JP6919166B2 - 機械部品の製造方法、及び時計の製造方法 - Google Patents

機械部品の製造方法、及び時計の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、機械部品の製造方法、及び、時計の製造方法に関する。
機械式時計等の時計には、歯車等に代表される数多くの機械部品(回転部品)が搭載されている。近時では、時計用の材料としてシリコンを有する基材が用いられるようなっている。シリコン製の機械部品は、金属製のものに比べて軽いことから、慣性力を小さくした部品の材料に好適となり、エネルギーの伝達効率の向上が見込まれる。また、シリコンは、形状の自由度が高く、加工精度を向上できるという利点もある。
シリコン製の機械部品は、製造効率を向上させつつ、金属製の機械部品に比して機械的強度が低いことに対する改善を図ることができる製造方法の確立が求められている。例えば特許文献1に、SOI基板を用いて、機械式時計用の機械部品(ひげぜんまい)を製造することにより、基材のエッチング後に個片化される部品の分散を防止する製造方法が記載されている。
また、特許文献1では、エッチングした後で、SOI基板の犠牲層を除去したときに、基材に形成された複数の機械部品が分散してしまわないように、機械部品どうしを基材の一部として形成した接続部により接続する構成が記載されている。
また、特許文献2に、エッチング後の機械部品の表面にシリコン酸化膜を形成することによって、機械的強度が向上できることが記載されている。
特開2015−179013号公報 特開2011−185932号公報
しかしながら、特許文献1に記載の機械部品の製造方法では、犠牲層の除去など、製造工程が増えて煩雑になるとともに、SOI基板が比較的高価なため、製造コストが増大する虞があった。
また、基材に形成された複数の機械部品を、接続部を折り取ることによって個片化する際に、接続部の折り取り部分の端面(切断面)に酸化膜が無いことにより信頼性が低下したり、接続部の折り取り部から機械部品部分に亀裂が生じて破損のきっかけになり得たりする虞があるという課題があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1] 本適用例にかかる機械部品の製造方法は、シリコンを含む材料からなる機械部品の製造方法であって、シリコンを含む基材をエッチングして当該機械部品の母材を形成する工程と、前記母材をトレイに載置する工程と、前記母材を前記トレイに載置した状態で、酸化処理を行う工程と、を含むことを特徴とする。
本適用例において、機械部品の「母材」とは、基材をエッチングして形成された機械部品の原型であって、個片の機械部品とするにはさらに処理工程を経る必要がある状態であり、例えば、基材に形成された複数の機械部品が後工程で除去される接続部により接続されていたり、フォトレジストからなるエッチングマスク等、母材を形成する工程で用いられた樹脂材料が残っていたりする状態のことをいう。
また、シリコンを含む材料をエッチングすることにより形成される機械部品は、金属製の機械部品に比べて軽いとともに、形状の自由度が高く、加工精度が高いことが知られており、本適用例の酸化処理を行うことにより、基材表面に形成されるシリコン酸化膜によって、機械部品の機械的強度を向上させることができる。
本適用例によれば、母材をトレイに載置した状態で、後工程である酸化工程の処理を行うので、母材の状態から個片化した各機械部品が散乱するのを防止することができる。したがって、シリコンを含む基材からなる機械部品を、簡便な工程により、効率的に、且つ、精度よく形成することが可能な製造方法を提供することができる。
[適用例2] 上記適用例にかかる機械部品の製造方法において、前記母材は、前記母材を形成する工程で用いられた樹脂材料を有し、前記母材を前記トレイに載置した状態で、プラズマ処理により前記樹脂材料を除去する除去工程を含むことを特徴とする。
本適用例において、母材の一方の面、及び、一方の面の反対側の他方の面の両面に樹脂材料が残っている場合に、母材をトレイに載置した状態で、プラズマ処理により樹脂材料を除去する除去工程を行えば、母材のトレイと対向する側の面に形成された樹脂材料に対してもプラズマが適切に作用して、樹脂材料を確実に除去できることを発明者等は見出した。
したがって、本適用例によれば、母材をトレイに載置した状態であることにより、母材から樹脂材料が除去されて個片化される機械部品の散乱を抑えながら、エッチング後の母材の樹脂材料を確実に除去することができる。
[適用例3] 上記適用例にかかる機械部品の製造方法において、前記酸化処理を行う工程は、熱酸化処理を行うことを特徴とする。
熱酸化処理によれば、十分な厚さの緻密な酸化膜を比較的短時間に形成することができるので、機械的強度の高い機械部品を効率よく製造することができる。
[適用例4] 上記適用例にかかる機械部品の製造方法において、前記トレイは、シリコンを含む材料により形成されていることを特徴とする。
シリコンは、シリコンを含む基材と同様に熱酸化処理に対する耐熱性を有しているとともに、比較的安価で、加工性も良好なため、トレイの材料として好適である。
[適用例5] 上記適用例にかかる機械部品の製造方法において、前記トレイは、前記基材に形成される前記母材の位置及び大きさに対応する形状の凹部及び仕切り枠を有することを特徴とする。
本適用例において、「母材の位置及び大きさに対応する形状」とは、トレイが有する凹部及び仕切り枠上に母材を載置した状態で、母材に形成された複数の機械部品同士を接続する接続部を除去したときに、個片化された各機械部品が、凹部及び仕切り枠内に収まる形状であることを指す。
本適用例によれば、母材の接続部を除去して各機械部品が個片化されたときに、トレイ内における機械部品の散乱を抑えることができるとともに、各機械部品をトレイ内に整然と配置させた状態で、機械部品の製造工程における後工程や、機械部品を使用する例えば時計などの機械製造工程に部品を供給することができる。
[適用例6] 上記適用例にかかる機械部品の製造方法において、前記トレイの厚み方向の最上面は、所定の粗さを有していることを特徴とする。
本適用例によれば、エッチング上がりの母材をトレイに載置した状態で、上述した樹脂材料の除去を行うときに、トレイの母材と接触する面が所定の粗さを有しているので、粗い面であることによりトレイと母材との間に生じる隙間によりプラズマ処理が適切に行われ、樹脂材料の除去が確実に行われるという効果がある。
[適用例7] 本適用例にかかる時計の製造方法は、香箱車、番車、がんぎ車、アンクル及びてんぷのいずれかに、上記適用例のいずれかに記載の機械部品の製造方法により製造された機械部品を用いてムーブメントを組み立てる組立工程を含むことを特徴とする。
本適用例によれば、上記適用例のいずれかに記載の機械部品の製造方法により製造された機械部品を用いてムーブメントを組み立てる工程を含むので、金属製の機械部品に比べて軽く、慣性力を小さく抑えた機械部品により、エネルギーの伝達効率の高いムーブメントを構成することができる。
したがって、信頼性及び耐久性に優れた精度の高い時計を製造することができる。
実施形態に係る時計のムーブメントの表側の平面図。 ムーブメントの脱進機構の平面図。 脱進機構の斜視図。 図2のA−A線に沿う断面図。 機械部品としてのがんぎ歯車部の平面図。 機械部品の製造方法で用いるトレイを示す平面図。 図6AのB−B線に沿う断面図。 歯車部作成工程を説明するための説明図であって、図4に相当する断面図。 歯車部作成工程を説明するための説明図であって、図4に相当する断面図。 歯車部作成工程を説明するための説明図であって、図4に相当する断面図。 歯車部作成工程を説明するための説明図であって、図4に相当する断面図。 歯車部作成工程を説明するための説明図であって、図4に相当する断面図。 歯車部作成工程における母材を示す平面図。 歯車部作成工程において、母材をトレイに載置した状態を示す平面図。 歯車部作成工程で製造されトレイに載置された歯車部を示す平面図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、本発明の機械部品の一例として、機械式時計のムーブメントにおける時計部品を構成する歯車の1つであるがんぎ車を例に挙げて説明する。また、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材について実際とは異なる尺度で示している場合がある。
[機械式時計]
はじめに、機械式時計1について説明する。図1は、本実施形態に係る時計としての機械式時計1のムーブメント10の表側の平面図である。
図1に示すように、本実施形態の機械式時計1は、ムーブメント10と、このムーブメント10を収納する図示しないケーシングと、により構成されている。
ムーブメント10は、基板を構成する地板11を有している。この地板11の裏側には図示しない文字板が配されている。なお、ムーブメント10の表側に組み込まれる輪列を表輪列と称し、ムーブメント10の裏側に組み込まれる輪列を裏輪列と称する。
地板11には、巻真案内穴11aが形成されており、ここに巻真12が回転自在に組み込まれている。この巻真12は、おしどり13、かんぬき14、かんぬきばね15及び裏押さえ16を有する切換装置により、軸方向の位置が決められている。また、巻真12の案内軸部には、きち車17が回転自在に設けられている。
このような構成のもと、巻真12が、回転軸方向に沿ってムーブメント10の内側に一番近い方の第1の巻真位置(0段目)にある状態で巻真12を回転させると、図示しないつづみ車の回転を介してきち車17が回転する。そして、このきち車17が回転することにより、これと噛合う丸穴車20が回転する。そして、この丸穴車20が回転することにより、これと噛合う角穴車21が回転する。さらに、この角穴車21が回転することにより、香箱車22に収容された図示しないぜんまい(動力源)を巻き上げる。
ムーブメント10の表輪列は、上述した香箱車(機械部品)22の他に、所謂番車と呼ばれる二番車(機械部品)25、三番車(機械部品)26及び四番車(機械部品)27により構成されており、香箱車22の回転力を伝達する機能を果している。また、ムーブメント10の表側には、表輪列の回転を制御するための脱進機構30及び調速機構31が配置されている。
二番車25は、香箱車22に噛合う歯車とされている。三番車26は、二番車25に噛合う歯車とされている。四番車27は、三番車26に噛合う歯車とされている。
脱進機構30は、上述した表輪列の回転を制御する機構であって、四番車27と噛合うがんぎ車(機械部品)35と、このがんぎ車35を脱進させて規則正しく回転させるアンクル(機械部品)36と、を備えている。
調速機構31は、上述した脱進機構30を調速する機構であって、てんぷ(機械部品)40を具備している。
<脱進機構>
次に、上述したムーブメント10の脱進機構30について、より詳細に説明する。図2は脱進機構30の平面図であり、図3は脱進機構30の斜視図、図4は図2のA−A線に沿う断面図である。
図2〜図4に示すように、脱進機構30のがんぎ車35は、がんぎ歯車部(回転体)101と、がんぎ歯車部101に同軸(軸線O1)上に固定された軸部材(回転軸)102と、を備えている。以下の説明では、がんぎ歯車部101及び軸部材102の軸線O1に沿う方向を単に軸方向、軸線O1に直交する方向を径方向といい、軸線O1回りに周回する方向を周方向という。
図5は、機械部品としてのがんぎ歯車部101の平面図である。
図2〜図5に示すように、がんぎ歯車部101は、表面101a及び裏面101bが平坦面とされるとともに、全面に亘って均一な厚みとされた板状のものである。具体的に、がんぎ歯車部101は、周囲のリム部111と、中央のハブ部112と、これらリム部111及びハブ部112を連結する複数のスポーク部113と、を有している。
リム部111の外周面には、特殊な鉤型状に形成された複数の歯部114が径方向の外側に向けて突設されている。これら複数の歯部114の先端に、後述するアンクル36の爪石144a,144bが接触するようになっている。
なお、かんぎ歯車部101は、単結晶シリコン等、結晶方位を有する材料からなる。
図3〜図5に示すように、ハブ部112は、リム部111の内側に配置された円板形状のものであり、その中央部分には軸方向に貫通する貫通孔115が形成されている。この貫通孔115は、平面視で円形状とされ、軸方向に沿って表面101aから裏面101bに貫通されている。
各スポーク部113は、ハブ部112の外周縁からリム部111の内周縁に向かって放射状に延在しており、リム部111及びハブ部112を連結している。
軸部材102は、軸方向両端部に位置するほぞ部121a,121bと、上述した四番車27の歯車部に噛合わされるがんぎかな部122と、を有している。
ほぞ部121a,121bのうち、軸方向一端側に位置する一端ほぞ部121aは、図示しない輪列受に回転可能に支持され、軸方向他端側に位置する他端ほぞ部121bは、上述した地板11に回転可能に支持されている。
がんぎかな部122は、軸部材102において、一端ほぞ部121a寄りに形成されている。そして、がんぎかな部122が四番車27(図1参照)に噛合わされることで、四番車27の回転力が軸部材102に伝達されがんぎ車35が回転するようになっている。
圧入軸部123は、上述した各ほぞ部121a,121bよりも大径に形成されるとともに、がんぎ歯車部101の貫通孔115内に、裏面101b側から挿通されている。この場合、圧入軸部123は、その一部ががんぎ歯車部101から軸方向他端側に向けて突出した状態で、貫通孔115内に配置されている。
また、軸部材102のうち、がんぎかな部122と圧入軸部123との間には、径方向の外側に向けて突出するフランジ部124が形成されている。フランジ部124は、貫通孔115の裏面101b側の開口よりも大径とされ、その軸方向他端側に位置する端面がハブ部112の裏面101bに当接している。
このように構成されたがんぎ車35は、複数の歯部114がアンクル36に噛合うようになっている(図2参照)。アンクル36は、3つのアンクルビーム143によってT字状に形成されたアンクル体142dと、アンクル真142fと、を備えたもので、軸であるアンクル真142fによってアンクル体142dが回動可能に構成されている。なお、アンクル真142fは、その両端が上述した地板11及び図示しないアンクル受に対してそれぞれ回動可能に支持されている。
3つのアンクルビーム143のうち2つのアンクルビーム143の先端には、爪石144a,144bが設けられ、残り1つのアンクルビーム143の先端には、アンクルハコ145が取り付けられている。爪石144a,144bは、四角柱状に形成されたルビーであり、接着剤等によりアンクルビーム143に接着固定されている。
このように構成されたアンクル36は、アンクル真142fを中心に回動した際に、爪石144aあるいは爪石144bが、がんぎ車35の歯部114の先端に接触するようになっている。また、この際、アンクルハコ145が取り付けられたアンクルビーム143が、図示しないドテピンに接触するようになっており、これによってアンクル36は、同方向にそれ以上回動しないようになっている。その結果、がんぎ車35の回転も一時的に停止するようになっている。
[がんぎ車の製造方法]
次に、上述したがんぎ車35の製造方法について説明する。
図7A〜図7Eは、がんぎ歯車部101の作成工程を説明するための説明図であって、図4に相当する断面図である。
図7Aにおいて、がんぎ車35のがんぎ歯車部101の作成工程では、まず、シリコンを含む基材(ウェハー)200を準備し、次いで、例えばスピンコート法やスプレーコート法等により、基材200の一方の面である表面200aに、感光性を有するフォトレジスト211を塗布し、基材200の一方の面の反対側の他方の面である裏面101bに、裏面コート材221を塗布する。フォトレジスト211は、ネガ型、及びポジ型のいずれの材料も採用することができる。また、裏面コート材221は、後述するエッチングする工程で基材200をエッチングするときに、基材200の裏面200bをエッチングから保護できるマスク性能を有して、且つ、エッチングする工程の後の樹脂を除去する除去工程で、確実に除去できる性質の樹脂材料を選択する。
基材200に塗布したフォトレジスト211及び裏面コート材221の各々は所定の温度によるキュアを行うが、フォトレジスト211のキュア条件と裏面コート材221のキュア条件との差が大きい場合等には、フォトレジスト211と裏面コート材221とで別々にキュアを行い、フォトレジスト211のキュア条件と裏面コート材221のキュア条件とが同じか近似であれば、キュア工程を同時に行うことにより工程の効率化を図ることができる。
なお、基材200の表面200aに塗布するフォトレジスト211と、基材200の裏面200bに塗布する裏面コート材221との塗布する順番は、各樹脂材料のキュア条件を考慮した工程順の設定などの便宜上にて決定すればよい。
次に、フォトレジスト211に対してフォトリソグラフィー技術により、露光をした後に現像を行うことにより、図7Bに示すように、がんぎ歯車部101の平面視外形に対応するマスク(エッチングマスク)としてのフォトレジストパターン212を形成する。ここで、図中フォトレジストパターン212の開口212aは、がんぎ歯車部101の貫通孔115に対応する。
次に、図7Cに示すように、フォトレジストパターン212をマスクとして基材200にエッチングを施すことで、後述するがんぎ歯車部101(図7E参照)の外形を含む母材350を形成する。
ここで、母材350について詳細に説明する。図8は、がんぎ歯車部101作成工程における母材350を示す平面図である。なお、図7Cは、図8のc−c線断面図に相当する。これらの図に示すように、機械部品としてのがんぎ歯車部101の「母材350」とは、基材200をエッチングして形成され、個片のがんぎ歯車部101とするにはさらに処理工程を経る必要がある状態であり、本実施形態では、基材200をエッチングすることにより形成された複数の機械部品であるがんぎ歯車部101が、後工程で除去される裏面コート材221(「接続部」として機能する)により接続されていたり、フォトレジスト211からなるマスク(エッチングマスク)としてのフォトレジストパターン212等の、母材350を形成する工程で用いられた樹脂材料が残っていたりする状態のことをいう。
なお、母材350を形成するエッチング工程は、具体的には、ディープ・リアクティブ・イオンエッチング(DRIE=Deep Reactive Ion Etching)を行い、基材200を厚さ方向に貫通するようにエッチングすることで、がんぎ歯車部101の外形形状を得ることができる。ここで、フォトレジストパターン212の開口212aにより形成される貫通孔115等の貫通部分の内面(内壁)は、基材200の裏面200bに形成された裏面コート材221で保護されているために、裏面200bからエッチングされることなく、貫通部の内面形状が変化することはない。
また、上述したように、裏面コート材221は、エッチングにより個片化される複数のがんぎ歯車部101(機械部品)同士を接続する接続部として機能し、エッチング後に個片化されたがんぎ歯車部101が散乱するのを防止することができる。
次いで、エッチングにより形成された機械部品としてのがんぎ歯車部101の母材350は、図7Dに示すように、トレイ50に載置する。
図6Aは、本実施形態の機械部品(がんぎ歯車部101)の製造方法で用いるトレイ50を示す平面図であり、図6Bは、図6AのB−B線に沿う断面図である。また、図9は、母材350をトレイ50に載置した状態を示す平面図である。上述した図7Dは、図9のd−d線断面図に相当する。
これらの図に示すように、トレイ50は、上述した工程にて基材200を処理することにより形成された母材350の位置及び大きさに対応する形状の凹部51及び仕切り枠52を有している。ここで、母材350の位置及び大きさに対応する形状とは、図9に示すように、トレイ50が有する凹部51及び仕切り枠52上に母材350を載置した状態で、母材350に形成された複数のがんぎ歯車部101(機械部品)同士を接続している接続部として機能する裏面コート材221を除去したときに、個片化された各がんぎ歯車部101が、凹部51及び仕切り枠52内に収まる形状であることを指す。
なお、トレイ50は、基材200と同様なシリコンを含む材料からなる。
また、本実施形態のトレイ50は、トレイ50の厚み方向の最上面である仕切り枠52の上面52aが、所定の粗さを有している。
図7Dに戻り、エッチングにより形成された母材350をトレイ50に載置した状態で、次に、フォトレジスト211によるフォトレジストパターン212、及び、裏面コート材221を除去する除去工程の処理を行うことにより、図7Eに示すように、上述した機械部品としてのがんぎ歯車部101を得ることができる。除去工程での樹脂の除去は、酸素プラズマアッシング等のプラズマ処理により行う。母材350をトレイ50に載置した状態で行う酸素プラズマアッシングによる樹脂除去工程によれば、基材200(がんぎ歯車部101)のトレイ50と対向する側の面である裏面200bに形成された裏面コート材221に対してもプラズマが十分に作用して、裏面コート材221を問題なく除去できることを発明者等は見出した。なお、基材200の表面200aがトレイと対向する側の面となるように基材200をトレイ50に載置した場合でも、同様の効果が得られることを発明者等は確認した。
ここで、上述したように、本実施形態のトレイ50は、基材200により形成された機械部品としてのがんぎ歯車部101を含む母材350の各部位の位置及び大きさに対応する形状の凹部51及び仕切り枠52を有している。これにより、トレイ50が有する凹部51及び仕切り枠52上に母材350を載置した状態で、母材350の裏面コート材221を除去して個片化された各がんぎ歯車部101(機械部品)が凹部51及び仕切り枠52内に収まり、トレイ50内における機械部品の散乱を抑えることができる。
また、上述したように、本実施形態のトレイ50は、トレイ50の厚み方向の最上面である仕切り枠52の上面52aが所定の粗さを有している。これにより、母材350をトレイ50に載置した状態で、裏面コート材221の除去を行うときに、トレイ50の母材350と接触する面になる上面52aが所定の粗さを有する面であることにより、トレイ50の上面52aと母材350との間に生じる隙間によりプラズマ処理が適切に行われ、裏面コート材221の除去が確実に行われるという効果が得られる。
次いで、樹脂材料の除去工程後にトレイ50の凹部51及び仕切り枠52内に収まって載置された状態で、シリコンを含む基材200の材料からなるがんぎ歯車部101の表面に、二酸化ケイ素(SiO2)からなるシリコン酸化膜を形成する酸化処理を行う。なお、酸化処理は、大気圧にて酸化処理を行う装置を用いた大気圧熱酸化をがんぎ歯車部101の表面に対して行うことが望ましい。大気圧熱酸化によれば、がんぎ歯車部101のトレイ50と接触する側の面に対しても、他の部位と差異なく良好なシリコン酸化膜形成が行えることを発明者等は見出した。
この酸化処理により、がんぎ歯車部101の表面に形成されるシリコン酸化膜によって、がんぎ歯車部101(機械部品)の機械的強度を向上させることができるので、耐久性が高く、優れた信頼性を有するがんぎ歯車部101(機械部品)を提供することができる。
また、がんぎ歯車部101(機械部品)を酸化処理する工程は、800℃以上の高温で熱酸化処理を行うことが好ましい。
熱酸化処理によれば、十分な厚さの緻密なシリコン酸化膜(SiO2)を比較的短時間に形成することができるので、機械的強度の高いがんぎ歯車部101等の機械部品を効率よく製造することができる。
ここで、上述したように、トレイ50は、基材200と同様なシリコンを含む材料により形成されている。シリコンを含む材料からなるトレイ50は、シリコンを含む基材200と同様に後述する熱酸化処理などの高温の処理に対する耐熱性を有しているとともに、比較的安価で、加工性も良好なため、トレイ50の材料として好適である。
図10は、がんぎ歯車部101作成工程で製造されトレイ50に載置された歯車部を示す平面図である。この図に示すように、本実施形態のトレイ50を用いた機械部品の製造方法によれば、各機械部品(がんぎ歯車部101)をトレイ50内に整然と配置させた状態で、機械部品の製造工程における後工程や、機械部品を使用する例えば時計などの機械製造工程に部品を供給することができる。
以上に述べた、本実施形態のがんぎ歯車部101(機械部品)の製造方法によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態によれば、シリコンを含む材料からなる基材200を、標準的なフォトリソグラフィー技術及びエッチングを用いて加工することにより、比較的簡便な工程で、精密な機械部品であるがんぎ歯車部101を製造することができる。
また、シリコンを含む基材200を本実施形態の製造方法により加工して形成されるがんぎ歯車部101などの精密な機械部品は、金属製の機械部品に比べて軽いとともに、形状の自由度が高く、高精度な外形形状の形成ができるという利点を有する。したがって、精度が高く、軽量な機械式時計の製造に寄与できる機械部品を製造することができる。
[機械式時計の製造方法]
次に、本発明の機械式時計の製造方法について説明する。
本発明の機械式時計の製造方法は、図1〜図5のいずれかに示す香箱車22、番車(二番車25、三番車26、四番車27)、がんぎ車35、アンクル36及びてんぷ40のいずれかに、上記実施形態のがんぎ歯車部101を代表例として説明した機械部品の製造方法のいずれかにより製造された機械部品を用いて、ムーブメント10を組み立てる組立工程を含むことを特徴とするものである。
このような機械式時計1の製造方法によれば、上記実施形態に記載の機械部品の製造方法により製造された機械部品を用いてムーブメント10を組み立てる工程を含むので、金属製の機械部品に比べて軽く、慣性力を小さく抑えた機械部品により、エネルギーの伝達効率の高いムーブメント10を構成することができる。
したがって、信頼性及び耐久性に優れた精度の高い機械式時計を提供することができる。
以上、発明者によってなされた本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
1…機械式時計、10…ムーブメント、11…地板、11a…巻真案内穴、12…巻真、17…きち車、20…丸穴車、21…角穴車、22…香箱車、25…二番車、26…三番車、27…四番車、30…脱進機構、31…調速機構、35…機械部品としてのがんぎ車、36…アンクル、40…てんぷ、50…トレイ、51…凹部、52…仕切り枠、52a…トレイの厚み方向の最上面である上面、101…がんぎ歯車部、102…軸部材、111…リム部、112…ハブ部、113…スポーク部、114…歯部、115…貫通孔、121a…一端ほぞ部、121b…他端ほぞ部、122…がんぎかな部、123…圧入軸部、124…フランジ部、142d…アンクル体、142f…アンクル真、143…アンクルビーム、144a,144b…爪石、145…アンクルハコ、200…基材、200a…一方の面としての表面、200b…他方の面としての裏面、211…フォトレジスト、212…フォトレジストパターン、212a…開口、221…裏面コート材、350…母材。

Claims (5)

  1. シリコンを含む材料からなる機械部品の製造方法であって、
    シリコンを含む基材をエッチングして当該機械部品の母材を形成する工程と、
    前記母材をトレイに載置する工程と、
    前記母材を前記トレイに載置した状態で、酸化処理を行う工程と、を含み、
    前記母材は、前記母材を形成する工程で用いられた樹脂材料を有し、
    前記母材を前記トレイに載置した状態で、プラズマ処理により前記樹脂材料を除去する
    除去工程を含むことを特徴とする機械部品の製造方法。
  2. 請求項1に記載の機械部品の製造方法において、
    前記酸化処理を行う工程は、熱酸化処理を行うことを特徴とする機械部品の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の機械部品の製造方法において、
    前記トレイは、シリコンを含む材料により形成されていることを特徴とする機械部品の
    製造方法。
  4. 請求項1または2に記載の機械部品の製造方法において、
    前記トレイは、前記基材に形成される前記母材の位置及び大きさに対応する形状の凹部
    及び仕切り枠を有することを特徴とする機械部品の製造方法。
  5. 請求項4に記載の機械部品の製造方法において、
    前記トレイの厚み方向の最上面は、所定の粗さを有していることを特徴とする機械部品
    の製造方法。
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