以下、図面を参照して、本発明に係るクランプ部材及びクランプ部材セットの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、全図中、同一又は相当部分には同一符号を付すこととする。
[第一実施形態]
図1〜図7に示すように、第一実施形態のクランプ部材セットは、クランプ部材1と、テーパネジ21とを備える。
(クランプ部材)
図1〜図4に示すように、第一実施形態のクランプ部材1は、軸線α(中心軸線)上に貫通孔3が形成されたクランプ部2を備える。クランプ部2は、円形断面の外形を有する円筒状に形成されている。貫通孔3は、円形に形成されており、後述するテーパネジ21が貫通される。クランプ部2の軸線α方向における両端のうち、一方側の先端を第一先端4といい、他方側の先端を第二先端5という。
クランプ部2は、基部6と、ブレード部7とを有する。
基部6は、クランプ部2の第二先端5側の部分を形成して、第二先端5まで延びている。基部6は、クランプ部2の周方向に連続する円筒状に形成されている。クランプ部2の周方向とは、クランプ部2の軸線α周りの方向である。なお、基部6は、クランプ部2の周方向において分断されていないことが好ましいが、クランプ部2の周方向に連続していれば、クランプ部2の周方向に分断されていてもよい。クランプ部2の周方向に分断されてクランプ部2の周方向に連続しているとは、板材を円筒状に折り曲げて、その両端を互いに接合又は当接させた状態をいう。基部6は、クランプ部2の第二先端5側の部分を形成して、第二先端5まで延びている。基部6の内周面は、テーパネジ21を円滑に貫通できるように、クランプ部2の軸線αと平行であって、クランプ部2の軸線α方向の全域において同径となっている。但し、基部6の内周面は、部分的に大径化されていてもよい。基部6の外周面は、円形のクランプ穴にクランプ部2を円滑に挿入できるように、クランプ部2の軸線αと平行であって、クランプ部2の軸線α方向の全域において同径となっている。但し、基部6の外周面は、部分的に小径化されていてもよい。
ブレード部7は、クランプ部2の軸線α方向に沿って基部6からクランプ部2の第一先端4まで延びている。つまり、ブレード部7は、クランプ部2の第一先端4側の部分を形成している。そして、ブレード部7には、クランプ部2の軸線α方向に延びてブレード部7をクランプ部2の周方向に分断するスリット8が形成されている。つまり、ブレード部7は、クランプ部2の周方向においてスリット8により分断された円筒状に形成されている。また、スリット8は、第一先端4に開放されている。このため、ブレード部7は、基部6に対して屈曲することが可能となっている。
スリット8の形状は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、製造容易性の観点から、クランプ部2の軸線α方向に直線状に延びる形状となっている。但し、ブレード部7を屈曲しやすくする観点から、スリット8の基端部(第二先端5側の端部)に、スリット8の幅以上の外径を有する丸穴等が形成されていてもよい。
ブレード部7には、1本のスリット8のみが形成されていてもよいが、複数本のスリット8が形成されていることが好ましい。ブレード部7に複数本のスリット8が形成されている場合、複数本のスリット8は、クランプ部2の周方向において如何なる位置に形成されていてもよいが、クランプ部2の周方向において等角度間隔に形成されていることが好ましい。本実施形態では、ブレード部7に4本のスリット8が形成されており、4本のスリット8がクランプ部2の周方向において等角度間隔に形成されている。
ブレード部7の内周面には、第一先端4に向けて拡径する(第二先端5に向けて縮径する)内テーパ面9が形成されている。ブレード部7の内周面は、クランプ部2の内周面(貫通孔3)の一部を形成する。内テーパ面9は、クランプ部2の軸線αに対して傾斜しており、クランプ部2の軸線αを通る断面(図4に示す断面)では、内テーパ面9は直線となっている。内テーパ面9は、第一先端4まで延びており、クランプ部2の軸線α方向から見て第一先端4側に露出している。但し、クランプ部2の軸線α方向から見て第一先端4側に露出していれば、内テーパ面9は、必ずしも第一先端4まで延びていなくてもよい。
ブレード部7の基部6側(第二先端5側)の端部は、ブレード部7の外周面に形成された凹部10により薄肉化されている。凹部10は、基部6に対してブレード部7を屈曲しやすくするとともに、基部6に対してブレード部7が屈曲し始める屈曲始点となる。凹部10は、クランプ部2の周方向に延びており、クランプ部2の軸線α方向において所定長さに形成されている。クランプ部2の軸線α方向における断面形状は、特に限定されるものではないが、例えば矩形状、円弧状、U字状等とすることができる。本実施形態では、クランプ部2の軸線α方向において一つの凹部10が形成されているが、クランプ部2の軸線α方向において複数の凹部10が形成されていてもよい。
ブレード部7の外周面には、第一先端4に向けてクランプ部2の軸線α側に傾斜する(縮径する)外テーパ面11が形成されている。ブレード部7の外周面は、クランプ部2の外周面の一部を形成する。外テーパ面11は、ブレード部7の第一先端4側の部分である第一先端部7aの外周面に形成されている。外テーパ面11は、クランプ部2の軸線αに対して傾斜しており、クランプ部2の軸線αを通る断面では、外テーパ面11は直線となっている。外テーパ面11は、第一先端4まで延びており、クランプ部2の軸線αを通る断面において、クランプ部2は外テーパ面11の延長線から突出していない。但し、クランプ部2の軸線αを通る断面において、クランプ部2が外テーパ面11の延長線から突出していなければ、必ずしも外テーパ面11は第一先端4まで延びていなくてもよい。
クランプ部2の軸線αを通る断面において、基部6の外周面の延長線と外テーパ面11の延長線とが交差する点を交点βとする。交点βは、基部6とブレード部7との境界位置よりも第一先端4側に位置している。つまり、外テーパ面11は、基部6とブレード部7との境界位置よりも第一先端4側の位置から、第一先端4に向けてクランプ部2の軸線α側に傾斜している。より具体的には、交点βは、基部6とブレード部7との境界位置よりも第一先端4側の、クランプ部2の軸線α方向における凹部10と同じ位置に位置している。つまり、外テーパ面11は、基部6とブレード部7との境界位置よりも第一先端4側の、クランプ部2の軸線α方向における凹部10の位置から、第一先端4に向けてクランプ部2の軸線α側に傾斜している。
このように構成されるクランプ部材1の材料は、特に限定されるものではなく、超硬合金、鉄、SUS等の金属、プラスチック等の樹脂などを用いることができる。また、クランプ部材1の製造方法(形成方法)は、特に限定されるものではなく、例えば、クランプ部材1が金属により形成される場合は、切削加工によりクランプ部材1を形成してもよく、板材に予めブレード部7の加工を施しておき、この板材をプレスにより円筒状に折り曲げることでクランプ部材1を形成してもよい。後者の場合、基部6の互いに突き合わされる両端面は、溶接等により接合されていていることが好ましいが、単に当接されているだけでもよい。
(テーパネジ)
図5〜図7に示すように、テーパネジ21は、クランプ部2の貫通孔3に挿入して、基部6に対するブレード部7の反対側に位置するネジ穴にねじ込むことで、ブレード部7を半径方向外方に屈曲させて、クランプ部材1をクランプ穴にクランプするための部材である。
テーパネジ21は、外周面にネジ溝が形成されたネジ部22と、座面24が円錐状に形成された頭部23とを備える。頭部23の外径は、クランプ部材1の外径(基部6の外径)以下である。座面24は、クランプ部2の貫通孔3にテーパネジ21のネジ部22が挿入された際に、内テーパ面9に当接される面である。なお、テーパネジ21としては、一般に広く流通している皿ネジを用いることができる。
(作用)
以上説明したように、本実施形態では、基部6から延びるブレード部7にスリット8が形成されているため、ブレード部7は広がる方向、つまり、拡径する方向(半径方向外方)に屈曲することが可能となる。そして、ブレード部7の内周面に、第一先端4に向けて拡径する内テーパ面9が形成されている。このため、頭部23の座面24が円錐状に形成されたテーパネジ21を貫通孔3に挿入するとともに、このテーパネジ21を基部6に対するブレード部7の反対側に位置するネジ穴にねじ込むと、テーパネジ21の座面24が内テーパ面9を押圧することで、ブレード部7は半径方向外方の力を受ける。なお、本実施形態では、ネジ穴は、クランプ部材1とは別の部材に形成されたネジ穴とすることができる。すると、ブレード部7は、広がる方向(半径方向外方)に屈曲する。このため、クランプ穴にクランプ部2を挿入するとともに、貫通孔3に挿入したテーパネジ21をネジ穴にねじ込むことで、ブレード部7を、広がる方向(半径方向外方)に屈曲させてクランプ穴に圧接させることができる。これにより、容易にクランプ部材1をクランプ穴にクランプすることができる。しかも、クランプ部材1及びテーパネジ21はクランプ穴に挿入されるとともに、クランプ穴の方向にテーパネジをねじ込むため、特許文献1(実開平05−005427号公報)に記載された技術に比べて、省スペース化を図ることができる。
また、テーパネジ21をネジ穴にねじ込んでブレード部7を屈曲させるまでは、クランプ部材1の外径が変わらない。このため、クランプ穴にクランプ部2を挿入する前に、貫通孔3に挿入したテーパネジ21をネジ穴にねじ込んでクランプ部材1及びテーパネジ21を仮止めすることができる。しかも、クランプ部材1及びテーパネジ21を仮止めする際に、テーパネジ21の座面24が内テーパ面9を押圧しても、クランプ部2の外径がクランプ穴の内径と同じになるまでは、クランプ穴にクランプ部2を挿入することができる。これにより、テーパネジ21をネジ穴にねじ込んでブレード部7を屈曲させる際の作業性を向上させることができる。
また、クランプ部2が筒状に形成されているため、奥行き方向に同径となるクランプ穴に対して、好適にクランプすることができる。
また、クランプ部2が円形断面の外形を有する円筒状に形成されているため、円形のクランプ穴に対して、好適にクランプすることができる。
また、本実施形態では、ブレード部7の第一先端部7aの外周面に外テーパ面11が形成されているため、テーパネジ21をネジ穴にねじ込んでブレード部7を屈曲させた際に、クランプ穴に外テーパ面11が圧接される。このとき、外テーパ面11は、第一先端4に向けてクランプ部2の軸線α側に傾斜しているため、クランプ穴と外テーパ面11とは、互いに平行又は平行に近い状態で圧接される。これにより、クランプ穴にブレード部7が食い込むのを抑制することができるため、クランプ穴が傷付くのを抑制することができる。また、ブレード部7とクランプ穴との間の接触面積を増加させて、クランプ穴に対するクランプ部材1のクランプ強度を向上させることができる。
ところで、外テーパ面11の傾斜角度が小さすぎると、ブレード部7を僅かに屈曲しただけで外テーパ面11がクランプ穴と平行になってしまうため、クランプ穴とクランプ部2との隙間を極めて小さくする必要がある。一方、外テーパ面11の傾斜角度が大きすぎると、ブレード部7を大きく屈曲しないと外テーパ面11がクランプ穴と平行にならないため、ブレード部7に高い屈曲性を与える必要があるとともに、クランプ穴とクランプ部2との隙間を極めて大きくする必要がある。
そこで、クランプ部2の軸線αに対する外テーパ面11の傾斜角度θ1は、例えば、0.1°以上5°以下とすることができる。この場合、傾斜角度θ1は、0.5°以上5°以下とすることが好ましく、0.7°以上5°以下とすることが更に好ましい。これにより、ブレード部7を大きく屈曲しなくても外テーパ面11をクランプ穴と平行にすることができるとともに、クランプ穴とクランプ部2との間の隙間を適切に確保することができる。
また、本実施形態では、基部6の外周面の延長線と外テーパ面11の延長線とが交差する交点βが、基部6とブレード部7との境界位置よりも第一先端4側に位置するため、クランプ穴と外テーパ面11とが平行又は平行に近い状態で、クランプ穴に外テーパ面11を圧接することができる。
また、本実施形態では、ブレード部7の基部6側の端部がクランプ部2の外周面に形成された凹部10により薄肉化されているため、ブレード部を屈曲しやすくなる。そして、基部6の外周面の延長線と外テーパ面11の延長線とが交差する交点βが、クランプ部2の軸線α方向における凹部10と同じ位置に位置するため、クランプ穴と外テーパ面11とを、互いに平行又は平行に近い状態圧接することができる。
ところで、一般に広く流通している皿ネジでは、軸線に対する座面の傾斜角度が45°となる。そして、図4〜図7に示すように、クランプ部2の軸線αに対する外テーパ面11の傾斜角度θ1は、クランプ部2に挿入したテーパネジ21をネジ穴にねじ込んで内テーパ面9と座面24とが平行となった際にクランプ穴と外テーパ面11とが平行になる角度とすることが好ましい。
そこで、テーパネジ21として一般に広く流通している皿ネジも用いることができるように、クランプ部2の軸線αに対する内テーパ面9の傾斜角度θ2は、例えば、40°以上45°以下とすることができる。この場合、傾斜角度θ2は、40°以上44.9°以下とすることが好ましい。これにより、テーパネジ21として、一般に広く流通している皿ネジを用いることができる。
また、本実施形態では、ブレード部7に複数のスリット8が形成されているため、ブレード部7を屈曲しやすくなる。しかも、ブレード部7が複数のスリット8によりクランプ部2の周方向に分断されているため、テーパネジ21をネジ穴にねじ込んでブレード部7を屈曲させると、複数のスリット8により分断されたブレード部7のそれぞれは、テーパネジ21から半径方向外方に向けた力を受ける。このため、テーパネジ21をネジ穴にねじ込んでブレード部7を屈曲させることで、クランプ穴をテーパネジ21に調芯することができる。
また、本実施形態では、複数のスリット8がクランプ部の周方向において等角度間隔に形成されているため、テーパネジ21をネジ穴にねじ込んでブレード部7を屈曲させた際に、クランプ穴をテーパネジ21に更に高精度に調芯することができる。
また、本実施形態では、貫通孔3がクランプ部材1を貫通しているため、貫通孔3に挿入したテーパネジ21を、基部6に対するブレード部7の反対側に配置された別部材のネジ穴にねじ込むことで、クランプ部材1をクランプ穴にクランプすることができる。このように、クランプ部材1にネジ穴を形成する必要がないため、クランプ部材1をシンプルな構造とすることができる。
ところで、クランプ部2の軸線αに対する内テーパ面9の傾斜角度θ2がテーパネジ21の軸線γに対する座面24の傾斜角度θ3と同じ、又は大きい場合、貫通孔3に挿入したテーパネジ21をネジ穴にねじ込んでいくに従い、座面24に対する内テーパ面9の傾斜が大きくなって、座面24と内テーパ面9との接触面積が小さくなっていく。
そこで、図4〜図6に示すように、クランプ部2の軸線αに対する内テーパ面9の傾斜角度θ2は、テーパネジ21の軸線γに対する座面24の傾斜角度θ3よりも小さくすることができる。これにより、貫通孔3に挿入したテーパネジ21をネジ穴にねじ込んでいくに従い、座面24に対する内テーパ面9の傾斜が小さくなって、座面24と内テーパ面9との接触面積が大きくなっていく。このため、クランプ穴に対するクランプ部材1のクランプ強度を向上させることができる。
この場合、クランプ部2の軸線αに対する内テーパ面9の傾斜角度θ2とテーパネジ21の軸線γに対する座面24の傾斜角度θ3との差は、例えば、0.1°以上5°以下とすることができ、0.5°以上5°以下とすることが好ましく、0.5°以上5°以下とすることが更に好ましい。これにより、ブレード部7の屈曲量が過大となるのを抑制しつつ、ブレード部7を広がる方向(半径方向外方)に屈曲させてクランプ穴に圧接させることができる。
(クランプ部材セットの第一使用方法)
次に、クランプ部材セットの使用方法の一例である第一使用方法について説明する。
図8〜図10に示すように、第一使用方法は、ロッド31にプレート32を固定する方法である。
まず、図8に示すように、ロッド31にクランプ部材1及びテーパネジ21を仮止めしておく。この仮止めでは、まず、クランプ部2の貫通孔3にテーパネジ21を挿入する。そして、テーパネジ21の座面24が内テーパ面9を押圧しない程度に、ロッド31の端面に形成されたネジ穴33にテーパネジ21をねじ込む。ロッド31の外径とクランプ部材1の外径(基部6の外径)とは同じであることが好ましい。なお、プレート32に対するロッド31の位置決めを行うために、ロッド31の外周面に位置決め部材35を取り付けておいてもよい。位置決め部材35としては、例えば、Eリングを用いることができる。
次に、図9に示すように、ロッド31及びクランプ部材1を、プレート32のクランプ穴34に挿入する。クランプ穴34の内径は、ロッド31及びクランプ部材1の外径よりも大きくなっており、クランプ穴34とロッド31及びクランプ部材1との間に隙間が形成されている。このため、ロッド31及びクランプ部材1をクランプ穴34に容易かつ円滑に挿入することができる。なお、クランプ部材1及びテーパネジ21を仮止めする際に、テーパネジ21の座面24が内テーパ面9を押圧しても、クランプ部2の外径がクランプ穴34の内径と同じになるまでは、クランプ穴34にクランプ部2を挿入することができる。
次に、図10に示すように、ネジ穴33にテーパネジ21を更にねじ込む。すると、テーパネジ21の軸力によりクランプ部材1とロッド31とが圧接固定される。また、テーパネジ21の座面24が内テーパ面9を押圧することで、ブレード部7は、半径方向外方の力を受ける。すると、ブレード部7は、広がる方向(半径方向外方)に屈曲する。そして、ブレード部7の外テーパ面11がクランプ穴34に圧接されることで、クランプ穴34にクランプ部材1がクランプされる。これにより、ロッド31に対するプレート32の固定が終了する。
(クランプ部材セットの第二使用方法)
次に、クランプ部材セットの使用方法の一例である第二使用方法について説明する。
図11〜図13に示すように、第二使用方法は、大型プレート41に小型プレート42を固定する方法である。
まず、図11に示すように、大型プレート41にクランプ部材1及びテーパネジ21を仮止めしておく。この仮止めでは、まず、クランプ部2の貫通孔3にテーパネジ21を挿入する。そして、テーパネジ21の座面24が内テーパ面9を押圧しない程度に、大型プレート41の表面に形成されたネジ穴43にテーパネジ21をねじ込む。
次に、図12に示すように、クランプ部材1を、小型プレート42のクランプ穴44に挿入する。クランプ穴44の内径は、クランプ部材1の外径よりも大きくなっており、クランプ穴44とクランプ部材1との間に隙間が形成されている。このため、クランプ部材1をクランプ穴34に容易かつ円滑に挿入することができる。なお、クランプ部材1及びテーパネジ21を仮止めする際に、テーパネジ21の座面24が内テーパ面9を押圧しても、クランプ部2の外径がクランプ穴44の内径と同じになるまでは、クランプ穴44にクランプ部2を挿入することができる。
次に、図13に示すように、ネジ穴43にテーパネジ21を更にねじ込む。すると、テーパネジ21の軸力によりクランプ部材1と大型プレート41とが圧接固定される。また、テーパネジ21の座面24が内テーパ面9を押圧することで、ブレード部7は、半径方向外方の力を受ける。すると、ブレード部7は、広がる方向(半径方向外方)に屈曲する。そして、ブレード部7の外テーパ面11がクランプ穴44に圧接されることで、クランプ穴44にクランプ部材1がクランプされる。これにより、大型プレート41に対する小型プレート42の固定が終了する。
[第二実施形態]
次に、第二実施形態について説明する。第二実施形態は、基本的に第一実施形態と同様であるが、クランプ部材において、クランプ部の外周面に外テーパ面が形成されていない点のみ第一実施形態と相違する。このため、以下では、第一実施形態と相違する事項のみを説明し、第一実施形態と同様の事項の説明を省略する。
図14に示すように、第二実施形態のクランプ部材1Aは、クランプ部2Aを備えており、クランプ部2Aは、第一実施形態と同様の基部6と、第一実施形態のブレード部7に対応するブレード部7Aとを有する。そして、ブレード部7Aの外周面は、基部6の外周面と同様に、クランプ部2Aの軸線αと平行であって、クランプ部2の軸線α方向の全域において同径となっている。但し、ブレード部7Aの外周面は、基部6の外周面と同様に、部分的に小径化されていてもよい。ブレード部7Aのその他の構成は、第一実施形態のブレード部7と同様であり、例えば、ブレード部7Aには、第一実施形態と同様のスリット8が形成されている。
次に、図15及び図16を参照して、第二実施形態のクランプ部材1Aを用いてロッド31にプレート32を固定する方法について説明する。
まず、図15に示すように、ロッド31にクランプ部材1A及びテーパネジ21を仮止めしておく。クランプ部材1A及びテーパネジ21の仮止めは、第一実施形態と同様の方法により行うことができる。次に、ロッド31及びクランプ部材1Aを、プレート32のクランプ穴34に挿入する。
次に、図16に示すように、ネジ穴33にテーパネジ21を更にねじ込む。すると、テーパネジ21の座面24が内テーパ面9を押圧することで、ブレード部7Aは、半径方向外方の力を受けて、広がる方向(半径方向外方)に屈曲する。そして、ブレード部7Aがクランプ穴34に圧接される。このとき、ブレード部7Aの外周面には、第一実施形態の外テーパ面11が形成されていないため、ブレード部7Aの先端7bがクランプ穴34に食い込んで、クランプ穴34が傷付く可能性がある。しかしながら、ブレード部7Aがクランプ穴34に圧接されるため、クランプ穴34にクランプ部材1Aがクランプされる。これにより、ロッド31に対するプレート32の固定が終了する。
このように、ブレード部7Aの外周面に外テーパ面11が形成されていなくても、第一実施形態と同様に、容易にクランプ部材1Aをクランプ穴にクランプすることができる。
[第三実施形態]
次に、第三実施形態について説明する。第三実施形態は、基本的に第一実施形態と同様であるが、クランプ部材において、貫通孔の径が大きくなっており、ブレード部に凹部が形成されておらず、内テーパ面がクランプ部材の外周面まで延びていない点のみ第一実施形態と相違する。このため、以下では、第一実施形態と相違する事項のみを説明し、第一実施形態と同様の事項の説明を省略する。
図17に示すように、第三実施形態のクランプ部材1Bは、第一実施形態のクランプ部2に対応するクランプ部2Bを備えており、クランプ部2Bの貫通孔3Bが、第一実施形態の貫通孔3に対して大径化している。クランプ部2Bは、第一実施形態の基部6に対応する基部6Bと、第一実施形態のブレード部7に対応するブレード部7Bとを有する。基部6Bは、貫通孔3Bが大径化することにより薄肉化している。その他は、第一実施形態の基部6と同様である。
ブレード部7Bは、貫通孔3Bが大径化することにより薄肉化している。第一実施形態の内テーパ面9に対応する内テーパ面9Bは、ブレード部7Bの外周面(外テーパ面11)まで延びていない。つまり、ブレード部7Bの先端に、クランプ部2Bの軸線αと直交する端面が形成されている。そして、この端面の外周側(クランプ部2Bの軸線αとは反対側)に、外テーパ面11が形成されており、この端面の内周側(クランプ部2Bの軸線α側)に、内テーパ面9Bが形成されている。内テーパ面9Bは、第一実施形態の内テーパ面9に対してクランプ部2Bの軸線α方向における長さが短くなっている。ブレード部7Bのその他の構成は、第一実施形態のブレード部7と同様であり、例えば、ブレード部7Bには、第一実施形態と同様のスリット8が形成されている。
なお、クランプ部材1Bは、薄肉化されているため、板材に予めブレード部7Bの加工を施しておき、この板材をプレスにより円筒状に折り曲げることにより形成することができる。なお、基部6の互いに突き合わされる両端面は、溶接等により接合されていていることが好ましいが、単に当接されているだけでもよい。
次に、図18及び図19を参照して、第三実施形態のクランプ部材1Bを用いてロッド31にプレート32を固定する方法について説明する。
まず、図18に示すように、ロッド31にクランプ部材1B及びテーパネジ21を仮止めしておく。クランプ部材1B及びテーパネジ21の仮止めは、第一実施形態と同様の方法により行うことができる。次に、ロッド31及びクランプ部材1Bを、プレート32のクランプ穴34に挿入する。
次に、図19に示すように、ネジ穴33にテーパネジ21を更にねじ込む。すると、テーパネジ21の座面24が内テーパ面9Bを押圧することで、ブレード部7Bは、半径方向外方の力を受けて、広がる方向(半径方向外方)に屈曲する。そして、ブレード部7Bの外テーパ面11がクランプ穴34に圧接されることで、クランプ穴34にクランプ部材1Bがクランプされる。これにより、ロッド31に対するプレート32の固定が終了する。
ここで、ブレード部7Bの外周面には、第一実施形態の凹部10が形成されていないため、ブレード部7Bが屈曲しにくい。しかしながら、ブレード部7Bを屈曲させることは可能である。しかも、クランプ部2Bを薄肉化したり、スリット8の幅を広くしたり、スリット8の数を増やしたり、ブレード部7Bの屈曲量を小さくしたりすることで、ブレード部7Bを屈曲しやすくすることができる。
また、内テーパ面9Bは、第一実施形態の内テーパ面9よりも小さいため、座面24との接触面積が第一実施形態よりも小さくなる。しかしながら、座面24は、内テーパ面9Bと接触して内テーパ面9Bを押圧することができるため、ネジ穴33にテーパネジ21をねじ込むことで、ブレード部7Bを屈曲させることができる。
このように、ブレード部7Bの外周面に凹部10が形成されていなくても、また、内テーパ面9Bが小さくても、ブレード部7Bを屈曲させることができるため、第一実施形態と同様に、容易にクランプ部材1Aをクランプ穴にクランプすることができる。
[第四実施形態]
次に、第四実施形態について説明する。第四実施形態は、基本的に第一実施形態と同様であるが、クランプ部材がロッド部を更に備える点のみ第一実施形態と相違する。このため、以下では、第一実施形態と相違する事項のみを説明し、第一実施形態と同様の事項の説明を省略する。
図20に示すように、第四実施形態のクランプ部材1Cは、第一実施形態と同様のクランプ部2と、ロッド部12Cとを備えている。ロッド部12Cは、クランプ部2の軸線α方向に沿って基部6からブレード部7とは反対側に延びている。ロッド部12Cは、ロッド状に形成されており、ロッド部12Cの外径と同じ外径を有する。ロッド部12Cは、貫通孔3に続くネジ穴13Cを有する。ネジ穴13Cは、貫通孔3に挿入したテーパネジ21をねじ込むためのネジ穴である。
次に、図21及び図22を参照して、第四実施形態のクランプ部材1Cを用いてクランプ部材1Cにプレート32を固定する方法について説明する。
まず、図21に示すように、クランプ部材1Cにテーパネジ21を仮止めしておく。この仮止めでは、まず、クランプ部2の貫通孔3にテーパネジ21を挿入する。そして、テーパネジ21の座面24が内テーパ面9を押圧しない程度に、ロッド部12Cに形成されたネジ穴13Cにテーパネジ21をねじ込む。なお、プレート32に対するクランプ部材1Cの位置決めを行うために、ロッド部12Cの外周面に位置決め部材35を取り付けておいてもよい。そして、クランプ部2がプレート32のクランプ穴34に入るように、クランプ部材1Cをクランプ穴34に挿入する。
次に、図22に示すように、ネジ穴13Cにテーパネジ21を更にねじ込む。すると、テーパネジ21の軸力により、テーパネジ21の座面24が内テーパ面9を押圧することで、ブレード部7は、半径方向外方の力を受ける。すると、ブレード部7は、広がる方向(半径方向外方)に屈曲する。そして、ブレード部7の外テーパ面11がクランプ穴34に圧接されることで、クランプ穴34にクランプ部材1Cがクランプされる。これにより、クランプ部材1Cに対するプレート32の固定が終了する。
このように、本実施形態では、基部6から延びるロッド部12Cを備え、当該ロッド部12Cに貫通孔3に続くネジ穴13Cが形成されているため、別部材を用意しなくても、クランプ部材1Cをクランプ穴34にクランプすることができる。
[第五実施形態]
次に、第五実施形態について説明する。第五実施形態は、基本的に第一実施形態と同様であるが、テーパネジが摘みを更に備える点のみ第一実施形態と相違する。このため、以下では、第一実施形態と相違する事項のみを説明し、第一実施形態と同様の事項の説明を省略する。
図23及び図24に示すように、第五実施形態のテーパネジ21Dは、ネジ部22と、頭部23と、摘み25Dとを備える。摘み25Dは、頭部23からネジ部22の反対側に延びている。摘み25Dの外径は、クランプ穴の内径よりも小さくすることが好ましい。
次に、クランプ部材1及びテーパネジ21Dを用いて、ネジ穴53が形成された第一部材51に、クランプ穴54が形成された第二部材52を固定する方法について説明する。この方法では、摘み25Dの外径が、クランプ穴54の内径よりも小さくなっている。
まず、図23に示すように、第一部材51にクランプ部材1及びテーパネジ21Dを仮止めしておく。この仮止めでは、まず、クランプ部2の貫通孔3にテーパネジ21Dを挿入する。そして、テーパネジ21Dの座面24が内テーパ面9を押圧しない程度に、第一部材51のネジ穴53にテーパネジ21Dをねじ込む。このテーパネジ21Dのねじ込みは、摘み25Dを手で回すことにより行うことができる。そして、摘み25D及びクランプ部材1を、第二部材52のクランプ穴54に挿入する。
次に、図24に示すように、ネジ穴53にテーパネジ21Dを更にねじ込む。このテーパネジ21Dのねじ込みは、摘み25Dを手で回すことにより行ってもよく、摘み25Dを工具で回すことにより行ってもよい。すると、テーパネジ21Dの座面24が内テーパ面9を押圧することで、ブレード部7は、半径方向外方の力を受けて、広がる方向(半径方向外方)に屈曲する。そして、ブレード部7の外テーパ面11がクランプ穴54に圧接される。これにより、第一部材51に対する第二部材52の固定が終了する。
このように、テーパネジ21Dが摘み25Dを備えるため、テーパネジ21Dを容易に回すことができる。
また、摘み25Dの外径をクランプ穴54の内径よりも小さくすることで、クランプ穴54に摘み25D及びクランプ部材1を挿入する前に、第一部材51にクランプ部材1及びテーパネジ21Dを仮止めすることができる。このため、作業性が向上する。
[第六実施形態]
次に、第六実施形態について説明する。第六実施形態は、基本的に第一実施形態と同様であるが、弾性変形する弾性部材を更に備える点のみ第一実施形態と相違する。このため、以下では、第一実施形態と相違する事項のみを説明し、第一実施形態と同様の事項の説明を省略する。
図25及び図26に示すように、第六実施形態のクランプ部材セットは、クランプ部材1と、テーパネジ21と、弾性部材14Eと、を備える。
弾性部材14Eは、ゴム、樹脂等の弾性変形する部材により、環状に形成されている。弾性部材14Eとしては、例えば、Oリング、ワッシャ等を用いることができる。そして、弾性部材14Eは、クランプ部材1と、テーパネジ21がねじ込まれるネジ穴が形成された部材との間に配置される。そして、弾性部材14Eは、テーパネジ21がネジ穴にねじ込まれた際に、テーパネジ21の軸線方向に圧縮されて、テーパネジ21の半径方向に膨張することで、クランプ穴に対するクランプ力を向上させる。
次に、クランプ部材1、テーパネジ21及び弾性部材14Eを用いて、ネジ穴33が形成された第一部材61に、クランプ穴64が形成された第二部材62を固定する方法について説明する。
まず、図25に示すように、第一部材61にクランプ部材1、テーパネジ21及び弾性部材14Eを仮止めしておく。この仮止めでは、まず、クランプ部2の貫通孔3及び弾性部材14Eの順にテーパネジ21を挿入する。そして、テーパネジ21の座面24が内テーパ面9を押圧しない程度に、第一部材61のネジ穴53にテーパネジ21をねじ込む。すると、テーパネジ21の頭部23、クランプ部材1、弾性部材14E及び第一部材61が、この順に直列的に配列される。つまり、弾性部材14Eは、テーパネジ21の頭部23及びクランプ部材1と、第一部材61とに挟まれた状態となる。そして、クランプ部材1及び弾性部材14Eを、第二部材62のクランプ穴64に挿入する。このとき、第一部材61もクランプ穴64に挿入してもよい。
次に、図26に示すように、ネジ穴63にテーパネジ21を更にねじ込む。すると、テーパネジ21の軸力によりクランプ部材1と第一部材61とが引き寄せられて、弾性部材14Eが、テーパネジ21の軸線方向に圧縮されて、テーパネジ21の半径方向に膨張する。これにより、弾性部材14Eがクランプ穴64に圧接される。また、テーパネジ21の座面24が内テーパ面9を押圧することで、ブレード部7は、半径方向外方の力を受けて、広がる方向(半径方向外方)に屈曲する。そして、ブレード部7の外テーパ面11がクランプ穴54に圧接される。これにより、第一部材61に対する第二部材62の固定が終了する。
このように、弾性部材14Eを備え、テーパネジ21の軸力により弾性部材14Eを弾性変形させてクランプ穴に圧接させることで、クランプ穴64に対するクランプ力を向上することができる。更に、弾性部材14Eの座屈分だけ、第一部材61に対してクランプ部材1が引き寄せられるため、第一部材61とクランプ部材1との間に隙間が生じるのを抑制することができる。
[第七実施形態]
次に、第七実施形態について説明する。第七実施形態は、基本的に第一実施形態と同様であるが、テーパネジが連結部を更に備える点のみ第一実施形態と相違する。このため、以下では、第一実施形態と相違する事項のみを説明し、第一実施形態と同様の事項の説明を省略する。
図27及び図28に示すように、第七実施形態のテーパネジ21Eは、ネジ部22と、頭部23と、連結部26E1とを備える。連結部26E1は、頭部23からネジ部22の反対側に延びている。連結部26E1の外周面には、スパナ等の工具でテーパネジ21Eを回転させるための溝26E2が形成されている。連結部26E1の内部には、テーパネジ21Eの軸線に沿って延びるネジ穴26E3が形成されている。
このため、ネジ穴26E3に、他のシャフト、他のテーパネジ21E等をねじ込むことで、テーパネジ21Eの軸線方向に、他のシャフト、他のテーパネジ21E等を連結することができる。
[第八実施形態]
次に、第八実施形態について説明する。第八実施形態は、基本的に第一実施形態と同様であるが、テーパネジの両端部に、ネジ部及び頭部が形成されている点のみ第一実施形態と相違する。このため、以下では、第一実施形態と相違する事項のみを説明し、第一実施形態と同様の事項の説明を省略する。
図29に示すように、第八実施形態のテーパネジ21Fは、第一ネジ部22F1及び第二ネジ部22F2と、第一頭部23F1及び第二頭部23F2と、連結部27Fとを備える。
第一ネジ部22F1及び第二ネジ部22F2は、それぞれ第一実施形態のネジ部22と同じ形状である。第一頭部23F1及び第二頭部23F2は、それぞれ第一実施形態の頭部23と同じ形状である。第一頭部23F1は、第一ネジ部22F1の頭部であり、第二頭部23F2は、第二ネジ部22F2の頭部である。そして、連結部27Fは、第一頭部23F1と第二頭部23F2とを連結する。このため、連結部27Fの一方側には、第一頭部23F1及び第一ネジ部22F1がこの順に形成されており、連結部27Fの他方側には、第二頭部23F2及び第二ネジ部22F2がこの順に形成されている。
次に、一対のクランプ部材1及びテーパネジ21Fを用いて、プレート71Fに第一ロッド72F及び第二ロッド73Fを固定する方法について説明する。
まず、第一実施形態と同様に、クランプ部材1に挿入した第一ネジ部22F1を第一ロッド72Fのネジ穴75Fにねじ込むことで、クランプ部材1をクランプ穴74Fにクランプする。これにより、第一ロッド72Fとプレート71Fとが固定される。なお、プレート71Fに対する第一ロッド72Fの位置決めを行うために、第一ロッド72Fの外周面に位置決め部材77Fを取り付けておいてもよい。
次に、第一ロッド72Fとは反対側からクランプ穴74Fに他のクランプ部材1を挿入し、クランプ部材1の貫通孔3に第二ネジ部22F2を挿入する。そして、第二ロッド73Fのネジ穴76Fに第二ネジ部22F2をねじ込むことで、他のクランプ部材1をクランプ穴74Fにクランプする。これにより、クランプ穴74Fにおいて、第一ロッド72Fと第二ロッド73Fとが連結されるともに、第一ロッド72F及び第二ロッド73Fがプレート71Fに固定される。
[第九実施形態]
次に、第九実施形態について説明する。第九実施形態は、基本的に第一実施形態と同様であり、主に、クランプ部が矩形断面(又は正方形断面)の外形を有する角筒状に形成されている点が第一実施形態と相違する。このため、以下では、第一実施形態と相違する事項のみを説明し、第一実施形態と同様の事項の説明を省略する。
図30に示すように、第九実施形態のクランプ部材1Gは、長穴等の細長いクランプ穴44Gに対して好適にクランプすることができるクランプ部材である。
図31〜図34に示すように、第九実施形態のクランプ部材1Gは、軸線α(中心軸線)上に貫通孔3Gが形成されたクランプ部2Gを備える。クランプ部2Gは、矩形断面(又は正方形断面)の外形を有する角筒状に形成されている。貫通孔3Gは、円形に形成されており、テーパネジ21が貫通される。クランプ部2Gの軸線α方向における両端のうち、一方側の先端を第一先端4Gといい、他方側の先端を第二先端5Gという。
クランプ部2Gは、第一実施形態の基部6に対応する基部6Gと、第一実施形態のブレード部7に対応するブレード部7Gとを有する。
基部6Gは、基本的には第一実施形態の基部6に同様である。基部6Gは、クランプ部2Gの周方向に連続する角筒状に形成されている。但し、基部6Gの内周面は、貫通孔3Gを形成するため、円形に形成されている。
ブレード部7Gは、基本的には第一実施形態のブレード部7に同様である。ブレード部7Gは、矩形断面の外形を有する角筒状に形成されている。但し、ブレード部7Gの内周面は、貫通孔3Gを形成するため、円形に形成されている。
ブレード部7Gには、対向する一対の辺部にのみスリット8Gが形成されている。なお、スリット8Gが形成される辺部には、1本のみスリット8Gが形成されていてもよく、複数本のスリット8Gが形成されていてもよい。本実施形態では、ブレード部7Gの対向する一対の辺部に、それぞれ1本ずつスリット8Gが形成されている。
ブレード部7Gの内周面には、第一実施形態と同様に、第一先端4Gに向けて拡径する内テーパ面9Gが形成されている。内テーパ面9Gは、クランプ部2Gの軸線αに対して傾斜しており、クランプ部2Gの軸線αを通る断面(図34に示す断面)では、内テーパ面9Gは直線となっている。
ブレード部7Gの基部6G側の端部は、第一実施形態と同様に、ブレード部7Gの外周面に形成された凹部10Gにより薄肉化されている。
ブレード部7Gの第一先端4G側の部分である第一先端部7Gaの外周面には、第一先端4Gに向けてクランプ部2Gの軸線α側に傾斜する外テーパ面11Gが形成されている。外テーパ面11Gは、ブレード部7Gの4つの辺部の内、全ての辺部(全周)に形成されていてもよいが、本実施形態では、スリット8Gが形成されていない対向する一辺の辺部7G1,7G2にのみ形成されている。
クランプ部2Gの軸線αと外テーパ面11Gとを通る断面において、基部6Gの外周面の延長線と外テーパ面11Gの延長線とが交差する点を交点βとする。交点βは、第一実施形態と同様に、基部6Gとブレード部7Gとの境界位置よりも第一先端4G側に位置している。つまり、外テーパ面11Gは、基部6Gとブレード部7Gとの境界位置よりも第一先端4G側の位置から、第一先端4Gに向けてクランプ部2Gの軸線α側に傾斜している。
次に、図30、図35及び図36を参照して、第九実施形態のクランプ部材1Gを用いて大型プレート41Gに小型プレート42Gを固定する方法について説明する。
まず、図35に示すように、大型プレート41Gにクランプ部材1G及びテーパネジ21を仮止めしておく。この仮止めでは、まず、クランプ部2Gの貫通孔3Gにテーパネジ21を挿入する。そして、テーパネジ21の座面24が内テーパ面9Gを押圧しない程度に、大型プレート41Gの表面に形成されたネジ穴43Gにテーパネジ21をねじ込む。なお、用いるクランプ部材1Gの数は特に限定されず、1個であってもよく、複数個であってもよい。
次に、図35及び図36に示すように、クランプ部材1Gを、小型プレート42Gのクランプ穴44Gに挿入する。なお、クランプ部材1G及びテーパネジ21を仮止めする際に、テーパネジ21の座面24が内テーパ面9Gを押圧しても、一対の辺部7G1,7G2の外寸がクランプ穴44Gの短手方向の内寸と同じになるまでは、クランプ穴34にクランプ部2を挿入することができる。このとき、クランプ部材1Gとクランプ穴44Gとは、クランプ穴44Gの長手方向に相対的に移動可能である。そこで、大型プレート41Gと小型プレート42Gとを、クランプ穴44Gの長手方向に沿って相対的に移動させて、大型プレート41Gに対する小型プレート42Gの位置決めを行う。
次に、図36及び図30に示すように、ネジ穴43Gにテーパネジ21を更にねじ込む。すると、テーパネジ21の軸力によりクランプ部材1Gと大型プレート41Gとが圧接固定される。また、テーパネジ21の座面24が内テーパ面9Gを押圧することで、ブレード部7Gは、半径方向外方の力を受ける。すると、ブレード部7Gは、広がる方向(一対の辺部7G1,7G2が離れる方向)に屈曲する。そして、ブレード部7Gの外テーパ面11Gがクランプ穴44Gに圧接されることで、クランプ穴44Gにクランプ部材1Gがクランプされる。これにより、大型プレート41Gに対する小型プレート42Gの固定が終了する。
このように、本実施形態では、基部6Gから延びるブレード部7Gにスリット8Gが形成されているため、ブレード部7Gは、広がる方向、つまり、スリット8Gが形成されていない一対の辺部7G1,7G2が離れる方向に屈曲することが可能となる。そして、ブレード部7Gの内周面に、第一先端4Gに向けて拡径する内テーパ面9Gが形成されている。このため、テーパネジ21を貫通孔3Gに挿入するとともに、このテーパネジ21を基部6Gに対するブレード部7Gの反対側に位置するネジ穴43Gにねじ込むと、テーパネジ21の座面24が内テーパ面9Gを押圧することで、ブレード部7Gは半径方向外方の力を受ける。すると、ブレード部7Gは、広がる方向(一対の辺部7G1,7G2が離れる方向)に屈曲する。このため、クランプ穴44Gにクランプ部2Gを挿入するとともに、貫通孔3Gに挿入したテーパネジ21をネジ穴43Gにねじ込むことで、ブレード部7Gを、一対の辺部7G1,7G2が離間する方向に屈曲させてクランプ穴44Gに圧接させることができる。これにより、容易にクランプ部材1Gをクランプ穴44Gにクランプすることができる。
また、クランプ部2Gが矩形断面の外形を有する角筒状に形成されているため、長穴等の細長いクランプ穴44Gにクランプする際に、クランプ部材1Gとクランプ穴44Gとを、クランプ穴44Gの長手方向に相対的に移動させることができる。これにより、大型プレート41Gに対する小型プレート42Gの固定位置を調整することができる。
[第十実施形態]
次に、第十実施形態について説明する。第十実施形態は、基本的に第九実施形態と同様であり、主に、クランプ部が第一先端に向けて広がる錐台状に形成されている点が第九実施形態と相違する。このため、以下では、第九実施形態と相違する事項のみを説明し、第九実施形態と同様の事項の説明を省略する。
図37に示すように、第十実施形態のクランプ部材1Hは、長穴等の細長いクランプ穴44Hに対して好適にクランプすることができるクランプ部材である。
図38に示すように、第十実施形態のクランプ部材1Hは、軸線α(中心軸線)上に貫通孔3Hが形成されたクランプ部2Hを備える。クランプ部2Hの軸線α方向における両端のうち、一方側の先端を第一先端4Hといい、他方側の先端を第二先端5Hという。クランプ部2Hは、矩形断面(又は正方形断面)の外形を有して第一先端4Hに向けて広がる四角錐台状に形成されている。貫通孔3Hは、円形に形成されており、テーパネジ21が貫通される。
クランプ部2Hは、第九実施形態の基部6に対応する基部6Hと、第九実施形態のブレード部7に対応するブレード部7Hとを有する。
基部6Hは、基本的には第九実施形態の基部6に同様である。基部6Hは、クランプ部2Hの周方向に連続する、第一先端4Hに向けて広がる四角錐台状に形成されている。但し、基部6Hの内周面は、貫通孔3Hを形成するため、クランプ部2の軸線α方向に沿って同径の円形に形成されている。
ブレード部7Hは、基本的には第九実施形態のブレード部7に同様である。ブレード部7Hは、第一先端4Hに向けて広がる四角錐台状に形成されている。但し、ブレード部7Hの内周面は、貫通孔3Hを形成するため、クランプ部2の軸線α方向に沿って同径の円形に形成されている。
ブレード部7Hには、対向する一対の辺部にのみスリット8Hが形成されている。なお、スリット8Hが形成される辺部には、1本のみスリット8Hが形成されていてもよく、複数本のスリット8Hが形成されていてもよい。本実施形態では、ブレード部7Hの対向する一対の辺部に、それぞれ1本ずつスリット8Hが形成されている。
ブレード部7Hの内周面には、第九実施形態と同様に、第一先端4Hに向けて拡径する内テーパ面9Hが形成されている。内テーパ面9Hは、クランプ部2Hの軸線αに対して傾斜しており、クランプ部2Hの軸線αを通る断面(図38に示す断面)では、内テーパ面9Hは直線となっている。
ブレード部7Hの基部6H側の端部は、第九実施形態と同様に、ブレード部7Hの外周面に形成された凹部10Hにより薄肉化されている。
ブレード部7Hの第一先端4H側の部分である第一先端部7Haの外周面には、クランプ部2Hの軸線αを通る断面において、第一先端4Hに向けて、基部6Hの外周面(又は基部6Hの外周面の延長線)に対してクランプ部2Hの軸線α側に傾斜する外テーパ面11Hが形成されている。外テーパ面11Hは、ブレード部7Hの全周に形成されていてもよいが、本実施形態では、スリット8Hが形成されない、対向する一辺の辺部7H1,7H2にのみ形成されている。
クランプ部2Hの軸線αと外テーパ面11Hとを通る断面において、基部6Hの外周面の延長線と外テーパ面11Hの延長線とが交差する点を交点βとする。交点βは、基部6Hとブレード部7Hとの境界位置よりも第一先端4H側に位置している。つまり、外テーパ面11Hは、基部6Hとブレード部7Hとの境界位置よりも第一先端4H側の位置から、第一先端4Hに向けて、基部6Hの外周面に対してクランプ部2Hの軸線α側に傾斜している。より具体的には、交点βは、基部6Hとブレード部7Hとの境界位置よりも第一先端4H側の、クランプ部2Hの軸線α方向における凹部10Hと同じ位置に位置している。つまり、外テーパ面11Hは、基部6Hとブレード部7Hとの境界位置よりも第一先端4H側の、クランプ部2Hの軸線α方向における凹部10Hの位置から、第一先端4Hに向けて、基部6Hの外周面に対してクランプ部2Hの軸線α側に傾斜している。
クランプ部2Hの軸線αを通る断面において、基部6Hの外周面に対する外テーパ面11Hの傾斜角度θ4は、例えば、0.1°以上5°以下とすることができる。この場合、傾斜角度θ4は、0.5°以上5°以下とすることが好ましく、0.7°以上5°以下とすることが更に好ましい。
次に、図37、図39及び図40を参照して、第十実施形態のクランプ部材1Hを用いて大型プレート41Hに小型プレート42Hを固定する方法について説明する。
まず、図39に示すように、大型プレート41Hにクランプ部材1H、テーパネジ21及び小型プレート42Hを仮止めしておく。この仮止めでは、まず、クランプ部2Hの貫通孔3Hにテーパネジ21を挿入する。更に、貫通孔3Hに挿入したテーパネジ21を小型プレート42のクランプ穴44Hに挿入する。そして、テーパネジ21の座面24が内テーパ面9Hを押圧しない程度に、大型プレート41Hの表面に形成されたネジ穴43Hにテーパネジ21をねじ込む。なお、クランプ部2Hの軸線αに対する基部6Hの外周面の傾斜角度は、クランプ穴44Hの中心軸線に対するクランプ穴44Hの内周面の傾斜角度と略同じとなっている。なお、用いるクランプ部材1Hの数は特に限定されず、1個であってもよく、複数個であってもよい。
このとき、クランプ部材1Hとクランプ穴44Hとは、クランプ穴44Hの長手方向に相対的に移動可能である。そこで、大型プレート41Hと小型プレート42Hとを、クランプ穴44Hの長手方向に沿って相対的に移動させて、大型プレート41Hに対する小型プレート42Hの位置決めを行う。
次に、図40及び図37に示すように、ネジ穴43Hにテーパネジ21を更にねじ込む。すると、テーパネジ21の軸力によりクランプ部材1Hと大型プレート41Hとが圧接固定される。また、テーパネジ21の座面24が内テーパ面9Hを押圧することで、ブレード部7Hは、半径方向外方の力を受ける。すると、ブレード部7Hは、広がる方向(一対の辺部7H1,7H2が離れる方向)に屈曲する。そして、ブレード部7Hの外テーパ面11Hがクランプ穴44Hに圧接されることで、クランプ穴44Hにクランプ部材1Hがクランプされる。これにより、大型プレート41Hに対する小型プレート42Hの固定が終了する。
このように、本実施形態では、クランプ部2Hが第一先端4Hに向けて広がる錐台状に形成されているため、奥行き方向に狭くなるテーパ状(ロート状、すり鉢状)のクランプ穴44Hに対して、好適にクランプすることができる。
また、クランプ部2Hが矩形断面の外形を有する四角錐台状に形成されているため、長穴等の細長いクランプ穴44Hにクランプする際に、クランプ部材1Hとクランプ穴44Hとを、クランプ穴44Hの長手方向に相対的に移動させることができる。これにより、大型プレート41Hに対する小型プレート42Hの固定位置を調整することができる。
また、ブレード部7Hの第一先端部7Haの外周面に外テーパ面11Hが形成されているため、テーパネジ21をネジ穴43Hにねじ込んでブレード部7Hを屈曲させた際に、クランプ穴44Hに外テーパ面11Hが圧接される。このとき、外テーパ面11Hは、基部6Hの外周面に対してクランプ部2Hの軸線α側に傾斜しているため、クランプ穴44Hと外テーパ面11Hとは、互いに平行又は平行に近い状態で圧接される。これにより、クランプ穴44Hにブレード部7Hが食い込むのを抑制することができるため、クランプ穴44Hが傷付くのを抑制することができる。また、ブレード部7Hとクランプ穴44Hとの間の接触面積を増加させて、クランプ穴44Hに対するクランプ部材1Hのクランプ強度を向上させることができる。
また、基部6Hの外周面に対する外テーパ面11Hの傾斜角度θ4が0.1°以上5°以下であるため、ブレード部7Hを大きく屈曲しなくても外テーパ面11Hをクランプ穴44Hと平行にすることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、クランプ部材のクランプ部は、筒状であってもよく、錐台状であってもよい。クランプ部が筒状である場合、クランプ部は、円形断面の外形を有する円筒状に形成されていてもよく、矩形断面の外形を有する角筒状に形成されていてもよい。クランプ部が錐台状である場合、クランプ部は、円形断面の外形を有する円錐台状に形成されていてもよく、矩形断面の外形を有する四角錐台状に形成されていてもよい。
また、各実施形態は、その一部又は全部の要素を他の実施形態に適用、置換等してもよい。