JP6951127B2 - 自動列車防護システム - Google Patents
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Description
また、特殊信号発光機は、信号の現示が800m以上の距離から連続して確認できるように設けること、地形等の事由により800m以上の距離から連続して確認することができない場合は2基以上設けることが定められている。しかも、特殊信号発光機は、線区ごとに、また複線区間の場合には上り線、下り線ごとに設けられる。そのため、地形等によっては非常に多くの発光機が設置されることがある。
なお、従来の踏切保安システムは、一つの踏切保安設備を1つの踏切制御装置が独立して制御する構成が採用されており、踏切保安設備には、始動点制御子と終止点制御子とが設けられ、始動点制御子が列車の進入を検知すると踏切制御装置が遮断機や警報機等を作動させる一方、終止点制御子が列車の通過を検知すると機器の作動を解除する制御を行なっている。
このうち、特許文献1の発明は、踏切における遮断桿の遮断未了などの異常を地上信号設備から踏切の識別番号と共に車上装置に伝送し、車上装置は、踏切の外方(手前位置)で停止するブレーキパターン群の中から、自列車位置と踏切の識別番号に応じてブレーキパターンを選択し、当該ブレーキパターンに沿った列車速度制御を実施することで列車を停止させるというものである。
また、特許文献2の発明にあっては、地上子から車上装置へ停止信号を送信し、停止信号を受信した車上装置が速度照査パターンを作成するため、列車が地上子を通過してから特殊信号発光機の故障等の異常が発生すると、ブレーキ制御が間に合わないという課題がある。
本発明の他の目的は、列車に対する情報信号を送信する地上子の設置個所を列車が通過した後に踏切支障が発生した場合にも列車を安全に停止させることができる自動列車防護システムを提供することにある。
ブレーキ装置に対する制御信号を生成する車上制御部と、防護パターンを生成するための情報を記憶する記憶装置と、軌道上に設置されている地上子から情報を読み取り可能な情報受信部と、モニタ装置と、を有する車上装置と、
踏切近傍に設けられている踏切支障報知装置からの信号に基づいて踏切内に異常があることを示す情報信号を生成し出力可能な地上装置と、
を備えた自動列車防護システムであって、
前記地上装置は、レールに所定の情報を含む電流信号を送信可能なレール伝送送信器を備え、
前記車上装置は、レールに流れる電流によって生じる磁界を検知して電流に含まれる情報信号を受信するための受電器と、列車速度を検出するための速度検出手段と、を備え、
前記車上制御部は、
前記情報受信部により前記地上子からの情報を受信すると前記記憶装置より所定の情報を読み出して防護パターンを生成し、速度制御目標として設定し、
前記受電器により前記地上装置から送信された踏切支障に関する情報を受信し、踏切支障が発生していると判定した場合に、前記モニタ装置により踏切支障を知らせる報知を行わせるとともに、前記防護パターンおよび前記速度検出手段からの検出信号に基づいて前記ブレーキ装置を制御して列車速度の減速制御を行うように構成したものである。
上記のような構成によれば、列車が踏切に近づいた時点で踏切支障が発生していない場合には、ブレーキをかけることなく踏切を通過することができる。また、仮に防護パターンを消去したとしても踏切支障に関する情報を受信することで非常停止を実行することで、列車に対する情報信号を送信する地上子の設置個所を列車が通過した後に踏切支障が発生した場合にも列車を安全に停止させることができる。
かかる構成によれば、踏切制御回路を含む地上装置が故障している場合に、列車を停止させることができ、これにより踏切内の安全を担保することができる。
かかる構成によれば、短い距離をおいて複数の踏切が連続する区間において、特殊信号発光機を設けることなく、比較的簡単な制御で踏切支障が発生した際に列車を安全に停止させることができる。
かかる構成によれば、減速した状態で踏切に接近し、運転士が目視で安全を確認しつつ、異常があれば直ちに手動で列車を停止させることができるため、踏切内の安全を担保しつつ列車の大幅な遅延を防止することができる。
(第1実施例)
図1(A)は本発明に係る自動列車防護システムの第1実施例の構成を示すシステム構成図である。自動列車防護システムは、図1(A)に示すように、列車10に搭載された車上装置11およびモニタ装置12と、踏切の警報機や遮断機を制御するため踏切近傍に設けられている地上装置20とにより構成される。特殊信号発光機は使用されておらず、同等の機能が以下に説明する手段によって達成される。モニタ装置12は、単なるランプ(赤色等)であってもよいし、ランプとスピーカがセットで設けられているものでも良い。
また、レールを通して送信されるATC(自動列車制御)の信号波を受信する受電器を搭載した車両のみが走行する路線においては、ATCの電文を生成して信号波として送信するようにレール伝送送信器22を構成しても良い。
車上装置11は、図1(B)に示すように、上記受電器13Aに接続され踏切近傍に設けられている地上装置20のレール伝送送信器22により送信された電文を受信するレール伝送受信部14と、上記車上子13Bに接続され地上子30から情報を読み取る受信制御部15を備えている。
車上制御部16は、先ず受信制御部15を作動させ(ステップS1)、地上子30から情報を受信つまり踏切直前の地上子を検知したか否か判定する(ステップS2)。ここで、踏切直前の地上子を検知していない(No)ときはステップS1へ戻って再度先ず受信制御部15を作動させて地上子30の検知を繰り返す。
ここで、「踏切支障あり」の情報を受信した(Yes)と判定すると、ステップS6へ進み、車上のモニタ装置12によって音と光により「踏切支障あり」の報知を行い、運転士によるブレーキ操作がなければ、ステップS3で読み出した防護パターンに従って、ブレーキ装置18に対して制御信号を生成し出力するブレーキ制御を実行し(ステップS7)、処理を終了する。
なお、上記防護パターンは、地上子の設置位置が同じ条件(距離)であれば踏切にかかわらず共通のパターンとしても良いし、踏切ごとに異なっていても良い。列車は走行距離から自己の位置を把握しているため次に接近する踏切を認識できるので、メモリに踏切ごとの防護パターンを記憶しておくことで、踏切ごとに異なる対応をすることができる。
また、上記ステップS9で、「踏切支障あり」の情報を受信していない(No)と判定すると、ステップS11へ移行して、走行距離から、踏切を通過したか否か判定する。そして、踏切を通過していない(No)と判定するとステップS9へ戻る一方、踏切を通過した(Yes)と判定すると、ステップS12へ進み、レール伝送受信部14の動作を停止させ処理を終了する。
この変形例は、図2のステップS4とS5との間に、レール伝送受信部14からの信号の受信があったか否か判定するステップS5Aを設けて、地上装置20のレール伝送送信器22からの信号の受信そのものがないと判定した場合には、直ちにステップS10へ移行して緊急停止制御を実行するようにしたものである。また、レール伝送信号の受信があった場合には、ステップS5Bで、受信した信号が「踏切支障ありの信号」か「踏切支障なしの信号」かを、判定しているようにしている。それ以外は、図2の処理と同じである。これにより、地上装置20が故障してレール伝送信号の送信がなくなった場合に、列車を停止させて安全を確保することができる。
図4には、本発明に係る自動列車防護システムの第2実施例のシステム構成が示されている。第2実施例は、本発明に係る自動列車防護システムを、短い距離の区間に連続して複数踏切が設けられている特殊な区間に適用したものである。具体的には、2つの踏切間の距離が例えば800m未満である区間に適用する。なお、踏切の数は2つに限定されず、3つ以上の踏切が短い距離をおいて連続して設けられている場合にも適用することができる。
上記のように、一方の踏切から踏切支障の有無を知らせる信号を送信するようにしているのは、800m未満のような短い区間に2つ以上の踏切が存在する場合に、前記第1実施例を適用して、それぞれの踏切から踏切支障発生の信号を送信し、それらの信号を列車側で受けて制御しようとすると、両方の信号が重なる区間では信号がどちらの踏切からのものであるかを識別する必要があり、制御が複雑になるためである。
図5には、第2実施例の自動列車防護システムの変形例のシステム構成が示されている。この変形例は、本発明に係る自動列車防護システムを、第2実施例と同様に、連続して複数の踏切が設けられている区間に適用したものである。
本変形例においては、図5に示すように、踏切Aの手前に、踏切A用の地上子30Aと踏切B用の地上子30Bが設置され、それぞれ地上子30A,30Bから防護パターンを生成するための情報(踏切A,Bの識別情報、踏切A,Bまでの距離情報、制御範囲)が送信されるように構成されている。他の構成は、図4に示す実施例と同じであり、踏切Bの地上装置20Bにレール伝送送信器22が設けられ、このレール伝送送信器22によって踏切支障の有無を知らせる情報(踏切A,Bの識別情報、踏切A,Bの発報情報、踏切A,Bの遮断情報)を含む信号がレール上へ送信される。
なお、図4および図5には、連続して2つの踏切が設けられている場合を示したが、比較的短い区間に連続して3つ以上の踏切が設けられている場合も、上記と同様にして、列車から最も遠い側の踏切に設置されている地上装置にレール伝送送信器22を設け、このレール伝送送信器22によって3つの踏切に関して踏切支障の有無を知らせる情報を含む信号がレール上へ送信されるように構成しても良い。
さらに、前記実施形態では、列車が踏切の手前に設置されている地上子30を検知した後は、レール伝送方式で踏切支障情報を伝送するようにしているが、レール伝送方式の代わりに簡易な近距離無線通信で踏切支障情報を伝送するようにしても良い。
12 モニタ装置
13A 受電器
13B 車上子
14 レール伝送受信部
15 受信制御部(情報受信部)
16 車上制御部
17 記憶装置
20 地上装置
21 踏切制御回路
22 レール伝送送信器
23 通信処理部
30 地上子
31 踏切支障報知装置
32 ネットワーク
Claims (5)
- ブレーキ装置に対する制御信号を生成する車上制御部と、防護パターンを生成するための情報を記憶する記憶装置と、軌道上に設置されている地上子から情報を読み取り可能な情報受信部と、モニタ装置と、を有する車上装置と、
踏切近傍に設けられている踏切支障報知装置からの信号に基づいて踏切内に異常があることを示す情報信号を生成し出力可能な地上装置と、
を備えた自動列車防護システムであって、
前記地上装置は、レールに所定の情報を含む電流信号を送信可能なレール伝送送信器を備え、
前記車上装置は、レールに流れる電流によって生じる磁界を検知して電流に含まれる情報信号を受信するための受電器と、列車速度を検出するための速度検出手段と、を備え、
前記車上制御部は、
前記情報受信部により前記地上子からの情報を受信すると前記記憶装置より所定の情報を読み出して防護パターンを生成し、速度制御目標として設定し、
前記受電器により前記地上装置から送信された踏切支障に関する情報を受信し、踏切支障が発生していると判定した場合に、前記モニタ装置により踏切支障を知らせる報知を行わせるとともに、前記防護パターンおよび前記速度検出手段からの検出信号に基づいて前記ブレーキ装置を制御して列車速度の減速制御を行うように構成されていることを特徴とする自動列車防護システム。 - 前記車上制御部は、前記速度制御目標を設定した後、前記受電器により前記地上装置から送信された踏切支障に関する情報を受信し、踏切支障が発生していないと判定した場合には、前記防護パターンを消去することを特徴とする請求項1に記載の自動列車防護システム。
- 前記車上制御部は、前記速度制御目標を設定した後、前記受電器により前記地上装置から送信された情報を受信できない場合には、列車を停止させるように前記ブレーキ装置を制御する信号を生成し出力することを特徴とする請求項1または2に記載の自動列車防護システム。
- 2以上の踏切が所定の距離よりも短い距離をおいて存在する区間においては、踏切ごとに前記地上装置が設置され、各踏切の前記地上装置間で情報の送受信を行う通信手段が設けられ、列車の走行方向の遠い側の踏切に設けられている前記地上装置のレール伝送送信器によって踏切支障に関する情報を送信するように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自動列車防護システム。
- 前記防護パターンは、前記地上子の設置個所を通過した後に次第に速度が低下し、前記2以上の踏切のうち近い側の踏切直前で所定の徐行速度で一定に推移するパターンであることを特徴とする請求項4に記載の自動列車防護システム。
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