以下、図1〜図10を用いて、本発明の実施形態に係る携帯通信装置1、画像形成装置2、及び、画像形成システム100を説明する。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。なお、以下の説明では、携帯通信装置1を携帯する者を携帯者と称する。
(画像形成システム100)
図1を用いて、実施形態に係る画像形成システム100の一例を説明する。図1は、実施形態に係る画像形成システム100の一例を示す図である。
図1に示すように、画像形成システム100は、携帯通信装置1と画像形成装置2を含む。携帯通信装置1は、使用者に携帯(所持)される。携帯通信装置1は使用者とともに移動する。図1に示すように、スマートフォンを携帯通信装置1として用いる例を説明する。なお、携帯通信装置1は、スマートフォンに限られない。携帯通信装置1は、タブレット型コンピューターでもよいし、ノートPCでもよいし、ヘッドマウントディスプレイ12でもよい。携帯され、他の通信機器と通信する機能を有しているものを携帯通信装置1として利用することができる。
また、以下の説明では、複合機を画像形成装置2として用いる例を説明する。なお、画像形成装置2は複合機に限られない。画像形成装置2は、プリンターや複写機でもよい。そして、画像形成装置2(複合機)で実行可能なジョブは複数種類ある。例えば、コピージョブ、スキャン保存ジョブ、スキャン送信ジョブ、メモリー接続印刷ジョブを行うことができる。コピージョブは、原稿読み取りで得られた画像データに基づき印刷するジョブである。コピージョブは、原稿の複写物を得るためのジョブである。スキャン保存ジョブは、原稿読み取りで得られた画像データを複合機のストレージに記憶するジョブである。スキャン送信ジョブは、原稿読み取りで得られた画像データを設定された宛先に向けて送信するジョブである。メモリー接続印刷ジョブは、複合機に接続された携帯型メモリーからデータを読み出し、読み出したデータに基づき印刷を行うジョブである。携帯型メモリーは、例えば、USBメモリーやメモリーカードである。
(携帯通信装置1)
次に、図2を用いて、実施形態に係る携帯通信装置1の一例を説明する。図2は、実施形態に係る携帯通信装置1の一例を示す図である。
携帯通信装置1は、処理部10、第1記憶部11、ディスプレイ12、タッチパネル13、撮像部14、音声処理部15、マイクロフォン16、再生処理部17、スピーカー18、無線通信部19を含む。
処理部10は、携帯通信装置1の動作を制御する回路である。処理部10は、CPU10aや画像処理回路10bを含む。処理部10は、OS、プログラム、アプリケーション、データに基づき、携帯通信装置1の動作を制御する。画像処理回路10bは、画像データの画像処理を行う。
第1記憶部11はROM、RAM、フラッシュメモリーを含む。第1記憶部11は、携帯通信装置1のOS、プログラム、アプリケーション、データを不揮発的に記憶する。処理部10は、第1記憶部11の記憶内容に従って、携帯通信装置1の各部を制御する。タッチパネル13を通じた使用者のアプリケーションの起動要求に応じ、処理部10は、第1記憶部11からアプリケーションを第1記憶部11に読み出し、実行する。
アプリケーションとして、自動設定アプリケーション11aが第1記憶部11にインストールされる。第1記憶部11は、自動設定アプリケーション11aを不揮発的に記憶する。自動設定アプリケーション11aは、携帯者が画像形成装置2に近づいたとき、画像形成装置2の設定を自動的に行うためのアプリケーションである(詳細は後述)。
ディスプレイ12は、処理部10からの要求に従い各種情報を表示する。ディスプレイ12は、液晶パネルや有機ELパネルのような表示パネル21aである。ディスプレイ12は、操作用画像を表示する。操作用画像は、例えば、アイコン、ボタン、キー、タブである。タッチパネル13は処理部10と接続される。処理部10は、タッチパネル13の出力に基づき、タッチ位置を認識し、操作された(タッチされた)操作用画像を認識する。アイコンやボタンやキーを押すことにより、使用者は、アプリケーションの起動及び利用することができる。
撮像部14は、携帯通信装置1に設けられたカメラである。撮像部14は、画像データ又は動画データを生成する。撮像部14による撮影により得られたデータは、第1記憶部11に記憶される。音声処理部15は、マイクロフォン16から入力された音声を無線通信部19から送信できる形態に変換する信号処理を行う。再生処理部17は、無線通信部19で受信した相手方からの音(声)のデータをスピーカー18に再生させる。また、再生処理部17は、第1記憶部11に記憶された音のデータをスピーカー18に再生させることもできる。
無線通信部19は近距離無線通信を行うための回路、ソフトウェアを含む。無線通信部19は処理部10の指示に応じて、通信可能距離内にある無線機器200と通信する。無線通信部19(携帯通信装置1)は、近距離無線通信により、画像形成装置2とも通信できる。例えば、無線通信部19は、IEEE 802.11シリーズ(Wi−Fi)の規格に基づく通信を行える。また、例えば、無線通信部19は、Bluetooth(登録商標)の規格に基づく通信も行える。無線通信部19は、通信規格に基づいて通信を行うためのハードウェア(通信回路)、通信ソフトウェアを備える。無線通信部19は、他の通信規格に基づく通信を行えてもよい。
(画像形成装置2)
図3を用いて、実施形態に係る画像形成装置2の一例を説明する。図3は、実施形態に係る画像形成装置2の一例を示す図である。
図3に示すように、画像形成装置2は、制御部20、操作パネル21、画像読取部22、印刷部23、通信部24、メモリーインターフェイス25、カメラ26を含む。
制御部20は画像形成装置2の動作を制御する。制御部20は、CPU20a、画像処理部20b、第2記憶部20cを含む。第2記憶部20cは、画像形成装置2を制御するためのデータ、設定、プログラムを記憶する。CPU20aは、第2記憶部20cに記憶されるプログラム、データに基づき画像形成装置2を制御する。画像処理部20bは画像データを処理する回路を含む。画像処理部20bは、画像データを処理し、ジョブに用いる画像データを生成する。
原稿を読み取るジョブ(コピージョブ、スキャン保存ジョブ、スキャン送信ジョブ)のとき、制御部20は、原稿を画像読取部22に読み取らせる。画像読取部22は、原稿の画像データを生成する。
操作パネル21は使用者の設定操作を受け付ける。操作パネル21は、表示パネル21a、タッチパネル21b、ハードキー21cを含む。表示パネル21aは、液晶パネル又は有機ELパネルである。制御部20は、設定画面や操作用画像を表示パネル21aに表示させる。操作用画像は、例えば、ボタン、ソフトキー、タブである。使用者は、表示パネル21aに表示された操作用画像を操作(タッチ)する。これにより、使用者は、画像形成装置2の各種設定を入力できる。
タッチパネル21bは表示パネル21aの上面に設けられる。タッチパネル21bは使用者がタッチした位置、座標を検知する。タッチパネル21bは使用者の操作を受け付ける。タッチパネル21bの出力は、制御部20に入力される。制御部20は、使用者のタッチ位置を認識する。制御部20は、操作用画像の表示位置とタッチ位置を比較する。制御部20は使用者が操作した操作用画像を認識する。制御部20は、使用者の設定操作を認識する。使用者の設定に基づき、制御部20は、画像読取部22、印刷部23、通信部24を動作させる。例えば、ハードキー21cは、テンキー部やスタートキーである。テンキー部は、数字入力用のキーである。スタートキーはジョブ開始指示用のキーである。ハードキー21cも使用者の操作を受け付ける。
操作パネル21は、ジョブの種類の選択を受け付ける。使用者は、操作パネル21で実行するジョブの種類を選択できる。ジョブの種類には、例えば、コピージョブ、スキャン送信ジョブ、スキャン保存ジョブ、メモリー接続印刷ジョブがある。選択されたジョブの種類に対して、複数の設定項目が設けられる。例えば、コピージョブに関し、印刷に用いる用紙サイズや、拡大縮小の倍率のような設定項目が設けられる。このように、操作パネル21は、設定項目の選択を受け付ける。
また、操作パネル21は選択された設定項目の設定値の設定を受け付ける。例えば、用紙サイズの設定項目については、使用する用紙サイズを設定値として設定することができる(例えば、レターサイズ)。拡大縮小の設定項目については、倍率を設定値として設定することができる。スキャン送信やスキャン保存ジョブでは、原稿の画像データの送信先(保存先)の設定値の設定が必要である。
印刷部23は、例えば、給紙部23a、用紙搬送部23b、画像形成部23c、定着部23dを含む。印刷を伴うジョブのとき、制御部20は、画像データに基づく印刷を印刷部23に実行させる。制御部20は用紙を給紙部23aに供給させる。制御部20は用紙を用紙搬送部23bに搬送させる。制御部20は画像形成部23cにトナー像を形成させる。制御部20は、形成されたトナー像の用紙への転写を画像形成部23cに行わせる。制御部20は、トナー像の用紙への定着を定着部23dに行わせる。
通信部24は、ネットワークを介し、コンピューター300と通信できる。通信部24はコンピューター300から送信された印刷用データを受信する。制御部20は、受信した印刷用データに基づき、印刷部23に印刷させる。
また、通信部24は、近距離無線通信により、無線通信部19(携帯通信装置1)と通信を行える。例えば、通信部24は、Wi−Fiの規格に基づき、無線通信部19と通信できる。また、通信部24は、Bluetoothの規格に基づき、無線通信部19と通信を行ってもよい。通信部24は、規格に基づく通信を行うためのハードウェア(通信回路)、通信ソフトウェアを備える。
メモリーインターフェイス25は、携帯型メモリーを画像形成装置2に接続するための回路である。メモリーインターフェイス25は、携帯型メモリーと通信するためのソケット、端子、通信回路、通信ソフトウェアを含む。制御部20は、メモリーインターフェイス25に接続された携帯型メモリーからデータを読み出すことができる。制御部20は、読み出したデータに基づく印刷を印刷部23に行わせる(メモリー接続印刷ジョブ)。
画像形成装置2は、カメラ26を含む。カメラ26は1台でもよいし、複数台でもよい。制御部20は、画像形成装置2に近づく携帯者をカメラ26に撮像させる。カメラ26、レンズは、画像形成装置2に近づく携帯者を撮影できるように設けられる。カメラ26は、レンズ、イメージセンサー、撮像データ生成回路を含む。
イメージセンサーは、2次元的に配列された複数の受光素子を含む。イメージセンサーの各受光素子は、受光量に応じた大きさのアナログ信号(電荷)を出力する。例えば、イメージセンサーは、R、G、Bの色成分のアナログ信号を出力する。撮像データ生成回路は、イメージセンサーから出力されるアナログ信号を処理する。撮像データ生成回路は、処理後のアナログ信号をA/D変換する。撮像データ生成回路は、撮像データ(ディジタルデータ)を出力する。
撮像データは、画像データの一種である。制御部20(画像処理部20b)は、撮像データに基づき、携帯者の所持物を判別する。まず、制御部20は各撮像データ中の移動物体部分を認識する。携帯者が画像形成装置2に近づく場合、携帯者はカメラ26にも近づいていることになる。携帯者が画像形成装置2に近づいている場合、撮像データ内での携帯者の大きさが変化する。複数枚の撮像データを比較することにより、移動物体部分を認識することができる。
移動物体部分を認識するため、制御部20は、所定の時間間隔で複数回、撮像させる。撮像回数は予め定められてもよい。これにより、複数枚の撮像データが得られる。制御部20は、複数枚の撮像データをそれぞれ比較する。制御部20は、撮像データごとに、変化している画素領域を判定する。制御部20は、変化している画素領域を移動物体部分と判定する。
次に、制御部20は、移動物体部分と判定した画素領域のうち、肌色画素領域を認識する。制御部20は、撮像データごとに肌色画素領域を認識する。肌色と扱う画素値は予め定められる。制御部20は、撮像データごとに、認識した肌色画素領域のうち、手の部分を判定する。携帯者を撮影した場合、通常、顔と手の部分が肌色画素領域と判定される。通常、撮像データにおいて、顔の肌色画素領域は、一番上に位置する。そこで、例えば、制御部20は、一番上ではない肌色画素領域を手の部分と判定する。
制御部20は、各撮像データにおいて、手の肌色画素領域の近傍の画素を確認する。複数又は全ての撮像データにおいて、手の近傍に一定の白色領域が撮像されているとき、制御部20は、携帯者は紙を持っていると判定する。複数又は全ての撮像データにおいて、手の近傍にスティック状又はカード状の同色領域が撮像されているとき、制御部20は、USBメモリーやメモリーカードのような携帯型メモリーを所持していると判定する。紙を持っていると判定できず、かつ、携帯型メモリーを所持しているとも判定できないとき、制御部20は、所持物なし、又は、不明と判定する。
(移動履歴データ3の記憶)
次に、図4、図5を用いて、実施形態に係る携帯通信装置1での移動履歴データ3の記憶を説明する。図4は、実施形態に係る移動履歴データ3の記憶の一例を説明するための図である。図5は、実施形態に係る携帯通信装置1での移動履歴データ3の記憶の一例を示す図である。
図4、図5を用いて、オフィスでの移動履歴データ3の記憶を説明する。図4のうち、中央上側の図は、画像形成装置2を示す。図4のうち、中央下側の図は、携帯者の勤務場所(机)を示す。図4のうち、右側の図は、携帯者の上司の勤務場所を示す。図4のうち、左側の図は、資料、文書が収められた倉庫(書庫)である。なお、以下の説明では、オフィス内での携帯者の移動について説明する。しかし、移動履歴データ3の記憶は、オフィス外で移動する場合にも行われる。
また、図4のうち、アルファベットの大文字を含む丸印は、アクセスポイントを示す。言い換えると、アルファベットの大文字を含む丸印は、Wi−Fiの規格に基づく無線機器200である。アクセスポイントには、無線ローカルネットワークを構築するための無線機器200が設置される。例えば、アクセスポイントは、天井に設置される。また、図4のうち、アルファベットの小文字を含む四角形は、室内に設置されたBluetoothの規格に基づく無線機器200を示す。また、図4のうち、画像形成装置2も無線機器200の一種である。
第1記憶部11(携帯通信装置1)は、携帯者の移動の履歴を示す移動履歴データ3を記憶する。携帯通信装置1では、自動設定アプリケーション11aが起動されている。処理部10は、自動設定アプリケーション11aに基づき、移動履歴データ3を記憶させる。具体的に、携帯者の移動に伴い、携帯通信装置1が無線機器200の通信可能エリアに新たに入ることがある。このとき処理部10は、新たに通信可能になった無線機器200との通信を無線通信部19に行わせる。処理部10は、新たに通信可能になった無線機器200を認識する。処理部10は、無線機器200の識別用情報を無線通信部19に取得させる。処理部10は、取得順に(時系列で)識別用情報を並べたデータを移動履歴データ3として第1記憶部11に記憶させる。
また、画像形成装置2の識別用情報は、自動設定アプリケーション11aを用いて、第1記憶部11に登録することができる。処理部10は、画像形成装置2の識別用情報を新たに取得したことにより、画像形成装置2に近づいたことを認識できる。
例えば、処理部10は、無線機器200のMACアドレスを識別用情報として、無線通信部19に取得させる。なお、処理部10は、MACアドレス以外の識別用情報を無線通信部19に取得させてもよい。例えば、処理部10はSSIDのようなID情報を取得してもよい。
例えば、図4において、書庫で書類、資料を取りだした後、画像形成装置2でコピーする場合を考える。この場合、無線通信部19は、無線機器200A、無線機器200a、無線機器200C、無線機器200c、画像形成装置2の順に通信可能になる。処理部10は、新たな無線機器200の通信可能エリアに入るたびに、識別用情報を無線通信部19に取得させる。識別用情報を取得するたびに、処理部10は、新たに取得した識別用情報の移動履歴データ3への追加(更新)を第1記憶部11に行わせる。その結果、携帯者の移動により、無線機器200Aの識別用情報、無線機器200aの識別用情報、無線機器200Cの識別用情報、無線機器200cの識別用情報、画像形成装置2の識別用情報の順に記述された移動履歴データ3が第1記憶部11に記憶される。
例えば、上司がサインした書類を読み取って、スキャン保存ジョブを実行する場合を考える。このとき、携帯者は、勤務場所(机)から上司の机に向かう。上司のサインを得た後、携帯者は、画像形成装置2に向かう。携帯者の移動経路は、勤務場所(自分の机)→上司の机→画像形成装置2となる。見方を変えると、移動経路が、勤務場所(自分の机)→上司の机→画像形成装置2の場合、スキャン保存ジョブを実行する可能性が高いと推測できる。つまり、特定のジョブを実行する前に、携帯者が一定の移動を行うことがある。
また、業務において、書類の扱いが定められている場合がある。例えば、上司がサインした書類の画像データの保存先が定められることがある。この場合、スキャン保存ジョブでは、特定のフォルダ(保存先、宛先)が設定値として設定される。また、保存する画像データのファイル形式が定められることもある。この場合、スキャン保存ジョブでは、特定のファイル形式が設定値として設定される。移動パターンに応じて、設定すべき設定値が一定である場合がある。
そこで、画像形成システム100では、画像形成装置2に到るまでの移動経路と、移動経路に対してよく実行されているジョブの種類、よく設定されている設定値を学習する。学習のため、処理部10は、設定情報4を第1記憶部11(携帯通信装置1)に記憶する。設定情報4は、経路データ41と設定値データ42を組み合わせたデータである。経路データ41は、携帯者がジョブを実行したときに画像形成装置2に到達するまでの移動経路を示す。設定値データ42は、実行されたジョブの種類と各設定項目の設定値を示す。処理部10は、経路データ41と設定値データ42に基づき、画像形成装置2を設定する(詳細は後述)。
(設定情報4の蓄積)
次に、図5、図6を用いて、実施形態に係る画像形成システム100での設定情報4の蓄積の一例を説明する。図6は、実施形態に係る画像形成システム100での設定情報4の蓄積の流れの一例を示す図である。
移動経路に対応するジョブの種類、設定値を学習するため、処理部10は、設定情報4を第1記憶部11に蓄積させる。第1記憶部11は複数の設定情報4を不揮発的に記憶できる。図5、図6を用いて、設定情報4の蓄積の流れの一例を説明する。
図6のスタートは、携帯者が、画像形成装置2に近づき、画像形成装置2にジョブの実行を開始させた時点である。ここで、ジョブの実行前、携帯者は、必要な設定項目の選択と設定値の設定を行っている。また、携帯通信装置1では、自動設定アプリケーション11aが起動されている。処理部10は、自動設定アプリケーション11aに基づき、設定情報4を蓄積するための処理を行う。
画像形成装置2の第2記憶部20cは、ジョブ設定値データD1を記憶する(図3参照)。例えば、制御部20は、RAMの特定の領域にジョブ設定値データD1を記憶させる。ジョブ設定値データD1は、現在の設定値を示すデータである。制御部20は、選択されたジョブの種類に対応する各設定項目の設定値の全てをジョブ設定値データD1として記憶させる。
ここで、第2記憶部20cは、デフォルト設定値データD2を不揮発的に記憶する。デフォルト設定値データD2は、各設定項目のデフォルトの設定値を定めたデータである。ジョブの種類が選択されたとき、制御部20は、デフォルト設定値データD2を読み出す。そして、制御部20は、読み出したデータをジョブ設定値データD1とする。設定開始当初、全ての設定項目の設定値はデフォルト値とされる。携帯者は、所望の結果が得られるように、設定値を変更する。例えば、両面印刷はデフォルトでは、無効とされる。両面印刷を行うとき、携帯者は、両面印刷機能の設定値を有効に変更する。設定値が変更されたとき、制御部20は、ジョブ設定値データD1を更新する。制御部20は、変更された設定値をジョブ設定値データD1に書き込む。
全ての設定値が所望の設定値となっているとき、携帯者は、ジョブの実行開始指示を行う。例えば、携帯者は操作パネル21のスタートキーを操作する。操作パネル21は、ジョブの実行開始指示を受け付ける。これにより、画像形成装置2(制御部20)は、ジョブの実行を開始する。
制御部20(画像形成装置2)は、携帯通信装置1(無線通信部19)に向けて、ジョブ設定値データD1を通信部24に送信させる(ステップ♯11)。この場合、ジョブ設定値データD1は、実行されたジョブの各設定項目の設定値を示すデータである。また、制御部20は、実行されたジョブの種類を示すデータをジョブ設定値データD1に含める。無線通信部19は、ジョブ設定値データD1を受信する(ステップ♯12)。携帯者が操作パネル21にジョブの実行指示を行ったということは、携帯者(携帯通信装置1)は、画像形成装置2の近くにいる。つまり、携帯通信装置1は、画像形成装置2と通信可能な状態である。
ジョブ実行開始時、たまたま、ジョブ実行者ではない者が画像形成装置2の近くを通過することがある。そこで、ジョブ設定値データD1を受信したとき、処理部10は、受信したジョブ設定値データD1が自機宛てのデータか否かを確認してもよい。
画像形成装置2との通信可能になった後、通信可能な状態のままジョブ設定値データD1を受信したとき、処理部10は、設定値データ42が自機宛てと判定してもよい。ジョブ設定値データD1が自機宛てでないと判定した場合、処理部10は、受信したジョブ設定値データD1を破棄する。
また、制御部20は、通信部24と無線通信可能な携帯通信装置1の識別用情報を取得する。言い換えると、制御部20は、通信部24の通信可能エリアに入った携帯通信装置1の識別用情報を取得する。また、制御部20は、携帯通信装置1が通信可能エリア内にいる間、周期的に識別用情報を取得する。
そこで、通信部24の通信可能エリアに携帯通信装置1が1つのみ存在している場合、制御部20は、通信可能エリア内の携帯通信装置1をジョブ実行者が所持する携帯通信装置1と判定する。通信部24の通信可能エリアに携帯通信装置1が複数存在している場合、制御部20は、通信可能エリア内にいる時間が最も長い携帯通信装置1をジョブ実行者が所持する携帯通信装置1と判定する。他のアルゴリズムにより、ジョブ実行者が所持する携帯通信装置1を判定してもよい。
そして、制御部20は、ジョブ実行者が所持すると判定した携帯通信装置1の識別用情報を、宛先を示すデータとして通信部24に送信させてもよい。ジョブ設定値データD1に付された識別用情報が自機のものと一致するとき、処理部10は、受信したジョブ設定値データD1が自機宛てと判定してもよい。
ジョブ設定値データD1を受信したとき、携帯通信装置1の処理部10は、現在経路データを確認する(ステップ♯13)。現在経路データは画像形成装置2と通信可能になるまでの携帯者の移動経路を示すデータである。現在経路データは移動履歴データ3に基づくデータである。画像形成装置2の識別用情報は第1記憶部11に予め登録されている。
処理部10は現在経路データを生成する。処理部10は、移動履歴データ3から、連続する所定台数分の無線機器200の識別用情報を現在経路データとして抜き出す。所定台数は適宜定められる。例えば、所定台数は、数台〜十数台とすることができる。現在経路データのうち、時系列的に最後の識別用情報は、画像形成装置2よりも1台前に通信可能になった無線機器200である。
例えば、移動履歴データ3において、識別用情報が無線機器200A→無線機器200a→無線機器200C→無線機器200c→画像形成装置2の順番で記憶されているとする。所定台数が3台の場合、処理部10は、無線機器200aの識別用情報+無線機器200Cの識別用情報+無線機器200cの識別用情報を現在経路データと扱う。
次に、処理部10は、第1記憶部11が同一情報を記憶しているか否かを確認する(ステップ♯14)。同一情報は、現在経路データと経路データ41が同じであり、かつ、受信したジョブ設定値データD1と設定値データ42が同じ設定情報4である。ステップ♯14では、今回実行されたジョブと同じ移動経路、同じの設定値のジョブが過去に実行されたか否かが確認される。
同一情報を記憶していないとき(ステップ♯14のNo)、処理部10(携帯通信装置1)は、現在経路データを経路データ41とし、受信したジョブ設定値データD1を設定値データ42とする設定情報4を第1記憶部11に新たに記憶させる(ステップ♯15)。そして、本フローは終了する(エンド)。これにより、携帯者の移動パターンと、移動パターンに対応するジョブの設定値が蓄積される。
同一情報を記憶しているとき(ステップ♯14のYes)、処理部10(携帯通信装置1)は、同一情報の使用頻度値43を加算する(ステップ♯16)。そして、本フローは終了する(エンド)。各設定情報4は、使用頻度値43を含む。例えば、処理部10は、同一情報と判定した設定情報4の使用頻度値43に1を加算する。使用頻度値43により、ある移動経路に対応してよく用いられる設定値の組み合わせを学習することができる。
(携帯通信装置1から画像形成装置2への設定値データ42の送信)
次に、図7を用いて、実施形態に係る携帯通信装置1から画像形成装置2への設定値データ42の送信の流れの一例を説明する。図7は、実施形態に係る携帯通信装置1から画像形成装置2への設定値データ42の送信の流れの一例を示すフローチャートである。
画像形成装置2にジョブを実行させたいとき、携帯者は画像形成装置2に近づく。図7のスタートは、携帯通信装置1が画像形成装置2と通信可能になった時点である。言い換えると、画像形成装置2の通信可能エリアに携帯通信装置1が入った時点である。また、携帯通信装置1では、自動設定アプリケーション11aが起動されている。処理部10は、自動設定アプリケーション11aに基づき、設定値データ42を送信する。
携帯者が画像形成装置2に近づき、画像形成装置2と通信可能になったとき、処理部10は、現在経路データを確認する(ステップ♯21)。そして、処理部10は、第1記憶部11が記憶する設定情報4のうち、経路データ41が現在経路データと同じ設定情報4を抽出する(ステップ♯22)。
そして、処理部10は、抽出された設定情報4が複数であるか否かを確認する(ステップ♯23)。抽出された設定情報4が1つのとき(ステップ♯23のNo)、処理部10は、画像形成装置2(通信部24)に向けて、抽出した設定情報4に含まれる設定値データ42を無線通信部19に送信させる(ステップ♯24)。そして、本フローは終了する(エンド)。
抽出された設定情報4が複数のとき(ステップ♯23のNo)、処理部10は、画像形成装置2(通信部24)に向けて、抽出したそれぞれの設定情報4に含まれる設定値データ42を無線通信部19に送信させる(ステップ♯25)。つまり、処理部10は、複数の設定値データ42を送信させる。なお、処理部10は、設定値データ42とともに、使用頻度値43も送信させる。そして、本フローは終了する(エンド)。
なお、処理部10は、複数の設定情報4を抽出したとき、設定情報4のうち、最も使用頻度値43が大きい設定情報4の設定値データ42のみを送信してもよい。最も使用頻度値43が大きい設定情報4が複数ある場合、処理部10は、複数の設定値データ42を画像形成装置2に送信する。また、1つの設定値データ42のみを画像形成装置2に送信する場合もあり得る(最も使用頻度値43が大きい設定情報4が1つの場合)。
また、処理部10は、複数の設定情報4を抽出したとき、使用頻度値43が大きいものから順に、予め定められた個数の設定情報4を選択してもよい。そして、処理部10は、選択した設定情報4に含まれる設定値データ42を無線通信部19に送信させてもよい。また、処理部10は、抽出した設定情報4のうち、使用頻度値43が所定値未満の設定情報4については、設定値データ42を送信しないようにしてもよい。
(設定値データ42に基づく設定値の設定)
次に、図8、図9を用いて、実施形態に係る画像形成装置2の設定値データ42の受信時の処理の流れの一例を説明する。図8は、実施形態に係る画像形成装置2の設定値データ42の受信時の処理の流れの一例を示す図である。図9は、実施形態に係る設定値データ選択画面51の一例を示す図である。
図8のスタートは、画像形成装置2(通信部24)が通信可能となった携帯通信装置1(無線通信部19)から設定値データ42を受信した時点である。まず、制御部20は、画像形成装置2に向かって近づいている携帯者をカメラ26に撮像させる(ステップ♯31)。そして、撮像で得られた撮像データに基づき、制御部20は、所持物を判定する(ステップ♯32)。
続いて、制御部20は、複数の設定値データ42を受信したか否かを確認する(ステップ♯33)。受信した設定値データ42が1つのとき(ステップ♯33のNo)、制御部20(画像形成装置2)は、受信した設定値データ42に基づき、各設定項目の設定値を設定する(ステップ♯34)。具体的に、制御部20は、第2記憶部20cのジョブ設定値データD1を書き換える。制御部20は、受信した設定値データ42をジョブ設定値データD1の記憶領域に書き込む。これにより、以前に実行したジョブの設定状態が再現される。そして、制御部20は、設定画面を表示パネル21aに表示させる(ステップ♯35→エンド)。
制御部20は、受信した設定値データ42に対応するジョブの種類の設定画面を表示パネル21aに表示させる。例えば、受信した設定値データ42がコピージョブの設定値データ42のとき、制御部20は、コピージョブの設定画面を表示パネル21aに表示させる。また、制御部20は、受信した設定値データ42で定義された設定値が反映されている設定画面を表示パネル21aに表示させる。なお、どのような設定値が設定されているかを示すため、制御部20は、デフォルト値と異なる設定値の一覧を表示パネル21aに表示させてもよい。これにより、画像形成装置2まで来た携帯者に設定内容を知らせることができる。
受信した設定値データ42が複数のとき(ステップ♯33のYes)、制御部20は、設定値データ42の順番を定める(ステップ♯36)。使用頻度値43に基づき、制御部20は、設定値データ42の順番を定める。制御部20は、受信した設定値データ42のうち、使用頻度値43が大きい設定値データ42ほど、順番を前にする。
使用頻度値43が同じ設定値データ42を複数受信することがある。この場合、制御部20は、判定した所持物に基づき、設定値データ42の順番を定める。紙を所持していると判定した場合、制御部20は、原稿を読み取らないジョブよりも、原稿を読み取るジョブの順番を前にする。原稿を読み取るジョブには、例えば、コピージョブ、スキャン送信ジョブ、スキャン保存ジョブがある。原稿を読み取らないジョブには、メモリー接続印刷ジョブがある。例えば、コピージョブとメモリー接続印刷ジョブの設定値データ42の使用頻度値43が同じ場合、コピージョブの設定値データ42の順番を前にする。
また、携帯型メモリーを所持していると判定した場合、制御部20は、携帯型メモリーを用いないジョブよりも、携帯型メモリーを用いるジョブの順番を前にする。携帯型メモリーを用いるジョブには、メモリー接続印刷ジョブがある。例えば、コピージョブとメモリー接続印刷ジョブの設定値データ42の使用頻度値43が同じ場合、メモリー接続印刷ジョブの順番を前にする。
なお、紙を所持していると判定できず、かつ、携帯型メモリーを所持していると判定できないとき、制御部20は、使用頻度値43が同じ設定値データ42については、受信順に基づき、順番を設定する。
また、複数の設定値データ42を受信したとき、制御部20は、判定した所持物に基づき、最初に設定値データ42を仕分けてもよい。紙を所持していると判定した場合、制御部20は、原稿を読み取るジョブの設定値データ42を優先する設定値データ42と扱う。また、制御部20は、原稿を読み取らないジョブの設定値データ42を優先しない設定値データ42と扱う。携帯型メモリーを所持していると判定した場合、制御部20は、携帯型メモリーを用いるジョブの設定値データ42を優先する設定値データ42と扱う。また、制御部20は、携帯型メモリーを用いないジョブの設定値データ42を優先しない設定値データ42と扱う。
制御部20は、優先する設定値データ42の順番を、優先しない設定値データ42よりも前にする。更に、制御部20は、優先する設定値データ42のうち、使用頻度値43が大きいものほど前の順番にする。優先する設定値データ42がn個のとき、制御部20は、優先する設定値データ42に1番からn番までの順番を付す。優先しない設定値データ42については、制御部20は、(n+1)番以降の何れかの順番を付す。制御部20は、優先しない設定値データ42のうち使用頻度値43が大きいものほど前の順番にする。
制御部20(画像形成装置2)は、設定値データ選択画面51を表示パネル21aに表示させる(ステップ♯37)。図9は設定値データ選択画面51の一例を示す。設定値データ42は、携帯者に使用する設定値データ42を選択させるための画面である。
設定値データ選択画面51は、複数の領域に分割される。図9の例では、複数に分割した領域のうち、2つの領域が選択用領域52とされる。選択用領域52は、設定値データ42を選択するための領域である。選択用領域52の数は、2つに限られない。3つ以上でもよい。
制御部20は、順番が先頭と2番目の設定値データ42を選択する。制御部20は、選択用領域52の数と同じ数の設定値データ42を選択する。制御部20は、順番が前のものから複数の設定値データ42を選択する。制御部20は、選択した設定値データ42の1つに対し、1つの選択用領域52を割り当てる。制御部20は、対応する設定値データ42の内容を選択用領域52の内部に表示させる。図9は、選択用領域52の内側に、ジョブの種類や、デフォルト値と異なる設定項目名と設定値を表示させる例を示す。
使用者(携帯者)は、使用したい設定値データ42に対応する選択用領域52に触れる。操作パネル21は、設定値データ42の選択を受け付ける。タッチパネル13の出力に基づき、制御部20は、選択された設定値データ42を認識する。これにより、移動経路(移動パターン)に対し、よく設定する設定値のパターンが複数あるとき、所望の設定値データ42を選択することができる。
そして、操作パネル21で選択された設定値データ42に基づき、制御部20(画像形成装置2)は、各設定項目の設定値を設定する(ステップ♯38)。そして、制御部20は、設定画面を表示パネル21aに表示させる(ステップ♯39→エンド)。ステップ♯38、ステップ♯39は、ステップ♯34、ステップ♯35と同様である。
ステップ♯34、ステップ♯38の設定の後、所望の設定値が設定されていれば、直ちにジョブを開始することができる。携帯者は、直ちにスタートキーを操作すればよい。設定値の変更が必要であるとき、携帯者は、操作パネル21で設定値を設定する。携帯者は、設定完了後、スタートキーを操作する。
(使用する設定値データ42の切替)
次に、図10を用いて、使用する設定値データ42の切替の一例を説明する。図10は、実施形態に係る設定値データ42の切替の一例を示す図である。
受信した設定値データ42を選択したものの、他の設定値データ42に基づき、設定したい場合がある。画像形成装置2では、使用する設定値データ42を切り替えることができる。使用する設定値データ42を切り替えるとき、携帯者は、切替操作を行う。操作パネル21は、切替操作を受け付ける。どのような操作を切替操作と扱うかは、適宜定めることができる。図10は、設定画面のうち、背景領域(操作用画像がない領域)をタッチしたままタッチ位置をスライド移動させる操作(フリック操作又はスワイプ操作)を切替操作と扱う例を示している。
そして、予め定められた第1方向にタッチ位置が移動するように切替操作がなされたとき、制御部20は、現在選択している設定値データ42の次の順番の設定値データ42を新たに選択する。順番は、複数の設定値データ42を受信したとき、制御部20が定めている(図8のステップ♯34)。第2方向にタッチ位置が移動するように切替操作がなされたとき、制御部20は、現在選択している設定値データ42の1つ前の順番の設定値データ42を新たに選択する。
第2方向は、第1方向と反対の方向である。第1方向は適宜定められる。例えば、第1方向は、左方向とできる。この場合、第2方向は右方向となる。第1方向は下方向としてもよい。この場合、第2方向は上方向となる。
切替操作により新たな設定値データ42を選択したとき、制御部20は、新たに選択された設定値データ42に基づき、各設定項目の設定値を設定する。制御部20は、新たに選択された設定値データ42をジョブ設定値データD1と扱う。そして、制御部20は、表示パネル21aに表示される画面を変更する。制御部20は、新たに選択した設定値データ42に対応するジョブの種類の設定画面を表示パネル21aに表示させる。また、制御部20は、新たに選択した設定値データ42で定義された設定値が反映されている設定画面を表示パネル21aに表示させる。制御部20は、デフォルト値と異なる設定値の一覧を一定時間、表示パネル21aに表示させてもよい。
図10は、切替操作による設定値と設定画面の変化の一例を示す。図10のうち、上側の図は、切替操作前の設定画面の一例を示す。図10の下側の図は、新たに選択された設定値データ42に基づき表示内容が変更された設定画面の一例を示す。
特定の設定値を組み合わせてジョブを実行するとき、画像形成装置2に到る前に、携帯者が決まった行動(移動)を行っている場合がある。例えば、書類に上司にサインをもらい、サイン済の書類をコピーする場合、自己のデスク→上司のデスク→画像形成装置2というルートで移動する。そして、サイン済の書類をコピーするとき、画像形成装置2で設定すべき設定値が決められている場合がある。移動経路により、使用者が所望する設定値を予測できる場合がある。
そこで、実施形態に係る画像形成システム100は、携帯通信装置1と画像形成装置2を含む。携帯通信装置1は、携帯通信装置1の携帯者の移動の履歴を示す移動履歴データ3と設定情報4を記憶する。設定情報4は、経路データ41と設定値データ42を組み合わせたデータである。経路データ41は、画像形成装置2で携帯者が画像形成装置2に到達するまでの移動経路を示す。設定値データ42は、ジョブの各設定項目の設定値を示す。携帯通信装置1は、無線により画像形成装置2と通信する。携帯者が画像形成装置2に近づいたことにより、画像形成装置2との通信可能エリアに入ったとき、携帯通信装置1は、移動履歴データ3に基づき、画像形成装置2と通信可能になるまでの携帯者の移動経路を示す現在経路データを確認する。携帯通信装置1は、記憶する設定情報4のうち、経路データ41が現在経路データと同じ設定情報4を抽出する。携帯通信装置1は、抽出した設定情報4に含まれる設定値データ42を画像形成装置2に送信する。携帯通信装置1は、送信した設定値データ42に基づき、各設定項目の設定値を画像形成装置2に設定させる。
これにより、携帯者の移動経路(行動パターン)に対応する設定値を自動的に設定することができる。画像形成装置2に到るまでの移動経路に基づき、携帯者が設定したい可能性が高い設定値を自動的に設定することができる。設定操作を行わずにジョブを開始できる確率が高くなるように、画像形成装置2の設定値を自動的に設定することができる。
また、設定値データ42の受信後、ジョブが実行されたとき、画像形成装置2は、携帯通信装置1に向けてジョブ設定値データD1を送信する。ジョブ設定値データD1は、実行されたジョブの各設定項目の設定値を示すデータである。携帯通信装置1は、ジョブ設定値データD1を受信したとき、現在経路データと経路データ41が同じであり、かつ、受信したジョブ設定値データD1と設定値データ42が同じ設定情報4である同一情報を記憶しているか否かを確認する。携帯通信装置1は、同一情報を記憶しているとき、同一情報の使用頻度値43を加算する。画像形成装置2と通信可能になったとき、携帯通信装置1は、抽出した設定情報4のそれぞれの使用頻度値43を画像形成装置2に送信する。携帯通信装置1は、使用頻度値43が最大の設定値データ42に基づき、各設定項目の設定値を画像形成装置2に設定させる。
これにより、携帯者の移動経路(行動パターン)に対応する設定値データ42のうち、最も使用頻度が高い設定値の組み合わせで、画像形成装置2を自動的に設定することができる。携帯者の行動を学習し、移動経路にあわせた設定値を自動的に設定することができる。画像形成装置2を、使用頻度が大きい設定値が設定された状態に自動的にすることができる。画像形成装置2で設定操作を行わずにジョブを開始できる確率が高くなるように、設定値を自動的に設定することができる。
また、同一情報が記憶されていないとき、携帯通信装置1は、現在経路データを経路データ41とし、受信したジョブ設定値データD1を設定値データ42とする設定情報4を新たに記憶する。これにより、新たな移動経路と新たな設定値データ42の組み合わせ(新たな設定情報4)を自動的に携帯通信装置1に登録することができる。
また、携帯通信装置1は、現在経路データと経路データ41が同じ設定情報4を複数記憶しているとき、複数の設定情報4を抽出する。携帯通信装置1は、抽出した複数の設定情報4の設定値データ42を画像形成装置2に送信する。画像形成装置2は操作パネル21を含む。画像形成装置2は、複数の設定値データ42を受信したとき、使用する設定値データ42を選択するための画面を操作パネル21に表示させる。画像形成装置2は、操作パネル21で選択された設定値データ42に基づき、各設定項目の設定値を設定する。これにより、画像形成装置2に到達した携帯者は、使用する設定値データ42を選択することができる。設定値データ42を選択するだけで、所望の設定値を設定することができる。設定値データ42を選択するだけで、画像形成装置2を、ジョブを直ちに開始できる状態にすることができる。
また、操作パネル21は、用いる設定値データ42を切り替える切替操作を受け付ける。切替操作がなされたとき、画像形成装置2は、切替操作により新たに選択された設定値データ42に基づき、各設定項目の設定値を設定する。これにより、設定値データ42の選択を間違えたとき、正しい設定値データ42に容易に切り替えることができる。所望の設定値データ42を容易に選択することができる。
また、操作パネル21は、選択された設定値データ42により設定される設定値を表示する。設定値データ42に基づき設定される設定値を確認することができる。
また、携帯通信装置1は、携帯者の移動に伴い新たに通信可能になった無線機器200を認識する。携帯通信装置1は、新たに通信可能になった無線機器200と通信する。携帯通信装置1は無線機器200の識別用情報を取得する。取得順に識別用情報を並べたデータを移動履歴データ3として記憶する。これにより、記録された識別用情報の並び方に基づき、携帯者の移動経路(行動パターン)を示すことができる。
また、携帯通信装置1は、記憶部(第1記憶部11)、無線通信部19、処理部10を含む。第1記憶部11は、携帯通信装置1の携帯者の移動の履歴を示す移動履歴データ3と設定情報4を記憶する。無線通信部19は、無線により画像形成装置2と通信する。設定情報4は、経路データ41と設定値データ42を組み合わせたデータである。経路データ41は、画像形成装置2で携帯者がジョブを実行したときに画像形成装置2に到達するまでの移動経路を示す。設定値データ42は、ジョブにおける各設定項目の設定値を示す。処理部10は、携帯者が画像形成装置2に近づいたことにより、画像形成装置2との通信可能エリアに入ったとき、移動履歴データ3に基づき、通信可能エリアに入るまでの携帯者の移動経路を示す現在経路データを確認する。処理部10は、記憶する設定情報4のうち、経路データ41が現在経路データと同じ設定情報4を抽出する。処理部10は、画像形成装置2にむけて、抽出した設定情報4に含まれる設定値データ42を無線通信部19に送信させる。処理部10は、設定値データ42に基づき、各設定項目の設定値を画像形成装置2に設定させる。これにより、携帯者の移動経路(行動パターン)に対応する設定値を画像形成装置2に自動的に送信することができる。自動的に設定情報4を抽出し、抽出した設定情報4の設定値データ42に基づき、画像形成装置2を自動的に設定することができる。設定操作を行わずにジョブを開始できる確率が高くなるように、画像形成装置2の設定値を自動的に設定することができる。
又、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。