JP6914747B2 - 変性固体状チタン触媒成分の製造方法、エチレン系重合体粒子の製造方法およびエチレン系重合体粒子 - Google Patents
変性固体状チタン触媒成分の製造方法、エチレン系重合体粒子の製造方法およびエチレン系重合体粒子 Download PDFInfo
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Description
本発明の構成例は以下の通りである。
前記固体状チタン触媒成分に含まれるチタン1モルに対する、前記極性物質の使用量が0.5〜10モルである、
変性固体状チタン触媒成分の製造方法。
液状状態の還元能を有さないマグネシウム化合物と、液状状態のチタン化合物とを、液状状態において接触させることによって、固体生成物を形成する工程を含み、下記(I)または(II)を満たす方法で得られる成分である、[1]または[2]に記載の製造方法。
(I)前記接触を、活性水素を有さない電子供与体の共存下で行う
(II)前記工程後に、得られた固体生成物と活性水素を有さない電子供与体とを接触させる
[5] 前記極性物質が、エタノールおよび安息香酸エチルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
周期律表第I族〜第III族から選ばれる金属元素を含む有機金属化合物触媒成分と
を含むオレフィン重合用触媒の存在下で、エチレンを含むオレフィンを重合する工程を含む、
平均粒径が8〜35μmであるエチレン系重合体粒子の製造方法。
要件(A):嵩密度が210〜450g/L
要件(B):粒子形状画像解析装置で解析した、円形度が0.8以上である粒子の割合が19%以上
要件(C):極限粘度「η」が8〜25dl/g
嵩密度が210〜450g/Lであり、
粒子形状画像解析装置で解析した、円形度が0.8以上である粒子の割合が19%以上であり、
極限粘度「η」が8〜25dl/gである、
エチレン系重合体粒子。
本発明に係る変性固体状チタン触媒成分の製造方法(以下「本触媒成分の製法」ともいう。)は、極性物質と、マグネシウム、ハロゲン、チタンおよび電子供与体を含む固体状チタン触媒成分とを接触させる工程(以下「工程A」ともいう。)を含み、
前記固体状チタン触媒成分に含まれるチタン1モルに対する、前記極性物質の使用量が0.5〜10モルである方法である。
オレフィンの重合に用いられる触媒は、その重合活性が高いことが求められるのが通常である。しかしながら、エチレン系重合体粒子(平均粒径:約8〜35μm)を製造するには、平均粒径の小さい触媒成分(平均粒径:約1μm以下)を用いる必要があるが、このような平均粒径の小さい触媒成分は、比表面積が大きいため、触媒活性が高すぎる傾向にあり、得られるエチレン系重合体が凝集しやすくなることが分かった。本発明者が鋭意検討した結果、固体状チタン触媒成分を所定量の極性物質で変性処理することで、重合活性を調整・低下させながらも、最適な重合活性を有する固体状チタン触媒成分を得ることができ、しかも該固体状チタン触媒成分を用いることで、凝集が抑制され、嵩密度の大きいエチレン系重合体粒子を容易に製造できることを見出した。
重合活性が高いことが求められる触媒の活性を低下させようとする発明は、当業者が従来考えなかった思想に基づくため、従来の方法とは全く異なる新規な方法である。
前記工程Aは、極性物質と、マグネシウム、ハロゲン、チタンおよび電子供与体を含む固体状チタン触媒成分とを接触させる工程であれば特に制限されないが、不活性媒体中でこれらを接触させる工程であることが好ましい。
工程Aで用いる極性物質は、1種でもよく、2種以上でもよい。
工程Aで用いる固体状チタン触媒成分は、2種以上であってもよいが、通常1種である。
極性物質の使用量が前記範囲にあることで、最適な重合活性を有する変性固体状チタン触媒成分を得ることができ、該変性固体状チタン触媒成分を用いたエチレンを含むオレフィンの重合において、凝集が抑制され、嵩密度の大きいエチレン系重合体粒子を容易に製造することができる。
また、工程Aにおける前記不活性媒体の使用量は、固体状チタン触媒成分の濃度が、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜8重量%となる量である。
前記極性物質としては特に制限されないが、前記固体状チタン触媒成分の触媒活性、特にオレフィン重合活性を調整・低下させることができる化合物が挙げられ、このような物質としては、アルコール、エステル、アミン、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エーテル等が好ましい。
なお、前記の極性物質の性能により、固体状チタン触媒成分の変性に用いる量は適宜調整される。
これらの中でも、最適な重合活性を有する変性固体状チタン触媒成分を得ることができ、該変性固体状チタン触媒成分を用いたエチレンを含むオレフィンの重合において、凝集が抑制され、嵩密度の大きいエチレン系重合体粒子を容易に製造することができる等の点から、例えばエタノールを好適に用いることができる。
これらの中でも、最適な重合活性を有する変性固体状チタン触媒成分を得ることができ、該変性固体状チタン触媒成分を用いたエチレンを含むオレフィンの重合において、凝集が抑制され、嵩密度の大きいエチレン系重合体粒子を容易に製造することができる等の点から、例えば、安息香酸エチルを好適に用いることができる。
前記アルデヒドとしては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、オクチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド等の炭素数2〜15のアルデヒド類などが挙げられる。
前記ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンゾキノン、シクロヘキサノン等の炭素数3〜15のケトン類などが挙げられる。
前記カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、テレフタル酸などが挙げられる。
前記エーテルとしては、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、エチレンオキシドやテトラヒドロフラン等の環状エーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテルなどが挙げられる。
前記固体状チタン触媒成分としては、マグネシウム、ハロゲン、チタンおよび電子供与体を含めば特に制限されないが、前記工程Aを行う効果がより発揮される等の点から、平均粒径が1μm以下である触媒成分であることが好ましい。
平均粒径が8〜35μmにあるエチレン系重合体粒子を得るため、前記平均粒径の触媒成分を用いるが、このような平均粒径の従来の触媒成分を用いた場合には、得られるエチレン系重合体の凝集が顕著であるため、本触媒成分の製法の効果が顕著に発揮される。
このような平均粒径の触媒成分を用いることで、平均粒径が8〜35μmにあるエチレン系重合体粒子を容易に得ることができ、また、本触媒成分の製法によれば、このような平均粒径の触媒成分を用いても、凝集が抑制され、嵩密度の大きいエチレン系重合体粒子を容易に製造することができる。
(I)前記接触を、活性水素を有さない電子供与体の共存下で行う
(II)前記工程後に、得られた固体生成物と活性水素を有さない電子供与体とを接触させる
前記還元能を有さないマグネシウム化合物(以下「Mg化合物」ともいう。)としては、マグネシウム−炭素結合やマグネシウム−水素結合を有さないマグネシウム化合物等が挙げられ、還元能を有するマグネシウム化合物から誘導された化合物であってもよい。
前記工程aで用いられる液状Mg化合物は、1種でもよく、2種以上でもよい。
該炭化水素溶媒および電子供与体はそれぞれ、1種でもよく、2種以上でもよい。
これらの中では、電子供与体を用いる場合には、一般的には、高温に維持する必要があるので、固体状チタン触媒成分の調製上からは、炭化水素溶媒に溶解させた溶液が好ましく、該溶液を用いることで、高性能の固体状チタン触媒成分を容易に得ることができる。
一方、炭化水素溶媒として芳香族炭化水素類を用いると、アルコールの種類によらず、前記アルコールの使用量でハロゲン含有マグネシウム化合物を可溶化できる。
具体的には、例えば、前記アルコール、アミン、アルデヒド、カルボン酸等を溶解した炭化水素溶媒に、アルキル基、アルコキシ基、アリルオキシ基、アシル基、アミノ基、水酸基等を有するマグネシウム化合物、酸化マグネシウム、マグネシウム金属などを溶解または懸濁させ、ハロゲン化水素、ハロゲン化ケイ素、ハロゲンなどのハロゲン化剤でハロゲン化しつつ、還元能を有さないハロゲン含有マグネシウム化合物を生成することにより、前記Mg化合物の炭化水素溶媒溶液を調製する方法が挙げられる。
[式中、Mはアルミニウム、亜鉛、ホウ素またはベリリウム原子であり、R1およびR2はそれぞれ独立に炭化水素基であり、XおよびYはそれぞれ独立に、OR3、OSiR4R5R6、NR7R8またはSR9で表される基であり、R3〜R8はそれぞれ独立に、水素原子または炭化水素基であり、R9は炭化水素基であり、a>0、b>0、p≧0、q≧0、r≧0、s≧0、b/a≧0.5、p+q+r+s=ma+2b(mはMの原子価)、0≦(r+s)/(a+b)<1.0を満たす。]
前記チタン化合物(以下「Ti化合物」ともいう。)としては、下記式(2)で表される4価のチタン化合物が好ましい。
前記工程aで用いられる液状Ti化合物は、1種でもよく、2種以上でもよい。
Ti(OR)gX4-g ・・・(2)
[Rは独立に炭化水素基であり、Xは独立にハロゲン原子であり、gは0〜4である。]
これらの中では、ハロゲン含有チタン化合物が好ましく、テトラハロゲン化チタンがより好ましく、四塩化チタンが特に好ましい。
前記活性水素を有さない電子供与体としては、有機酸エステル、酸ハライド、有機酸無水物、エーテル、アルデヒド、ケトン、第三級アミン、亜リン酸エステル、リン酸エステル、リン酸アミド、酸アミド、ニトリル等が挙げられる。
前記固体状チタン触媒成分の調製で用いる活性水素を有さない電子供与体は、1種でもよく、2種以上でもよい。
これらの中では、有機酸エステル、特に芳香族カルボン酸エステルが好ましい。
また、前記活性水素を有さない電子供与体は、他の化合物との付加化合物や錯化合物の形で使用することもできる。
前記工程aにおいて、液状Mg化合物と、液状Ti化合物とを、液状状態において接触させる工程は、活性水素を有さない電子供与体の共存下で行ってもよい。
この場合、液状Mg化合物および/または液状Ti化合物自体が、活性水素を有さない電子供与体を含む場合には、前記接触の際に、活性水素を有さない電子供与体を新たに加える必要はないが、活性水素を有さない電子供与体を、液状Mg化合物および/または液状Ti化合物に予め加え、さらに、活性水素を有さない電子供与体を添加しつつ、前記接触を行ってもよい。
なお、前記電子供与体として、活性水素を有さない電子供与体自体を用いる場合のみならず、活性水素を有さない電子供与体となり得る化合物を用い、反応により活性水素を有さない電子供与体を生成させてもよい。
液状Ti化合物中のTi化合物の量は、液状Mg化合物と液状Ti化合物との接触において、特別な析出工程を行うことなしに固体状チタン触媒成分を形成することができる量であることが好ましい。
活性水素を有さない電子供与体を多量に用いても、液状Ti化合物中のTi化合物の使用量などを調節すれば、高性能の固体状チタン触媒成分が得られる傾向にあるが、容易に高性能の固体状チタン触媒成分を得ることができる等の点から、活性水素を有さない電子供与体の使用量は前記範囲にあることが好ましい。
前記液状Mg化合物と液状Ti化合物とを接触させる際には、これらの接触によって、急速に固体生成物が生じないような十分に低い温度で両者を混合し、昇温して徐々に固体生成物を生成する方法が好ましい。この方法によれば、比較的粒径の大きい顆粒状または球状の固体状チタン触媒成分が得られる傾向にある。さらにこの接触の際に、活性水素を有さない電子供与体を適当量存在させることにより、一層粒度分布が狭く、顆粒状または球状の固体状チタン触媒成分を得ることができる。このようにして得られた固体状チタン触媒成分を前記工程Aにより変性した成分を用いてスラリー重合により重合体を製造すると、顆粒状または球状で、粒度分布が狭く、嵩密度が大きい、流動性に優れる重合体を容易に得ることができる。
なお、ここで顆粒状とは、該粒子を拡大写真で見た場合に、あたかも微粉末が集合した粒状のことをいう。
なお、接触させる際の液状Mg化合物の温度と、液状Ti化合物の温度は異なっていてもよい。
一般には、前記顆粒状または球状の好ましい形状で、かつ、高性能の固体状チタン触媒成分を得るには、前述のように、液状状態の還元能を有さないマグネシウム化合物と液状状態のチタン化合物とを接触させる際の接触温度としては、あまり高い温度を採用しないほうが好ましいことが多く、該接触温度としては、好ましくは約−70〜+50℃である。
接触温度が低いと、固体生成物の析出が認められない場合があるため、この場合には、昇温して、好ましくは約50〜150℃に昇温して反応させるか、または、長時間の接触により固体生成物を析出させることが好ましい。
前記固体状チタン触媒成分の調製方法では、前記工程a後に、前記接触により得られた固体生成物と活性水素を有さない電子供与体とを接触させてもよい。
この要件(II)を満たす方法としては、まず、液状Mg化合物と液状Ti化合物とを、前記要件(I)の欄で記載した量および条件と同様の量および条件で接触させて固体生成物を含む懸濁液を得た後、該懸濁液に活性水素を有さない電子供与体を添加し、例えば、0〜150℃程度の温度で反応させる方法が好ましい。
ここで添加する活性水素を有さない電子供与体の量は、前記要件(I)の欄で記載した量と同様の量が好ましい。
前記固体状チタン触媒成分の組成としては、マグネシウム/チタン(原子比)が、通常約2〜100、好ましくは約4〜50、より好ましくは約5〜30であり、ハロゲン/チタン(原子比)が、通常約4〜100、好ましくは約5〜90、より好ましくは約8〜50であり、電子供与体/チタン(モル比)が、通常約0.01〜100、好ましくは約0.2〜10、より好ましくは約0.4〜6である。
本発明に係る、平均粒径が8〜35μmであるエチレン系重合体粒子の製造方法(以下「本重合体粒子の製法」ともいう。)は、
前記変性固体状チタン触媒成分と、
周期律表第I族〜第III族から選ばれる金属元素を含む有機金属化合物触媒成分と
を含むオレフィン重合用触媒の存在下で、エチレンを含むオレフィンを重合する工程を含む。
周期律表第I族〜第III族から選ばれる金属元素を含む有機金属化合物触媒成分としては、分子内に少なくとも1個のAl−炭素結合を有する有機アルミニウム化合物(b1)(例:下記式(3)で表される有機アルミニウム化合物);下記式(4)で表される周期律表第I族金属とアルミニウムとの錯化合物(b2);下記式(5)で表される化合物(b3)等が挙げられる。
[式(3)中、R1およびR2はそれぞれ独立に、炭化水素基、好ましくは炭素数1〜15の炭化水素基、より好ましくは炭素数1〜4の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、m、n、pおよびqはそれぞれ、0<m≦3、0≦n<3、0≦p<3、0≦q<3、m+n+p+q=3を満たす。]
[式(4)中、M1は、Li、NaまたはKであり、R1は前記式(3)のR1と同義である。]
[式(5)中、R1は、前記式(3)のR1と同義であり、R3は、前記式(3)のR1またはハロゲン原子であり、好ましくは前記式(3)のR1であり、M2は、Mg、ZnまたはCdである。]
[式(3−1)中、R1、R2およびmはそれぞれ独立に、前記式(3)のR1、R2およびmと同義であり、mは、好ましくは1.5≦m≦3である。]
[式(3−1)中、R1、Xおよびmはそれぞれ独立に、前記式(3)のR1、Xおよびmと同義であり、mは、好ましくは0<m<3である。]
[式(3−3)中、R1およびmはそれぞれ独立に、前記式(3)のR1およびmと同義であり、mは、好ましくは2≦m<3である。]
[式(3−4)中、R1、R2、X、m、nおよびqはそれぞれ独立に、前記式(3)のR1、R2、X、m、nおよびqと同義であり、m+n+q=3である。]
本重合体粒子の製法で重合するオレフィンとしては、エチレンを含めば特に制限されず、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどのα−オレフィン;共役ジエンや非共役ジエンなどの不飽和化合物等を用いてもよい。
前記α−オレフィンおよび不飽和化合物はそれぞれ、1種でもよく、2種以上でもよい。
前記重合としては、エチレンの単独重合であってもよく、エチレンと他のモノマーとのランダム共重合でもよく、ブロック共重合でもよい。実質的にエチレンの単独重合となる場合が好ましい。
前記重合法としては、液相法、気相法などの従来公知のいずれの方法であってもよい。好ましいのは液相重合である。特に、液相の懸濁重合が好ましい。また、前記重合は、回分式、反連続式、連続式のいずれの方法でもよく、反応条件の異なる2段階以上に分けて行ってもよい。
本発明に係るエチレン系重合体粒子(以下「本粒子」ともいう。)は、
・平均粒径が8〜35μmであり、
・嵩密度が210〜450g/Lであり、
・粒子形状画像解析装置で解析した、円形度が0.8以上である粒子の割合が19%以上であり、
・極限粘度「η」が8〜25dl/gである。
前記本重合体粒子の製法によれば、このような本粒子を容易に製造することができる。
平均粒径が前記範囲にあると、本粒子をゴムやエンジニアプラスチック等に添加しやすく、添加することで、ゴムやエンジニアプラスチックの摺動性を改善することができる。
嵩密度が前記範囲にあると、本粒子を焼結フィルター等の用途に用いた場合、所望の強度を有するフィルターを容易に得ることができる。
極限粘度が前記範囲にあると、本粒子を用いて得られる成形体に、耐摩耗性、耐衝撃強度、耐薬品性、高強度(高延伸性)などを付与することができる。
平均分子量が前記範囲にあると、本粒子を用いて得られる成形体に、耐摩耗性、耐衝撃強度、耐薬品性、高強度(高延伸性)などを付与することができる。
なお、前記平均分子量の値は、ASTM D4020法により[η]より換算した値である。
円形度が0.8以上である粒子の割合が前記範囲にある本粒子は、凝集が抑制された粒子であるといえ、所望の用途に好適に用いることができる。
円形度が0.8以上である粒子の円相当径が前記範囲にある本粒子は、凝集が抑制された粒子であるといえ、所望の用途に好適に用いることができる。
平均円相当径が前記範囲にあると、該粒子をゴムやエンジニアプラスチック等に添加して得られる成形体の摺動性を改善することができる。
<固体状チタン触媒成分の調製>
無水塩化マグネシウム4.76g(50mmol)、デカン25mL、および2−エチルヘキシルアルコール23.2mL(150mmol)を、120℃で2時間加熱し、均一溶液を得た後、そこに、安息香酸エチル0.5mL(3.4mmol)を添加した。得られた溶液を、0℃で保持した四塩化チタン200mL(182mmol)中に1時間にわたって滴下した。
滴下後の混合物を80℃に昇温後、安息香酸エチル2.3mL(15.6mmol)を添加し、2時間撹拌下に保持した後、固体状物を濾過によって採取した。採取した固体状物を200mLの四塩化チタンに再び懸濁させ、90℃で2時間加熱反応を行った後、濾過により、固体状物を採取し、洗液中に遊離のチタン化合物が検出されなくなるまで精製ヘキサンで十分に洗浄し、その後乾燥することで、固体状チタン触媒成分を得た。
また、SEM画像解析から算出した、得られた固体状チタン触媒成分の平均粒径は、0.7μmであった。
窒素雰囲気下、室温にて、前記で得られた固体状チタン触媒成分3.1gに、デカン196mLを加えた。ここに、固体状チタン触媒成分中のチタン原子に対するモル比が3となるようにエタノール(エタノール/チタン=3)を加えて1時間撹拌した。撹拌後、さらに、デカン575mLを加え、15分間撹拌することでスラリーを得た。このスラリーを1時間静置後、上澄みのデカン575mLを取り除き、同量のデカンを加えることで洗浄を行った。この洗浄(デカンの添加、15分の撹拌、スラリーの1時間静置、上澄みの取り除き)を3回繰り返すことで、変性固体状チタン触媒成分を調製した。
前記で得られた変性固体状チタン触媒成分に、アルミニウム/チタン=1(モル比)となるようにトリエチルアルミニウムを添加し、超音波洗浄機にて超音波解砕処理(28kW、30分)を行うことで、オレフィン重合用触媒(スラリー)を調製した。
充分に窒素置換した内容積1.0LのSUS製オートクレーブに、デカン0.5Lを装入し、攪拌速度150rpmで攪拌しながら、系内を65℃まで昇温した。その後、トリイソブチルアルミニウムを0.5ミリモル、前記で得られたオレフィン重合用触媒を、マグネシウム原子換算で0.033ミリモルとなるように加えた。
続いて、オートクレーブを密閉し、撹拌速度を350rpmとして70℃に昇温した後、水素を15mL添加した。続いて、エチレンを0.24L/minの流量で連続的に添加し、エチレンの積算流量が90Lになるまで重合を行った。冷却後、オートクレーブを解放し、得られた粒子を濾過により回収し、80℃減圧下で一晩乾燥させた。その結果、ポリエチレン粒子98.1gを得た。
得られたポリエチレン粒子をデカリンに溶解させ、温度135℃のデカリン中で常法に従い、ポリエチレン粒子の[η]を測定した。結果を表2に示す。
JIS K 6721に従って、得られたポリエチレン粒子の嵩密度を測定した。結果を表2に示す。
得られたポリエチレン粒子について、PITA−3(粒子形状画像解析装置、セイシン企業(株)製、分散媒:イソプロピルアルコール、測定範囲:5〜300μm、測定粒子数:1500〜5000個)を用いて解析を行い、全粒子の平均円相当径、円形度、および円形度0.8以上の粒子の割合および円形度0.8以上の粒子の円相当径を算出した。
なお、画像解析の結果より、円形度0.8以上の粒子を1次粒子と定義し、この割合を1次粒子の割合と判断した。結果を表3に示す。
得られたポリエチレン粒子について、その1次粒子の平均粒径をSEM画像解析(測定粒子数300個以上での個数平均)にて算出した。結果を表3に示す。
前記変性固体状チタン触媒成分の調製において、エタノールの使用量を、下記表1に示す量に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリエチレン粒子を製造した。
前記変性固体状チタン触媒成分の調製において、エタノールの代わりに安息香酸エチルを用い、その使用量を、下記表1に示す量に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリエチレン粒子を製造した。
前記変性固体状チタン触媒成分の調製において、エタノールを使用しなかった以外は実施例1と同様にして、ポリエチレン粒子を製造した。
例えば、嵩密度が小さく、凝集の多い重合体粒子は、焼結フィルター等の用途に該粒子を用いる場合、強度低下の原因となりうるが、本発明によれば、焼結フィルター等の用途に好適に用いることができるエチレン系重合体粒子を容易に得ることができる。
Claims (10)
- 極性物質と、マグネシウム、ハロゲン、チタンおよび電子供与体を含む固体状チタン触媒成分とを接触させる工程を含み、
前記固体状チタン触媒成分に含まれるチタン1モルに対する、前記極性物質の使用量が0.5〜10モルである、
エチレン系重合体粒子製造用の変性固体状チタン触媒成分の製造方法。 - 前記エチレン系重合体粒子の平均粒径が8〜35μmである、請求項1に記載の変性固体状チタン触媒成分の製造方法。
- 前記固体状チタン触媒成分の平均粒径が1μm以下である、請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記固体状チタン触媒成分が、
液状状態の還元能を有さないマグネシウム化合物と、液状状態のチタン化合物とを、液状状態において接触させることによって、固体生成物を形成する工程を含み、下記(I)または(II)を満たす方法で得られる成分である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
(I)前記接触を、活性水素を有さない電子供与体の共存下で行う
(II)前記工程後に、得られた固体生成物と活性水素を有さない電子供与体とを接触させる - 前記極性物質が、アルコール、エステル、アミン、アルデヒド、ケトン、カルボン酸およびエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記極性物質が、エタノールおよび安息香酸エチルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記極性物質がアルコールである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法で得られた変性固体状チタン触媒成分と、
周期律表第1族、第2族および第13族から選ばれる金属元素を含む有機金属化合物触媒成分と
を含むオレフィン重合用触媒の存在下で、エチレンを含むオレフィンを重合する工程を含む、
平均粒径が8〜35μmであるエチレン系重合体粒子の製造方法。 - 前記エチレンを含むオレフィンを重合する工程が、エチレンを含むオレフィンを液相で懸濁重合する工程である、請求項8に記載の製造方法。
- 前記エチレン系重合体粒子が、さらに下記要件(A)〜(C)を満たす、請求項8または9に記載の製造方法。
要件(A):嵩密度が210〜450g/L
要件(B):粒子形状画像解析装置で解析した、円形度が0.8以上である粒子の割合が19%以上
要件(C):極限粘度「η」が8〜25dl/g
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JP2017126303A JP6914747B2 (ja) | 2017-06-28 | 2017-06-28 | 変性固体状チタン触媒成分の製造方法、エチレン系重合体粒子の製造方法およびエチレン系重合体粒子 |
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