JP6933176B2 - サーバ、及び電池管理システム - Google Patents

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Description

本開示は、電池情報処理装置に関し、特に、車両に搭載された組電池を構成する複数のセルの少なくとも一部を交換して組電池を製造するための技術に関する。
組電池は、複数の二次電池により構成される。複数の二次電池を組み合わせることで、大容量の組電池が得られる。しかし、組電池を長期にわたって使用するためには、組電池のメンテナンスが必要になる。特開2015−73427号公報(特許文献1)は、組電池のメンテナンスに関する電池管理システムを開示する。この電池管理システムでは、組電池に含まれる複数の電池ブロックの特性のばらつきに基づいて組電池のメンテナンスが必要であるか否かを判断し、組電池のメンテナンスが必要である場合には、組電池の関係者に対して組電池に関連する情報を通知する。なお、組電池を構成する各二次電池は「セル」や「単電池」等とも称され、以下では、各二次電池を「セル」と称する。
特開2015−73427号公報
一般に、車両に搭載されている組電池のセルを交換する時には、交換前のセルと同じ仕様(材質や構造等)のセルに交換される。そのため、交換前のセルと同じ性能のセルに交換されることが多い。しかし、車両の使い方は、ユーザによって異なる。このため、交換前のセルと同じ性能のセルに交換することが必ずしも適切であるとは限らない。たとえば、車両に搭載されたリチウムイオン二次電池の電極表面においてリチウムの析出が生じやすくなるような車両の使い方をするユーザについては、電池性能の低下(電池容量の低下等)や、セルの交換頻度の増加などを招くおそれがある。上記の特許文献1に記載の電池管理システムは、組電池のメンテナンスを適切な時期に行なうことができる点で有用であるが、複数種のセル(交換用セル)からセルの交換に適したセルを選択可能とするためには、さらなる改善の余地がある。
本開示は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ユーザ毎の車両の使い方の違いを考慮して適切な交換用セルを選択するための情報を提供可能な電池情報処理装置を提供することである。
本開示の電池情報処理装置は、複数のセルを含んで構成される組電池を製造するための情報を処理する電池情報処理装置であって、取得部と生成部とを備える。セルは、リチウムイオン二次電池である。上記の取得部は、車両で使用された組電池の使用履歴情報を取得する。車両においては、所定の実行条件(以下、「Li析出抑制条件」と称する場合がある)が成立した場合にセルの電極表面におけるリチウム析出を抑制するためのLi析出抑制処理が実行される。上記組電池の使用履歴情報は、Li析出抑制処理の実行履歴を含む。上記の生成部は、Li析出抑制処理の実行履歴を用いて、交換用セルからセルの交換に適した適合セルを選択するための交換情報を生成する。交換情報は、上記のリチウム析出に対する耐性の程度を示す所定の指標(以下、「Li析出耐性指標」と称する場合がある)により分類されたセルのうちいずれのセルが適合セルであるかを示す。
なお、上記のリチウムイオン二次電池は、リチウムを電荷担体として充放電を行なう二次電池であり、液体電解質(たとえば、有機溶媒)を使用した一般的なリチウムイオン二次電池(電解液式リチウムイオン二次電池)だけでなく、固体電解質を使用した全固体電池(全固体式リチウムイオン二次電池)も含む。
車両において組電池を使用していると、組電池を構成するセル(リチウムイオン二次電池)の電極(たとえば、負極)の表面にリチウムが析出することがある。セルの電極表面にリチウムが析出すると、セル容量(セルに蓄えることができる電力の量)が低下する。セルの電極表面におけるリチウム析出の生じやすさは、組電池の使い方によって変わる。組電池の使い方は、ユーザの車両の使い方によって異なる。Li析出抑制処理が実行される車両では、Li析出抑制処理の実行履歴にユーザの車両の使い方が反映される。たとえば、セルの電極表面においてリチウムの析出が生じやすくなるような使い方(以下、「第1の使い方」と称する場合がある)をされた車両では、Li析出抑制処理が頻繁に実行されたり、Li析出抑制処理が高い強度で(すなわち、大きい抑制量で)実行されたりする。他方、セルの電極表面においてリチウムの析出が生じにくくなるような使い方(以下、「第2の使い方」と称する場合がある)をされた車両では、第1の使い方をされた車両と比べて、Li析出抑制処理の実行頻度や強度が低くなる。
上記の電池情報処理装置では、Li析出抑制処理の実行履歴を用いて交換情報を生成する。このため、第1の使い方をされた車両では、リチウム析出耐性(セルの電極表面におけるリチウム析出の生じにくさ)の高いセルで組電池の製造を行なうことで、長期にわたってセルの電極表面におけるリチウム析出を抑制し、組電池の容量を高く維持することが可能になる。また、第2の使い方では、セルの電極表面におけるリチウム析出が問題とはならない。このため、第2の使い方をされた車両では、リチウム析出以外の面で利点を有するセルで組電池の製造を行なうことで、組電池の容量を長期にわたって高く維持しつつ、さらに別のメリットを享受することが可能になる。たとえば、大容量化に適しているセルを組電池の製造に使用すれば、大容量の組電池が得られる。また、安価なセルを組電池の製造に使用すれば、コスト面で有利になる。このように、上記の電池情報処理装置によれば、ユーザ毎の車両の使い方の違いを考慮して適切な交換用セルにより組電池を製造するための情報(交換情報)を提供することが可能になる。
なお、使用履歴情報(Li析出抑制処理の実行履歴等)を「取得する」とは、電池情報処理装置において使用履歴情報を生成して取得することと、電池情報処理装置の外部(たとえば、組電池が搭載される車両等)において生成される使用履歴情報を受信して取得することとを含む。
また、電池情報処理装置は、電池情報を管理するサーバであってもよいし、そのようなサーバとは異なる端末であってもよい。電池情報処理装置が端末である場合、たとえば、サーバにおいて取得された使用履歴情報をサーバから端末が取得し、端末において交換情報を生成してもよい。
Li析出抑制処理の例としては、組電池の充電電力制限が挙げられる。組電池の充電電力(入力電力)を制限することで、セルの電極表面にリチウムが析出しにくくなる。Li析出抑制処理の実行条件は、たとえば組電池の状態(温度、電流、SOC等)が所定の状態になったときに成立するようにしてもよい。交換情報の生成に用いられるLi析出抑制処理の実行履歴の例としては、Li析出抑制処理の実行頻度や強度(抑制量の大きさ)が挙げられる。Li析出抑制処理の実行頻度の具体例としては、単位期間のうちLi析出抑制処理が実行されていた期間の割合が挙げられる。なお、単位期間は、車両の走行回数(トリップ数)で規定してもよいし、車両の走行距離や組電池の使用時間(使用開始からの経過時間)で規定してもよい。
Li析出耐性指標の例としては、電解液式リチウムイオン二次電池における電解液中のLiBOB(添加剤)の量が挙げられる。LiBOBの量が多くなるほどリチウム析出耐性が高くなる(すなわち、セルの電極表面にリチウムが析出しにくくなる)傾向がある。Li析出耐性指標により分類されるセルの区分(以下、「セル区分」と称する場合がある)の数は、2以上であれば任意である。
組電池の製造において上記の電池情報処理装置とともに用いられる好適な電池製造支援装置を以下に示す。
好適な電池製造支援装置は、組電池を構成する複数のセルの少なくとも一部を、交換用セルから選択される適合セルに交換して組電池を製造するための電池製造支援装置であって、上記の電池情報処理装置によって生成された交換情報を取得する取得部と、取得部によって取得された交換情報に従って適合セルを選択する選択部とを備える。こうした電池製造支援装置によれば、ユーザ毎の車両の使い方の違いを考慮して適切な交換用セルを選択し、その選択された交換用セルを用いて組電池を製造することができる。
また、上記の電池情報処理装置によって生成された交換情報に従って製造される組電池は、ユーザの車両の使い方に合った適切な交換用セルを含む。すなわち、こうした組電池は、ユーザにとって好適である。
本開示の電池情報処理装置によれば、ユーザ毎の車両の使い方の違いを考慮して適切な交換用セルを選択するための情報を提供することができる。
本開示の実施の形態における、電池パックの回収から製造・販売までの物流の一態様を示した図である。 図1に示す電池物流モデルに適用される電池管理システムの構成例を示した図である。 図2に示す車両、管理サーバ、及び電池パック製造業者の端末の構成を詳細に示した図である。 リチウムイオン二次電池の負極表面におけるリチウム析出量と、初期状態を基準としたリチウムイオン二次電池の容量低下量との関係を示す図である。 セルの負極表面においてリチウムの析出が生じやすくなるような使い方をされた車両において測定されたLi析出抑制制御の実行頻度分布である。 セルの負極表面においてリチウムの析出が生じにくくなるような使い方をされた車両において測定されたLi析出抑制制御の実行頻度分布である。 車両のECUにより実行される処理の手順を説明するフローチャートである。 管理サーバにより実行される処理の手順を説明するフローチャートである。 図8の処理において生成されるリビルド情報によって示される適合セルを説明するための図である。 リチウムイオン二次電池におけるLiBOB添加量と負極表面の抵抗とリチウム析出耐性との関係を示す図である。 ユーザの車両の使い方を2区分に分類した変形例において生成されるリビルド情報によって示される適合セルを説明するための図である。 ユーザの車両の使い方を2区分に分類した変形例において、管理サーバにより実行される処理の手順を説明するフローチャートである。 実施例によるリビルド品と比較例によるリビルド品とについて、劣化前後での容量維持率を評価した結果を示した図である。 Li析出耐性指標として、LiBOB添加量、負極目付量、及び負極BETが採用された変形例において生成されるリビルド情報によって示される適合セルを説明するための図である。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
図1は、本開示の実施の形態における、電池パックの回収から製造・販売までの物流の一態様を示した図である。以下では、図1に示される物流の態様を「電池物流モデル」と称する。なお、本開示において「電池パックを製造する」とは、電池パックに含まれる複数のセルの少なくとも一部を交換用セルに交換して電池パックを製造することを意味する。交換用セルは、基本的には、回収された電池パックから取出される再利用可能なセルであるが、新品のセルであってもよい。
図1を参照して、この電池物流モデルは、回収業者31、検査業者32、性能回復業者33、電池パック製造業者34、販売店35、リサイクル業者36、及び以下に説明する電池管理システム(車両10、管理サーバ20等)によって構築される。
図2は、図1に示した電池物流モデルに適用される電池管理システムの構成例を示した図である。図2を参照して、電池管理システム1は、車両10と、管理サーバ20と、端末41〜45と、通信ネットワーク50とを備える。車両10、管理サーバ20、及び各端末41〜45は、インターネット或いは電話回線等の通信ネットワーク50を介して互いに通信可能に構成される。なお、車両10は、通信ネットワーク50の基地局51と無線通信によって情報の授受が可能に構成される。端末41、42、43、44、45は、それぞれ図1に示される回収業者31、検査業者32、性能回復業者33、電池パック製造業者34、販売店35の端末である。
再び図1を参照して、回収業者31は、車両60−1,60−2,60−3,・・・から使用済みの電池パックを回収する。車両60−1,60−2,60−3,・・・は、それぞれ電池パック62−1,62−2,62−3,・・・を搭載しており、各電池パックは、複数のセルを含んで構成される。また、回収業者31は、回収した電池パックを解体し、電池パックからセルを取出す。電池パックからのセルの取出しは、セル毎であってもよいし、いくつかのセルが纏められたモジュール毎であってもよい。
この電池物流モデルでは、セル毎に当該セルを特定するためのIDが付与されており、各セルの情報が管理サーバ20によって管理される。そして、回収業者31は、電池パックから取出された各セルのIDを、端末41を用いて管理サーバ20へ送信する。
検査業者32は、回収業者31によって回収された各セルの性能検査を行なう。具体的には、検査業者32は、回収されたセルの電気的特性を検査する。たとえば、検査業者32は、セルの容量、抵抗値、OCV(Open Circuit Voltage)、SOC(State Of Charge)等の電気的特性を検査する。そして、検査業者32は、検査結果に基づいて、再利用可能なセルと再利用不可能なセルとを分別し、再利用可能なセルについては性能回復業者33へ引き渡し、再利用不可能なセルについてはリサイクル業者36へ引き渡す。なお、各セルの検査結果は、検査業者32の端末42を用いて管理サーバ20へ送信される。
性能回復業者33は、検査業者32によって再利用可能とされたセル(交換用セル)の性能を回復させるための処理を行なう。一例として、性能回復業者33は、過放電状態までセルを放電させたり、過充電状態までセルを充電したりすることによって、セルの容量を回復させる。なお、検査業者32による検査において性能低下が小さいと判断されたセルについては、性能回復業者33による性能回復処理を省略してもよい。各セルの性能回復結果は、性能回復業者33の端末43を用いて管理サーバ20へ送信される。
電池パック製造業者34は、性能回復業者33によって性能が回復されたセルを用いて電池パックの製造を行なう。この実施の形態では、電池パック製造業者34は、電池パックを製造するための情報を、端末44を用いて管理サーバ20から取得し、その取得された情報に従って電池パックを製造する。
詳しくは、この実施の形態では、車両10に搭載される電池パックのリビルド品を製造するためのリビルド情報が管理サーバ20において生成され、電池パック製造業者34の端末44へ送信される。電池パック製造業者34は、そのリビルド情報に従って、車両10の電池パックに含まれる複数のセルの少なくとも一部を、性能回復業者33により性能が回復されたセル(交換用セル)に交換して、車両10の電池パックのリビルド品を製造する。
販売店35は、電池パック製造業者34によって製造された電池パックを車両用として販売したり、住宅等で利用可能な定置用として販売したりする。この実施の形態では、車両10が販売店35に持ち込まれ、販売店35において、車両10の電池パックが電池パック製造業者34により製造されたリビルド品に交換される。
リサイクル業者36は、検査業者32によって再利用不可能とされたセルを解体し、新たなセルやその他製品の原料として利用するための再資源化を行なう。
車両10は、電池パック(図示せず)を搭載し、この電池物流モデルにおいて電池パックのリビルド(再構築)が行なわれる車両である(以下では、車両10を「対象車両」と称する場合がある)。上述のように、この実施の形態では、車両10に搭載された電池パックに含まれる複数のセルの少なくとも一部を交換用セルに交換して車両10用の電池パックがリビルドされる。
詳細は後述するが、概略的には、車両10に搭載される電池パック内の組電池の使用履歴情報が車両10から管理サーバ20へ送信され、管理サーバ20に蓄積される。また、管理サーバ20は、電池パックを搭載した車両60−1,60−2,・・・から回収された電池パック62−1,62−2,・・・に含まれる再利用可能なセルの情報を蓄積する。
電池パックの交換を希望する車両10(対象車両)のユーザが販売店35へ車両10を引き渡すと、販売店35の端末45から管理サーバ20へ車両10を特定するための情報が送信される。管理サーバ20は、蓄積されている車両10の組電池の使用履歴情報と、再利用可能なセルの情報とを参照して、車両10に搭載される電池パックのリビルド品を構成するためのリビルド情報を生成する。生成されたリビルド情報は、管理サーバ20から電池パック製造業者34の端末44へ送信され、電池パック製造業者34において、性能回復された再利用可能なセルの中からリビルド情報に基づくセルが選択されて、車両10の電池パックのリビルド品が製造される。製造されたリビルド品は、車両10が持ち込まれた販売店35へ配送され、販売店35において、車両10の電池パックがリビルド品に交換される。
なお、上記では、回収業者31、検査業者32、性能回復業者33、電池パック製造業者、及び販売店35は、互いに個別の業者としたが、業者の区分はこれに限定されるものではない。たとえば、検査業者32と性能回復業者33とが一の業者であってもよい。或いは、回収業者31は、電池パックを回収する業者と、回収された電池パックを解体する業者とに分かれていてもよい。また、上記各業者及び販売店の各拠点は限定されない。各業者及び販売店の各拠点は別々であってもよいし、複数の業者或いは販売店が同一拠点にあってもよい。
図3は、図2に示した車両10、管理サーバ20、及び電池パック製造業者34の端末44の構成を詳細に示した図である。
図3を参照して、管理サーバ20は、情報処理装置210と、通信装置220と、再利用品データベース(DB)230と、電池情報データベース(DB)240とを含む。
再利用品DB230は、回収業者31により回収された中古の電池パック62−1,62−2,・・・(図1)に含まれ、かつ、検査業者32により再利用可能とされたセルの情報(以下、「交換用セル情報」と称する)を、各セルを特定するIDと紐付けて蓄積する。交換用セル情報は、初期のセル情報(たとえば、出荷時に格納されるトレーサビリティデータ)と、使用後のセル情報とを含む。セルのトレーサビリティデータは、各セルのリチウム析出耐性の程度を示す指標(電極のBET比表面積、目付量、LiBOB添加量等)を含む。使用後のセル情報は、たとえば、検査業者32によって各セルの性能評価を実施することで収集され、各セルのリチウム析出耐性の程度を示す上記指標を含む。
電池情報DB240は、車両10に搭載された電池パック110の情報(以下、「対象電池パック情報」と称する)を、車両10を特定するIDと紐付けて記憶する。対象電池パック情報は、電池パック110の初期情報(たとえば、出荷時に格納されるトレーサビリティデータ)と、車両10から定期的に受信する電池パック110の情報(たとえば、電池パック110の使用履歴情報)とを含む。
情報処理装置210は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、各種信号を入出力するための入出力ポート等を含んで構成される(いずれも図示せず)。情報処理装置210は、電池パック110のリビルドを行なう車両10を特定するための情報を販売店35の端末45から通信装置220により受信すると、電池情報DB240に記憶された対象電池パック情報と、再利用品DB230に記憶された交換用セル情報とを用いて、電池パック110のリビルドを行なうためのリビルド情報を生成する。そして、情報処理装置210は、生成されたリビルド情報を通信装置220により電池パック製造業者34の端末44へ送信する。なお、リビルド情報を生成するための具体的な処理の詳細については、後ほど説明する。
車両10は、電池パック110と、電池監視ユニット112と、電力制御ユニット(PCU:Power Control Unit)120と、モータジェネレータ(MG:Motor Generator)130と、駆動輪140と、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)150と、記憶部160(たとえば、不揮発性メモリ)と、通信装置170と、通信線180とを含む。ECU150、記憶部160、及び通信装置170は、通信線180によって接続され、互いに情報を送受可能に構成されている。
車両10は、電池パック110に蓄えられた電力を動力に変換し、その動力によって走行可能に構成される。車両10は、エンジン(内燃機関)を備えない電気自動車であってもよいし、エンジン(図示せず)を備えてエンジンから出力される動力によっても走行可能に構成されるハイブリッド車両であってもよい。電池パック110に蓄えられた電力は、MG130によって駆動輪140を駆動するための動力に変換される。
電池パック110は、複数のセルにより構成される組電池を含んで構成され、たとえば複数のリチウムイオン二次電池が直列及び/又は並列に接続された組電池を含んで構成される。組電池に含まれる各セル(リチウムイオン二次電池)の構成の詳細については、後ほど説明する。
電池監視ユニット112は、種々のセンサを含み、電池パック110の状態を監視するように構成される。電池監視ユニット112は、たとえば、電圧センサ、電流センサ、及び温度センサを含む。電圧センサは、電池パック110内の組電池の電圧を検出し、その検出値をECU150へ出力する。電流センサは、電池パック110内の組電池の電流を検出し、その検出値をECU150へ出力する。温度センサは、電池パック110内の組電池の温度を検出し、その検出値をECU150へ出力する。ECU150は、電池監視ユニット112の出力に基づいて組電池の状態(温度、電流、SOC等)を検出することができる。なお、SOCは、蓄電残量を示し、たとえば、満充電状態の蓄電量に対する現在の蓄電量の割合を0〜100%で表わしたものである。SOCの算出方法は任意であり、電流値積算(クーロンカウント)による手法や、開放電圧(OCV)の推定による手法等を採用できる。
MG130は、回転電機であって、たとえば三相交流モータジェネレータである。MG130は、PCU120によって駆動され、駆動輪140を回転させる。また、MG130は、車両10の制動時等に回生発電を行なうことも可能である。MG130により発電された電力は、PCU120により整流されて電池パック110に充電される。
PCU120は、インバータ及びコンバータを含んで構成され(いずれも図示せず)、ECU150からの駆動信号に従ってMG130を駆動する。PCU120は、MG130の力行駆動時は、電池パック110から供給された直流電力を交流電力に変換してMG130へ供給し、MG130の回生駆動時(車両10の制動時等)は、MG130が発電した電力を整流して電池パック110へ供給する。
ECU150は、CPU、メモリ、入出力ポート等を含んで構成される(いずれも図示せず)。ECU150は、各センサから受ける信号、並びにメモリに記憶されたマップ及びプログラムに基づいて、車両10が所望の状態となるように各機器を制御する。ECU150は、PCU120等を制御することにより、車両10の走行制御や電池パック110の充放電制御を実行する。
ECU150は、電池パック110の充電電力の上限値を示す入力制限Winと、電池パック110の放電電力の上限値を示す出力制限Woutとに基づいて、電池パック110の入出力電力を制御するように構成される。ECU150は、電池パック110への入力電力が入力制限Winを超えないように、電池パック110への入力電力の制限処理を実行する。また、ECU150は、電池パック110からの出力電力が出力制限Woutを超えないように、電池パック110からの出力電力の制限処理を実行する。これらの制限処理は、PCU120等が制御されることにより行なわれる。入力制限Win及び出力制限Woutは、たとえば記憶部160に記憶されている。入力制限Win及び出力制限Woutの各々の数値は、ECU150によって変更できる。
なお、後述するLi析出抑制制御が実行されていない場合には制限値SWinが入力制限Winに設定される。他方、Li析出抑制制御が実行されると、制限値SWinよりも小さい制限値cWinが入力制限Winに設定される。入力制限Winの値が小さいほど、電池パック110に対する充電電力の制限が強い(すなわち、制限量が大きい)ことを意味する。
この実施の形態では、車両10に搭載される電池パック110内の組電池を形成するためのセルとして、以下に示す電解液式リチウムイオン二次電池を採用する。
セルは、たとえば角型の電池ケースの内部に電極体が収容されて構成される。電極体は、正極と負極とがセパレータを介して積層され、その積層体が捲回されることにより形成されている。電解液は、正極、負極、及びセパレータ等に保持されている。
正極は、正極集電体(たとえば、アルミニウム箔)と、正極活物質層とを含む。たとえば正極活物質、バインダ、及び導電助剤を含有する正極合材を正極集電体の表面に塗工することにより、正極集電体の両面に正極活物質層が形成される。また、負極は、負極集電体(たとえば、銅箔)と、負極活物質層とを含む。たとえば負極活物質、バインダ、及び導電助剤を含有する負極合材を負極集電体の表面に塗工することにより、負極集電体の両面に負極活物質層が形成される。
正極、負極、セパレータ、及び電解液には、リチウムイオン二次電池の正極、負極、セパレータ、及び電解液として公知の構成及び材料をそれぞれ用いることができる。一例として、正極活物質には、リチウム含有ニッケルコバルトマンガン複合酸化物(コバルト酸リチウムの一部がニッケル及びマンガンにより置換された三元系の材料)を用いることができる。負極活物質には、炭素系材料(たとえば、ソフトカーボン又はハードカーボン)を用いることができる。セパレータには、ポリオレフィン(たとえば、ポリエチレン又はポリプロピレン)を用いることができる。電解液には、有機溶媒(たとえば、DMC(dimethyl carbonate)とEMC(ethyl methyl carbonate)とEC(ethylene carbonate)との混合溶媒)と、リチウム塩(たとえば、LiPF)と、LiBOB(lithium bis(oxalate)borate)とを含む溶液を用いることができる。
なお、セル(リチウムイオン二次電池)の構成は上記に限定されず、適用される車両の構成や用途等に応じて変更可能である。たとえば、電極体が捲回構造ではなく積層構造を有するものであってもよい。また、角型の電池ケースに限られず、円筒型又はラミネート型の電池ケースも採用可能である。また、電解液に代えて、ポリマー系電解質を用いてもよいし、酸化物系、硫化物系などの無機系固体電解質を用いてもよい。
リチウムイオン二次電池では、リチウムが電荷担体となる。より具体的には、セルの充電時においては負極活物質にリチウムが挿入され、セルの放電時においては負極活物質からリチウムが脱離する。こうしたセルの充放電が繰り返し行なわれると、セルの負極表面にリチウムが析出することがある。特に、ハイレートでの充電、高充電状態(高SOC)からの充電、長時間の継続充電、及び電池抵抗が高い状態(たとえば、電池温度が低い状態)での充電が、セルの負極表面におけるリチウム析出を促進する傾向がある。
セルの負極表面にリチウムが析出すると、セル容量が低下する。図4は、リチウムイオン二次電池の負極表面におけるリチウム析出量と、初期状態(使用開始直後)を基準としたリチウムイオン二次電池の容量低下量との関係を示す図である。
図4を参照して、リチウムイオン二次電池の負極表面におけるリチウム析出量と、初期状態を基準としたリチウムイオン二次電池の容量低下量とは、直線k10で示されるような関係を有する。すなわち、負極表面におけるリチウム析出量が多くなるほど電池容量は低下する。
車両10において、電池パック110内の組電池を構成するセルの負極表面でリチウム析出が生じて組電池の容量が低下すると、EV航続距離(電池パック110の電力のみを使用して車両10が走行できる距離)が低下する。
車両10では、セルの負極表面におけるリチウム析出を抑制するために、ECU150がLi析出抑制制御を実行するように構成される。所定のLi析出抑制条件が成立した場合に、ECU150によってLi析出抑制制御が実行される。Li析出抑制制御が実行されることにより、セルの負極表面におけるリチウム析出を抑制するための制限値cWinが入力制限Winに設定される。入力制限Winに制限値cWinが設定されることによって、リチウム析出が生じない電力(=制限値cWin)までセルの充電電力(入力電力)が制限される。この実施の形態に係るLi析出抑制制御は、本開示に係る「Li析出抑制処理」の一例に相当する。
Li析出抑制条件は、たとえば、組電池のSOCと、組電池の温度と、組電池の継続充電による電流積算値とによって定められる。入力制限Winに制限値SWinが設定された状態ではリチウム析出が生じ得る場合にLi析出抑制条件が成立し、入力制限Winに制限値SWinが設定された状態でもリチウム析出が生じない場合にはLi析出抑制条件は成立しない。たとえば、組電池において、ハイレートでの充電、高SOCからの充電、長時間の継続充電、又は温度が低い状態での充電が行なわれる場合には、セルの負極表面にリチウムが析出しやすくなるため、Li析出抑制条件が成立する。Li析出抑制条件が成立した場合には、ECU150が、Li析出抑制制御を実行することにより、電池パック110に対する充電電力の制限を強めて、セルの負極表面におけるリチウム析出を抑制する。
制限値cWinは、組電池の状態に応じて変更されてもよい。たとえば、組電池のSOCと、組電池の温度と、組電池の継続充電による電流積算値と、制限値cWinとの関係を示す情報(以下、「cWin取得情報」と称する)を、予め実験等によって求めて記憶部160に格納してもよい。そして、ECU150は、cWin取得情報を参照して、組電池のSOCと、組電池の温度と、組電池の継続充電による電流積算値とに基づいて求められた制限値cWinでLi析出抑制制御を行なってもよい。cWin取得情報は、マップでもテーブルでも数式でもモデルでもよい。また、cWin取得情報は、複数のマップ等を組み合わせて構成されていてもよい。
ところで、車両の使い方(ひいては、車両に搭載される組電池の使い方)は、ユーザによって異なる。セルの負極表面におけるリチウム析出の生じやすさは、組電池の使い方によって変わる。ユーザ毎の車両の使い方の違いを考慮せずに組電池のリビルドを行なうと、必ずしもユーザに合ったリビルド品が得られるとは限らない。たとえば、セルの負極表面でリチウム析出が生じやすくなるような車両の使い方をするユーザについては、電池性能の低下(電池容量の低下等)、上記Li析出抑制制御の実行頻度の増加、セルの交換頻度の増加などを招くおそれがある。
そこで、この実施の形態に係る電池管理システム1では、情報処理装置210(電池情報処理装置)が、Li析出抑制制御の実行履歴を用いてリビルド情報(交換情報)を生成するように構成される。Li析出抑制制御の実行履歴には、ユーザの車両10の使い方が反映される。
図5は、セルの負極表面においてリチウムの析出が生じやすい使い方(第1の使い方)をされた車両において、一走行で測定されたLi析出抑制制御の実行頻度分布である。図6は、セルの負極表面においてリチウムの析出が生じにくい使い方(第2の使い方)をされた車両において、一走行で測定されたLi析出抑制制御の実行頻度分布である。
図5及び図6において、横軸の「Win制限量」は、Li析出抑制制御が実行されることによって制限されるセルの充電電力を示しており、より特定的には、制限値SWinと制限値cWinとの差(絶対値)である。Li析出抑制制御が実行されている場合にはWin制限量が0よりも大きくなる。Li析出抑制制御におけるWin制限量が大きいことは、電池パック110に対する充電電力の制限が強いことを意味する。縦軸の「頻度」は、一走行で取得された全データ数(Win制限量0の度数を含む全度数)におけるWin制限量毎の度数の割合(相対度数)を示している。周期的にWin制限量毎の度数をカウント(積算)することによって、Win制限量毎の度数が得られる。そして、得られた度数を全データ数(度数の合計)で除算することによって相対度数が求められる。
図5及び図6を参照して、Win制限量が0よりも大きい領域の頻度が、Li析出抑制制御の実行頻度を示している。図5中の面積S1と図6中の面積S2とは、Win制限量が0よりも大きい領域の累積相対度数(すなわち、一走行においてLi析出抑制制御が実行されていた期間の割合)を示している。図5及び図6に示されるように、面積S2(線k2の積分値)よりも面積S1(線k1の積分値)のほうが大きくなっている。
また、線k2で示される頻度分布のピーク頻度値D2よりも、線k1で示される頻度分布のピーク頻度値D1のほうが大きくなっている。また、線k1で示される頻度分布では、線k2で示される頻度分布と比べて、Win制限量が大きい領域におけるLi析出抑制制御の実行頻度が高くなっている。
上記のように、リチウム析出が生じやすい使い方(第1の使い方)をされた車両では、Li析出抑制制御が頻繁に実行されたり、Li析出抑制制御が高い強度(すなわち、大きなWin制限量)で実行されたりする。他方、リチウム析出が生じにくい使い方(第2の使い方)をされた車両では、第1の使い方をされた車両と比べて、Li析出抑制制御の実行頻度や強度が低くなる。このため、Li析出抑制制御の実行履歴に基づいて、ユーザの車両10の使い方によるリチウム析出の生じやすさを判定することができる。たとえば、図5及び図6に示されるようなLi析出抑制制御の実行頻度分布において、Win制限量が0よりも大きい領域の累積相対度数が大きい場合には、リチウム析出が生じやすい使い方で車両10が使用されたと判定することができる。また、後述する全走行におけるWin制限頻度Dw(図8参照)が大きい場合にも、リチウム析出が生じやすい使い方で車両10が使用されたと判定することができる。
再び図3を参照して、車両10のECU150は、電池パック110の使用履歴情報を生成して記憶部160に蓄積し、記憶部160から電池パック110の使用履歴情報を定期的に読み出して通信装置170により管理サーバ20へ送信する。管理サーバ20は、通信装置220により電池パック110の使用履歴情報を受信する。車両10から送られてくる電池パック110の使用履歴情報にはLi析出抑制制御の実行履歴が含まれている。情報処理装置210は、車両10から取得したLi析出抑制制御の実行履歴を用いてリビルド情報を生成する。そして、管理サーバ20は、生成したリビルド情報を、通信装置220により電池パック製造業者34の端末44へ送信する。電池パック製造業者34は、管理サーバ20から取得したリビルド情報に従って交換用セルの中から適合セルを選択し、適合セルを用いて電池パック110のリビルド品を製造する。
情報処理装置210は、Li析出抑制制御の実行履歴を用いて、ユーザの車両10の使い方についてリチウム析出の生じやすさを判定し、その判定結果に基づいてリビルド情報を生成する。情報処理装置210において生成されるリビルド情報は、リチウム析出耐性の程度を示すLi析出耐性指標により分類されたセルのうちいずれのセルが適合セルであるかを示す。リチウム析出が生じやすい使い方であるほどリチウム析出耐性の高いセルが適合セルとして選ばれる。
電池パック製造業者34の端末44(電池製造支援装置)は、通信装置71と、制御部72と、表示部73とを含む。通信装置71は、リビルド情報を管理サーバ20から取得する。制御部72は、取得されたリビルド情報に従って交換用セルの中から適合セルを選択し、選択された適合セルの情報を表示部73に表示させる。電池パック製造業者34は、表示部73に表示された適合セルの情報に基づいて、車両10の電池パック110のリビルド品を製造する。
たとえば、Li析出耐性指標によって2つのセル区分にセルを分類する場合には、リチウム析出耐性の高いセル区分(以下、「第1セル区分」と称する)とリチウム析出耐性の低いセル区分(以下、「第2セル区分」と称する)とのいずれに属するかによってセルが分類される。そして、ユーザの車両10の使い方についてLi析出抑制制御の実行履歴からリチウム析出が生じやすいと判定された場合には、第1セル区分に属するセルが適合セルであることを示すリビルド情報が情報処理装置210によって生成される。こうしたリビルド情報に従ってリチウム析出耐性の高いセルで組電池の製造を行なうことにより、長期にわたってセルの負極表面におけるリチウム析出を抑制し、組電池の容量を高く維持することが可能になる。また、ユーザの車両10の使い方についてLi析出抑制制御の実行履歴からリチウム析出が生じにくいと判定された場合には、第2セル区分に属するセルが適合セルであることを示すリビルド情報が情報処理装置210によって生成される。こうしたリビルド情報に従って第2セル区分に属するセルで組電池の製造を行なうことで、組電池の容量を長期にわたって高く維持しつつ、さらに別のメリットを享受することが可能になる。たとえば、第2セル区分に属するセルが大容量化に適しているセルであれば、そうしたセルで組電池の製造を行なうことにより大容量の組電池が得られる。また、第2セル区分に属するセルが内部抵抗の低いセルであれば、車両10の走行性(ドライバビリティや動力性能等)を向上させることが可能になる。また、第2セル区分に属するセルが安価なセルであれば、そうしたセルで組電池の製造を行なうことによりコスト面で有利になる。このように、情報処理装置210によれば、ユーザ毎の車両10の使い方の違いを考慮して適切な交換用セルにより組電池を製造するためのリビルド情報を提供することが可能になる。
図7は、車両10のECU150により実行される処理の手順を説明するフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、車両10の走行中に実行される。より具体的には、車両10のイグニッションスイッチ(図示せず)がオンされることによって開始される。
図7を参照して、ECU150は、Li析出抑制制御におけるWin制限量を取得する(ステップS10)。実行中のLi析出抑制制御で用いられている制限値cWinと、Li析出抑制制御が実行されていないときの入力制限Winの値(=制限値SWin)との差(絶対値)が、Win制限量に相当する。なお、Li析出抑制制御が実行されていない場合にはWin制限量が0になる。
次いで、ECU150は、上記ステップS10で取得したWin制限量によって、記憶部160内のWin制限度数分布を更新する(ステップS20)。より具体的には、Win制限度数分布では、横軸に、Win制限量の大きさに応じて複数の区間(階級)が設けられ、縦軸が、横軸に設けられた区間毎の度数を示す。ステップS20では、ステップS10で取得されたWin制限量の大きさに対応する区間の度数が1加算(カウントアップ)される。
ステップS30では、ECU150が、車両10の走行が終了したか否かを判断する。より具体的には、イグニッションスイッチがオフされた場合に車両10の走行が終了したと判断される。すなわち、この実施の形態では、イグニッションスイッチがオンされた時点(走行開始時)からイグニッションスイッチがオフされた時点(走行終了時)までの期間が、一走行に相当する。
ステップS30において車両10の走行が終了していない(ステップS30においてNO)と判断されている間はステップS10〜S20の処理が所定の演算周期で繰り返し実行される。ステップS10〜S20の処理が繰り返し実行されることにより、Win制限量毎の発生度数を示す度数分布(すなわち、Win制限度数分布)が作成され、記憶部160に保存される。
他方、ステップS30において車両10の走行が終了したと判断された場合(ステップS30においてYES)には、ECU150が、一走行(すなわち、走行開始時から走行終了時までの期間)においてLi析出抑制制御が実行されていた期間の割合(以下、「一走行におけるWin制限頻度Dx」、又は単に「Dx」と称する場合がある)を求めて、記憶部160に保存する(ステップS40)。ステップS30において一走行が終了したと判断された時点(走行終了時)においては、その一走行で作成されたWin制限度数分布が記憶部160に保存されている。このWin制限度数分布において、Win制限量が0よりも大きい領域の累積度数(Li析出抑制制御の累積実行度数)を、Win制限量0の度数を含む全度数(一走行で取得された全データ数)で除算することにより、一走行におけるWin制限頻度Dxを求めることができる。
ECU150は、上記一走行で得た電池パック110(ひいては、組電池)の使用履歴情報を記憶部160に蓄積する(ステップS50)。電池パック110の使用履歴情報は、ステップS10〜S20によって作成されたWin制限度数分布及びそのデータ数(一走行で取得された全データ数)と、ステップS40において取得された一走行におけるWin制限頻度Dxとを含む。これらWin制限度数分布及びそのデータ数と一走行におけるWin制限頻度Dxとは、本開示に係る「Li析出抑制処理の実行履歴」の一例に相当する。また、電池パック110の使用履歴情報は、車両10の積算走行距離、及び電池パック110の使用時間をさらに含んでいてもよい。
そして、ECU150は、記憶部160に蓄積された電池パック110の使用履歴情報を記憶部160から読み出し、通信装置170によって管理サーバ20へ送信する(ステップS60)。車両10から管理サーバ20へ送信された電池パック110の使用履歴情報(一走行におけるWin制限頻度Dx等)は、電池情報DB240(図3)に格納される。ECU150は、一走行が終了するたびに電池パック110の使用履歴情報を管理サーバ20へ送信する。ただしこれに限られず、ECU150が電池パック110の使用履歴情報を管理サーバ20へ送信するタイミングは任意である。複数回の走行のデータがまとめて管理サーバ20へ送信されてもよい。複数回の走行のデータは、1回目走行,2回目走行,・・・のように、走行ごとに区別されていてもよい。
図8は、管理サーバ20により実行される処理の手順を説明するフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、電池パック110の交換を行なう車両10(対象車両)を特定するための情報が販売店35の端末45から管理サーバ20へ送信されることにより実行される。
図8を参照して、管理サーバ20(情報処理装置210)は、対象車両(車両10)の上記情報を販売店35の端末45から受信する(ステップS110)。次いで、管理サーバ20は、対象車両(車両10)の組電池(電池パック110)の使用履歴情報を電池情報DB240から取得する(ステップS120)。すなわち、管理サーバ20は、端末45から受信する情報によって特定される対象車両(車両10)の組電池(電池パック110)の使用履歴情報を電池情報DB240から取得する。
次いで、管理サーバ20は、電池情報DB240から取得した車両10の電池パック110の使用履歴情報(走行ごとのDx等)を用いて、車両10の全走行期間のうちLi析出抑制制御が実行されていた期間の割合(以下、「全走行におけるWin制限頻度Dw」、又は単に「Dw」と称する場合がある)を取得する(ステップS130)。
全走行におけるWin制限頻度Dwは、たとえば全走行のデータ(より特定的には、Li析出抑制処理の実行履歴)を用いて一走行あたりのLi析出抑制制御の実行頻度を算出した値である。より具体的には、全走行におけるWin制限頻度Dwは、たとえば全走行のDxの平均値である。ただしこれに限られず、全走行のDxの平均値に代えて、全走行のDxの中央値を用いてもよい。また、全走行におけるWin制限頻度Dwは、全走行におけるLi析出抑制制御の累積実行度数を、全走行で取得された全データ数で除算した値であってもよい。
ステップS141及びS142において、管理サーバ20は、ステップS130で取得した全走行におけるWin制限頻度Dwに基づいて、リビルド(セルの交換)に適した適合セルが以下に説明するセルA〜Cのいずれであるかを判断する。そして、ステップS151〜S153では、セルA〜Cのいずれかが選択され、選択されたセルでリビルドを行なうためのリビルド情報が生成される。
図9は、ステップS151〜S153で生成されるリビルド情報によって示される適合セルを説明するための図である。この実施の形態では、Li析出耐性指標によって3つのセル区分(セル区分A〜C)にセルが分類され、リビルド情報によっていずれのセル区分に属するセルが適合セルであるかが示される。この実施の形態では、リチウムイオン二次電池の電解液中のLiBOB(添加剤)の量(以下、「LiBOB添加量」と称する)を、Li析出耐性指標として採用する。セルのLiBOB添加量が多いほどそのセルのリチウム析出耐性は高いと判定される。以下、セル区分A、B、Cに属するセルを、それぞれセルA、B、Cと称する。
セルAは、LiBOB添加量が大(多い)の要件を満たすセルである。セルBは、LiBOB添加量が中(標準的)の要件を満たすセルである。セルCは、LiBOB添加量が小(少ない)の要件を満たすセルである。LiBOB添加量が少ないほうから順に並べると、セルC、セルB、セルAとなる。各セル区分のLiBOB添加量の数値範囲は、この関係を満たす限りにおいて任意に設定できる。
なお、LiBOB添加量に関する上記セル区分別の要件に加えて、セル区分A〜Cに共通の要件を設定してもよい。たとえば、セルの所定の部位が、電池パック110内の組電池を構成するセルに対応する材料で形成されていること(たとえば、負極活物質が炭素系材料であり、電解液が有機溶媒とリチウム塩とLiBOBとを含む溶液であること)を、セル区分A〜Cに共通の要件としてもよい。
本願発明者は、リチウムイオン二次電池のLiBOB添加量が多くなるほど、リチウムイオン二次電池の負極表面にリチウムが析出しにくくなることを見出した。具体的には、リチウムイオン二次電池の負極表面に電解液由来の被膜が形成されると、負極表面の電気抵抗(以下、単に「抵抗」と称する)が増加する。リチウムの析出は負極表面の高抵抗部分で生じやすいため、負極表面の抵抗増加はリチウムの析出を促進する。本願発明者は、LiBOB添加量を増やすことで、負極に対する電解液由来の被膜の形成を抑制できることを見出した。LiBOB由来の被膜が負極表面に形成されても負極表面の抵抗増加は小さいため、LiBOB添加量を増やすことで、負極表面の抵抗増加が抑制され、負極表面におけるリチウムの析出が抑制される。
図10は、リチウムイオン二次電池におけるLiBOB添加量と負極表面の抵抗とリチウム析出耐性(Li析出耐性)との関係を示す図である。図10を参照して、線k20で示されるように、LiBOB添加量を増やすほど負極表面の抵抗が低下し、リチウム析出耐性が高くなる傾向がある。なお、各セルが同じ条件で同じ期間使用された場合、リチウム析出耐性が低いセルほど、負極表面におけるリチウム析出量が多くなる。このため、リチウム析出耐性が低いセルほど、リチウム析出によるセル容量の低下量が大きくなる。
上記のような原理により、LiBOB添加量が多くなるほどリチウム析出耐性が高くなると考えられる。図9に示されるセルA〜Cをリチウム析出耐性が高いほうから順に並べると、セルA(Li析出耐性:高)、セルB(Li析出耐性:中)、セルC(Li析出耐性:低)となる。
再び図8を参照して、ステップS141において、管理サーバ20は、ステップS130で取得したDwがしきい値Th2よりも大きいか否かを判定する。しきい値Th2は、たとえば市場解析データに基づいて設定できる。この実施の形態では、しきい値Th2を50%とする。以下、しきい値Th2を、単に「Th2」と称する場合がある。
DwがTh2よりも大きいと判定されると(ステップS141においてYES)、管理サーバ20は、セルA(図9)でリビルドを行なうためのリビルド情報を生成する(ステップS151)。詳しくは、管理サーバ20は、再利用品DB230に格納されている交換用セル情報(初期のセル情報、又は使用後のセル情報)を参照して、リビルドに使用するセルを、リビルド品を生成するために必要な数だけ選択する。この際、セルAに該当するセルが優先的に選択される。好ましくは、セルAに該当するセルのみを選択する。このように、ステップS151では、セルAが適合セルであることを示すリビルド情報が生成される。
他方、ステップS141においてDwがTh2以下であると判定されると(ステップS141においてNO)、管理サーバ20は、ステップS130で取得したDwがしきい値Th1よりも大きいか否かを判定する(ステップS142)。しきい値Th1は、Th2よりも小さい数値であり、たとえば市場解析データに基づいて設定できる。この実施の形態では、しきい値Th1を5%とする。以下、しきい値Th1を、単に「Th1」と称する場合がある。
DwがTh1よりも大きいと判定されると(ステップS142においてYES)、管理サーバ20は、セルB(図9)でリビルドを行なうためのリビルド情報を生成する(ステップS152)。詳しくは、管理サーバ20は、再利用品DB230に格納されている交換用セル情報を参照して、リビルドに使用するセルを、リビルド品を生成するために必要な数だけ選択する。この際、セルBに該当するセルが優先的に選択される。好ましくは、セルBに該当するセルのみを選択する。このように、ステップS152では、セルBが適合セルであることを示すリビルド情報が生成される。
他方、ステップS142においてDwがTh1以下であると判定されると(ステップS142においてNO)、管理サーバ20は、セルC(図9)でリビルドを行なうためのリビルド情報を生成する(ステップS153)。詳しくは、管理サーバ20は、再利用品DB230に格納されている交換用セル情報を参照して、リビルドに使用するセルを、リビルド品を生成するために必要な数だけ選択する。この際、セルCに該当するセルが優先的に選択される。好ましくは、セルCに該当するセルのみを選択する。このように、ステップS153では、セルCが適合セルであることを示すリビルド情報が生成される。
なお、ステップS151〜S153において、管理サーバ20が、再利用品DB230を参照して、適合セル(S151:セルA、S152:セルB、S153:セルC)に該当するセルの在庫が不十分であると判断した場合には、所定の基準に基づき他のセルを選択してリビルド情報の生成を行なってもよいし、適合セルの数が不足している旨を示す情報をリビルド情報に追加してもよい。
また、ステップS151〜S153において、管理サーバ20が、再利用品DB230を参照して、適合セルに該当するセルの在庫が十分であると判断した場合には、適合セルに該当するセルの中から、セル(リビルドに使用するセル)をランダムに選択してもよいし、所定の要件(たとえば、ユーザの要望を考慮した要件)を満たすセルを優先的に選択してもよい。
そして、ステップS151〜S153のいずれかにおいてリビルド情報が生成されると、管理サーバ20は、生成されたリビルド情報に従うリビルド品の生成指令を電池パック製造業者34の端末44へ送信する(ステップS160)。これにより、電池パック製造業者34によって、車両10に搭載される電池パック110のリビルド品が生成される。このようなリビルド情報に従うリビルド品は、車両10のユーザに合った特性を有するものとなる。さらに、管理サーバ20は、生成されたリビルド情報を、車両10が引き渡された販売店35の端末45へ送信する(ステップS170)。
組電池の製造(組電池の少なくとも一部のセル交換)のタイミングは任意であり、新車の購入(車両10の買い替え)時であってもよいし、新しい電池パックの購入時であってもよいし、定期的なメンテナンスのタイミングであってもよい。また、管理サーバ20が、電池パック110の使用履歴情報(たとえば、車両10の積算走行距離、電池パック110の使用時間等)に基づいて適切なセル交換タイミングを求め、そのタイミングになった時点でユーザに通知してもよい。
上記実施の形態に従う電池管理システム1では、情報処理装置210が、車両10で使用された電池パック110のLi析出抑制処理の実行履歴(Dx、Dw等)を取得し(ステップS120及びS130)、取得したLi析出抑制処理の実行履歴を用いてリビルド情報を生成する。そして、生成されたリビルド情報に従ってリビルド品が生成される。より具体的には、Dwが大きい場合には、リチウム析出耐性が高いセル(セルA)を用いてリビルド品を生成し(ステップS151)、Dwが中程度の場合には、リチウム析出耐性が中程度のセル(セルB)を用いてリビルド品を生成し(ステップS152)、Dwが小さい場合には、リチウム析出耐性が低いセル(セルC)を用いてリビルド品を生成する(ステップS153)。
上記のようにリビルド品を生成することで、セルの負極表面にリチウム析出が生じやすい電池パック110の使い方をするユーザには、リチウム析出耐性に優れたリビルド品を提供できる。また、セルの負極表面にリチウム析出が生じにくい電池パック110の使い方をするユーザには、リチウム析出耐性以外の点で優れたリビルド品を提供できる。たとえば、ステップS153で選択されるセルCは、内部抵抗の低いセルである。詳しくは、LiBOB添加量が多くなるほどセルの内部抵抗が高くなる傾向がある。内部抵抗の低いセルCを用いて製造された組電池を車両10に搭載することにより、車両10の走行性(ドライバビリティや動力性能等)を向上させることが可能になる。このように、電池管理システム1では、ユーザ毎の車両10の使い方の違いを考慮して適切な交換用セルが選択される。
上記実施の形態においては、ユーザの車両10の使い方を3区分(Dw:大、Dw:中、Dw:小)に分類し、ユーザに合った適切な交換用セル(セルA〜Cのいずれか)を選択している。2区分よりも3区分の方が、交換用セルの適合度が高くなる。ただし、2区分を採用しても一定の効果は奏される。
図11は、ユーザの車両の使い方を2区分に分類した変形例において生成されるリビルド情報(交換情報)によって示される適合セルを説明するための図である。図12は、ユーザの車両の使い方を2区分に分類した変形例において、管理サーバ20により実行される処理の手順を説明するフローチャートである。
図12を参照して、この変形例では、図8の処理の代わりに図12の処理が実行される。管理サーバ20は、図8のステップS110〜S130に準ずるステップS210〜S230を実行する。次に、管理サーバ20は、ステップS240で、リビルド(セルの交換)に適した適合セルが、図11に示されるセルA(LiBOB添加量:大、Li析出耐性:高)及びセルB(LiBOB添加量:小、Li析出耐性:低)のいずれであるかを判断する。ステップS251及びS252では、セルA及びBのいずれかが選択され、選択されたセルでリビルドを行なうためのリビルド情報が生成される。ステップS240、S251、S252ではそれぞれ、図8のステップS142、S152、S153に準ずる処理が行なわれる。次いで、管理サーバ20は、図8のステップS160、S170に準ずるステップS260、S270を実行する。
上記のように、ユーザの車両の使い方を2区分(Dw:大、Dw:小)に分類した場合にも、ユーザ毎の車両の使い方の違いを考慮して適切な交換用セルが選択される。これにより、車両のユーザに合った特性を有するリビルド品が生成される。
図13は、実施例によるリビルド品と比較例によるリビルド品とについて、劣化前後での容量維持率を評価した結果を示している。
実施例に従う電池管理システムは、前述した図7の処理及び図12の処理を実行するものであった。図12の処理では、Th1を50%とした。他方、比較例に従う電池管理システムは、図12のステップS251及びS252のいずれにおいてもセルBが選択される点のみが、実施例に従う電池管理システムとは異なるものであった。
セルの負極表面にリチウム析出が生じやすい使い方(より特定的には、Dwが50%よりも高くなるような使い方)をされた組電池について、実施例及び比較例の各々のシステムにおいて生成されたリビルド情報に従うリビルド品をそれぞれ生成し、各リビルド品について、劣化前後での容量維持率を評価した。評価においては、リビルド品に所定の耐久試験を行い、耐久試験前のリビルド品の容量に対する耐久試験後のリビルド品の容量の比率(容量維持率)を測定した。
図13を参照して、比較例によるリビルド品の容量維持率(68.2%)よりも実施例によるリビルド品の容量維持率(74.1%)のほうが高かった。この結果から、比較例によるリビルド品よりも実施例によるリビルド品のほうが長寿命であることが理解される。
上記実施の形態では、Li析出耐性指標としてLiBOB添加量を採用している。しかしこれに限られず、リチウム析出耐性の程度を示す任意のパラメータを、Li析出耐性指標として使用することができる。たとえば、負極表面においてリチウム析出が生じやすいリチウムイオン二次電池(たとえば、負極活物質が炭素系材料であるリチウムイオン二次電池)をセルとする場合には、LiBOB添加量に代えて、負極の目付量(以下、「負極目付量」と称する)、又は負極のBET比表面積(以下、「負極BET」と称する)を使用してもよい。セルの負極目付量が多くなるほどセルのリチウム析出耐性が高くなる傾向がある。また、セルの負極BETが大きくなるほどセルのリチウム析出耐性が高くなる傾向がある。なお、目付量は、単位面積あたりの活物質量である。また、BET比表面積は、BET法によって測定される比表面積である。
Li析出耐性指標として複数のパラメータを採用してもよい。たとえば、LiBOB添加量と負極目付量と負極BETとのうち2つ以上をLi析出耐性指標として採用してもよい。
図14は、Li析出耐性指標として、LiBOB添加量、負極目付量、及び負極BETが採用された変形例において生成されるリビルド情報(交換情報)によって示される適合セルを説明するための図である。
図14を参照して、この変形例では、LiBOB添加量、負極目付量、及び負極BETに基づいて、リチウム析出耐性(より特定的には、セルの負極表面におけるリチウム析出に対する耐性)の程度を示す総合評価点を算出する。算出された総合評価点によって5つのセル区分(セル区分A〜E)にセルが分類され、リビルド情報によっていずれのセル区分に属するセルが適合セルであるかが示される。
総合評価点は、たとえば次のように算出される。LiBOB添加量の評価では、LiBOB添加量が多くなるほど高い点数が付けられる。たとえば、LiBOB添加量の大きさを3つに分けて、小(点数0)、中(点数1)、大(点数2)のように、点数(LiBOB添加量の評価点)が付けられる。また、負極目付量の評価では、負極目付量が多くなるほど高い点数が付けられる。たとえば、負極目付量の大きさを2つに分けて、小(点数0)、大(点数1)のように、点数(負極目付量の評価点)が付けられる。また、負極BETの評価では、負極BETが大きくなるほど高い点数が付けられる。たとえば、負極BETの大きさを2つに分けて、小(点数0)、大(点数1)のように、点数(負極BETの評価点)が付けられる。上記のようなLiBOB添加量の評価点と負極目付量の評価点と負極BETの評価点との合計点を、総合評価点とする。
総合評価点4、3、2、1、0のセルが、それぞれセル区分A、B、C、D、Eに属するセル(すなわち、セルA、B、C、D、E)に相当する。具体的には、総合評価点4のセル−1は、セルAに該当する。総合評価点3のセル−2〜セル−4は、セルBに該当する。総合評価点2のセル−5〜セル−8は、セルCに該当する。総合評価点1のセル−9〜セル−11は、セルDに該当する。総合評価点0のセル−12は、セルEに該当する。総合評価点が高いセルほどリチウム析出耐性が高いと判定される。セルA〜Eをリチウム析出耐性が高いほうから順に並べると、セルA、セルB、セルC、セルD、セルEとなる。
この変形例では、ユーザの車両の使い方が5区分(Dw:極大、Dw:大、Dw:中、Dw:小、Dw:極小)に分類され、ユーザの車両の使い方に応じて生成されたリビルド情報によってセルA〜Eのいずれが適合セルであるかが示される。これにより、車両のユーザに合った特性を有するリビルド品が生成される。
上記実施の形態では、電池パック110の使用履歴情報(Li析出抑制処理の実行履歴等)が、定期的に車両10から管理サーバ20へ送信されている。しかしこれに限られず、電池パック110の使用履歴情報を車両10に蓄積し、車両10が販売店35に持ち込まれた際に販売店35の端末45に車両10が接続されることによって、車両10に蓄積された電池パック110の使用履歴情報が端末45から管理サーバ20へ送信されるようにしてもよい。
上記実施の形態では、管理サーバ20がDwを算出している。しかしこれに限られず、車両10においてDwを算出し、算出されたDwが管理サーバ20へ送信されるようにしてもよい。
交換情報(上記実施の形態では、リビルド情報)の生成を、管理サーバ20ではなく、図2に示した端末41〜45のいずれか、又は別途設けられた端末において行なうようにしてもよい。また、車両10のECU150が交換情報の生成を行なってもよい。
交換情報の生成に用いられるLi析出抑制処理の実行履歴(以下、「交換情報生成指標」と称する)は、全走行におけるWin制限頻度Dwに限られない。たとえば、全走行ではなく、直近1年分のデータに基づいて、1年間のうちLi析出抑制制御が実行されていた期間の割合を求め、この割合を交換情報生成指標として用いてもよい。また、直近の走行のDxを、交換情報生成指標として用いてもよい。また、Li析出抑制制御の実行頻度分布(図5及び図6参照)におけるピーク頻度値に相関するパラメータを、交換情報生成指標として用いてもよい。
Li析出抑制処理の強度(たとえば、Win制限量)を考慮した交換情報生成指標を用いてもよい。たとえば、交換情報生成指標は、Win制限量が所定値よりも大きいLi析出抑制制御の実行頻度に相関するパラメータであってもよい。また、交換情報生成指標は、Win制限度数分布における度数とWin制限量との乗算値(度数×Win制限量)に相関するパラメータであってもよい。
Li析出抑制処理は、組電池の充電電力制限に限られず任意であり、たとえば組電池の温度を制御するなどして、セルの電極表面におけるリチウム析出を抑制してもよい。
車両に搭載された組電池を構成するセル(リチウムイオン二次電池)の構成は、適宜変更可能である。組電池を構成するリチウムイオン二次電池は全固体電池であってもよい。ただし、本開示に係る電池情報処理装置は、電極表面においてリチウム析出が生じやすいリチウムイオン二次電池を含んで構成される組電池の製造に適している。たとえば、負極活物質が酸化物系材料(LTO(チタン酸リチウム)等)であるリチウムイオン二次電池では、負極表面においてリチウム析出が生じにくい。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 電池管理システム、10,60−1〜60−3 車両、20 管理サーバ、31 回収業者、32 検査業者、33 性能回復業者、34 電池パック製造業者、35 販売店、36 リサイクル業者、41〜45 端末、50 通信ネットワーク、51 基地局、62−1〜62−3,110 電池パック、71 通信装置、72 制御部、73 表示部、112 電池監視ユニット、120 PCU、130 MG、140 駆動輪、150 ECU、160 記憶部、170,220 通信装置、180 通信線、210 情報処理装置、230 再利用品DB、240 電池情報DB。

Claims (3)

  1. 複数のセルを含んで構成される組電池を製造するための情報を処理するサーバであって、
    当該サーバは、
    車両で使用された前記組電池の使用履歴情報を取得する取得部と、
    交換用セルから前記セルの交換に適した適合セルを選択するための交換情報を生成する生成部と
    前記交換用セルに関する交換用セル情報を蓄積するデータベースとを備え、
    前記セルは、リチウムイオン二次電池であり、
    前記車両においては、所定の実行条件が成立した場合に前記セルの電極表面におけるリチウム析出を抑制するためのLi析出抑制処理が実行され、
    前記組電池の使用履歴情報は、前記Li析出抑制処理の実行履歴を含み、
    前記交換情報は、前記リチウム析出に対する耐性の程度を示す所定の指標により複数のセル区分に分類された前記交換用セルのうちいずれのセル区分に属するセルが前記適合セルであるかを示し、
    前記複数のセル区分は、第1セル区分と、前記リチウム析出に対する耐性が前記第1セル区分よりも低い第2セル区分とを含み、
    前記生成部は、
    前記Li析出抑制処理の実行履歴を用いて、ユーザの前記車両の使い方について判定し、
    第1の使い方と判定された場合には、前記交換用セル情報を参照して、前記交換用セルから前記第1セル区分に属するセルを前記適合セルとして優先的に選択する前記交換情報を生成し、
    前記第1の使い方よりも前記リチウム析出が生じにくい第2の使い方と判定された場合には、前記交換用セル情報を参照して、前記交換用セルから前記第2セル区分に属するセルを前記適合セルとして優先的に選択する前記交換情報を生成し、
    当該サーバは、前記車両から前記組電池の使用履歴情報を受信し、前記生成部によって生成された前記交換情報を外部の端末へ送信するように構成されるサーバ
  2. 前記所定の指標は、LiBOB添加量であり、
    前記LiBOB添加量が多いセルほど前記リチウム析出に対する耐性が高いセル区分に分類される、請求項1に記載のサーバ。
  3. 請求項1又は2に記載のサーバと、電池パック製造業者の端末とを備える、電池管理システムであって、
    前記サーバは、前記生成部によって生成された前記交換情報を前記電池パック製造業者の端末へ送信し、
    前記電池パック製造業者の端末は、
    前記サーバから前記交換情報を取得する取得部と、
    前記取得部によって取得された前記交換情報に従って前記交換用セルの中から前記適合セルを選択する選択部と、
    を備える、電池管理システム。
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