JP6954224B2 - 全固体電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、全固体電池の製造方法に関する。
全固体電池は、正極層および負極層の間に固体電解質層を有する電池であり、可燃性の有機溶媒を含む電解液を有する液系電池に比べて、安全装置の簡素化が図りやすいという利点を有する。
例えば、特許文献1においては、電池前駆体を作製する組み立て工程と、その電池前駆体に対して、環境温度15℃以上、50℃以下の範囲内で最初の充電を行う初回充電工程とを有する固体電解質電池の製造方法が開示されている。また、特許文献2においては、40℃〜60℃の温度環境下で、電池に0.1MPa〜10MPaの拘束圧を付与しながら、定電圧充電を行う定電圧充電工程を有する全固体二次電池の製造方法が開示されている。さらに、特許文献3には、最初の充電において、0.3C以上3.6C以下で3.6Vまで定電流充電を行ったときの充電容量が50mAh/g以上90mAh/g以下である、全固体電池が開示されている。
一方、全固体電池に関する技術ではないものの、特許文献4においては、合金系負極へのプレドープを低充電レートで行うプレドープ工程と、初回充電をプレドープ時よりも高い充電レートで行う初回充電工程と、を有するリチウムイオン蓄電デバイスの製造方法が開示されている。
特開2002−367676号公報 特開2016−081790号公報 特開2014−137868号公報 特開2012−212629号公報
Si系負極活物質は理論容量が大きいため、Si系負極活物質を用いた全固体電池は高エネルギー密度化を図りやすい。一方、Si系負極活物質は充放電時の体積変化が大きいため、充放電サイクルによる抵抗増加が生じやすい傾向にある。そのため、充放電サイクルによる抵抗増加を抑制した全固体電池が望まれている。また、製造設備コストの観点から、初期充電時間の短縮が望まれている。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、初期充電時間の短縮を図りつつ、充放電サイクルによる抵抗増加を抑制した全固体電池を得ることが可能な全固体電池の製造方法を提供することを主目的とする。
本開示においては、Si系負極活物質を含有する負極層を有する全固体電池に対して、環境温度30℃以上60℃以下、充電レート1C以上4C未満の条件で初期充電を行う初期充電工程を有する、全固体電池の製造方法を提供する。
本開示によれば、所定の環境温度および充電レートで初期充電を行うことで、初期充電時間の短縮を図りつつ、充放電サイクルによる抵抗増加を抑制した全固体電池を得ることできる。
本開示においては、初期充電時間の短縮を図りつつ、充放電サイクルによる抵抗増加を抑制した全固体電池を得ることができるという効果を奏する。
本開示の全固体電池の製造方法の一例を示すフローチャートである。 本開示における全固体電池の一例を示す概略断面図である。 実施例1〜3および比較例2における抵抗増加率の結果を示すグラフである。 実施例1〜3および比較例2における初期放電容量の結果を示すグラフである。 実施例1、4および比較例3、4における初期抵抗の結果を示すグラフである。
以下、本開示の全固体電池の製造方法について詳細に説明する。
図1は、本開示の全固体電池の製造方法の一例を示すフローチャートである。まず、Si系負極活物質を含有する負極層を有する全固体電池(初期充電前の全固体電池)を準備する。この全固体電池に対して、所定の環境温度および充電レートで、初期充電を行う(初期充電工程)。これにより、初期充電後の全固体電池が得られる。
図2は、本開示における全固体電池の一例を示す概略断面図である。図2に示される全固体電池10は、正極層1、固体電解質層3および負極層2をこの順に有する電池である。さらに、全固体電池10は、正極層1の集電を行う正極集電体4と、負極層2の集電を行う負極集電体5と、電池ケース6とを有する。
本開示によれば、所定の環境温度および充電レートで初期充電を行うことで、初期充電時間の短縮を図りつつ、充放電サイクルによる抵抗増加を抑制した全固体電池を得ることできる。ここで、上述したように、Si系負極活物質を用いた全固体電池は、高エネルギー密度化を図りやすい。一方、Si系負極活物質は、充放電時の体積変化が大きいため、充放電サイクルによる抵抗増加が生じやすい傾向にある。
そこで、本発明者等が鋭意研究を進めたところ、初期充電の際に、Si系負極活物質に特定のLi吸蔵場を積極的に形成することで、充放電サイクルによる抵抗増加を抑制できるという知見を得た。具体的には、初期充電時にSi系負極活物質がLiと反応し合金を形成するが、その後の放電により、合金化したSi系負極活物質からLiが脱離する。その脱離部分はアモルファス化して残存し、Liと優先的に反応する。そのため、このようなLi吸蔵場を積極的に形成することで、Liと反応する際の応力集中が緩和され、抵抗増加が抑制される。本開示においては、初期充電時の環境温度を従来よりも高くすることで、Li吸蔵場の形成反応を促進でき、充放電サイクルによる抵抗増加を抑制できる。
また、充電レートが低いと、Liイオンの拡散反応ではなく、活物質とLiイオンとの反応が律速となり、Li吸蔵場が均一に形成されやすい。これに対して、充電レートが高いと、活物質とLiイオンとの反応が律速になり、Li吸蔵場が偏って形成されやすい。具体的には、固体電解質層に近い位置に存在するSi系負極活物質のみがLiと反応するため、Li吸蔵場が偏って形成されやすい。その結果、Liと反応する際の応力集中が緩和されにくくなり、充放電サイクルによる抵抗増加が生じやすくなる。これに対して、本開示においては、初期充電時の環境温度を従来よりも高くすることで、Li吸蔵場が偏って形成されることを抑制できる。そのため、高い充電レートで初期充電を行った場合であっても、充放電サイクルによる抵抗増加を抑制した全固体電池を得ることができる。
さらに、本開示においては、高い充電レートで初期充電を行うことで、初期充電時間の短縮を図ることできる。例えば、低い充電レートで初期充電を行うと、初期充電の時間が長くなる。その場合、電池生産規模が大きくなるに従い、充放電設備(例えば、電源ユニット数、電池拘束治具数、充放電設備棚数、設置面積)が大規模になり、製造設備コストが急激に増加する。これに対して、本開示においては、高い充電レートで初期充電を行った場合であっても、充放電サイクルによる抵抗増加を抑制した全固体電池を得ることができる。そのため、初期充電時間の短縮を図ることができ、製造設備コストの増加を抑制できる。また、本開示においては、初期充電における環境温度の上限を特定することで、正極活物質の劣化に起因する初期放電容量の低下を抑制できる。
本開示の全固体電池の製造方法は、Si系負極活物質を含有する負極層を有する全固体電池に対して、所定の環境温度および充電レートで初期充電を行う初期充電工程を有する。初期充電工程は、全固体電池を活性化する活性化工程として捉えることもできる。また、本開示において、「初期」と「初回」とは明確に区別される。「初期」は「初回」を含む概念であるが、「初回」よりも広い概念である。例えば、初回充電は、文字通り、1回目の充電を意味するが、初期充電は、必ずしも1回目の充電である必要はない。例えば、権利侵害回避を目的として、上記条件に合致しない充放電を数回行った場合であっても、その後、上記条件に合致する充電を行った場合には、その工程が、本開示における初期充電工程に該当する。初期充電は、例えば、1回目以上、10回目以下の充電であることが好ましい。
1.充電条件
本開示においては、所定の環境温度および充電レートで初期充電を行う。初期充電時の環境温度は、通常、30℃以上であり、35℃以上であってもよく、40℃以上であってもよい。初期充電時の環境温度が低すぎると、Li吸蔵場の形成反応が促進されない可能性がある。一方、初期充電時の環境温度は、通常、60℃以下であり、55℃以下であってもよい。初期充電時の環境温度が高すぎると、正極活物質の劣化に起因する初期放電容量の低下が生じる可能性がある。なお、全固体電池は、正確な品質検査をすること等を目的として、通常は、温度および湿度が調整された環境で製造される。そのため、例えば夏季で外気温が高い場合であっても、全固体電池の製造は、より温度が低く調整された環境で製造される。
また、初期充電時の充電レートは、通常、1C以上であり、1.5C以上であってもよく、2C以上であってもよい。充電レートが低すぎると、初期充電時間の短縮を図れない可能性がある。一方、初期充電時の充電レートは、通常、4C未満であり、3.5C以下だってもよく、3C以下であってもよい。充電レートが高すぎると、充放電サイクルによる抵抗増加を抑制できない可能性がある。なお、充電レートとは、電池容量に対する充電電流値の相対的な比率をいう。例えば、定各容量40Ahの電池において、充電レート1Cでの充電とは40Aでの充電を意味する。
初期充電工程においては、所定の高い電池電圧まで充電を行うことが好ましい。初期充電時の電池電圧を高くすることで、Li吸蔵場をより多く形成できる。本開示においては、電池電圧が4.45Vより大きくなるまで初期充電を行うことが好ましく、電池電圧が4.50V以上になるまで初期充電を行うことがより好ましく、電池電圧が4.55V以上になるまで初期充電を行うことがさらに好ましい。初期充電時の電池電圧が高すぎると、正極活物質の劣化に起因する初期放電容量の低下が生じる可能性がある。また、初期充電方法は、特に限定されず、一般的な充放電装置を用いる方法を採用できる。
2.全固体電池
本開示における全固体電池は、正極層および負極層の間に固体電解質層を有する電池である。さらに、負極層は、Si系負極活物質を少なくとも含有する。全固体電池は、正極層の集電を行う正極集電体と、負極層の集電を行う負極集電体とを有することが好ましい。また、初期充電前の全固体電池は、自ら全固体電池を作製することで準備してもよく、他者から購入することで準備してもよい。
(1)負極層
本開示における負極層は、少なくともSi系負極活物質を含有する層である。また、負極層は、必要に応じて、固体電解質、導電助剤およびバインダーの少なくとも一つをさらに含有していてもよい。
Si系負極活物質は、Si元素を含有し、Liと合金化可能な活物質である。Si系負極活物質としては、例えば、Si単体、Si合金が挙げられる。Si合金は、Si元素を主成分として含有することが好ましい。Si合金中のSi元素の割合は、例えば、50mol%以上であってもよく、70mol%以上であってもよく、90mol%以上であってもよい。
Si系負極活物質の平均粒径(D50)は、特に限定されないが、例えば10nm以上であり、100nm以上であってもよい。一方、Si系負極活物質の平均粒径(D50)は、例えば50μm以下であり、20μm以下であってもよい。
負極層におけるSi系負極活物質の割合は、例えば、20体積%以上であり、30体積%以上であってもよく、40体積%以上であってもよい。一方、Si系負極活物質の割合は、例えば、80体積%以下であり、70体積%以下であってもよく、60体積%以下であってもよい。
上記固体電解質としては、例えば、硫化物固体電解質、酸化物固体電解質等の無機固体電解質が挙げられる。硫化物固体電解質としては、例えば、LiS−P、LiS−P−LiPO、LiI−P−LiPO、LiS−P−LiI、LiS−P−LiI−LiBr、LiS−P−LiO、LiS−P−LiO−LiI、LiS−P、LiI−LiS−P、LiS−SiS、LiS−SiS−LiI、LiS−SiS−LiI−LiBr、LiS−SiS−LiBr、LiS−SiS−LiCl、LiS−SiS−B−LiI、LiS−SiS−P−LiI、LiS−B、LiS−P−Z(ただし、m、nは正の数。Zは、Ge、Zn、Gaのいずれか。)、LiS−GeS、LiS−SiS−LiPO、LiS−SiS−LiMO(ただし、x、yは正の数。Mは、P、Si、Ge、B、Al、Ga、Inのいずれか。)が挙げられる。なお、上記「LiS−P」の記載は、LiSおよびPを含む原料組成物を用いてなる硫化物固体電解質を意味し、他の記載についても同様である。
上記導電助剤としては、例えば、炭素材料が挙げられる。炭素材料としては、例えば、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(KB)等の粒子状炭素材料、炭素繊維、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー(CNF)等の繊維状炭素材料が挙げられる。負極層における導電助剤の割合は、特に限定されず、適宜設定することができる。一方、導電助剤の割合を多くすることで、高い充電レートで初期充電を行った場合であっても、Li吸蔵場が偏って形成されることを抑制できる。負極層における導電助剤の割合は、例えば4.2体積%以上であり、4.8体積%以上であってもよく、7.0体積%以上であってもよい。一方、導電助剤の割合は、例えば9.2体積%以下であり、8.1体積%以下であってもよい。
上記バインダーとしては、例えば、ブチレンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴム系バインダー、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ化物系バインダーが挙げられる。また、負極層の厚さは、例えば1μm以上であり、3μm以上であってもよい。一方、負極層の厚さは、例えば300μm以下であり、100μm以下であってもよい。
(2)正極層
本開示における正極層は、少なくとも正極活物質を含有する層である。また、正極層は、必要に応じて、固体電解質、導電助剤およびバインダーの少なくとも一つをさらに含有していてもよい。
正極活物質としては、例えば酸化物活物質が挙げられる。酸化物活物質としては、例えば、LiCoO、LiMnO、LiNiO、LiVO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3等の岩塩層状型活物質、LiMn、LiTi12、Li(Ni0.5Mn1.5)O等のスピネル型活物質、LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCoPO等のオリビン型活物質が挙げられる。また、酸化物活物質として、例えば、Li1+xMn2−x−y(Mは、Al、Mg、Co、Fe、Ni、Znの少なくとも一種であり、0<x+y<2)で表されるLiMnスピネル活物質、チタン酸リチウムを用いてもよい。
正極活物質の表面には、Liイオン伝導性酸化物を含有するコート層が形成されていることが好ましい。正極活物質と固体電解質との副反応を抑制できるからである。Liイオン伝導性酸化物としては、例えば、LiNbO、LiTi12、LiPOが挙げられる。コート層の厚さは、例えば0.1nm以上であり、1nm以上であってもよい。一方、コート層の厚さは、例えば100nm以下であり、20nm以下であってもよい。また、正極活物質表面におけるコート層の被覆率は、例えば50%以上であり、80%以上であることが好ましい。
正極層に用いられる固体電解質、導電助剤およびバインダーについては、上述した負極層における場合と同様である。正極層の厚さは、例えば1μm以上であり、3μm以上であってもよい。一方、正極層の厚さは、例えば300μm以下であり、100μm以下であってもよい。
(3)固体電解質層
本開示における固体電解質層は、正極層および負極層の間に形成される層である。また、固体電解質層は、少なくとも固体電解質を含有し、必要に応じて、バインダーをさらに含有していてもよい。
固体電解質層に用いられる固体電解質およびバインダーについては、上述した負極層における場合と同様である。また、固体電解質層における固体電解質の含有量は、例えば10重量%以上であり、50重量%以上であってもよい。一方、固体電解質層における固体電解質の含有量は、100重量%であってもよく、100重量%未満であってもよい。固体電解質層の厚さは、例えば0.1μm以上であり、1μm以上であってもよい。固体電解質層の厚さは、例えば300μm以下であり、100μm以下であってもよい。
(4)その他の構成
本開示における全固体電池は、通常、正極層の集電を行う正極集電体、および負極層の集電を行う負極集電体を有する。正極集電体の材料としては、例えば、SUS、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタンおよびカーボンが挙げられる。一方、負極集電体の材料としては、例えば、SUS、銅、ニッケルおよびカーボンが挙げられる。なお、正極集電体および負極集電体の厚さ、形状については、電池の用途に応じて適宜選択することが好ましい。また、本開示に用いられる電池ケースには、一般的な電池の電池ケースを用いることができ、例えばSUS製電池ケースが挙げられる。
また、本開示における全固体電池は、少なくとも正極層、固体電解質層および負極層に対して、厚さ方向に拘束圧を付与する拘束治具を有していてもよい。拘束圧は、例えば3MPa以上であり、5MPa以上であってもよい。一方、拘束圧は、例えば100MPa以下であり、50MPa以下であってもよく、20MPa以下であってもよい。
(5)全固体電池
本開示における全固体電池は、初期充電により、Si系負極活物質の一部がアモルファス化する。すなわち、初期充電前後で、Si系負極活物質のアモルファス化率が増加する。アモルファス化率は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)による観察で求めることができる。
また、本開示における全固体電池は、一次電池であってもよく、二次電池であってもよいが、後者が好ましい。繰り返し充放電でき、例えば車載用電池として有用だからである。なお、二次電池には、二次電池の一次電池的使用(充電後、一度の放電だけを目的とした使用)も含まれる。全固体電池の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型および角型が挙げられる。
また、本開示における全固体電池は、正極層、固体電解質層および負極層の発電要素を一つのみ有していてもよく、二以上有していてもよい。後者の場合、複数の発電要素は、並列接続されていてもよく、直列接続されていてもよい。
3.全固体電池システムの製造方法
本開示においては、Si系負極活物質を含有する負極層を有する全固体電池と、上記全固体電池の充放電を制御する制御装置とを有する全固体電池システムの製造方法であって、特定の環境温度および充電レートで初期充電を行う初期充電工程を有する、全固体電池システムの製造方法することができる。
初期充電工程については、基本的に、上述した内容と同様である。また、初期充電工程では、制御装置により制御される電池電圧によりも高い電圧まで初期充電を行うことが好ましい。制御装置は、電池電圧の上限を制御する機能を少なくとも有する。すなわち、通常使用時の充電によって電池電圧が増加した際に、所定の値になった段階で充電を停止する。電池電圧の上限は、通常、4.35V以下であり、4.30V以下であってもよく、4.25V以下であってもよい。また、制御装置は、電池電圧の下限を制御する機能を有することが好ましい。すなわち、通常使用時の放電によって電池電圧が低下した際に、所定の値になった段階で放電を停止する。電池電圧の下限は、全固体電池システムの用途に応じて適宜設定され、特に限定されないが、例えば2V以上であり、2.5V以上であってもよく、3.0V以上であってもよい。本開示においては、一般的な制御装置を用いることができる。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
[製造例]
(負極層の作製)
ポリプロピレン(PP)製容器に、ヘプタンと、ブチレンゴム(BR)系バインダーを5重量%の割合で含有するヘプタン溶液と、負極活物質(Si)と、硫化物固体電解質(LiIを含むLiS−P系ガラスセラミックス、平均粒径D50=1.5μm)と、導電助剤(VGCF)とを添加し、超音波分散装置(エスエムテー製 UH−50)で30秒間撹拌した。その後、振とう器(柴田科学株式会社制、TTM−1)で30分間振とうした。これにより負極スラリーを得た。得られた負極スラリーを、アプリケーターを使用してブレード法にて負極集電体(Cu箔)上に塗工し、100℃のホットプレート上で30分間乾燥した。以上により、負極層および負極集電体を有する負極積層体を得た。
(正極層の作製)
ポリプロピレン(PP)製容器に、ヘプタンと、ブチレンゴム(BR)系バインダーを5重量%の割合で含有するヘプタン溶液と、正極活物質(LiNi1/3Co1/3Mn1/3、平均粒径D50=4μm)と、硫化物固体電解質(LiIを含むLiS−P系ガラスセラミックス、平均粒径D50=0.8μm)と、導電助剤(VGCF)とを添加し、超音波分散装置(エスエムテー製 UH−50)で30秒間撹拌した。その後、振とう器(柴田科学株式会社制、TTM−1)で3分間振とうした。さらに、超音波分散装置で30秒間撹拌し、振とう器で3分間振とうした。これにより、正極スラリーを得た。得られた正極スラリーを、アプリケーターを使用してブレード法にて正極集電体(Al箔、昭和電工社製SDX)上に塗工し、100℃のホットプレート上で30分間乾燥した。以上により、正極層および正極集電体を有する正極積層体を得た。
(固体電解質層の作製)
ポリプロピレン(PP)製容器に、ヘプタンと、ブチレンゴム(BR)系バインダーを5重量%の割合で含有するヘプタン溶液と、硫化物固体電解質(LiIを含むLiS−P系ガラスセラミックス)とを添加し、超音波分散装置(エスエムテー社製UH−50)で30秒間撹拌した。その後、振とう器(柴田科学社製TTM−1)で30分間振とうした。これにより、固体電解質スラリーを得た。得られたスラリーを、アプリケーターを使用してブレード法にて剥離シート(Al箔)上に塗工し、100℃のホットプレート上で30分間乾燥した。以上により、固体電解質層および剥離シートを有する転写部材を得た。同様の方法で、転写部材を合計3つ準備した。
(評価用電池の作製)
負極積層体および転写部材を、負極層および固体電解質層が接するように配置した。得られた積層体をロール間ギャップ100μm、送り速度0.5m/minの条件で、ロールプレスを用いて5kN/cmの圧力を印加した。その後、剥離シートを剥がし、第一積層体を得た。次に、正極積層体および転写部材を、正極層および固体電解質層が接するように配置した。得られた積層体をロール間ギャップ100μm、送り速度0.5m/minの条件で、ロールプレスを用いて5kN/cmの圧力を印加した。その後、剥離シートを剥がし、第二積層体を得た。
第一積層体および第二積層体を円形に打ち抜いた。第一積層体および転写部材を、第一積層体の固体電解質層と、転写部材の固体電解質層とが接するように配置し、転写部材の剥離シートを剥がし、第三積層体を得た。次に、第三積層体および第二積層体を、第三積層体の固体電解質層と、第二積層体の固体電解質層とが接するように配置した。得られた積層体を、温度130℃、圧力200MPaの条件でプレスした。得られた積層体に拘束治具を用いて10MPaの拘束圧を付与し、評価用電池を得た。
[実施例1]
製造例1で得られた評価用電池に対して、以下の条件で充放電を行った。なお、特に断りがない限り、各操作における環境温度は25℃とした。まず、初回充電として、環境温度40℃、0.5時間率(2C)で、4.55Vまで定電流−定電圧充電(終止電流1/100C)を行った。次に、初回放電として、2.5Vまで定電流−定電圧放電を行った。次に、4.35Vまで定電流−定電圧充電を行い、2.5Vまで定電流−定電圧放電を行うことで、初期放電容量を求めた。次に、SOC(state of charge)の調整のため、3.9Vまで定電流−定電圧充電を行い、3.7Vまで定電流−定電圧放電を行った。次に、電流値17.15mA/cmで5秒間放電し、その前後の電圧変化ΔVを電流値で除することで、初期抵抗を求めた。次に、0.5時間率(2C)で4.22Vまで充電した後に3.14Vまで放電を行うサイクルを300回繰り返した。次に、SOC(state of charge)の調整のため、3.9Vまで定電流−定電圧充電を行い、3.7Vまで定電流−定電圧放電を行った。次に、電流値17.15mA/cmで5秒間放電し、その前後の電圧変化ΔVを電流値で除することで、サイクル試験後の抵抗を求めた。初期抵抗に対するサイクル試験後の抵抗の割合を、抵抗増加率とした。
[実施例2]
初回充電における環境温度を50℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして充放電を行った。
[実施例3]
初回充電における環境温度を60℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして充放電を行った。
[比較例1]
初回充電における環境温度を25℃とし、初回充電における充電レートを10時間率(0.1C)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして充放電を行った。
[比較例2]
初回充電における環境温度を25℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして充放電を行った。実施例1〜3および比較例2における抵抗増加率および初期放電容量の結果を、それぞれ図3および図4に示す。なお、図3における抵抗増加率は、比較例1における抵抗増加率を1とした場合の相対値である。また、図4における初期放電容量は、比較例1における初期放電容量を1とした場合の相対値である。
図3に示すように、実施例1〜3では、比較例2に比べて、サイクル試験後の抵抗増加率が低かった。これは、初回充電温度(初回充電時の環境温度)を上げることで、負極層に含まれる固体電解質のLiイオン伝導度が増加し、負極活物質(Si)におけるLi吸蔵場量が増加したためであると推測される。また、実施例1および比較例2の結果から、例えば初回充電温度が30℃である場合でも、サイクル試験後の抵抗増加率が低くなることが示唆された。また、図4に示すように、実施例1〜3の初期放電容量は、比較例2の初期放電容量とほぼ同等であった。なお、実施例1〜3を比べると、初回充電温度が高くなるほど、初期放電容量が若干低下する傾向が見られた。初回充電温度が高すぎると、正極活物質の劣化が生じ、初期放電容量が低下すると推測される。一方、初回充電温度が60℃以下である場合、初期放電容量が低下しにくいことが示唆された。
[実施例4]
初回充電における充電レートを0.33時間率(3C)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして充放電を行った。
[比較例3]
初回充電における充電レートを10時間率(0.1C)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして充放電を行った。
[比較例4]
初回充電における充電レートを0.25時間率(4C)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして充放電を行った。実施例1、4および比較例3、4における初期抵抗の結果を図5に示す。なお、図5における初期抵抗は、比較例1における初期抵抗を1とした場合の相対値である。
図5に示すように、充電レート高い実施例1、4は、充電レート高い比較例3と同等の初期抵抗が得られた。すなわち、充電レートを増加させても、初期抵抗の増加が抑制された。これは、初回充電温度(初回充電時の環境温度)を上げることで、負極層に含まれる固体電解質のLiイオン伝導度が増加し、高い充電レートであっても、Liイオンの拡散反応が律速になることを抑制できたためであると推測される。また、実施例1および比較例3の結果から、例えば初回充電レートが1Cである場合でも、初期抵抗の増加が抑制されることが示唆された。一方、比較例4では、初期抵抗が大幅に増加した。充電レートが高すぎると、Liイオンの拡散反応が律速になるためであると推測される。そのため、初回充電レートは4C未満であることが好ましいことが確認された。
1 … 正極層
2 … 負極層
3 … 固体電解質層
4 … 正極集電体
5 … 負極集電体
10 … 全固体電池

Claims (1)

  1. Si系負極活物質を含有する負極層を有する全固体電池に対して、環境温度40℃以上60℃以下、充電レートC以上3C以下の条件で初期充電を行う初期充電工程を有する、全固体電池の製造方法。
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