以下、本発明の実施形態について、図を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る物体情報生成装置1の構成を示すブロック図である。
物体情報生成装置1は、光源11と、投射光学系12と、受光光学系21と、撮像素子22と、受付部31と、制御部32と、駆動部33、34と、信号処理部35と、を備える。
光源11は、投射光を出射する。光源11は、半導体レーザ光源であり、投射光の波長は、たとえば赤外光の波長である。物体情報生成装置1が市街地等で使用される場合、光源11から出射される投射光の強度は、あらかじめ定められた安全基準を満たすように設定される。なお、光源11は、LED光源やハロゲンランプ等、他の光源でもよい。投射光の波長は、赤外光の波長以外でもよく、複数の波長帯域の光が混ざることにより投射光が生成されてもよい。
投射光学系12は、光源11から出射された投射光を所望の強度、所望の投射角度に変換し目標領域に投射する。投射光学系12は、1つのレンズにより構成される。なお、投射光学系12は、複数のレンズを含んでもよく、凹面ミラー等を含んでもよい。
投射光が、目標領域に存在する物体に投射されると、投射光は物体によって反射され、反射された投射光は反射光として再び物体情報生成装置1に戻る。受光光学系21は、撮像素子22の受光面22aに反射光を集光させる。受光光学系21は、1つのレンズにより構成される。なお、受光光学系21は、複数のレンズを含んでもよく、凹面ミラー等を含んでもよい。
なお、受光光学系21と撮像素子22との間に、投射光の波長帯域を透過させ、その他の波長帯域の光を遮断するフィルタが配置されてもよい。これにより、反射光以外の不要光が撮像素子22の受光面22aに入射することを抑制できる。
撮像素子22は、受光面22aに配置された複数の画素22b(図2(a)、(b)参照)により反射光を受光して、受光に応じた信号を出力する。各画素22bには、アバランシェフォトダイオードが配置されている。各画素22bに他の光検出素子が配置されてもよい。各画素22bは、反射光を受光する露光状態と、反射光を受光しない非露光状態とを切り替え可能に構成されている。撮像素子22は、露光状態において各画素22bで受光した反射光に基づく検出信号を出力する。
受付部31は、物体検出の対象とされる距離範囲の設定を受け付ける。受付部31は、たとえば、キーボードやマウスなどの入力部、およびディスプレイ等に表示された入力画面等である。使用者は、受付部31を操作することにより、投射光の投射方向に広がる目標領域内の任意の距離範囲を、物体検出の対象範囲に設定できる。
受付部31が受け付ける距離範囲の設定は、たとえば、物体情報生成装置1から距離範囲の前端までの距離、物体情報生成装置1から距離範囲の後端までの距離、および距離範囲の前端から後端までの距離などである。また、受付部31は、複数の距離範囲を受け付けることも可能である。なお、距離範囲は、物体情報生成装置1とは別の装置において入力されてもよい。この場合、受付部31は、入力された距離範囲に関する情報を別の装置から受信するための通信インタフェースにより構成される。
制御部32は、演算処理回路とメモリを備え、たとえばFPGAやMPUにより構成される。制御部32は、受付部31が受け付けた距離範囲の設定を記憶する。制御部32は、距離範囲の設定に基づいて、駆動部33を駆動して光源11を制御し、駆動部34を駆動して撮像素子22を制御する。駆動部33は、制御部32からの指示に応じて光源11を駆動し、光源11から所定のパルス幅で投射光を出射させる。駆動部34は、制御部32からの指示に応じて撮像素子22の各画素22bの露光状態を切り替えて、撮像素子22から検出信号を出力させる。
ここで、制御部32は、光源11に投射光を投射させた後、受付部31を介して設定された距離範囲に対応するタイミングおよび時間幅において、撮像素子22上の各画素22b(図2(a)、(b)参照)を露光状態に設定する。これにより、受付部31を介して設定された距離範囲に物体が存在する場合に、物体からの反射光に基づく検出信号が、撮像素子22から出力される。
信号処理部35は、撮像素子22の各画素22b(図2(a)、(b)参照)から出力される検出信号を処理する。たとえば、信号処理部35は、各画素22bから出力された検出信号を各画素22bの位置に対応付けた画像データを生成する。信号処理部35で生成された画像データは、物体情報生成装置1内の通信インタフェースを介して外部装置へと送信される。
なお、物体情報生成装置1は、設定された距離範囲に対する物体検出を行って、物体の有無に基づく情報を報知する処理を行ってもよい。たとえば、物体情報生成装置1が表示部を備える場合、物体情報生成装置1は、物体の有無を検出し、その検出結果を表示部に表示させてもよい。
図2(a)は、撮像素子22の受光面22aを模式的に示す図である。図2(b)は、撮像素子22の受光面22aに投影された像を模式的に示す図である。
図2(a)に示すように、撮像素子22の受光面22aには、マトリクス状に画素22bが並んでいる。各画素22bは、それぞれ、物体からの反射光を検出するための検出領域を構成する。受光面22aには、たとえば、図2(b)に示すような像が、受光光学系21により投影される。ここでは、対向車の像C1と、歩行者の像M1が受光面22aに投影されている。この場合、像C1、M1の領域に重なる画素22bに反射光が入射する。
図1に示した信号処理部35は、各画素22bに対する反射光の入射状態に基づいて、画素22bごとに物体有無に関する情報を生成する。たとえば、信号処理部35は、各画素22bから出力される検出信号を各画素22bの位置にマッピングした一画面分の画像データを生成する。図2(b)の例では、歩行者の像M1および対向車の像M1が重なる画素22bの位置に反射光の受光に応じたハイレベルの検出信号が割り当てられ、その他の画素22bの位置にはローレベル(たとえばゼロレベル)の検出信号が割り当てられた画像データが生成される。なお、信号処理部35は、各画素22bから出力される検出信号の有無を各画素22bの位置にマッピングした一画面分の画像データを生成してもよい。
図3は、物体情報生成装置1の光源11の発光制御および撮像素子22の露光制御を説明するタイミングチャートである。
図3には、受付部31が3つの距離範囲の設定を受け付けた場合が示されている。また、各距離範囲に対応する画像データを時系列に沿って取得するために、連続する複数のフレームが時間軸上に設定される。各フレームの時間幅は同一である。また、1つのフレームには、受付部31により設定された距離範囲の数に応じた区間が設定されている。図3に示す例では、各フレームに3つの区間が設定されている。各区間の時間幅は同一である。
図3の上段は、制御部32からの指示に応じて駆動部33から光源11に入力される駆動信号を示している。駆動信号がハイレベルのときに、光源11が駆動され、光源11から投射光が出射される。駆動信号がローレベルにあるとき、光源11が停止され、光源11から投射光は出射されない。
制御部32は、各区間の開始から一定時間が経過した投射タイミングT0で、駆動信号を発光期間Pの時間幅ΔTだけハイレベルに立ち上げる。発光期間Pは、上記のように各区間の開始から一定時間のタイミングに設定される。したがって、発光期間Pの周期は、区間の周期と同一となる。
対象となる距離範囲に物体が存在する場合、物体からの反射光が撮像素子22の受光面22aに集光される。ここで、物体の像が投影される撮像素子22の画素22bには、物体までの距離に応じた遅延時間で反射光が入射する。すなわち、反射光は、発光期間Pから、物体までの距離に応じた時間だけずれた受光タイミングにおいて受光される。制御部32は、対象となる距離範囲からの反射光のみが各画素22bにおいて受光されるよう、全画素22bの露光状態を以下のように制御する。
図3の下段は、制御部32からの指示に応じて駆動部34が制御する画素22bの露光タイミングを示している。この波形がハイレベルに立ち上がった期間(露光期間P1、P2、P3)において、撮像素子22の各画素22bが露光状態となる。露光期間P1、P2、P3は、受付部31が受け付けた距離範囲の設定に基づいて設定される。
図3の場合、区間1における投射タイミングT0から露光期間P1の露光開始タイミングT11までの露光開始時間幅ΔTd1と、区間2における投射タイミングT0から露光期間P2の露光開始タイミングT21までの露光開始時間幅ΔTd2と、区間3における投射タイミングT0から露光期間P3の露光開始タイミングT31までの露光開始時間幅ΔTd3とは、互いに相違している。また、露光期間P1の時間幅ΔTe1(露光開始タイミングT11から露光終了タイミングT12までの時間幅)と、露光期間P2の時間幅ΔTe2(露光開始タイミングT21から露光終了タイミングT22までの時間幅)と、露光期間P3の時間幅ΔTe3(露光開始タイミングT31から露光終了タイミングT32までの時間幅)とは、互いに相違している。なお、時間幅ΔTe1、ΔTe2、ΔTe3は、必ずしも互いに相違している必要はなく、同一の時間幅でもよい。
ここで、露光期間の露光開始タイミングは、対象となる距離範囲の下限(最も物体情報生成装置1に近い距離)に基づいて設定される。露光期間の露光終了タイミングは、対象となる距離範囲の上限(最も物体情報生成装置1から遠い距離)に基づいて設定される。露光期間の時間幅は、対象となる距離範囲の距離幅(投射光の投射方向における距離の長さ)に基づいて設定される。
上記のように区間1〜3において発光期間および露光期間が設定されると、各露光期間において、受付部31が受け付けた距離範囲からの反射光のみが撮像素子22の各画素22bによって受光される。そして、信号処理部35は、各画素22bから出力された検出信号に基づいて、各区間において画像データを生成する。
次に、信号処理部35が生成する物体検出画像について説明する。
図4(a)は、検出可能範囲に設定された3つの距離範囲A1、A2、A3を模式的に示す斜視図である。
物体情報生成装置1は、投射光の投射方向がX軸負方向となるよう設置されている。検出可能範囲は、物体情報生成装置1のX軸負側においてX軸方向に延びている。検出可能範囲とは、物体情報生成装置1によって物体の有無に関する情報を生成可能な範囲のことである。検出可能範囲は、反射光の減衰に基づき撮像素子22が検出信号を出力可能な上限距離等に応じて規定される。距離範囲は、この検出可能範囲内において任意に設定可能である。
距離範囲A1〜A3は、検出可能範囲において、物体情報生成装置1から遠ざかる方向に(X軸負方向に)この順で並んでいる。距離範囲A1、A2には、人が含まれており、距離範囲A3の後方(X軸負側)には、木や電柱が存在している。距離範囲A1〜A3は、それぞれ、図3に示した区間1の露光期間P1と、区間2の露光期間P2と、区間3の露光期間P3とに対応する。
図4(b)、(c)は、それぞれ、距離範囲A1、A2に対応する画像データを模式的に示す図である。図4(b)、(c)において、白い部分は距離範囲に存在する物体に対応し、ハッチングが施された部分は物体からの反射光がなかった領域に対応する。
図4(b)の画像データには、距離範囲A1に存在する人の領域が含まれているが、距離範囲A2に存在する人や、距離範囲A3の後方に位置する木や電柱などの領域は含まれていない。同様に、図4(c)の画像データには、距離範囲A2に存在する人の領域が含まれているが、距離範囲A1に存在する人や、距離範囲A3の後方に位置する木や電柱などの領域は含まれていない。距離範囲A3の画像データには、物体に関する領域が全く含まれていない。このように、距離範囲に対応する露光期間が設定されることにより、対象とする距離範囲のみに基づく画像データを生成することができる。
<実施形態の効果>
実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
受付部31は、物体検出の対象とされる距離範囲の設定を受け付ける。制御部32は、投射タイミングT0において光源11に投射光を投射させた後、受付部31を介して設定された距離範囲に対応する露光開始タイミングおよび露光期間の時間幅において、撮像素子22上の各画素22bを露光状態に設定する。
これにより、使用者は、検出可能範囲内の任意の距離範囲を、物体検出の対象範囲に設定できる。このとき、制御部32は、使用者により設定された距離範囲に対応する露光開始タイミングおよび露光期間の時間幅において、撮像素子22の各画素22bを露光状態に設定するため、信号処理部35が処理する信号は、当該距離範囲において検出される信号に制限される。したがって、信号処理部35は、検出可能範囲の全範囲において取得される膨大な信号を処理する必要がなく、低負荷で迅速に物体の有無に関する情報の生成処理(たとえば撮像処理)を行うことができる。よって、処理のフレームレートを顕著に高めることができ、使用者により設定された距離範囲における物体情報生成処理を、途切れなく連続的に行うことができる。
受付部31が複数の距離範囲の設定を受け付けた場合、制御部32は、各距離範囲に対応する露光開始タイミングおよび露光期間の時間幅において、撮像素子22上の各画素22bを露光状態に設定する。たとえば、3つの距離範囲の設定を受け付けた場合、制御部32は、図3に示すように、区間1〜3を設定する。そして、制御部32は、区間1において露光開始タイミングT11と時間幅ΔTe1を設定して露光期間P1を設定し、区間2において露光開始タイミングT21と時間幅ΔTe2を設定して露光期間P2を設定し、区間3において露光開始タイミングT31と時間幅ΔTe3を設定して露光期間P3を設定する。
これにより、使用者は、検出可能範囲内に複数の距離範囲を、物体検出の対象範囲として設定できる。この場合も、信号処理部35が処理する信号は、それぞれの距離範囲において検出される信号に制限される。したがって、信号処理部35による処理負荷を顕著に低減させることができ、迅速に物体の有無に関する情報の生成処理を行うことができる。よって、使用者により設定された距離範囲における物体情報生成処理を、途切れなく連続的に行うことができる。
信号処理部35は、各画素22bから出力された検出信号を各画素22bの位置に対応付けた画像データを生成する。このように画像データが生成されると、使用者が設定した距離範囲に物体が存在するか否かの他、当該距離範囲に対する物体の侵入および退出や、当該距離範囲に含まれる物体の数等を取得できる。
また、使用者が設定した距離範囲に対応する画像データが取得されると、検出可能範囲内の設定距離範囲以外の領域に不要な物体が存在する場合でも、この物体が画像データに写り込むことを防ぐことができる。よって、設定距離範囲に対応する画像データを用いることにより、物体の侵入および退出や、物体の数等を精度よく取得できる。
次に、実施例1〜7において、上記物体情報生成装置1の機能を組み込んだ各種の処理装置2について説明する。以下の処理装置2は、いずれも物体情報生成装置1により生成された物体の有無に関する情報を用いて所定の処理を実行する処理部41を備える。
<実施例1>
図5は、実施例1の処理装置2の構成を示すブロック図である。
実施例1の処理装置2は、物体情報生成装置1と処理部41を備える。
物体情報生成装置1は、図1に示した構成と同様に、目標領域に投射光を投射し、物体によって投射光が反射された反射光を受光することにより、所定の距離範囲に応じた画像データを生成する。
処理部41は、演算処理回路とメモリを備え、たとえばFPGAやMPUにより構成される。処理部41は、メモリに記憶された所定のプログラムに従って、信号処理部35で生成された画像データに基づいて、検出可能範囲内の距離範囲A1を通過した車両の数を計数する。そして、処理部41は、距離範囲A1において計数した車両の数を、処理装置2内の通信インタフェースを介して外部装置に送信する。
図6(a)〜(c)は、距離範囲A1を通る車両が処理装置2によって撮像されることを模式的に示す図である。
処理装置2は、投射光の投射方向がX軸負方向となるよう設置されている。処理装置2(物体情報生成装置1)の検出可能範囲は、処理装置2のX軸負側において、X軸方向に延びた道路R1に沿って設定されている。距離範囲A1は、検出可能範囲の中間付近に設けられている。
図6(a)に示すように、時刻T1において、車両は距離範囲A1のX軸負側に位置付けられており、距離範囲A1には車両は位置付けられていない。図6(b)に示すように、時刻T2において、車両は距離範囲A1に位置付けられている。図6(c)に示すように、時刻T3において、車両は距離範囲A1のX軸正側に位置付けられており、距離範囲A1には車両は位置付けられていない。物体情報生成装置1の信号処理部35は、各時刻において距離範囲A1に対応した画像データを生成し、処理部41に出力する。そして、処理部41は、信号処理部35で生成された画像データに基づいて、距離範囲A1を通過した車両の数を計数する。
図7(a)は、処理部41による車両の計数処理を説明する図である。
処理部41は、時間の経過に応じて信号処理部35から送信される画像データに基づいて、画像データの画素値の合計を算出する。これにより、たとえば、図7(a)に示すように、時刻T1〜T3において画素値の合計がそれぞれ取得される。
ここで、処理部41は、画素値の合計に関する所定の閾値Sthをあらかじめ保持している。図7(a)では、時刻T2の画素値の合計が閾値Sth以上であり、時刻T1、T3の画素値の合計は閾値Sth未満である。このように、ある時刻において画素値の合計が閾値Sth未満(出力値がロー)であり、その後の時刻において画素値の合計が閾値Sth以上(出力値がハイ)であり、さらにその後の時刻において画素値の合計が閾値Sth未満(出力値がロー)となると、処理部41は、距離範囲A1を車両が通過したとみなして、車両の計数値に1を加算する。処理部41は、車両の計数値の加算を繰り返し行って、所定の時間幅における車両の計数値を出力する。
外部装置は、車両の計数値を受信すると、外部装置に設けられたディスプレイ等の表示部に表示させる。
以上、実施例1によれば、処理部41は、物体の有無に関する情報(画像データ)に基づいて、所定の距離範囲を通過した車両の数を計数できる。また、距離範囲は、使用者が受付部31を介して設定することができる。これにより、使用者は、外部装置の表示部等を介して、設定された距離範囲における車両の通行量を把握することができる。
なお、実施例1では、処理部41は、距離範囲A1を通過した車両の数を計数したが、計数対象とする物体は車両に限らない。たとえば、処理部41は、距離範囲A1を通過した人や他の物体の数を計数してもよい。人の数が計数される場合、処理装置2は、人が通過する道路R1の近傍に設置される。そして、図7(a)を参照して示したように、画素値の合計が閾値Sthと比較され、人の数が計数される。
また、処理装置2は、処理部41により計数された車両の数を表示するためのディスプレイ等の表示部を備えてもよい。この場合、使用者は、処理装置2の表示部を参照して、車両の通行量を把握することができる。
また、距離範囲A1における車両の通過を判断するために、処理部41は、画像データに対して画像解析を行ってもよい。この場合、処理部41は、画像データを解析して、車両の有無の状態が、存在しない状態から、存在する状態になり、存在しない状態に変化した場合に、距離範囲A1を車両が通過したとみなして、車両の計数値に1を加算する。
また、このように、車両の有無が画像データの解析によって判定される場合、たとえば、図7(b)に示すように、距離範囲A1に2つの車線が含まれるような場合でも、画像解析によって車線ごとに車両の通過数を計数することができる。
さらに、処理部41は、画像データを解析する場合、距離範囲A1を通過する物体の種類を判別してもよい。この場合、物体(車両や人)の種類ごとに通過数を計数することができる。
<実施例2>
上記実施例1では、1つの処理装置2によって、1つの道路における車両の移動が検出されたが、実施例2では、複数の処理装置2によって、複数の道路における車両の移動が検出され、検出結果に基づいて交通情報が生成される。
図8は、実施例2のデータ処理システム3の構成を示すブロック図である。
データ処理システム3は、複数の処理装置2と、複数の処理装置2に対してネットワーク網を介して通信可能に接続された1つのデータ処理装置42と、を備える。
処理装置2は、上記実施例1と同様に、対象となる距離範囲に対して投射光を投射して画像データを取得し、画像データに基づいて車両を計数する。処理装置2は、取得した車両の計数結果と、計数を行った距離範囲の位置情報とを、ネットワーク網を介してデータ処理装置42に送信する。ネットワーク網は、たとえばインターネットである。
距離範囲の位置情報は、たとえば、物体情報生成装置1または処理装置2に入力されてもよい。あるいは、物体情報生成装置1がGPSと方位センサを備える場合、GPSで検出された位置と、方位センサで検出された投射光の投射方向および受付部31を介して入力された距離範囲とに基づいて、制御部32が距離範囲の位置を算出し、算出結果を処理装置2の処理部41に送信してもよい。
データ処理装置42は、制御部、メモリ、表示部、および入力部などを備えたサーバである。データ処理装置42は、メモリに記憶された所定のプログラムに従って、処理装置2から送信された車両の計数結果と距離範囲の位置情報とを受信し、渋滞情報などの交通情報を生成する。そして、データ処理装置42は、外部装置に交通情報を送信する。
図9は、道路R1〜R5と、各道路に設置された番号1〜5の処理装置2と、各処理装置2によって撮像される距離範囲と、を模式的に示す図である。
道路R1〜R3はY軸方向に延び、道路R4、R5は、X軸方向に延びている。番号1〜5の処理装置2に搭載されている物体情報生成装置1の検出可能範囲は、それぞれ、道路R1〜R5に沿って設定されている。番号1の処理装置2には、あらかじめ受付部31を介して、道路R1上の異なる距離範囲A11、A12、A13が設定されている。番号2の処理装置2には、あらかじめ受付部31を介して、道路R2上の異なる距離範囲A21、A22、A23が設定されている。番号3の処理装置2には、あらかじめ受付部31を介して道路R3上の異なる距離範囲A31、A32、A33が設定されている。番号4の処理装置2には、あらかじめ受付部31を介して道路R4上の異なる距離範囲A41、A42、A43が設定されている。番号5の処理装置2には、あらかじめ受付部31を介して道路R5上の異なる距離範囲A51、A52、A53が設定されている。
各処理装置2は、前方に設定された3つの距離範囲に対応する画像データを生成し、上記実施例1において説明した手順と同様にして、3つの距離範囲を通過した車両の数をそれぞれ計数する。そして、各処理装置2は、前方に設定された3つの距離範囲の位置情報と、これら3つの距離範囲を通過した車両の数とをデータ処理装置42に送信する。
図10(a)は、データ処理装置42に送信された情報を、所定の時間幅(単位時間)で集計したグラフを模式的に示す図である。図10(b)は、データ処理装置42によって生成される交通情報を示す模式図である。
図10(a)に示すように、データ処理装置42は、複数の処理装置2から受信した情報に基づいて、所定の時間幅における車両の通過数を、複数の距離範囲(地点)ごとに集計する。そして、データ処理装置42は、集計した各地点の車両数に基づいて、どの道路において渋滞が生じているか、渋滞が生じている道路からどの道路に車両を導くべきか等を判定し、図10(b)に示すような交通情報を生成する。交通情報は、たとえば、地図情報に重ねられる数値情報や、図10(b)に示すような画像データなどである。そして、データ処理装置42は、生成した交通情報を、カーナビゲーションシステムなどの外部装置に送信する。
以上、実施例2によれば、データ処理装置42は、複数の処理装置2と通信可能に接続され、複数の処理装置2で計数された物体(車両)の数を用いて所定の処理(道路情報の生成)を実行する。これにより、上記のように車両が計数される場合、データ処理装置42において交通量を集約できるため、集約された交通量に基づいて交通情報等を生成できる。また、画像データではなく計数結果がデータ処理装置42に集約されるため、通信量を少なく抑えることができ、通信システムにかかるコストを低く抑えることができる。
なお、道路が渋滞している場合に、渋滞の原因(事故など)の究明が必要となる場合は、車両数が多い距離範囲に基づく画像データが、データ処理装置42に送信されてもよい。
<実施例3>
上記実施例1、2では、処理装置2によって、車両などの物体の移動が検出されたが、実施例3では、人などの物体の移動が検出され、検出結果に基づいて人を別の道路へと導くための情報が生成される。たとえば、イベント会場へと続く道路に処理装置2が設置され、道路の分岐位置に案内灯等の誘導手段が搭載された外部装置が設置されている。実施例3の処理装置2は、図5と同様、物体情報生成装置1と処理部41を備える。
図11は、処理装置2が、道路R1の混雑状況を判定し、他の道路R2へと人を導くための指示情報を生成することを説明する模式図である。
道路R1、R2は、人が通るための歩道である。道路R1は、X軸方向に延び、道路R2は、道路R1の途中からY軸負方向に延びている。処理装置2に搭載されている物体情報生成装置1の検出可能範囲は、道路R1に沿って設定されている。処理装置2には、あらかじめ受付部31を介して道路R1上の異なる距離範囲A1、A2、A3が設定されている。処理装置2の処理部41は、3つの距離範囲A1、A2、A3に対応する画像データを生成し、上記実施例1において説明した手順と同様にして、3つの距離範囲A1、A2、A3を通過した人の数をそれぞれ計数する。
そして、処理部41は、距離範囲A1を通過した人の数が所定の閾値よりも多い場合、距離範囲A1のX軸正側において混雑していると判定して、道路R1から道路R2へと人を誘導するための指示情報を生成する。指示情報は、たとえば「道路R1から道路R2へと迂回してください」といったメッセージや、外部装置に対して迂回が必要であることを伝達するためのコード情報などである。
外部装置は、指示情報を受信すると、たとえば、道路R1から道路R2へと人を誘導するための案内灯を点灯させる。あるいは、外部装置は、指示情報を受信すると、人を誘導するための音声をスピーカーから出力させてもよく、受信した指示情報のメッセージを、外部装置に設けられた表示部に表示させてもよい。
なお、道路R2を監視対象とする他の処理装置2が設置されてもよい。この場合、これら2つの処理装置2の検出結果に基づいて、より空いている道路に人を誘導するよう案内灯等を制御する処理装置が設けられてもよい。
以上、実施例3によれば、処理部41は、計数した物体(人)の数に基づいて、物体(人)を誘導するための指示情報を生成する。これにより、たとえば、検出可能範囲内で人が混み合っている場合に、指示情報により人の群れを迅速に誘導することができる。
<実施例4>
上記実施例1〜3では、処理装置2によって、車両や人などの物体の移動が検出されたが、実施例4では、侵入が好ましくないエリアに物体が近づいていることが検出される。実施例4の処理装置2は、図5と同様、物体情報生成装置1と処理部41を備える。
実施例4の処理部41は、メモリに記憶された所定のプログラムに従って、信号処理部35で生成された画像データに基づいて、検出可能範囲内の距離範囲A1に物体が侵入したか否かを判定する。そして、処理部41は、距離範囲A1に物体が侵入したことを検知した場合、物体が侵入したことを報知するための警報情報を、処理装置2内の通信インタフェースを介して外部装置に送信する。
図12(a)、(b)は、距離範囲A1に人が侵入したことが検知されることを模式的に示す図である。
処理装置2は、投射光の投射方向がX軸負方向となるよう設置されている。処理装置2に搭載された物体情報生成装置1の検出可能範囲は、処理装置2のX軸負側において、X軸方向に延びた道路R1に沿って設定されている。処理装置2には、あらかじめ受付部31を介して、道路R1の侵入禁止エリアRPのX軸負側に距離範囲A1が設定されている。すなわち、距離範囲A1のX軸正側に位置する道路R1の領域には、侵入禁止エリアRPが設定されている。侵入禁止エリアRPは、人に侵入して欲しくないと使用者が考える領域である。
物体情報生成装置1は、一定の間隔で距離範囲A1に対応する画像データを生成し、処理部41は、取得した画像データの画素値の合計が所定の閾値を超えている場合に、距離範囲A1に物体が侵入したと判定する。たとえば、図12(a)の場合、処理部41は、距離範囲A1に人がいないと判定する。一方、図12(b)の場合、処理部41は、距離範囲A1に人がいると判定する。このように距離範囲A1に人がいると判定した場合、処理部41は、人が侵入したことを報知するための警報情報を外部装置に送信する。警報情報は、たとえば、「侵入禁止エリアに人が近づいています」や「敷地内に人が侵入しています」などのメッセージや、外部装置に対して人が侵入したことを伝達するためのコード情報などである。外部装置は、たとえば、侵入禁止エリアRPの付近に設置される。
外部装置は、警報情報を受信すると、「侵入禁止エリアに人が近づいています」などのメッセージを、外部装置に設けられたディスプレイ等の表示部に表示させる。あるいは、外部装置は、警報情報を受信すると、非常灯を点灯させてもよく、侵入を報知するための音声やサイレンをスピーカーから出力させてもよい。また、外部装置は、受信した指示情報のメッセージを、外部装置に設けられた表示部に表示させてもよい。
以上のように、実施例4によれば、処理部41は、距離範囲A1に物体が侵入したか否かを判定する。これにより、使用者は、外部装置の表示部等を介して、所定の距離範囲に人や車などの物体が侵入したことを迅速に把握できる。また、処理部41は、物体が侵入したと判定した場合、物体の侵入を報知するための警報情報を生成する。これにより、たとえば、侵入が好ましくない侵入禁止エリアRPに物体が侵入した場合に、使用者は、外部装置に出力された警報情報により、侵入を迅速に把握できる。よって、侵入させないための掲示物や三角コーンなどを配置する必要がなくなるため、監視対象領域における美観を維持することができる。
なお、距離範囲A1に人がいると判定された後は、処理部41は、取得した画像データを外部装置に送信してもよい。これにより、外部装置にて、侵入しようとする人を記録および解析できる。
また、処理装置2は、処理部41の判定結果および処理部41で生成された警報情報を表示するためのディスプレイ等の表示部を備えてもよい。この場合、使用者は、処理装置2の表示部を参照して、判定結果および警報情報を把握することができる。また、処理装置2は、警報情報を受信すると、処理装置2に設けられた非常灯を点灯させてもよく、処理装置2に設けられたスピーカーから音声やサイレンを出力させてもよい。
<実施例5>
上記実施例4では、侵入禁止エリアRPに隣接するように距離範囲が設定されたが、これに限らず、侵入した人の動きをさらに詳細に確認できるよう、侵入禁止エリアに隣接して複数の距離範囲が設定されてもよく、人の侵入に応じて距離範囲が変化してもよい。
実施例5の処理装置2は、図5と同様、物体情報生成装置1と処理部41を備える。実施例5では、処理部41と制御部32とが通信可能に接続される。実施例5の処理部41は、距離範囲に物体が侵入したか否かを判定し、物体が侵入したと判定した場合、物体がどの距離範囲に侵入したかを示す情報を制御部32に送信する。
図13(a)〜(c)は、人の移動に伴って距離範囲が変化することを模式的に示す上面図である。
処理装置2は、投射光の投射方向がX軸負方向となるよう設置されている。処理装置2に搭載された物体情報生成装置1の検出可能範囲は、処理装置2のX軸負側において、X軸方向に延びた敷地Sに沿って設定されている。敷地SのX軸正側の端部は、人の侵入が好ましくない住居エリアS1であり、住居エリアS1のX軸負側は、道路R1から住居エリアS1へと続く庭エリアS2である。
また、実施例5では、図13(a)〜(c)に示すように、人の移動に応じて距離範囲が変更される。これらの距離範囲は、あらかじめ受付部31を介して使用者により設定され、制御部32内のメモリに記憶される。処理装置2は、人の移動に応じて図13(a)〜(c)に示すように距離範囲を設定して、距離範囲に対応した画像データを生成する。処理部41は、生成された画像データに基づいて、距離範囲内に人が存在するか否かを判定し、住居エリアS1に人が近づいたことを検知した場合、警報情報を生成して外部装置に送信する。
図13(a)に示すように、通常状態において、制御部32は、住居エリアS1に隣接する庭エリアS2の一部に距離範囲A11を設定し、道路R1に距離範囲A12を設定する。そして、処理部41は、一定間隔で生成される距離範囲A11、A12の画像データに基づいて、距離範囲A11、A12に人が存在するか否かを判定する。
処理部41が距離範囲A12に人が存在すると判定した場合、図13(b)に示すように、制御部32は、庭エリアS2に距離範囲A21〜A24を設定し、道路R1に距離範囲A25〜A27を設定する。距離範囲A21、A22は、住居エリアS1に近い位置に設定され、距離範囲A23、A24は、道路R1に近い位置に設定される。距離範囲A21、A22のそれぞれのX軸方向の幅は、距離範囲A23、A24のそれぞれのX軸方向の幅よりも狭い。距離範囲A25〜A27のそれぞれのX軸方向の幅は、図13(a)の距離範囲A12のX軸方向の幅よりも狭い。そして、処理部41は、一定間隔で生成される距離範囲A21〜A27の画像データに基づいて、距離範囲A21〜A27に人が存在するか否かを判定する。
処理部41が距離範囲A23、A24に人が存在すると判定した場合、図13(c)に示すように、制御部32は、庭エリアS2に距離範囲A31〜A35を設定し、道路R1に距離範囲A36を設定する。距離範囲A31、A32は、住居エリアS1に近い位置に設定され、距離範囲A33〜A35は、人が検出された位置の近傍に設定される。距離範囲A33〜A35のそれぞれのX軸方向の幅は、図13(b)の距離範囲A23、A24のそれぞれのX軸方向の幅よりも狭い。そして、処理部41は、一定間隔で生成される距離範囲A31〜A36の画像データに基づいて、距離範囲A31〜A36に人が存在するか否かを判定する。
処理部41が何れの距離範囲にも人が存在しないと判定すると、制御部32は、距離範囲の設定状態を、図13(a)の通常状態に戻す。
以上、実施例5によれば、制御部32は、受付部31を介して、図13(a)〜(c)に示したような、住居エリアS1から道路R1までの間の距離範囲の設定を受け付ける。そして、制御部32は、処理部41による人の侵入の判定に基づいて、距離範囲の設定を変更する。これにより、たとえば、図13(a)に示したように、人が存在しない場合には、距離範囲の数を少なくすることで処理負荷を小さく抑え、図13(b)、(c)に示したように、人が存在する場合には、距離範囲の幅を狭くし数を増やすことで詳細に人の動きを把握できる。
また、道路R1上に人を検出した後、侵入が好ましくない住居エリアS1に隣接する庭エリアS2の部分には、図13(b)、(c)に示すように、X軸方向の幅が狭い距離範囲A21、A22、A31、A32が設定される。これにより、庭エリアS2への人の侵入を詳細に把握できる。また、人が道路R1から庭エリアS2に移動した後も、図13(c)に示すように、道路R1上に距離範囲A36が設定される。これにより、先行して侵入しようとする人の後から、さらに仲間が侵入しようとすることをも検出することができる。
なお、実施例5においても、道路R1上において人が検出された後は、処理部41は、取得した画像データを外部装置に送信してもよい。これにより、外部装置にて、侵入しようとする人を記録および解析できる。
また、実施例5においても、処理装置2は、判定結果および警報情報を表示するためのディスプレイ等の表示部を備えてもよく、人の侵入を報知するための非常灯やスピーカーを備えてもよい。また、処理装置2は、人が庭エリアS2に侵入した場合に人を庭エリアS2から退出させる手段(照明灯や警報ブザー等)を動作させる構成を備えていてもよい。
また、実施例5では、図13(a)〜(c)に示す全ての距離範囲があらかじめ受付部31を介して設定され、制御部32は、処理部41による侵入の検知に応じて適切な距離範囲を選択した。しかしながら、これに限らず、図13(a)に示す距離範囲のみがあらかじめ受付部31を介して設定され、制御部32は、処理部41による侵入の検知に応じて、図13(a)の距離範囲A11、A12から、図13(b)、(c)に示すような複数の距離範囲を演算により算出し設定してもよい。
<実施例6>
上記実施例4では、処理装置2によって、所定の距離範囲に物体が侵入したか否かが検出されたが、実施例6では、さらに投射方向(奥行き方向)に交わる方向に物体が移動したかが検出される。実施例6の処理装置2は、図5と同様、物体情報生成装置1と処理部41を備える。
図14(a)は、距離範囲A1、A2から侵入禁止エリアRPへと人が移動し始めていることを模式的に示す図である。
処理装置2は、投射光の投射方向がX軸負方向となるよう設置されている。処理装置2に搭載された物体情報生成装置1の検出可能範囲は、処理装置2のX軸負側において、X軸方向に延びた道路R1に沿って設定されている。処理装置2には、あらかじめ受付部31を介して、道路R1に距離範囲A1、A2が設定されている。また、距離範囲A1、A2のY軸負側にはY軸方向に延びた道路R2が接続されており、道路R2には侵入禁止エリアRPが設定されている。
物体情報生成装置1は、一定の間隔で距離範囲A1、A2に対応する画像データを生成し、処理部41は、取得した画像データの画素値の合計が所定の閾値を超えている場合に、距離範囲A1、A2に人が存在すると判定する。そして、処理部41は、距離範囲A1、A2に人が存在すると判定した場合に、その後の所定時間における当該距離範囲に対応する画像データを解析して、人がY軸負方向に位置する侵入禁止エリアRPへ移動し始めたか否かを判定する。
たとえば、図14(a)に示すように、距離範囲A2に人が存在すると判定されると、処理部41は、図14(b)、(c)に示すような距離範囲A2に対応する画像データを解析する。図14(b)は、距離範囲A2に人が存在すると判定された後で取得された画像データであり、図14(c)は、図14(b)のさらに後で取得された画像データである。図14(b)、(c)に示す例の場合、処理部41は、画像データの解析により、人がY軸負方向へと移動し始めていると判定し、実施例4と同様の警報情報を外部装置に送信する。そして、外部装置は、警報情報を受信すると、実施例4と同様に、表示、点灯、音声出力などを行う。
以上、実施例6によれば、処理部41は、画像データに基づいて、検出可能範囲内の距離範囲A1、A2に人が存在するか否かを判定する。そして、処理部41は、人が存在すると判定した場合、当該判定を行った距離範囲に対応する画像データに基づいて、人が距離範囲の奥行き方向(X軸方向)に交わるY軸方向に移動したか否かを判定する。これにより、X軸方向に延びる道路R1から外れ、侵入禁止エリアRPに移動しようとする人を検出することができる。
なお、実施例6においても、処理装置2は、判定結果および警報情報を表示するためのディスプレイ等の表示部を備えてもよく、侵入禁止エリアRPへの人の侵入を報知するための非常灯やスピーカーを備えてもよい。
<実施例7>
1つの検出可能範囲に対して複数の距離範囲が設定される場合、一の距離範囲に存在する物体によって投射光が遮られることにより、奥側の他の距離範囲に存在する物体が他の距離範囲に対応する画像データに含まれていない場合が想定され得る。この場合、奥側の他の距離範囲に対応する画像データを用いて処理が行われると、誤った処理が行われてしまうといった事態が起こり得る。そこで、実施例7では、手前側の一の距離範囲に対応する画像データに物体が含まれている場合、奥側の他の距離範囲に対応する画像データを用いた処理が中止される。実施例7の処理装置2は、図5と同様、物体情報生成装置1と処理部41を備える。
図15(a)は、処理装置2に3つの距離範囲A1、A2、A3が設定されている状態を模式的に示す図である。
処理装置2は、投射光の投射方向がX軸負方向となるよう設置されている。処理装置2に搭載された物体情報生成装置1の検出可能範囲は、処理装置2のX軸負側において、X軸方向に延びた道路R1に沿って設定されている。処理装置2には、あらかじめ受付部31を介して、道路R1に3つの距離範囲A1〜A3が設定されている。
通常、距離範囲A1〜A3のいずれか1つに物体が含まれる場合、当該距離範囲の画像データには当該距離範囲に存在する物体が含まれることになる。また、図15(a)に示すように、あるタイミングにおいて、距離範囲A1、A2に人が存在し距離範囲A3に車両が存在したとしても、最も手前側(X軸正側)に位置する距離範囲A1の画像データには、図15(b)に示すように、距離範囲A1に存在する人が含まれる。
しかしながら、この場合、図15(c)に示すように、距離範囲A1よりも奥側(X軸負側)に位置する距離範囲A2に存在する人の一部が、破線で示す距離範囲A1の人の領域に重なることにより、距離範囲A2の画像データには、距離範囲A2に存在する人の一部が含まれない場合がある。同様に、図15(d)に示すように、距離範囲A3の画像データにも、距離範囲A3に存在する車両の一部が含まれない場合がある。この理由は、撮像対象となる距離範囲よりも手前側に位置する距離範囲に物体が存在すると、この物体によって投射光が遮られてしまうためである。
したがって、処理装置2の処理部41は、図15(a)のように、距離範囲A2、A3の手前側に位置する距離範囲A1において物体が検出された場合、距離範囲A2、A3の画像データを用いた処理を中止する。具体的には、処理部41は、距離範囲A2、A3の画像データを用いた物体の計数や物体の移動の検出といった処理を行わない。また、処理部41は、距離範囲A2、A3の画像データを外部装置に送信しない。
以上、実施例7によれば、検出可能範囲内の一の距離範囲に対応する画像データに基づいて、一の距離範囲に物体が存在すると判定した場合、検出可能範囲内の一の距離範囲よりも奥側に位置する他の距離範囲に対応する画像データを用いた処理が中止される。これにより、奥側の他の距離範囲に対応する画像データに基づいて、誤った処理が行われることを防止できる。
<変更例>
図1〜図4(c)を参照して説明した物体情報生成装置1では、受付部31を介して設定された距離範囲に対して物体の有無に関する情報が生成されたが、本発明は、物体情報生成装置1が、さらに、検出可能範囲の全範囲(物体検出が可能な全範囲)において物体の有無に関する情報を連続的に生成する機能を備えることを排除するものではない。この場合、使用者は、自身が設定した距離範囲に対して物体の有無に関する情報を取得するモードと、検出可能範囲の全範囲において一連の情報を取得するモードとを、適宜、選択して設定できる。あるいは、両モードを交互に実行する設定が可能であってもよい。
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。