JP6945323B2 - 極太ディップコード及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、極太ディップコードに関し、詳細には、タイヤ、ベルト、ホース、ベロー(継手)などのゴム製品に使用する極太ディップコードに関する。
空気式タイヤ、動力伝達用ベルト、ホース、ベロー等のゴム製品には、ゴム補強用のスチールコードあるいは繊維コードが埋設されている。繊維コードとしては、アラミド繊維等の高強力繊維を複数本引き揃えて撚糸とし、これをレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(以下、RFLという。)溶液等の接着剤処理液に浸漬し、ゴムに対する接着性を付与したもの(ディップコード)が知られている。繊維コードはスチールワイヤに比べて軽量であり、アラミド繊維が多用されている。
ところで、ゴムクローラやコンベアベルト等のゴム製品補強コードには、スチールコードが使用されているが、近年、軽量化及び高強力化に対するニーズが高い。また、スチールコードは焼却できないため環境問題も懸念されている。しかし、高強力繊維コードに関する種々の知見が報告されているものの、前記ニーズに対応できる高強力性と接着性を両立できる繊維コードは知られていない。
特許文献1には、省燃費化等に伴うタイヤ重量の低減化のために、ビードコアに用いているスチールワイヤに代えて、繊維コードを使用することが提案されている。直径が2〜9mmのナイロンあるいはポリエステルのモノフィラメントコードからなるコアの周囲に、正量繊度1万デニール以上のアラミド繊維コードを螺旋状に巻き付けてビードコアを形成する技術である。しかし、ビードコアをなすコードの太さは最大でも2.1mmで、コード1本の強力は4500Nが限界である。
特許文献2には、伝導ベルトの特にサーペンタイン駆動において衝撃的な力がベルトに加わった場合に、その衝撃を吸収、緩和することができる繊維コードとして、ナイロンやポリエステル等の低弾性繊維ではなく、高弾性アラミド繊維を使用することが提案されている。アラミド繊維コードからなるコアの周囲に、アラミド繊維コードを巻き付け、ハイブリッドコードを形成することで、高強力かつ低弾性域と高弾性域とを併有する接着性に優れた繊維用コードを得る技術である。
特許文献3には、航空機のタイヤにおける問題を解決するため、高強度、高圧、変形性、拡張性を有する繊維コードとして、引張強さ9g/d、破断時伸び率20%以上の繊維コードが提案されている。高強度であるが破断時伸び率が低いスチールワイヤやパラ系アラミド繊維を単独で使用するのではなく、メタ系アラミド繊維からなるコアの周囲に、パラ系アラミド繊維を巻き付け、ハイブリッドコードを形成する技術である。
しかし、特許文献2に開示されているハイブリッドコードは、コア及びシースの糸繊度が880dtex(コア)、3340dtex(シース)、トータル4200dtexである。特許文献3に開示されているハイブリッドコードは、コア及びシースの糸繊度が3500dtex、トータル7000dtexであるが、ハイブリッドコードの直径はせいぜい1〜1.5mm程度であり、キャタピラ用スチールコードの代替として用いるには強度が不足している。
一方、下撚りコードを多数本束ねて上撚りを施せば、理論上、太いコードが得られることになる。例えば、特許文献4には、所望の強力保持率を満たすゴムべルトを得るため、アラミド繊維を下撚りした子縄を9〜18本束ねて上撚りし、コードを作製した後、該コードにRFL液等を含浸させることが提案されている。しかし、それでも得られたコードのト―タル繊度は3万dtex、コードの引張強力は約6000Nが限界である。つまり、コードの本数を増やしただけでは、太くかつゴムとの接着力や強力を具備するコードは得られていないのが実状である。
特開2000−025429号公報(特許請求の範囲、表2、図2等) 特開2009−024285号公報(特許請求の範囲、図1等) 特表2014−500413号公報(特許請求の範囲、段落[0003]、図5〜6等) 特開2003−148563号公報(特許請求の範囲、表1等)
本発明は、前記従来技術における問題点を解決し、高強力ならびにスチールコードに匹敵する太さを有する極太ディップコード及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、ゴム補強用繊維による種々の特性検討結果から得られた知見、すなわち、アラミド繊維に下撚りと上撚りを施した撚糸コードを複数本合糸して接着剤を付与した後、さらにそれらを合糸して上撚りを施すことで、破断強力が向上した極太ディップコードが得られること、及び、この詳細は不明であるが、合糸する撚りコード中に接着剤を付与した繊維コードを適切に配置すればコードの接着力を確保できる、との知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)下撚りを施したアラミド繊維が複数本合糸されて上撚りが施されてなる撚糸コードであって、コード径が3.1mm以上で、かつ、コードの内部に接着剤が付与された撚糸コードが略均等に配置されており、かつ、トータル繊度が40,000dtex以上89,100dtex以下であり、かつ、破断強力が7,000N以上11,600N以下であることを特徴とする極太ディップコード。
)接着剤がレゾルシン・ホルマリン・ラテックス(RFL)を主成分とする接着剤である前記(1)に記載の極太ディップコード。
)アラミド繊維がポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維である前記(1)または(2)に記載の極太ディップコード。
)片撚り(下撚り)を施したアラミド繊維(原糸)を複数本合糸して上撚りを施した撚糸コードに接着剤を付与した撚糸コードを、複数本合糸して上撚りを施してなる前記(1)〜()のいずれかに記載の極太ディップコード。
)前記()に記載の極太ディップコードを複数本合糸して上撚りを施してなる前記(1)〜()のいずれかに記載の極太ディップコード。
)アラミド繊維(原糸)に片撚り(下撚り)を施す第1工程と、
下撚りコードを複数本合糸して上撚りを施し撚糸コードを得る第2工程と、
前記原糸または前記第2工程で得た撚糸コードに接着剤を付与する接着剤付与工程と、
前記接着剤を付与した撚糸コードを複数本合糸して上撚りを施す第3工程と、を含むことを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の極太ディップコードの製造方法。
)さらに、前記第3工程で得た撚糸コードを複数本合糸して上撚りを施す第4工程を含む前記()に記載の極太ディップコードの製造方法。
本発明によれば、高強力と高い接着性を両立できる極太ディップコードを得ることができ、コンベアベルトやゴムクローラ等に用いられているスチールコードの代替として用いることが可能となるため、実用的価値が高い。スチールコードに比べて軽量であるため利便性に優れている。実用的価値が高い。
本発明の極太ディップコードの一例を拡大して示す断面概略図である。
本発明の極太ディップコードにおけるアラミド繊維としては、引張強さに優れているパラ系アラミド繊維が好ましく用いられる。パラ系アラミド繊維としては、例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(米国デュポン社、東レ・デュポン(株)製、商品名「Kevlar」(登録商標))、コポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維(帝人(株)製、商品名「テクノーラ」(登録商標))等を挙げることができ、これらのパラ系アラミド繊維の中でも、高弾性率であるポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維が特に好ましい。
これらのアラミド繊維は、公知の方法で製造したものを用いることができる。なお、アラミド繊維は、繊維を形成するポリマーの繰り返し単位中に、通常置換されていてもよい二価の芳香族基を少なくとも一個有する繊維であって、アミド結合を少なくとも一個有する繊維であれば特に限定はなく、全芳香族ポリアミド繊維、またはアラミド繊維と称されるものであって良く、「置換されていてもよい二価の芳香族基」とは、同一又は異なる1以上の置換基を有していてもよい二価の芳香族基を意味する。
本発明の極太ディップコードにおいて、下撚りを施すアラミド繊維(原糸)のトータル繊度は、特に限定されないが、200〜5,000dtexの範囲が好ましく、500〜3,500dtexの範囲がより好ましく、1,000〜3,500dtexの範囲がさらに好ましい。dtexの数値が大きいほど、アラミド繊維が太いことになる。原糸の単糸径は、0.5〜7dtex/フィラメントの範囲が好ましく、1〜5dtex/フィラメントの範囲がより好ましい。原糸の繊維径が1〜5dtex/フィラメントの範囲内であると原糸製造時安定的な生産を行うことが出来る。一方、原糸の繊維径が1〜5dtex/フィラメントの範囲外であると原糸製造時に糸切れ等の操業性が悪くなり品質においても悪影響を及ぼすこととなる。
本発明の極太ディップコードは、片撚り(下撚り)を施したアラミド繊維(原糸)を複数本合糸して上撚りを施した撚糸コードに接着剤を付与した撚糸コードを、複数本合糸して上撚りを施してなる。また、前記の極太ディップコードを複数本合糸して上撚りを施してなる。
本発明の極太ディップコードは、下記の製造方法を採用することで、好ましく製造することができる。すなわち、極太ディップコードは、アラミド繊維(原糸)に片撚り(下撚り)を施す第1工程と、下撚りコードを複数本合糸して上撚りを施し撚糸コードを得る第2工程と、前記原糸または前記第2工程で得た撚糸コードに接着剤を付与する接着剤付与工程と、前記接着剤を付与した撚糸コードを複数本合糸して上撚りを施す第3工程と、を含む。さらに、本発明の極太ディップコードの製造方法は、前記第3工程で得た撚糸コード複数本合糸して上撚りを施す第4工程を含むことができる。
上記した極太ディップコードを得る場合は、アラミド繊維(原糸)に片撚り(下撚り)を施し、この下撚りを施したアラミド繊維を複数本合糸して上撚りを施す。この場合、例えば、原糸トータル繊度が3,300dtexであり、下撚りを施したアラミド繊維(原糸)を3本合糸して上撚りを施した場合、上撚りを施したアラミド繊維のトータル繊度は9,900dtexとなる。さらに、上撚りを施したアラミド繊維コードに接着剤を付与した後、当該接着剤を付与したコードを6本合糸して上撚りを施した場合、得られる極太ディップコードのトータル繊度は59,400dtexとなる。但し、実際には加撚により単位長さ中のアラミド繊維重量は上記の値(dtex)よりも若干高くなるはずである。
図1に極太ディップコードの拡大断面図を示す。1は極太ディップコード、2は接着剤が付与された撚糸コード、3は片撚り(下撚り)コードである。ここでは、下撚りコードに上撚りを施した撚糸コードを7本合糸して上撚りを施した例を示している。
図1に示すように、接着剤が付与された撚糸コード2が、撚糸機で上撚りが施されることにより、極太ディップコード1となる。この極太ディップコード1の内部では接着剤が付与された撚糸コード2が略均等に配置される。接着剤が付与された極太ディップコードは、その表面に接着剤が付着しているため、外層の接着剤によって、極太ディップコードとゴムとの接着性が向上する。一方、極太ディップコードの内部の接着剤は、接着剤が付与された撚糸コードを上撚りする際に、コード同士が直接接触することを抑制する効果があり、それによって極太ディップコードの耐疲労性が向上する。
極太ディップコードのコード径は3.1mm以上であることが好ましく、4.0mm以上であることがさらに好ましい。コード径が2.5mm未満になると、経験上、高強力のコードが得られ難い。破断強力は7,000N以上であることが好ましく、9,000N以上であることがさらに好ましい。
極太ディップコードのトータル繊度は、4万dtex以上であることが好ましく、5万dtex以上であることがより好ましく、8万dtex以上であることがさらに好ましい。トータル繊度が4万dtex以上であれば、ゴムクローラやコンベアベルトに使用しても十分な強力を得ることができ、4万dtex未満では上記用途の設計要求強力値を満たすことが出来ない。
本発明において、撚糸コードの撚り係数(K)は、下記式で示される。
撚係数(K)=0.0033×T×D1/2
(但し、T;撚数(T/10cm)、D;トータル繊度(dtex)を示す。)
(第1工程)
撚糸コードは2本以上のアラミド繊維を引き揃え、適度な撚りを施して片撚りを掛け、下撚りコードを作製する。片撚りコードの撚り係数は、0.5〜6の範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜3の範囲である。繊維に撚りが加わることによりコードの耐久性が向上するが、撚係数が小さすぎると繊維コードの耐疲労性が低下する。一方、撚係数が大きすぎると繊維コードの強力が低下する傾向がある。
(第2工程)
次いで、下撚りコードを2本以上束ねて上撚りを加えた諸撚り糸を作製する。上撚りコードの撚り係数は、1〜10の範囲であることが好ましく、より好ましくは2〜6の範囲である。繊維に撚りが加わることによりコードの耐久性が向上するが、撚係数が小さすぎると繊維コードの耐疲労性が低下する。一方、撚係数が大きすぎると繊維コードの強力が低下する傾向がある。
撚糸する下撚りコードの本数は、2本以上であれば特に制限はなく、片撚り糸、諸より糸等が挙げられる。合糸する本数としては、3〜11本の範囲が好ましく、より好ましくは3〜9本の範囲、さらに好ましくは3〜6本の範囲である。片撚りコードの本数が少ないと、トータル繊度4万dtex以上の極太ディップコードを得ることが困難となり、一方本数が多いと装置(撚糸機)との関係で撚り合わせること自体困難となる場合がある。
(接着剤付与工程)
接着剤付与工程では、第2工程で得た撚糸コードに接着剤を付与することが好ましい。原糸に接着剤を付与しても良いが、接着剤が固着して撚糸工程でフィラメント切れが多発して毛羽となり易く、ゴム補強用コードとして供し得ない場合がある。
接着剤の種類は特に限定されず、公知のゴム用接着剤を用いることができる。その中でも、撚糸コードに対する浸透性・付着性やゴムとの接着性に優れている点より、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス(RFL)を主成分とする接着剤が好ましい。
ラテックスとしては、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、スチレン−ブタジエン系ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン系ラテックス、クロロプレン系ラテックス、クロロスルホン化ポリエチレンラテックス、アクリレート系ラテックスおよび天然ゴムラテックス等が挙げられる。レゾルシン、ホルムアルデヒドは、単体で用いることもできるし、レゾルシン−ホルムアルデヒドをあらかじめ酸触媒またはアルカリ触媒下で縮合させて得られたノボラック型縮合物等を用いることもできる。接着剤には、エポキシ化合物、ブロックドポリイソシアネート化合物、エチレンイミン化合物、ポリイソシアネートとエチレンイミンとの反応物等から選ばれる1種以上の化合物が混合されていても良い。
接着剤の固形分濃度は、2〜20質量%の範囲のものが好適に用いられる。公知の接着剤の粘度調整剤を添加することもできる。
付与した接着剤(固形分)付着量は、原糸または撚糸コードに対して1〜15質量%が好ましく、より好ましくは3〜12質量%、さらに好ましくは5〜12質量%、特に好ましくは5〜10質量%である。接着剤付着量が1質量%以上であればゴムとの接着性を付与することができ、15質量%以下であれば余剰の接着剤が撚糸の際に脱落しカスが発生するのを抑制することができる。
接着剤の付与方法は、ディッピング機を用いて、撚糸コードにRFLを主成分とする接着剤を浸漬付与した後、緊張条件下で乾燥及び熱処理を行う公知のディップ処理方法を採用することができる。接着剤の浸漬から熱処理までのディッププロセスは1回のみで完了しても良いし、2回に分けて完了しても良い。高い強力を得るためには、熱履歴の少ない1回ディップ処理が好ましく、高い接着力を得るためには、少なくともエポキシ化合物を含む第1の接着剤処理液でディップ処理を行った後に、RFLを主成分とする第2の接着剤処理液でディップ処理を行う2回ディップ処理が好ましい。なお、2回ディップ処理を行う場合の接着剤成分は、2回とも同じ成分でも良いし、異なっていても良い。
熱処理条件は、乾燥温度100〜160℃、滞留時間0.5〜5分、熱処理温度200〜260℃、滞留事件0.5〜5分が好ましい。
(第3工程、第4工程)
次いで、接着剤を付与した撚糸コードを複数本束ねて上撚りを施す(第3工程)。撚糸する接着剤を付与した撚糸コードの本数は、2本以上であれば特に制限はなく、片撚り糸、諸より糸等が挙げられる。合糸する本数としては、2〜11本の範囲が好ましく、より好ましくは3〜9本の範囲、さらに好ましくは3〜6本の範囲である。撚糸コードの本数が少ないと、トータル繊度4万dtex以上の極太ディップコードを得ることが困難となり、一方本数が多いと接着剤が擦り合わされてフィラメント切れが発生し易くなる。
さらに、よりトータル繊度の高い極太撚糸コードを得る等の目的で、前記第3工程で得た撚糸コードを複数本束ねて上撚りを施しても良い(第4工程)。第4工程において、撚糸する接着剤を付与した撚糸コードの本数としては、2〜11本の範囲が好ましく、より好ましくは3〜9本の範囲、さらに好ましくは3〜6本の範囲である。
前記の第3工程及び第4工程における上撚りコードの撚り係数は、1〜10の範囲であることが好ましく、より好ましくは2〜6の範囲である。繊維に撚りが加わることによりコードの耐久性が向上するが、撚係数が小さすぎると繊維コードの耐疲労性が低下する。一方、撚係数が大きすぎると繊維コードの強力が低下する傾向がある。
前記第1工程から第4工程において、撚糸方法はリング撚糸機、ダブルツイスター撚糸機、アロマ撚糸機等の公知の撚糸機を用いることができる。アラミド繊維糸条を一旦下撚りした後、巻き取り、得られた下撚り糸を2本以上合糸して上撚りする方法であっても、2本以上のアラミド繊維糸条を別々に撚糸し、得られた下撚り糸を巻き取ることなく、その後互いに上撚りする方法であってもよい。
かくして得られる本発明の極太ディップコードは、高強力かつ高接着力であることから、それらの特性を生かして、スチールワイヤの代替としてコンベアベルト、ゴムクローラ等の用途に利用できるだけでなく、自動車、航空機等の各種タイヤ;伝動ベルト、Vベルト、タイミングベルト等の各種ベルト;ラジエータホース、ヒーターホース、パワステホース等の各種ホース;等のゴム製品の補強用として、高い強力が求められる用途に広く利用できる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。また、以下の実施例等において、特に言及する場合を除き、「質量%」は「%」と略記する。なお、実施例中に記載の繊維コードの評価方法は以下の通りである。
(1)コード径
コード径測定器(東洋精機製)を使用し、JIS L 1017:2002に準じて測定。
(2)破断強力
ベルトロープ引張試験機(渦巻き型つかみ具使用)を使用し、JIS L 1017:2002に準じて測定。試験長70cm、速度200mm/min。
(3)接着力
JIS L 1017:2002に準じて測定。
(4)ゴム付きランク
目視判断にてコード表面上のゴム付き量を測定。
○;ゴム付き量80%以上
×;ゴム付き量80%未満
(実施例1)
東レ・デュポン(株)製のポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(商品名Kevlar(R)、繊度1,650dtex、フィラメント数1,000本)を2本引き揃えたものを、リング撚糸機を用いて、Z方向に表1に示す条件で下撚りし、下撚り撚糸コードを得た(第1工程)。
次いで、得られた撚糸コードを3本合糸し、S方向に表1に示す条件で上撚りし、撚糸コードを得た(第2工程)。
得られた撚糸コードを、エポキシ化合物を主成分とする第1の接着剤処理液に浸漬し、140℃で2分間熱処理を実施して水分を除去し、その後230℃で1分間熱処理した。さらにレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を主成分とする第2の接着剤処理液に浸漬し、140℃で2分間熱処理を実施して水分を除去し、その後230℃で1分間熱処理することにより、接着剤を付与した撚糸コードを得た(接着剤付与工程)。
次いで、接着剤を付与した撚糸コードを6本合糸し、Z方向に表1に示す条件で上撚りし、撚糸コード(極太ディップコード)を得た(第3工程)。
(実施例2)
実施例1の第3工程において、接着剤付与工程で得た撚糸コードを5本合糸した他は、実施例1と同様の方法で撚糸コード(極太ディップコード)を得た。
(実施例3)
実施例1と同様の方法で下撚り撚糸コードを得た(第1工程)。次いで、得られた撚糸コードを3本合糸し、S方向に表1に示す条件で上撚りし、撚糸コードを得た(第2工程)。
次いで、実施例1と同様の方法で、接着剤付与工程を実施し、接着剤を付与した撚糸コードを得た。
次いで、接着剤を付与した撚糸コードを3本合糸し、Z方向に表1に示す条件で上撚りし、撚糸コードを得た(第3工程)。
次いで、得られた撚糸コードを3本合糸し、S方向に表1に示す条件で上撚りし、撚糸コード(極太ディップコード)を得た(第4工程)。
(実施例4)
東レ・デュポン(株)製のポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(商品名Kevlar(R)、繊度1,650dtex、フィラメント数1,000本)を2本引き揃えたものに、実施例1と同様の方法で、接着剤を付与した(接着剤付与工程)。
次いで、接着剤を付与したポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維を、リング撚糸機を用いて、Z方向に表1に示す条件で下撚りし、下撚り撚糸コードを得た(第1工程)。
次いで、得られた撚糸コードを9本合糸し、Z方向に表1に示す条件で上撚りし、撚糸コードを得た(第2工程)。
次いで、得られた撚糸コードを3本合糸し、S方向に表1に示す条件で上撚りし、撚糸コード(極太ディップコード)を得た(第3工程)。
(比較例1)
実施例1において、第3工程の後に接着剤付与工程を実施した他は、実施例1と同様の条件にて、撚糸コード(極太ディップコード)を得た。
Figure 0006945323
表1から、撚糸コードを複数本合糸したコードに接着剤を付与した後、接着剤を付与したコードを合糸して上撚りすることにより、コード径3.1mm以上、トータル繊度4万dtex以上で、破断強力7,000N以上で、ゴムとの接着力が良好な、極太ディップコードが得られることが分かる。また、接着剤を付与した撚糸コードを合糸して得られるディップコードは、合糸したコードに接着剤を付与したディップコード(比較例1)に比べて、ゴムとの接着力において良好な結果を示すことが分かる。
実施例3より、撚糸コードを複数本合糸したコードに接着剤を付与した後、接着剤を付与したコードを合糸し上撚りした後、さらに、得られたコードを合糸して上撚りすることにより、コード径4mm以上、トータル繊度8万dtex以上で、破断強力10,000N以上で、ゴムとの接着力が良好な、極太ディップコードが得られることが分かる。
本発明の極太ディップコードは、タイヤ、ベルト、ホース等のゴム製品の補強用として有用である。
1 極太ディップコード
2 接着剤が付与された撚糸コード
3 片撚り(下撚り)コード

Claims (7)

  1. 下撚りを施したアラミド繊維が複数本合糸されて上撚りが施されてなる撚糸コードであって、コード径が3.1mm以上で、かつ、コードの内部に接着剤が付与された撚糸コードが略均等に配置されており、
    前記撚糸コードは、アラミド繊維に下撚りを施す第1工程と、下撚りコードを複数本合糸して上撚りを施し撚糸コードを得る第2工程と、前記原糸または前記第2工程で得た撚糸コードに接着剤を付与する接着剤付与工程と、前記接着剤を付与した撚糸コードを複数本合糸して上撚りを施す第3工程と、を含む方法により製造されるものであり、
    トータル繊度が40,000dtex以上89,100dtex以下であり、かつ、
    破断強力が7,000N以上11,600N以下である
    ことを特徴とする極太ディップコード。
  2. 接着剤がレゾルシン・ホルマリン・ラテックス(RFL)を主成分とする接着剤である請求項に記載の極太ディップコード。
  3. アラミド繊維がポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維である請求項1または2に記載の極太ディップコード。
  4. 片撚り(下撚り)を施したアラミド繊維(原糸)を複数本合糸して上撚りを施した撚糸コードに接着剤を付与した撚糸コードを、複数本合糸して上撚りを施してなる請求項1〜のいずれかに記載の極太ディップコード。
  5. 請求項に記載の極太ディップコードを複数本合糸して上撚りを施してなる請求項1〜のいずれかに記載の極太ディップコード。
  6. アラミド繊維(原糸)に片撚り(下撚り)を施す第1工程と、
    下撚りコードを複数本合糸して上撚りを施し撚糸コードを得る第2工程と、
    前記原糸または前記第2工程で得た撚糸コードに接着剤を付与する接着剤付与工程と、
    前記接着剤を付与した撚糸コードを複数本合糸して上撚りを施す第3工程と、を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の極太ディップコードの製造方法。
  7. さらに、前記第3工程で得た撚糸コードを複数本合糸して上撚りを施す第4工程を含む請求項に記載の極太ディップコードの製造方法。
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