JP6911389B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤは、主に排水性を確保するためにトレッド面に溝が形成されているが、従来の空気入りタイヤの中には、さらなる性能の向上を目的として、トレッド面にサイプや細溝を形成しているものがある。例えば、特許文献1に記載された空気入りタイヤでは、一端が周方向溝に開口し、他端が陸部内で終端する補助溝をトレッド面に形成し、陸部には、さらに補助溝を連通するサイプを設けることにより、耐偏摩耗性の向上を図っている。また、特許文献2に記載された空気入りタイヤでは、陸部内で屈曲する補助溝を設け、さらに補助溝に交差する細溝を設けることにより、スノー性能の向上を図っている。
特開2016−128297号公報 特開2014−205410号公報
ここで、オールシーズンタイヤにおいてスノー性能を向上させる場合、陸部内で屈曲する屈曲ラグ溝を設け、溝によるエッジ成分が複数の方向に対して作用させることによって、雪上路面での操縦安定性を確保する手法が挙げられる。しかしながら、ラグ溝が陸部内で屈曲する場合は、屈曲部付近の陸部の剛性が低下し、これに伴い、ドライ路面での操縦安定性が低下する虞がある。
ラグ溝の屈曲部付近の陸部の剛性の低下を抑制するためには、ラグ溝の溝底を底上げする手法があるが、底上げ部付近の陸部の剛性が局所的に高くなり過ぎた場合は、底上げ部付近に位置するトレッド面の、路面への追従性が悪くなる。この場合、雪上路面に対してラグ溝のエッジ成分が効果的に作用し難くなるため、雪上路面での操縦安定性を効果的に向上させ難くなる。このように、雪上路面での操縦安定性である雪上性能と、ドライ路面での操縦安定性であるドライ性能とは、互いに背反する性能であるため、これらを両立させるのは大変困難なものとなっていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、雪上性能とドライ性能とを両立することのできる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延びる複数の周方向溝と、タイヤ幅方向における少なくとも一方の端部が前記周方向溝によって区画される陸部と、前記陸部に形成されると共に一端が前記周方向溝に開口し、他端が前記陸部内で終端し、前記陸部内で鋭角に屈曲する屈曲部を有する屈曲ラグ溝と、少なくとも前記屈曲ラグ溝の前記屈曲部に設けられ、前記屈曲ラグ溝の溝底が底上げされることにより形成される底上げ部と、前記陸部を区画する前記周方向溝に開口して前記陸部に形成されると共に、前記屈曲部の前記溝底を通って、前記屈曲ラグ溝における前記屈曲部の優角側のエッジ間を貫通して形成されるサイプと、を備えることを特徴とする。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記サイプは、前記屈曲ラグ溝における前記屈曲部の劣角側のエッジの屈曲点である劣角側屈曲点と、優角側のエッジの屈曲点である優角側屈曲点との距離をA1とし、前記劣角側屈曲点と優角側屈曲点とを結ぶ仮想線と前記サイプとの交点と、前記劣角側屈曲点との距離をA2とする場合に、A1*(1/10)≦A2≦A1*(8/10)の範囲内となる位置を通ることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記屈曲ラグ溝は、前記底上げ部以外の位置での溝深さD1と、前記底上げ部の位置での溝深さD2との関係が、D1*(2/10)≦D2≦D1*(7/10)の範囲内となり、前記サイプは、前記サイプの深さD3と、前記底上げ部の位置での前記屈曲ラグ溝の溝深さD2との関係が、D2*1.5≦D3≦D2*3.0の範囲内となることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記サイプは、タイヤ周方向に対するタイヤ幅方向への傾斜角θが60°≦θ≦90°の範囲内であることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記サイプは、少なくとも一方の端部が底上げされていることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記底上げ部は、前記屈曲ラグ溝において前記陸部内で終端する側の端部には形成されないことが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記底上げ部は、前記屈曲ラグ溝において前記陸部内で終端する側の端部で、前記溝底がさらに底上げされることが好ましい。
本発明に係る空気入りタイヤは、雪上性能とドライ性能とを両立することができる、という効果を奏する。
図1は、実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド面を示す平面図である。 図2は、図1のA部詳細図である。 図3は、図2のB部詳細図である。 図4は、図3のC−D−C断面図である。 図5は、図3のE部詳細図である。 図6は、図3のF−F断面図である。 図7は、実施形態に係る空気入りタイヤの変形例であり、折り返し部に底上げ部が形成されない部分を有する場合の説明図である。 図8は、図7のG−H−G断面図である。 図9は、実施形態に係る空気入りタイヤの変形例であり、底上げ部の高さが変化する場合の説明図である。 図10は、図9のJ−K−J断面図である。 図11Aは、空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。 図11Bは、空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
以下に、本発明に係る空気入りタイヤの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
以下の説明において、タイヤ幅方向とは、空気入りタイヤの回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道線に向かう方向、タイヤ幅方向外側とは、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道線に向かう方向の反対方向をいう。また、タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸と直交する方向をいい、タイヤ周方向とは、タイヤ回転軸を中心として回転する方向をいう。
図1は、実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド面を示す平面図である。図1に示す空気入りタイヤ1は、タイヤ径方向の最も外側となる部分にトレッド部2が配設されており、トレッド部2の表面、即ち、当該空気入りタイヤ1を装着する車両(図示省略)の走行時に路面と接触する部分は、トレッド面3として形成されている。トレッド面3には、タイヤ周方向に延びる周方向溝20が複数形成されており、この周方向溝20により、トレッド面3には複数の陸部10が形成されている。詳しくは、周方向溝20は、4本がタイヤ幅方向に並んで形成されており、タイヤ幅方向におけるタイヤ赤道線CLの両側に位置する2本の第1周方向溝21と、2本の第1周方向溝21のそれぞれのタイヤ幅方向外側に位置する2本の第2周方向溝22と、が設けられている。また、ここでいう周方向溝20は、溝幅が7mm以上15mm以下の範囲内になっており、溝深さが5mm以上10mm以下の範囲内になっている。
陸部10は、タイヤ幅方向における少なくとも一方の端部が、周方向溝20によって区画されており、陸部10としては、センター陸部11と、セカンド陸部12と、ショルダー陸部13と、が設けられている。このうち、センター陸部11は、2本の第1周方向溝21同士の間に位置しており、タイヤ幅方向における両側の端部が、第1周方向溝21によって区画されている。このため、センター陸部11は、タイヤ赤道線CL上に位置している。また、セカンド陸部12は、隣り合う第1周方向溝21と第2周方向溝22との間に位置しており、タイヤ幅方向内側の端部が第1周方向溝21によって区画され、タイヤ幅方向外側の端部が第2周方向溝22によって区画されている。また、ショルダー陸部13は、タイヤ幅方向における第2周方向溝22の外側に位置しており、タイヤ幅方向内側の端部が第2周方向溝22によって区画されている。これらの陸部10は、それぞれタイヤ周方向に延びるリブ状の陸部10として形成されている。
また、トレッド面3には、タイヤ幅方向に延びるラグ溝30が形成されている。ラグ溝30は、セカンド陸部12に形成される屈曲ラグ溝31と、ショルダー陸部13に形成されるショルダーラグ溝32と、を有しており、それぞれ複数がタイヤ周方向に並んで形成されている。このうち、ショルダーラグ溝32は、タイヤ幅方向に延びつつタイヤ周方向に傾斜する略直線状の溝として形成されており、両端がショルダー陸部13内で終端している。また、屈曲ラグ溝31は、一端が第2周方向溝22に開口し、他端がセカンド陸部12内で終端している。また、屈曲ラグ溝31は、セカンド陸部12内で鋭角に屈曲する屈曲部34を有している。また、ここでいうラグ溝30は、溝幅が1.5mm以上7.0mm以下の範囲内になっており、溝深さが5.0mm以上10.0mm以下の範囲内になっている。
また、トレッド面3には、タイヤ幅方向に延びる複数のサイプ60が形成されている。サイプ60は、センター陸部11に形成されるセンターサイプ61と、セカンド陸部12に形成されるセカンドサイプ62と、ショルダー陸部13に形成されるショルダーサイプ63と、を有しており、それぞれ複数がタイヤ周方向に並んで形成されている。
このうち、センターサイプ61は、センター陸部11を区画する2本の第1周方向溝21同士の間に亘って、タイヤ幅方向に延びつつタイヤ周方向に傾斜して形成されている。また、各センターサイプ61は、タイヤ幅方向における一端側に、センターサイプ61の幅方向における幅が広くなって形成される切欠き部61aを有している。この切欠き部61aは、タイヤ周方向において隣り合うセンターサイプ61同士で、タイヤ幅方向において互いに異なる端部側に形成されている。つまり、切欠き部61aは、タイヤ周方向に並ぶ複数のセンターサイプ61に、切欠き部61aが形成される端部がタイヤ周方向に交互となって形成されている。
また、セカンドサイプ62は、セカンド陸部12を区画する第1周方向溝21と第2周方向溝22との間に亘って、タイヤ幅方向に延びつつタイヤ周方向に傾斜して形成されている。また、ショルダーサイプ63は、タイヤ幅方向に延びつつタイヤ周方向に傾斜して形成されており、両端がショルダー陸部13内で終端している。また、ショルダーサイプ63は、タイヤ周方向に隣り合うショルダーラグ溝32同士の間に、2本が形成されている。
なお、ここでいうサイプ60は、トレッド面3に細溝状に形成されるものであり、空気入りタイヤ1を正規リムにリム組みし、正規内圧の内圧条件で、無負荷時には細溝を構成する壁面同士が接触しないが、平板上で垂直方向に負荷させたときの平板上に形成される接地面の部分に細溝が位置する際、または細溝が形成される陸部の倒れ込み時には、当該細溝を構成する壁面同士、或いは壁面に設けられる部位の少なくとも一部が、陸部の変形によって互いに接触するものをいう。正規リムとは、JATMAで規定する「標準リム」、TRAで規定する「Design Rim」、或いは、ETRTOで規定する「Measuring Rim」である。また、正規内圧とは、JATMAで規定する「最高空気圧」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、或いはETRTOで規定する「INFLATION PRESSURES」である。本実施形態では、サイプ60は、幅が0.5mm以上1.5mm以下の範囲内になっており、深さが1.0mm以上10.0mm以下の範囲内になっている。
図2は、図1のA部詳細図である。屈曲ラグ溝31は、第2周方向溝22に開口している側の端部である開口側端部37から屈曲部34までの部分である本体部35と、セカンド陸部12内で終端する側の端部である終端側端部38から屈曲部34までの部分である折り返し部36とを有している。このうち、本体部35は、開口側端部37側から屈曲部34側に向かうに従って、タイヤ幅方向に対するタイヤ周方向への傾斜角度が大きくなる方向に湾曲している。なお、2箇所のセカンド陸部12に設けられる屈曲ラグ溝31のそれぞれの本体部35は、開口側端部37側から屈曲部34側に向かうに従って、タイヤ幅方向に対してタイヤ周方向へ傾斜をする際における、タイヤ周方向へ傾斜の方向が、互いに反対方向になっている。
一方、折り返し部36は、屈曲部34側から開口側端部37側に向かって、略直線状に延びている。また、折り返し部36は、タイヤ幅方向に対するタイヤ周方向への傾斜方向が、本体部35のタイヤ幅方向に対するタイヤ周方向への傾斜方向と同じ方向になっている。このため、屈曲部34は、本体部35と折り返し部36との相対的な角度が90°未満となり、鋭角となって形成されている。
図3は、図2のB部詳細図である。なお、この場合における屈曲部34の角度は、屈曲ラグ溝31のエッジ45のうち、屈曲部34の優角側のエッジ45である優角側エッジ46の角度、または、屈曲部34の劣角側のエッジ45である劣角側エッジ47の角度になっている。また、湾曲して形成される本体部35の、折り返し部36に対する角度は、本体部35のエッジ45が、屈曲部34で折り返し部36のエッジ45に接続される部分における、本体部35のエッジ45の接線と、折り返し部36のエッジ45との相対的な角度になっている。
つまり、屈曲部34の優角側エッジ46の角度は、本体部35の優角側エッジ46が、折り返し部36の優角側エッジ46に接続される部分における、本体部35の優角側エッジ46の接線と、折り返し部36の優角側エッジ46との相対的な角度になっている。同様に、屈曲部34の劣角側エッジ47の角度は、本体部35の劣角側エッジ47が、折り返し部36の劣角側エッジ47に接続される部分における、本体部35の劣角側エッジ47の接線と、折り返し部36の劣角側エッジ47との相対的な角度になっている。これらのように規定される屈曲部34の角度は、20°以上75°以下の範囲内であるのが好ましい。
また、屈曲ラグ溝31は、折り返し部36の溝幅W2(図5参照)は、本体部35の溝幅W1(図5参照)よりも小さくなっている。屈曲ラグ溝31の本体部35と折り返し部36とは、本体部35の溝幅W1と折り返し部36の溝幅W2との関係が、W1*0.5≦W2≦W1*0.8の範囲内であるのが好ましい。
屈曲ラグ溝31には、屈曲ラグ溝31の溝底40が底上げされることにより形成される底上げ部41が設けられている。底上げ部41は、少なくとも屈曲ラグ溝31の屈曲部34に設けられており、屈曲ラグ溝31における折り返し部36全体と、本体部35における屈曲部34付近の位置とに設けられている。本体部35に設けられる底上げ部41は、詳しくは、屈曲部34から開口側端部37側に向かった所定の範囲に形成されており、本体部35における底上げ部41が設けられる範囲の長さは、折り返し部36の長さよりも短い長さになっている。
本体部35に設けられる底上げ部41の、本体部35の延在方向における長さは、屈曲ラグ溝31における屈曲部34の劣角側エッジ47の屈曲点50である劣角側屈曲点52から、屈曲部34が位置する方向に反対方向に向かった長さLが、本体部35の溝幅W1(図5参照)に対して、W1*1.0≦L≦W1*5.0の範囲内であるのが好ましい。
図4は、図3のC−D−C断面図である。底上げ部41は、溝底40が、本体部35における底上げ部41が形成される部分以外の溝底40よりもトレッド面3に近付くことによって形成されている。これにより、屈曲ラグ溝31における、底上げ部41が形成されている部分の溝深さは、本体部35における底上げ部41が形成される部分以外の溝深さよりも浅くなっている。このように、底上げ部41が形成される屈曲ラグ溝31は、底上げ部41以外の位置での溝深さD1と、底上げ部41の位置での溝深さD2との関係が、D1*(2/10)≦D2≦D1*(7/10)の範囲内になっている。
セカンド陸部12に形成されるセカンドサイプ62は、セカンド陸部12を区画する第1周方向溝21と第2周方向溝22とに両端が開口して形成されており、タイヤ周方向に対するタイヤ幅方向への傾斜角θが、60°≦θ≦90°の範囲内になっている。また、複数のセカンドサイプ62のうち、一部のセカンドサイプ62は、屈曲ラグ溝31における屈曲部34の優角側エッジ46間を貫通して形成される貫通サイプ65になっている。この貫通サイプ65は、屈曲部34の位置で折り返し部36の優角側エッジ46側から本体部35の優角側エッジ46側にかけて、屈曲部34の溝底40を通って形成されている。
つまり、貫通サイプ65は、深さが底上げ部41の位置での屈曲ラグ溝31の溝深さよりも深くなっている。このため、第1周方向溝21と第2周方向溝22との間に亘ってセカンド陸部12に形成されると共に、折り返し部36の優角側エッジ46側から本体部35の優角側エッジ46側にかけて形成される貫通サイプ65は、屈曲部34の溝底40を通って形成される。貫通サイプ65は、貫通サイプ65の深さD3と、底上げ部41の位置での屈曲ラグ溝31の溝深さD2との関係が、D2*1.5≦D3≦D2*3.0の範囲内になっている。
図5は、図3のE部詳細図である。また、貫通サイプ65は、屈曲ラグ溝31における屈曲部34の劣角側エッジ47の屈曲点50である劣角側屈曲点52と、優角側エッジ46の屈曲点50である優角側屈曲点51との間における所定の範囲内を通って形成されている。詳しくは、貫通サイプ65は、劣角側屈曲点52と優角側屈曲点51とを結ぶ仮想線71を規定した際に、劣角側屈曲点52と優角側屈曲点51との距離A1と、仮想線71と貫通サイプ65との交点72と劣角側屈曲点52との距離A2との関係が、A1*(1/10)≦A2≦A1*(8/10)の範囲内となる位置を通っている。なお、この場合における仮想線71と貫通サイプ65との交点72は、貫通サイプ65の幅方向における中心線73と、仮想線71との交点72になっている。
なお、本実施形態において、屈曲部34とは、本体部35の延在方向における劣角側屈曲点52よりも優角側屈曲点51側の領域と、折り返し部36の延在方向における劣角側屈曲点52よりも優角側屈曲点51側の領域とを合わせた領域をいう。
図6は、図3のF−F断面図である。貫通サイプ65は、少なくとも一方の端部66が底上げされており、即ち、一方の端部66側に、底上げ部67を有している。具体的には、貫通サイプ65は、第2周方向溝22に開口している端部66側に、底上げ部67を有している。なお、底上げ部67の位置での貫通サイプ65の深さは、1mm以上であるのが好ましい。
これらのように構成される空気入りタイヤ1を車両に装着して走行すると、トレッド面3のうち下方に位置するトレッド面3が路面に接触しながら当該空気入りタイヤ1は回転する。空気入りタイヤ1を装着した車両で乾燥した路面を走行する場合には、主にトレッド面3と路面との間の摩擦力により、駆動力や制動力を路面に伝達したり、旋回力を発生させたりすることにより走行する。また、濡れた路面を走行する際には、トレッド面3と路面との間の水が周方向溝20やラグ溝30等に入り込み、これらの溝でトレッド面3と路面との間の水を排水しながら走行する。これにより、トレッド面3は路面に接地し易くなり、トレッド面3と路面との間の摩擦力により、車両は走行することが可能になる。
また、雪上路面を走行する際には、空気入りタイヤ1は路面上の雪をトレッド面3で押し固めると共に、路面上の雪が周方向溝20やラグ溝30に入り込むことにより、これらの雪も溝内で押し固める状態になる。この状態で、空気入りタイヤ1に駆動力や制動力が作用したり、車両の旋回によってタイヤ幅方向への力が作用したりすることにより、溝内の雪に対して作用するせん断力である、いわゆる雪柱せん断力が発生し、雪中せん断力によって空気入りタイヤ1と路面との間で抵抗が発生することにより、駆動力や制動力を雪上路面に伝達することができ、車両は雪上路面での走行が可能になる。
また、雪上路面を走行する際には、周方向溝20やラグ溝30、サイプ60のエッジ効果も用いて走行する。つまり、雪上路面を走行する際には、周方向溝20やラグ溝30のエッジや、サイプ60のエッジが雪面に引っ掛かることによる抵抗も用いて走行する。これにより、トレッド面3は、摩擦力やエッジ効果によって雪上路面との間の抵抗が大きくなり、空気入りタイヤ1を装着した車両の走行性能を確保することができる。本実施形態では、屈曲ラグ溝31は屈曲部34を有しており、エッジ45がトレッド面3上の複数の方向に対して直交して形成されているため、より多くの方向に対してエッジ効果を発揮することができ、雪上路面での操縦安定性を確保することができる。
さらに、屈曲ラグ溝31の屈曲部34は、鋭角に屈曲しているため、雪上路面に対してより高い抵抗を発生させることができる。例えば、屈曲ラグ溝31が屈曲部34側から接地する方向に空気入りタイヤ1の回転している場合には、屈曲ラグ溝31は、屈曲部34における劣角側屈曲点52側が路面上の雪に食い込むことにより、劣角側エッジ47によって、より高いエッジ効果を発揮することができる。反対に、屈曲ラグ溝31の屈曲部34側が、最後に接地する方向に空気入りタイヤ1の回転している場合には、屈曲ラグ溝31に入り込んだ雪は、空気入りタイヤ1の回転に伴って屈曲ラグ溝31内をタイヤ周方向に移動した際に、屈曲部34で移動が遮られることになる。このため、より大きな雪柱せん断力を発生させることができる。これらにより、屈曲ラグ溝31は、空気入りタイヤ1と路面との間で、より大きな抵抗を発生させることができ、雪上路面での操縦安定性を向上させることができる。
ここで、屈曲ラグ溝31は屈曲部34が鋭角になっているため、屈曲ラグ溝31が形成されるセカンド陸部12における屈曲部34の近傍は、溝面積比率が大きくなることにより、剛性が低くなり易くなっている。これに対し、本実施形態では、屈曲ラグ溝31には少なくとも屈曲部34に底上げ部41が形成されているため、セカンド陸部12における屈曲部34の近傍の剛性を確保することができる。これにより、セカンド陸部12の剛性を確保することができ、乾燥した路面、即ち、ドライ路面を走行した際における操縦安定性を確保することができ、ドライ性能を確保することができる。
一方、屈曲ラグ溝31の屈曲部34に底上げ部41を設けた場合、屈曲ラグ溝31周辺のセカンド陸部12の剛性が、底上げ部41の周囲のみ局所的に高くなるため、空気入りタイヤ1の回転に伴ってトレッド面3が順次路面に接地する際に、路面への追従性が低下する可能性がある。即ち、空気入りタイヤ1の回転時に、路面側に位置するトレッド面3が接地する際には、接地するトレッド面3に作用する荷重によって陸部10が変形し、路面に沿ってトレッド面3が変形しながら接地する。その際に、屈曲ラグ溝31の屈曲部34に底上げ部41が設けられることにより、セカンド陸部12の剛性が底上げ部41の周囲のみ局所的に高くなった場合は、底上げ部41の付近では、路面に沿ってトレッド面3が変形し難くなる。具体的には、トレッド面3が接地する際における踏み込み側の端部や蹴り出し側の端部で、路面に追従した変形が行われ難くなる。この場合、屈曲ラグ溝31のエッジ45も、路面に追従した変形が行われ難くなるため、路面に沿って適切に接地し難くなり、屈曲ラグ溝31は、雪上路面でのエッジ効果を、効果的に発揮し難くなる。
これに対し、本実施形態では、セカンド陸部12には、屈曲ラグ溝31の屈曲部34の溝底40を通ることにより底上げ部41を通り、屈曲部34を貫通する貫通サイプ65が形成されている。このため、貫通サイプ65が形成される部分では、セカンド陸部12の剛性を適切に低減させることができるため、底上げ部41の周囲のみ、セカンド陸部12の剛性が局所的に高くなることを抑制することができる。これにより、屈曲ラグ溝31を、トレッド面3が接地する際における踏み込み側の端部や蹴り出し側の端部においても、路面に追従して適切に変形させることができる。従って、雪上路面での屈曲ラグ溝31のエッジ効果を、効果的に発揮させることができ、雪上路面での操縦安定性である雪上性能を向上させることができる。これらの結果、雪上性能とドライ性能とを両立することができる。
また、貫通サイプ65は、劣角側屈曲点52と優角側屈曲点51との距離A1と、仮想線71と貫通サイプ65との交点72と劣角側屈曲点52との距離A2との関係が、A1*(1/10)≦A2≦A1*(8/10)の範囲内となる位置を通るため、底上げ部41によってセカンド陸部12の剛性が局所的に高くなることを、効果的に緩和することができる。つまり、A2<A1*(1/10)であったり、A2>A1*(8/10)であったりする場合は、貫通サイプ65と屈曲点50との距離が近過ぎるため、屈曲部34に底上げ部41が形成されることによりセカンド陸部12の剛性が局所的に高くなることを、貫通サイプ65によって緩和し難くなる可能性がある。この場合、屈曲ラグ溝31を、路面に追従して適切に変形させることが困難になる可能性があり、雪上路面での屈曲ラグ溝31のエッジ効果を、効果的に発揮させ難くなる可能性がある。
これに対し、貫通サイプ65が、A1*(1/10)≦A2≦A1*(8/10)の範囲内となる位置を通る場合は、屈曲部34に底上げ部41が設けられることに伴ってセカンド陸部12の剛性が局所的に高くなることを、効果的に緩和することができる。これにより、屈曲部34に底上げ部41が設けられることによってセカンド陸部12の剛性が高くなることによる、ドライ路面での操縦安定性の向上と、屈曲ラグ溝31のエッジ効果による雪上路面での操縦安定性の向上とを、より確実に両立させることができる。この結果、より確実に雪上性能とドライ性能とを両立することができる。
また、屈曲ラグ溝31は、底上げ部41以外の位置での溝深さD1と、底上げ部41の位置での溝深さD2との関係が、D1*(2/10)≦D2≦D1*(7/10)の範囲内であるため、屈曲ラグ溝31による雪柱せん断力を確保することと、屈曲部34付近のセカンド陸部12の剛性を確保することとを両立することができる。つまり、屈曲ラグ溝31の底上げ部41以外の位置での溝深さD1と、底上げ部41の位置での溝深さD2との関係が、D2<D1*(2/10)である場合は、底上げ部41の高さが高過ぎるため、底上げ部41が設けられる位置での屈曲ラグ溝31の溝体積が小さくなり過ぎる可能性がある。この場合、屈曲ラグ溝31内に入り込むことができる雪の量が少なくなるため、雪上路面での操縦安定性を向上させ難くなる可能性がある。また、屈曲ラグ溝31の底上げ部41以外の位置での溝深さD1と、底上げ部41の位置での溝深さD2との関係が、D2>D1*(7/10)である場合は、底上げ部41の高さが低過ぎるため、屈曲部34付近のセカンド陸部12の剛性を、底上げ部41によって確保し難くなる可能性がある。この場合、ドライ路面での操縦安定性を向上させ難くなる可能性がある。
これに対し、屈曲ラグ溝31の底上げ部41以外の位置での溝深さD1と、底上げ部41の位置での溝深さD2との関係が、D1*(2/10)≦D2≦D1*(7/10)の範囲内である場合は、底上げ部41が設けられる位置での溝体積を確保しつつ、屈曲部34付近のセカンド陸部12の剛性を底上げ部41によって確保することができる。これにより、屈曲ラグ溝31による雪柱せん断力を確保して雪上路面での操縦安定性を確保しつつ、ドライ路面での操縦安定性を確保することができる。この結果、より確実に雪上性能とドライ性能とを両立することができる。
また、貫通サイプ65は、貫通サイプ65の深さD3と、底上げ部41の位置での屈曲ラグ溝31の溝深さD2との関係が、D2*1.5≦D3≦D2*3.0の範囲内であるため、屈曲部34付近の剛性が低くなり過ぎることを抑制しつつ、セカンド陸部12の剛性が局所的に高くなることを、効果的に緩和することができる。つまり、貫通サイプ65の深さD3と、底上げ部41の位置での屈曲ラグ溝31の溝深さD2との関係が、D3<D2*1.5である場合は、貫通サイプ65の深さD3が浅過ぎるため、屈曲部34に底上げ部41が形成されることによりセカンド陸部12の剛性が局所的に高くなることを、貫通サイプ65によって緩和し難くなる可能性がある。この場合、屈曲ラグ溝31を、路面に追従して適切に変形させることが困難になる可能性があり、雪上路面での屈曲ラグ溝31のエッジ効果を、効果的に発揮させ難くなる可能性がある。また、貫通サイプ65の深さD3と、底上げ部41の位置での屈曲ラグ溝31の溝深さD2との関係が、D3>D2*3.0である場合は、貫通サイプ65の深さD3が深過ぎるため、セカンド陸部12における屈曲部34付近の剛性が低くなり過ぎる可能性ある。この場合、ドライ路面での操縦安定性を確保し難くなる可能性がある。
これに対し、貫通サイプ65の深さD3と、底上げ部41の位置での屈曲ラグ溝31の溝深さD2との関係が、D2*1.5≦D3≦D2*3.0の範囲内である場合は、屈曲部34付近の剛性が低くなり過ぎることを抑制しつつ、セカンド陸部12の剛性が局所的に高くなることを、効果的に緩和することができる。これにより、ドライ路面での操縦安定性の向上と、雪上路面での操縦安定性の向上とを、より確実に両立させることができる。この結果、より確実に雪上性能とドライ性能とを両立することができる。
また、貫通サイプ65の深さD3が、底上げ部41の位置での屈曲ラグ溝31の溝深さD2よりも深いため、トレッド面3が摩耗した際でも、貫通サイプ65を長い時間に亘って残すことができる。これにより、貫通サイプ65によるエッジ効果を、長い時間に亘って発揮することができる。この結果、トレッド面3の摩耗に起因する雪上性能の低下を、最小限に留めることができる。
また、貫通サイプ65は、タイヤ周方向に対するタイヤ幅方向への傾斜角θが、60°≦θ≦90°の範囲内であるため、貫通サイプ65が周方向溝20に開口する部分付近のセカンド陸部12の剛性が低くなり過ぎることを抑制することができる。つまり、タイヤ周方向に対する貫通サイプ65のタイヤ幅方向への傾斜角θが、θ<60°である場合は、セカンド陸部12の、貫通サイプ65が周方向溝20に開口する部分付近の剛性が低くなり過ぎる可能性がある。この場合、ドライ路面での操縦安定性を確保し難くなる可能性がある。
これに対し、タイヤ周方向に対する貫通サイプ65のタイヤ幅方向への傾斜角θが、60°≦θ≦90°の範囲内である場合は、貫通サイプ65が周方向溝20に開口する部分付近の剛性が低くなり過ぎることを抑制することができ、より確実にドライ路面での操縦安定性を確保することができる。また、タイヤ周方向に対する貫通サイプ65のタイヤ幅方向への傾斜角θが、60°≦θ≦90°の範囲内である場合は、貫通サイプ65が延びる方向がタイヤ幅方向に近くなるため、貫通サイプ65のエッジ成分は、タイヤ周方向に対するエッジ成分が多くなる。これにより、雪上路面の走行時における制駆動時のエッジ効果を向上させることができる。これらの結果、より確実に雪上性能とドライ性能とを両立することができる。
また、貫通サイプ65は、少なくとも一方の端部66が底上げされているため、貫通サイプ65の端部66と屈曲ラグ溝31との距離が近い場合でも、セカンド陸部12における貫通サイプ65と屈曲ラグ溝31との間の部分の剛性が低くなり過ぎることを抑制することができる。つまり、貫通サイプ65には、貫通サイプ65の両端部66のうち、屈曲ラグ溝31が開口している周方向溝20である第2周方向溝22に開口する側の端部66側に底上げ部67が設けられている。これにより、貫通サイプ65と屈曲ラグ溝31との距離が近い場合でも、セカンド陸部12における、貫通サイプ65と屈曲ラグ溝31との間の部分の剛性が低くなり過ぎることを抑制することができる。この結果、より確実にドライ路面での操縦安定性を確保することができ、より確実にドライ性能を向上させることができる。
なお、上述した実施形態に係る空気入りタイヤ1では、折り返し部36に形成される底上げ部41は、折り返し部36全体に設けられているが、底上げ部41は、折り返し部36全体に設けられていなくてもよい。図7は、実施形態に係る空気入りタイヤの変形例であり、折り返し部に底上げ部が形成されない部分を有する場合の説明図である。図8は、図7のG−H−G断面図である。屈曲ラグ溝31の底上げ部41は、図7、図8に示すように、折り返し部36における終端側端部38には形成されなくてもよい。即ち、折り返し部36の底上げ部41は、屈曲部34側から終端側端部38に向かった所定の範囲に形成され、終端側端部38付近には形成されなくてもよい。この場合、終端側端部38付近の溝底40のタイヤ径方向における高さ、即ち、トレッド面3からの距離は、本体部35において底上げ部41が設けられていない部分に位置する溝底40の、トレッド面3からの距離とほぼ同じ大きさになっている。つまり、折り返し部36において底上げ部41が設けられていない部分の溝深さは、本体部35において底上げ部41が設けられていない部分の溝深さと、ほぼ同じ大きさになっている。
屈曲ラグ溝31の雪柱せん断力は、屈曲ラグ溝31の体積が大きい方が多くの雪を屈曲ラグ溝31内に取り込むことができるため、より大きな力を得ることができる。このため、屈曲ラグ溝31に形成する底上げ部41を設ける範囲を、屈曲部34近傍の最小限の範囲に留め、それ以外の範囲には底上げ部41を設けないことにより、セカンド陸部12の剛性が局所的に高くなることを緩和しつつ、屈曲ラグ溝31による雪柱せん断力をより確実に確保し、雪上路面での操縦安定性を向上させることができる。この結果、より確実に雪上性能とドライ性能とを両立することができ、特に、雪上性能を向上させることができる。
また、上述した実施形態に係る空気入りタイヤ1では、屈曲ラグ溝31に形成される底上げ部41は、高さが一定であるが、底上げ部41の高さは変化していてもよい。図9は、実施形態に係る空気入りタイヤの変形例であり、底上げ部の高さが変化する場合の説明図である。図10は、図9のJ−K−J断面図である。屈曲ラグ溝31の底上げ部41は、図9、図10に示すように、折り返し部36における終端側端部38で、溝底40がさらに底上げされていてもよい。即ち、折り返し部36の底上げ部41は、終端側端部38近傍の所定の領域に、底上げ部41における他の部分よりもさらに底上げされた第2底上げ部42を有していてもよい。換言すると、底上げ部41に第2底上げ部42を設けることにより、屈曲ラグ溝31の終端側端部38近傍の溝深さを、底上げ部41が設けられる部分のうち第2底上げ部42以外の部分での溝深さよりも浅くしてもよい。
このように、底上げ部41に第2底上げ部42を設けて、屈曲ラグ溝31の終端側端部38近傍の溝深さをさらに浅くすることにより、屈曲部34付近の剛性が高くなり過ぎることを貫通サイプ65によって抑制する場合でも、屈曲部34から少し離れた終端側端部38近傍の剛性を確保することができる。この結果、より確実に雪上性能とドライ性能とを両立することができ、特に、ドライ性能を向上させることができる。
また、上述した実施形態に係る空気入りタイヤ1では、屈曲ラグ溝31は、本体部35が湾曲し、折り返し部36が略直線状に形成されているが、屈曲ラグ溝31は、これ以外の形態で形成されていてもよい。例えば、本体部35が略直線状に形成され、折り返し部36が湾曲していてもよい。または、本体部35と折り返し部36との双方が湾曲していたり、双方が略直線状に形成されていたりしてもよい。屈曲ラグ溝31は、本体部35と折り返し部36との形態に関わらず、双方のエッジ45の相対的な角度が鋭角に形成されていればよく、湾曲している場合は、他方のエッジ45に接続される部分のエッジ45の接線と、他方のエッジ45または他方のエッジ45の接線との相対的な角度が鋭角に形成されていればよい。
また、上述した実施形態に係る空気入りタイヤ1では、トレッド面3には4本の周方向溝20が形成され、ラグ溝30として屈曲ラグ溝31以外にショルダーラグ溝32が設けられているが、周方向溝20やラグ溝30の構成は、これ以外の構成であってもよい。
また、上述した実施形態に係る空気入りタイヤ1では、屈曲ラグ溝31は、セカンド陸部12に設けられ、貫通サイプ65は、セカンド陸部12に設けられるセカンドサイプ62により構成されているが、屈曲ラグ溝31や貫通サイプ65は、セカンド陸部12以外に設けられていてもよい。屈曲ラグ溝31や貫通サイプ65は、設けられる陸部10に関わらず、屈曲ラグ溝31が鋭角に屈曲する屈曲部34を有すると共に、少なくとも屈曲部34に底上げ部41が設けられ、屈曲部34の底上げ部41を貫通する貫通サイプ65が設けられることにより、雪上性能とドライ性能とを両立することができる。
〔実施例〕
図11A、図11Bは、空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。以下、上記の空気入りタイヤ1について、従来例及び比較例の空気入りタイヤと、本発明に係る空気入りタイヤ1とについて行なった性能の評価試験について説明する。性能評価試験は、雪上路面での操縦安定性である雪上操安性と、ドライ路面での操縦安定性であるドライ操安性とについての試験を行った。
性能評価試験は、JATMAで規定されるタイヤの呼びが225/50R18サイズの空気入りタイヤ1を18×7JサイズのJATMA標準リムのリムホイールにリム組みして、空気圧をJATMAで規定される最高空気圧に調整し、前輪駆動(フロントエンジン・フロントドライブ)の試験車両に装着してテスト走行をすることにより行った。各試験項目の評価方法は、雪上操安性については、雪上に作られた市街地を想定したテストコースを試験車両によって走行した際のテストドライバーによる官能評価を実施し、10段階評価によって評価した。数値が大きいほど、雪上操安性が優れていることを示している。ドライ操安性については、ドライ路面のテストコースを試験車両によって走行した際のテストドライバーによる官能評価を実施し、10段階評価によって評価した。数値が大きいほど、ドライ操安性が優れていることを示している。
評価試験は、従来の空気入りタイヤ1の一例である従来例の空気入りタイヤと、本発明に係る空気入りタイヤ1である実施例〜10と、本発明に係る空気入りタイヤ1と比較する空気入りタイヤである比較例と、参考例1、2との12種類の空気入りタイヤについて行った。これらの空気入りタイヤ1のうち、従来例の空気入りタイヤは、屈曲ラグ溝31に底上げ部41が設けられておらず、貫通サイプ65も設けられていない。また、比較例の空気入りタイヤは、貫通サイプ65は設けられているものの、屈曲ラグ溝31に底上げ部41が設けられていない。
これに対し、本発明に係る空気入りタイヤ1の一例である実施例〜10は、全て屈曲ラグ溝31に底上げ部41が設けられ、貫通サイプ65も設けられている。さらに、実施例〜10と、参考例1、2に係る空気入りタイヤ1は、仮想線71と貫通サイプ65との交点72の、劣角側屈曲点52からの距離A2、底上げ部41での溝深さD2に対する貫通サイプ65の深さD3、タイヤ周方向に対する貫通サイプ65の傾斜角θ、貫通サイプ65の底上げの有無、屈曲ラグ溝31の終端側端部38での底上げ部41の形状が、それぞれ異なっている。
これらの空気入りタイヤ1を用いて評価試験を行った結果、図11A、図11Bに示すように、実施例〜10の空気入りタイヤ1は、従来例に対して、雪上操安性とドライ操安性とのいずれの性能も低下することなく、少なくとのいずれか一方の性能が向上することが分かった。つまり、実施例〜10に係る空気入りタイヤ1は、雪上性能とドライ性能とを両立することができる。
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
3 トレッド面
10 陸部
20 周方向溝
30 ラグ溝
31 屈曲ラグ溝
34 屈曲部
35 本体部
36 折り返し部
37 開口側端部
38 終端側端部
40 溝底
41 底上げ部
42 第2底上げ部
45 エッジ
46 優角側エッジ
47 劣角側エッジ
50 屈曲点
51 優角側屈曲点
52 劣角側屈曲点
60 サイプ
65 貫通サイプ
66 端部
67 底上げ部
71 仮想線
72 交点
73 中心線

Claims (6)

  1. タイヤ周方向に延びる複数の周方向溝と、
    タイヤ幅方向における少なくとも一方の端部が前記周方向溝によって区画される陸部と、
    前記陸部に形成されると共に一端が前記周方向溝に開口し、他端が前記陸部内で終端し、前記陸部内で鋭角に屈曲する屈曲部を有する屈曲ラグ溝と、
    少なくとも前記屈曲ラグ溝の前記屈曲部に設けられ、前記屈曲ラグ溝の溝底が底上げされることにより形成される底上げ部と、
    前記陸部を区画する前記周方向溝に開口して前記陸部に形成されると共に、前記屈曲部の前記溝底を通って、前記屈曲ラグ溝における前記屈曲部の優角側のエッジ間を貫通して形成されるサイプと、
    を備え
    前記サイプは、
    前記屈曲ラグ溝における前記屈曲部の劣角側のエッジの屈曲点である劣角側屈曲点と、優角側のエッジの屈曲点である優角側屈曲点との距離をA1とし、
    前記劣角側屈曲点と優角側屈曲点とを結ぶ仮想線と前記サイプとの交点と、前記劣角側屈曲点との距離をA2とする場合に、
    A1*(1/10)≦A2≦A1*(8/10)の範囲内となる位置を通ることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記屈曲ラグ溝は、前記底上げ部以外の位置での溝深さD1と、前記底上げ部の位置での溝深さD2との関係が、D1*(2/10)≦D2≦D1*(7/10)の範囲内となり、
    前記サイプは、前記サイプの深さD3と、前記底上げ部の位置での前記屈曲ラグ溝の溝深さD2との関係が、D2*1.5≦D3≦D2*3.0の範囲内となる請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記サイプは、タイヤ周方向に対するタイヤ幅方向への傾斜角θが60°≦θ≦90°の範囲内である請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記サイプは、少なくとも一方の端部が底上げされている請求項1〜のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記底上げ部は、前記屈曲ラグ溝において前記陸部内で終端する側の端部には形成されない請求項1〜のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記底上げ部は、前記屈曲ラグ溝において前記陸部内で終端する側の端部で、前記溝底がさらに底上げされる請求項1〜のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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