JP6913978B2 - 故障検知システム、方法、及びコンピュータプログラム - Google Patents
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Description
本願発明に係るドローン100は複数のセンサーを使用して機体高度を測定することが望ましい。高度の測定には、GPS504、加速度センサー505、気圧センサー507、ソナー509、レーザーセンサー508の組み合わせを使用してよい。また、マルチスペクトルカメラ512、または、障害物検知カメラ513にパッシブ方式のオートフォーカス機能を備えることで対地距離を測定してもよい。この場合に、測定器やセンサーは故障に備えて二重化または多重化することが望ましい。二重化・多重化は同種のセンサーを複数使用することで行なってもよく、複数方式のセンサーを併用することで行なってもよく、その両方によって行なってもよい。
本願発明に係るドローン100は、複数のセンサーを使用して機体速度を測定してよい。速度の測定には、加速度センサー505(加速度の積分により速度が得られる)、GPSドップラー504-3(複数のGPS基地局からの電波の位相差をソフトウェアで処理することで機体速度を測定できる)、または、GPS504が測定した絶対座標の変化等を使用してよい。この場合に、測定器やセンサーは故障に備えて、二重化または多重化することが望ましい。二重化または多重化は同一方式内で行なうと共に、異なる方式間で行なうことが好ましい。たとえば、GPSが電波外乱や測位衛星の障害により利用できない場合には、GPSのみを二重化していた場合に全体障害となってしまうからである。
典型的なドローン100による農薬散布のケースでは、薬剤の重量は10キログラム以上となる。機体部分のみの重量は典型的には25キログラム程度であるため、散布開始時と散布終了間近の時では全体重量には大きな差が生じる。全体重量の変化に応じて、ドローン100の高度および速度を調整してもよい。たとえば、安全基準により、ドローン100の自然落下時の地表での衝撃力が規定されているのであれば、衝撃力は高度と速度と重量により決まる(速度の二乗に比例し、高度と重量に比例する)ため、機体重量が軽い時には制限高度を高くしてもよい。同様に、機体重量が軽い時には制限速度を速くしてもよい。また、飛行速度が速い時には制限高度を低く設定し、飛行高度が高い時には制限速度を遅く設定してもよい。
本実施形態に係る故障検知システムは、薬剤を散布する農業用機械、特に本例では薬剤散布用ドローン100に備えられ、故障を事前に検知する。なお、本実施形態において、「故障している状態」といった場合とは、薬剤が正常に管理された経路から漏出している状態や、逆止弁121-1、121-2、121-3が正常に機能していない状態など、本来想定された動作をドローン100が正確に実行できない状態である。
なお、この薬剤タンク104には、薬剤を充填したり、保管している薬剤を出したりするための開閉可能な蓋が取り付けられている。この開閉可能な蓋には、開閉状態を検知可能な開閉センサー104aが取り付けられている。この開閉センサー104aは例えば、蓋に取り付けられたマグネットと、本体に取り付けられて、このマグネットの磁力や接触を感知する感知器によって構成することができる。これにより蓋の開閉状態を判別して、使用者に蓋の開閉状態を認識可能とし、蓋が開いたまま薬剤の散布が行われるといった事態を防ぐことができる。
この薬剤種別判別センサー104bは例えば、薬剤タンク104内の薬剤の粘度や導電率、あるいはpHを測定することのできる装置によって構成され、測定された各項目の値と、薬剤ごとの基準となる値とを対比し、薬剤の種別を判別することができる。
なお、薬剤は薬剤タンク104から薬剤ノズル103-1、103-2、103-3、103-4へ送出されるところ、本実施形態の説明では、この送出経路に沿って薬剤が送出される方向を下流方向と称し、これとは逆の方向を上流方向と称することがある。なお、薬剤は一部、薬剤タンク104から三方弁122を介して再び薬剤タンク104へ送出されるが、この経路に関しては、三方弁122側を下流方向、薬剤タンク104側を上流方向と称している。
三方弁122から拡張タンク141を介して薬剤タンク104に至る経路は、薬剤中のエア(気泡)を除去(脱泡)するための経路である。この経路を循環させると共に、拡張タンク141に一時的に貯留させることで薬剤の脱泡を行うことができる。
また、逆止弁121-2は、三方弁122と薬剤ノズル103-1、103-2、103-3、103-4の間に設けられている。この逆止弁121-2は、ポンプ106から送出された薬剤を下流方向へ送出させ、ポンプ106へ逆流不能に制御している。
また、逆止弁121-3は、三方弁122と拡張タンク141の間に設けられている。この逆止弁121-3は、三方弁122から送出された薬剤を拡張タンク141のある上流方向へ送出させ、三方弁122へ逆流不能に制御している。
ここで、ポンプ106から薬剤ノズル103-1、103-2、103-3、103-4へつながる経路は、薬剤を薬剤ノズル103-1、103-2、103-3、103-4から吐出させ、薬剤を散布させるための経路である。
また、ポンプ106から拡張タンク141を介して薬剤タンク104へつながる経路は上述の通り、薬剤中の気泡を除去(脱泡)するための経路である。
圧力センサー111-1は、ポンプ106の下流側であって、逆止弁121-2及び三方弁122の上流側に取り付けられ、下流へ吐き出される薬剤の吐出圧を測定する。
圧力センサー111-2は、逆止弁121-2の下流側であって、薬剤ノズル103-1、103-2、103-3、103-4の上流側に取り付けられ、下流へ吐き出される薬剤の吐出圧を測定する。
このポンプ用センサー106aによってポンプ106の回転子の回転数を測定した上、圧力センサー111-1、111-2によって測定された薬剤の吐出圧と対比し、正常時の比率と一致するか否かを判別することで、故障を検知することができる。即ち、正常時に比して、ポンプ106の回転数に応じた薬剤の吐出圧が得られていない場合には、薬剤の漏出が発生して、吐出圧が減少していると推測される。
散布される薬剤ごとの粒子径の違いから、薬剤ノズル103-1、103-2、103-3、103-4は通常、薬剤に応じて用いられるものが異なっている。そのため、薬剤ノズル103-1、103-2、103-3、103-4の種別が適切か否かを判別することで、誤った薬剤の散布を防ぐことができる。
これにより、とりわけ使用予定の薬剤よりも粒子径の小さい薬剤が用いられることで、薬剤のドリフトが引き起こされるのを防ぐことができる。
ここで、所定の安全行動とは、飛行中であれば退避行動、飛行前の準備状態であれば薬剤の散布規制措置あるいは飛行規制措置である。
また、退避行動は、最適化されたルートで所定の帰還地点まで移動する「通常帰還」であってもよい。最適化されたルートとは、例えば、通常帰還指令を受信する前に薬剤散布したルートを参照して算出されるルートである。例えば、ドローン100は、まだ薬剤を散布していないルートを経由して、薬剤を散布しながら所定の帰還地点まで移動する。
さらに、退避行動は、すべての回転翼を停止させてドローン100をその場から下方に落下させる「緊急停止」も含む。
飛行規制措置がとられた場合には、異常の確認や整備がなされない限り、飛行できないように制御されてもよい。
なお、この判断処理部11による処理は、ドローン100の飛行前、即ち、薬剤の散布を行う準備状態において実行する。即ち、ドローン100の使用者は、事前にドローン100の安全性を確認してから、ドローン100を使用して薬剤の散布を行う。
ここで、飛行規制措置又は使用規制措置あるいは散布規制措置は飛行や使用、あるいは自動運転を規制する措置であって、使用者の飛行命令を拒否したり、使用者に状態の確認を要求したりする。逆止弁121-1、121-2、121-3の強制閉弁などが行われてもよい。飛行規制措置あるいは駆動規制措置がなされた場合には、異常の確認や整備がなされない限り、飛行できないように制御されてもよい。この点については、以下の第二の判断処理についても同様である。
これらのステータスを取得するため、ドローン100には、風速測定手段、温湿度測定手段が備えられる。
薬剤中に含まれるエアが許容範囲か否かは例えば、流量センサー510により実際の薬剤の流量に係る情報を取得すると共に、判断処理部11により当該流量と、設定に応じて送出されるべき薬剤の流量とを対比し、所定の許容範囲に収まるか否かを判断する。通常、薬剤中にエアが多く含まれると、設定に比して流量は減るため、このような処理により判断することができる。また、エア抜きは、三方弁122から拡張タンク141を介して薬剤タンク104に至る経路を薬剤に循環させると共に、拡張タンク141に一時的に貯留させることによって行うことができる。
即ち、流量センサーが薬液の流量情報を取得する(S301)。子に応じて判断処理部11は、当該流量情報と、指定あるいは設定された薬剤の流量とを対比し、その誤差が許容範囲に収まるか否かを判断する(S302)。その結果、誤差が許容範囲内であれば、正常なものとして薬液の散布を行う。
一方、誤差が許容範囲外であれば、正常になるまでエア抜きを行う(S303)。
本願発明により、薬剤の散布を行なう農業用機械において、事前に故障を確実に検知し、安全性を高めることができる。特に、センサーによって自動的且つ即座に検知することができる。
また、本システムは薬剤を散布する各種の農業用機械に広く適用することができる。
Claims (12)
- 液体を散布する散布機に備えられ、故障を検知するシステムであって、
前記液体を保管するタンクから前記液体の吐出口に至る経路に設けられた圧力センサーと、
前記散布機の故障を検知する故障検知手段と、を有し、
前記故障検知手段は、前記圧力センサーによって前記液体の吐出圧の経時的変化を取得し、当該取得した液体の吐出圧の経時的変化と、正常時の前記薬剤の吐出圧の経時的変化に基づき、故障を検知する、
故障検知システム。 - 液体を散布する散布機に備えられ、故障を検知するシステムであって、
前記液体を保管するタンクから前記液体の吐出口に至る経路に設けられた圧力センサーと、
前記散布機の故障を検知する故障検知手段と、を有し、
前記故障検知手段は、前記圧力センサーによって前記液体の吐出圧の経時的変化を取得し、当該取得した液体の吐出圧の経時的変化が所定誤差の範囲を超えて低下した場合に、故障を検知する、
故障検知システム。 - 前記散布機には、前記タンクから前記吐出口に至る経路を遮断する遮断機構、が備えられ、
前記故障検知手段は、前記遮断機構によって前記タンクから前記吐出口に至る経路を遮断した状態において、前記圧力センサーによって前記液体の吐出圧を取得し、当該取得した液体の吐出圧に基づき、故障を検知する、
請求項1又は2記載の故障検知システム。 - 前記遮断機構は、逆止弁である、
請求項3記載の故障検知システム。 - 前記遮断機構は、電磁弁である、
請求項3記載の故障検知システム。 - 前記散布機には、前記タンク内に貯留された前記液体を下流へ吐き出すポンプ、が備えられ、
前記ポンプ内において前記液体を前記タンクから吸い込むと共に下流へ吐き出す回転子の回転数を測定するポンプ用センサー、をさらに有し、
前記故障検知手段は前記ポンプ用センサーによって測定されたポンプの回転子の回転数と前記圧力センサーによって測定された液体の吐出圧との比率が、正常時の比率と一致するか否かに基づき、故障を検知する、
請求項1乃至5いずれかの項に記載の故障検知システム。 - 前記故障検知手段により故障が検知された場合、前記散布機に所定の安全行動を取らせる制御手段、をさらに有する、
請求項1乃至6いずれかの項に記載の故障検知システム。 - 前記所定の安全行動は、前記散布機の液体散布中においては前記散布機を退避させる制御であり、前記散布機の液体散布前の準備段階においては前記散布機による液体散布の規制あるいは前記散布機の使用を規制する制御である、
請求項7記載の故障検知システム。 - 前記散布機はドローンである、
請求項1乃至8いずれかの項に記載の故障検知システム。 - 液体を散布する散布機に備えられ、故障を検知するシステムにより実行される方法であって、
前記システムが、
前記液体を保管するタンクから前記液体の吐出口に至る経路に設けられた圧力センサーによって前記液体の吐出圧の経時的変化を取得し、当該取得した液体の吐出圧の経時的変化と、正常時の前記液体の吐出圧の経時的変化に基づき、前記散布機の故障を検知する、
故障検知方法。 - 液体を散布する散布機に備えられ、故障を検知するシステムにより実行される方法であって、
前記システムが、
前記液体を保管するタンクから前記液体の吐出口に至る経路に設けられた圧力センサーによって前記液体の吐出圧の経時的変化を取得し、当該取得した液体の吐出圧の経時的変化が所定誤差の範囲を超えて低下した場合に、故障を検知する、
故障検知方法。 - 液体を散布する散布機に備えられ、故障を検知するシステムにより実行されるコンピュータプログラムであって、
前記システムに対して、
前記液体を保管するタンクから前記液体の吐出口に至る経路に設けられた圧力センサーによって前記液体の吐出圧の経時的変化を取得し、当該取得した液体の吐出圧の経時的変化と、正常時の前記液体の吐出圧の経時的変化に基づき、前記散布機の故障を検知させる、
コンピュータプログラム。
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