JP6914182B2 - 被覆アーク溶接棒 - Google Patents

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Description

本発明は被覆アーク溶接棒に関し、特にラインパイプ等の構造物に用いられる13Crマルテンサイト系ステンレス鋼の溶接に好適に用いられる被覆アーク溶接棒に関する。
石油及び天然ガスの輸送に用いられるラインパイプの材料のひとつとして13Crマルテンサイト系の鋼板が挙げられる。13Crマルテンサイト系の鋼板はCr−Ni系の鋼板と比べて溶接性が悪い。そこで、13Crマルテンサイト系鋼板の溶接に用いられる被覆アーク溶接棒として、マルテンサイトの析出を抑制し、結晶粒微細化に寄与する元素としてNb、Ti、Al等が添加された溶接棒の開発が進められている。
例えば特許文献1では、Nb、Ti、Al入りの含Cr被覆アーク溶接棒において、Ni及びVを心線又は被覆剤の一方、又は両方にそれぞれ適量含有させて、溶融金属中にNi、Vを微量添加することにより、200〜400℃といった高温強度が高められている。
また、13Crマルテンサイト系の鋼板が改良され、鋼板としての高耐食性、高強度、及び高靱性を有し、さらには低硬度化による良好な応力腐食割れ抵抗性を備えた材料の開発も進められている。当該鋼板に対し、特許文献2では、溶接棒において特定の化学組成を採用することで、高耐食性、高強度、高靱性を有し、低硬度で応力腐食割れ感受性が改良された溶接継手を形成できる13Cr系ステンレス鋼溶接棒が開示されている。
特開平05−111790号公報 特開平08−103887号公報
しかしながら、13Crマルテンサイト系の鋼板に対する被覆アーク溶接棒を用いた溶接に際し、溶接棒に求められる性能としては、引張強度や靱性等の機械的特性だけではなく、良好な溶接作業性も重要である。また、Nb、Ti及びAlは結晶粒微細化に寄与する一方で、溶接棒に添加するとコストの上昇を招く。
上記実情に鑑みて、本発明では、機械的特性に優れた溶接金属を得ることができるとともに溶接作業性に優れ、さらには低コストで得られる被覆アーク溶接棒を提供することを目的とする。
より具体的には、本発明では、13Crマルテンサイト系鋼板の被覆アーク溶接において好適に使用される被覆アーク溶接棒であって、0.2%耐力、引張強度、伸び及び靱性といった各種機械的特性に優れた溶接金属を得ることができるとともに、スパッタ発生量、ビード外観及びスラグ剥離性といった溶接作業性に優れ、Nb、Ti及びAlを実質的に含まずに低コストで得られる被覆アーク溶接棒を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、Nb、Ti及びAlを実質的に含まずとも、溶接棒を構成する化学組成を特定のものとすることにより、機械的特性に優れた溶接金属を得ることができるとともに優れた溶接作業性が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の被覆アーク溶接棒は、心線及び被覆剤を含み、前記心線の少なくとも一部が前記被覆剤で覆われている被覆アーク溶接棒であって、溶接棒全質量に対して、C:0.01〜0.13質量%、Si:0.1〜1.1質量%、Mn:0.1〜1.2質量%、Ni:0.01〜0.8質量%、Mo:0.01〜0.8質量%、及びCr:9.0〜11.4質量%を含有し、Nb、Ti及びAlを実質的に含有せず、各成分の含有量が
(Cr+Mo+1.5×Si)/(Ni+30×C+0.5×Mn)≦6.5
の関係式を満たす。
一態様において上記被覆アーク溶接棒は、前記被覆剤が、被覆剤全質量に対して、TiO:5.0〜40.0質量%、SiO:5.0〜20.0質量%、炭酸塩:19.0〜46.0質量%、及びCaF:5.0〜20.0質量%を含有し、溶接棒全体における前記被覆剤による被覆率が20〜40質量%であってもよい。
また、一態様において上記被覆アーク溶接棒は、溶接棒全質量に対して、Cu:0.001〜0.3質量%をさらに含有してもよい。
本発明に係る被覆アーク溶接棒によれば、13Crマルテンサイト系鋼板の被覆アーク溶接において、スパッタ発生量、ビード外観及びスラグ剥離性といった溶接作業性に優れ、さらには0.2%耐力、引張強度、伸び及び靱性といった各種機械的特性にも優れた溶接金属を、コストをかけることなく得ることができる。
図1は、得られた被覆アーク溶接棒の溶接作業性及び機械的特性の評価を行うために用いる溶着金属試験体の構造を示すための模式図である。
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また本明細書において、数値範囲を示す「〜」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本実施形態に係る被覆アーク溶接棒(以下、単に「溶接棒」と称することがある。)は、心線及び被覆剤を含み、前記心線の少なくとも一部が前記被覆剤で覆われており、溶接棒全質量に対して、C:0.01〜0.13質量%、Si:0.1〜1.1質量%、Mn:0.1〜1.2質量%、Ni:0.01〜0.8質量%、Mo:0.01〜0.8質量%、及びCr:9.0〜11.4質量%を含有し、Nb、Ti及びAlを実質的に含有せず、各成分の含有量が下記関係式を満たす。
(Cr+Mo+1.5×Si)/(Ni+30×C+0.5×Mn)≦6.5
以下、本実施形態に係る被覆アーク溶接棒の各成分について、溶接棒全質量に対する含有量を説明する。なお本明細書において、溶接棒全質量とは溶接棒を構成する心線の質量と被覆剤の質量の合計を意味する。
<C:0.01〜0.13質量%>
Cは溶接金属の引張強度を向上させる元素である。そのため、溶接棒全質量に対するC含有量は0.01質量%以上であり、0.03質量%以上が好ましく、0.04質量%以上がより好ましい。
一方で、Cを過剰に含有すると引張強度が高くなり過ぎて、靱性の劣化や溶接低温割れを生じさせる。そのため、C含有量は0.13質量%以下であり、0.11質量%以下が好ましく、0.09質量%以下がより好ましい。
<Si:0.1〜1.1質量%>
Siは溶接施工時の溶融プールの脱酸や流動性を改善させる元素である。そのため、溶接棒全質量に対するSi含有量は0.1質量%以上であり、0.3質量%以上が好ましく、0.4質量%以上がより好ましい。
一方、Siの添加によってδ−フェライト相が増加し、靱性が劣化する。そのため、Si含有量は1.1質量%以下であり、1.0質量%以下が好ましく、0.9質量%以下がより好ましい。
<Mn:0.1〜1.2質量%>
Mnは溶接時に脱酸及び脱硫の効果があり、酸素系ガスによるブローホール(BH)を抑制する効果がある。さらに、Mnはオーステナイト相を形成する元素でもあり、オーステナイト組織を安定化させ、溶接金属の靱性低下を抑制する。そのため、溶接棒全質量に対するMn含有量は0.1質量%以上であり、0.3質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。
一方、Mnを過剰に含有すると、δ−フェライト相の減少に伴って引張強度が低下する。そのため、Mn含有量は1.2質量%以下であり、1.0質量%以下が好ましく、0.9質量%以下がより好ましい。
<Ni:0.01〜0.8質量%>
Niは耐食性を改善するために有効であり、オーステナイト相を安定化させてδ−フェライト相の形成を防ぐ元素である。そのため、溶接棒全体に対するNi含有量は0.01質量%以上であり、0.05質量%以上が好ましく、0.07質量%以上がより好ましい。
一方、Niを過剰に含有すると、δ−フェライト相の減少に伴って引張強度が低下する。そのため、Ni含有量は0.8質量%以下であり、0.7質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。
<Mo:0.01〜0.8質量%>
Moは耐食性を改善するために有効である。そのため、溶接棒全体に対するMo含有量は0.01質量%以上であり、0.03質量%以上が好ましく、0.04質量%以上がより好ましい。
一方、Moはフェライト相を形成する強力な元素でもあることから、Moの含有量が多すぎると溶接金属中に存在するδ−フェライト相が多くなり、靱性が低下する。そのため、Mo含有量は0.8質量%以下であり、0.6質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。
<Cr:9.0〜11.4質量%>
Crはステンレス鋼としての耐食性を得るための基本元素である。そのため、溶接棒全体に対するCr含有量は9.0質量%以上であり、9.2質量%以上が好ましく、9.4質量%以上がより好ましい。
一方、Crはフェライト相を形成する強力な元素でもあることから、Crの含有量が多すぎると溶接金属中に存在するδ−フェライト相が多くなり、靱性が低下する。そのため、Cr含有量は11.4質量%以下であり、11.1質量%以下が好ましく、11.0質量%以下がより好ましい。
<Nb、Ti及びAl>
Nb、Ti及びAlはいずれも結晶粒の微細化に寄与する元素であり、靱性を向上することができる。しかしながら、Nb、Ti及びAlによる前記効果を得るためには一定量以上の添加が必要であり、コストの上昇を招く。そこで、本実施形態に係る溶接棒においては、Nb、Ti及びAlは実質的に含有しない。本明細書において「実質的に含有しない」とは、原料としての積極的な添加は行わないことを意味し、他原料の不可避的不純物として混入する場合は排除されない。
具体的には、溶接棒全体に対するNb、Ti及びAlの合計の含有量(Nb+Ti+Al)は0.05質量%以下が好ましい。
<Cu>
Cuを過剰に含有すると、δ−フェライト相の減少に伴って引張強度が低下する。またCuは金属の中でも高価な成分でありコストの上昇を招く。そのため、Cuは溶接棒に必須の構成成分ではなく、原料として積極的に添加しなくともよい。
一方、Cuは耐食性を改善するために有効であり、オーステナイト相を安定化させてδ−フェライト相の形成を防ぐ元素である。Cuを含有する場合には、溶接棒全体に対するCu含有量は0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましい。また、0.3質量%以下が好ましく、0.2質量%以下がより好ましい。
<P、S及びN>
P、S及びNは溶接棒に必須の構成成分ではなく、原料として積極的に添加しなくともよい。一方、Nは靱性の低下、P及びSは溶接割れに影響する元素であることから、その含有量は制限されることが望ましい。溶接棒全体に対するP含有量は0.030質量%以下が好ましく、0.020質量%以下がより好ましい。S含有量は0.020質量%以下が好ましく、0.010質量%以下がより好ましい。N含有量は0.10質量%以下が好ましく、0.05質量%以下がより好ましい。
上記成分のうち、C、Si、Mn、Ni、Mo及びCrはその含有量が下記関係式を満たすことで、機械的特性が良好なものとなる。
(Cr+Mo+1.5×Si)/(Ni+30×C+0.5×Mn)≦6.5
式中の元素記号は、各成分の溶接棒全質量に対する含有量(質量%)を意味している。
関係式における(Cr+Mo+1.5×Si)はシェフラーの組織図におけるCr当量を意味し、(Ni+30×C+0.5×Mn)はシェフラーの組織図におけるNi当量を意味する。すなわち、(Cr当量/Ni当量)で表される値が6.5以下であることにより良好な機械的特性を得ることができる。
上記関係式で表される(Cr当量/Ni当量)の値は6.0以下が好ましく、5.0以下がより好ましい。
なお、シェフラーの組織図におけるCr当量は一般的に(Cr+Mo+1.5×Si+0.5×Nb)で表されるが、本実施形態においてNbは実質的に含有しないことから、該Cr当量を(Cr+Mo+1.5×Si)で表す。
本実施形態に係る被覆アーク溶接棒における被覆剤について以下に説明する。
本実施形態に係る被覆アーク溶接棒は、心材となる心線の少なくとも一部が被覆剤により覆われている。溶接棒全体における被覆剤による被覆率(%)は下記式により算出することができる。
(被覆剤の質量/被覆アーク溶接棒全体の質量)×100(%)
シールド不足による溶接金属の靱性及び耐割れ性を低下する観点から、被覆率は20質量%以上が好ましく、24質量%以上がより好ましい。また、アーク安定性を維持し、良好なビード形状を保つため、被覆率は40質量%以下が好ましく、36質量%以下がより好ましい。
本実施形態における被覆剤となる外皮の材質は、鋼種等特に制限なく使用することができる。中でも、被覆剤中の各成分について、被覆剤全質量に対する好ましい含有量を以下に説明する。
<TiO:5.0〜40.0質量%>
TiOはアークスタートを容易にし、溶接中のアーク安定性を向上させる成分である。さらには、TiOはスラグ形成剤の主成分であり、スラグ融点を上げてビード形状を整える効果がある。そのため、被覆剤全質量に対するTiO含有量は5.0質量%以上が好ましく、5.5質量%以上がより好ましく、6.0質量%以上がさらに好ましい。
一方、TiOの含有量が多すぎると安定なビード外観が得られないおそれがあることから、TiO含有量は40.0質量%以下が好ましく、39.0質量%以下がより好ましく、38.0質量%以下がさらに好ましい。
<SiO:5.0〜20.0質量%>
SiOはスラグ形成剤として働き、ビードの形状を整える成分である。そのため、被覆剤全質量に対するSiO含有量は5.0質量%以上が好ましく、7.0質量%以上がより好ましく、8.0質量%以上がさらに好ましい。
一方、SiOの含有量が多すぎるとビード外観を損ねるおそれがあることから、SiO含有量は20.0質量%以下が好ましく、18.0質量%以下がより好ましく、17.0質量%以下がさらに好ましい。
<炭酸塩:19.0〜46.0質量%>
炭酸塩は溶接時にCOガスを発生させ、溶接金属中への大気成分の混入を遮断すると共に、同時に塩基性スラグを形成することで溶接金属を保護する成分である。そのため、被覆剤全質量に対する炭酸塩の含有量は19.0質量%以上が好ましい。
一方、炭酸塩の含有量が多すぎるとスパッタが発生するおそれがあることから、炭酸塩の含有量は46.0質量%以下が好ましく、45.0質量%以下がより好ましく、44.0質量%以下がさらに好ましい。
炭酸塩としては、CaCO、BaCO、MgCO等の金属炭酸塩が挙げられるが、これらは1種のみを含んでも2種以上を含んでもよい。
<CaF:5.0〜20.0質量%>
CaFはスラグの融点や粘性を低下させ、流動性のよいスラグを形成する成分であることから、非常に外観のよいビードを形成することができる。またスラグ剥離性を改善する成分でもある。そのため、被覆剤全質量に対するCaFの含有量は5.0質量%以上が好ましく、6.0質量%以上がより好ましく、7.0質量%以上がさらに好ましい。
一方、CaFの含有量が多すぎるとスパッタが発生するおそれがあることから、CaF含有量は20.0質量%以下が好ましく、19.0質量%以下がより好ましく、18.0質量%以下がさらに好ましい。
<被覆アーク溶接棒の残部>
本実施形態に係る被覆アーク溶接棒の残部は、本発明の効果を妨げない成分及び含有量であれば特に限定されない。溶接棒を構成する心線及び被覆剤のどちらに前記成分が含まれていてもよく、心線及び被覆剤の両方に含まれていてもよい。
残部の成分としては、例えば被覆アーク溶接棒全体を構成するFeやその他金属成分(半金属成分を含む)、その他酸化物・フッ化物の他、不可避的不純物等が挙げられる。不可避的不純物とは、原料としての積極的な添加は行わず、他の成分の添加に伴い不可避的に含まれる成分である。
残部の例として、被覆アーク溶接棒全体を構成するFeは溶接棒全質量に対して70〜95質量%含むことが好ましい。
その他金属成分として、例えば、W、V、Zr、Bi、Sn、Sb、Pb、Mg、アルカリ金属、アルカリ土類金属、B、Co、As等が挙げられる。これらは原料として積極的に添加してもよく、実質的に含有しなくてもよい(不可避的成分として含有される場合を含む)。
その他酸化物・フッ化物としては、Al、LiO、NaO、KO、MgO、BaO、SnO、ZrO、Nb、LiF、NaF、BaF、MgF、SrF、AlF等が挙げられる。これら成分も原料として積極的に添加してもよく、実質的に含有しなくてもよい(不可避的成分として含有される場合を含む)。
なお、本実施形態に係る被覆アーク溶接棒の製造方法は特に限定されず、一般的な製造工程で製造すればよい。被覆剤の心線への被覆は例えば、粉状の金属粉等と水ガラスとを混合した泥状の被覆剤を心線の表面に塗布し、乾燥して固化させることで行うことができる。
被覆剤全質量(水ガラスを含む)に対する水ガラスの添加量(乾燥前)は10質量%以上が作業性の点から好ましく、13質量%以上がより好ましい。同様に、作業性の点から25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。
本実施形態に係る被覆アーク溶接棒は、13Crマルテンサイト系鋼板の被覆アーク溶接において使用されることが好ましい。
本実施形態に係る被覆アーク溶接棒を用いて溶接された溶接物の機械的特性は引張試験及びシャルピー衝撃試験により評価する。また溶接時の溶接作業性が良好とは、スパッタ発生量が少ないこと、ビード形状(ビードの波目)が美麗かつ平滑であること、及びスラグ剥離が容易であることを意味する。
<機械的特性:引張試験>
本実施形態に係る被覆アーク溶接棒を用いて溶接された溶接物に対してJIS Z 2241(2011年)に準じた引張試験を行うことで0.2%耐力、引張強度及び伸びについて評価することができる。
0.2%耐力とは除荷時の永久ひずみが0.2%になる応力値である。溶接物の0.2%耐力は450MPa以上であることが好ましく、480MPa以上がより好ましい。
溶接物の引張強度TSは620MPa以上であることが好ましく、650MPa以上であることがより好ましい。一方、引張強度が高すぎると靱性を確保することが難しくなることから、760MPa以下が好ましく、740MPa以下がより好ましい。
溶接物の伸びElは18%以上が好ましく、20%以上がより好ましい。
<機械的特性:シャルピー衝撃試験@20℃>
本実施形態に係る被覆アーク溶接棒を用いて溶接された溶接物に対してJIS Z 2242(2005年)に準じたシャルピー衝撃試験により吸収エネルギーを求めることで、靱性について評価することができる。
20℃における該試験による吸収エネルギーは20J以上が好ましく、30J以上がより好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することが可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
<実施例1〜17及び比較例1〜8>
表1に記載の化学組成の被覆アーク溶接棒を作製した。表1の成分中、残部はFe及び不可避的不純物である。また、0.03質量%未満の成分は、積極的に添加した成分ではなく、不可避的不純物である。
心線への被覆剤の被覆は、粉状の金属粉等と水ガラスとを混合した泥状の被覆剤を心線の表面に塗布し、乾燥して固化させることで行った。
添加した水ガラス量の比率(乾燥前)は表2に示したとおりである。また、得られた被覆アーク溶接棒の心線の線径はいずれも5.0mmであり、被覆アーク溶接棒の被覆剤による被覆率はいずれの例においても27質量%であった。
Figure 0006914182
得られた被覆アーク溶接棒を用いて下記条件で溶接を行った。
溶接は棒径5.0mmφ、長さ400mmの被覆アーク溶接棒を用い、溶接電流140A(AC)、アーク電圧25V、予熱パス間温度250〜300℃の条件下、下向き姿勢で開先形状の試験板溶接を行うことで、図1に示すような溶着金属試験体5を得た。
母材(被溶接鋼材)1はJIS G3106(2015年)で規定されたSM490Aの鋼板を使用した。また、継手となる母材1と裏当て鋼材2の開先面にサーフェシングを行い、供試材による3層のバタリング層3を設けてから、該開先内の溶接を行った。
溶接した際の溶接作業性の評価と、得られた溶着金属試験体5を用いた機械的特性の評価を行った。結果を表2に示す。
溶接作業性は、溶接時のスパッタ発生量が少ないこと、溶接後の溶接金属4のビード形状(ビードの波目)が美麗かつ平滑であること、及び、軽くハンマーを叩く程度以下の力でスラグが剥離すること、のいずれをも満たし、問題なく溶接できたものを表2の「溶接作業性」に○を印した。
各被覆アーク溶接棒を用いて得られた溶着金属試験体に対し、溶接後熱処理(PWHT;710℃5時間、炉冷)を施した溶着金属について、引張試験及びシャルピー衝撃試験を行った。
引張試験は、溶着金属中心より、JIS Z3111(2005年)に規定されたA2号丸棒試験片(6mmφ、標点距離30mm)を採取し、JIS Z 2241(2011年)に準拠して20℃にて実施した。この引張試験により、20℃における0.2%耐力(MPa)、引張強度TS(MPa)及び伸びEl(%)を求めた。
各評価の良好な値は、0.2%耐力:450MPa以上、引張強度TS:620MPa以上760MPa以下、伸びEl:18%以上、である。
シャルピー衝撃試験は、溶着金属の板厚中央部にノッチが位置するように試験片(10×10mm)を3箇所ずつ採取し、ノッチ形状を2mmVとして、JIS Z 2242(2005年)に準拠して20℃にて実施した。この衝撃試験により、20℃における吸収エネルギーνE(J)を求め、靱性の評価を行った。20℃における吸収エネルギーνEの良好な値は20J以上である。
Figure 0006914182
表2の結果から、本実施形態に係る被覆アーク溶接棒は、Nb、Ti及びAlを含有しなくとも、溶接作業性に優れ、また、得られた溶接物の機械的特性にも優れることが分かった。
一方、被覆アーク溶接棒の化学組成においてCを過剰に含むと引張強度が高くなり過ぎ、Cr当量が多過ぎると引張強度が低くなった(比較例1及び8)。Si、Cr及び/又はMoを過剰に含む化学組成であると靱性が劣化した(比較例2、5、7及び8)。さらに、Mn及び/又はNiを過剰に含む化学組成であると0.2%耐力が低下し、Cr当量が多くても0.2%耐力が低下した(比較例3、4及び8)。Crが少なすぎる化学組成の場合には溶接物の伸びが悪くなった(比較例6)。
1 母材(被溶接鋼材)
2 裏当て鋼材
3 バタリング層
4 溶接金属
5 溶着金属試験体

Claims (1)

  1. 心線及び被覆剤を含み、前記心線の少なくとも一部が前記被覆剤で覆われている被覆アーク溶接棒であって、
    溶接棒全質量に対して、
    C:0.01〜0.13質量%、
    Si:0.1〜1.1質量%、
    Mn:0.1〜1.2質量%、
    Ni:0.01〜0.8質量%、
    Mo:0.01〜0.8質量%、
    Cr:9.0〜11.4質量%、
    Cu:0.001〜0.3質量%、
    及び主成分としてFeを含有し、
    Nb、Ti及びAlを実質的に含有せず、
    各成分の含有量が
    (Cr+Mo+1.5×Si)/(Ni+30×C+0.5×Mn)≦6.5
    の関係式を満たし、
    前記被覆剤が、被覆剤全質量に対して、
    TiO:5.0〜40.0質量%、
    SiO:5.0〜20.0質量%、
    炭酸塩:19.0〜46.0質量%、及び
    CaF:5.0〜20.0質量%を含有し、
    溶接棒全体における前記被覆剤による被覆率が20〜40質量%であることを特徴とする、機械的特性に優れた溶接金属を得ることができるとともに溶接作業性に優れる被覆アーク溶接棒
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