by adsorption to ice," BioChem. Biophys. Res. Commun. 300(3): 64-68 (2003); Miller, "Cold-hardiness strategies of some adult and immature insects overwintering in interior Alaska," Comp. BioChem. Physiol. 73A: 595-604 (1982); Neven et al., "Purification and characterization of an insect hemolymph lipoprotein ice nucleator: evidence for the importance of phosphatidylinositol and apolipoprotein in the ice nucleator activity," J. Comp. Physiol. B 159: 71-82 (1989); Sformo et al., "Deep supercooling, vitrification and limited survival to -100℃ in the Alaskan beetle Cucujus clavipes puniceus larvae," J. Exp. Biol. 213(3): 502-509 (2010); Storey et al., "Freeze tolerance in animals," Physiol. Rev. 68: 27-84 (1988); Storey et al., "BioChemical adaptation for cold hardiness in insects," Phil. Trans. R. SoC. Lond. B326: 635-54 (1990); Walters et al., "Freeze tolerance in the Arctic Alaska Stonefly, Nemoura arctica," J. Exp. Biol. 212: 305-12 (2009a); Walters et al., "Cryoprotectant biosynthesis and the selective accumulation of threitol in the freeze tolerant Alaskan beetle, Upis ceramboides," J. Biol. Chem. 284: 16822-16831 (2009b);を参照することとし、例示的なAFPには、AFPI(AFPタイプI)、AFPIII(AFPタイプIII)および/またはAFGPが含まれ、それらの開示はそれぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。AFPは、凍結保存組成物中に、例えば、存在する各AFPについて、組成物の約0.001から約1mg/mL、約0.05から約0.5mg/mL、または約0.1から約0.75mg/mLの量で存在してもよい。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの糖脂質は、例えばDMSOなどの凍結保護物質の代わりとして、またはそのような他の凍結防止剤への補足として、例えば無毒性濃度などにその濃度を低下させるように作用し得、凍結保護物質は、凍結保存手順の間に凍結保存材料/サンプルの機能性を維持することに関して、同じまたはより良好な保護効果を達成する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの糖脂質は、器官、細胞および組織、例えば、哺乳類の臓器、哺乳類の細胞、哺乳類の組織(後に移植することができるものを含む)からなる群から選択される生体材料/試料のための凍結保護物質として作用することが有効であるように本開示の方法においてある量で使用される。
本開示の方法において使用され得る細胞は、任意の適切な細胞組成物であり得る。いくつかの実施形態では、細胞は、皮膚細胞、ケラチノサイト、骨格筋細胞、心筋細胞、肺細胞、腸間膜細胞、脂肪細胞、幹細胞、肝細胞、上皮細胞、クッパー細胞、線維芽細胞、ニューロン、心筋細胞、筋細胞、軟骨細胞、膵臓腺房細胞、ランゲルハンス島、骨細胞、筋芽細胞、衛星細胞、内皮細胞、脂肪細胞、前脂肪細胞、胆管上皮細胞、これらの細胞タイプのいずれかの前駆細胞であり得る。
いくつかの実施形態では、本開示の方法において使用される細胞は、任意の適切な動物種由来、例えば、ヒトなどの哺乳動物、イヌ(例えば犬)、ネコ(例えば猫)、ウマ(例えば馬)、ブタ、ヒツジ、ヤギ、またはウシの哺乳動物由来であり得る。
少なくとも1つの糖脂質含有細胞懸濁液を含む凍結保存組成物を調製するために使用される細胞組成物は、様々な方法で少なくとも1つの糖脂質と組み合わせることができる。いくつかの実施形態において、細胞組成物は、少なくとも1つの糖脂質を含有する水溶液などの水性液体媒体と組み合わせることができる。これに関して、細胞組成物は少なくとも1つの糖脂質を含有する培地に添加することができ、少なくとも1つの糖脂質を含有する培地は細胞組成物に添加することができ、あるいはその両方である。例えば、場合によっては穏やかに撹拌しながら、段階的な組み合わせを実施することができる。
いくつかの実施形態では、以前に保存された生細胞組成物が凍結保存組成物を形成するために使用されるときなど、細胞組成物が冷却または冷蔵される場合、それを少なくとも1つの糖脂質含有培地と組み合わせる前または後に、解凍され得る(および/または約37℃の温度にもたらされ得る)。任意の適切な解凍/加熱技術を使用することができる。
いくつかの実施形態において、細胞を少なくとも1つの糖脂質に曝露することの好ましい効果を達成するため、保存される細胞は、少なくとも1つの糖脂質含有培地中で少なくとも3時間、常温温度(または低体温温度)などの任意の適切な温度、すなわち少なくとも1つの糖脂質を細胞膜と会合させるのに十分な温度で、インキュベートされる(またはそれにさらされる)こととしてもよい(いくつかの実施形態では、より短い期間のインキュベーション/曝露でポジティブ効果を達成することが可能であり得る)。保存される細胞に応じて、そのような温度は、室温から生理的温度をわずかに超える+37℃、室温から+40℃(そのような暴露が細胞死を引き起こさないという条件で)、+25℃から+37℃の範囲の温度、+25℃から+35℃の範囲の温度、+25℃から+30℃の範囲の温度、−5℃から+20℃の範囲の温度、−5℃から+15℃の範囲の温度、−5℃から+10℃の範囲の温度、−5℃から+5℃の範囲の温度、0℃から+10℃の範囲の温度、0℃から+9℃の範囲の温度、0℃から+8℃の範囲の温度、0℃から+7℃の範囲の温度、0℃から+6℃の範囲の温度、0℃から+5℃の範囲の温度、0℃から+5℃の範囲の温度、0℃から+4℃の範囲の温度、0℃から+3℃の範囲の温度、0℃から+2℃の範囲の温度、+1℃から+8℃の範囲の温度、+1℃から+6℃の範囲の温度、+1℃から+4℃の範囲の温度、+1℃から+3℃の範囲の温度、+2℃から+9℃の範囲の温度、+2℃から+6℃の範囲の温度、+2℃から+4℃の範囲の温度、+3℃から+8℃の範囲の温度、+3℃から+6℃の範囲の温度、+3℃から+5℃の範囲の温度、+4℃から+8℃の範囲の温度、+4℃から+6℃の範囲の温度、+5℃から+9℃の範囲の温度、+5℃から+7℃の範囲の温度、+6℃から+10℃の範囲の温度、+6℃から+8℃の範囲の温度、+7℃から+9℃の範囲の温度、および+8℃から+10℃の範囲の温度を含み得る。
実施形態において、本開示の方法において、保存される細胞は、少なくとも1つの糖脂質含有培地中(少なくとも1つの糖脂質の上記の濃度の1つを有する)で少なくとも6時間、または少なくとも12時間、または少なくとも18時間、または少なくとも24時間、または少なくとも48時間、または少なくとも72時間インキュベートされ得る。いくつかの実施形態では、細胞を維持するために使用される細胞培養培地への少なくとも1つの糖脂質の組み込みなどによって、保存される細胞を3から120時間インキュベートするか、またはより長期間インキュベートすることとしてもよい。いくつかの実施形態では、本開示の方法では、細胞を少なくとも1つの糖脂質を含む培地中で6〜72時間、または12〜48時間、または18〜46時間、または18〜36時間インキュベートすることができる。
いくつかの実施形態において、細胞は、例えば、他の生理学的に許容される媒地で洗浄され、次いで少なくとも1つの糖脂質含有媒地と混合され得る。
細胞と少なくとも1つの糖脂質含有培地との組み合わせは、任意の適切な容器または容器中で行われ得る。少なくとも1つの糖脂質含有細胞懸濁液を含む調製された凍結保存組成物は、任意の適切な密度の細胞を有することができる。次いで、凍結保存組成物は、任意の様式で行われる任意の様式で冷却/貯蔵/加温に供され得、そして上記のものに加えて任意のさらなる材料を使用し得る。例えば、いくつかの実施形態では、凍結保存組成物は、生存可能な凍結保存細胞材料の生産収率を増加させるための方法において使用されてもよく、方法は、凍結保存組成物を形成するために、細胞材料を少なくとも1つの糖脂質および凍結保護剤を含有する培地に所定の時間暴露し;凍結保存組成物を、以下に記載する温度のうちの1つ、例えば約80℃以下のような凍結保存温度で凍結保存することを含む保存プロトコールに供し、保存プロトコルは、例えば毎分約6.0℃を超えるような、後述の冷却速度で細胞材料を冷却することを含み;保存プロトコルの完了後、凍結保存細胞材料を回復させる(凍結保存状態から活動可能な状態に回復させる)ことを含み、DMSOのような単一の凍結保護物質が単独で凍結保護物質として使用される場合のように、少なくとも1つの糖脂質が使用されない場合を除いて同一条件下で保存プロトコールよりも回復させた凍結保存細胞材料の細胞生存率(%)が改善される(例えば、上記の程度/範囲まで(少なくとも60%の細胞生存率(%)など)。少なくとも60%。いくつかの実施形態では、回復させた凍結保存された細胞材料は、改善された増殖を示す。いくつかの実施形態では、回復させた凍結保存細胞材料の細胞生存率(%)は、DMSOのような単一の凍結保護物質を単独で凍結保護物質として使用する場合のように、少なくとも1つの糖脂質が使用されない場合を除いて同一条件下で保存プロトコルを実施することによって達成される細胞生存率(%)より少なくとも1桁大きく、またはDMSOのような単一の凍結保護物質が単独で凍結保護物質として使用される場合のように、少なくとも1つの糖脂質を使用しないことを除いて同一条件下で保存プロトコルを実施することによって達成される細胞生存率(%)より少なくとも2桁大きく、またはDMSOのような単一の凍結保護物質が単独で凍結保護物質として使用される場合のように、少なくとも1つの糖脂質を使用しないことを除いて同一条件下で保存プロトコルを実行することによって達成される細胞生存率(%)より少なくとも3桁大きく、または、DMSOのような単一の凍結保護物質が単独で凍結保護物質として使用される場合のように、少なくとも1つの糖脂質を使用しないことを除いて同一条件下で保存プロトコールを実施することによって達成される細胞生存率(%)よりも1〜3桁大きい。
凍結保存組成物が調製されると(そして少なくとも1つの糖脂質が保存される細胞と効果的に会合すると)、凍結保存のための冷却は任意の方法で行うことができ、そして上記のものに対する追加の材料を使用できる。例えば、少なくとも1つの糖脂質への十分な曝露の後、保存されるべき細胞は保存プロトコルを受ける。この保存プロトコルは、保存されるべき細胞を冷却し、および/または保存されるべき細胞を乾燥することを含み得る。例えば、細胞は凍結、ガラス化、凍結乾燥および乾燥によって保存することができる。これらの技術によって細胞材料を保存するためのプロトコルは、以下の特許および刊行物:Fahy et al.の米国特許第6,395,467号;Wowk et al.の米国特許第6,274,303号;Khirabadi et al.の米国特許第6,194,137号;Fahy et al.の米国特許第6,187,529号;Toner et al.の米国特許第6,127,177号;Fahy et al.の米国特許第5,962,214号;Calaco et al.の米国特許第5,955,448号;Beattie et al.の米国特許第5,827,741号;Goodrich et al.の米国特許第5,648,206号; Merymanの米国特許第5,629,145号; Rudolph et al.の米国特許第5,242,792号;およびKhirabadi et al.らの米国特許出願第09/691,197号に対応するWO02/32225A2に記載されており、これらの開示内容はそれぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
保存プロトコルの凍結保存部分は、典型的には、細胞を水の凝固点より十分に低い温度、例えば約80℃以下、より典型的には約130℃以下に冷却することを含む。当業者に知られている任意の凍結保存方法を使用することができる。例えば、凍結保存のための冷却(凍結)プロトコルは任意の適切な種類であり得、この場合、凍結保存温度は、約20℃よりも低い(すなわち、より低い)、例えば、約80℃以下(すなわち、より低い)または約135℃以下(すなわち、より低い)であってもよい。いくつかの実施形態では、凍結保存温度は、約−20℃から約−200℃、または約−30から約−175℃、または約−50℃〜約−160℃、または約−65℃〜約−150℃、または約−75℃〜約−135℃、または約−80℃〜約−130℃、約90℃〜約125℃、または約100℃〜約115℃の範囲であり得る。
いくつかの実施形態では、保存プロトコルは、氷核形成点から80℃または上記に開示された冷却温度のいずれかへの連続速度冷却を含むことができ、冷却速度は凍結される細胞/組織の特性に依存する。例えば、凍結保存のための冷却(凍結)プロトコルは、毎分約−0.1℃超、または毎分約−4.0℃超、または、毎分約6.0℃超、または毎分約8.0℃超、または毎分約10.0℃超、または毎分約14.0℃超、または毎分約−25.0℃超、などの任意の適切な速度(および/または平均冷却速度、例えばサンプルの初期温度から凍結保存温度まで)であり得る。例えば、連続速度冷却(または他の種類の冷却)の場合などの冷却速度(および/または平均冷却速度)は、例えば、約0.1〜約10℃/分、またはまたは約−1〜約−2℃/分まで、であり得る。冷却速度は、約0.1〜約9℃/分、約0.1〜約8℃/分、約−0.1〜約7℃/分、約−0.1〜約−6℃/分、約−0.1〜約−5℃/分、約−0.1〜約−4℃/分、約−0.1〜約−3℃/分、約−0.1〜約−2℃/分、約0.1〜約−1℃/分、約0.1〜約−0.5℃/分、約−1〜約−2℃/分、約−1〜約−3℃/分、約−1〜約−4℃/分、約−1〜約−5℃/分、約−1〜約−6℃/分、約−1〜約−7℃/分、約−1〜約−8℃/分、約−1〜約−9℃/分、約−1〜約−10℃/分、約−2〜約−3℃/分、約−2〜約−5℃/分、約−2〜約−7℃/分、約−2〜約−8℃/分、約−2〜約−20℃/分、約−4〜約−10℃/分、約−4℃、〜約−8℃/分、約−4〜約−6℃/分、約−6〜約−10℃/分、約−6〜約−9℃/分、約−6〜約−8℃/分、約−6〜約−7℃/分、約−7〜約−10℃/分、約−7〜約−9℃/分、約−7〜約−8℃/分、約−8〜約−9℃/分、約−9〜約−10℃/分、約−7〜約−30℃/分、約−10〜約−25℃/分、約−15〜約−25℃/分、約−20〜約−25℃、または約−20〜約−30℃であり得る。
細胞がこの連続速度冷却によって約−40℃から−80℃以下に冷却されると、それらは、凍結保存温度(典型的には凍結溶液のガラス転移温度より低い)にさらに冷却するために液体窒素または液体窒素の気相に移されてもよい。細胞は、さらに凍結保存温度に冷却する前に、約−40℃〜約−75℃、約−45℃〜約−70℃、約−50℃〜約−60℃、約−55℃〜約−60℃、約−70℃〜約−80℃、約−75℃〜約−80℃、約−40℃〜約−45℃、約−40℃〜約−50℃、約−40℃〜約−60℃、約−50℃〜約−70℃、または約−50℃〜約−80℃に冷却されてもよい。
加温プロトコルは、二段階加温手順(例えば、Campbell et al.により記載される、凍結保存細胞を解凍するための二段階法)を含み得、例えば、米国特許第6,596,531号を参照されたく、この開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。二段階加温プロトコルでは、凍結保存細胞(凍結保存温度で凍結保存)を凍結保存フリーザーから取り出すことができる。凍結保存細胞は、二段階プロトコルの第一段階において、最初に第一環境でゆっくり温められる。環境は特別な処理を受ける必要も、特別な構造を持つ必要もなく、いかなる環境を使用してもよい。環境は気体雰囲気、例えば空気であり得る。第一段階のゆっくりとした加温を達成するために、環境は凍結保存温度よりも高い第一の加温温度であり得る。第1の加温温度は室温付近であり得る。例えば、約15℃〜約30℃、約20℃〜約25℃、または約20℃〜約30℃のような30℃以下の温度を使用することができる。
二段階加温手順の第二工程は、第一加温工程で用いた加温温度よりも高い第二加温温度で第二環境中で細胞を急速に解凍することを含む。第2の加温温度は、32℃以上、約32℃〜約50℃、約35℃〜約45℃、約40℃〜約50℃、約45℃〜約50℃、約32℃〜約40℃、約35℃から約40℃まで、または約37℃までであり得る。重ねて、気体(空気)、液体、または流動床などの任意の適切な環境を第2の環境として使用することができる。例えば、温かい温度の水浴を使用してこの急速解凍を達成することができる。
実施形態では、本開示の方法によって保存された凍結保存細胞は、例えば研究または治療用途を含む任意の適切な用途に使用することができる。例えば、治療的使用に関しては、凍結保存細胞をヒトまたは動物患者に投与して、変性骨疾患、変形性関節症、慢性関節リウマチ、多発性関節炎、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患、アトピー、肝炎、慢性ステロイド反応性髄膜炎‐動脈炎、ビーグル疼痛症候群、変性性脊髄症、慢性腎不全症、拡張型および僧帽状心筋症、乾性角結膜炎、免疫性非侵襲性関節炎、免疫性溶血性貧血、免疫性血小板減少症、エバンス症候群、椎間板疾患、疾患または外傷に続発する筋線維症、難治性角膜潰瘍、真性糖尿病、脊髄外傷、好酸球性肉芽腫複合体、肥大型心筋症、胆管炎、脊髄損傷、運動による肺出血、横紋筋融解症、角膜潰瘍、湿疹、多発性硬化症、筋ジストロフィー、脊髄損傷、糖尿病、肝炎、心筋梗塞、うっ血性心不全、または筋線維症などの疾患または状態を治療または予防することができる。
凍結保存細胞は、任意の適切な方法で患者に投与することができる。いくつかの実施形態において、凍結保存細胞は、例えば静脈または動脈への送達によって、患者の血流中に全身的に送達され得る。いくつかの実施形態では、凍結保存細胞は患者に局所的に送達されてもよい(例えばアトピーまたは他の皮膚疾患の治療において)。いくつかの実施形態では、凍結保存細胞は患者の局所移植部位に送達されてもよい。これらの投与形態のいずれか、またはこれらの投与形態の任意の組み合わせを患者の治療に使用することができる。
いくつかの実施形態では、第1の量の少なくとも1つの糖脂質含有凍結保存細胞を全身的に患者の血流中に送達することができ、関節炎状態、例えば、本明細書で同定されたこれらの関節炎状態のいずれかを治療するために、第2の量の少なくとも1つの糖脂質含有凍結保存細胞(例えば、最初の量で、またはそれとは別に調製され、同じ種類または異なる種類の細胞を含む)を患者の1つ以上の骨格関節内またはその付近に局所的に移植することができる。また、本明細書の患者治療において、少なくとも1つの糖脂質含有凍結保存細胞の単回投与をいくつかの実施形態で行うことができ、一方で、少なくとも1つの糖脂質含有凍結保存細胞の複数の別々の投与を経時的に行うことができる(例えば、毎週または毎月の投与)。さらなる実施形態では、少なくとも1つの糖脂質含有凍結保存細胞は、患者への投与の前に濾過することができる。例えば、少なくとも1つの糖脂質含有凍結保存細胞は、チューブ内に配置されたインラインフィルターを通過することができる。それを介して細胞懸濁液が患者の血流、例えば、患者の静脈や動脈に入る。このようなフィルターは、特定の変形形態では、約200マイクロメートル以下の粒径カットオフ(すなわち、約200マイクロメートルを超える最大断面寸法を有する粒子を通過から除外する)、または約170マイクロメートル以下の粒径カットオフ、または約100マイクロメートル以下の粒径カットオフを有することができ、フィルターにより単一懸濁細胞の通過を可能にする。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの糖脂質含有凍結保存細胞を含む凍結保存組成物を調製するのに有用な少なくとも1つの糖脂質を含有する水性媒体が提供される。少なくとも1つの糖脂質を含有する水性媒体は、それらの成分を、本明細書で特定されている量で含有することができる。さらに、少なくとも1つの糖脂質を含有する水性媒体は、キットに含まれる容器中に滅菌形態で提供することができる。その容器はバイアル、バッグまたは他の容器であり得る。 いくつかの実施形態において、容器は、少なくとも1つの糖脂質含有細胞懸濁液が調製され得る「第2の容器」を含み得、例えば、入口ポートまたは他の部材(例えば、ニードルセプタム)および別個の出口ポートを有する。本明細書に開示されるキットは、1つ以上の追加の成分と共に少なくとも1つの糖脂質含有水性媒体を含む容器を含み得、例えば、シリンジなどの液体移送装置および取り付けられたまたは取り付け可能な針、ならびに潜在的に少なくとも1つの糖脂質含有細胞懸濁液を含む凍結保存組成物を調製するために使用される細胞組成物を含有する容器も含む。細胞組成物を含有する容器は、凍結保存状態(例えば、キットと共に凍結されて出荷された)または非凍結保存(例えば、細胞が以前に凍結保存されていて解凍された)状態の組成物を含み得る。本明細書に開示されるキットはまた、少なくとも1つのフィルター、例えば、凍結保存された少なくとも1つの糖脂質含有細胞懸濁液を患者に投与する前に通過させることができるフィルター、および/または細胞懸濁液を患者への投与中に通過させることができるチューブを含み得る。
第1の態様では、本開示は、生細胞材料を保存するための方法に関し、少なくとも1つの糖脂質および凍結保護物質を含む培地に細胞材料を所定の時間曝露し、当該曝露後、細胞材料を、約−80℃以下の凍結保存温度で凍結保存することを含む保存プロトコールに細胞を供することを含む。第2の態様では、第1の態様の方法は、少なくとも1つの糖脂質が不凍糖脂質である方法であり得る。第3の態様では、上記態様のいずれかの方法は、不凍糖脂質が植物および昆虫からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーから単離される方法であり得る。第4の態様では、上記態様のいずれかの方法は、少なくとも1つの糖脂質が、ガガンボ(Tipula trivittat)、ピケウスツヤハダクワガタ(Ceruchus piceus)、ソラナム・ドゥルカマラ(Solanum dulcamara)、デンドロイデスカナデンシス(Dendroides canadensis)、およびベニヒラタムシ(Cucujus clavipe)からなる群から選択される1つ以上の部材から単離された不凍糖脂質である方法であり得る。第5の態様において、上記態様のいずれかの方法は、少なくとも1つの糖脂質がキシロマンナン系不凍糖脂質である方法であり得る。第6の態様では、上記の態様のいずれかの方法は、少なくとも1つの糖脂質がβ−マンノピラノシル−(1→4)β−キシロピラノース骨格および親油性部分を含む方法であり得る。第7の態様では、第6の態様の方法は、親油性部分が1つ以上のヒドロキシル基で置換されたアルキル鎖、1以上のカルボキシ基で置換されたアルキル鎖、脂肪酸、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、ステロール、およびリン脂質からなる群から選択される方法であり得る。第8の態様では、上記態様のいずれかの方法は、保存プロトコルが毎分6℃を超える冷却速度で37℃から培地の凍結温度まで細胞材料を冷却することを含む方法であり得る。第9の態様では、第8の態様の方法は、保存プロトコルが、細胞材料を37℃から培地の凍結温度まで毎分10〜30℃の範囲の冷却速度で冷却することを含む方法であり得る。第10の態様では、上記態様のいずれかの方法は、細胞材料を保存プロトコルに供する前に少なくとも3時間、細胞材料を培地に曝露する方法であり得る。第11の態様では、上記態様のいずれかの方法は、細胞材料を保存プロトコルに供する前に6〜72時間細胞材料を培地に曝露する方法であり得る。第12の態様では、上記態様のいずれかの方法は、保存プロトコルが培地中の細胞材料を冷却することを含み、培地が1pMから1000μMの範囲の濃度で少なくとも1つの糖脂質を含む方法であり得る。第13の態様では、上記態様のいずれかの方法は、保存プロトコルが培地中の細胞材料を冷却することを含み、培地が1pMから1nMの範囲の濃度で少なくとも1つの糖脂質を含む方法であり得る。第14の態様では、上記態様のいずれかの方法は、凍結保護物質が、アセトアミド、アガロース、アルギン酸塩、アラニン、アルブミン、酢酸アンモニウム、凍結防止タンパク質、ブタンジオール、コンドロイチン硫酸、クロロホルム、コリン、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジオン、シクロヘキサントリオール、デキストラン、ジエチレングリコール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、エリトリトール、エタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ホルムアミド、グルコース、グリセロール、グリセロリン酸塩、グリセリルモノアセテート、グリシン、糖タンパク質、ヒドロキシエチルデンプン、イノシトール、ラクトース、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、マルトース、マンニトール、マンノース、メタノール、メトキシプロパンジオール、メチルアセトアミド、メチルホルムアミド、メチル尿素、メチルグルコース、メチルグリセロール、フェノール、プルロニックポリオール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、プロリン、プロパンジオール、ピリジンN−オキシド、ラフィノース、リボース、セリン、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、ソルビトール、ショ糖、トレハロース、トリエチレングリコール、酢酸トリメチルアミン、尿素、バリンおよびキシロースからなる群から選択される方法であり得る。第15の態様では、第14の態様の方法は、媒体が凍結保護物質組成物であり、凍結保護物質が約0.05Mから約11Mの量で凍結保護物質組成物中に存在する方法であり得る。第16の態様において、第14の態様の方法は、媒体が凍結保護物質組成物であり、凍結保護物質が1M未満の濃度で凍結保護物質組成物中に存在する方法であり得る。第17の態様では、第16の態様の方法は、少なくとも1つの糖を含む追加の凍結保護物質を凍結保護物質組成物に添加する方法であり得る。第18の態様では、第17の態様の方法は、追加の凍結保護物質が、トレハロース、グルコース、グリセロール、マルトース、マンニトール、マンノース、メチルグルコース、ラフィノース、リボース、スクロース、およびキシロースからなる群から選択される方法であり得る。第19の態様では、上記態様のいずれかの方法は、細胞材料が器官、細胞および組織からなる群から選択される方法であり得る。第20の態様では、上記態様のいずれかの方法は、細胞材料がケラチノサイト、肝細胞、および心筋細胞からなる群から選択される方法であり得る。第21の態様では、上記態様のいずれかの方法は、細胞材料が哺乳動物器官、哺乳動物細胞、および哺乳動物組織からなる群から選択される方法であり得る。第22の態様では、上記の態様のいずれかの方法は、細胞材料が、ヒトの臓器、ヒトの細胞、およびヒトの組織からなる群から選択される方法であり得る。第23の態様では、上記態様のいずれかの方法は、保存プロトコルの完了後の細胞材料の細胞生存率(%)が少なくとも60%である方法であり得る。第24の態様では、上記態様のいずれかの方法は、培地が不凍タンパク質/ペプチドを含まない方法であり得る。
本開示は、上記の態様のいずれかによって、および/または少なくとも1つの糖脂質および凍結保護物質を含有する培地への生細胞材料の所定の時間の曝露によって得られる凍結保存細胞に関し、暴露後、細胞材料を保存プロトコルに供し、保存プロトコル後の細胞材料の細胞生存率(%)は少なくとも60%である。さらなる態様において、本開示は、請求項25に記載の凍結保存細胞を患者に投与することを含む方法に関する。
さらなる態様において、本開示は、生存可能な凍結保存細胞材料の生産収率を増加させるための方法に関し、凍結保存組成物を形成するために、細胞材料を少なくとも1つの糖脂質および凍結保護剤を含有する培地に所定の時間曝露し、凍結保存組成物を、約80℃以下の凍結保存温度で凍結保存することを含む保存プロトコールに供し、ここで、保存プロトコールは、毎分約6.0℃を超える冷却速度で細胞材料を冷却することを含み、保存プロトコルの完了後、凍結保存細胞材料を回復させ、回復させた凍結保存細胞材料の細胞生存率(%)は少なくとも60%である。ここで、(i)回復させた凍結保存細胞材料は、改善された増殖成長を示し得、(ii)回復させた凍結保存細胞材料の細胞生存率(%)は、DMSO単独が凍結保護剤として使用される場合を除いて同一条件下で保存プロトコルを実行することによって達成される細胞生存率(%)より少なくとも2桁大きく、および/または(iii)回復させた凍結保存細胞材料の細胞生存率(%)は、DMSO単独を凍結保護剤として使用する場合を除いて同一条件下で保存プロトコルを実施することによって達成される細胞生存率(%)より少なくとも3桁大きい。これらの上記の態様では、冷却速度は、約−6から約−40℃/分の範囲内、約−6から約−20℃/分の範囲内、または約−6から約−10℃/分の範囲内である。さらに、(i)凍結保護物質は、アセトアミド、アガロース、アルギン酸塩、アラニン、アルブミン、酢酸アンモニウム、不凍タンパク質、ブタンジオール、コンドロイチン硫酸、クロロホルム、コリン、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジオン、シクロヘキサントリオール、デキストラン、ジエチレングリコール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、エリトリトール、エタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ホルムアミド、グルコース、グリセリン、グリセロリン酸塩、グリセリルモノアセテート、グリシン、糖タンパク質、ヒドロキシエチルデンプン、イノシトール、乳糖、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、マルトース、マンニトール、マンノース、メタノール、メトキシプロパンジオール、メチルアセトアミド、メチルホルムアミド、メチル尿素、メチルグルコース、メチルグリセロール、フェノール、プルロニックポリオール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、プロリン、プロパンジオール、ピリジンN−オキシド、ラフィノース、リボース、セリン、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、ソルビトール、スクロース、トレハロース、トリエチレングリコール、トリメチルアミンアセテート、尿素、バリンおよびキシロースからなる群から選択されてもよく、(ii)凍結保護物質は、凍結保護物質組成物中に約0.05Mから約11Mの量で存在する。任意に、凍結保護物質は、1M未満の濃度で凍結保護物質組成物中に存在する。そのような態様において、(i)少なくとも1つの糖を含む追加の凍結防止剤が凍結防止剤組成物に添加され、(ii)追加の凍結保護物質がトレハロース、グルコース、グリセロール、マルトース、マンニトール、マンノース、メチルグルコース、ラフィノース、リボース、スクロース、およびキシロースからなる群から選択され、(iii)細胞材料は器官、細胞および組織からなる群から選択され、(iv)細胞材料はケラチノサイト、肝細胞、および心筋細胞からなる群から選択され、(v)細胞材料が哺乳動物器官、哺乳動物細胞、および哺乳動物組織からなる群から選択され、および/または(vi)細胞材料がヒト器官、ヒト細胞、およびヒト組織からなる群から選択される。さらに、そのような態様において、(i)回復させた凍結保存細胞材料の細胞生存率(%)は少なくとも80%であり、(ii)凍結保存組成物は不凍タンパク質/ペプチドを含まず、(iii)少なくとも1つの糖脂質は不凍糖脂質であり、(iv)不凍糖脂質は植物および昆虫からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーから単離され、(v)少なくとも1つの糖脂質は、ガガンボ(Tipula trivittat)、ピケウスツヤハダクワガタ(Ceruchus piceus)、ソラナム・ドゥルカマラ(Solanum dulcamara)、デンドロイデスカナデンシス(Dendroides canadensis)、およびベニヒラタムシ(Cucujus clavipe)からなる群から選択される1以上の部材から単離される不凍糖脂質であり、(vi)少なくとも1つの糖脂質がキシロマンナン系不凍糖脂質であり、(vii)少なくとも1つの糖脂質は、aβ−マンノピラノシル−(1→4)β−キシロピラノース骨格および親油性部分(親油性部分は、1個以上のヒドロキシル基で置換されたアルキル鎖、1個以上のカルボキシ基で置換されたアルキル鎖、脂肪酸、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、ステロール、リン脂質からなる群から選択され得る。)を含み、および/または(viii)細胞生存率(%)は、凍結防止剤としてDMSO単独を使用する場合を除いて同一条件下で保存プロトコルを実施することによって達成される細胞生存率(%)よりも1〜3桁大きい。
上記は、以下の実施例を参照することによってさらに説明されるが、これらは例示の目的で提示されており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
実施例
以下に考察する結果において、図1〜4における細胞生存率および増殖の測定は、細胞内で起こる酸化/還元反応を測定することによってalamarBlue(商標)を使用した。alamarBlue(商標)を、培養培地中の培養細胞を含むプレートに直接添加し、そして37℃で3時間インキュベートした。還元すると、alamarBlue(商標)が色を変え、この色の変化を測定して定量化できる。培養プレートを、Gemini EM蛍光マイクロプレートリーダー(Molecular Dynamics)を用いて、励起波長544nmおよび発光波長590nmで読み取った。
再加温直後の生存率の測定に加えて、細胞が増殖する能力もalamarBlue(商標)を使用して調べた。alamarBlue(商標)は無毒であるため、細胞を傷つけることなく繰り返し使用できる。再加温後に連続した数日間、毎日37℃で3時間、alamarBlue(商標)で、細胞をインキュベートすることができる。プレートを読み取ったら、alamarBlue(商標)を取り除き、細胞を通常の細胞培養液中で翌日まで一晩インキュベートする。代謝活性の増加は増殖を示している。
いくつかの細胞、例えば線維芽細胞は容易に凍結保存されるが、ケラチノサイト、肝細胞、および心筋細胞のような他の細胞型はうまく凍結せず、図1(凍結保存後の細胞生存率)に示すように、細胞収率はしばしば50%をはるかに下回っている。ケラチノサイトを、RPMI中の10%DMSO中でバイアル中または培養プレート中で凍結保存した。解凍直後および解凍後数日間、代謝活性を測定した。細胞生存率(未処理対照の百分率で)は、120回の反復試験の平均(±SEM)として計算した。
単離されたAFGLを得るために、タンパク質混入物の存在を減少させるために異なるスキームが使用された。使用された精製手順の変形は、AFGLが単離されていた種に依存した。1HNMR分光法を使用して、AFGLの存在を決定し、そして氷で精製した試料中に不凍タンパク質が存在しないことを確認した。それぞれの生物からAFGLを単離するための方法論(以下に同定される)は公知である。
下記の実験は、1.0Mジメチルスルホキシド(DMSO)中のAFGLの連続希釈を用いて行い、1.0M DMSO溶液単独と比較した。
簡単に説明すると、ラット平滑筋細胞株A10を96ウェル組織培養プレートに20,000細胞/ウェルで播種し、インキュベーター中に一晩放置した。翌日、プレートを氷上に置き、1.0M DMSO+/−AFGLを添加する前に細胞を0.5Mマンニトールで処理した。プレートを、約6.0℃での核形成工程をも含む、速度制御冷凍庫で1.0℃/分で80℃に冷却する前に、細胞を氷上で約10分間1.0M DMSO+/−AFGLで平衡化させた。プレートを一晩保存し、翌日解凍した。解凍のために、プレートを貯蔵庫(−135℃)から取り出し、20℃で30分間放置し、次にそれを37℃の水浴中に置いて氷上に置く前に急速に解凍した。凍結保護物質溶液を、0.5Mマンニトールを含む細胞培養培地を用いて希釈し、続いて細胞培養培地だけで洗浄した。細胞をインキュベーター内で60分間回復させ、次いでalamarBlueを10%容量で添加し、37℃で3時間放置した。蛍光マイクロプレートリーダーを使用して、励起波長544nmおよび発光波長590mmでプレートを読み取った。細胞生存率は、DMSO単独で凍結保存した細胞に対して計算した。以下の図2にみられるように、細胞生存は、p<0.05で、1:1000のAFGL希釈が有意であるとともに、いくつかの希釈率でAFGLの存在下で大いに改善された。
図2は、DMSO中のTipula trivittat AFGLの段階希釈物を用いた凍結保存後の細胞生存の説明図である。凍結保存する前に、細胞を1M DMSO中のAFGLに曝露した。解凍後、代謝活性をalamarBlueで測定した。細胞生存率(DMSO対照のパーセントで)は、5つの複製の平均(±SEM)として計算した。p<0.05。
次の一連の実験では、A10細胞を96ウェル組織培養プレートに20,000細胞/ウェルで播種し、インキュベーター内に一晩放置した。翌日、プレートを氷上に置き、1:1000希釈の1.0M DMSO+/−AFGLをロードする前に、細胞を0.5Mマンニトールで処理した。次いで、このプレートを、制御された速度のフリーザー中で−1.0℃/分で−80℃に冷却し、これもまた約−6.0℃での核形成工程を含んでいた。プレートを一晩保存し、翌日解凍した。解凍のために、プレートを貯蔵庫(135℃)から取り出し、20℃で30分間放置し、次いでそれを37℃の水浴中に置きそして氷上に置く前に急速に解凍した。凍結保護物質溶液を、0.5Mマンニトールを含む細胞培養培地を用いて希釈し、次いで除去し、続いて細胞培養培地だけで洗浄した。細胞をインキュベーター内で60分間回復させ、次いでalamarBlueを10%容量で添加し、37℃で3時間放置した。蛍光マイクロプレートリーダーを使用して、励起波長544nmおよび発光波長590mmでプレートを読み取った。細胞をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、次いで培地中に一晩放置した。その後の数日間、代謝活性を再びalamarBlueを用いて評価し、凍結保存後の細胞の増殖能の指標を提供した。細胞生存率は、DMSO単独で凍結保存した細胞に対して計算した。図3に示すように、AFGL中で低温保存されたA10細胞は、DMSO単独中で低温保存された細胞よりも優れた生存率を有し、解凍後の連続日で増殖することができ、2日目にプラトーを達成した。
図3は、凍結保存後のA10細胞の細胞生存率および増殖に関するデータを示す。A10細胞を20,000細胞/ウェルでプレーティングし、次いで1.0M DMSO+/−Tipula Trivittat AFGL中で凍結保存した。細胞増殖を測定するために、解凍直後および解凍後数日間、alamarBlueを使用して代謝活性を測定した。細胞生存率(DMSO対照のパーセントで)は、5回の反復試験の平均(±SEM)として計算した。
以下の一連の実験(上記のものと同様)では、昆虫ガガンボ(Tipula trivittat)およびピケウスツヤハダクワガタ(Ceruchus piceus)からの、ならびに植物ソラナム・ドゥルカマラ(Solanum dulcamara)からの1.0M DMSO中のAFGLの連続希釈物を使用して、別の平滑筋細胞株A7R5を凍結保存した。
DMSOと共にAFGL中で凍結保存された細胞を、DMSO単独中で低温保存された細胞と比較した。図4に見られるように、最適希釈は変化したが、異なるAFGL糖脂質のそれぞれは、DMSO単独よりも細胞生存率の改善を示した。図4は、3つの異なるAFGL糖脂質を含むDMSO中での凍結保存後の細胞生存に関して得られたデータを示す。凍結保存する前に、細胞を1M DMSO中のAFGLに曝露した。解凍後、代謝活性をalamarBlueで測定した。細胞生存率(DMSO対照のパーセントで)は、3回の反復実験の平均(±SEM)として計算した。p<0.05
上記の実験において、ガガンボ(Tipula trivittat)から単離されたAFGLを用いて凍結保存されたこれらの細胞は、いくつかの希釈度で改善された生存率を示した。
次に、異なる冷却条件下でAFGL糖脂質が細胞生存率を改善する能力を評価するためにさらなる実験を行った。具体的には、より速い冷却速度が使用され、これは通常、ほとんどの細胞型について生存率の低下を引き起こす。これらの実験では、ガガンボ(Tipula trivittat)、ピケウスツヤハダクワガタ(Ceruchus piceus)、およびソラナム・ドゥルカマラ(Solanum dulcamara)から単離されたAFGLと共に、内皮細胞株CPAEを使用した。さらに、他の3つのAFGL糖脂質を添加し、そしてピケウスツヤハダクワガタ(Ceruchus piceus)の成虫から単離された第2のAFGL、ならびにデンドロイデスカナデンシス(Dendroides canadensis)、およびベニヒラタムシ(Cucujus clavipe)から単離されたAFGLを含めた。細胞を前日の夜に20,000細胞/ウェルでプレーティングし、次いで上記のように1.0M DMSO単独で、または10ppm希釈の各AFGLを含む1.0M DMSO中で翌日凍結保存した。解凍後、生存率をalamarBlueを用いて評価した。結果を図4に示す。これは、4つの昆虫および1つの植物種から得られたAFGLを含むDMSO中での凍結保存後の細胞生存を示し、細胞は凍結保存する前に1M DMSO中の10ppmのAFGLに曝露した。解凍後、代謝活性をalamarBlueで測定した。細胞生存率(DMSO対照のパーセントで)は、6つの複製の平均(±SEM)として計算した。
上記の実験におけるように、凍結保存のためにAFGLが1.0M DMSOと共に含まれている場合、より大きな生存率が観察された。AFGLの存在は、100倍少ないAFGLが使用された場合でさえも改善をもたらした(例えば、図2および4、および凍結保存の条件と比較して、細胞に優しくなかった)。このように、AFGLは、細胞が最適以下の冷却条件下でどれだけうまく生き残るかに大きな影響を与えた。
上記の明細書で言及された全ての刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の範囲および精神から逸脱することなく、記載された本発明の組成物、方法およびシステムの様々な変更および変形は当業者に明らかであろう。本発明を特定の好ましい実施形態に関連して説明してきたが、特許請求の範囲に記載の発明がそのような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことを理解されたい。

Claims (14)

  1. 生細胞材料を保存する方法であって、
    細胞材料を、少なくとも1つの糖脂質および凍結保護物質を少なくとも0.1ppmで含有する培地に少なくとも3時間て少なくとも1つの糖脂質を前記細胞材料の細胞膜と会合させ、
    前記少なくとも1つの糖脂質は、ガガンボ(Tipula trivittat)、ピケウスツヤハダクワガタ(Ceruchus piceus)、ソラナム・ドゥルカマラ(Solanum dulcamara)、デンドロイデスカナデンシス(Dendroides canadensis)、およびベニヒラタムシ(Cucujus clavipe)からなる群から選択される1以上のメンバーから単離される不凍糖脂質であり、
    前記細胞材料は、ケラチノサイト、肝細胞、心筋細胞からなる群から選択され、
    前記培地は凍結保護物質組成物であり、前記凍結保護物質は約0.05M〜約11Mの量で凍結保護物質組成物に存在し、
    前記暴露後、37℃から培地の凍結温度へと、前記細胞材料を、10〜30℃/分の範囲の速度で冷却し、その後、約‐80℃以下の凍結保存温度での凍結保存を含む保存プロトコルに、細胞材料を供することを含む、方法。
  2. 前記少なくとも1つの糖脂質は、ガガンボ(Tipula trivittat)およびデンドロイデスカナデンシス(Dendroides canadensis)からなる群から選択される1以上のメンバーから単離される不凍糖脂質である、請求項1の方法。
  3. 前記保存プロトコルに前記細胞材料が供される前に、6〜72時間の間、前記細胞材料を培地に曝ことを含む、請求項1の方法。
  4. 前記保存プロトコルは、培地中で前記細胞材料を冷却することを含み、
    前記培地は、少なくとも1つの糖脂質を、1ppm750ppmの範囲の濃度で含む、請求項1の方法。
  5. 記凍結保護物質は、アセトアミド、アガロース、アルギン酸塩、アラニン、アルブミン、酢酸アンモニウム、不凍タンパク質、ブタンジオール、コンドロイチン硫酸、クロロホルム、コリン、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジオン、シクロヘキサントリオール、デキストラン、ジエチレングリコール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、エリトリトール、エタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ホルムアミド、グルコース、グリセリン、グリセロリン酸、グリセリルモノアセテート、グリシン、糖タンパク質、ヒドロキシエチルデンプン、イノシトール、ラクトース、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、マルトース、マンニトール、マンノース、メタノール、メトキシプロパンジオール、メチルアセトアミド、メチルホルムアミド、メチル尿素、メチルグルコース、メチルグリセロール、フェノール、プルロニックポリオール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、プロリン、プロパンジオール、ピリジンN−オキシド、ラフィノース、リボース、セリン、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、ソルビトール、ショ糖、トレハロース、トリエチレングリコール、酢酸トリメチルアミン、尿素、バリン、キシロースからなる群から選択される、請求項1の方法。
  6. トレハロース、グルコース、グリセリン、マルトース、マンニトール、マンノース、メチルグルコース、ラフィノース、リボース、スクロース、キシロースからなる群から選択される追加の凍結保護物質が、凍結保護物質組成物に添加される、請求項の方法。
  7. 前記細胞材料は、ケラチノサイトであり
    前記保存プロトコルの完了後の前記細胞材料の細胞生存率(%)は、少なくとも60%である、請求項1の方法。
  8. 前記培地が不凍タンパク質/ペプチドを含まない、請求項1の方法。
  9. 生存可能な凍結保存細胞材料の生産収率を増加させる方法であって、
    少なくとも1つの糖脂質および凍結保護物質を少なくとも0.1ppmで含む培地に、少なくとも3時間、細胞材料を曝して少なくとも1つの糖脂質を前記細胞材料の細胞膜と会合させて凍結保存組成物を形成し、
    前記少なくとも1つの糖脂質は、ガガンボ(Tipula trivittat)、ピケウスツヤハダクワガタ(Ceruchus piceus)、ソラナム・ドゥルカマラ(Solanum dulcamara)、デンドロイデスカナデンシス(Dendroides canadensis)、およびベニヒラタムシ(Cucujus clavipe)からなる群から選択される1以上のメンバーから単離される不凍糖脂質であり、
    前記細胞材料は、ケラチノサイト、肝細胞、心筋細胞からなる群から選択され、
    前記培地は凍結保護物質組成物であり、前記凍結保護物質は約0.05M〜約11Mの量で凍結保護物質組成物に存在し、
    約‐80℃以下の凍結保存温度での凍結保存を含む保存プロトコルに、前記凍結保存組成物を供し、前記保存プロトコルは、約‐6.0℃/分よりも速い速度で、前記細胞材料を冷却することを含み、
    前記保存プロトコルの完了後に、前記凍結保存細胞材料を回復させ、該回復させた凍結保存細胞材料の細胞生存率(%)は、少なくとも60%である、方法。
  10. 前記回復させた凍結保存細胞材料は、改善された増殖成長を示す、請求項の方法。
  11. 前記回復させた凍結保存細胞材料の細胞生存率(%)は、DMSO単独で凍結保護物質として使用する以外は同一条件下で保存プロトコルを実施することによって達成される細胞生存率(%)より少なくとも3桁大きい、請求項の方法。
  12. 前記冷却の速度が、約‐6〜約‐10℃/分の範囲であり、
    記凍結保護物質は、アセトアミド、アガロース、アルギン酸塩、アラニン、アルブミン、酢酸アンモニウム、不凍タンパク質、ブタンジオール、コンドロイチン硫酸、クロロホルム、コリン、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジオン、シクロヘキサントリオール、デキストラン、ジエチレングリコール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、エリトリトール、エタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ホルムアミド、グルコース、グリセリン、グリセロリン酸、グリセリルモノアセテート、グリシン、糖タンパク質、ヒドロキシエチルデンプン、イノシトール、ラクトース、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、マルトース、マンニトール、マンノース、メタノール、メトキシプロパンジオール、メチルアセトアミド、メチルホルムアミド、メチル尿素、メチルグルコース、メチルグリセロール、フェノール、プルロニックポリオール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、プロリン、プロパンジオール、ピリジンN−オキシド、ラフィノース、リボース、セリン、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、ソルビトール、ショ糖、トレハロース、トリエチレングリコール、酢酸トリメチルアミン、尿素、バリン、キシロースからなる群から選択される、請求項の方法。
  13. トレハロース、グルコース、グリセリン、マルトース、マンニトール、マンノース、メチルグルコース、ラフィノース、リボース、スクロース、キシロースからなる群から選択される追加の凍結保護物質が、凍結保護物質組成物に添加される、請求項12の方法。
  14. 前記細胞材料が、ケラチノサイトである、請求項12の方法。

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