JP6292865B2 - トナー及び二成分系現像剤 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法および静電記録法に用いられるトナー及び二成分系現像剤に関する。
フルカラー複写機またはフルカラープリンタ等のフルカラー画像形成装置では、高速印刷に対応するため、さらなる低温定着性が求められている。低温定着性を向上させるためには、定着器のニップを通過するわずかな時間でトナーを素早く溶融させる必要がある。このため、近年、結着樹脂として非晶性ポリエステル樹脂に加えて結晶性ポリエステル樹脂を用いたトナーの検討がなされている(特許文献1)。このようなトナーを製造する際に、非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂は溶融混練によって混合されるが、溶融混練工程を用いた場合、結晶性ポリエステル樹脂が非晶性ポリエステル樹脂と相溶し、トナーの耐熱保存性が低下する場合があった。そこで、トナーの結晶化速度をコントロールする手法や、製造後のトナーに加熱工程(アニーリング工程)を行い、トナー中の結晶性ポリエステル樹脂を結晶化させ、トナーの耐熱保存性を良化させる手法の提案がなされてきた(特許文献2、3)。
しかし、上記いずれの手法でも、定着後に画像同士が接着する現象(排紙接着)が発生する場合があった。
そのメカニズムは明確ではないが、本発明者等は以下の様に推察している。結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂を含有するトナーは、定着時に結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂が相溶し、可塑化する。その結果、トナーのガラス転移点(Tg)が低下し、トナーは低温でも定着するようになる。しかし、トナーの定着後もトナーはガラス転移点が低いままであり、排紙接着が発生する。
従来から提案されているアニーリング工程を行うと、製造直後のトナーのTgを向上できるため、トナーの耐熱保存性は向上できる。しかし、トナーの定着後は、アニーリング工程を行ってないトナーと同様に、トナーのTgが低下するため、排紙接着を防ぐことができていない。
特許文献2に、結晶化速度の記載があるが、各温度で20時間保持した時の結晶化度合いを基準に結晶化速度を算出している。しかしながら、この20時間の保持時間は、排紙接着が発生する数分〜数十分という時間とは、オーダーが異なり、耐排紙接着性を改善することはできなかった。
排紙接着は、高速印刷の様に短期間に多数の紙が排出され、かつ、紙の節約等のために両面印刷を行う場合に顕著に生じるため、今後の高速印刷において解決すべき重要な課題となっている。このため、低温定着性及び耐熱保存性を向上させつつ、耐排紙接着性を向上させたトナーが求められている。
特開2001−222138号公報 特開2009−258234号公報 特開2009−063992号公報
本発明の目的は、上記問題点を解消したトナー、すなわち、低温定着性及び耐熱保存性を向上させながら、耐排紙接着性を向上させたトナーを提供することにある。
上記の課題は、下記の構成のトナーにより解決することができる。本発明は、結着樹脂とワックスを含むトナーであって、該結着樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂を含み、該結晶性ポリエステル樹脂が、結晶核剤部位を有し、該結晶核剤部位が、炭素数10以上、30以下の脂肪族モノアルコール及び/または炭素数11以上、31以下の脂肪族モノカルボン酸に由来する部位であり、該結着樹脂中における該非晶性ポリエステル樹脂の含有量が50質量%以上であり、該トナーが下記数式(1)〜(4)を満たすことを特徴とするトナーである。
TgA−TgB≧ 10.0 (℃) ・・・(1)
TgC−TgB≧ 5.0 (℃) ・・・(2)
TgA ≧ 45.0 (℃) ・・・(3)
TgC ≧ 40.0 (℃) ・・・(4)。
上記数式(1)〜(4)において、TgAは、該トナーのガラス転移温度(℃)を表す。TgBは、該トナーを150℃に加熱し、加熱終了後5秒以内に液体窒素で冷却し、液体窒素から取り出した後、1分以内に示差走査熱量測定を行うことにより得られるガラス転移温度(℃)を表す。TgCは、該トナーを150℃に加熱し、加熱終了後5秒以内に液体窒素で冷却し、その後50℃で20分間保持した後に、示差走査熱量測定を行うことによって得られるガラス転移温度(℃)を表す。
また、本発明は、前記トナー及び磁性キャリアを含む二成分系現像剤である。
本発明によれば、低温定着性及び耐熱保存性を向上させながら、耐排紙接着性を向上させたトナーを提供できる。
本発明者等は、鋭意検討の結果、結着樹脂とワックスを含むトナーであって、該結着樹脂が結晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂を含み、該結着樹脂中における該非晶性ポリエステル樹脂の含有量が50質量%以上であり、該トナーが下記数式(1)〜(4)を満たすことで、トナーの低温定着性、耐熱保存性、及び耐排紙接着性の3つを同時に改善できることを見出した。
TgA−TgB≧10.0 (℃) ・・・(1)
TgC−TgB≧5.0 (℃) ・・・(2)
TgA≧45.0 (℃) ・・・(3)
TgC≧40.0 (℃) ・・・(4)。
上記数式(1)〜(4)において、TgAは、該トナーのガラス転移温度(℃)を表す。
TgBは、該トナーを150℃に加熱し、加熱終了後5秒以内に液体窒素で冷却し、液体窒素から取り出した後、1分以内に示差走査熱量測定を行うことにより得られるガラス転移温度(℃)を表す。具体的には、該トナー2mgをDSCのパンに精秤し、150℃に加熱したホットプレート上で5分間加熱する。加熱終了後5秒以内に、該トナーを100ml以上の液体窒素液中につけて1分間以上冷却後、液体窒素から取り出し、1分以内にDSC測定を行う。
TgCは、該トナーを150℃に加熱し、加熱終了後5秒以内に液体窒素で冷却し、その後50℃で20分間保持した後に、示差走査熱量測定を行うことによって得られるガラス転移温度(℃)を表す。具体的には、該トナー2mgをDSCのパンに精秤し、150℃に加熱したホットプレート上で5分間加熱する。加熱終了後5秒以内に該トナーを100ml以上の液体窒素液中につけて1分間以上冷却後、液体窒素から取り出し、1分以内にDSCで50℃20分間保持し、その後にDSC測定を行う。以下、本発明の構成要件を詳細に説明する。
〔相溶化速度〕
数式(1)は、定着前と定着時のトナーのガラス転移点の差を示している。
定着時のトナーのTgを測定することはできない。しかし、本発明者等は鋭意検討の結果、トナー2mgをDSCのパンに精秤し、150℃に加熱したホットプレート上で5分間加熱し、該加熱終了後5秒以内に、100ml以上の液体窒素液中につけて1分間以上冷却後、液体窒素から取り出し、該取り出し後1分以内にDSCで測定した時のガラス転移温度TgBが、トナー定着性と相関性があることを見出した。このTgBが定着時のガラス転移温度を示していると考えている。
定着前と定着時のトナーのガラス転移点の差が10.0℃以上であれば、定着前のトナーTgは高いためため耐熱保存性が良好であり、定着時は低いTgになるため、低温定着性が良好になる。すなわち、トナーの耐熱保存性と低温定着性を両立できる。これは、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂の相溶化速度が大きいことを示しており、トナーの定着時に結晶性ポリエステルが非晶性ポリエステルに素早く溶解し、非晶性ポリエステルを可塑化することを示している。具体的には、「TgA−TgB」の値は10.0℃以上であることが必要であり、好ましくは12.0℃以上、より好ましくは15.0℃以上である。
次に、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂の相溶速度を高くする手法について述べる。
結晶性ポリエステル樹脂の融点Tcは、100℃以下が好ましい。結晶性ポリエステル樹脂が融解した後に、結晶性ポリエステル樹脂の非晶性ポリエステル樹脂への相溶がおこる。このため、結晶性ポリエステル樹脂の融点が100℃以下であれば、トナーの定着時に素早く結晶性ポリエステル樹脂が融解し、非晶性ポリエステル樹脂と相溶し、トナーのTgが低下する。一方、結晶性ポリエステル樹脂の融点が100℃より高い場合、トナーの定着時に結晶性ポリエステル樹脂の融解がなかなか始まらず、相溶の開始が遅くなる。また結晶性ポリエステル樹脂の融点は、トナーの耐熱保存性の観点から、50℃以上であることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂の相溶速度を上げるためには、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂を相溶しやすくすることが好ましく、すなわち、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂のSP値の差を小さくすることが好ましい。具体的には、本発明のトナーに含有される結晶性ポリエステル樹脂のSP値(SPa)と非晶性ポリエステル樹脂のSP値(SPb)が下記数式(5)を満足する事が好ましい。
−1.5≦SPb−SPa≦1.5 ・・・(5)。
SP値(溶解度パラメーター)は従来より、樹脂同士の混ざりやすさ及び樹脂とワックスとの混ざりやすさなどを示す指標として用いられている。「SPb−SPa」の値は、熱溶融時における結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂との相溶しやすさを示す指標である。この範囲内で各樹脂のSP値を制御する事で、結晶性ポリエステル樹脂の非晶性ポリエステル樹脂への相溶速度が大きくなり、トナーの定着時のTgの低下が大きくなり、トナーの低温定着性が向上する。
本発明で用いられるSP値は、一般的に用いられているFedorsの方法[Poly.Eng.Sci.,14(2)147(1974)]により、樹脂を構成するモノマーの種類と比率から算出される。
ポリエステル樹脂のSP値は、ポリエステル樹脂の製造時に使用される原料モノマーの種類と量によって制御することができる。ポリエステル樹脂のSP値を大きくするためには、例えば、SP値の大きいモノマーを使用すればよい。一方、ポリエステル樹脂のSP値を小さくするためには、例えば、SP値の小さいモノマーを使用すればよい。
また、結晶性ポリエステル樹脂の相の非晶性ポリエステル樹脂中への分散径を小さくすることでも相溶速度を向上させることができる。結晶性ポリエステル樹脂の相の分散径を小さくすることで、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂の接触面積が大きくなり、相溶がおこる場所が増える。その結果、両樹脂の相溶速度が向上する。
非晶性ポリエステル樹脂中に結晶性ポリエステル樹脂の相を微分散させるためには、結晶性ポリエステル樹脂が結晶核剤部位を有することがより好ましい。結晶性ポリエステル樹脂が結晶核剤部位を有することにより、結晶性ポリエステル樹脂が結晶化する時に、多数の小さいサイズの結晶を生成することができる。その結果、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂との界面が多くなり、トナーの定着時に結晶性ポリエステル樹脂が素早く非晶性ポリエステル樹脂と相溶することができる。
結晶性ポリエステル樹脂の分子量を小さくすることでも、非晶性ポリエステル樹脂への結晶性ポリエステル樹脂の相溶速度を上げることができる。結晶性ポリエステルの分子量を小さくすることで、結晶性ポリエステル樹脂の分子運動性が高まり、結晶性ポリエステル樹脂が非晶性ポリエステル樹脂中に素早く移動するため、相溶速度が向上する。
以上述べてきたように、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂の相溶速度を大きくする手法としては、結晶性ポリエステル樹脂の融点、結晶サイズ、及び分子量の制御、並びに、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂とのSP値の差の制御等、多数ある。本発明者等は、これらの手法のいずれか、または、これらの手法のいくつかの組み合わせの有無に拘らず、前記の数式(1)を満たすことがトナーの耐熱保存性と低温定着性の両立に有効であることを見出した。
〔結晶化速度〕
数式(2)は、定着時と定着後(排紙後)のトナーのガラス転移点の差を示している。本発明者等は、鋭意検討の結果、排紙接着が、主に排紙後の数分〜数十分の時間で発生していることから、トナーの定着後に結晶性ポリエステル樹脂を素早く結晶化させて、定着画像上のトナーのTgを十分に上げれば、排紙時に画像同士がくっつく現象は発生しないことを見出した。すなわち、トナー中の結晶性ポリエステル樹脂の結晶化速度が大きいことが必要であり、その結果、定着画像上のトナー結晶化が素早く進み、その結果、画像上のトナーのTgが高くなり画像同士がくっつくことがないことが分かった。具体的には、「TgC−TgB」の値は5.0℃以上であることが必要であり、好ましくは7.0℃以上、より好ましくは10.0℃以上である。
次に結晶性ポリエステル樹脂の結晶化速度を大きくする手法について述べる。
結晶性ポリエステル樹脂の結晶化速度を大きくするためには、ワックスとして炭化水素ワックスを用いることが好ましい。そのメカニズムは明確ではないが、本発明者等は、ワックスが核剤的な働きをしていると考えている。具体的には、トナーが定着時に融解され、定着後に冷却されていく時に、まず、結晶性の高いワックスが結晶化する。この結晶化したワックスが結晶核剤的な働きをし、結晶性ポリエステルの結晶化を促進させると考えている。特に、ワックスの融点Twが結晶性ポリエステル樹脂の融点Tcより高い場合、先にワックスが結晶化し、その後、結晶性ポリエステル樹脂が結晶化するので、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化速度がさらに大きくなる。TwとTcは、具体的には、以下の数式(6)の関係を満たすことが好ましい。
Tc<Tw<100.0 (℃) ・・・(6)。
また、TwとTcの差が20℃未満であるとワックスの結晶化と結晶性ポリエステル樹脂の固化が同時に起こるため、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化がより効率的に進む。具体的には以下の数式(7)の関係を満たすことが好ましい。また、以下の数式(8)の関係を満たすことがより好ましい。
Tw−Tc<20.0 (℃) ・・・(7)
Tw−Tc<10.0 (℃) ・・・(8)。
また、結晶性ポリエステル樹脂が結晶核剤部位を有することがより好ましい。結晶性ポリエステル樹脂が結晶核剤部位を有することにより、結晶性ポリエステル樹脂が結晶核剤部位から迅速に結晶化する。さらには、結晶性ポリエステルの分子量を小さくすることで結晶性ポリエステル樹脂の結晶化速度を上げることができる。結晶性ポリエステルの分子量を小さくすることで、結晶性ポリエステル樹脂の分子運動性が高まり、素早く分子が配向し、結晶化速度が向上する。結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量Mwが、100,000以下であることが好ましく、45,000以下であることがより好ましい。
以上述べてきたように、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂の結晶化速度を大きくする手法としては、結晶性ポリエステルとワックスの融点の差の制御、結晶性ポリエステルの結晶核剤部位の存在、及び結晶性ポリエステルの分子量の制御等、多数ある。本発明者等は、これらの手法のいずれか、または、これらの手法のいくつかを組み合わせの有無に拘らず、前記の数式(2)を満たすことがトナーの低温定着性と耐排紙接着性の両立に有効であることを見出した。
数式(3)は、トナーの耐熱保存性を向上させるためには、トナーのTgが45℃以上であることが必要であることを示している。この要件は、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂のSP値の差を制御したり、アニーリング(高温で保持)処理を行ったりすることにより達成できる。TgAは、好ましくは47℃以上、より好ましくは50℃以上である。また、TgAは、低温定着性の観点から、65℃以下であることが好ましく、60℃以下であることがより好ましい。
数式(4)は、耐排紙接着性を改良させるためには、排紙後のトナーのTgが40℃以上であることが必要であることを示している。TgCが高く、かつ、数式(2)で示される結晶化速度が大きいことで、トナーの耐排紙接着性を改良することができる。TgCは、好ましくは42℃以上、より好ましくは45℃以上である。
以下、本発明のトナーの構成について詳細に述べる。
本発明のトナーは、結着樹脂とワックスを含むトナーであって、該結着樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂を含有している。本発明のトナーは低温定着性を向上させるため、結晶性ポリエステル樹脂を含有することが必要である。結晶性ポリエステル樹脂の融点Tcは、トナーの低温定着性の観点から、100℃以下であることが好ましい。また、結晶性ポリエステル樹脂のSP値(SPa)と非晶性ポリエステル樹脂のSP値(SPb)が前記の数式(5)を満足する事が好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂はそれぞれ、多価アルコールユニットと多価カルボン酸ユニットを有する樹脂である。
〔結晶性ポリエステル樹脂の原料〕
結晶性ポリエステル樹脂の原料モノマーに用いられるアルコール成分としては、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性を高める観点から、炭素数6〜18の脂肪族ジオールが好ましい。これらの中でも、トナーの定着性及び耐熱保存性の観点から、炭素数6〜12の脂肪族ジオールが好ましい。脂肪族ジオールとしては、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール等が挙げられる。上記脂肪族ジオールの含有量は、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性をより高める観点から、アルコール成分中に80.0〜100.0モル%含有されることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂を得るためのアルコール成分としては、上記の脂肪族ジオール以外の多価アルコール成分を含有していても良く、例えば以下のものが挙げられる。2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシプロピレン付加物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシエチレン付加物等を含む下記化学式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の3価以上のアルコール。
Figure 0006292865
上記化学式中、Rは、炭素数2又は3のアルキレン基を示す。x及びyは、正の数を示し、xとyの和は、1〜16、好ましくは1.5〜5である。
結晶性ポリエステル樹脂の原料モノマーに用いられるカルボン酸成分としては、炭素数6〜18の脂肪族ジカルボン酸化合物が好ましい。これらの中でも、トナーの定着性及び耐熱保存性の観点から、炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸化合物が好ましい。脂肪族ジカルボン酸化合物としては、1,8−オクタン二酸、1,9−ノナン二酸、1,10−デカン二酸、1,11−ウンデカン二酸、1,12−ドデカン二酸等が挙げられる。炭素数6〜18の脂肪族ジカルボン酸化合物の含有量は、カルボン酸成分中に80.0〜100.0モル%含有されることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂を得るためのカルボン酸成分としては、上記脂肪族ジカルボン酸化合物以外のカルボン酸成分を含有していても良い。例えば、芳香族ジカルボン酸化合物、3価以上の芳香族多価カルボン酸化合物等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。芳香族ジカルボン酸化合物には、芳香族ジカルボン酸誘導体も含まれる。芳香族ジカルボン酸化合物の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、これらの酸の無水物、及びこれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステルが好ましく挙げられる。該アルキルエステル中のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。3価以上の多価カルボン酸化合物としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸、これらの酸の無水物、及びこれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等の誘導体が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂の原料モノマーであるアルコール成分とカルボン酸成分とのモル比(カルボン酸成分/アルコール成分)は、0.80以上、1.20以下であることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量Mwは、相溶速度と結晶化速度、耐熱保存性を向上させるため、8000以上、100,000以下であることが好ましく、12,000以上、45,000以下であることがより好ましい。
〔結晶核剤部位〕
晶性ポリエステル樹脂結晶核剤部位を有する。結晶核剤部位を形成する原料は炭素数10以上、30以下の脂肪族モノアルコール及び/または炭素数11以上、31以下の脂肪族モノカルボン酸である。すなわち、結晶核剤部位は、結晶性ポリエステル樹脂において、上記脂肪族モノアルコール及び/または脂肪族モノカルボン酸が、結晶性ポリエステル樹脂の末端に縮合した構造を有する。
前記脂肪族モノアルコールとしては、1−デカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが挙げられる。前記脂肪族モノカルボン酸としては、ステアリン酸、アルキジン酸、ベヘン酸が挙げられる。
また結晶性ポリエステル樹脂の分子鎖末端の反応性が高まる点で、結晶核剤部位の分子量は100以上、10,000以下であることが好ましく、150以上、5,000以下であることがより好ましい。
結晶核剤部位は、結晶化速度を上げるという観点から、結晶性ポリエステル樹脂を構成するモノマー中に、好ましくは0.1モル%以上、7.0モル%以下、より好ましくは0.5モル%以上、4.0モル%以下含有される。
結晶核剤部位が結晶性ポリエステル樹脂と結合しているか否かの判別方法は、後述する。
〔非晶性ポリエステル樹脂の原料〕
本発明に用いることができる非晶性ポリエステル樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂とのSP値が前記数式(5)を満たすことが好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の原料モノマーに用いられるアルコール成分としては下記のものが挙げられる。2価のアルコール成分としては、例えば以下のものが挙げられる。2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシプロピレン付加物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシエチレン付加物等を含む前記化学式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物;エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等。3価以上のアルコール成分としては、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。上記2価のアルコール成分及び3価以上の多価アルコール成分は、単独で、又は複数の化合物を組み合わせて用いることができる。
また、非晶性ポリエステル樹脂の原料モノマーに用いられるカルボン酸成分としては、下記のものが挙げられる。2価のカルボン酸成分としては、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、n−ドデセニルコハク酸、及びこれらの酸の無水物もしくは低級アルキルエステル等が挙げられる。3価以上の多価カルボン酸成分としては、例えば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、これらの酸の無水物、及びこれらの酸の低級アルキルエステル等が挙げられる。
非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、トナーの低温定着性及び耐熱保存性の観点から45℃以上、75℃以下である事が好ましい。非晶性ポリエステル樹脂の軟化点は、トナーの低温定着性の観点から、80℃以上、150℃以下であることが好ましい。
トナーに含有される、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂との質量比は、トナーの低温定着性及び画像の長期保存安定性の観点から、3:99〜50:50であることが好ましく、5:95〜40:60がより好ましい。
〔ワックス〕
本発明のトナーは、結晶性ポリエステルの結晶化速度とトナーの離型性を高めるために、ワックスを用いることが必要である。トナーの結晶化速度を速めるために、ワックス種類としては、炭化水素ワックスが好ましく、ワックスの融点Twとしては100.0℃未満が好ましい。ワックスの融点は、トナーの耐熱保存性の観点から、60℃以上であることが好ましい。さらに、ワックスの融点が、結晶性ポリエステル樹脂の融点より高く、かつ、その差が、20℃以下であれば、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化をより促進することができる。
ワックスとしては、トナー中での分散のしやすさ、トナーの離型性の高さの観点から、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスの如き炭化水素系ワックスが好ましい。必要に応じて、二種以上のワックスを併用してもかまわない。
ワックスとしては、具体的には以下のものが挙げられる。サゾールH1、H2、C80、C77(シューマン・サゾール社)、HNP−1、HNP−3、HNP−9、HNP−10、HNP−11、HNP−12、HNP−51(日本精鑞株式会社)。
ワックスは、粉砕法によってトナーを製造する場合は、溶融混練時に添加することが好ましい。また、非晶性ポリエステル樹脂の製造時にワックスを添加しても良い。ワックスは、結晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂の総量100.0質量部に対して1.0質量部以上、20.0質量部以下含有することが好ましい。
〔着色剤〕
本発明のトナーに用いられる着色剤としては、特に限定されず、公知の着色剤を使用することができる。具体的には以下のものが挙げられる。なお、着色剤は、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;磁性体;イエロー着色剤とマゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。
マゼンタトナー用着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、81:2、81:3、81:4、81:5、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、185、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28の如き塩基性染料。
シアントナー用着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料。
シアン用着色染料としては、C.I.ソルベントブルー70がある。
イエロー用着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロー用着色染料としては、C.I.ソルベントイエロー162がある。
着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上30質量部以下であり、より好ましくは0.5質量部以上20質量部以下である。
〔流動性向上剤〕
本発明のトナーには、無機微粉体等の流動性向上剤を使用することができる。流動性向上剤としては、以下のものが挙げられる。フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ;それらシリカをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、又はシリコーンオイル等により表面処理を施した処理シリカ。好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成された微粉体であり、乾式法シリカ又はヒュームドシリカである。
その中でも、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体を疎水化処理した処理シリカ微粉体が好ましく用いられる。処理シリカ微粉体は、メタノール滴定試験によって滴定された疎水化度が30以上、98以下であることが好ましい。
シリカ微粉体の疎水化方法としては、シリカ微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物で化学的に処理する方法が挙げられる。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する方法である。有機ケイ素化合物としては、以下のものが挙げられる。ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフエニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、1−ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサンである。
シリカ微粉体は、シリコーンオイルによって処理されても良く、また、シリコーンオイルと上記有機ケイ素化合物とを併用して処理されていても良い。シリコーンオイルとしては、25℃における粘度が30mm/s以上、1000mm/s以下であるものが好ましい。例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルが挙げられる。
シリコーンオイルによるシリカ微粉体の疎水化処理の方法としては、以下の方法が挙げられる。シランカップリング剤で処理されたシリカ微粉体とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサーの如き混合機を用いて直接混合する方法;ベースとなるシリカ微粉体にシリコーンオイルを噴霧する方法;適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散せしめた後、シリカ微粉体を加え混合し溶剤を除去する方法。シリコーンオイル処理シリカは、シリコーンオイルの処理後にシリカを不活性ガス中で温度200℃以上(より好ましくは250℃以上)で加熱し、表面のコートを安定化させたものがより好ましい。
無機微粉体は、トナー粒子100.0質量部に対して0.1質量部以上、8.0質量部以下用いることが好ましく、より好ましくは0.1質量部以上、4.0質量部以下である。
トナーには、必要に応じて他の外部添加剤を添加しても良い。例えば、帯電補助剤、導電性付与剤、ケーキング防止剤、熱ローラー定着時の離型剤、滑剤、研磨剤の働きをする樹脂微粒子や無機微粒子である。滑剤としては、ポリフッ化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末が挙げられる。中でもポリフッ化ビニリデン粉末が好ましい。研磨剤としては、酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末が挙げられる。
〔二成分系現像剤〕
本発明のトナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として用いることも可能である。磁性キャリアとしては、フェライトキャリアや、結着樹脂中に磁性体を分散させた磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)等、公知のものを使用できる。トナーを磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用する場合、現像剤中のトナー濃度が2質量%以上、15質量%以下であることが好ましい。
〔トナーの製造方法〕
本発明のトナーの製造方法は、特に限定されないが、より低温定着性に優れたトナーとなる点から、粉砕法が好ましい。粉砕法では、溶融混練工程において、せん断を加えて材料を混合することで、結晶性ポリエステル樹脂の分子鎖が非晶性ポリエステル樹脂の相中へ入り込み易くなり好ましい。
以下、粉砕法によって本発明のトナーを得るための方法を説明する。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂、ワックス、着色剤、および必要に応じてその他の添加剤等を、所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
次に、混合した材料を溶融混練して、結晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂中に着色剤等を分散させる。溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーの如きバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝鉄工社製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。更に、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルの如き粉砕機で粗粉砕した後、更に、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボ・ミル(ターボ工業製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)の如き分級機や篩分機を用いて分級し、トナー粒子を得る。
必要に応じて、粉砕後に、ハイブリタイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)、メテオレインボー MR Type(日本ニューマチック社製)を用いて、球形化処理の如きトナー粒子の表面処理を行うこともできる。更に必要に応じて所望の添加剤をヘンシェルミキサー等の混合機により十分混合することが出来る。
〔評価方法〕
結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂及びトナーに係る物性の測定方法は以下に示す通りである。後述の実施例等においてもこれらの方法に基づいて物性値を測定している。
<1.結晶核剤部位の測定>
樹脂サンプルを2mg精秤し、クロロホルム2mlを加えて溶解させてサンプル溶液を作製する。樹脂サンプルとしては結晶性ポリエステル樹脂を用いるが、結晶性ポリエステル樹脂を含有するトナーをサンプルとして代用することも可能である。次に、2,5−ジヒドロキシ安息香酸(DHBA)20mgを精秤し、クロロホルム1mlを添加して溶解させてマトリックス溶液を調製する。また、トリフルオロ酢酸Na(NaTFA)3mgを精秤した後、アセトンを1ml添加して溶解させてイオン化助剤溶液を調製する。
このようにして調製したサンプル溶液25μl、マトリックス溶液50μl、イオン化助剤溶液5μlを混合して、MALDI分析用のサンプルプレート上に滴下させ、乾燥させることで測定サンプルとする。分析機器として、MALDI−TOFMS(Bruker Daltonics製 ReflexIII)を用い、マススペクトルを得る。得られたマススペクトルにおいて、オリゴマー領域(m/Zが2000以下)の各ピークの帰属を行い、分子末端に結晶核剤が結合した構造に対応するピークが存在するか否かを確認する。
<2.トナーのTgA,TgB,TgCの測定>
トナーのガラス転移温度TgA,TgB,TgCは、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。これらのガラス転移温度は、具体的には、以下のようにして測定される。
(1)TgA
トナー2.0±0.1mgを精秤し、これをDSC用のアルミニウム製のパンの中に入れる。次いで、上記方法にてTgを測定する。得られたTgを、TgAとする。
(2)TgB
トナー2.0±0.1mgを精秤し、これをDSC用のアルミニウム製のパンの中に入れる。このトナーを150℃に加熱したホットプレート上で5分間加熱する。その後、5秒以内にポリカップ等の容器に入れた100ml以上の量の液体窒素液中につけ、1分間以上冷却した後、液体窒素から取り出し、1分以内に上記方法にてTgを測定する。得られたTgを、TgBとする。
(3)TgC
トナー2.0±0.1mgを精秤し、これをDSC用のアルミニウム製のパンの中に入れる。このトナーを150℃に加熱したホットプレート上で5分間加熱する。その後、5秒以内にポリカップ等の容器に入れた100ml以上の量の液体窒素液中につけ、1分間以上冷却した後、液体窒素から取り出し、1分以内にDSCの装置にセットし、50℃で20分間、加熱する。次いで、上記方法にてTgを測定する。得られたTgを、TgCとする。
<3.結晶性ポリエステル樹脂及びワックスの融点及び融解熱量の測定>
結晶性ポリエステル樹脂及びワックスの融点は、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定したDSC曲線において、最大吸熱ピークのピーク温度を融点とし、ピークの面積から求められる熱量を融解熱量とする。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、試料約2mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一旦200℃まで昇温させて1分間保持し、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピーク温度を融点とし、ピークの面積から求められる熱量を融解熱量とする。
<4.非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)の測定>
非晶性ポリエステル樹脂のTgは、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。装置検出部の温度補正、試料の使用量、及び、昇温条件は前記の「融点及び融解熱量の測定」の場合と同じである。2度目の昇温過程での温度40℃〜100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tgとする。
<5.ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量の測定>
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流量で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント値との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては例えば、東ソー社製あるいは昭和電工社製の分子量が10〜10程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。又、検出器はRI(屈折率)検出器を用いる。尚、カラムとしては市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば以下の組み合わせが挙げられる。昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合せや、東ソー社製のTSKgel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKgurd columnの組み合せ。
また、試料は以下のようにして作製する。
試料0.05gをTHF10ml中に入れ、25℃で数時間放置した後、十分振とうし、THFとよく混ぜ(試料の合一体が無くなるまで)、更に12時間以上静置する。尚、THF中における放置時間の合計が24時間となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.2μm以上0.5μm以下、例えばマイショリディスクH−25−2(東ソー社製)など使用できる。)を通過させたものをGPCの試料とする。又、試料濃度は、樹脂成分が0.5mg/ml以上5.0mg/ml以下となるように調製する。
<6.非晶性ポリエステル樹脂及びトナーの軟化点の測定>
非晶性ポリエステル樹脂及びトナーの軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行なう。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダ内に充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。尚、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2の値Xを求める(X=(Smax−Smin)/2)。そして、前記流動曲線においてピストンの降下量が「Smin+X」となるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料としては、約1.0gの試料を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法。
昇温速度:4℃/min。
開始温度:50℃。
到達温度:200℃。
ピストン断面積:1.000cm
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)。
予熱時間:300秒。
ダイの穴の直径:1.0mm。
ダイの長さ:1.0mm。
<7.トナーの重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行ない、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように専用ソフトの設定を行なう。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の(1)〜(7)に記載の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mlの丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去する。
(2)ガラス製の100mlの平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調製する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
以下、実施例等により本発明を説明する。実施例に先立って結晶性ポリエステル樹脂の製造例1〜8及び非晶性ポリエステル樹脂の製造例11〜18を説明する。以下の実施例において、部数は質量部基準である。
〔製造例〕
<製造例1>
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽内に、アルコールモノマーとして1,10−デカンジオール、及びカルボン酸モノマーとして1,10デカン二酸を表1に示す量(モル%)で投入した。そして、モノマー総量100質量部に対して、触媒としてジオクチル酸錫を1質量部添加し、反応槽内を窒素雰囲気下で140℃に加熱して、常圧下で反応槽内から水を留去しながら6時間反応させた。次いで、反応槽内の温度を200℃まで10℃/時間の昇温速度で昇温しつつ、モノマーを反応させ、反応槽内の温度が200℃に到達してから、更に2時間反応させた後、反応槽内を5kPa以下に減圧して200℃で3時間反応させた。
その後、反応槽内の圧力を序々に開放して常圧へ戻した後、表1に示す量の結晶核剤(n−オクタデカン酸)を加え、常圧下にて200℃で2時間反応させた。その後、再び反応槽内を5kPa以下へ減圧して200℃で3時間反応させることにより結晶性ポリエステル樹脂No.1を得た。樹脂のMALDI−TOFMSのマススペクトルには、結晶性ポリエステル樹脂の分子末端にn−オクタデカン酸が結合した構造のピークが確認されたことから、結晶性ポリエステル樹脂の分子末端と結晶核剤とが結合していることが確認された。また、前記評価方法に従って該樹脂の諸物性を測定した。評価結果を表2示す。
<製造例2乃至8>
モノマー、結晶核剤及び使用量を表1に記載の様に変更し、それ以外は、製造例1と同様にして結晶性ポリエステル樹脂No.2乃至No.8を得た。これらの各樹脂について、製造例1と同様にしてMALDI−TOFMSのマススペクトルを得たところ、各樹脂の分子末端に結晶核剤が結合した構造のピークが確認され、各樹脂の分子末端と結晶核剤とが結合していることが確認された。また、製造例1と同様にして各樹脂の諸物性を測定した。評価結果を表2に示す。
Figure 0006292865
Figure 0006292865
<製造例11>
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、表3に示す使用量のモノマーを入れた後、触媒としてジブチル錫をモノマー総量100質量部に対して1.5質量部添加した。次いで、窒素雰囲気下にて常圧で180℃まで素早く昇温した後、180℃から210℃まで10℃/時間の速度で加熱しながら水を留去して重縮合を行った。210℃に到達してから反応槽内を5kPa以下まで減圧し、210℃、5kPa以下の条件下にて重縮合を行い、非晶性ポリエステル樹脂No.11を得た。その際、得られるポリエステル樹脂11の軟化点が表4の値となるように重合時間を調整した。該樹脂の物性を表4に示す。
<製造例12乃至18>
モノマー及び使用量を表3に記載の様に変更し、それ以外は、製造例11と同様にして非晶性ポリエステル樹脂No.12乃至No.18を得た。これらの樹脂の物性を表4に示す。
Figure 0006292865
Figure 0006292865
<実施例1>
下記表5に示す材料をヘンシェルミキサー(「FM−75型」、三井三池化工機(株)製)でよく混合した後、温度140℃に設定した二軸混練機(「PCM−30型」、池貝鉄工(株)製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。
Figure 0006292865
この粗砕物を高圧気体を用いた衝突式気流粉砕機を用いて微粉砕した。次に、コアンダ効果を利用した風力分級機(「エルボージェットラボEJ−L3」、日鉄鉱業社製)で分級して、微粉及び粗粉を同時に分級除去し、「トナー母粒子1」を得た。
得られたトナー母粒子100.0質量部に、イソブチルトリメトキシシラン15.0質量%で表面処理した一次平均粒子径50nmの酸化チタン微粒子1.0質量部、及びヘキサメチルジシラザン20.0質量%で表面処理した一次平均粒子径16nmの疎水性シリカ微粒子0.8質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製FM−75型)で混合して、「トナー1」を得た。
トナー1について下記の(1)高速現像における低温定着性の評価、(2)保存安定性、及び(3)耐排紙接着性の評価を行ったところ、いずれの評価においても良好な結果が得られた。
〔評価〕
(1)高速現像における低温定着性
評価機として市販のカラーレーザープリンタColor Laser Jet CP4525(HP社製)を用いた。上記評価機から定着器を取り外し、定着装置の定着温度、定着ニップ圧及びプロセススピードを任意に設定できるようにした外部定着器を取り付けた。記録媒体としては、カラーレーザーコピア用紙(キヤノン製、80g/m)を使用した。そして、市販のシアンカートリッジから製品トナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、トナー1を150g充填した。なお、マゼンタ、イエロー、ブラックの各ステーションには、それぞれ製品トナーを抜き取り、トナー残量検知機構を無効としたマゼンタ、イエロー、およびブラックのカートリッジを挿入した。
温度23℃、相対湿度50%の環境下で、トナー載り量0.6mg/cmとなるようにベタ黒の未定着画像を出力した。
定着器の定着温度を140℃、定着ニップ圧を0.10MPaに改造し、プロセススピードを300mm/secから500mm/secまでの範囲で20mm/secごとに上げていき、上記ベタ黒の未定着画像の定着を行った。得られたベタ黒画像を約100gの荷重をかけたシルボン紙で5往復摺擦し、摺擦前後の画像濃度の濃度低下率が10%以下になる点を定着可能な最高プロセススピードとした。この定着可能な最高プロセススピードが速い程、高速現像時の低温定着性に優れたトナーである。評価結果を表8に示す。評価結果は以下の基準でA〜Dにランク付けしたが、本発明ではランクCまでが許容できるレベルである。
A(非常に良い):定着可能な最高プロセススピードが500mm/sec以上である。
B(良い):定着可能な最高プロセススピードが400mm/sec以上、500mm/sec未満である。
C(普通):定着可能な最高プロセススピードが300mm/sec以上、400mm/sec未満である。
D(悪い):定着可能な最高プロセススピードが300mm/sec未満である。
(2)保存安定性の評価
トナーの長期保存安定性の評価方法としては、評価用のトナー10gの入った袋(サンジップD−4袋 シーアイ化成社製)の上に、1kgの荷重を掛け、温度45℃、相対湿度5%の環境下で1カ月放置した。1カ月経過後、評価用のトナーを温度23℃、相対湿度60%の環境下に移し1晩放置した。測定法としては、セットした200メッシュふるい上に評価用のトナーをのせ、デジタル振動計の変位の値を0.50mm(peak−to−peak)になるように調整し、30秒間振動を加えた。その後、各ふるい上に残ったトナーの凝集塊の量から長期保存安定性を評価した。評価結果を表8に示す。評価結果は以下の基準でA〜Dにランク付けしたが、本発明ではランクCまでが許容できるレベルである。
A(非常に良い):メッシュ上のトナー残量が0.2g以下である。
B(良い):メッシュ上のトナー残量が0.2gを超え、0.5g以下である。
C(普通):メッシュ上のトナー残量が0.5gを超え、1.0g以下である。
D(悪い):メッシュ上のトナー残量が1.0gを超えている。
(3)耐排紙接着性の評価
評価機として市販のカラーレーザープリンタColor Laser Jet CP4525(HP社製)を用意した。この評価機の定着プロセススピード、現像プロセススピード、通紙間隔を変更し、60枚/分の速度で印刷できるように改造した。記録媒体としては、高白色用紙GF−C081(キヤノンマーケティングジャパン製、81.4g/m)を使用した。市販のシアンカートリッジから製品トナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、トナー1を150g充填した。なお、マゼンタ、イエロー、ブラックの各ステーションには、それぞれ製品トナーを抜き取り、トナー残量検知機構を無効としたマゼンタ、イエロー、およびブラックのカートリッジを挿入した。
温度23℃、相対湿度50%の環境(N/N環境)下と、温度30℃、相対湿度80%環境(H/H環境)下の2つの環境下で、トナー載り量0.9mg/cmとなるようにベタの画像を両面印刷で、各100枚出力した。100枚出力終了後、出力画像を重ねたまま紙上に約2kgの荷重をかけ、10分間放置した。10分間放置後、印刷画像が接着しているか否かを1枚ごとに評価した。評価結果を表8に示す。結果は以下の基準でA〜Dにランク付けしたが、本発明ではランクCまでが許容できるレベルである。
A:接着した画像がなく、良好な画質を維持している。
B:接着した画像はあるが、容易に分離し、良好な画質を維持している。
C:接着した画像があり、分離後に画像欠陥がある画像は3枚以下である。
D:接着した画像があり、分離後に画像欠陥がある画像は4枚以上である。
<実施例2乃至12、比較例1乃至8>
材料の処方を表6に記載の様に変更した以外は、実施例1と同様にして、トナー2乃至20を得た。ただし、トナー18は、粗砕物を得た後に、得られ粗砕物をバケットに入れ開口した状態のまま、恒温高湿槽を用いて、50℃で1日放置し、アニーリング処理を行った。トナー1乃至20の物性を表7に示す。また、実施例1と同様にして評価を行った結果を表7に示す。
Figure 0006292865
Figure 0006292865
Figure 0006292865

Claims (4)

  1. 結着樹脂とワックスを含むトナーであって、
    該結着樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂を含み、
    該結晶性ポリエステル樹脂が、結晶核剤部位を有し、
    該結晶核剤部位が、炭素数10以上、30以下の脂肪族モノアルコール及び/または炭素数11以上、31以下の脂肪族モノカルボン酸に由来する部位であり、
    該結着樹脂中における該非晶性ポリエステル樹脂の含有量が50質量%以上であり、
    該トナーが下記数式(1)〜(4)を満たすことを特徴とするトナー:
    TgA−TgB≧10.0 (℃) ・・・(1)
    TgC−TgB≧5.0 (℃) ・・・(2)
    TgA≧45.0 (℃) ・・・(3)
    TgC≧40.0 (℃) ・・・(4)
    [上記数式(1)〜(4)において、
    TgAは、該トナーのガラス転移温度(℃)を表す。
    TgBは、該トナーを150℃に加熱し、加熱終了後5秒以内に液体窒素で冷却し、液体窒素から取り出した後、1分以内に示差走査熱量測定を行うことにより得られるガラス転移温度(℃)を表す。
    TgCは、該トナーを150℃に加熱し、加熱終了後5秒以内に液体窒素で冷却し、その後50℃で20分間保持した後に、示差走査熱量測定を行うことによって得られるガラス転移温度(℃)を表す。]。
  2. 前記ワックスが炭化水素ワックスである請求項1に記載のトナー。
  3. 前記ワックスの融点Twと前記結晶性ポリエステル樹脂の融点Tcが、下記数式(5)及び(6)を満たす請求項1または2に記載のトナー:
    Tc<Tw<100.0 (℃) ・・・(5)
    Tw−Tc<20.0 (℃) ・・・(6)。
  4. 請求項1乃至のいずれかの一項に記載のトナー及び磁性キャリアを含む二成分系現像剤。
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