以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
(ロボット手術システムの構成)
図1および図2を参照して、一実施形態によるロボット手術システム100の構成について説明する。
図1に示すように、ロボット手術システム100は、遠隔操作装置10と、患者側装置20と、を備えている。遠隔操作装置10は、患者側装置20に設けられた医療器具(medical equipment)を遠隔操作するために設けられている。患者側装置20によって実行されるべき動作態様指令が術者(surgeon)である操作者Oにより遠隔操作装置10に入力されると、遠隔操作装置10は、動作態様指令をコントローラ26を介して患者側装置20に送信する。そして、患者側装置20は、遠隔操作装置10から送信された動作態様指令に応答して、ロボットアーム21aに取り付けられた手術器具(surgical instrument)40、ロボットアーム21bに取り付けられた内視鏡50等の医療器具を操作する。これにより、低侵襲手術が行われる。
患者側装置20は、患者Pに対して手術を行うインターフェースを構成する。患者側装置20は、患者Pが横たわる手術台30の傍らに配置される。患者側装置20は、複数のロボットアーム21aおよび21bを有し、このうち1つのロボットアーム21bに内視鏡50が取り付けられ、その他のロボットアーム21aに手術器具40が取り付けられる。各ロボットアーム21aおよび21bは、プラットホーム23に共通に支持されている。複数のロボットアーム21aおよび21bは、各々、複数の関節を有し、それぞれの関節には、サーボモータを含む駆動部と、エンコーダ等の位置検出器とが設けられている。ロボットアーム21aおよび21bは、コントローラ26を介して与えられた駆動信号によりロボットアーム21aおよび21bに取り付けられた医療器具が所望の動作を行うように制御されるように構成されている。
プラットホーム23は、手術室の床の上に載置されたポジショナ22に支持されている。ポジショナ22は、鉛直方向に調整可能な昇降軸を有する柱部24が、車輪を備え床面を移動可能なベース25に連結されている。
ロボットアーム21aには、先端部に医療器具としての手術器具40が着脱可能に取り付けられる。手術器具40は、ロボットアーム21aに取り付けられるハウジング43(図4参照)と、細長形状のシャフト42(図4参照)と、シャフト42の先端部に設けられたエンドエフェクタ41(図4参照)とを備えている。エンドエフェクタ41として、例えば、把持鉗子、シザーズ、フック、高周波ナイフ、スネアワイヤ、クランプ、ステイプラーが挙げられるがこれに限られるものではなく、各種の処置具を適用することができる。患者側装置20を用いた手術において、ロボットアーム21aは、患者Pの体表に留置したカニューラ(トロッカ)を介して患者Pの体内に手術器具40を導入する。そして、手術器具40のエンドエフェクタ41は、手術部位の近傍に配置される。
ロボットアーム21bには、先端部に医療器具としての内視鏡50が着脱可能に取り付けられる。内視鏡50は、患者Pの体腔内を撮影するものであり、撮影した画像は、遠隔操作装置10に対して出力される。内視鏡50として、3次元画像を撮影することができる3D内視鏡若しくは2D内視鏡が用いられる。患者側装置20を用いた手術において、ロボットアーム21bは、患者Pに体表に留置したトロッカを介して患者Pの体内に内視鏡50を導入する。そして、内視鏡50が手術部位の近傍に配置される。
遠隔操作装置10は、操作者Oとのインターフェースを構成する。遠隔操作装置10は、ロボットアーム21aおよび21bに取り付けられた医療器具を操作者Oが操作するための装置である。すなわち、遠隔操作装置10は、操作者Oによって入力された手術器具40および内視鏡50によって実行されるべき動作態様指令をコントローラ26を介して患者側装置20へ送信可能に構成されている。遠隔操作装置10は、たとえば、マスタの操作をしながらも患者Pの様子がよく見えるように手術台30の傍らに設置される。なお、遠隔操作装置10は、例えば動作態様指令を無線で送信するようにし、手術台30が設置された手術室とは別室に設置することも可能である。
手術器具40によって実行されるべき動作態様とは、手術器具40の動作(一連の位置及び姿勢)及び手術器具40個別の機能によって実現される動作の態様である。たとえば、手術器具40が把持鉗子である場合には、手術器具40によって実行されるべき動作態様とは、エンドエフェクタ41の手首のロール回転位置及びピッチ回転位置と、ジョーの開閉を行う動作である。また、手術器具40が高周波ナイフである場合には、手術器具40によって実行されるべき動作態様とは、高周波ナイフの振動動作、具体的には高周波ナイフに対する電流の供給であり得る。また、手術器具40がスネアワイヤである場合には、手術器具40によって実行されるべき動作態様とは、束縛動作および束縛状態の解放動作であり得る。また、バイポーラやモノポーラに電流を供給することによって手術対象部位を焼き切る動作であり得る。
内視鏡50によって実行されるべき動作態様とは、たとえば、内視鏡50先端の位置及び姿勢、又はズーム倍率の設定である。
遠隔操作装置10は、図1および図2に示すように、操作ハンドル11と、操作ペダル部12と、表示部13と、制御装置14と、を備えている。
操作ハンドル11は、ロボットアーム21aおよび21bに取り付けられた医療器具を遠隔で操作するために設けられている。具体的には、操作ハンドル11は、医療器具(手術器具40、内視鏡50)を操作するための操作者Oによる操作を受け付ける。操作ハンドル11は、水平方向に沿って2つ設けられている。つまり、2つの操作ハンドル11のうち一方の操作ハンドル11は、操作者Oの右手により操作され、2つの操作ハンドル11のうち他方の操作ハンドル11は、操作者Oの左手により操作される。
また、操作ハンドル11は、遠隔操作装置10の後方側から、前方側に向かって延びるように配置されている。操作ハンドル11は、所定の3次元の操作領域内で動かすことができるように構成されている。すなわち、操作ハンドル11は、上下方向、左右方向、および前後方向に動かすことができるように構成されている。
遠隔操作装置10と患者側装置20とは、ロボットアーム21aおよびロボットアーム21bの動作の制御においては、マスタスレーブ型のシステムを構成する。すなわち、操作ハンドル11は、マスタスレーブ型のシステムにおけるマスタ側の操作部を構成し、医療器具が取り付けられたロボットアーム21aおよびロボットアーム21bはスレーブ側の動作部を構成する。そして、操作ハンドル11を操作者Oが操作すると、操作ハンドル11の動きをロボットアーム21aの先端部(手術器具40のエンドエフェクタ41)またはロボットアーム21bの先端部(内視鏡50)がトレースして移動するようにロボットアーム21aまたはロボットアーム21bの動作が制御される。
また、患者側装置20は、設定された動作倍率に応じてロボットアーム21aの動作を制御するよう構成されている。たとえば、動作倍率が1/2倍に設定されている場合、手術器具40のエンドエフェクタ41は、操作ハンドル11の移動距離の1/2の移動距離を移動するよう制御される。これによって、精細な手術を精確に行うことができる。
操作ペダル部12は、医療器具に関する機能を実行するための複数のペダルを含んでいる。複数のペダルは、凝固ペダルと、切断ペダルと、カメラペダルと、クラッチペダルと、を含んでいる。また、複数のペダルは、操作者Oの足により操作される。
凝固ペダルは、手術器具40を用いて手術部位を凝固させる操作を行うことができる。具体的には、凝固ペダルは、操作されることにより、手術器具40に凝固用の電圧が印加されて、手術部位の凝固が行われる。切断ペダルは、手術器具40を用いて手術部位を切断させる操作を行うことができる。具体的には、切断ペダルは、操作されることにより、手術器具40に切断用の電圧が印加されて、手術部位の切断が行われる。
カメラペダルは、体腔内を撮像する内視鏡50の位置及び姿勢を操作するために用いられる。具体的には、カメラペダルは、内視鏡50の操作ハンドル11による操作を有効にする。つまり、カメラペダルが押されている間は、操作ハンドル11により内視鏡50の位置および姿勢を操作することが可能である。たとえば、内視鏡50は、左右の操作ハンドル11の両方を用いることにより操作される。具体的には、左右の操作ハンドル11の中間点を中心に左右の操作ハンドル11を回動させることにより、内視鏡50が回動される。また、左右の操作ハンドル11を共に押し込むことにより、内視鏡50が奥に進む。また、左右の操作ハンドル11を共に引っ張ることにより、内視鏡50が手前に戻る。また、左右の操作ハンドル11を共に上下左右に移動させることにより、内視鏡50が上下左右に移動する。
クラッチペダルは、ロボットアーム21aおよび21bと、操作ハンドル11との操作接続を一時切断し手術器具40の動作を停止させる場合に用いられる。具体的には、クラッチペダルが操作されている間は、操作ハンドル11を操作しても、患者側装置20のロボットアーム21aおよび21bが動作しない。たとえば、操作により操作ハンドル11が移動可能な範囲の端部近傍に来た場合に、クラッチペダルが操作されることにより、操作接続を一時切断して、操作ハンドル11を中央位置付近に戻すことができる。そして、クラッチペダルの操作を中止するとロボットアーム21aおよび21bと操作ハンドル11とが再び接続され、中央付近で操作ハンドル11の操作を再開することができる。
表示部13は、内視鏡50が撮像した画像を表示することができるものである。表示部13は、スコープ型表示部または非スコープ型表示部からなる。スコープ型表示部とは、たとえば、覗き込むタイプの表示部である。また、非スコープ型表示部とは、通常のパーソナルコンピュータのディスプレイのような覗き込むタイプではない平坦な画面を有する開放型の表示部を含む概念である。
スコープ型表示部が取り付けられた場合、患者側装置20のロボットアーム21bに取り付けられた内視鏡50により撮像された3D画像が表示される。非スコープ型表示部が取り付けられた場合にも、患者側装置20に設けられた内視鏡50により撮像された3D画像が表示される。なお、非スコープ型表示部が取り付けられた場合、患者側装置20に設けられた内視鏡50により撮像された2D画像が表示されてもよい。
図2に示すように、制御装置14は、例えば、CPU等の演算器を有する制御部141と、ROMおよびRAM等のメモリを有する記憶部142と、画像制御部143とを含んでいる。制御装置14は、集中制御する単独の制御装置により構成されていてもよく、互いに協働して分散制御する複数の制御装置により構成されてもよい。制御部141は、操作ハンドル11により入力された動作態様指令を、操作ペダル部12の切替状態に応じて、ロボットアーム21aによって実行されるべき動作態様指令であるか、または、内視鏡50によって実行されるべき動作態様指令であるかを判定する。そして、制御部141は、操作ハンドル11に入力された動作態様指令が手術器具40によって実行されるべき動作態様指令であると判断すると、動作態様指令をロボットアーム21aに対して送信する。これによって、ロボットアーム21aが駆動され、この駆動によってロボットアーム21aに取り付けられた手術器具40の動作が制御される。
また、制御部141は、操作ハンドル11に入力された動作態様指令が内視鏡50によって実行されるべき動作態様指令であると判定すると、当該動作態様指令をロボットアーム21bに対して送信する。これによって、ロボットアーム21bが駆動され、この駆動によってロボットアーム21bに取り付けられた内視鏡50の動作が制御される。
記憶部142には例えば手術器具40の種類に応じた制御プログラムが記憶されていて、取り付けられた手術器具40の種類に応じて制御部141がこれらの制御プログラムを読み出すことにより、遠隔操作装置10の操作ハンドル11及び/又は操作ペダル部12の動作指令が個別の手術器具40に適合した動作をさせることができる。
画像制御部143は、内視鏡50が取得した画像を表示部13に伝送する。画像制御部143は、必要に応じて画像の加工修正処理を行う。
(手術器具、アダプタ、ドレープおよびロボットアームの構成)
図3〜図12を参照して、一実施形態による手術器具40、アダプタ60、ドレープ70およびロボットアーム21aの構成について説明する。
図3〜図5に示すように、手術器具40は、ロボットアーム21aの後述する駆動部200と、アダプタ60とを備え、手術器具40を駆動するための駆動機構300に取り外し可能に接続される。具体的には、手術器具40は、ロボットアーム21aの駆動部200にアダプタ60を介して取り外し可能に接続される。アダプタ60は、ロボットアーム21aの駆動部200と、手術器具40との間に配置される。アダプタ60は、ドレープ70を保持するためのドレープアダプタである。これにより、アダプタ60を利用してドレープ70を保持することができる。ドレープ70は、ロボットアーム21aを覆うためのドレープであり、滅菌処理されている。アダプタ60は、ロボットアーム21aとの間にドレープ70を挟み込むように構成されている。
手術器具40は、Z2方向側に配置されたハウジング43の取付面40aがアダプタ60に取り付けられる。また、アダプタ60は、Z1方向側に配置された取付面60aに手術器具40が取り付けられる。また、アダプタ60は、Z2方向側に配置された取付面60bがロボットアーム21aの駆動部200に取り付けられる。また、ロボットアーム21aの駆動部200は、Z1方向側に配置された取付面21cにアダプタ60が取り付けられる。
ロボットアーム21aは、清潔区域において使用されるため、ドレープ70により覆われる。ここで、手術室では、手術により切開した部分および医療機器が病原菌や異物などにより汚染されることを防ぐため、清潔操作が行われる。この清潔操作においては、清潔区域および清潔区域以外の区域である汚染区域が設定される。手術部位は、清潔区域に配置される。操作者Oを含む手術チームのメンバーは、手術中、清潔区域に殺菌されている物体のみが位置するよう配慮し、かつ、汚染区域に位置している物体を清潔区域に移動させる場合は、この物体に滅菌処理を施す。同様に、操作者Oを含む手術チームのメンバーがその手を汚染区域に位置させたときは、清潔区域に位置している物体に直接接触する前に、手の滅菌処理を行う。清潔区域において用いられる器具は、滅菌処理が行われる、または、滅菌処理されたドレープ70により覆われる。
ドレープ70は、ロボットアーム21aを覆う本体部71と、ロボットアーム21aの駆動部200とアダプタ60との間に挟み込まれる取付部72とを備えている。本体部71は、フィルム状に形成された可撓性フィルム部材により構成されている。可撓性フィルム部材は、熱可塑性ポリウレタンやポリエチレンなどの樹脂材料からなっている。本体部71には、ロボットアーム21aの駆動部200とアダプタ60とが互いに係合可能なように、開口部が設けられている。本体部71の開口部には、開口部を塞ぐように取付部72が設けられている。取付部72は、樹脂成形部材により構成されている。樹脂成形部材は、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂材料からなる。取付部72は、本体部71に比べて硬く(撓みにくく)形成されている。取付部72は、ロボットアーム21aの駆動部200とアダプタ60とが互いに係合可能なように、開口部が設けられている。取付部72の開口部は、ロボットアーム21aの駆動部200とアダプタ60との係合する部分ごとに対応するように設けられていてもよい。また、取付部72の開口部は、ロボットアーム21aの駆動部200とアダプタ60との複数の係合する部分に対応するように設けられていてもよい。
手術器具40は、ハウジング43内に設けられ、Z方向に延びる回転軸線A1(図11参照)について回転可能に設けられた複数(4つ)の被駆動部材44(図5参照)を備えている。複数の被駆動部材44は、エンドエフェクタ41を操作(駆動)するために設けられている。たとえば、被駆動部材44は、シャフト42内に挿通されたワイヤやケーブルなどの細長要素(図示せず)により、エンドエフェクタ41と接続されている。これにより、被駆動部材44の回転に応じて細長要素が駆動されるとともに、細長要素の駆動に応じてエンドエフェクタ41が操作(駆動)される。また、たとえば、被駆動部材44は、ギヤ(図示せず)を介してシャフト42に接続されている。これにより、被駆動部材44の回転に応じてシャフト42が回転されるとともに、シャフト42の回転に応じてエンドエフェクタ41が回転操作される。
被駆動部材44は、ロボットアーム21aの駆動部200からの駆動力を伝達されるために、アダプタ60の後述する駆動伝達部材62と係合(嵌合)する係合凸部441を含んでいる。係合凸部441は、被駆動部材44のZ2方向側の表面からアダプタ60側(Z2方向側)に向かって突出するように設けられている。また、Y1方向側の被駆動部材44に設けられた係合凸部441と、Y2方向側の被駆動部材44に設けられた係合凸部441とは、互いに異なる形状を有している。Y1方向側の被駆動部材44に設けられた係合凸部441と、Y2方向側の被駆動部材44に設けられた係合凸部441とは、それぞれ、アダプタ60のY1方向側の駆動伝達部材62に設けられた後述する係合凹部621と、Y2方向側の駆動伝達部材62に設けられた後述する係合凹部621と対応する形状を有している。
アダプタ60は、本体部61と、本体部61にZ方向に延びる回転軸線A2(図6(A)参照)について回転可能に設けられた複数(4つ)の駆動伝達部材62とを備えている。本体部61および駆動伝達部材62は共に、樹脂材料により形成されている。本体部61は、Z方向に貫通する複数(4つ)の貫通孔611を含んでいる。複数の貫通孔611の各々には、駆動伝達部材62が回転軸線A2について回転可能に配置されている。駆動伝達部材62は、手術器具40の複数(4つ)の被駆動部材44に対応するように複数(4つ)設けられている。駆動伝達部材62は、ロボットアーム21aの駆動部200からの駆動力を手術器具40の被駆動部材44に伝達するように構成されている。駆動伝達部材62は、手術器具40の被駆動部材44の係合凸部441と係合(嵌合)する係合凹部621(図4参照)を含んでいる。係合凹部621は、駆動伝達部材62の手術器具40側(Z1方向側)に、駆動伝達部材62のZ1方向側の表面から手術器具40側とは反対側(Z2方向側、駆動部200側)に向かって窪むように形成されている。また、係合凹部621は、Y1方向側の駆動伝達部材62に設けられた係合凹部621と、Y2方向側の駆動伝達部材62に設けられた係合凹部621とを含んでいる。Y1方向側の駆動伝達部材62に設けられた係合凹部621と、Y2方向側の駆動伝達部材62に設けられた係合凹部621とは、互いに異なる形状を有している。
また、駆動伝達部材62は、ロボットアーム21aの駆動部200の後述する駆動部材201の係合凸部201bと係合(嵌合)する係合凹部622(図5参照)を含んでいる。係合凹部622は、駆動伝達部材62のロボットアーム21aの駆動部200側(Z2方向側)に、駆動伝達部材62のZ2方向側の表面からロボットアーム21aの駆動部200側とは反対側(Z1方向側、手術器具40側)に向かって窪むように形成されている。なお、複数の駆動伝達部材62は、Y1方向側の駆動伝達部材62に設けられた係合凹部621と、Y2方向側の駆動伝達部材62に設けられた係合凹部621とが互いに異なる形状を有していることを除いて、実質的に同様の構成を有している。
ロボットアーム21aは、手術器具40の被駆動部材44を駆動するための駆動部200を備えている。駆動部200は、手術器具40の被駆動部材44に与える駆動力を発生する。具体的には、駆動部200は、手術器具40の複数の被駆動部材44に対応するように設けられた、複数(4つ)の駆動部材201を含んでいる。駆動部材201は、駆動源であるモータを含むアクチュエータ201aと、アクチュエータ201aによりZ方向に延びる回転軸線A3(図8参照)について回転される係合凸部201bとを有している。係合凸部201bは、駆動部材201のZ1方向側の表面からアダプタ60側(Z1方向側)に向かって突出するように設けられている。また、係合凸部201bは、金属材料により形成されている。なお、駆動部材201の係合凸部201bの回転軸線A3と、アダプタ60の駆動伝達部材62の回転軸線A2と、被駆動部材44の回転軸線A1とは、同軸に配置されている。
(アダプタの駆動伝達部材に関する構成)
図6(A)(B)および図7〜図12に示すように、駆動伝達部材62は、上記した係合凹部621を有し、手術器具40の被駆動部材44と係合(嵌合)する第1部材623と、上記した係合凹部622を有し、ロボットアーム21aの駆動部200の駆動部材201と係合(嵌合)する第2部材624と、を含んでいる。第1部材623は、取付面60a側(Z1方向側)に配置されている。第2部材624は、取付面60b側(Z2方向側)に配置されている。また、第1部材623は、第2部材624と係合(嵌合)する係合凹部623aを有している。また、第2部材624は、ばね625を収容する収容凹部624aを有している。第1部材623と第2部材624とは、ばね625を間に挟んだ状態でZ方向に相対移動可能に係合している。また、第1部材623と第2部材624とは、アダプタ60の本体部61により、Z方向に相対移動可能に保持されている。なお、図6(A)および(B)では、Y1方向側の係合凹部621が設けられた駆動伝達部材62のみを示しているが、Y2方向側の係合凹部621が設けられた駆動伝達部材62も、Y1方向側の係合凹部621が設けられた駆動伝達部材62と同様の構成を有している。
第1部材623は、ばね625を介して第2部材624に対してZ方向に相対移動可能に設けられている。すなわち、第1部材623は、ばね625を介して第2部材624に対して手術器具40側(Z1方向側)および駆動部200側(Z2方向側)に相対移動可能に設けられている。これにより、ばね625を利用して第1部材623を第2部材624に対して容易に相対移動させることができる。また、手術器具40をアダプタ60に装着する際に、駆動伝達部材62の第1部材623をZ2方向側に窪むように移動させることができる。また、第2部材624は、ばね625を介して第1部材623に対してZ方向に相対移動可能に設けられている。すなわち、第2部材624は、ばね625を介して第1部材623に対して手術器具40側(Z1方向側)および駆動部200側(Z2方向側)に相対移動可能に設けられている。これにより、ばね625を利用して第2部材624を第1部材623に対して容易に相対移動させることができる。また、アダプタ60をロボットアーム21aの駆動部200に装着する際に、駆動伝達部材62の第2部材624をZ1方向側に窪むように移動させることができる。ばね625は、第1部材623をZ1方向側に付勢し、第2部材624をZ2方向側に付勢している。ばね625は、圧縮ばね(圧縮コイルばね)である。
また、第1部材623と第2部材624とは、Z方向に延びる回転軸線A2について一体的に回転するように構成されている。具体的には、第1部材623は、第2部材624と回転方向に係合するように、第2部材624と係合(嵌合)する係合凸部623bを有している。また、第2部材624は、第1部材623と回転方向に係合するように、第1部材623と係合(嵌合)する係合凹部624bを有している。係合凸部623bは、第1部材623の係合凹部623aの内周部から内側に突出するように設けられており、第2部材624の係合凹部624bと係合(嵌合)する。係合凹部624bは、第2部材624の外周部に内側に窪むように設けられており、第1部材623の係合凸部623bと係合(嵌合)する。また、第2部材624の係合凹部624bと第1部材623の係合凸部623bとは、ばね625を介して第1部材623または第2部材624がZ方向に移動した場合にも、互いの係合状態を維持するように設けられている。これにより、駆動伝達部材62は、ばね625を介して第1部材623または第2部材624がZ方向に移動した場合にも、第1部材623と第2部材624とが一体的に回転するように構成されている。
また、第2部材624は、係合凹部622内に設けられた貫通孔624cを有している。貫通孔624cは、第2部材624を、回転軸線A2が延びる方向である回転軸方向(Z方向)に貫通している。貫通孔624cは、回転軸方向から見て、略円形状を有している。第1部材623は、第2部材624の貫通孔624cにZ方向に挿入される挿入部623cを有している。挿入部623cは、回転軸方向に延びるように設けられている。挿入部623cは、略円柱形状を有している。第2部材624の貫通孔624cおよび第1部材623の挿入部623cは、共に、駆動伝達部材62の回転中心に設けられている。また、ばね625は、挿入部623cを取り囲むように設けられている。
また、第1部材623は、本体部61に対する接触部分である周縁部623dを有している。周縁部623dは、本体部61に接触することにより、貫通孔611における第1部材623のZ1方向側(手術器具40側)への移動を規制するように設けられている。具体的には、周縁部623dは、本体部61の貫通孔611のZ1方向側の開口縁部611aに、回転軸方向(Z方向)に接触するように設けられている。すなわち、第1部材623は、本体部61の貫通孔611の開口縁部611aにより、貫通孔611におけるZ1方向側への移動の限界位置が画定されている。開口縁部611aは、駆動伝達部材62の第1部材623に対するアダプタ60の本体部61の接触部分である。なお、周縁部623dは、特許請求の範囲の「第1接触部分」の一例である。
周縁部623dは、第1部材623の最外周部に、駆動伝達部材62の回転方向に沿って延びるように設けられている。また、周縁部623dは、本体部61の貫通孔611の開口縁部611aと回転軸方向(Z方向)に対向する平坦な面を有している。同様に、開口縁部611aは、周縁部623dと回転軸方向に対向する平坦な面を有している。周縁部623dと開口縁部611aとは、平坦な面同士が接触するように設けられている。
同様に、第2部材624は、本体部61に対する接触部分である周縁部624dを有している。周縁部624dは、本体部61に接触することにより、貫通孔611における第2部材624のZ2方向側(駆動部200側)への移動を規制するように設けられている。具体的には、周縁部624dは、本体部61の貫通孔611のZ2方向側の開口縁部611bに、回転軸方向(Z方向)に接触するように設けられている。すなわち、第2部材624は、本体部61の貫通孔611の開口縁部611bにより、貫通孔611におけるZ2方向側への移動の限界位置が画定されている。開口縁部611bは、駆動伝達部材62の第2部材624に対するアダプタ60の本体部61の接触部分である。
周縁部624dは、第2部材624の最外周部に、駆動伝達部材62の回転方向に沿って延びるように設けられている。また、周縁部624dは、本体部61の貫通孔611の開口縁部611bと回転軸方向(Z方向)に対向する平坦な面を有している。同様に、開口縁部611bは、周縁部624dと回転軸方向に対向する平坦な面を有している。周縁部624dと開口縁部611bとは、平坦な面同士が接触するように設けられている。
ここで、本実施形態では、図8に示すように、駆動機構300は、駆動部200の駆動部材201と駆動伝達部材62の第2部材624との係合時に、アダプタ60の本体部61に対する第1部材623の接触部分である周縁部623dにおいて発生する摩擦トルクT1が、駆動部200の駆動部材201に対する第2部材624の接触部分である端面624e(Z2方向側の端面)において発生する摩擦トルクT2よりも大きくなるように構成されている。
これにより、駆動部200の駆動部材201と駆動伝達部材62の第2部材624との係合時に、駆動部200の駆動部材201と駆動伝達部材62の第2部材624の端面624eとの間に摩擦トルクT2が働いたとしても、アダプタ60の本体部61と駆動伝達部材62の第1部材623の周縁部623dとの間に働く、摩擦トルクT2よりも大きい摩擦トルクT1により、駆動伝達部材62を動かないようにすることができる。その結果、駆動部200の駆動部材201と駆動伝達部材62の第2部材624との係合時に、駆動部200の駆動部材201と駆動伝達部材62の第2部材624との間の摩擦に起因して、駆動伝達部材62の連れ回りが発生することを抑制することができる。すなわち、駆動伝達部材62の連れ回りが発生した場合に、歯と歯とを当接させることにより駆動伝達部材62の連れ回りを停止させる場合と異なり、駆動伝達部材62の連れ回りが発生すること自体を抑制することができる。また、連れ回りを停止させるための歯を駆動伝達部材62に設ける必要がないので、駆動伝達部材62の構造が複雑化することを抑制することができる。これらの結果、駆動伝達部材62の構造が複雑化することを抑制しつつ、駆動伝達部材62の連れ回りが発生することを抑制して、駆動伝達部材62の第2部材624と駆動部200の駆動部材201とを確実に係合させることができる。なお、端面624eは、特許請求の範囲の「第2接触部分」の一例である。また、摩擦トルクT1は、特許請求の範囲の「第1摩擦トルク」の一例である。また、摩擦トルクT2は、特許請求の範囲の「第2摩擦トルク」の一例である。
摩擦トルクT1およびT2は、それぞれ、以下に示す式(1)および式(2)により表される。
T1=R1×μ1×F1 ・・・(1)
T2=R2×μ2×F2 ・・・(2)
ここで、
T1:周縁部623dにおいて発生する摩擦トルク
T2:端面624eにおいて発生する摩擦トルク
R1:摩擦トルクT1が発生する部分の接触半径
R2:摩擦トルクT2が発生する部分の接触半径
μ1:摩擦トルクT1が発生する部分の摩擦係数
μ2:摩擦トルクT2が発生する部分の摩擦係数
F1:摩擦トルクT1が発生する部分の垂直抗力
F2:摩擦トルクT1が発生する部分の垂直抗力
である。
より具体的には、本実施形態では、接触半径R1は、駆動伝達部材62の回転中心と、本体部61に対する周縁部623dの接触部分外側との間の距離である。すなわち、接触半径R1は、駆動伝達部材62の回転中心を中心とし、周縁部623dの接触部分外側を通る円の半径である。また、接触半径R2は、駆動伝達部材62の回転中心と、駆動部200の駆動部材201に対する端面624eの接触部分外側との間の距離である。すなわち、接触半径R2は、駆動伝達部材62の回転中心を中心とし、端面624eの接触部分外側を通る円の半径である。なお、接触半径R1は、特許請求の範囲の「第1接触半径」の一例である。また、接触半径R2は、特許請求の範囲の「第2接触半径」の一例である。
また、本実施形態では、摩擦係数μ1は、駆動伝達部材62の第1部材623の周縁部623dの摩擦係数である。具体的には、摩擦係数μ1は、本体部61側の接触部分である開口縁部611aと、第1部材623側の接触部分である周縁部623dとの間の摩擦係数である。また、摩擦係数μ2は、駆動伝達部材62の第2部材624の端面624eの摩擦係数である。具体的には、摩擦係数μ2は、駆動部200側の接触部分である後述する接触凸部201cと、第2部材624側の接触部分である端面624eとの間の摩擦係数である。
また、本実施形態では、垂直抗力F1は、第1部材623側の接触部分である周縁部623dが、本体部61側の接触部分である開口縁部611aを、回転軸方向の一方方向(Z1方向)に押す力である。また、垂直抗力F2は、第2部材624側の接触部分である端面624eが、駆動部200側の接触部分である接触凸部201cを、回転軸方向の他方方向(Z2方向)に押す力である。垂直抗力F1は、ばね625による第1部材623の付勢力を含んでおり、ばね625による第1部材623の付勢力に略等しい。同様に、垂直抗力F2は、ばね625による第2部材624の付勢力を含んでおり、ばね625による第2部材624の付勢力に略等しい。すなわち、垂直抗力F1およびF2は、互いに略等しい大きさを有している。
なお、ばね625による第1部材623(第2部材624)の付勢力は、重力に起因して発生する第1部材623(第2部材624)の垂直抗力よりも十分に大きい。このため、第1部材623または第2部材624のうちの一方の部材が鉛直下方に位置するために、鉛直下方に位置した部材において重力に起因した垂直抗力が発生したとしても、この重力に起因した垂直抗力については無視することができる。すなわち、第1部材623または第2部材624のうちの一方において、重力に起因した垂直抗力が発生したとしても、垂直抗力F1およびF2は、互いに略等しい大きさ(ばね625による付勢力に略等しい大きさ)である。
本実施形態では、駆動機構300は、接触半径R1が、接触半径R2よりも大きくなるように構成されている。これにより、摩擦トルクT1を摩擦トルクT2よりも確実に大きくすることができる。その結果、駆動伝達部材62の連れ回りが発生することを確実に抑制することができる。たとえば、接触半径R1は、接触半径R2の1.25倍以上である。これにより、摩擦係数μ1およびμ2にばらつきがある場合にも、摩擦トルクT1を摩擦トルクT2よりも確実に大きくすることができる。好ましくは、接触半径R1は、接触半径R2の2倍以上である。また、上記の通り、アダプタ60の本体部61に対する第1部材623の接触部分は、周縁部623dである。これにより、接触半径R1を大きくすることができる。その結果、駆動機構300を接触半径R1が、接触半径R2よりも大きくなるように容易に構成することができる。
また、本実施形態では、駆動部200の駆動部材201は、図8および図9に示すように、接触凸部201cを有している。また、第2部材624の端面624eは、接触凸部201cに対する第2部材624の接触部分である。これにより、接触半径R2を小さくすることができる。その結果、駆動機構300を接触半径R1が、接触半径R2よりも大きくなるように容易に構成することができる。接触凸部201cは、係合凸部201bにおいて、駆動伝達部材62の回転中心に近い側に設けられている。これにより、接触半径R2をより小さくすることができる。接触凸部201cは、駆動伝達部材62の回転中心に近い側の、係合凸部201bの端部に設けられている。接触凸部201cは、係合凸部201bの表面からアダプタ60側(Z1方向側)に向かって突出するように設けられている。
また、接触凸部201cの突出高さH1(図9参照)は、係合凸部201bの突出高さH2(図9参照)よりも小さい。これにより、接触凸部201cを設ける場合にも、接触凸部201cに起因して、第2部材624に対する係合凸部201bの係合量(嵌合量)が小さくなることを抑制することができる。なお、接触凸部201cの突出高さH1とは、たとえば、接触凸部201cの基端部(係合凸部201bの先端部)から接触凸部201cの先端部までの回転軸方向(Z方向)の距離である。同様に、係合凸部201bの突出高さH2とは、たとえば、係合凸部201bの基端部から係合凸部201bの先端部までの回転軸方向の距離である。
また、本実施形態では、駆動機構300は、摩擦係数μ1が、摩擦係数μ2よりも大きくなるように構成されている。これにより、摩擦トルクT1を摩擦トルクT2よりも大きくしやすくすることができる。その結果、駆動伝達部材62の連れ回りが発生することを抑制しやすくすることができる。たとえば、周縁部623dは、樹脂材料により形成されているとともに、本体部61の樹脂材料により形成されている開口縁部611aに対して接触するように設けられている。また、端面624eは、樹脂材料により形成されているとともに、駆動部200の金属材料により形成されている接触凸部201cに対して接触するように設けられている。これにより、摩擦係数μ1を小さくしつつ、摩擦係数μ2を大きくすることができる。
また、駆動機構300では、摩擦係数μ1が大きくなるように、表面加工が行われていてもよい。すなわち、周縁部623d、および、開口縁部611aのうちの少なくとも一方に、表面粗さが大きくなる表面加工が行われていてもよい。表面粗さが大きくなる表面加工は、たとえば、シボ加工などであり得る。同様に、駆動機構300では、摩擦係数μ2が小さくなるように、表面加工が行われていてもよい。すなわち、端面624e、および、接触凸部201cのうちの少なくとも一方に、表面粗さが小さくなる表面加工が行われていてもよい。表面粗さが小さくなる表面加工は、たとえば、フッ素樹脂コーティング加工、DLC(Diamond Like Carbon)コーティング加工などであり得る。
また、本実施形態では、図8および図12に示すように、第1部材623は、第2部材624が駆動部200の駆動部材201に係合していない状態(図8参照)で、アダプタ60の本体部61と周縁部623dとが接触するとともに、第2部材624が駆動部200の駆動部材201に係合し、かつ、第1部材623が手術器具40の被駆動部材44に係合した状態(図12参照)で、アダプタ60の本体部61と周縁部623dとが接触しない(接触が解除される)ように構成されている。これにより、手術器具40の駆動時には、アダプタ60の本体部61と周縁部623dとが接触しないので、アダプタ60の本体部61と周縁部623dとの接触に起因して、手術器具40の駆動が妨げられることを抑制することができる。
第1部材623は、第2部材624が駆動部200の駆動部材201に係合し、かつ、第1部材623が手術器具40の被駆動部材44に係合した状態で、被駆動部材44の係合凸部441により、駆動部200側(Z2方向側)に押されている。これにより、第1部材623は、アダプタ60の本体部61と周縁部623dとが接触しないように構成されている。第1部材623は、被駆動部材44の係合凸部441により、駆動部200側(Z2方向側)に押された状態で、アダプタ60の本体部61と周縁部623dとの間に、隙間623eを有している。
(アダプタおよび手術器具の装着)
次に、図8および図10〜図12を参照して、ロボットアーム21aの駆動部200へのアダプタ60の装着、および、アダプタ60への手術器具40の装着について説明する。患者側装置20では、ロボットアーム21aの駆動部200へアダプタ60が装着された後、駆動部200に装着されたアダプタ60へ手術器具40が装着される。なお、図8および図10〜図12では、理解の容易化のために、駆動部200の駆動部材201を簡略化して示している。同様に、図11および図12では、理解の容易化のために、手術器具40の被駆動部材44を簡略化して示している。
まず、図8および図10を参照して、ロボットアーム21aの駆動部200へのアダプタ60の装着について説明する。なお、ドレープ70の図示を省略しているが、ロボットアーム21aの駆動部200へのアダプタ60の装着は、駆動部200とアダプタ60との間にドレープ70を挟んだ状態で行われる。
図8は、ロボットアーム21aの駆動部200へアダプタ60が装着されたが、駆動部200の駆動部材201と、アダプタ60の駆動伝達部材62とが未係合である状態を示している。この状態では、駆動部200の駆動部材201の係合凸部201bの接触凸部201cにより、第2部材624の端面624eがZ1方向側(手術器具40側)に押されるため、第2部材624がばね625を介して第1部材623に対してZ1方向側に移動される。この際、第1部材623の周縁部623dと、アダプタ60の本体部61の貫通孔611の開口縁部611aとが回転軸方向(Z方向)に接触している。また、第2部材624の端面624eと、駆動部200の駆動部材201の係合凸部201bの接触凸部201cとが回転軸方向に接触している。
そして、駆動部材201の係合凸部201bの接触凸部201cにより第2部材624の端面624eがZ1方向側に押された状態で、駆動部材201が回転軸線A3について回転される。この際、第2部材624の端面624eと、駆動部200の駆動部材201の係合凸部201bの接触凸部201cとの間において、駆動伝達部材62を連れ回りさせようとする摩擦トルクT2が発生する。一方、第1部材623の周縁部623dと、アダプタ60の本体部61の貫通孔611の開口縁部611aとの間においては、摩擦トルクT2とは反対方向に働く摩擦トルクである摩擦トルクT1が発生する。摩擦トルクT1は、摩擦トルクT2よりも大きいため、駆動伝達部材62は、摩擦トルクT1により固定されて、回転方向に動かない。
そして、駆動部材201の係合凸部201bの接触凸部201cが、第2部材624の端面624e上を摺動されつつ、駆動部材201の係合凸部201bが回転軸線A3について回転される。そして、駆動部材201の係合凸部201bが第2部材624の係合凹部622と係合可能な位置まで回転移動されると、図10に示すように、第2部材624がばね625を介して第1部材623に対してZ2方向側(駆動部200側)に移動されるとともに、駆動部材201の係合凸部201bと、第2部材624の係合凹部622とが互いに係合される。これにより、駆動伝達部材62が駆動部材201による駆動力を受けることが可能になり、駆動伝達部材62が駆動部材201による駆動力により回転軸線A2について回転可能になる。
次に、図11および図12を参照して、アダプタ60への手術器具40の装着について説明する。
図11は、ロボットアーム21aの駆動部200に装着されたアダプタ60へ手術器具40が装着されたが、アダプタ60の駆動伝達部材62と、手術器具40の被駆動部材44とが未係合である状態を示している。この状態では、被駆動部材44の係合凸部441により、第1部材623がZ2方向側(駆動部200側)に押されるため、第1部材623がばね625を介して第2部材624に対してZ2方向側に移動される。
そして、被駆動部材44の係合凸部441により第1部材623がZ2方向側に押された状態で、駆動伝達部材62が駆動部材201により回転軸線A2について回転される。そして、駆動伝達部材62の第1部材623が、被駆動部材44の係合凸部441上を摺動されつつ、回転軸線A2について回転される。そして、駆動伝達部材62の第1部材623の係合凹部621が、被駆動部材44の係合凸部441と係合可能な位置まで移動されると、図12に示すように、第1部材623がばね625を介して第2部材624に対してZ1方向側(手術器具40側)に移動されるとともに、第1部材623の係合凹部621と、被駆動部材44の係合凸部441とが互いに係合される。これにより、被駆動部材44が駆動伝達部材62を介して駆動部材201による駆動力を受けることが可能になり、被駆動部材44が駆動伝達部材62を介した駆動部材201による駆動力により回転軸線A1について回転可能になる。この際、被駆動部材44の係合凸部441により、第1部材623の係合凹部621の底面部が、駆動部200側(Z2方向側)に押されている。これにより、第1部材623の周縁部623dと、アダプタ60の本体部61の貫通孔611の開口縁部611aとは接触しない。第1部材623の周縁部623dと、アダプタ60の本体部61の貫通孔611の開口縁部611aとの間には、隙間623eが形成されている。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、駆動機構が、接触半径R1(第1接触半径)が、接触半径R2(第2接触半径)よりも大きくなるように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、駆動機構は、第1摩擦トルクが第2摩擦トルクよりも大きくなるように構成されていれば、必ずしも第1接触半径が、第2接触半径よりも大きくなるように構成されていなくてもよい。
また、上記実施形態では、接触半径R1(第1接触半径)が、接触半径R2(第2接触半径)の1.25倍以上である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、駆動機構は、第1摩擦トルクが第2摩擦トルクよりも大きくなるように構成されていれば、第1接触半径が、第2接触半径の1.25倍未満であってもよい。
また、上記実施形態では、駆動機構が、摩擦係数μ1(第1接触部分の摩擦係数)が、摩擦係数μ2(第2接触部分の摩擦係数)よりも大きくなるように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、駆動機構は、第1摩擦トルクが第2摩擦トルクよりも大きくなるように構成されていれば、必ずしも第1接触部分の摩擦係数が、第2接触部分の摩擦係数よりも大きくなるように構成されていなくてもよい。
また、上記第実施形態では、アダプタの本体部に対する第1部材の接触部分(第1接触部分)が、第1部材の周縁部である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1接触部分が、第1部材の周縁部以外であってもよい。たとえば、第1接触部分が、第1部材の周縁部よりも内側の部分であってもよい。
また、上記実施形態では、駆動部が、接触凸部を有している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、駆動伝達部材の第2部材が、接触凸部を有していてもよい。図13に示す変形例では、駆動伝達部材162の第2部材1624が、接触凸部1624fを有している。接触凸部1624fは、駆動部200の駆動部材201の係合凸部201bに対する第2部材1624の接触部分である。これによっても、接触半径R2(図8参照)を小さくすることができる。接触凸部1624fは、端面624eにおいて、駆動伝達部材162の回転中心に近い側に設けられている。また、接触凸部1624fは、端面624eから駆動部200側(Z2方向側)に向かって突出するように設けられている。
また、上記実施形態では、駆動部の接触凸部が、駆動部の係合凸部において、駆動伝達部材の回転中心に近い側に設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、駆動部の接触凸部が、駆動部の係合凸部において、中央部分に設けられていてもよい。
また、上記実施形態では、第1部材が、第2部材が駆動部に係合し、かつ、第1部材が手術器具に係合した状態で、アダプタの本体部と周縁部(第1接触部分)とが接触しないように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、駆動伝達部材が回転し得る限り、第1部材が、第2部材が駆動部に係合し、かつ、第1部材が手術器具に係合した状態で、アダプタの本体部と第1接触部分とが接触するように構成されていてもよい。