JP6928417B2 - イオン放出機能性複合微粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
さらにイオン放出性ガラスの特徴であるイオン徐放による歯質強化等の効果を高いレベルで発現させるためには歯科材料に多くのイオン放出性ガラスを配合する必要がある、しかし、イオン放出性ガラスの配合量を高める程、歯科材料からのイオンの徐放量は増加するものの、その反面嵩高く、そして流動性も低下するため操作性が悪くなる等の課題も生じる結果となる。また、ペーストタイプの歯科材料への応用においてはイオン放出性ガラスの表面を3-メタクリロイルキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤で表面処理する事でラジカル重合性モノマーとの相溶性を向上させ、ペースト中にイオン放出性ガラスを高充填することが可能となる。しかし、シランカップリング剤による表面処理は疎水性効果が高まるために、イオン徐放が抑制される傾向にある等、これら相反する数々の課題を解決することが必要とされていた。
さらに本発明に用いるエチルメタクリレートポリマーやエチルメタクリレート−メチルメタクリレートのコポリマーは分子量や平均粒径(メジアン粒径)も含めて単独ではなく、複数を組み合わせて用いることもできる。
これらのメチルメタクリレートポリマーは単独だけでなく、異なる分子量や平均粒径(メジアン粒径)も含めて数種類のメチルメタクリレートポリマーを組み合わせて用いることもできる。
本発明に用いるイオン放出性ガラスは非晶質構造であるが、一部結晶質構造を含んでいても何等問題はなく、さらにそれらの非晶質構造を有するガラスと結晶構造を有するガラスの混合物であっても何等問題はない。ガラス構造が非晶質であるか否かの判断はX線回折分析や透過型電子顕微鏡等の分析機器を用いて行うことができる。その中でも本発明に用いるイオン放出性ガラスは外部環境におけるイオン濃度との平衡関係により各種イオンが徐放することから、均質な構造である非晶質構造であることが好ましい。
また一般式(I)で表されるシラン化合物の低縮合体であることがより好ましく、テトラメトキシシランおよびテトラエトキシシランを部分加水分解して縮合させた低縮合シラン化合物である。これらの化合物は単独または組み合わせて使用することができる。
このとき酸性ポリマー溶液の分散法は特に制限はないが、均一に分散できる滴下またはスプレー方式がより好ましく、その後熱処理を行う。得られた熱処理物は必要に応じて解砕を行い、本発明において最も好ましいイオン放出性ガラスを得ることができる。
本発明にて使用する懸濁液(スラリー液)の調製は以下に記載する手順が作業効率が高く好ましい。(1)水溶性アルコールと水の混合溶媒を調製する。(2)水溶性アルコール/水の混合溶媒に可溶なエチルメタクリレートポリマーおよび/またはエチルメタクリレート−メチルメタクリレートのコポリマーを(1)で調製した混合溶媒へ溶解し、高分子溶液を調製する。(3)イオン放出性ガラスを(2)にて調製した高分子溶液に分散させ、懸濁液(スラリー液)の調製する。(4)水溶性アルコール/水の混合溶媒に溶解しないメチルメタクリレートポリマーを(3)で調製した懸濁液(スラリー液)に分散させる。以上(1)から(4)の手順を踏む事で、本発明にて使用する懸濁液(スラリー液)の調製を効率的に行う事ができる。なお、(1)で調製される水溶性アルコール/水の混合溶媒中における水溶性アルコールの割合が50〜99%の範囲であることが好ましく、より好ましくは60〜90%の範囲であり、さらに好ましくは75〜85%の範囲である。水溶性アルコールの割合が50%以下または99%を超える場合にはエチルメタクリレートポリマーおよび/またはエチルメタクリレート−メチルメタクリレートのコポリマーが溶解しないためである。なお、(2)にて使用されるエチルメタクリレートポリマーおよび/またはエチルメタクリレート−メチルメタクリレートのコポリマーは最終的にイオン放出機能性微粒子のバインダー(結合材)として機能する。すなわち、水溶性アルコール/水の混合溶媒に溶解しないメチルメタクリレートポリマーとイオン放出性ガラスの粒子間に存在し、各々を結合する役割を担う。(3)と(4)の手順は入れ替えても大きな問題はないが、(4)にて使用するメチルメタクリレートポリマーは溶解しないものの、懸濁液(スラリー液)の調製完了後、高温下(40℃を超えるような夏場の作業室温下)の長期保存は若干の水溶性アルコールによる膨潤を認めるため、最終段階での分散がより好ましい。また、懸濁液(スラリー液)はニュートン流体ではないため一概に粘度のみで規定できないが、1000cP以下である事が好ましい。1000cP以上では次に続くスプレードライヤーによる噴霧乾燥時に糸曳きを生じやすいため適切ではない。また、懸濁液(スラリー液)の固形分濃度(スラリー濃度)は高すぎれば高粘度に近づき適切でなく、低すぎれば生産効率が低くかつメジアン粒径が著しく小さくなるため適切ではない。なお、(3)と(4)の工程で使用する分散機器は特に限定されないが、回転式攪拌装置や超音波分散装置等が好適である。
前述した懸濁液(スラリー液)の調製手順に従い調製した懸濁液(スラリー液)はスプレードライヤーに送液・噴霧乾燥され、球状のイオン放出機能性微粒子が製造される。この工程では、(1)ポンプによるスプレードライヤーへの送液、(2)スプレードライヤートマイザーの回転数制御、(3)入口乾燥温度の制御が主な制御要因となる。以下各項目が最終生成物であるイオン放出機能性微粒子の粒径に与える影響を記載する。まず(1)で使用するポンプであるが、懸濁液(スラリー液)を送液出来るタイプであれば特に限定されないが、チューブポンプがコンタミネーションの防止の点で最良である。また、送液速度はスプレードライヤーの乾燥熱容量で制限を受けるため、一概には言えないが、使用する水溶性アルコールのスプレードライヤー内部での濃度が爆発限界濃度以下の供給量が好ましい。なぜならば、爆発限界以上のアルコール濃度となれば、窒素気流下での乾燥が必要となり、製造コストの上昇を招くためである。(3)のスプレードライヤートマイザーの回転数は生成するイオン放出機能性微粒子の粒径に大きく影響する。一般的に懸濁液(スラリー液)の固形分濃度(スラリー濃度)と密接な関係があるが、回転数に比例して生成するイオン放出機能性微粒子のメジアン粒径は小さくなる。(3)の入口温度の設定であるが、100℃前後が好ましい。80℃以下であれば、乾燥に要する熱量が不足するため、送液速度を下げる必要性が生じ生産効率が著しく低下する。また120℃以上の高温の場合、ポンプより送液された懸濁液(スラリー液)が噴霧される前にスプレードライヤートマイザーの受け口で固化閉塞するため適切ではない。
二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、フッ化ナトリウム、炭酸ストロンチウムの各種原料を混合後、1400℃にてその混合物を溶融してガラスフリット(ガラス酸化物組成:SiO2 23.8wt%, Al2O3 16.2wt%, B2O3 10.5wt%, SrO 35.6wt%, Na2O 2.3wt%, F 11.6wt% )を得た。その得られたガラスフリットを振動ミルにて粉砕することにより、フルオロボロアルミノシリケートガラス微粉末を調製した。このフルオロボロアルミノシリケートガラス微粉末にMKCシリケートMS51SG1(テトラメトキシシラン部分加水分解縮合物:SiO2含有量16wt%、重合度2〜6:三菱化学株式会社製)を反応・熱処理しポリシロキサン処理物を得た。このポリシロキサン処理物を解砕後、ポリアクリル酸処理(ポリアクリル酸水溶液:ポリマー濃度13重量%、重量平均分子量20000;ナカライテスク社製)及び熱処理(100℃3時間)を施しイオン放出性ガラスを調製した。このイオン放出性ガラスの走査電子顕微鏡写真からメジアン径を測定した結果、3.2μmであった。
表1から表3に実施例組成を記載する。以下、懸濁液調製手順を記載する。
まず、1L容積のポリエチレン製サンプル瓶に各々の組成に相当するエタノールとイオン交換水を調合し十分に攪拌混合した。次にポリマーA1(エチルメタクリレート−メチルメタクリレートのコポリマー:分子量70000、モノマー組成比:エチルメタクリレート80% / メチルメタクリレート20%), A2((エチルメタクリレートのポリマー:分子量71000)を添加し攪拌・溶解させた。溶解完了後にポリマーB(メチルメタクリレートのポリマー:分子量700000)およびイオン放出性ガラスを添加し、十分に攪拌させ均一な懸濁液を得た。得られた懸濁液はB型粘度計(温度23℃)にて粘度測定を行った。その後、GEAシステムエンジニアリング製スプレードライヤー(筒径1.5M)を用い、大気下にてローター回転速度6000rpm、送液速度10Kg/h、入口乾燥温度100℃にて噴霧・乾燥した。なお、懸濁液の送液には東京理科器械製チュービングポンプを用いた。得られたイオン放出機能性複合微粒子はマルバーン社製モフォロギG3にて粒度測定を行った。
表4に比較例組成を記載する。以下、懸濁液調製手順を記載する。まず、1L容積のポリエチレン製サンプル瓶にエタノールを計量した。次にポリマーA1, Bを添加し攪拌・溶解させた。溶解完了後にイオン放出性ガラスを添加し、十分に攪拌させ均一な懸濁液を得た。得られた懸濁液は23℃にてB型粘度計にて粘度測定を行った。
Claims (5)
- A) 数平均分子量が1000〜200000のエチルメタクリレートポリマー
および/または
数平均分子量が1000〜200000のエチルメタクリレート−メチルメタクリレートのコポリマー、
B)数平均分子量が1000〜200000のメチルメタクリレートポリマー、
C)イオン放出性ガラス
D)水溶性アルコール及び水の混合溶媒
を含む懸濁液を、
スプレードライヤーを用いた噴霧・乾燥を行うことにより歯科用イオン放出機能性複合微粒子を製造する製造方法。 - 前記水溶性アルコールがメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールから選ばれる少なくとも1種類以上の水溶性アルコールであることを特徴とする請求項1に記載の歯科用イオン放出機能性複合微粒子の製造方法。
- 前記水溶性アルコール及び水の混合溶媒中における水溶性アルコールの割合が50〜99wt%の範囲であることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の歯科用イオン放出機能性複合微粒子の製造方法。
- 前記 B)数平均分子量が1000〜200000のメチルメタクリレートポリマーの平均粒径(メジアン粒径)が、0.01〜200μmの範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯科用イオン放出機能性複合微粒子の製造方法。
- 前記 C)イオン放出性ガラスが、フッ素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、ストロンチウムから選ばれる少なくとも1種類以上の元素を含み、
前記 C)イオン放出性ガラスが、シリカガラス、アルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス、アルミノボロシリケートガラスから選ばれることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の歯科用イオン放出機能性複合微粒子の製造方法。
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