JP6918693B2 - 液晶表示素子用遮光シール剤、上下導通材料、及び、液晶表示素子 - Google Patents
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Description
滴下工法では、まず、2枚の電極付き基板の一方に、ディスペンスにより長方形状のシールパターンを形成する。次いで、シール剤が未硬化の状態で液晶の微小滴を基板のシール枠内に滴下し、真空下で他方の基板を重ね合わせ、シール部に紫外線等の光を照射して仮硬化を行う。その後、加熱して本硬化を行い、液晶表示素子を作製する。現在この滴下工法が液晶表示素子の製造方法の主流となっている。
また、従来のシール剤は透明又は乳白色であったため、本来、光漏れを抑制するはずのブラックマトリックスでも、シール剤を透過する光は遮光することができず、コントラストを下げてしまうという問題があった。そこで、シール剤に遮光剤を添加することで遮光性を持たせることが行われているが、特にこのような遮光性を持たせたシール剤の場合に、硬化が不充分となって未硬化のシール剤成分が液晶中に溶出して液晶汚染を発生させやすくなるという問題があった。
以下に本発明を詳述する。
そこで本発明者は更に鋭意検討した結果、波長365nmにおける吸光係数が特定値以上である長波長光ラジカル重合開始剤とアミンアダクト化合物とを組み合わせて配合することにより、硬化性及び保存安定性に優れ、かつ、液晶汚染を抑制することができる液晶表示素子用遮光シール剤を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
上記光ラジカル重合開始剤は、濃度が0.1mg/mLとなるように該光ラジカル重合開始剤を混合したアセトニトリル中で測定した波長365nmにおける吸光係数が5000mL/g・cm以上である。以下、濃度が0.1mg/mLとなるように混合したアセトニトリル中で測定した波長365nmにおける吸光係数が5000mL/g・cm以上である光ラジカル重合開始剤を「本発明にかかる長波長開始剤」ともいう。本発明にかかる長波長開始剤をアミンアダクト化合物と組み合わせて含有することにより、本発明の液晶表示素子用遮光シール剤は、保存安定性及び硬化性(特に深部硬化性)に優れ、かつ、液晶汚染を抑制することができるものとなる。
なお、上記吸光係数は、紫外可視分光光度計(例えば、Varian社製Carry−5 spctrophotometer)を用いて測定した吸光度から算出することができる。
また、保存安定性等の観点から、本発明にかかる長波長開始剤は、上記波長365nmにおける吸光係数が3万mL/g・cm以下であることが好ましい。
上記アミンアダクト化合物は、保存時にシール剤の保存安定性を悪化させることなく、低温での加熱でシール剤の硬化を進行させることができる。そのため、上記アミンアダクト化合物を本発明にかかる長波長開始剤と組み合わせて含有することにより、本発明の液晶表示素子用遮光シール剤は、保存安定性及び硬化性(特に深部硬化性)に優れ、かつ、液晶汚染を抑制することができるものとなる。また、上記アミンアダクト化合物は、加熱後の硬化開始までの時間が短いため液晶汚染性が極めて低い。
上記アミンアダクト化合物の融点の好ましい下限は50℃、好ましい上限は100℃である。上記アミンアダクト化合物の融点がこの範囲であることにより、得られる液晶表示素子用遮光シール剤が保存安定性と低温での速硬化性とを両立する効果により優れるものとなる。
なお、市販の平均粒子径が3μmを超えるアミンアダクト化合物を用いる場合、粉砕や分級等の処理を行うことにより、平均粒子径を3μm以下とすることができる。
また、本明細書において、上記アミンアダクト化合物の平均粒子径及び後述する最大粒子径は、シール剤に配合する前のアミンアダクト化合物について、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定することにより得られる値を意味する。上記レーザー回折式粒度分布測定装置としては、マスターサイザー2000(マルバーン社製)等を用いることができる。
上記その他の熱硬化剤としては、例えば、ヒドラジド系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、多価フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤等が挙げられる。なかでも、ヒドラジド系硬化剤が好適に用いられる。
上記硬化性樹脂は、(メタ)アクリル化合物及びエポキシ化合物を含有することが好ましい。
なお、本明細書において、上記「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味し、上記「(メタ)アクリル化合物」とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基(以下、「(メタ)アクリロイル基」ともいう)を有する化合物を意味する。また、上記「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。更に、上記「エポキシ(メタ)アクリレート」とは、エポキシ化合物中の全てのエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させた化合物のことを表す。
上記ビスフェノールF型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、jER806、jER4004(いずれも三菱化学社製)等が挙げられる。
上記ビスフェノールS型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピクロンEXA1514(DIC社製)等が挙げられる。
上記2,2’−ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、RE−810NM(日本化薬社製)等が挙げられる。
上記水添ビスフェノール型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピクロンEXA7015(DIC社製)等が挙げられる。
上記プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EP−4000S(ADEKA社製)等が挙げられる。
上記レゾルシノール型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EX−201(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記ビフェニル型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、jER YX−4000H(三菱化学社製)等が挙げられる。
上記スルフィド型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、YSLV−50TE(新日鉄住金化学社製)等が挙げられる。
上記ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、YSLV−80DE(新日鉄住金化学社製)等が挙げられる。
上記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EP−4088S(ADEKA社製)等が挙げられる。
上記ナフタレン型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピクロンHP4032、エピクロンEXA−4700(いずれもDIC社製)等が挙げられる。
上記フェノールノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピクロンN−770(DIC社製)等が挙げられる。
上記オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピクロンN−670−EXP−S(DIC社製)等が挙げられる。
上記ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピクロンHP7200(DIC社製)等が挙げられる。
上記ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、NC−3000P(日本化薬社製)等が挙げられる。
上記ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、ESN−165S(新日鉄住金化学社製)等が挙げられる。
上記グリシジルアミン型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、jER630(三菱化学社製)、エピクロン430(DIC社製)、TETRAD−X(三菱ガス化学社製)等が挙げられる。
上記アルキルポリオール型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、ZX−1542(新日鉄住金化学社製)、エピクロン726(DIC社製)、エポライト80MFA(共栄社化学社製)、デナコールEX−611(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記ゴム変性型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、YR−450、YR−207(いずれも新日鉄住金化学社製)、エポリードPB(ダイセル社製)等が挙げられる。
上記グリシジルエステル化合物のうち市販されているものとしては、例えば、デナコールEX−147(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記エポキシ化合物のうちその他に市販されているものとしては、例えば、YDC−1312、YSLV−80XY、YSLV−90CR(いずれも新日鉄住金化学社製)、XAC4151(旭化成社製)、jER1031、jER1032(いずれも三菱化学社製)、EXA−7120(DIC社製)、TEPIC(日産化学社製)等が挙げられる。
なお、本明細書において上記部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂とは、1分子中にエポキシ基と(メタ)アクリロイル基とをそれぞれ1つ以上有する化合物を意味し、例えば、2つ以上のエポキシ化合物の一部分のエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させることによって得ることができる。
上記遮光剤としては、例えば、酸化鉄、チタンブラック、アニリンブラック、シアニンブラック、フラーレン、カーボンブラック、樹脂被覆型カーボンブラック等が挙げられる。なかでも、チタンブラックが好ましい。
また、遮光剤として上記チタンブラックを含有する本発明の液晶表示素子用遮光シール剤を用いて製造した液晶表示素子は、充分な遮光性を有するため、光の漏れ出しがなく高いコントラストを有し、優れた画像表示品質を有する液晶表示素子を実現することができる。
また、上記チタンブラックの体積抵抗の好ましい下限は0.5Ω・cm、好ましい上限は3Ω・cmであり、より好ましい下限は1Ω・cm、より好ましい上限は2.5Ω・cmである。
なお、上記遮光剤の一次粒子径は、NICOMP 380ZLS(PARTICLE SIZING SYSTEMS社製)を用いて、上記遮光剤を溶媒(水、有機溶媒等)に分散させて測定することができる。
上記熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾ化合物、有機過酸化物等からなるものが挙げられる。なかでも、高分子アゾ化合物からなる開始剤(以下、「高分子アゾ開始剤」ともいう)が好ましい。
なお、本明細書において高分子アゾ開始剤とは、アゾ基を有し、熱によって(メタ)アクリロイル基を硬化させることができるラジカルを生成する、数平均分子量が300以上の化合物を意味する。
なお、本明細書において、上記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定を行い、ポリスチレン換算により求められる値である。GPCによってポリスチレン換算による数平均分子量を測定する際のカラムとしては、例えば、Shodex LF−804(昭和電工社製)等が挙げられる。
上記アゾ基を介してポリアルキレンオキサイド等のユニットが複数結合した構造を有する高分子アゾ開始剤としては、ポリエチレンオキサイド構造を有するものが好ましい。このような高分子アゾ開始剤としては、例えば、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)とポリアルキレングリコールの重縮合物や、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)と末端アミノ基を有するポリジメチルシロキサンの重縮合物等が挙げられ、具体的には例えば、VPE−0201、VPE−0401、VPE−0601、VPS−0501、VPS−1001(いずれも和光純薬工業社製)等が挙げられる。
また、高分子ではないアゾ化合物の例としては、V−65、V−501(いずれも和光純薬工業社製)等が挙げられる。
表1に記載された配合比に従い、各材料を、遊星式撹拌機(シンキー社製、「あわとり練太郎」)を用いて混合した後、更に3本ロールを用いて混合することにより実施例1〜7、比較例1〜6の各液晶表示素子用遮光シール剤を調製した。
実施例及び比較例で得られた各液晶表示素子用遮光シール剤について以下の評価を行った。結果を表1に示した。
実施例及び比較例で得られた各液晶表示素子用遮光シール剤について、製造直後の初期粘度と、25℃で1週間保管したときの粘度とを測定し、(25℃、1週間保管後の粘度)/(初期粘度)を粘度変化率とし、粘度変化率が1.2未満であったものを「○」、1.2以上1.5未満であったものを「△」、1.5以上であったものを「×」として保存安定性を評価した。
なお、シール剤の粘度は、E型粘度計(BROOK FIELD社製、「DV−III」)を用い、25℃において回転速度1.0rpmの条件で測定した。
実施例及び比較例で得られた各液晶表示素子用遮光シール剤100重量部にスペーサ微粒子(積水化学工業社製、「ミクロパールSI−H050」)1重量部を遊星式撹拌装置によって均一に分散させた後、50mm×50mmのガラス基板上に塗布し、同型のガラス基板をその上に重ね合わせた。次いで、メタルハライドランプにて3000mJ/cm2の光(波長380nm)を照射した後、120℃で60分加熱してシール剤を硬化させ、OD値測定用試験片を得た。得られたOD値測定用試験片についてPDA−100(コニカ社製)を用いてOD値を測定し、OD値が2.5以上であった場合を「○」、2.0以上2.5未満であった場合を「△」、2.0未満であった場合を「×」として遮光性を評価した。
以下に示すように、高温高湿試験後の接着力を測定することにより、液晶表示素子用遮光シール剤の深部硬化性を評価した。
実施例及び比較例で得られた各液晶表示素子用遮光シール剤100重量部にスペーサ微粒子(積水化学工業社製、「ミクロパールSI−H050」)1重量部を遊星式撹拌装置によって均一に分散させた後、2枚のITO膜付きアルカリガラス基板(30×40mm)のうち一方に微小滴下し、これにもう一方のアルカリガラス基板を十字状に貼り合わせたものに、メタルハライドランプにて3000mJ/cm2の光(波長380nm)を照射した後、120℃で60分加熱してシール剤を硬化させ、接着試験片を得た。得られた接着試験片について、60℃、90%RH、1気圧の環境下に24時間静置する高温高湿試験を行った後、接着試験片の上下に配したチャックにより引っ張り試験(5mm/sec)を行った。
引っ張り試験で得られた測定値(kgf)をシール塗布断面積(cm2)で除した値が20kgf/cm2以上であった場合を「○」、10kgf/cm2以上20kgf/cm2未満であった場合を「△」、10kgf/cm2未満であった場合を「×」として深部硬化性を評価した。
実施例及び比較例で得られた各液晶表示素子用遮光シール剤100重量部にスペーサ微粒子(積水化学工業社製、「ミクロパールSI−H050」)1重量部を遊星式撹拌装置によって均一に分散させ、ディスペンス用のシリンジ(武蔵エンジニアリング社製、「PSY−10E」)に充填し、脱泡処理を行ってから、ディスペンサー(武蔵エンジニアリング社製、「SHOTMASTER300」)にて、2枚のITO薄膜付きの透明電極基板の一方にシール剤を枠状に塗布した。続いて、液晶滴下装置にてTN液晶(チッソ社製、「JC−5001LA」)の微小滴をシール剤の枠内に滴下塗布し、真空貼り合わせ装置にて他方の透明電極基板と5Paの真空下にて貼り合わせ、セルを得た。得られたセルに、メタルハライドランプにて3000mJ/cm2の光(波長380nm)を照射した後、120℃で60分加熱してシール剤を硬化させ、液晶表示素子を得た。
得られた液晶表示素子について、シール部周辺の液晶(特にコーナー部)に生じる表示むらを目視にて観察し、表示むらが確認されなかった場合を「○」、わずかな表示むらが確認された場合「△」、酷い表示むらが確認された場合を「×」として液晶表示素子の表示性能(低液晶汚染性)を評価した。
Claims (5)
- 硬化性樹脂と、光ラジカル重合開始剤と、アミンアダクト化合物と、遮光剤とを含有し、
前記光ラジカル重合開始剤は、濃度が0.1mg/mLとなるように該光ラジカル重合開始剤を混合したアセトニトリル中で測定した波長365nmにおける吸光係数が7000mL/g・cm以上であり、
前記硬化性樹脂は、(メタ)アクリル化合物及びエポキシ化合物を含有する
ことを特徴とする液晶表示素子用遮光シール剤。 - 光ラジカル重合開始剤は、O−アセチル−1−(6−(2−メチルベンゾイル)−9−エチル−9H−カルバゾール−3−イル)エタノンオキシムであることを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子用遮光シール剤。
- 遮光剤は、チタンブラックであることを特徴とする請求項1又は2記載の液晶表示素子用遮光シール剤。
- 請求項1、2又は3記載の液晶表示素子用遮光シール剤と導電性微粒子とを含有することを特徴とする上下導通材料。
- 請求項1、2若しくは3記載の液晶表示素子用遮光シール剤又は請求項4記載の上下導通材料を用いてなることを特徴とする液晶表示素子。
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