JP6900887B2 - 電力変換装置 - Google Patents

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Description

本明細書が開示する技術は、電力変換装置に関する。特に、特性の異なるスイッチング素子を用いた電力変換装置に関する。
電力変換用のスイッチング素子として特性の異なるスイッチング素子を用いた電力変換装置が知られている。特許文献1に、そのような電力変換装置の一例が開示されている。特許文献1の電力変換装置は、3レベルのパルス信号を出力するデバイスである。その電力変換装置では、長周期のパルス信号を生成する第1変換回路と、短周期のパルス信号を生成する第2変換回路が並列に接続されている。電力変換装置の出力は、第1変換回路の出力信号と第2変換回路の出力信号が重畳されたものとなる。長周期のパルス信号を生成する第1変換回路には、ゲートターンオフサイリスタ(通称GTO)が用いられており、短周期のパルス信号を生成する第2変換回路には、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(通称IGBT)が用いられている。GTOはIGBTと比較すると、オン抵抗(定常損失)が小さいがスイッチング損失が大きい。一方、IGBTはGTOと比較すると、スイッチング損失は小さいがオン抵抗は大きい。特許文献1の電力変換装置は、スイッチング回数の少ない長周期のパルス信号を生成する第1変換回路にはGTOを採用し、スイッチング回数の多い短周期のパルス信号を生成する第2変換回路にはIGBTを採用し、変換装置全体の損失を抑える。
一方、スイッチング素子の温度が高くなると、変換回路の出力上限値を下げ、スイッチング素子の過熱を抑える技術が知られている(特許文献2)。そのような制御は一般に「保護制御」と呼ばれている。
特開平08−182342号公報 特開2016−111730号公報
本願の出願人は、特性の異なるスイッチング素子を用いた電力変換回路を並列に接続した新たな電力変換装置を提案した(特願2017−191200、2017年9月29日出願、本願出願時は未公開)。その電力変換装置は、並列に接続されている第1、第2変換回路を備えている。第1変換回路は、電力変換用のスイッチング素子としてトレンチ型スイッチング素子を用いている。第2変換回路は電力変換用のスイッチング素子として、プレーナ型スイッチング素子を用いている。
並列に接続する変換回路で用いるのに適したトレンチ型スイッチング素子とプレーナ型スイッチング素子には次の傾向がある。トレンチ型スイッチング素子はプレーナ型スイッチング素子よりもオン抵抗(定常損失)が小さい。逆に、プレーナ型スイッチング素子はトレンチ型スイッチング素子よりもスイッチング損失が小さい。上記した第1、第2変換回路を採用した利点は、次の通りである。出力指令値が小さい場合は、第2変換回路は停止し、オン抵抗(定常損失)が小さいトレンチ型スイッチング素子を採用した第1変換回路のみを用いることで、全体の損失を抑えることができる。
出力指令値が大きい場合は、両方の変換回路を用いることになる。出力指令値が大きいとスイッチング素子の温度が上昇する。夫々のスイッチング素子が所定の温度を超えたら出力上限値を下げてスイッチング素子を保護する制御(保護制御)が必要となる。典型的な保護制御として、スイッチング素子の温度(素子温度)が所定温度(制限開始温度)を超えたら、温度が高くなるにつれて変換回路の出力上限値を下げるという手法がある。具体的には、素子温度が制限開始温度を超えた場合に、夫々の変換回路に対して、制限開始温度より低いときの出力上限値(初期上限値)に対して所定の割合(負荷率)を乗じて各素子温度における出力上限値を決定する。そして、素子温度が高くなるにつれて負荷率が減少するように、素子温度変化に対する負荷率変化の勾配(負荷率勾配)が予め定められている。
先に述べたように、第1変換回路は定常損失がプレーナ型スイッチング素子よりも小さいトレンチ型スイッチング素子を用いている。第2変換回路は定常損失がトレンチ型スイッチング素子よりも大きいプレーナ型スイッチング素子を用いている。第1、第2変換回路の両方に同じ負荷率勾配で制限を加えると、スイッチング素子の定常損失の相違により、第1変換回路では、初期上限値に乗じる負荷率が第2変換回路の負荷率よりも小さい状態が長く続くことが多くなる。第1変換回路に対する負荷率が小さくなりすぎると、電力変換装置全体の出力上限値が下がってしまう。本明細書は、タイプの異なるスイッチング素子を用いた複数の変換回路を並列に接続した電力変換装置に適した保護制御の技術を提供する。なお、同じ負荷率勾配を適用すると、トレンチ型スイッチング素子を用いた第1変換回路の負荷率が下がり易くなることの詳しい説明は実施例の項で述べる。
本明細書が開示する電力変換装置は、少なくとも1個の第1変換回路と、少なくとも1個の第2変換回路と、コントローラを備えている。第1変換回路と第2変換回路はいずれも直流昇圧回路である。第1変換回路は、電力変換用のスイッチング素子としてトレンチ型のスイッチング素子を用いている。第2変換回路は、電力変換用のスイッチング素子としてプレーナ型のスイッチング素子を用いている。第1変換回路と第2変換回路は並列に接続されている。コントローラは、スイッチング素子の現在の素子温度が所定の温度(制限開始温度)を超えた場合に、夫々の変換回路に対して、制限開始温度より低いときの出力上限値(初期上限値)に対して所定の割合(負荷率)を乗じて現在の素子温度における出力上限値を決定する。ここで、素子温度が高くなるにつれて負荷率が減少するように、素子温度の変化に対する負荷率の変化を示す負荷率勾配が、夫々の電力変換回路に対して定められている。そして、制限開始温度から第1温度(>制限開始温度)までの温度範囲では、第1変換回路に対する負荷率勾配が第2変換回路に対する負荷率勾配よりも緩やかになるように設定されている。一方、第1温度を超える温度範囲では、第1変換回路に対する負荷率勾配が第2変換回路に対する負荷率勾配よりも急峻になるように設定されている。その理由は実施形態の項で述べるが、上記の構成により、トレンチ型スイッチング素子を用いた第1変換回路の負荷率が小さくなり難くなる。
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
実施例の電力変換装置を含む電気自動車の電力系のブロック図である。 トレンチ型のトランジスタとプレーナ型のトランジスタの特性の相違を説明する模式図である。 保護制御のフローチャートである。 負荷率勾配の一例を示すグラフである。
図面を参照して実施例の電力変換装置を説明する。実施例の電力変換装置2は、電気自動車100に搭載されている。図1に、電気自動車100の電力系のブロック図を示す。電気自動車100は、直流電源21と、電力変換装置2と、インバータ31と、走行用のモータ32を備えている。電力変換装置2は、直流電源21の出力電圧を昇圧してインバータ31に供給するデバイスである。インバータ31は、電力変換装置2によって昇圧された直流電力を、走行用モータ32の駆動に適した交流電力に変換する。別言すれば、電力変換装置2は、インバータ31とともに動作し、直流電源21の電力を走行用のモータ32の駆動電力に変換するデバイスである。直流電源21は、燃料電池である。直流電源21は、リチウムイオンバッテリなどの二次電池であってもよい。
電力変換装置2は、4個の電力変換回路(変換回路10a−10d)と、コンデンサ22、24と、コントローラ17を備えている。
4個の変換回路10a−10dは、共通の入力端12a、12bと、共通の出力端13a、13bの間に並列に接続されている。4個の変換回路10a―10dは、全て、入力される電力の電圧を昇圧して出力する昇圧コンバータである。変換回路10a、10bは、同じ構造である。変換回路10c、10dは、使用されているスイッチング素子のタイプを除き、変換回路10aと同じ構造である。
なお、共通の入力端12a、12bの間にはコンデンサ22が接続されており、共通の出力端13a、13bの間にはコンデンサ24が接続されている。コンデンサ22は、変換回路10a−10dに入力される電流を平滑化し、コンデンサ24は、変換回路10a−10dから出力される電流を平滑化する。
変換回路10aについて説明する。変換回路10aは、スイッチング素子3aと、ダイオード4aと、リアクトル5aとダイオード6aと、温度センサ7aを備えている。リアクトル5aの一端が入力端正極12aに接続されており、他端はダイオード6aのアノードに接続されている。ダイオード6aのカソードは出力端正極13aに接続されている。
変換回路10aの入力端負極12bと出力端負極13bは直接に接続されている。リアクトル5aとダイオード6aの中間点と入力端負極12b(出力端負極13b)の間に、スイッチング素子3aが接続されている。ダイオード4aは、スイッチング素子3aに対して逆並列に接続されている。
スイッチング素子3aは、コントローラ17によって制御される。スイッチング素子3aが所定のデューティ比でオンオフすると、入力端12a、12bに印加されている直流電源21の電力の電圧が昇圧されて、出力端13a、13bから出力される。図1の変換回路10aの回路と動作はよく知られているので、詳しい説明は省略する。
スイッチング素子3aの近傍に温度センサ7aが配置されている。温度センサ7aはスイッチング素子3aの温度を計測する。温度センサ7aの計測値は、コントローラ17に送られる。
変換回路10bは、スイッチング素子3bと、ダイオード4bと、リアクトル5bとダイオード6bと、温度センサ7bを備えている。変換回路10bの構造は、変換回路10aの構造と同一である。温度センサ7bの計測値も、コントローラ17に送られる。温度センサ7bから延びている破線の先の「to Cntller」の文字列は、「to Controller(コントローラ17へ)」の略である。スイッチング素子3bのゲートにつながっている破線の先の「from Cntller」の文字列は、「from Controller(コントローラ17から)」の略である。温度センサ7bにつながっている破線は、温度センサ7bの計測値がコントローラ17へ送られることを表しており、スイッチング素子3bのゲートにつながっている破線は、スイッチング素子3bがコントローラ17によって駆動されることを表している。
変換回路10aのスイッチング素子3aと、変換回路10bのスイッチング素子3bは、ともに、トレンチ型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。
変換回路10c、10dも、変換回路10aと同じ構造を有している。変換回路10c、10dが変換回路10aと唯一異なる点は、変換回路10c、10dのスイッチング素子3c、3dが、トレンチ型でなく、プレーナ型のMOSFETであることである。
ここで、トレンチ型スイッチング素子とプレーナ型スイッチング素子の相違について説明する。図2にトレンチ型とプレーナ型のスイッチング素子の特性の相違を説明する模式図を示す。図2のグラフは、横軸がスイッチング損失の大きさを示しており、縦軸はオン抵抗(定常損失)の大きさを示している。グラフの右下の領域では、オン抵抗(定常損失)がスイッチング損失よりも小さい。グラフの左上の領域では、スイッチング損失がオン抵抗(定常損失)よりも小さい。
ポイントP1が、トレンチ型スイッチング素子の特性を示しており、ポイントP2がプレーナ型スイッチング素子の特性を示している。トレンチ型スイッチング素子の特性(ポイントP1)は、図2のグラフの右下の領域に属しており、プレーナ型スイッチング素子の特性(ポイントP2)は、グラフの左上の領域に属している。即ち、トレンチ型スイッチング素子はプレーナ型スイッチング素子よりもオン抵抗(定常損失)が小さく、プレーナ型スイッチング素子はトレンチ型スイッチング素子よりもスイッチング損失が小さいという特徴がある。この傾向は、特に、並列に接続される変換回路に適したスイッチング素子でよく表れる。並列に接続される変換回路に適したスイッチング素子とは、耐圧や許容電力の大きさが同等であるスイッチング素子という意味である。
また、トレンチ型のMOSFETは、プレーナ型のMOSFETと比較して、JFET抵抗がなく、ピッチ短縮が可能である。トレンチ型のMOSFETは、原理的にオン抵抗(定常損失)は小さいが、容量は大きい。さらにトレンチ型は、トレンチ構造が必要なこと、および、技術的な困難さから、その製造は比較的に高コストである。一方、プレーナ型のMOSFETは、トレンチを作る必要がないため、製造コストが低い。プレーナ型のMOSFETは、原理的に、トレンチ型よりも容量が小さいため、スイッチング損失が小さく、キャリア周波数の高周波数化に適している。また、スイッチング損失が小さいため、トランジスタを冷却するための冷却器を小さくすることができ、システムコストを抑えることができる。
なお、トレンチ型とプレーナ型の相違は、例えば、文献(Fundamentals of Power Semiconductor Devices, B. Jayant Baliga, Springer, 2008)に説明されている。
電力変換装置2の説明に戻る。電力変換装置2のコントローラ17は、不図示の上位コントローラから、出力指令値を受信する。不図示の上位コントローラは、車速とアクセル開度から、モータ32の目標出力を決定する。不図示の上位コントローラは、モータ32の目標出力を、出力指令値として電力変換装置2へ送信する。なお、不図示の上位コントローラは、インバータ31が出力する交流の目標周波数をインバータ31へ指令する。
電力変換装置2のコントローラ17は、出力指令値が実現されるように、駆動する変換回路の数を決定し、決定した変換回路を駆動する。別言すれば、コントローラ17は、駆動する変換回路の総出力が、出力指令値に等しくなるように、駆動する変換回路の数と、各変換回路の目標出力を決定する。
コントローラ17は、出力指令値が所定の出力閾値よりも小さい場合は、オン抵抗(定常損失)の小さいトレンチ型スイッチング素子を採用した第1変換回路10a、10bのみを用いる。スイッチング損失はオン抵抗(定常損失)と比較して、スイッチング素子の発熱量に与える影響が、出力指令値が小さい燃費領域では相対的に小さく、出力指令値が大きい高負荷領域では相対的に大きい。しかし、出力指令値が小さい範囲では、少ない数の変換回路が動作して発熱していても、電力変換装置全体の発熱量が小さければ、冷却器は、発熱量の大きいスイッチング素子を含む第1変換回路10a、10bを集中的に冷却することができる。出力指令値が小さい範囲では、定常損失の小さいトレンチ型スイッチング素子を採用した第1変換回路10a、10bを優先的に活用することで、装置全体の損失を抑えることができる。
他方、出力指令値が大きくなると、多数の変換回路、即ち、多数のスイッチング素子を動作させる必要があり、多数のスイッチング素子全体の発熱量が問題となってくる。そこで、出力指令値が大きい場合に動作させる変換回路には、スイッチング損失が小さいプレーナ型スイッチング素子を採用する。そうすることで、複数のスイッチング素子全体の発熱量を抑制し、装置全体の損失を抑える。
出力指令値に応じてタイプの異なるスイッチング素子を使い分けることは、特に、低出力が要求される頻度が、高出力が要求される頻度よりも大きい電気自動車の電力変換装置(直流電源の出力電力を走行用のモータの駆動電力に変換する電力変換装置)に適している。
また、トレンチ型とプレーナ型のトランジスタは、GTOとIGBTの差ほど、構造が異なるものではない。それゆえ、2種類のスイッチング素子の同時開発コストを抑えることができる。トレンチ型とプレーナ型のスイッチング素子は、IGBTであってもよいし、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であってもよい。
変換回路10a−10dの保護制御について説明する。スイッチング素子は、大きい電流が流れると発熱する。先に述べたように、出力指令値が大きい場合、コントローラ17は、全ての変換回路10a−10dを駆動する。大出力の期間が長く続くとスイッチング素子が耐熱温度を超えてしまうおそれがある。そこで、コントローラ17は、スイッチング素子の温度(素子温度)が所定の温度(制限開始温度)を超えると、変換回路の出力上限値を下げる。そして、各変換回路の出力が出力上限値を上回らないように、各変換回路を制御する。図3に保護制御のフローチャートを示す。
各変換回路10a−10dの夫々には、素子温度が制限開始温度より低いときの出力上限値が予め定められている。本実施例の場合、出力は電流である。各変換回路10a−10dの夫々に対して、素子温度が制限開始温度Tsより低いときの出力電流の上限値が予め定められている。その電流値を以下では、初期出力上限値Im(i)と表記する。なお、電力変換装置2は、4個の変換回路10a−10dを備えているので、「i」は1から4の整数である。以下でも同様である。
コントローラ17は、各変換回路10a−10dの夫々の温度センサ7a−7dから、各変換回路10a−10dのスイッチング素子3a−3dの夫々の現在の素子温度T(i)を取得する(ステップS2)。
次に、コントローラ17は、各変換回路10a−10dに対して、負荷率r(i)を決定する。負荷率r(i)とは、素子温度が制限開始温度Tsを超えたときに、初期上限値Im(i)に乗じる割合である。負荷率r(i)の単位は[%]であり、その範囲は0から100[%]である。図4に、負荷率の一例を示す。制限開始温度Tsまでは、負荷率r(i)は100[%]である。即ち、素子温度が制限開始温度Tsを超えるまでは、コントローラ17は、変換回路10a−10dの夫々の出力上限値を初期上限値Im(i)に保持する。
素子温度T(i)が制限開始温度Tsを超えると、負荷率r(i)は、温度の上昇に伴って低くなるように設定されている。図4の温度Tmは、スイッチング素子の耐熱上限値であり、コントローラ17は、素子温度T(i)が耐熱上限値Tmを超えないように、素子温度が上昇するにつれて、負荷率r(i)を低下させ、変換回路10a−10dの出力上限値を下げていく。
図4において、制限開始温度Tsより高い範囲でのグラフの勾配は、素子温度T(i)の変化に対する負荷率r(i)の変化を示すものであり、本明細書では負荷率勾配と称する。実線のグラフG1は、プレーナ型のスイッチング素子3c、3dを含んでいる変換回路10c、10dに対する負荷率変化を示しており、破線のグラフG2、G3は、トレンチ型のスイッチング素子3a、3bを含んでいる変換回路10a、10bに対する負荷率変化を示している。図4から明らかな通り、素子温度T(i)が制限開始温度Tsから第1温度T1(>Ts)までの範囲では、トレンチ型のスイッチング素子を含んでいる変換回路10a、10bの負荷率勾配(グラフG2の勾配)が、プレーナ型のスイッチング素子を含んでいる変換回路10c、10dの負荷率勾配(グラフG1の勾配)よりも緩やかになっている。
一方、素子温度T(i)が第1温度T1を超える範囲では、変換回路10a、10bの負荷率勾配(グラフG3の勾配)が、変換回路10c、10dの負荷率勾配(グラフG1の勾配)よりも急峻になっている。コントローラ17は、図4のグラフを参照して、各変換回路の現在の素子温度に応じた負荷率r(i)を決定する(ステップS4)。そして、コントローラ17は、初期上限値Im(i)に現在の負荷率r(i)を乗じ、現在の素子温度に対する変換回路の出力上限値を決定する(ステップS5)。
コントローラ17は、変換回路10a−10dの夫々に対して、ステップS4、S5の処理を行う(ステップS3、S6:NO→S7→S4)。また、コントローラ17は、所定の周期毎に、図3の処理を繰り返す。
コントローラ17は、上記の保護制御とは独立して、上位のコントローラから与えられる出力指令値に応じて、各変換回路10a−10dの目標出力を決め、その目標出力が実現されるように、各変換回路10a−10dのスイッチング素子3a−3dを駆動する。ただし、変換回路10a−10dのそれぞれの目標出力が現在の出力上限値を超えている場合は、目標出力を出力上限値に変更する。即ち、コントローラ17は、変換回路10a−10dの夫々に対して、その出力が現在の出力上限値を超えないように、スイッチング素子3a−3dを制御する。こうして、コントローラ17は、各スイッチング素子3a−3dを過熱から保護する。
先に述べたように、負荷率勾配は、次の通りに設定されている。素子の温度T(i)が制限開始温度Tsから第1温度T1までの温度範囲では、トレンチ型のスイッチング素子3a,3dを含んでいる変換回路10a、10bに対する負荷率勾配(グラフG2)がプレーナ型のスイッチング素子3c、3dを含んでいる変換回路10c、10dに対する負荷率勾配(グラフG1)よりも緩やかになるように設定されている。第1温度T1を超える温度範囲では、変換回路10a、10bに対する負荷率勾配(グラフG3)が変換回路10c、10dに対する負荷率勾配(グラフG1)よりも急峻になるように設定されている。なお、制限開始温度Tsと負荷率100[%]となる温度T2は、トレンチ型/プレーナ型いずれのスイッチング素子の変換回路でも同じに設定されている。
負荷率勾配を上記のごとく設定した理由を説明する。なお、以下では、説明の便宜上、トレンチ型スイッチング素子を採用している変換回路を第1変換回路と称し、プレーナ型スイッチング素子を採用している変換回路を第2変換回路と称する。
前述したように、トレンチ型スイッチング素子はプレーナ型スイッチング素子よりもオン抵抗(定常損失)が小さい。それゆえ、同じ負荷率勾配で出力上限値を低下させると、制限を加えることによって得られる定常損失の低下分がスイッチング素子のタイプによって異なる。
具体的には、プレーナ型スイッチング素子における定常損失の低下分がトレンチ型スイッチング素子における定常損失の低下分よりも大きくなる。例えば、低温時の出力上限値を出力しているときの定常損失がプレーナ型スイッチング素子では100[W]であり、トレンチ型スイッチング素子では80[W]であるとする。出力上限値を80[%]に制限すると、プレーナ型スイッチング素子では20[W]の損失低下分が見込まれ、トレンチ側スイッチング素子では16[W]の定常損失低下分が見込まれる。プレーナ型スイッチング素子の方が、損失低下分が大きいので、プレーナ型スイッチング素子の方がトレンチ型スイッチング素子よりも早く素子温度が下がる。素子温度が早く下がるので、プレーナ型スイッチング素子を備えた変換回路(第2変換回路)の出力制限が緩和され、負荷率が上昇する。
一方、トレンチ型スイッチング素子は制限による損失低下分が小さいので、素子温度はゆっくりとしか変化しない。それゆえ、負荷率が小さいままの期間が長くなる。即ち、トレンチ型スイッチング素子を含む変換回路(第1変換回路)とプレーナ型スイッチング素子を含む変換回路(第2変換回路)に同じ負荷率勾配を適用すると、第1変換回路の負荷率が第2変換回路の負荷率よりも低い状態が長く続くことになる。
そこで、実施例の電力変換装置2では、図4に示したとおり、夫々の変換回路に異なる負荷率勾配を適用する。図4に示されているように、第1変換回路(トレンチ型)では、制限開始温度Tsから第1温度T1までは、負荷率勾配が緩やかである。即ち、制限開始温度Tsから第1温度T1までは、第1変換回路の負荷率が第2変換回路(プレーナ型)よりも緩やかに低下する。従って、素子温度が上昇しても、第1変換回路の負荷率はあまり下がらず、素子温度が低い第2変換回路の負荷率と同程度の負荷率を維持することができる。
ただし、素子温度が高くなると(第1温度T1を超えると)、第1変換回路(トレンチ型)では、素子温度を素早く下げる必要があるため、負荷率を急激に下げることになる。これが、第1温度T1を超える範囲では、第1変換回路に対する負荷率勾配(グラフG3)を、第2変換回路に対する負荷率勾配(グラフG1)よりも急峻にする理由である。
上記の通り、スイッチング素子のタイプに応じて負荷率勾配を変えることで、第1変換回路(トレンチ型)の負荷率が第2変換回路(プレーナ型)よりも低くなる期間を短くすることができる。
第1変換回路(トレンチ型)において負荷率勾配が変化する第1温度T1は、制限が加えられた出力上限値の電流が流れたときに、損失による発熱とのバランスで素子温度が達する平衡点に設定することが望ましい。次に、平衡点について説明する。
今、次の記号を導入する。
オン抵抗:Ron[Ω]
スイッチング素子に流れる電流:Id[A]
オフ損失係数:a[W/A]、b[W]
オン損失係数:c[W/A]、d[W]
負荷率:r[%/100]
負荷率勾配:e[%/100/℃]
素子温度:Tj[℃]
制限開始温度:Ts[℃]
素子の熱抵抗:Rt[℃/W]
素子の損失J[W]は、J=Ron×Id+(a+b)×Id+(c+d)となる。素子の温度Tjは、「熱抵抗Rt×損失J」で表せるから、Tj=Rt×{Ron×Id+(a+b)×Id+(c+d)}となる(式1)。
一方、素子温度Tjにおける負荷率rは、r=e×(Tj−Ts)である。そして、温度Tjにおいてスイッチング素子を流れる電流Idが、そのときの温度Tjにおける負荷率rで制限された出力上限値であるとすると、Id=Im×r=Im×e×(Tj−Ts)となる(式2)。ただし、Tj>Tsであり、電流Imは初期上限値である。
式2を式1に代入すると、Tj=Rt×[Ron×{Im×e×(Tj−Ts)}+(a+b)×{Im×e×(Tj−Ts)}+(c+d)]となる(式3)。式3を解いてえられた素子温度Tjが、平衡点である。
平衡点を第1温度T1に設定すると、素子温度が仮に一時的に第1温度T1を超えても、素子温度はすみやかに第1温度に下がる。そのような第1温度までは緩やかな負荷率勾配を設定しても、トレンチ型スイッチング素子が過熱状態になる可能性は少なくなる。即ち、平衡点を第1温度T1に設定すれば、トレンチ型スイッチング素子が過熱状態となることを防止しつつ、負荷率勾配が緩やかな範囲を大きく設定することができる。
実施例で説明した技術に関する留意点を述べる。制限開始温度Tsから第1温度T1までの間における負荷率勾配は、一定でなくともよい。同様に、第1温度T1を超える範囲における負荷率勾配も一定でなくともよい。
実施例の電力変換装置は、電気自動車において、直流電電源と走行用モータの間に接続されるデバイスに適している。電気自動車において、走行用のモータに供給する電流に対する負荷率が急激に下がることは、あるいは、負荷率が下がった状態が長く続くことは、車両の走行性能すなわちドライバビリティの低下につながる。本明細書が開示する技術は、トレンチ型スイッチング素子を含んでいる変換回路の負荷率が低下する期間を短くすることができ、電気自動車のドライバビリティに貢献する。
第1変換回路に採用されるトレンチ型トランジスタと第2変換回路に採用されるプレーナ型トランジスタについては、次の特徴を有していることが望ましい。トレンチ型トランジスタとプレーナ型トランジスタは、ある一定の条件下で総損失はほぼ同等である。しかし、トレンチ型トランジスタとプレーナ型トランジスタは、低周波数低負荷の状況ではトレンチ型トランジスタがプレーナ型トランジスタよりも有利であり、高周波数高負荷の状況ではプレーナ型トランジスタがトレンチ型トランジスタよりも有利となる損失バランスを有している。さらに、トレンチ型トランジスタとプレーナ型トランジスタは、サイズが大きく異ならない素子である。
電力変換用のスイッチング素子は、MOSFETに限られず、バイポーラトランジスタ(BJT)、ヘテロ電界効果トランジスタ(HFET)、高電子移動型トランジスタ(HEMT)、ジャンクションFET(JFET)、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)、逆導通IGBT(RC−IGBT)、ゲートターンオフサイリスタ(GTO)であってもよい。いずれのタイプのスイッチング素子を採用する場合であっても、トランジスタの原理的な構造が同じであって、一方はトレンチ型、他方はプレーナ型であればよい。原理的な構造が同じであれば、トレンチ型とプレーナ型の素子を同時開発するコストを抑えることができる。
実施例の電力変換装置2は、トレンチ型トランジスタを採用した2個の電力変換回路と、プレーナ型トランジスタを採用した2個の電力変換回路を備えていた。本明細書が開示する技術は、トレンチ型トランジスタを採用した少なくとも1個の電力変換回路と、プレーナ型トランジスタを採用した少なくとも1個の電力変換回路を備えていればよい。
第1変換回路と第2変換回路に採用されるトランジスタは、シリコンカーバイド(SiC)で作られたものであってもよいし、シリコンで作られたものであってもよい。また、第1変換回路と第2変換回路に採用されるトランジスタは、ワイドバンドギャップ半導体と呼ばれるタイプ(SiC、GaN、Ga2O3、ダイアモンド)であってもよい。本明細書が開示する技術は、トランジスタのタイプを問わない。
本明細書が開示する技術は、電気自動車用の電力変換装置(直流電力の電力をモータ駆動電力に変換する装置)に適している。電気自動車では、もっぱら、最大出力の概ね50%以下の出力で動作することが全稼働期間の90%程度を占める。定常損失の小さいトレンチ型トランジスタを多用する本実施例の技術は、そのような状況で用いられる電力変換装置に適している。なお、ここで、「電気自動車」には、走行用にモータとエンジンの双方を備えるハイブリッド車、電源として燃料電池などの発電装置を備える自動車が含まれる。ただし、本明細書が開示する技術は、自動車以外の用途に用いられる電力変換装置に適用することも好適である。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:電力変換装置
3a−3d:スイッチング素子
4a−4d、6a−6d:ダイオード
5a−5d:リアクトル
7a−7d:温度センサ
7b:温度センサ
10a、10b:変換回路(第1変換回路)
10c、10d:変換回路(第2変換回路)
12a、12b:入力端
13a、13b:出力端
17:コントローラ
21:直流電源
22、24:コンデンサ
31:インバータ
32:モータ
100:電気自動車

Claims (1)

  1. 電力変換装置であって、
    電力変換用のスイッチング素子としてトレンチ型のスイッチング素子を用いた直流昇圧回路であって少なくとも1個の第1変換回路と、
    前記第1変換回路と並列に接続されており、電力変換用のスイッチング素子としてプレーナ型のスイッチング素子を用いた直流昇圧回路であって少なくとも1個の第2変換回路と、
    夫々の前記変換回路に対して、当該変換回路に含まれている前記スイッチング素子の現在の素子温度が所定の温度(制限開始温度)を超えた場合に、前記制限開始温度より低いときの出力上限値に所定の割合(負荷率)を乗じて前記現在の素子温度における出力上限値を決定するコントローラと、
    を備えており、
    前記制限開始温度よりも高い温度範囲において前記素子温度が高くなるにつれて前記負荷率が減少するように定められた負荷率勾配が、夫々の前記変換回路に対して定められており、
    前記制限開始温度から当該制限開始温度よりも高い第1温度までの温度範囲では、前記第1変換回路に対する前記負荷率勾配が前記第2変換回路に対する前記負荷率勾配よりも緩やかになるように設定されており、
    前記第1温度を超える温度範囲では、前記第1変換回路に対する前記負荷率勾配が前記第2変換回路に対する前記負荷率勾配よりも急峻となるように設定されている、
    電力変換装置。
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