JP6905833B2 - チョコレート菓子とその製造方法 - Google Patents

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本発明は、チョコレート菓子とその製造方法に関する。
ファッジ(Fudge)は、イギリス発祥のキャンディの1種である伝統菓子で、砂糖、練乳、バターを混合、完全に溶解した後、型に入れて冷やし固めたもので、口に入れた瞬間はヌガーに近い食感で、砂糖の結晶が大きいため粘着力はなく、しっとりとした質感で噛むと口中で崩れながら溶けていく食感に特徴がある。バリエーションも豊富でチョコレート、メープルシロップ、マシュマロ、ナッツ、ドライフルーツを入れたものがある。
このファッジ様のザラツキの残る脆い食感をチョコレート菓子に比較的簡易に付与し、かつ配合によってザラツキや脆さを容易に調整することができる技術が望まれている。また、噛むと口中で崩れながら溶けていく食感とともに、チョコレート生地の原材料による風味に加えて、新しい風味やコク味、例えば、チョコレート生地以外の呈味性油脂などの油脂に由来する風味やコク味があり、その口中での後残りが良いと、ザラツキや脆さの食感とともに、風味やコク味にも特徴のある製品となる。
また、エアインチョコとも称されている含気チョコレートは、チョコレート生地に小さな気泡を含有させたものであり、軽く脆い食感が特徴である。この含気チョコレートは、流動性を有する溶融状態のチョコレート生地に空気を多く抱き込ませた後に、固化することにより製造される。含気チョコレートの製造方法としては、含気工程や減圧工程によって溶融状態のチョコレート生地に気泡を取り込ませ、その後に固化する方法が知られているが、含気のための追加の工程を要し、圧力制御や高速撹拌等のための専用装置が必要になることから、特別な工程や専用装置を要せずに、容易に含気様の軽い食感を付与できる技術が望まれていた。
従来、チョコレート生地に油脂を粉末の形態で添加した食品として、特許文献1〜3の技術が提案されている。
特許文献1の実施例3には、不飽和脂肪酸を91質量%含有する高度不飽和脂肪酸含有油脂を含む水中油型乳化物を、直径0.1mmの孔から噴霧して得た微細な粉末油脂を添加したチョコレート製品が記載されている。しかし、チョコレートとしての風味が良好であったことや、異味臭が認められなかったことが記載されているように、高度不飽和脂肪酸に由来する油脂の風味発現が望ましくないことから、この風味発現を抑えることを図った技術である。すなわち、粉末油脂の添加によってもとの食感や風味が阻害されないようにしたものであり、粉末油脂によるザラツキ、脆さ、含気様の軽い食感の付与や、噛むと口中で崩れながら溶けていく食感とともに、粉末油脂に含まれる油脂に由来する、特徴ある風味やコク味を付与すること、特にこれらの後残りを示唆するものではない。
特許文献2には、飽和脂肪酸含有量が少ない脂質ベースのフィリング用組成物を提供するものとして、粉末油脂が、タンパク質を含むマトリックス材の外殻中にカプセル化された液体油を含むフィリング用組成物が提案されている。実施例では0.5〜5μmの微細な油滴になるように水中油型乳化物を調製し、噴霧乾燥して粉末油脂を得ており、これを添加したチョコレートフィリングを作製している。しかし、粉末油脂の添加によってもとの食感や風味が阻害されないようにしたものであり、粉末油脂によるザラツキ、脆さ、含気様の軽い食感の付与や、噛むと口中で崩れながら溶けていく食感とともに、粉末油脂に含まれる油脂に由来する、特徴ある風味やコク味を付与すること、特にこれらの後残りを示唆するものではない。
特許文献3には、油脂の融点が50〜100℃の粉末油脂を含有するチョコレート様食品が提案されている。風味発現のために油溶性香料を粉末油脂に含有させ、平均粒径が30〜61μmのような微細な粉末油脂をチョコレート様食品に添加している。チョコレート様食品を咀嚼する際に口中で粉末油脂が破壊され、遅れて粉末油脂に含まれる香料が薫り始めることで、風味的特徴を有するチョコレート様食品を得ることができるとされているが、粉末油脂に含まれる油脂自体の風味や後残りについては記載されておらず、融点が高いことから口溶けが悪くなり、油脂自体の風味の後残りが得られない。また、粉末油脂を微細にすることで香料による風味発現を図る技術であり、粉末油脂によるザラツキ、脆さ、含気様の軽い食感の付与や、噛むと口中で崩れながら溶けていく食感とともに、粉末油脂に含まれる油脂に由来する、特徴ある風味やコク味を付与すること、特にこれらの後残りを示唆するものではない。また、水中油型乳化物を調製した後、油脂が固化するまで冷却し、固化、浮上した油脂を分離、乾燥する工程によって、粉末油脂に占める油脂の含有量が多い粉末油脂を製造しているが、油脂の含有量が80質量%未満であるものについては記載されていない。
また、含気チョコレートを容易に製造する方法として、特許文献4には、エアの代替として焼成品粉砕物などの多孔質食品に含気させて溶融状態のチョコレート生地に混合した後、減圧する技術が提案されている。しかしながら、焼成品粉砕物などをチョコレート生地と混合するため、混合する量が多くなればなるほど油脂感が薄れてしまう。
特開昭59−17949号公報 特表2014−501115号公報 国際公開第2014/087724号 特開平11−318336号公報
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、ファッジ様のザラツキの残る脆い食感を付与できるとともに含気様の独特な食感が容易に得られ、かつ粉末油脂に含まれる油脂に由来する風味やコク味の後残りが良好なチョコレート菓子とその製造方法を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明のチョコレート菓子は、油脂の融点が25℃以上、50℃未満である粉末油脂を含有することを特徴としている。
前記粉末油脂は、前記油脂が液状油を含まないものであることが好ましく、前記油脂の含有量が50質量%以上、80質量%未満であることが好ましく、平均粒度が100μm超であることが好ましく、前記粉末油脂をチョコレート生地100質量部に対して1〜60質量部含有することが好ましい。
また本発明のチョコレート菓子の製造方法は、40〜60℃に加熱保持したチョコレート生地と、前記粉末油脂とを混合し、前記粉末油脂を分散させた後、冷却固化させることを特徴としている。
本発明によれば、チョコレート菓子はファッジ様のザラツキの残る脆い食感を付与できるとともに含気様の独特な食感が容易に得られ、かつ粉末油脂に含まれる油脂に由来する風味やコク味の後残りが良好である。
噴霧乾燥型の粉末油脂の断面を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のチョコレート菓子は、油脂の融点が25℃以上、50℃未満である粉末油脂を含有する。油脂の融点がこの範囲内であると、口溶けの度合いが良好で、チョコレート菓子を咀嚼して口中で崩れながら溶けていく際に、粉末油脂に含まれる油脂に由来する風味やコク味の後残りが良いものとなる。油脂の融点が高過ぎると口溶けが悪くなり風味が後残りしにくく、油脂の融点が低いもの、例えば液状油であると、口溶けが速すぎて風味が後残りしにくくなる。口溶けがさらに良好となる点を考慮すると、油脂の融点は、47℃以下が好ましい。
粉末油脂は、油脂が液状油を含まないものであることが好ましい。液状油を含まずに、油脂全体として上記の融点範囲となる油脂を使用することで、口溶けの度合いが良好で、チョコレート菓子を咀嚼して口中で崩れながら溶けていく際に、粉末油脂に含まれる油脂に由来する風味やコク味の後残りがより良いものとなる。ここで液状油とは、5℃で液状を呈するものであり、例えば、菜種油、大豆油、綿実油、ヒマワリ油、米油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油、魚油、パーム油を分別したスーパーオレインなどが挙げられる。
粉末油脂は、油脂の含有量が好ましくは50質量%以上、80質量%未満である。油脂の含有量が50質量%以上であると、チョコレート菓子を咀嚼して口中で崩れながら溶けていく際に、粉末油脂に含まれる油脂に由来する風味やコク味の後残りが良いものとなる。油脂の含有量が80質量%未満であると、乳化が良好であり、噴霧乾燥による方法による遊離脂肪量が少なく、チョコレート生地に添加したチョコレートの後残りをさらに良好なものとすることができる。
粉末油脂は、平均粒度が好ましくは100μm超である。ここで平均粒度は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。平均粒度が100μm超であると、チョコレート菓子を咀嚼した際にザラツキの残る脆い食感となる。ザラツキの残る脆い食感や、粉末油脂に含まれる油脂に由来する風味やコク味の後残りが良いものとなる点を考慮すると、平均粒度は好ましくは120μm超であり、平均粒度の上限は特に限定されるものではないが、噴霧乾燥による方法での粉末油脂の製造が困難とならない点などを考慮すると、好ましくは350μm以下である。
本発明のチョコレート菓子に使用される粉末油脂としては、特に限定されるものではないが、水中油型乳化物を乾燥した粉末油脂を好ましく用いることができる。
粉末油脂に使用される油脂としては、食用で、粉末油脂に含まれる油脂全体として融点が25℃以上、50℃未満となるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、菜種油、大豆油、綿実油、ヒマワリ油、米油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油、魚油、シア脂、サル脂、イリッペ脂、カカオ脂、豚脂(ラード)、牛脂、乳脂、それらの分別油またはそれらの加工油(硬化およびエステル交換反応のうち1つ以上の処理がなされたもの)などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、粉末油脂に含まれる油脂に由来する風味やコク味に特徴のあるチョコレート菓子が得られる点を考慮すると、乳脂が好ましい。乳脂を配合した粉末油脂では、後味にバター感とコク味が付与される。
以下に、本発明のチョコレート菓子に使用される粉末油脂の一例について説明する。
粉末油脂は、賦形剤を含む水相に、上記のような油脂を含む油相を添加し、ホモミキサーなどで攪拌後、ホモジナイザーなどで均質化することにより、水中油型乳化物とし、その後、乾燥粉末化して得ることができる。
水中油型乳化物を乾燥粉末化する方法としては、一般的に知られている噴霧乾燥法、真空凍結乾燥法、真空乾燥法などを用いることができる。
図1は、噴霧乾燥法により製造した粉末油脂の断面を示すSEM写真である。噴霧乾燥法で得られる粉末油脂は、図1のSEM写真に示すように、内部に空洞を持つ中空状となっている。本発明のチョコレート菓子によれば、含気様の独特な食感となる。その理由については、これに本発明が限定されるものではないが、次のような点が推察される。この中空状の粉末油脂は、言わば空気を油滴および賦形剤でカプセル化したものとなっており、本発明のチョコレート菓子を製造する際に、加熱溶融したチョコレート生地と、中空状の粉末油脂とを混合し、粉末油脂の形状を保ちながら均一に分散させることにより、閉じ込められた空気も均一に分散していることになる。従って、さらに含気のための追加の工程や、圧力制御や高速撹拌等のための専用装置を要しないことから、容易に含気様の軽い食感を付与できる。このような点を考慮すると、本発明に使用される粉末油脂は、水中油型乳化物を乾燥粉末化する方法の中でも、図1のような中空状の粉末油脂が出来易い噴霧乾燥法による粉末油脂が好ましい。
賦形剤としては、例えば、カゼインナトリウムなどの乳タンパクや、大豆タンパク、小麦タンパク、全脂粉乳、脱脂粉乳、ホエイパウダー、バターミルクパウダー、コラーゲン、ゼラチンなどのタンパク、これらタンパクの分解物、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノースなどの単糖類、ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロースなどの二糖類、オリゴ糖、デキストリン、デンプンなどの多糖類、増粘多糖類、糖アルコールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
粉末油脂は、必要に応じて、乳化剤を用いることができる。乳化剤は、食品用であれば特に限定されるものではなく、例えば、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウムなどが挙げられる。粉末油脂に乳化剤を配合する場合、通常は、油溶性乳化剤は油相に、水溶性乳化剤は水相に配合する。油相および水相には、酸化防止剤、着色料、フレーバーなどを適宜に配合してもよい。
以下に、粉末油脂の製造方法の一例について説明する。
乳化工程では、前記の各原材料を乳化機の撹拌槽に投入して撹拌混合した後、圧力式ホモジナイザーで均質化する。
原材料の配合比は、特に限定されるものではないが、例えば、油脂と賦形剤の合計量100質量部に対して水50〜200質量部の範囲内にすることができる。
配合手順は、特に限定されるものではないが、例えば、賦形剤を水に室温で分散後、加熱下に攪拌し、あるいは賦形剤を加熱した水に分散、攪拌して完全に溶解させた後、ホモミキサーで攪拌しながら、油脂を加熱溶解させたものを滴下して乳化することができる。
得られた乳化液は、圧力式ホモジナイザーに供給することによって油滴サイズが微細化される。例えば、市販の圧力式ホモジナイザーを用いて、10〜250kgf/cm2の程度の圧力をかけて均質化し、油滴サイズを微細化することができる。
次に、均質化した乳化液を高圧ポンプで噴霧乾燥機の入口に供給し、高温熱風を吹き込み、噴霧乾燥機の槽内に上方から噴霧する。噴霧乾燥された粉末は槽内底部に堆積される。噴霧乾燥機としては、例えば、アトマイザー方式やノズル方式で噴霧するスプレードライヤーを用いることができる。
次に、噴霧乾燥された粉末を噴霧乾燥機の槽内から取り出した後、振動流動槽などにより搬送しながら冷風で冷却することによって、粉末油脂を製造することができる。なお、適宜のときに加熱殺菌工程などを設けることもできる。
本発明のチョコレート菓子は、チョコレート生地と、以上に説明したような粉末油脂とを含有する。
チョコレート生地としては、例えば、カカオマス、ココアバター、ココアケーキ、ココアパウダーなどのカカオ原料と、必要により砂糖などの糖類、粉乳などの乳製品、植物油脂などの食用油脂、香料などの食品添加物を任意の割合で混合し、常法により、ロール掛け、コンチング処理して得たものであり、昭和46年3月、不当景品類及び不当表示防止法の規定に基づき、公正取引委員会の認定を受けた「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」に記載されたチョコレート、準チョコレートだけでなく、カカオマス、カカオバター、ココア等を利用した生チョコレート、ホワイトチョコレート、カラーチョコレート等の油脂加工食品も含まれるものである。
本発明のチョコレート菓子は、チョコレート生地に対する粉末油脂の添加量によって、チョコレート菓子を咀嚼した際におけるザラツキと脆さの食感や、含気様の食感を容易に調整することができる。本発明のチョコレート菓子は、粉末油脂をチョコレート生地100質量部に対して好ましくは1〜60質量部含有する。粉末油脂の含有量がこの範囲内であると、チョコレート菓子を咀嚼した際に、ザラツキの残る脆い食感と含気様の食感および、粉末油脂に含まれる油脂に由来する風味やコク味の後残りが良いものとなる。その中でも、ザラツキの残る脆い食感と、粉末油脂に含まれる油脂に由来する風味やコク味の後残りがより良いものとなる点を考慮すると、粉末油脂の含有量は、チョコレート生地100質量部に対してより好ましくは5質量部以上であり、含気様の食感がより良いものとなる点を考慮すると、粉末油脂の含有量は、チョコレート生地100質量部に対してさらに好ましくは20質量部以上であり、チョコレート菓子を製造する際に、粉末油脂を分散させたチョコレート生地を加熱溶融状態で型に流し込むのが容易で作業性が良好である点を考慮すると、粉末油脂の含有量は、チョコレート生地100質量部に対してより好ましくは45質量部以下である。
本発明のチョコレート菓子には、本発明の効果を損なわない範囲内において、チョコレート生地と粉末油脂以外に、その他の原材料を配合することができる。その他の原材料としては、例えば、クッキー、キャラメル、ナッツ、コーンフレークなどが挙げられる。
本発明のチョコレート菓子は、例えば、加熱溶融したチョコレート生地と、粉末油脂とを混合し粉末油脂を分散させた後、冷却固化させることによって製造することができる。その中でも、チョコレート生地が溶融して流動状態となり、かつ粉末油脂が粒状を保ちながら均一に分散でき、ザラツキの残る脆い食感と含気様の食感および、粉末油脂に含まれる油脂に由来する風味やコク味の後残りが良いチョコレート菓子が得られる点を考慮すると、本発明のチョコレート菓子は、40〜60℃に加熱保持したチョコレート生地と、粉末油脂とを混合し、粉末油脂を分散させた後、冷却固化させることによって製造することが好ましい。具体的には、例えば、攪拌機を備えたミキサーを用いて、チョコレート生地を所定の温度に加熱保持しながら溶解し、攪拌機によって撹拌しながら粉末油脂を投入し、均一に混ぜ込んだ後、粉末油脂を分散させたチョコレート生地をミキサーボウルから型に入れて放冷して固め、チョコレート菓子を得ることができる。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(1)測定方法
粉末油脂の平均粒度は、SEISHIN ROBOT SHIFTER RPS−105(自動乾式音波ふるい分け測定器、(株)セイシン企業製)を用いて、粉体粒度測定条件(分級時間:4分、分級:3分、音波強度:30、音波周波数:50Hz)で測定した。
850、300、212、150、106、75、53、32、PASSメッシュ使用
100メッシュ JIS−Z−8801−2006の標準ふるい(目開き150μm)
油脂の融点は、基準油脂分析法(公益社団法人日本油化学会)の「3.2.2.2−2013 融点(上昇融点)」で測定した。
(2)粉末油脂の作製等
(粉末油脂A)
表1に示す油脂32.5質量%を70℃に調温後、乳化剤を0.7質量%添加し、油相33.2質量%を調製した。水51.0質量%を60℃に調温し、賦形剤としてデキストリンを14.0質量%、カゼインナトリウムを1.8質量%添加し水相を調製した。油相を70℃で、水相を60℃で保持し、ホモミキサーで攪拌しながら水相に油相の全量を添加し、水中油型に乳化させた後、ホモジナイザーで150kgf/cmの圧力をかけて均質化し、水中油型乳化物を得た。得られた水中油型乳化物を、ノズル式スプレードライヤーを用いて、水分2.0質量%、平均粒度200μmを目標に噴霧条件を適宜に調整し、噴霧乾燥して粉末油脂を得た。
Figure 0006905833
(粉末油脂B)
粉末油脂Aのパーム油をパームオレインに変更し、それ以外は粉末油脂Aと同様にして粉末油脂Bを得た。
(粉末油脂C)
粉末油脂Aのパーム油をヤシ極度硬化油に変更し、それ以外は粉末油脂Aと同様にして粉末油脂Cを得た。
(粉末油脂D)
粉末油脂Aのパーム油をパーム硬化油(融点48℃)に変更し、それ以外は粉末油脂Aと同様にして粉末油脂Dを得た。
(粉末油脂E)
粉末油脂Aのパーム油を乳脂(融点32℃)に変更し、それ以外は粉末油脂Aと同様にして粉末油脂Eを得た。
(粉末油脂F)
粉末油脂Aのパーム油を菜種極度硬化油と菜種油の混合油(菜種極度硬化油と菜種油の質量比=1:1)に変更し、それ以外は粉末油脂Aと同様にして粉末油脂Fを得た。
(粉末油脂G、H、I)
下記表2の組成となるように水相の配合を調整し、製造条件は粉末油脂Aと同様にして粉末油脂G、H、Iを得た。
Figure 0006905833
(粉末油脂J、K)
粉末油脂Aの配合で、水分2.0質量%かつ平均粒度120μm(粉末油脂J)、350μm(粉末油脂K)を目標にスプレーノズルの角度やSFB(サブフルイダイズドベッド:副流動層)の圧力等を適宜に調整し、噴霧乾燥して粉末油脂J、Kを得た。
(粉末油脂L)
粉末油脂Aのパーム油を菜種油に変更し、それ以外は粉末油脂Aと同様にして粉末油脂Lを得た。
(粉末油脂M)
粉末油脂Aのパーム油を菜種極度硬化油に変更し、それ以外は粉末油脂Aと同様にして粉末油脂Mを得た。
(油脂粉末N)
粉末状の菜種極度硬化油である市販の油脂粉末を用いた。
(パーム油P)
粉末状ではない通常のパーム油を用いた。
Figure 0006905833
※1 菜種極度硬化油と菜種油の質量比=1:1
※2 油脂粉末:理研ビタミン(株)スプレーファットNR−100
(3)チョコレート菓子の作製
下記配合でチョコレート菓子を作製した。ミキサー((株)愛工舎製作所 KENMIXミキサー(ビーター使用))を用いて、チョコレート生地のコーティングチョコを45〜50℃に保持しながら溶解、低速撹拌しながら粉末油脂A〜Mのいずれか、または油脂粉末Nをふりかけるよう投入し、3分間均一に混ぜ込んだ後、型に入れて放冷して固め、表4に示す実施例1〜15、比較例1、3、4のチョコレート菓子を得た。なお、表4の比較例2では通常のパーム油Pを添加し、それ以外は上記と同様にしてチョコレート菓子を得た。
<チョコレート菓子の配合>
コーティングチョコ ※3 500g
粉末油脂A〜Mのいずれか、油脂粉末N、またはパーム油P 5〜300g
※3 カカオバリー社 パータグラッセ・イボワール(白)
使用した粉末油脂A〜M、油脂粉末N、パーム油Pと、チョコレート生地の配合(質量部)を表4に示した。
(4)評価
表4の実施例および比較例について次の評価を行った。なおパネルは、五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)の識別テスト、味の濃度差識別テスト、食品の味の識別テスト、基準嗅覚テストを実施し、その各々のテストで適合と判断された20〜40代の男性6名、女性6名を選抜した。
[ザラツキ]
チョコレート菓子を試食したときの口中でのザラツキを、パネル12名により以下の基準で評価した。
評価基準
◎:パネル12名中11〜12名が、ザラツキがあると評価した。
○:パネル12名中7〜10名が、ザラツキがあると評価した。
△:パネル12名中3〜6名が、ザラツキがあると評価した。
×:パネル12名中、ザラツキがあると評価したのは2名以下であった。
[脆さ]
チョコレート菓子を試食したときの食感の脆さを、パネル12名により以下の基準で評価した。
評価基準
◎:パネル12名中11〜12名が、食感が脆いと評価した。
○:パネル12名中7〜10名が、食感が脆いと評価した。
△:パネル12名中3〜6名が、食感が脆いと評価した。
×:パネル12名食感が脆いと評価したのは2名以下であった。
[含気様]
チョコレート菓子を試食したときの含気様の食感を、パネル12名により以下の基準で評価した。
◎:パネル12名中11〜12名が、含気していると感じた。
○:パネル12名中7〜10名が、含気していると感じた。
△:パネル12名中3〜6名が、含気していると感じた。
×:パネル12名中含気していると感じたのは2名以下であった。
[口溶け]
チョコレート菓子を試食したときの口溶けを、パネル12名により以下の基準で評価した。
評価基準
◎:パネル12名中11〜12名が、口溶けが良いと評価した。
○:パネル12名中7〜10名が、口溶けが良いと評価した。
△:パネル12名中3〜6名が、口溶けが良いと評価した。
×:パネル12名中、口溶けが良いと評価したのは2名以下であった。
[風味の後残り]
チョコレート菓子を試食したときの口中での風味の後残りを、実施例1〜15、比較例1〜4の各チョコレート菓子をチョコレート生地に粉末油脂を配合していないチョコレート菓子と比較して、パネル12名により以下の基準で評価した。
評価基準
◎+:パネル12名中全員が風味の後残りが良いと評価した。
◎ :パネル12名中10〜11名が、風味の後残りが良いと評価した。
○ :パネル12名中7〜9名が、風味の後残りが良いと評価した。
△ :パネル12名中3〜6名が、風味の後残りが良いと評価した。
× :パネル12名中、風味の後残りが良いと評価したのは2名以下であった。
[作業性]
チョコレート菓子を作製する際の作業性について、チョコレート菓子の作製時にミキサーボウルから型に流し込むときのミキサーボウルの傾きと流動状態から、以下の基準で評価した。
評価基準
◎:ミキサーボウルの傾きが45度未満で流動する。
○:ミキサーボウルを45度以上70度未満で流動する。
△:ミキサーボウルを70度以上90度未満で流動する。
×:ミキサーボウルを90度傾けても流動しない。
[総合評価]
上記のザラツキ、脆さ、含気様、口溶け、風味の後残り、作業性の各項目の評価結果より、以下の基準で評価した。
評価基準
◎:各項目で◎+あるいは◎であった。
〇:各項目で×も△もなく、1つ以上〇であった。
△:各項目で×はなく、1つ以上△であった。
×:各項目で1つ以上×であった。
以上の評価結果を表4に示す。
Figure 0006905833

Claims (3)

  1. 末油脂を含有するチョコレート菓子(水を加えて混合するチョコレート菓子を除く)であって、
    前記粉末油脂は、水中油型乳化物を噴霧乾燥したものであり、かつ、油脂の融点が25℃以上、50℃未満、平均粒度が200μm〜350μmであるとともに、前記油脂の含有量が50質量%以上、80質量%未満であり、
    チョコレート生地100質量部に対して前記粉末油脂を10〜60質量部含有する、チョコレート菓子。
  2. 前記粉末油脂は、前記油脂が液状油を含まないものである請求項1に記載のチョコレート菓子。
  3. 請求項1または2に記載のチョコレート菓子の製造方法であって、40〜60℃に加熱保持したチョコレート生地と、前記粉末油脂とを混合し、前記粉末油脂を分散させた後、冷却固化させるチョコレート菓子の製造方法。
JP2017026277A 2016-02-18 2017-02-15 チョコレート菓子とその製造方法 Active JP6905833B2 (ja)

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