以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る荷受台昇降装置の側面図である。この状態は、貨物車両Vにおける荷箱Bの後部下方に荷受台昇降装置1が格納された状態、すなわち貨物車両Vが走行可能な状態を表している。一方、図2は、荷受台昇降装置1全体を、図1のスライド前端位置(前方位置)から荷箱Bの後方へスライドさせ、所定のスライド後端位置(後方位置)に到達させた後、荷受台19を展開および昇降させて荷物の積み降ろし作業をする使用状態を示す側面図である。
貨物車両Vの車体2上には荷箱Bが搭載されている。本実施形態の車体2は、シャシフレーム2aと、このシャシフレーム2a上に重なるようにして配設されたサブフレーム2bとを有している。サブフレーム2bは、荷箱Bの下面に配置されており、荷箱Bを補強する機能を有している。シャシフレーム2aの後端下方には、いわゆる床下格納式の荷受台昇降装置1が格納されている。
図2において、荷受台昇降装置1の車幅方向に左右一対設けられている固定側支持部材3は、それぞれ、車両前後方向に水平に延びるスライドレール4と、これを車体2に架装するための複数(本例では3個)の取付ブラケット5と、左右一対のスライドレール4の前端部を連結する角パイプからなる連結部材6とによって構成されている。
スライドレール4と各取付ブラケット5とは、2本のボルト7とナット(図示せず)により締結されている(図1参照)。スライドレール4には支持板8が車両前後方向に摺動可能に装着されている。
左右一対の支持板8は、車幅方向に水平に延びる角パイプからなるクロスメンバ9を貫通させ(なお、両側端部は補強用に角パイプを3段重ねしているが、車幅方向に架設しているのは1本のみである。)、これらは互いに一体に溶接されている。支持板8より車幅方向の外側には、支持ブラケット10,11が、クロスメンバ9と一体に溶接されている。これらの支持ブラケット10,11も、左右一対設けられている。
左右一対の支持板8の下部は、チャンネル材からなる連結部材12により連結されている(図3参照)。上記の支持板8、クロスメンバ9および支持ブラケット10,11および連結部材12は、上記固定側支持部材3に対して車両前後方向にスライド可能な可動側支持部材13を構成している。
上記支持ブラケット10には補助リンク14が一定範囲で回動可能に取り付けられており、この補助リンク14に、上アーム15およびリフトシリンダ(昇降駆動装置)16が回動可能に取り付けられている。リフトシリンダ16の先端は上アーム15の所定位置に接続されており、伸縮作動により上アーム15にトルクを付与する。また、支持ブラケット11には下アーム17が回動可能に取り付けられている。リフトシリンダ16は、例えば単動式の油圧シリンダからなる。
上アーム15および下アーム17は、それらの支点および作用点を結ぶ四角形が平行四辺形となる平行リンクを構成し、リフトシリンダ16の伸縮作動により、その先端側を昇降作動させる。上記の補助リンク14、上アーム15、リフトシリンダ16および下アーム17は、左右一対設けられ、荷受台19を昇降させるアーム式の昇降機構18を構成している。
荷受台19は、上アーム15および下アーム17の先端に水平に取り付けられたメインプレート(基部荷受台)191と、これに対して折り畳み・展開可能に接続されたサブプレート(先部荷受台)192と、メインプレート191とサブプレート192とを連結する連結部193とを備えている。
連結部193は、一端部がメインプレート191の先端部に回動可能に連結されるとともに、他端部がサブプレート192の基端部に回動可能に連結されたヒンジ193a(図1も参照)を有する。
以上の構成により、格納時にはメインプレート191上にサブプレート192が折り畳まれる。また、使用時にはサブプレート192が展開されることで、荷受台19には、メインプレート191の上面からサブプレート192の上面へ連続した荷受面19aが構成される。この荷受面19aには荷箱Bに対して積み降ろしされる荷物が載置される。
このように荷受面19aが構成された状態でリフトシリンダ16を伸縮駆動させると、荷受台19を、荷箱Bの床面b1と荷受面19aとが略同一の高さ位置となる上昇位置(図2の上側の位置)と、地面に接地した接地位置(図2の下側の位置)との間で昇降させることができる。これにより、荷箱Bの後方(図2の右側)において荷受台19を昇降させることで、貨物車両Vの荷箱Bに対して荷物を積み降ろすことができる。
前述の左右一対の支持板8のそれぞれには、後方へ突出するようにローラ取付板20が取り付けられ、その後端にガイドローラ21が回転自在に取り付けられている。このガイドローラ21に、サブプレート192の先端を乗せることができる。
次に、荷受台昇降装置1を前方位置と後方位置との間でスライド(前後移動)させるスライドシリンダ(前後駆動装置)22について説明する。図3は、スライドシリンダ22が最収縮した状態を示す平面図である。図4(a)は、スライドシリンダ22が最収縮した状態を示す概略側面図であり、図4(b)は、スライドシリンダ22が最伸長した状態を示す概略側面図である。
図3において、上記スライドシリンダ22は、車幅方向において左右のスライドレール4の間に配置された左右一対のシリンダ23にて構成されている。シリンダ23は、例えば複動式の油圧シリンダからなる。左右のシリンダ23のシリンダ本体24は、その前後両端部が互いに前後逆向きに配置された状態で重ね合わされ、前後一対の継手部25にて一体的に連結されている。
図3および図4において、右側(図3の上側)のシリンダ23では、そのピストンロッド26の先端部に一体形成されたボス部26aが、取付板27にピン28により取り付けられている。上記取付板27は、上記連結部材6の車幅方向の略中間部に固定されている。また、左側(図3の下側)のシリンダ23では、そのピストンロッド26のボス部26aが、車両前後方向に延びる取付台29に固定された取付板30にピン31により取り付けられている。
上記取付台29は、上面に上記取付板30が固定されている上部取付台29aと、この上部取付台29aより車両前後方向に短く形成されているとともに、上部取付台29aの下部にボルト32とナット(図示せず)より固定された下部取付台29bとから構成されている。下部取付台29bは、その後端部が上記連結部材12の車幅方向の略中間部に固定されている。また、下部取付台29bの前端部は、上記クロスメンバ9の車幅方向の略中間部に固定されている。
上記の構成により、図1に示す状態で格納されている荷受台19を使用する場合には、上記スライドシリンダ22を伸長作動により後方へスライドさせ、後方位置まで後退させる。次いで、リフトシリンダ16を収縮作動させると、上アーム15および下アーム17が図2の実線に示すように下方回動し、メインプレート191が着地する。このときメインプレート191は水平であり、他方、サブプレート192はその先端がガイドローラ21に乗っているため、サブプレート192は連結部193を中心に、図2の時計回り方向に回動する。
次に、サブプレート192を手で起こしてメインプレート191の後方に水平に倒伏させる。このようして荷受台19が水平に展開される。この状態で、リフトシリンダ16を伸長作動させると、荷受台19を水平に維持したまま、図2の上昇位置まで荷受台19を上昇させることができる。また、上昇位置からリフトシリンダ16を収縮作動させれば、荷受台19を元の位置まで下降させることができる。
なお、下アーム17が着地してからさらにリフトシリンダ16を収縮作動させると、補助リンク14の作用により荷受台19はその先端(後端)を下げるようにチルト作動して地面に沿う。これにより、例えば、図示しないキャスタ付きのカート(荷物)を荷受台19の後方から前方へ移動させることでカートを荷受面19a上に容易に積み降ろしすることができる。
荷受台19を格納するには、下アーム17が着地して荷受台19が水平である状態からサブプレート192を起立させ、さらに、ガイドローラ21に立てかける。次に、上アーム15および下アーム17を上昇させ、サブプレート192を自重によりメインプレート191上に畳み込む。そして、スライドシリンダ22を収縮作動させ、前方位置まで可動側支持部材13、昇降機構18および荷受台19を引き込み、図1の格納状態とする。
図3において、クロスメンバ9の長手方向の一端部(図3の上側)には、荷受台昇降装置1(具体的にはリフトシリンダ16及びスライドシリンダ22)の駆動を制御する制御装置41(図7参照)を備えたパワーユニット40が取り付けられている。また、クロスメンバ9の長手方向の他端部(図3の下側)には、荷受台19を昇降またはスライドさせるための操作指令を制御装置41に出力するための有線の主操作器43が収容されたスイッチボックス42が取り付けられている。
[荷受台昇降装置の油圧回路]
図5は、上記荷受台昇降装置1の油圧回路図である。なお、図5では、スライドシリンダ22は、説明の便宜上、2個のシリンダ23のうちの1個のみを図示している。図5において、パワーユニット40は、荷受台昇降装置1を駆動するための多くの部材を有している。スライドシリンダ22は、このパワーユニット40に接続されている。また、一対のリフトシリンダ16は、それぞれ電磁弁46を介して、パワーユニット40に接続されている。
パワーユニット40は、タンク47、ポンプ48、電磁弁49〜52、逆止弁53,54、絞り弁55,56、及び圧力制御弁57を図示のように接続して構成されている。電磁弁46,49,50,52は逆止弁を内蔵し、また、電磁弁51は一対の逆止弁を相対向させたダブルチェック弁を内蔵している。上記ポンプ48は、これに直結されたモータ58によって回転駆動される。上記電磁弁46,49〜52は、それぞれソレノイド46s,49s〜52sを備えている。
スライドシリンダ22を伸長動作させるときは、ポンプ48が運転され、電磁弁50が励磁される。他の電磁弁46,49,51,52は非励磁状態である。ポンプ48から圧送される作動油は、逆止弁53,54及び絞り弁55を経てスライドシリンダ22の収縮側ポート22bに供給される。また、作動油は、励磁された電磁弁50を通ってスライドシリンダ22の伸長側ポート22aにも供給される。この結果、ピストンヘッドの受圧面積差により、スライドシリンダ22は伸長動作する。
スライドシリンダ22を収縮動作させるときは、ポンプ48が運転され、電磁弁51が励磁される。他の電磁弁46,49,50,52は非励磁状態である。ポンプ48から圧送される作動油は、逆止弁53,54及び絞り弁55を経てスライドシリンダ22の収縮側ポート22bに供給される。また、伸長側ポート22aは、励磁された電磁弁51からタンク47に連通し、作動油の戻しが可能となる。従って、スライドシリンダ22は収縮動作する。
リフトシリンダ16を伸長動作させるときは、ポンプ48が運転され、電磁弁49,50が励磁される。他の電磁弁46,51,52は非励磁状態である。ポンプ48から圧送される作動油は、逆止弁53、励磁された電磁弁49、非励磁状態の電磁弁46を経て、リフトシリンダ16に供給され、リフトシリンダ16は伸長(上昇)動作する。また、このとき油圧は、逆止弁54、絞り弁55及び励磁された電磁弁50を介してスライドシリンダ22の伸長側ポート22aにも供給される。これにより、上昇動作中の負荷によってスライドシリンダ22が収縮方向に戻されることを防止する。
リフトシリンダ16を収縮動作させるときは、ポンプ48が停止となり、電磁弁50,52,46が励磁される。他の電磁弁49,51は非励磁状態である。これにより、リフトシリンダ16内の作動油は、励磁された電磁弁46、非励磁状態の電磁弁49、励磁された電磁弁52、絞り弁56を経て、タンク47に戻される。従って、リフトシリンダ16は収縮(下降)動作する。
電磁弁46が非励磁状態のとき、リフトシリンダ16内の作動油は、電磁弁46内の逆止弁によって封止され、リフトシリンダ16のピストンはその位置に保持される。
[荷受台昇降装置の電気回路]
図6は、貨物車両Vにおける荷受台昇降装置1の概略電気配線図である。図6において、車載のバッテリ61(電圧は例えばDC24V)は、サブフレーム2bの前方(車体2の前方寄り)に取り付けられている。バッテリ61に近接してその後方には、コンタクタ等を収容したコンタクタボックス62が取り付けられている。また、サブフレーム2bの後部のクロスメンバ9(図3参照)には、パワーユニット40が取り付けられている。パワーユニット40には、ケーブル44を介して主操作器43が接続されている。パワーユニット40は、コンタクタボックス62を介して、バッテリ61と電気的に接続されている。
一方、貨物車両Vの運転室C内では、バッテリ61からコンタクタボックス62、ヒューズ65を経てメインスイッチ64が接続され、パワーユニット40に至る回路が形成されている。メインスイッチ64は、後述する共通電路L0を開閉操作可能とされている。なお、運転室C内には、メインスイッチ64がオン(閉路)状態であることを示すランプ66が設けられている。
メインスイッチ64からパワーユニット40内の主操作器43に至る回路の途中には、荷箱B内に配置された有線の副操作器81がケーブル82を介して接続されている。副操作器81は、主操作器43とは別に、荷受台19を昇降またはスライドさせるための操作指令を制御装置41に出力するものである。
図7は、荷受台昇降装置1の電気回路図である。図7において、コンタクタボックス62内には2つのヒューズ67,68と、有接点開閉装置であるコンタクタ69が収容され、図示のように接続されている。主操作器43は、上げスイッチ43uと、下げスイッチ43dとによって構成され、図示のように接続されている。また、副操作器81は、主操作器43と同様に、上げスイッチ81uと、下げスイッチ81dとによって構成され、図示のように接続されている。各スイッチ43u,43d,81u,81dは、操作している間だけその操作信号が出力され、手を離すと操作信号がなくなるタイプの非保持型スイッチである。
パワーユニット40内の電気回路要素としては、前述の各電磁弁49〜52のソレノイド49s〜52sやモータ58の他、制御装置41と、無接点開閉装置としてのFET(MOS−FET)70〜76と、ダイオード63と、通信装置84とが設けられている。制御装置41には、各ソレノイド46s,49s〜52s(但し、ソレノイド46sはパワーユニット40の外部にある。)と、上げスイッチ43u及び下げスイッチ43dとが接続されている。
制御装置41は、FET70〜76、ダイオード63、コンタクタ69、及びモータ58等を制御するメインCPU41aと、通信装置84及びランプ85等を制御するサブCPU41bとを有している。メインCPU41a及びサブCPU41bは、例えばCAN(Controller Area Network)通信により相互通信が可能であり、2本の通信線41cにより接続されている。なお、本実施形態では、メインCPU41a、コンタクタ70〜76、ダイオード63、ヒューズ83,87(後述)が、コントローラ88としてユニット化されている。
サブCPU41bには、通信装置84及びランプ85の他、操作スイッチ86が接続されている。図8は、ランプ85及び操作スイッチ86を示す図6のA矢視図である。図8に示すように、ランプ85及び操作スイッチ86は、パワーユニット40の後面において互いに近接して取り付けられている。操作スイッチ86は、例えば押しボタンからなる。ランプ85は、操作スイッチ86が操作されると、サブCPU41bから出力される報知指令により表示制御されるようになっている。その詳細については後述する。
図7に戻り、通信装置84は、パワーユニット40内に設けられており、例えばBluetooth(登録商標)により外部(例えば携帯端末等)と無線通信するものである。この通信装置84により、制御装置41に記憶されている各種の情報(例えば、荷受台昇降装置1の機種情報や、後述する第1及び第2異常E1,E2の履歴情報等)を外部に送信することができる。
バッテリ61からヒューズ68、ヒューズ79、運転室C内のヒューズ65及びメインスイッチ64を通って分岐点Aに至る共通電路L0(太線で表示)において、バッテリ61とヒューズ68との間から分岐した電路L1は、ヒューズ67、コンタクタ69及びFET70を介してモータ58に給電する。電路L1におけるモータ58の上流側と下流側とを接続するバイバス電路Lbには、ダイオード63が設けられている。
ヒューズ67は、モータ58の配線がショートしたときの過電流を防止するものであり、ヒューズ68は、その下流側の電路がショートしたときの過電流を防止するものである。また、ヒューズ79は、荷受台昇降装置1に設けられた端子台ボックス45(図6参照)内に配置されており、ヒューズ65は、ヒューズ79よりも下流側で運転室C内に配置されている。これにより、荷受台昇降装置1の配線のうちヒューズ65よりも上流側の配線がショートしたときに、ヒューズ79がヒューズ68よりも先に切れることで、端子台ボックス45内でヒューズ79を交換することができるので、ヒューズの交換作業が容易となる。
共通電路L0において、ヒューズ79とヒューズ65との間から分岐した電路L2は、メインCPU41aに常時給電するとともに、ヒューズ87及びFET71〜76をそれぞれ介して各ソレノイド49s〜52s,46sを励磁するための電圧を供給する。また、電路L2には、2つの近接センサ(位置検出センサ)77,78が接続されている。一方の近接センサ77は、昇降機構18(荷受台19)がスライド後端位置にあるか否かを検知することができるように取り付けられている。他方の近接センサ78は、サブプレート192がメインプレート191の上に折り畳まれた状態であるか否かを検知することができるように取り付けられている。各近接センサ77,78の検知信号は、メインCPUに入力される。なお、本実施形態では、位置検出センサとして、近接センサを設けているが、他のセンサを用いてもよい。
共通電路L0の下流端(分岐点A)には、第1分岐電路L11と第2分岐電路L12とが分岐して接続されている。第1分岐電路L11には、メインCPU41a及び主操作器43が接続されており、メインCPU41aに給電するとともに、主操作器43の上げスイッチ43u及び下げスイッチ43dの信号入力用の電圧を供給する。
第2分岐電路L12の途中には、ポリスイッチ83が配置されており、そのポリスイッチ83の下流側には、荷箱B内の副操作器81が接続されている。これにより、第2分岐電路L12は、副操作器81の上げスイッチ81u及び下げスイッチ81dの信号入力用の電圧を供給する。
ポリスイッチ83は、例えば制御装置41の基板(図示省略)上に配置されており、ショート時の過電流による温度上昇で切断し、ショート状態を解除して温度が低下すると自動的に繋がって復帰する。これにより、ポリスイッチ83が切断しても当該ポリスイッチ83を交換する必要がないので、交換する作業をし難い場所でも配置することができ、その配置自由度を高めることができる。
共通電路L0のヒューズ68,79,65及び第2分岐電路L12のポリスイッチ83は、上流側(バッテリ61側)から下流側に配置されるに従って、定格電流が徐々に低くなるように設定されている。具体的には、ヒューズ79の定格電流は、その上流側に配置されたヒューズ68の定格電流よりも低く設定され、ヒューズ65の定格電流は、その上流側に配置されたヒューズ79の定格電流よりも低く設定されている。また、第2分岐電路L12のポリスイッチ83の定格電流は、その上流側に配置された共通電路L0のヒューズ65の定格電流よりも低く設定されている。
[荷受台昇降装置の動作]
次に、上記のように構成された荷受台昇降装置1の動作について説明する。メインスイッチ64がオン操作されると制御装置41のメインCPU41aの動作及び主操作器43の操作が可能となり、運転室C内のランプ66が点灯する。一方、コンタクタ69は開いている。コンタクタ69のコイルはメインCPU41aと接続されており、メインCPU41aによりコンタクタ69の開閉制御が行われる。
ここで、荷受台昇降装置1の格納状態(図1)から下げスイッチ43d(又は下げスイッチ81d)が押されると、メインCPU41aは、先にコンタクタ69を閉路し、閉路動作に要する時間経過後にFET70をオンの状態にする。これにより、モータ58及びポンプ48(図5)が運転される。また、メインCPU41aはソレノイド50sを励磁する。この結果、スライドシリンダ22が伸長動作し、昇降機構18の後方スライド動作が行われる。昇降機構18がスライド後端位置で後退すると(近接センサ77により検知)、メインCPU41aは、先にFET70をオフの状態にしてからコンタクタ69を開路する。これによりモータ58が運転停止される。
また、メインCPU41aはソレノイド46s,50s,52sを励磁して、リフトシリンダ16を収縮動作させる。これにより、上アーム15及び下アーム17が下降動作して、図2の実線に示すように着地する。このとき、メインプレート191は水平であり、他方、サブプレート192はその先端がガイドローラ21に乗っている。ここで作業者が下げスイッチ43d(又は下げスイッチ81d)から手を離すと、メインCPU41aはソレノイド46s,50s,52sを非励磁とする。次に作業者は、サブプレート192を手で起こして水平に倒伏させる。このようして荷受台19が水平に展開される。
この展開完了状態から上げスイッチ43u(又は上げスイッチ81u)が押されると、メインCPU41aは、先にコンタクタ69を閉路し、閉路動作に要する時間経過後にFET70をオンの状態にする。これにより、モータ58及びポンプ48が運転される。また、メインCPU41aはソレノイド49s,50sを励磁する。この結果、リフトシリンダ16が伸長動作し、荷受台19を水平に維持したまま上昇位置まで上昇させることができる。ここで作業者が上げスイッチ43u(又は上げスイッチ81u)から手を離すと、メインCPU41aは、FET70をオフの状態にしてからコンタクタ69を開路し、モータ58及びポンプ48を停止させる。また、メインCPU41aはソレノイド49s,50sを非励磁とする。
また、荷受台19が上昇位置にある状態で下げスイッチ43d(又は下げスイッチ81d)が押されると、メインCPU41aはソレノイド46s,50s,52sを励磁して、リフトシリンダ16を収縮動作させ、荷受台19を下降させることができる。なお、下アーム17が着地してからさらにリフトシリンダ16が収縮動作することで、補助リンク14の作用により荷受台19はその先端を下げるようにチルト動作して地面に沿い、荷物の積み下ろしが容易にできるようになる。
一方、荷受台19を格納するには、下アーム17が着地して荷受台19が水平である状態からサブプレート192を起立させ、さらに、ガイドローラ21にもたせかける(図2)。ここで、上げスイッチ43u(又は上げスイッチ81u)が押されると、メインCPU41aは、先にコンタクタ69を閉路し、閉路動作に要する時間経過後にFET70をオンの状態にする。これにより、モータ58及びポンプ48が運転される。また、メインCPU41aはソレノイド49s,50sを励磁する。この結果、リフトシリンダ16が伸長動作し、上アーム15及び下アーム17が上昇する。
上アーム15及び下アーム17の上昇によりサブプレート192がメインプレート191上に折り畳まれると(近接センサ78により検知)、メインCPU41aはソレノイド49s,50sを非励磁として、上アーム15及び下アーム17の上昇を停止させるとともに、今度はソレノイド51sを励磁してスライドシリン22を収縮動作させる。これにより可動側支持部材13、昇降機構18及び荷受台19が格納位置に向かって引き込みを開始する。
そして、メインCPU41aは、ソレノイド51sを励磁した時点から所定秒数が経過すると、FET70への通電を断続させて電圧を下げる。これにより、荷受台19等は、格納位置の直前で引き込み速度が減速され、ゆっくりと格納位置まで引き込まれて図1の状態となる。なお、FET70への通電を遮断すると、モータ58から逆起電力が発生するが、この逆起電力は、ダイオード63を通過することによって減衰される。
荷受台19等が格納位置まで移動すると、作業者は、上げスイッチ43u(又は上げスイッチ81u)から手を離す。そうすると、メインCPU41aは、FET70をオフの状態にしてからコンタクタ69を開路し、モータ58及びポンプ48を停止させる。また、メインCPU41aはソレノイド51sを非励磁とする。
[荷受台昇降装置の構成部材]
荷受台昇降装置1は、上記のように、荷受台19、昇降機構18、固定側支持部材3、可動側支持部材13、及びパワーユニット40等を含む複数の構成部材により構成されている。ここで、「構成部材」とは、荷受台昇降装置1を構成する部材であり、且つ後述する第1検出部91及び第2検出部92の少なくとも一方の検出部として用いられる専用の部材でないものを意味する。
なお、「専用の部材」とは、単一の第1検出部91又は単一の第2検出部92として用いられる専用の部材だけでなく、複数の第1検出部91を兼ねる部材、複数の第2検出部92を兼ねる部材、及び第1検出部91と第2検出部92とを兼ねる部材も含む意味である。
本実施形態の「構成部材」には、上記機器19,18,3,13,40等だけでなく、上記機器19,18,3,13,40等をそれぞれ構成する部材(例えばパワーユニット40内の各電気回路要素等)や、後述するように通信線41cを兼ねる第1検出部91Aも含まれる。
[第1検出部]
荷受台昇降装置1は、その構成部材の修理が必要な複数の第1異常E1a〜E1gをそれぞれ検出するための複数(本実施形態では7つ)の第1検出部91A〜91Gを備えている。
第1検出部91Aは、メインCPU41aとサブCPU41bとの間で行われるCAN通信の受信エラーを第1異常E1aとして検出するためのものである。本実施形態では、2本の通信線41cが第1検出部91Aを兼ねている。したがって、2本の通信線41cは、CAN通信の通信データを、第1検出部91Aが検出した第1検出結果としてサブCPU41bに出力する。
なお、CAN通信の受信エラーが発生するのは、メインCPU41aとサブCPU41bとが2本の通信線41cで接続されていないことが原因である。このため、前記受信エラーが発生した場合、荷受台昇降装置1の構成部材である、2本の通信線41c又はコントローラ88の交換や、2本の通信線41cの繋ぎ直し等の修理が必要となる。
第1検出部91Bは、FET70のショート破壊を第1異常E1bとして検出するためのものである。本実施形態では、第1検出電路L21が第1検出部91Bを構成している。第1検出電路L21の一端は、メインCPU41aに接続され、第1検出電路L21の他端は、電路L1におけるFET70とモータ58との間に接続されている。
これにより、第1検出電路L21は、モータ58の出力端子の電圧を、第1検出部91Bが検出した第1検出結果としてメインCPU41aに出力する。なお、FET70のショート破壊が発生するのは、FET70の部品不良が原因であるため、前記ショート破壊が発生した場合、コントローラ88を交換する修理が必要となる。
第1検出部91Cは、FET70のオープン破壊を第1異常E1cとして検出するためのものである。本実施形態では、前記第1検出電路L21及び第2検出電路L22が第1検出部91Cを構成している。第1検出電路L21は、上記のように接続されており、モータ58の出力端子の電圧を、第1検出部91Cが検出した第1検出結果の一部としてメインCPU41aに出力する。第2検出電路L22の一端は、メインCPU41aに接続され、第2検出電路L22の他端は、電路L1におけるコンタクタ69とFET70との間に接続されている。
これにより、第2検出電路L22は、モータ58の電源電圧を、第1検出部91Cが検出した第1検出結果の一部としてメインCPU41aに出力する。したがって、第1検出部91Cは、その第1検出結果として、モータ58の出力端子の電圧、及びモータ58の電源電圧をメインCPU41aに出力する。なお、FET70のオープン破壊が発生するのは、FET70の部品不良が原因であるため、前記オープン破壊が発生した場合、コントローラ88を交換する修理が必要となる。
第1検出部91Dは、電路L2における各ソレノイド49s〜52sへの接続部分のショートを第1異常E1dとして検出するためのものである。本実施形態では、第3検出電路L23が第1検出部91Dを構成している。第3検出電路L23の一端は、メインCPU41aに接続され、第3検出電路L23の他端は、電路L2におけるヒューズ87とFET71への分岐点との間に接続されている。
これにより、第3検出電路L23は、ソレノイド49s〜52sの電源電圧を、第1検出部91Dが検出した第1検出結果としてメインCPU41aに出力する。なお、前記接続部分にショートが発生するのは、貨物車両Vの走行中の振動等により、前記接続部分がパワーユニット40内でずれて損傷するのが原因と考えられる。このため、前記接続部分にショートが発生した場合、荷受台昇降装置1の構成部材であるソレノイド49s〜52sのうちの少なくとも1つを交換する修理が必要となる。
第1検出部91Eは、副操作器81に接続されているケーブル82のショートを第1異常E1eとして検出するためのものである。本実施形態では、第4検出電路L24が第1検出部91Eを構成している。第4検出電路L24の一端は、メインCPU41aに接続され、第4検出電路L24の他端は、第2分岐電路L12におけるポリスイッチ83とケーブル82の接続端との間に接続されている。
これにより、第4検出電路L24は、副操作器81の電源電圧を、第1検出部91Eが検出した第1検出結果としてメインCPU41aに出力する。なお、ケーブル82にショートが発生するのは、ケーブル82が他部材同士の間に挟まれて損傷し、その損傷個所が他部材に導通してしまうことが原因と考えられるため、前記ショートが発生した場合、荷受台昇降装置1の構成部材であるケーブル82を交換する修理が必要となる。
第1検出部91Fは、コンタクタ69の溶着不良を第1異常E1fとして検出するためのものである。本実施形態では、前記第2検出電路L22が第1検出部91Fを兼ねている。第2検出電路L22は、上記のように接続されており、モータ58の電源電圧を、第1検出部91Fが検出した第1検出結果としてメインCPU41aに出力する。なお、コンタクタ69の溶着不良が発生するのは、コンタクタ69の接点が溶着することが原因であるため、前記溶着不良が発生した場合、荷受台昇降装置1の構成部材であるコンタクタ69を交換する修理が必要となる。
第1検出部91Gは、コンタクタ69の接触不良を第1異常E1gとして検出するためのものである。本実施形態では、前記第2検出電路L22が第1検出部91Gを兼ねている。第2検出電路L22は、上記のように接続されており、モータ58の電源電圧を、第1検出部91Gが検出した第1検出結果として出力する。なお、コンタクタ69の溶着不良が発生するのは、コンタクタ69の接点にゴミ等の異物が挟まっていることが原因であるため、前記接触不良が発生した場合、コンタクタ69を交換する修理が必要となる。
なお、以下において、第1検出部91A〜91Gの共通事項を説明する場合は、第1検出部91と総称する。また、第1異常E1a〜E1gの共通事項を説明する場合は、第1異常E1と総称する。後述する第2検出部92A〜92C、及び第2異常E2a〜E2cについても同様に、第2検出部92、及び第2異常E2と総称する。
[第2検出部]
荷受台昇降装置1は、その構成部材の修理が不要な複数(ここでは3つ)の第2異常E2a〜E2cをそれぞれ検出するための複数(ここでは3つ)の第2検出部92A〜92Cを備えている。
第2検出部92Aは、モータ58の過熱を第2異常E2aとして検出するためのものである。本実施形態では、コントローラ88内に設けられた温度センサ89が第2検出部92Aを構成している。温度センサ89は、コントローラ88内において電路L2に接続されている。温度センサ89は、コントローラ88内の雰囲気温度を検出し、その検出値を、第2検出部92Aが検出した第2検出結果としてメインCPU41aに出力する。
なお、モータ58の過熱が発生するのは、モータ58を作動させ過ぎることが原因である。このため、モータ58の過熱が発生した場合、モータ58の温度が所定温度に下がるまで、モータ58を作動させずに待機することで、前記過熱は解消される。したがって、モータ58の過熱が発生した場合、荷受台昇降装置1の構成部材の修理は不要である。
第2検出部92Bは、ダイオード63の過熱を第2異常E2bとして検出するためのものである。本実施形態では、前記温度センサ89が第2検出部92Bを兼ねている。温度センサ89は、上記のように接続されてコントローラ88内の雰囲気温度を検出するため、その検出値を、第2検出部92Bが検出した第2検出結果としてメインCPU41aに出力する。
なお、ダイオード63の過熱が発生するのは、上述のように荷受台19等の格納位置への引き込み速度を何度も減速させたときに、FET20への通電の断続が何度も行われることが原因である。このため、ダイオード63の過熱が発生した場合、ダイオード63の温度が所定温度に下がるまで、FET20への通電を断続させずに待機することで、前記過熱は解消される。したがって、ダイオード63の過熱が発生した場合、荷受台昇降装置1の構成部材の修理は不要である。
第2検出部92Cは、車載のバッテリ61の電圧低下を第2異常E2cとして検出するためのものである。本実施形態では、前記第1検出電路L21が第2検出部92Cを兼ねている。第1検出電路L21は、上記のように接続されており、モータ58の電源電圧を、第2検出部92Cが検出した第2検出結果としてメインCPU41aに出力する。
なお、バッテリ61の電圧低下が発生するのは、バッテリ61の劣化や充電不足が原因である。このため、バッテリ61の電圧低下が発生した場合、バッテリ61の交換や充電等の貨物車両Vの修理は必要となるが、荷受台昇降装置1の構成部材の修理は不要である。
[制御装置の内部構成]
図9は、本実施形態の制御装置41の内部構成の一例を示す機能ブロック図である。制御装置41は、第1検出部91及び第2検出部92の各検出結果に基づいて、外部である前記ランプ85に報知する報知指令を出力する機能を有している。図9に示すように、制御装置41は、前記各検出結果から対応する第1異常E1又は第2異常E2が発生しているか否かを判断する判断部411と、判断部411の判断結果に基づいて前記報知指令を生成して出力する制御部412とを備えている。
本実施形態では、判断部411は、第1判断部411aと第2判断部411bとを有しており、メインCPU41aが第1判断部411aとして機能し、サブCPU41bが第2判断部411b及び制御部412として機能している。
第2判断部411bには、第1検出部91Aが検出した第1検出結果が所定の通信間隔毎に入力される。そして、第2判断部411bは、前記通信間隔毎に入力された第1検出結果から、当該第1検出結果に対応する第1異常E1aが発生しているか否かを判断する。
第1判断部411aには、残りの第1検出部91B〜91Gがそれぞれ検出した複数の第1検出結果が入力される。そして、第1判断部411aは、入力された前記複数の第1検出結果から、複数の第1異常E1b〜E1gが発生しているか否かを判断する。すなわち、第1判断部411aは、入力された各第1検出結果から、当該第1検出結果に対応する第1異常E1が発生しているか否かを判断する。
また、第1判断部411aには、第2検出部92A〜92Cがそれぞれ検出した複数の第2検出結果が入力される。そして、第1判断部411aは、入力された前記複数の第2検出結果から、複数の第2異常E2a〜E2cが発生しているか否かを判断する。すなわち、第1判断部411aは、入力された各第2検出結果から、当該第2検出結果に対応する第2異常E2が発生しているか否かを判断する。
制御部412には、第1及び第2判断部411a,411bがそれぞれ判断した判断結果が入力される。また、制御部412には、操作スイッチ86が操作されたときに、前記報知指令の生成を開始する操作指令が入力される。これにより、制御部412は、前記操作指令が入力された時点における第1及び第2判断部411a,411bの判断結果に基づいて報知指令を生成し、生成した報知指令をランプ85に出力する。なお、制御部412と第1判断部411aとは、前記2本の通信線41cを介したCAN通信により相互通信する。
[第1異常の判断方法]
第2判断部411bは、取得した第1検出部91Aの第1検出結果から、第1異常E1a(CAN通信の受信エラー)が発生しているか否かを判断する。メインCPU41aとサブCPU41bとの間のCAN通信が正常の場合、常時、所定の通信間隔毎に互いに通信データを送信し続けている。そこで、本実施形態の第2判断部411bは、第1検出部91A(2本の通信線41c)の検出結果であるCAN通信の通信データが、前記通信間隔よりも長い所定の判断時間のあいだ途絶えた場合に、第1異常E1aが発生していると判断する。一方、第2判断部411bは、前記通信データが前記判断時間のあいだ途絶えなければ、第1異常E1aは発生していないと判断する。
第1判断部411aは、取得した第1検出部91Bの第1検出結果から、第1異常E1b(FET70のショート破壊)が発生しているか否かを判断する。FET70のショート破壊が発生すると、コンタクタ69が閉路しているだけでモータ58に電気が流れる。そこで、本実施形態の第1判断部411aは、第1検出部91B(第1検出電路L21)の検出結果であるモータ58の出力端子の電圧が所定電圧以上の状態で所定時間経過した場合に、第1異常E1bが発生していると判断する。一方、第1判断部411aは、前記電圧が所定電圧以上の状態で所定時間経過しなければ、第1異常E1bは発生していないと判断する。
第1判断部411aは、取得した第1検出部91Cの第1検出結果から、第1異常E1c(FET70のオープン破壊)が発生しているか否かを判断する。FET70のオープン破壊が発生すると、FET70がオンの状態にならないため、モータ58に電気が流れない。そこで、本実施形態の第1判断部411aは、第1検出部91C(第1及び第2検出電路L21,L22)の検出結果である、モータ58の出力端子の電圧、及びモータ58の電源電圧の電圧差が所定電圧以上の状態で所定時間経過した場合に、第1異常E1cが発生していると判断する。一方、第1判断部411aは、前記電圧差が所定電圧以上の状態で所定時間経過しなければ、第1異常E1cは発生していないと判断する。
第1判断部411aは、取得した第1検出部91Dの第1検出結果から、第1異常E1d(電路L2における各ソレノイド49s〜52sへの接続部分のショート)が発生しているか否かを判断する。前記接続部分にショートが発生すると、ヒューズ87により電路L2が遮断する。そこで、本実施形態の第1判断部411aは、第1検出部91D(第3検出電路L23)の検出結果であるソレノイド49s〜52sの電源電圧が所定電圧以下の状態で所定時間経過した場合に、第1異常E1dが発生していると判断する。一方、第1判断部411aは、前記電源電圧が所定電圧以下の状態で所定時間経過しなければ、第1異常E1dは発生していないと判断する。
第1判断部411aは、取得した第1検出部91Eの第1検出結果から、第1異常E1e(副操作器81に接続されているケーブル82のショート)が発生しているか否かを判断する。ケーブル82にショートが発生すると、ポリスイッチ83により第2分岐電路L12が遮断する。そこで、本実施形態の第1判断部411aは、第1検出部91E(第4検出電路L24)の検出結果である副操作器81の電源電圧が所定電圧以下の状態で所定時間経過した場合に、第1異常E1eが発生していると判断する。一方、第1判断部411aは、前記電源電圧が所定電圧以下の状態で所定時間経過しなければ、第1異常E1eは発生していないと判断する。
第1判断部411aは、取得した第1検出部91Fの第1検出結果から、第1異常E1f(コンタクタ69の溶着不良)が発生しているか否かを判断する。コンタクタ69の溶着不良が発生すると、コンタクタ69の接点は開かない。そこで、本実施形態の第1判断部411aは、制御部412からコンタクタ69を閉路する指令が出力されておらず、且つ第1検出部91F(第2検出電路L22)の検出結果であるモータ58の電源電圧が所定電圧以上の状態で所定時間経過した場合に、第1異常E1fが発生していると判断する。一方、第1判断部411aは、前記電源電圧が所定電圧以上の状態で所定時間経過しなければ、第1異常E1fは発生していないと判断する。
第1判断部411aは、取得した第1検出部91Gの第1検出結果から、第1異常E1g(コンタクタ69の接触不良)が発生しているか否かを判断する。コンタクタ69の接触不良が発生すると、コンタクタ69の接点は閉じない。そこで、本実施形態の第1判断部411aは、制御部412からコンタクタ69を閉路する指令が出力されており、且つ第1検出部91G(第2検出電路L22)の検出結果であるモータ58の電源電圧が所定電圧以下の状態で所定時間経過した場合に、第1異常E1gが発生していると判断する。一方、第1判断部411aは、前記電源電圧が所定電圧以下の状態で所定時間経過しなければ、第1異常E1gは発生していないと判断する。
[第2異常の判断方法]
第1判断部411aは、取得した第2検出部92Aの第2検出結果から、第2異常E2a(モータ58の過熱)が発生しているか否かを判断する。本実施形態の第1判断部411aは、第2検出部92A(温度センサ89)の検出結果であるコントローラ88内の現時点の雰囲気温度と、モータ58の作動時間及び非作動時間とに基づいて、モータ58の現時点の温度を推定する。
例えば、第1判断部411aは、予め定められた計算式に基づいて、モータ58の作動時間に応じたモータ58の温度上昇値、及びモータ58の非作動時間に応じた温度下降値をそれぞれ算出する。そして、第1判断部411aは、温度センサ89が検出した前記雰囲気温度に、前記温度上昇値を加算するとともに前記温度下降値を減算した算出値を、モータ58の現時点の温度として推定する。第1判断部411aは、推定したモータ58の現時点の温度が所定温度以上の場合に、第2異常E2aが発生していると判断する。一方、第1判断部411aは、推定したモータ58の現時点の温度が所定温度未満の場合には、第2異常E2aは発生していないと判断する。
第1判断部411aは、取得した第2検出部92Bの第2検出結果から、第2異常E2b(ダイオード63の過熱)が発生しているか否かを判断する。本実施形態の第1判断部411aは、第2検出部92A(温度センサ89)の検出結果であるコントローラ88内の現時点の雰囲気温度と、荷受台19等の引き込み速度の減速を開始した時点からのモータ58の作動時間及び非作動時間とに基づいて、ダイオード63の現時点の温度を推定する。
例えば、第1判断部411aは、前記計算式に基づいて、モータ58の作動時間に応じたモータ58の温度上昇値、及びモータ58の非作動時間に応じた温度下降値をそれぞれ算出する。そして、第1判断部411aは、温度センサ89が検出した前記雰囲気温度に、前記温度上昇値を加算するとともに前記温度下降値を減算した算出値を、ダイオード63の現時点の温度として推定する。第1判断部411aは、推定したダイオード63の現時点の温度が所定温度以上の場合に、第2異常E2bが発生していると判断する。一方、第1判断部411aは、推定したダイオード63の現時点の温度が所定温度未満の場合には、第2異常E2bは発生していないと判断する。
第1判断部411aは、取得した第2検出部92Cの第2検出結果から、第2異常E2c(バッテリ61の電圧低下)が発生しているか否かを判断する。本実施形態の第1判断部411aは、第2検出部92C(第1検出電路L21)の検出結果であるモータ58の電源電圧が所定電圧以下の状態で所定時間経過した場合に、第2異常E2cが発生していると判断する。一方、第1判断部411aは、前記電源電圧が所定電圧以下の状態で所定時間経過しなければ、第2異常E2cは発生していないと判断する。
[報知指令の生成出力]
制御部412は、判断部411から第1異常E1が発生しているという判断結果が入力されると、第1報知指令を生成し、生成した第1報知指令をランプ85に出力する。その際、制御部412は、複数の第1異常E1a〜E1gそれぞれに対応する固有の第1報知指令を生成して出力する。
本実施形態の制御部412は、複数の第1異常E1a〜E1gそれぞれに対応して、以下に示すように、ランプ85の固有の点滅回数を含む第1報知指令を生成して出力する。これにより、ランプ85は、固有の第1報知指令の点滅回数にしたがって点滅表示する。
第1異常E1aに対応する第1報知指令:点滅回数=10回
第1異常E1bに対応する第1報知指令:点滅回数=8回
第1異常E1cに対応する第1報知指令:点滅回数=7回
第1異常E1dに対応する第1報知指令:点滅回数=6回
第1異常E1eに対応する第1報知指令:点滅回数=9回
第1異常E1fに対応する第1報知指令:点滅回数=5回
第1異常E1gに対応する第1報知指令:点滅回数=4回
制御部412は、判断部411から第1異常E1が発生しているという2つ以上の判断結果が入力されると、複数の第1異常E1a〜E1gについて予め定められた優先順位に基づき、前記2つ以上の判断結果に対応する第1異常E1のうち優先順位が最も高い第1異常E1に対応する第1報知指令のみを生成して出力する。
本実施形態では、第1異常E1g→第1異常E1f→第1異常E1e→第1異常E1d→第1異常E1c→第1異常E1b→第1異常E1aの順に優先順位が高くなるように定められている。したがって、制御部412は、例えば、判断部411から第1異常E1c〜第1異常E1fが発生したという判定結果が入力されると、優先順位が最も高い第1異常E1cに対応する第1報知指令(点滅回数=7回)のみを生成してランプ85に出力する。
制御部412は、判断部411から、第1異常E1が発生していないという判断結果が入力され、且つ第2異常E2が発生しているという判断結果が入力されると、第1報知指令とは異なる第2報知指令を生成し、生成した第2報知指令をランプ85に出力する。その際、制御部412は、複数の第2異常E2a〜E2cそれぞれに対応する固有の第2報知指令を生成して出力する。
本実施形態の制御部412は、複数の第2異常E2a〜E2cそれぞれに対応して、以下に示すように、ランプ85の固有の点滅回数を含む第2報知指令を生成して出力する。これにより、ランプ85は、第2報知指令の固有の点滅回数にしたがって点滅表示する。
第2異常E2aに対応する第2報知指令:点滅回数=1回
第2異常E2bに対応する第2報知指令:点滅回数=2回
第2異常E2cに対応する第2報知指令:点滅回数=3回
制御部412は、判断部411から、第1異常E1が発生していないという判断結果が入力され、且つ第2異常E2が発生しているという2つ以上の判断結果が入力されると、複数の第2異常E2a〜E2cについて予め定められた優先順位に基づき、前記2つ以上の判断結果に対応する第2異常E2のうち優先順位が最も高い第2異常E2に対応する第2報知指令のみを生成して出力する。
本実施形態では、第2異常E2c→第2異常E2b→第2異常E2aの順に優先順位が高くなるように定められている。したがって、制御部412は、例えば、判断部411から第2異常E2a〜E2cが発生したという判定結果が入力されると、優先順位が最も高い第2異常E2aに対応する第2報知指令(点滅回数=1回)のみを生成してランプ85に出力する。これにより、ランプ85は、第2異常E2aに対応する第2報知指令にしたがって点滅表示する。
制御部412は、判断部411から、第1異常E1が発生しているという判断結果と、第2異常E2が発生しているという判断結果とがいずれも入力された場合、第1報知指令のみを生成してランプ85に出力する。すなわち、第1異常E1は、第2異常E2よりも優先順位が高く設定されている。例えば、制御部412は、判断部411から、第1異常E1gが発生したという判定結果と、第2異常E2aが発生したという判定結果とが入力されると、第1異常E1gに対応する第1報知指令(点滅回数=4回)のみを生成してランプ85に出力する。これにより、ランプ85は、第1異常E1gに対応する第1報知指令にしたがって点滅表示する。
制御部412は、判断部411から、第1異常E1が発生していないという判断結果と、第2異常E2が発生していないという判断結果とがいずれも入力された場合、第1報知指令及び第2報知指令とは異なる第3報知指令を生成し、生成した第3報知指令をランプ85に出力する。本実施形態の制御部412は、第3報知指令として、ランプ85を所定秒数の間(例えば5秒間)点灯させる指令を生成して出力する。これにより、ランプ85は、第3報知指令にしたがって点灯表示する。
図10は、制御部412による報知指令の生成出力処理の一例を示すタイムチャートである。図10では、制御部412が、判断部411から第2異常E2cが発生しているという判断結果のみが入力された場合と、その後に第1異常E1及び第2異常E2が発生していないという両判断結果が入力された場合とにおける報知指令の生成出力処理を示している。
制御部412は、操作スイッチ86が操作されたときの操作指令の信号立ち下がり時点t0において、判断部411により第2異常E2cが発生しているという判断結果のみが入力されると、第2異常E2cに対応する第2報知指令(点滅回数=3回)をランプ85に出力する。ランプ85は、この第2報知指令にしたがって、前記時点t0から時点t1までの間、点滅表示する。なお、ランプ85の点滅表示の間(t1−t0)における任意の時点t2において、操作スイッチ86が操作されても、制御部412は、報知指令を新たに生成する処理を実行しない。
制御部412は、前記時点t1の後、再び操作スイッチ86が操作されると、その操作指令の信号立ち下がり時点t3において、判断部411により第1異常E1及び第2異常E2が発生していないという両判断結果が入力されると、第3報知指令(点灯時間=5秒間)をランプ85に出力する。ランプ85は、この第3報知指令にしたがって、前記時点t3から5秒間、点灯表示する。なお、ランプ85の点灯時間内における任意の時点t4において、操作スイッチ86が操作されても、制御部412は、報知指令を新たに生成する処理を実行しない。
[作用効果]
上記のように構成された本実施形態の荷受台昇降装置1及び制御装置41によれば、判断部411により、荷受台昇降装置1の構成部材の修理が必要な第1異常E1、及び前記構成部材の修理が不要な第2異常E2がいずれも発生していると判断された場合、制御部412は、第1異常E1に対応する第1報知指令のみを出力する。したがって、出力された第1報知指令によりランプ85を表示させることで、作業者等は、荷受台昇降装置1の構成部材の修理が必要であることを容易に把握することができる。
また、判断部411により、2つ以上の第1異常E1が発生していると判断された場合、制御部412は、優先順位が最も高い第1異常E1に対応する第1報知指令のみを出力する。したがって、出力された第1報知指令によりランプ85を表示させることで、作業者等は、修理が必要な複数の第1異常E1のうち、優先順位が最も高い第1異常E1が発生していることを容易に把握することができる。
また、制御部412は、操作スイッチ86の操作指令が入力された時点で、判断部411により第1異常E1及び第2異常E2がいずれも発生していないと判断された場合、第1報知指令及び第2報知指令とは異なる第3報知指令をランプ85に出力する。したがって、出力された第3報知指令によりランプ85を表示させることで、作業者等は、操作スイッチ86を操作した時点で第1異常E1及び第2異常E2がいずれも発生していないこと、つまり、複数の前記構成部材が全て正常であることを容易に把握することができる。
また、作業者等が操作スイッチ86を操作したときに、前記構成部材に異常が発生しているか否かに関わらず、ランプ85を表示させるので、作業者等は、操作スイッチ86を操作したときにランプ85が表示されなければ、ランプ85自体に異常が発生していることを把握することもできる。さらに、外部へ報知する手段としてランプ85を用いているため、液晶画面等を用いる場合に比べてコスト安価となる。
[その他]
本発明の荷受台昇降装置は、床下格納式の荷受台昇降装置に適用する場合について説明したが、起立格納式や垂直昇降式などの他の種類の荷受台昇降装置にも適用することができる。
本実施形態の第2異常E2bは、荷受台19の引き込み速度が減速されるときに用いるダイオード63の過熱としているが、前記引き込み速度以外の速度が減速されるときに用いるダイオードの過熱としてもよい。
例えば、第2異常E2bは、荷受台19の引き込み開始前に、ソレノイド49s,50sを非励磁として上アーム15及び下アーム17の上昇を停止させる直前に、その上昇速度を減速させるときに用いるダイオードの過熱であってもよい。また、第2異常E2bは、床下格納式及び起立格納式の荷受台昇降装置において、上げスイッチを押して荷受台が上昇して上昇位置に達する直前に、その上昇速度を減速させるときに用いるダイオードの過熱であってもよい。さらに、第2異常E2bは、起立格納式及び垂直昇降式の荷受台昇降装置において、荷受台が上昇位置から上方回動して車両後方の起立格納位置に達する直前に、その上方回動速度を減速させるときに用いるダイオードの過熱であってもよい。
本発明の制御装置は、荷受台昇降装置の駆動を制御する制御装置を兼ねているが、当該制御装置と別体に設けてもよい。
本発明の制御装置は、荷受台昇降装置内の制御装置に適用する場合について説明したが、携帯電話機、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、ノートパソコンなどの携帯端末内の制御装置に適用することもできる。特に、携帯端末の制御装置が、荷受台昇降装置の駆動を制御する場合に有効となる。
本発明の制御装置が、携帯端末内の制御装置である場合、制御装置は、例えば荷受台昇降装置1の通信装置84との間で無線通信を行うことで、第1及び第2検出部91,92が検出した第1及び第2検出結果を取得することができる。そして、制御装置は、生成した第1及び第2報知指令を、携帯端末の表示画面や内蔵スピーカーに出力することで、前記表示画面に文字を表示して報知したり、前記内蔵スピーカーにより音声で報知したりすることが可能となる。
本実施形態の制御装置41は、メインCPU41aとサブCPU41bとによって構成されているが、メインCPU41aにランプ85及び操作スイッチ86を接続し、サブCPU41bをなくしてもよい。この場合、メインCPU41aが判断部411及び制御部412として機能する。また、判断部411は、メインCPU41aとサブCPU41bとの間で発生する第1異常E1a(CAN通信の受信エラー)の判断が不要になる。
また、制御装置41のメインCPU41aに接続されている副操作器81や近接スイッチ77,78等の機器の一部を、サブCPU41bに接続してもよい。
本実施形態の第1及び第2検出部91,92(第2検出部92A,92Bを除く)は、検出電路L21〜L24以外の他の検出手段を用いてもよい。例えば、第1検出部91B,91D,91Eのうちの少なくとも1つは、ショートを検知するために電圧計や電流計を用いてもよい。
また、第1検出部91B,91D,91Eの少なくとも1つによるショートの検出方法は、ヒューズ等により電路が遮断して低下する電圧を検出しているが、過電流が流れたことを直接検出してもよい。
本実施形態の判断部411が、第1及び2異常E1,E2が発生しているか否かを判断するときに用いる電圧、電圧差、時間、及び温度等の閾値は、上記数値に限定されるものではなく、使用環境に応じて適切な数値に設定すればよい。
本実施形態の制御部412は、操作スイッチ86の操作指令の信号立ち下がり時点における判断部411の判断結果を用いて報知指令を生成しているが、前記操作指令の信号立ち上がり時点における判断部411の判断結果を用いて報知指令を生成してもよい。
また、本実施形態では、第1異常E1及び第2異常E2についてそれぞれ優先順位が定められているが、少なくとも第1異常E1について優先順位が定められていればよい。
本実施形態の制御部412は、複数の第1及び第2異常E1,E2それぞれに対応する固有の第1及び第2報知指令として、ランプ85の点滅回数を固有の値にしているが、その固有の値は上記数値に限定されるものではなく、各報知指令を区別することができれば他の数値にしてもよい。また、前記固有の第1及び第2報知指令として、ランプ85の固有の点滅回数に替えて、ランプ85の固有の点滅間隔としてもよいし、ランプ85の固有の点灯時間としてもよい。また、制御部412は、予め記憶されている第1及び第2報知指令のうちのいずれか一方を選択することによって報知指令を生成してもよい。
本実施形態のランプ85は、1個に限定されず、2個以上設けてもよい。また、本実施形態では、外部に報知する手段として、ランプ85を点滅又は点灯させているが、液晶画面に文字を表示して報知したり、警報ブザーやスピーカー等により音声で報知したりしてもよい。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。