JP6946077B2 - トナー及びトナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真方式、静電記録方式、静電印刷方式、トナージェット方式に用いられるトナーに関する。
電子写真法を用いた画像形成装置において、プリントオンデマンド(POD)と呼ばれる製版工程を経ずに直接印刷するデジタル印刷技術が注目されている。POD印刷では、1枚毎に内容を変えたバリアブル印刷や分散印刷にも対応していけることから、従来のオフセット印刷に対してアドバンテージがある。また、同時に省電力化やウェイトタイムの短縮化などの要望も高くなっている。これらに対応するために、トナーとしては低温定着性を高めたトナーが求められている。そして、カタログ印刷などに対応するため、高速出力だけでなく、様々な記録媒体(普通紙、厚紙、特殊紙)を用いて両面印刷しても高品質な画像が必要とされている。
一般的に、カタログなどに使用されるカラー画像は、絵や写真のような印刷画像面積が広いものが多い。そのため、出力された印刷物が積み重ねられた際、画像同士が接着する現象(排紙接着)が発生する場合があった。特許文献1では、トナー粒子中に淡色または無色の内添微粒子を含むことにより、高い温度で画像を保存することができ、より低温で定着できるトナーが提案されている。
特開2001−305781号公報
しかしながら、上記文献で提案されたトナーでは、トナーの軟化温度を下げることにより定着性の向上は見られた一方で、高速出力時において排紙接着が発生する場合があった。
本発明の目的は、上記の課題を解決することを目的とする。高速出力時においても排紙接着が発生しない耐排紙接着性に優れたトナーを提供することである。
上記の課題は、下記の構成のトナーにより解決することができる。
すなわち、本発明は、結着樹脂、ワックス及びシリカ微粒子を有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記シリカ微粒子の一次粒子の個数平均径(D1)は、70nm以上250nm以下であり、
前記シリカ微粒子が疎水化処理されたものであり、
前記シリカ微粒子は、前記結着樹脂100質量部あたり、10質量部以上15質量部以下含有されており、
前記トナー粒子の断面において、前記トナー粒子断面積St、前記シリカ微粒子が占める面積Sの関係が、0.05≦S/St≦0.50であり、
前記トナー粒子の断面において、前記トナー粒子の断面に外接する長方形を9分割した各区画内における、前記トナー粒子の断面積に対して該シリカ微粒子が占める面積比率の変動係数が0.45以下であることを特徴とするトナーも関する。
また、本発明は、結着樹脂、ワックス及び、シリカ微粒子を溶融混練し、得られた混練物を粉砕してトナー粒子を得るトナーの製造方法であって、
結着樹脂の軟化点をTm(℃)としたとき、溶融混練する際の設定温度が、Tm+15℃以下であって、
得られるトナー粒子が上記構成のトナー粒子であることを特徴とするトナーの製造方法に関する。
本発明によれば、高速出力時においても排紙接着が発生しない耐排紙接着性に優れたトナーを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
本発明のトナーは、結着樹脂、ワックス及びシリカ微粒子を有するトナー粒子を有するトナーであって、前記シリカ微粒子の一次粒子の個数平均径(D1)は、60nm以上300nm以下であり、前記トナー粒子の断面において、前記トナー粒子断面積St、前記シリカ微粒子が占める面積Sの関係が、0.05≦S/St≦0.50であり、前記トナー粒子の断面において、前記トナーの断面に外接する長方形を9分割した各区画内における、前記トナー粒子の断面積に対して該シリカ微粒子が占める面積比率の変動係数が0.45以下であることを特徴とする。
上記のようなトナーは、高速出力時においても排紙接着が発生せず、耐排紙接着性に優れている。
本発明において、上記課題を解決するに至った理由は必ずしも明確ではないが、以下のように考えている。
耐排紙接着性を高めるためには、一般にトナーの軟化点温度を高くすることで、印刷画像の耐熱性も高まるため有効である。また、排紙接着の発生を抑制するためには、単位時間当たりの印刷枚数を減らすことで、排紙された印刷物の熱が放熱され、重ねられても熱の蓄積がなくなるため有効である。しかしながら、近年は省電力化、高速出力、各種記録媒体への適応が求められるため、上記の対応では課題に対応することが難しい。
そこで、トナー粒子内にシリカ微粒子を分散させることにより、定着後の画像(トナー層)の保護ができることが判明した。これは、定着時には圧力や熱がかかりトナー層中のトナー粒子は押し潰されるが、シリカ微粒子はその形状を保持し、スペーサー効果を発揮できるためであると考えている。その結果、排紙された印刷物が熱を持っていても、スペーサーであるシリカ微粒子が、定着された画像(トナー層)全体で密着することを防ぐことができ、優れた耐排紙接着性が得られた。
しかしながら、単純にシリカ微粒子をトナー中に分散させるだけでは、前述の効果が得られなかった。スペーサー効果を得るには、トナー粒子の断面において、シリカ微粒子の占める面積が一定の値であることが重要である。さらに、トナー中に存在するシリカ微粒子が1次粒子であっても、凝集粒子であってもよいが、トナー中において均一に分布していることも重要である。トナー粒子中においてシリカ微粒子が一定の面積を占め、かつ、均一に広がっていることにより、定着後画像の全体に渡ってスペーサー効果が得られ、耐排紙接着性が最も良化することが判明した。また、シリカ微粒子がトナー粒子中において偏在している場合、記録媒体と結着樹脂と密着性を低下させるためトナー定着性が悪化し、トナー層が剥れるなどの定着阻害の要因になる場合があった。
また、本発明においてトナー粒子内に分散させる微粒子としては、トナーの帯電安定性の観点から体積抵抗値が高いシリカ微粒子が最適である。一般的にシリカ微粒子の場合、1.0×1014Ω・cm以上であるのに比べ、アルミナやチタニアは体積抵抗値が低くなりやすい。
上述の理由により、シリカ微粒子をトナー粒子内に一定の条件で分散させることにより中高速出力時においても排紙接着が発生しない耐排紙接着性に優れたトナーを得るに至った。
本発明に係るトナーは、前記シリカ微粒子の一次粒子の個数平均径(D1)は、60nm以上300nm以下であり、好ましくは70nm以上250nm以下であり、より好ましくは80nm以上200nm以下である。一次粒子の個数平均粒径(D1)が上記範囲にあると画像保存性に優れ、高速出力時においても排紙接着が発生しない。一次粒子の個数平均径が60nm未満の場合、定着時に定着された画像中に完全に埋包されやすく、耐排紙接着性が悪化する場合がある。
また、本発明に係るトナーは、前記トナー粒子の断面において、前記トナー粒子断面積St、前記シリカ微粒子が占める面積Sの関係が、0.05≦S/St≦0.50である。好ましくは0.08≦S/St≦0.40であり、より好ましくは0.10≦S/St≦0.30である。S/Stの関係が、上記範囲であると、さらに耐排紙接着性がさらに良くなり、両面で高速出力時においても排紙接着が発生しない。
また、本発明に係るトナーは、前記トナー粒子の断面において、前記トナーの断面に外接する長方形を9分割した各区画内における、前記トナー粒子の断面積に対して該シリカ微粒子が占める面積比率の変動係数が0.45以下である。好ましくは0.35以下であり、さらに好ましくは0.30以下である。変動係数が上記範囲であると、より排紙接着が発生しやすい高温高湿環境下においても耐排紙接着性が良化する。
本発明において好ましいトナーの構成を以下に詳述する。
[樹脂]
本発明に係るトナーは、結着樹脂を有する。トナーに使用される結着樹脂としては、特に限定されず、下記の重合体又は樹脂を用いることが可能である。
例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系樹脂などが使用できる。
これらの中で、低温定着性、帯電性制御の観点で、ポリエステル樹脂を用いることが好ましく、結晶性ポリエステル樹脂、及び非晶性ポリエステル樹脂であることがより好ましい。
[非晶性ポリエステル樹脂]
本発明のトナーに用いられる非晶性ポリエステル樹脂は、芳香族ジオールを主成分としたアルコール成分とカルボン酸成分との縮重合樹脂が好ましい。なお、本発明において、主成分とは、その含有量が50質量%以上であることを示す。
非晶性ポリエステル樹脂で用いられる芳香族ジオールとしては、特に限定されないが、下記式(A)で示されるビスフェノール誘導体及び下記式(B)で示されるジオール類が好ましい。
Figure 0006946077
(式中、Rはエチレン又はプロピレン基、x,yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2以上7以下である。)
Figure 0006946077
上記式(A)で示されるビスフェノール誘導体としては、例えば、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等を挙げることができる。また、場合により、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール類、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールAのような他のジオール類を上記式(A)で示されるビスフェノール誘導体又は上記式(B)で示されるジオール類と併用することも可能である。
その他、非晶性ポリエステル樹脂に用いることができるアルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ソルビット、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
上述のように、非晶性ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分の主成分は、芳香族ジオールである。ここで、非晶性ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分において、芳香族ジオールを、80mol%以上100mol%以下の割合で含有することが好ましく、90mol%以上100mol%以下の割合で含有することがより好ましい。
ポリエステル樹脂のポリエステルユニットに用いられる多価カルボン酸モノマーとしては、以下の多価カルボン酸モノマーを使用することができる。
2価のカルボン酸成分としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、これらの酸の無水物及びこれらの低級アルキルエステルが挙げられる。これらのうち、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸、n−ドデセニルコハク酸が好ましく用いられる。
3価以上のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとしては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、これらの酸無水物又はこれらの低級アルキルエステルが挙げられる。これらのうち、特に1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、すなわちトリメリット酸又はその誘導体が安価で、反応制御が容易であるため、好ましく用いられる。これらの2価のカルボン酸等及び3価以上のカルボン酸は、単独で又は複数を併用して用いることができる。
非晶性ポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂を主成分とするならば他の樹脂成分を含有するハイブリッド樹脂であってもよい。例えば、ポリエステル樹脂とビニル系樹脂とのハイブリッド樹脂が挙げられる。ハイブリッド樹脂のような、ビニル系樹脂やビニル系共重合ユニットとポリエステル樹脂の反応生成物を得る方法としては、ビニル系樹脂やビニル系共重合ユニット及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方又は両方の樹脂の重合反応を行う方法が好ましい。
例えば、ポリエステル樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル系共重合体と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸のような不飽和ジカルボン酸又はその無水物等が挙げられる。ビニル系共重合体成分を構成するモノマーのうちポリエステル樹脂成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸又はメタクリル酸エステル類が挙げられる。
また、本発明では非晶性ポリエステル樹脂として、ポリエステル樹脂を主成分とするならば、上記のビニル系樹脂以外にも、従来結着樹脂として知られている種々の樹脂化合物を併用することができる。このような樹脂化合物としては、例えばフェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂等が挙げられる。
本発明における非晶性ポリエステルは、通常のポリエステル合成法に従って製造することができる。例えば、前記したカルボン酸成分とアルコール成分とをエステル化反応、又はエステル交換反応せしめた後、減圧下又は窒素ガスを導入して常法に従って重縮合反応させることで所望のポリエステル樹脂を得ることができる。
上記エステル化又はエステル交換反応は、必要に応じて硫酸、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸マンガン、酢酸マグネシウムなどの通常のエステル化触媒又はエステル交換触媒を用いて行うことができる。
また、上記重縮合反応は、通常の重合触媒、例えばチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムなど公知の触媒を使用して行うことができる。
また、非晶性ポリエステル樹脂のピーク分子量は8000以上13000以下であることが、低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から好ましい。非晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量は1500以上3500以下であることが、低温定着性の観点から好ましい。
[結晶性ポリエステル樹脂]
本発明において、結晶性ポリエステル樹脂は、アルコール成分とカルボン酸成分とから得ることができる。炭素数6以上12以下の脂肪族ジオールを80mol%以上100mol%以下含有するアルコール成分と、炭素数6以上12以下の脂肪族ジカルボン酸を80mol%以上100mol%以下含有するカルボン酸成分との縮重合樹脂が好ましい。より好ましくは、脂肪族ジオールを85mol%以上100mol%以下含有するアルコール成分と、脂肪族ジカルボン酸を85mol%以上100mol%以下含有するカルボン酸成分である。
脂肪族ジオールとしては、特に限定されないが、鎖状(より好ましくは直鎖状)の脂肪族ジオールであることが好ましく、例えば、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、が好ましく例示される。
本発明において、結晶性ポリエステル樹脂のアルコール成分として上記脂肪族ジオール以外の多価アルコール成分を併せて用いることもできる。該多価アルコール成分のうち2価アルコールとしては、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等の芳香族アルコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。また、該多価アルコール単量体のうち3価以上の多価アルコールとしては、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の芳香族アルコール;ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の脂肪族アルコール等が挙げられる。
さらに、本発明において、結晶性ポリエステル樹脂のアルコール成分として併せて1価のアルコールを用いてもよい。該1価のアルコールとしては、例えばn−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、ラウリルアルコール、2−エチルヘキサノール、デカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ドデシルアルコール等の1官能性アルコールなどが挙げられる。
一方、脂肪族ジカルボン酸としては、特に限定されないが、鎖状(より好ましくは直鎖状)の脂肪族ジカルボン酸であることが好ましい。具体例としてはシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられ、これらの酸無水物又は低級アルキルエステルを加水分解したものなども含まれる。
結晶性ポリエステル樹脂のカルボン酸成分として、脂肪族ジカルボン酸以外の多価カルボン酸を併せて用いることもできる。その他の多価カルボン酸のうち、2価のカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族カルボン酸;n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸の脂肪族カルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸が挙げられ、これらの酸無水物又は低級アルキルエステルなども含まれる。また、その他のカルボン酸のうち、3価以上の多価カルボン酸としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン等の脂肪族カルボン酸が挙げられ、これらの酸無水物又は低級アルキルエステル等の誘導体等も含まれる。
さらに、結晶性ポリエステル樹脂のカルボン酸成分として、併せて1価のカルボン酸を含有していてもよい。1価のカルボン酸としては、例えば安息香酸、ナフタレンカルボン酸、サリチル酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、フェノキシ酢酸、ビフェニルカルボン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸などのモノカルボン酸が挙げられる。
本発明における結晶性ポリエステルは、通常のポリエステル合成法に従って製造することができる。例えば、前記したカルボン酸成分とアルコール成分とをエステル化反応、又はエステル交換反応せしめた後、減圧下又は窒素ガスを導入して常法に従って重縮合反応させることで所望のポリエステル樹脂を得ることができる。
上記エステル化又はエステル交換反応は、必要に応じて硫酸、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、2−エチルヘキサン酸錫、酢酸マンガン、酢酸マグネシウムなどの通常のエステル化触媒又はエステル交換触媒を用いて行うことができる。
また、上記重縮合反応は、通常の重合触媒、例えばチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、2−エチルヘキサン酸錫、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムなど公知の触媒を使用して行うことができる。重合温度、触媒量は特に限定されるものではなく、適宜に決めればよい。
エステル化若しくはエステル交換反応又は重縮合反応において、得られる結晶性ポリエステル樹脂の強度を上げるために全単量体を一括仕込みしたりしてもよい。また低分子量成分を少なくするために2価の単量体を先ず反応させた後、3価以上の単量体を添加して反応させる等の方法を用いてもよい。
結晶性ポリエステル樹脂の原料モノマーであるアルコール成分とカルボン酸成分とのモル比(カルボン酸成分/アルコール成分)は、0.80以上1.20以下であることが好ましい。
本発明において、結晶性ポリエステルの含有量は、非晶性ポリエステル樹脂100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下が好ましく、より好ましくは1質量部以上22質量部以下であり、さらに好ましくは2質量部以上18質量部以下である。結晶性ポリエステル樹脂の含有量が上記範囲にあると、記録媒体と結着樹脂との密着性がより高まる。そのため、画像を折り曲げた場合でもトナー層の剥れる発生をさらに抑制することができる(画像折り曲げ耐性)。
[ワックス]
本発明のトナーは、ワックスを含有する。ワックスとしては、例えば以下のものが挙げられる。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスのような炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。
さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸のような飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸のような不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのような飽和アルコール類;ソルビトールのような多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸のような脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのようなアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドのような脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドのような飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドのような不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドのような芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムのような脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸のようなビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドのような脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
これらのワックスの中でも、低温定着性、耐ホットオフセット性を向上させるという観点で、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックス、又はカルナバワックスのような脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。本発明においては、耐ホットオフセット性がより向上する点で、炭化水素系ワックスがより好ましい。
前記ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下が好ましい。ワックスの含有量がこの範囲にあるとき、高温でのホットオフセット性を維持に効率的に発揮することが可能となり易い。
また、トナーの保存性と高温オフセット性の両立の観点から、示差走査熱量分析装置(DSC)で測定される昇温時の吸熱曲線において、温度30℃以上200℃以下の範囲に存在する最大吸熱ピークのピーク温度が50℃以上110℃以下であることが好ましい。
[着色剤]
本発明のトナーに含有できる着色剤(色材)としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤を用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタ着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタ着色染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1のような油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28のような塩基性染料。
シアン着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料。
シアン着色染料としては、C.I.ソルベントブルー70がある。
イエロー着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロー着色染料としては、C.I.ソルベントイエロー162がある。
上記着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上30.0質量部以下が好ましい。
[磁性体]
本発明のトナーは磁性トナーであっても非磁性トナーであってもよい。磁性トナーとして用いる場合は、磁性体として磁性酸化鉄を用いることが好ましい。磁性酸化鉄としては、マグネタイト、マグヘマタイト、フェライト等の酸化鉄が用いられる。トナーに含有される磁性酸化鉄の量は、結着樹脂100質量部に対して、25質量部以上95質量部以下であることが好ましく、より好ましくは30質量部以上45質量部以下である。
[荷電制御剤]
本発明のトナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。例えば、ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩又はスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩又はカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添してもよいし外添してもよい。荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して、0.2質量部以上10.0質量部以下が好ましい。
[シリカ微粒子]
本発明に係るトナー粒子は、シリカ微粒子を含有する。シリカ微粒子の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、5質量部以上30質量部以下であることが好ましく、より好ましくは7質量部以上20質量部以下、さらに好ましく10質量部以上15質量部以下である。シリカ微粒子の含有量が30質量部以下であると、定着性(画像折り曲げ耐性)が良好になる。
シリカの製造方法として、例えば、以下の方法が挙げられる。珪素化合物をガス状にして火炎中において分解・溶融させる火炎溶融法、四塩化珪素を酸素、水素、希釈ガス(例えば、窒素、アルゴン、二酸化炭素など)の混合ガスとともに高温で燃焼させる気相法(乾式法シリカ又はヒュームドシリカ)、水が存在する有機溶媒中で、アルコキシシランを触媒により加水分解、縮合反応させ後、得られたシリカゾル懸濁液から、溶媒除去、乾燥する湿式法(ゾルゲルシリカ)。
さらに、上記のような製造方法によって得られたシリカ粒子を分級処理及び/又は解砕処理によって、所望の個数平均粒径にする方法も用いてもよい。
さらに、前記シリカ微粒子は疎水化処理されたシリカ微粒子であることが好ましい。疎水化処理については特に限定されず、公知の手法を用いることができる。
シランカップリング剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラメン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、へキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及び1分子当たり2〜12個のシロキサン単位を有し、末端に位置する単位のケイ素原子に水酸基を一つずつ有するジメチルポリシロキサンが挙げられる。
シリカ微粒子の処理に用いるシリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル,アルキル変性シリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられる。シリコーンオイルとしては上記式のものに限定されるわけではない。シリコーンオイル処理の方法としては、公知技術が使用できる。例えば、ケイ酸微粉体とシリコーンオイルとを混合機を用い、混合する;ケイ酸微粉体中にシリコーンオイルを噴霧器を用い噴霧する;又は溶剤中にシリコーンオイルを溶解させた後、ケイ酸微粉体を混合する方法が挙げられる。処理方法としてはこれに限定されるものではない。
シリカ微粒子は、表面処理剤としてヘキサメチルジシラザンを用いたものがより好ましい。
[キャリア]
本発明のトナーは、長期にわたり安定した画像が得られるという点で、磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として用いることが好ましい。
磁性キャリアとしては、例えば、表面を酸化した鉄粉、あるいは、未酸化の鉄粉や、鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、希土類のような金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子、フェライト等の磁性体や、磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)等、一般に公知のものを使用できる。
[製造方法]
本発明のトナーは、乳化凝集法、溶融混練法、溶解懸濁法など従来公知のトナー製造方法で製造することが可能であり、特に限定されない。
溶融混練法は、トナー粒子の原材料であるトナー組成物を溶融混練し、得られた混練物を粉砕することを特徴とする。製造方法の例を挙げて説明する。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、結着樹脂、ワックス、無機微粒子、必要に応じて有機金属化合物、着色剤等の他の成分を、所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中に他原材料等を分散させる。溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーのようなバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝鉄工製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。更に、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。また、溶融混錬の設定温度は、主な結着樹脂の軟化点(Tm)に対して、Tm+15℃以内に設定することが好ましく、Tm以下の温度に設定することがより好ましい。ここでいう主な結着樹脂とは、材料組成として50質量%を占める結着成分を示す。上記の場合、溶融混錬物に十分なシェアが掛るため、材料分散性がより良好になる。
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルのような粉砕機で粗粉砕した後、更に、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボ・ミル(ターボ工業製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)のような分級機や篩分機を用いて分級し、トナー粒子を得る。
本発明では、必要に応じ得られたトナー粒子表面に無機微粉体や樹脂粒子などの添加剤を加えて混合分散させ、その分散させた状態で熱風による表面処理により添加剤をトナー粒子表面に固着させる熱処理工程を行ってもよい。熱処理工程を経ることにより、トナー粒子形状の調整も可能となる。
上記のような製造方法で製造されたトナー粒子に、必要に応じ選択された外部添加剤を加えて混合(外添)してもよい。例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム等の無機微粉体や、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂粒子などがあげられる。これらの無機微粉体や樹脂粒子は、帯電性制御、流動性助やクリーニング助剤等の外添剤として機能する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
次に、各物性の測定方法について記載する。
<非晶性ポリエステル樹脂の軟化点(Tm)の測定方法>
樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。なお、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとなるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料は、約1.0gの樹脂を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
<非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)の測定>
樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、樹脂約5mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。一度180℃まで昇温させ10分間保持し、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程で、温度30〜100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、樹脂のガラス転移温度(Tg)とする。
<結晶性ポリエステル及び非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量及びピーク分子量の測定>
樹脂のTHF可溶分の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流量で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント値との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては例えば、東ソー社製あるいは昭和電工社製の分子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また、検出器はRI(屈折率)検出器を用いる。なお、カラムとしては市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば以下の組み合わせが挙げられる。昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合せや、東ソー社製のTSKgel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKgurd columnの組み合せ。
また、試料は以下のようにして作製する。
試料50mgをTHF10ml中に入れ、25℃で数時間放置した後、十分振とうし、THFとよく混ぜ(試料の合一体が無くなるまで)、更に12時間以上静置する。なお、THF中における放置時間の合計が24時間となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.2μm以上0.5μm以下、例えばマイショリディスクH−25−2(東ソー社製)など使用できる。)を通過させたものをGPCの試料とする。
<結晶性ポリエステル樹脂及びワックスの融点の測定>
結晶性ポリエステル樹脂、ワックスの融点は、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定したDSC曲線において、最大吸熱ピークのピーク温度を融点とする。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、試料約2mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。なお、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピーク温度を融点とする。
<トナーの体積平均粒径(D4)の測定>
トナーの体積平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行ない、算出する。測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムを脱イオン水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行なう前に、以下のように専用ソフトの設定を行なう。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の(1)〜(7)の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mlの丸底ビーカー内に前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去する。
(2)ガラス製の100mlの平底ビーカー内に前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を脱イオン水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量の脱イオン水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液中に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカー内に、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50,000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、体積平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が体積平均粒径(D4)である。
<TEM観察によるトナー断面の測定>
トナーの透過型電子顕微鏡(TEM)による断面観察は、以下のようにして実施することができる。本発明では、トナーの断面観察において、トナー断面積St、シリカ微粒子が占める面積Sの評価を行った。
トナー断面を四酸化ルテニウム染色することによって、結晶性ポリエステル樹脂が明瞭なコントラストとして得られる。結晶性ポリエステル樹脂はトナー内部を構成する有機成分よりも、弱く染色される。これは、結晶性ポリエステル樹脂の中への染色材料の染み込みが、密度の差などが有るために、トナー内部の有機成分よりも弱いためと考えられる。
染色の強弱によって、ルテニウム原子の量が異なるため、強く染色される部分は、これらの原子が多く存在し、電子線が透過せずに、観察像上では黒くなり、弱く染色される部分は、電子線が透過されやすく、観察像上では白くなる。
オスミウム・プラズマコーター(filgen社、OPC80T)を用いて、保護膜としてトナーにOs膜(5nm)及びナフタレン膜(20nm)を施し、光硬化性樹脂D800(日本電子社)で包埋したのち、超音波ウルトラミクロトーム(Leica社、UC7)により、切削速度1mm/sで膜厚60nm(又は70nm)のトナー断面を作製した。
得られた断面を、真空電子染色装置(filgen社、VSC4R1H)を用いて、RuO4ガス500Pa雰囲気で15分間染色し、TEM(JEOL社、JEM2800)のSTEM機能を用いてSTEM観察を行った。STEMのプローブサイズは1nm、画像サイズ1024×1024pixelで取得した。
得られた画像については、画像処理ソフト「Image−Pro Plus (Media Cybernetics社製)」を用いた。
得られた断面画像において、シリカ微粒子が占める全面積S、トナーの断面積Stを計測する。本発明では20個のトナーについて断面観察した。なお、観察するトナー断面は、重量平均粒径(D4)に対して、0.9≦R/D4≦1.1の関係を満たす長径R(μm)を呈するものとする。
さらにトナー粒子の断面において、トナーの断面に外接する長方形を9分割した各区画内における、トナー粒子の断面積に対して該シリカ微粒子が占める面積比率の変動係数を以下のようにして算出した。
トナー粒子1つについて、トナー粒子の長径を長辺とするトナー粒子の外接長方形を9分割した長方形エリアについてそれぞれ解析した。
前記9分割した長方形エリアの画像にトナー粒子表面ではないバックグラウンドが写っている場合、トナーの表面部分のみをAOI(Area of Interst;対象領域)としてから以下の解析を行う。AOIツールから自由曲線AOIボタンを選択し、トナーの表面部分の輪郭をなぞる閉じた曲線を描くことでAOIを定義することができる。ツールバーの「測定」から「カウント/サイズ」の順に選択し、「輝度レンジの選択」欄で「明るいオブジェクトを自動抽出」を選択する。オブジェクト抽出オプションの中で8連結を選択し、平滑化を0とする。その他、予め選別、穴を埋める、包括線は選択せず、「境界線を除外」は「なし」とする。ツールバーの「測定」から「測定項目」を選択し、面積の選別レンジを2〜107とする。「カウント」を押下し、シリカ微粒子成分を抽出する。
画像上において、解析対象でない微粒子のオブジェクト番号をダブルクリックする。開いたオブジェクトの属性ウインドウにおいて「除外」を選択する。この操作を繰り返すことで解析対象のシリカ微粒子のみを抽出する。
トナー粒子の断面積に対して該シリカ微粒子が占める面積比率の計算は、抽出した対象シリカ微粒子成分の面積の総和(P)と、前述した9分割した長方形エリアのうち、AOIとしたトナー断面の面積(S)から、以下の式を使って求められる。
トナー粒子の断面積に対して該シリカ微粒子が占める面積比率=P/S
9分割した長方形エリアのトナー粒子の断面積に対して該シリカ微粒子が占める面積比率から平均値・標準偏差を求め、変動係数を算出した。トナー粒子20個について同様の操作を繰り返し、その平均値を用いた。
<シリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径(D1)の測定方法>
クライオミクロトーム(Leica社製 ULTRACUT UCT)装置に水溶性樹脂に分散したトナー粒子を入れた。液体窒素により該装置を−80℃まで冷却し、トナー粒子が分散された水溶性樹脂を凍結した。凍結された水溶性樹脂を、ガラスナイフにより切削面形状が約0.1ミリ幅、約0.2ミリ長になるようにトリミングした。次にダイヤモンドナイフを用いて、水溶性樹脂を含むトナーの超薄切片(厚み設定:70nm)を作製し、まつげプローブを用いてTEM観察用グリッドメッシュ上に移動した。水溶性樹脂を含むトナー粒子の超薄切片を室温に戻した後、水溶性樹脂を純水に溶解させて透過型電子顕微鏡(TEM)の観察試料とした。該試料は、日立社製透過型電子顕微鏡H−7500を用い、加速電圧100kVにて観察し、トナー粒子の断面の拡大写真を撮影した。また、拡大写真の倍率は20000倍とした。
上記写真撮影により得られたTEM画像は、画像解析ソフトImage−ProPlus5.1J(Media Cybernetics社製)を用いて、2値の画像データに変換した。そのうち、シリカ微粒子についてのみ無作為に解析を行なった。
シリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径は、粒子の長軸と短軸の平均値を一次粒子径とした。一次粒子100個を無作為に選択し、その一次粒子径の個数平均をシリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径(D1)とした。
以下、製造例及び実施例により本発明を説明する。実施例5〜16は参考例である。
<非晶性ポリエステル樹脂の製造例1>
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:
多価アルコール総モル数に対して100.0mol%
・テレフタル酸:多価カルボン酸総モル数に対して80.0mol%
・無水トリメリット酸:多価カルボン酸総モル数に対して20.0mol%
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を投入した。そして、モノマー総量100質量部に対して、触媒として2−エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒)ジオクチル酸錫を1.5質量部添加した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180まで冷却し、そのまま反応させASTM D36−86に従って測定した軟化点が122℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止めた。得られた非晶性ポリエステル樹脂の軟化点(Tm)は112℃、ガラス転移温度(Tg)は63℃であった。
<結晶性ポリエステル樹脂の製造例1>
・1,6−ヘキサンジオール 50.0質量部
・ドデカン二酸 50.0質量部
・ジオクチル酸錫 1.0質量部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で撹拌しつつ、6時間反応させ、次いで、200℃まで10℃/時間で昇温しつつ反応させてポリエステル樹脂1を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂1は、重量平均分子量10,000、示差走査熱量分析によるDSC曲線において、70℃に最大吸熱ピークを有した。
[実施例1]
<トナー1の製造例>
・非晶性ポリエステル樹脂 93.0質量部
・結晶性ポリエステル樹脂 4.0質量部
・ヘキサメチルジシラザン10質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒子径110nmの疎水性シリカ微粒子(表1中のシリカ微粒子1) 12.0質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物
0.5質量部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度90℃)
5.0質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5.0質量部
前記処方で示した原材料をヘンシェルミキサ(FM75J型、三井三池化工機(株)製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5minで混合した後、温度110℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、株式会社池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらに回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、トナー粒子を得た。回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン社製)の運転条件は、分級ローター回転数を50.0s-1とした。得られたトナー粒子は、重量平均粒径(D4)が5.6μmであった。
得られたトナー粒子100.0質量部に、イソブチルトリメトキシシラン15.0質量%で表面処理した一次平均粒子径50nmの酸化チタン微粒子0.5質量部、及びヘキサメチルジシラザン20.0質量%で表面処理した一次平均粒子径15nmの疎水性シリカ微粒子1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサ(FM75J型、三井三池化工機(株)製)で混合し、目開き54μmの超音波振動篩を通過させトナー1を得た。
得られたトナー1は、示差走査熱量分析によるDSC曲線において、70℃に結晶性ポリエステル樹脂由来の吸熱ピーク、90℃にワックス成分由来の吸熱ピークを有した。さらに、トナー1のTEM断面観察を行った。その測定結果を表2に示す。
前記トナー1とシリコーン樹脂で表面被覆した磁性フェライトキャリア粒子(個数平均粒径35μm)とで、トナー濃度が9質量%になるようにV型混合機(V−10型:株式会社徳寿製作所)で0.5s-1、5分間で混合し、二成分系現像剤1を得た。二成分系現像剤1を用い、後述する評価を行い結果を表3に示す。
[実施例2〜16、比較例1〜5]
表2に記載の様に、結晶性ポリエステル樹脂、シリカ微粒子、混練温度を変更した以外は、実施例1と同様にして、トナー2〜21を作製し、さらに二成分現像剤2〜21を作製した。得られた現像剤を実施例1と同様にして評価を行った。トナーの測定結果を表2に、現像剤の評価結果を表3に示す。
[画像評価]
評価機として、オンデマンドプリンターであるキヤノン製フルカラー複写機imagePRESS C10000VP(出力スピード:100枚/分(A4))を用いた。通常環境下(23℃/50%RH、以下「N/N環境」とも表す)、および高温高湿環境下(30℃/80%RH、以下「H/H環境」とも表す)において評価を行った。
以下の方法に従って、トナーの性能評価を行った。
<耐排紙接着性の評価>
評価には、CLC5000用 最厚口用紙(A4、坪量250g/m2、キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。トナー載り量が、1.1mg/cm2となるようにベタの画像を両面印刷で、各300枚出力した。300枚出力終了後、出力画像を重ねたまま10分間放置した。10分間放置後、印刷画像が接着しているか否かを1枚ごとに評価した。評価結果を表3に示す。結果は以下の基準でA〜Dにランク付けしたが、本発明ではランクCまでが許容できるレベルである。
A:接着した画像がなく、良好な画質を維持している。
B:接着した画像はあるが、容易に分離し、良好な画質を維持している。
C:接着した画像があり、分離後に画像欠陥がある画像は3枚以下である。
D:接着した画像があり、分離後に画像欠陥がある画像は4枚以下である。
<折り曲げ耐性の評価>
N/N環境における画像の折り曲げ耐性を評価した。トナーの載り量を0.55mg/cm2となるように現像電圧を調整し、10cm×10cmの大きさのベタ画像を出力した。ついで、定着画像を十字に折り曲げ、4.9kPaの荷重をかけつつ柔和な薄紙(例えば、商品名「ダスパー」、小津産業社製)により5往復摺擦した。十字の部分においてトナーが剥離すると、紙の地肌が見えるサンプルが得られる。ついで、800ピクセル/インチの解像度で512ピクセル四方の領域をCCDカメラで、該十字の部分を撮影した。閾値を60%に設定し画像を二値化し、トナーが剥離した部分は白部であり、白部の面積率が小さいほど、折り曲げ耐性に優れていることを表す。本発明では、C以上を良好であると判断した。
なお、折り曲げ耐性の評価には以下の用紙を使用した。
紙:ミラーコートプラチナ 209(光沢厚紙)(209g/m2
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
(評価基準)
A:白部の面積率が1.0%未満
B:白部の面積率が1.0%以上3.0%未満
C:白部の面積率が3.0%以上5.0%未満
D:白部の面積率が5.0%以上7.0%未満
E:白部の面積率が7.0%以上
Figure 0006946077
Figure 0006946077
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Claims (4)

  1. 結着樹脂、ワックス及びシリカ微粒子を有するトナー粒子を有するトナーであって、
    前記シリカ微粒子の一次粒子の個数平均径(D1)は、70nm以上250nm以下であり、
    前記シリカ微粒子が疎水化処理されたものであり、
    前記シリカ微粒子は、前記結着樹脂100質量部あたり、10質量部以上15質量部以下含有されており、
    前記トナー粒子の断面において、前記トナー粒子断面積St、前記シリカ微粒子が占める面積Sの関係が、0.05≦S/St≦0.50であり、
    前記トナー粒子の断面において、前記トナー粒子の断面に外接する長方形を9分割した各区画内における、前記トナー粒子の断面積に対して該シリカ微粒子が占める面積比率の変動係数が0.45以下であることを特徴とするトナー。
  2. 前記結着樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂を有する請求項1に記載のトナー。
  3. 前記シリカ微粒子が、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理されたものである請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 結着樹脂、ワックス及び、シリカ微粒子を溶融混練し、得られた混練物を粉砕してトナー粒子を得るトナーの製造方法であって、
    結着樹脂の軟化点をTm(℃)としたとき、溶融混練する際の設定温度が、Tm+15℃以下であって、
    前記シリカ微粒子は、
    (i)疎水化処理されたものであり、
    (ii)一次粒子の個数平均径(D1)が70nm以上250nm以下であり、
    (iii)前記結着樹脂100質量部あたり、10質量部以上15質量部以下用いられ、
    得られるトナー粒子は、粒子断面において、
    (i)前記トナー粒子断面積St、前記シリカ微粒子が占める面積Sの関係が、0.05≦S/St≦0.50であり、
    (ii)前記トナー粒子の断面に外接する長方形を9分割した各区画内における、前記トナー粒子の断面積に対して該シリカ微粒子が占める面積比率の変動係数が0.45以下である、
    ことを特徴とするトナーの製造方法。
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