JP6895747B2 - 撥液性樹脂シート及びそれを用いた物品 - Google Patents

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Description

本発明は、撥液性を備えた樹脂シート及びそれを用いた物品に関する。
従来から、清涼飲料水や果汁飲料、嗜好飲食品等の食品や生活用品包装材用として、紙材、高分子素材が用いられてきた。
しかしながら、特許文献1、2、3、4に記載される凹凸形状を付与したシートは、液体から圧力がかかることにより、液体がなじむ現象(凹凸形状間に液体が侵入する現象)、つまり撥液性の低下又は損失が起こり、撥液性の安定性に問題がある虞があった。
特開2012−126073号公報 特開2014−139017号公報 特開2015―02553号公報 特開2015―02552号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、撥液性に優れると共に、例えば、食品用包装材料として使用した場合に内容物などの圧力により撥液性が低下してしまう虞が殆どない樹脂シート並びに該樹脂シートを用いた物品を提供することを目的とする。
本発明は、液体からの圧力に対して安定した撥液性を備えた樹脂シートおよび該樹脂シートを用いた物品を提供することを目的とする。
本発明者は、様々な撥液性発現手段を検討した結果、シート表面に微細な凹形状を付与し、かつ疎水性無機微粒子とバインダー樹脂を特定の割合で含有する撥液層を設けることにより、液体からの圧力に対して安定した撥液性をシート表面に付与することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決する本発明は、以下より構成される。
(1)微細な凹形状を有する熱可塑性樹脂組成物からなる凹形状層と、前記凹形状層の凹形状を有する面に疎水性無機微粒子とバインダー樹脂からなる撥液層とを備えた撥液性樹脂シート。
(2)前記撥液層における疎水性無機粒子の含有量が30〜80質量%であり、バインダー樹脂の含有量が70〜20質量%である(1)に記載の撥液性樹脂シート。
(3)前記凹形状の開口径が10μm〜150μmであり、凹形状の最深部間隔が5μm〜180μmであり、凹形状の深さが10μm〜200μmであり、アスペクト比(凹形状の深さ/凹形状の開口径)0.5〜2.0である、(1)又は(2)に記載の撥液性樹脂シート。
(4)樹脂シート表面における1cm当たりの前記凹形状の個数が2500個〜9500000個である(1)から(3)の何れか一つに記載の撥液性樹脂シート。
(5)前記熱可塑性樹脂組成物のメルトマスフローレートが5g/10分以上である、(1)から(4)の何れか一つに記載の撥液性樹脂シート。
(6)前記バインダー樹脂が、オレフィン系共重合体である、(1)から(5)の何れか一つに記載の撥液性樹脂シート。
(7)前記疎水性無機微粒子が、表面がトリメチルシリル基またはジメチルポリシロキサンで修飾された疎水性シリカ微粒子である、(1)から(6)の何れか一つに記載の撥液性樹脂シート。
(8)前記疎水性無機微粒子の平均粒子径が、5〜1000nmである、(1)から(7)の何れか一つに記載の撥液性樹脂シート。
(9)前記凹形状層の厚みが、50μm〜1000μmである、(1)から(8)の何れか一つに記載の撥液性樹脂シート。
(10)前記凹形状層の凹形状を有する面の他方の面に、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、及び熱可塑性エラストマーから選択される1種類以上の樹脂からなる1層以上の基材層が積層された、(1)から(9)の何れか一つに記載の撥液性樹脂シート。
(11)(1)から(10)の何れか一つに記載の撥液性樹脂シートを用いた物品。
(12)生活用品、包装材、または建材部材である、(11)に記載の物品。
(13)食品容器、パウチ、雨具合羽、傘、壁紙、または水回り部材である(11)に記載の物品。
本発明によれば、液体からの圧力に対して安定した撥液性を備えた撥液性樹脂シートを提供することができる。
本発明の第一実施形態に係る撥液性樹脂シートのある形態の概略平面図である(四角錐形碁盤目配置)。 図1の撥液性樹脂シートを示す概略縦側断面図(C−C’)である。 本発明の第一実施形態に係る撥液性樹脂シートの他の形態の概略平面図である(四角錐形千鳥配置)。 本発明の第一実施形態に係る撥液性樹脂シートの他の形態の概略平面図である(三角錐形千鳥配置)。 本発明の第一実施形態に係る撥液性樹脂シートの他の形態の概略平面図である(円錐形碁盤目配置)。 本発明の第一実施形態に係る撥液性樹脂シートの他の形態の概略平面図である(円錐形千鳥配置)。 本発明の第一実施形態に係る撥液性樹脂シートの他の形態の概略平面図である(六角錐形千鳥配置)。 本発明の第二実施形態に係る撥液性樹脂シートの積層構造を示す概略縦側断面図(C−C’)である。 本発明の第三実施形態に係る撥液性樹脂シートの積層構造を示す概略縦側断面図(C−C’)である。 本発明の第四実施形態に係る撥液性樹脂シートの積層構造を示す概略縦側断面図(C−C’)である。 撥液性樹脂シートを使用し、真空成形した容器である。
[第一実施形態]
本発明に係る第一実施形態の撥液性樹脂シートは、図1、2に示すように、微細な凹形状を有する熱可塑性樹脂組成物からなる凹形状層(1)と、前記凹形状を有する面に疎水性無機微粒子とバインダー樹脂からなる撥液層(2)とを備えている。前記撥液層における疎水性無機微粒子の含量が30質量%〜80質量%であり、バインダー樹脂の含量が20質量%〜70質量%であることが好ましい。本発明に係る第一実施形態の撥液性樹脂シートは、撥液性を有する。
<凹形状層>
(熱可塑性樹脂組成物)
熱可塑性樹脂組成物としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ナイロン系樹脂、塩化ビニル樹脂、熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性樹脂からなる樹脂組成物が挙げられる。例えば食品容器として用いる場合は、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。ポリオレフィン系樹脂組成物の230℃におけるメルトマスフローレートは、5g/10分以上であることが好ましく、15g/10分以上であることがより好ましい。ポリオレフィン系樹脂組成物の230℃におけるメルトマスフローレートを5g/10分以上とすることで、凹形状の転写性を向上することができる。なお、メルトマスフローレートは、JIS K 7210に準拠し、一定時間ごとの流出質量(g/10分)を測定することにより算出される。標準的な条件として、試験温度190℃から300℃、荷重2.16kg〜10.00kgで測定される。
ポリオレフィン系樹脂とは、α−オレフィンを単量体として含む重合体からなる樹脂を意味し、特にポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂を含むことが好ましい。
ポリエチレン樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状中密度ポリエチレン等が挙げられる。またポリエチレン樹脂としては、ポリエチレン単体のみならず、その構造を有する共重合体やグラフト共重合体、それらをブレンドしたものも含まれる。後者の樹脂としては、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体や、さらに酸無水物との3元共重合体等とブレンドしたもののように、ポリエチレン鎖に極性基を有する樹脂を共重合およびブレンドしたものが挙げられる。
また、ポリプロピレン樹脂としては、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンなどが挙げられる。ホモポリプロピレンを用いる場合、該ホモポリプロピレンの構造は、アイソタクチック、アタクチック、シンジオタクチックのいずれであってもよい。ランダムポリプロピレンを用いる場合、プロピレンと共重合させるαオレフィンとしては、好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数4〜12のものが挙げられ、例えばエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどを例示できる。ブロックポリプロピレンを用いる場合、ブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)、ゴム成分を含むブロック共重合体あるいはグラフト共重合体等が挙げられる。これらオレフィン樹脂を単独で使用する以外に、他のオレフィン系樹脂を併用することもできる。
ポリスチレン系樹脂としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジメチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系モノマーの単独重合体又は共重合体、それらスチレン系モノマーと他のモノマーとの共重合体、例えばスチレン−アクリルニトリル共重合体(AS樹脂)、又は前記スチレン系モノマーと更に他のポリマー、例えばポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等のジエン系ゴム質重合体の存在下にグラフト重合したグラフト重合体、例えばハイインパクトポリスチレン(HIPS樹脂)、スチレン−アクリルニトリルグラフト重合体(ABS樹脂)等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリメチレンテレフタレート、および共重合成分として、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分や、アジピン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸成分などを共重合したポリエステル樹脂などを用いることができる。
フッ素系樹脂としては、フッ化ビニリデンの単独重合体(PVDF)、及びフッ化ビニリデンを主成分とするフッ化ビニリデン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、クロロトリフルオエチレン−エチレン共重合体が挙げられる。例えば、PVDF樹脂は、α型、β型、γ型、αp型などの様々な結晶構造を示す結晶性樹脂である。フッ化ビニリデン共重合体としては、例えば、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン三元共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン三元共重合体、及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂としては、芳香族ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリカーボネート樹脂、芳香族−脂肪族ポリカーボネート樹脂が挙げられる。通常エンジニアプラスチックに分類させるもので、一般的なビスフェノールAとホスゲンとの重縮合またはビスフェノールAと炭酸エステルの重縮合により得られるものも用いることができる。ビスフェノールを用い、ホスゲン法またはエステル交換法により製造する場合、原料のビスフェノールとしては、2,2−ビス−(4‐ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−メチル−ブタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサンなどが含まれる。ポリカーボネート樹脂としては、ホモポリカーボネート樹脂、カルボン酸を共重合したコポリカーボネート樹脂またはそれらの混合物であっても良い。
ナイロン系樹脂としては、カプロラクタム、ラウロラクタム等のラクタム重合体、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸の重合体、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−又は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシルメタン)等の脂環式ジアミン、m−又はp−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミン等のジアミン単位と、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸等のジカルボン酸単位との重縮合体、及びこれらの共重合体等が挙げられる。具体的には、ナイロン6、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン611、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロンMXD6、ナイロン6/66、ナイロン6/610、ナイロン6/6T、ナイロン6I/6T等があり、なかでもナイロン6、ナイロンMXD6が好適である。
塩化ビニル樹脂としては、塩化ビニル単独重合体または塩化ビニルと他の単量体との共重合体が用いられる。ポリ塩化ビニルが共重合体である場合は、ランダム共重合体であってもよく、またグラフト共重合体であってもよい。グラフト共重合体の一例として、たとえばエチレン−酢酸ビニル共重合体や熱可塑性ウレタン重合体を幹ポリマーとし、これに塩化ビニルがグラフト重合されたものを挙げることができる。本発明のポリ塩化ビニルは、押出成形可能な軟質ポリ塩化ビニルを示し、高分子可塑剤などの添加物を含有している組成物であることが好ましい。高分子可塑剤としては、公知の高分子可塑剤を用いることができるが、たとえばエチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−一酸化炭素共重合体、酢酸ビニル含有量の多いエチレン−酢酸ビニル共重合体などのエチレン共重合体高分子可塑剤を好ましい例として挙げることができる。
熱可塑性エラストマーとしては、軟質相(ソフトセグメント)と硬質相(ハードセグメント)からなる構造を有するものとし、具体的にはオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ナイロン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、塩化ビニル系エラストマーから選択される。これら熱可塑性エラストマーは市場から入手可能であるものであれば良い。
熱可塑性樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の添加物を含有していてもよい。他の添加物としては、シリコンオイルなどの離型剤、セルロースナノファイバー、アラミド繊維、カーボンナノファイバーなどの炭素繊維、ガラス繊維などの繊維状強化剤、安定剤、界面活性剤、滑剤、充填剤、発泡剤、タルク、クレイ、シリカ、カーボンブラックなどの着色材、帯電防止剤、紫外線吸収材、抗菌剤、結晶核剤等を挙げることができる。更に、シート物性を阻害しない範囲でシート製造工程で発生したスクラップ樹脂を混合して用いることもできる。
(凹形状)
凹形状は、図2に示すように、シート表面に凹部(開口部)を形成している形状である。液体と接する開口部の形は、図1に示すような四角形が挙げられるが、三角形、六角形、円形などであってもかまわない。凹形状の配置形態は特に限定はされず、開口部が効率良く液体と接すれば良いので、開口部の形により縦横に配置した碁盤目配置、千鳥配置がある。例えば、開口部の形が四角形の場合は碁盤目配置が挙げられ、六角形の場合は千鳥配置が挙げられる。より撥液性を維持したければ、開口部の形が四角形や三角形の形状が好ましい。また、凹部の形状は撥液性を発現すれば、形状は限定されず、錐形、角柱形、釣鐘型などであってもかまわない。シート表面に形成される凹形状は1種類に限らず、サイズの異なる2種類以上の凹形状を形成してもかまわない。なお、凹形状の形成方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、樹脂シート表面を、レーザー彫刻法やダイヤモンドバイト彫刻法で凹凸形状を形成した転写ロールとタッチロールでキャスティングすることにより形成する方法や、ベルト状金型を利用し、シートを加熱、加圧により凹凸転写する方法などが挙げられる。
凹形状は、深さ(h)が10μm〜200μmであることが好ましい。凹形状深さが10μm未満では、撥液性を十分に維持できない場合があり、凹形状深さが200μmを超えると凹形状を付与するための金型での凸形状寸法が不安定になる場合がある。なお、凹形状深さは、後述する撥液層の厚み(100nm〜4000nm)を加えたものである。凹形状層の厚さとしては、特に限定されず、凹部を含め、50μm〜1000μmとすることができる。
隣接する凹形状の最深部間隔(t1)は5μm〜180μmであることが好ましい。なお凹形状の最深部間隔とは、隣接する最短距離にあり、凹形状間の土手部を含んだ凹形状の最深部間隔であり、相互の凹形状が異なっても隣接するものであれば、その凹形状の最深部の間隔を意味する。凹形状間隔が5μm未満では、凹形状を付与するための金型での凸形状寸法が不安定になる場合がある。また、180μmを超えると撥液性が低下する場合がある。
凹形状の開口径は開口部の形状が四角形、六角形の場合は対角線とし、円形の場合は直径とし、三角形の場合は頂点から対角の辺に結んだ垂線とした。その開口径は10μm〜150μmであることが好ましい。開口径が10μm未満では、凹形状を付与するための金型での凸形状寸法が不安定になる場合がある。150μmを超えると撥液性を維持できない場合がある。
凹形状のアスペクト比(凹形状の深さ/凹形状の開口径)は0.5〜2.0であることが好ましい。アスペクト比が2.0を超えると凹形状を付与するための金型での凸形状寸法が不安定になる場合がある。また、0.5未満では、撥液性が低下する場合がある。
樹脂シート表面における単位面積(1cm)当たりの凹形状の個数は2500個〜9500000個であることが好ましい。2500個未満では撥液性が低下する場合があり、9500000個を超えると凹形状を付与するための金型での凸形状寸法が不安定になる場合がある。なお、凹部形状の個数が上記範囲内であれば、樹脂シートの表面において、異なる形状寸法の凹形状が2種類以上あってもよい。
なお、凹形状深さ及び凹形状の開口径、凹形状の最深部間隔、凹形状間隔は、レーザー顕微鏡(例えば、キーエンス社製 VK−X100)を用いて測定することができる。
凹形状の形状は、三角錐、四角錐、六角錐、円錐形などよいが、本発明者が本実施形態に係る樹脂シートの構成において種々検討した結果、四角錐形、三角錐形状の凹形状が好ましいことが分かった。
<撥液層>
撥液層は、凹形状層の凹形状がシート表面にほぼそのまま維持されるように凹形状層の表面にほぼ一定の厚みで形成され、部材への成形後でも撥液性を維持するために設けられ、疎水性無機微粒子とバインダー樹脂からなる。撥液層の厚さは、100〜4000nmであることが好ましいが、本発明の効果が得られれば特に限定されない。なお、本発明における「撥液性」とは、樹脂シートへの糖類系の液体の付着を防止するのに十分な程度の撥液性を意味し、具体的には、これらの液体の樹脂シートに対する液体の接触角が130°以上及び/又は転落角が40°以下であることを意味するものとする。なお、接触角及び転落角は、樹脂シートについて、自動接触角計(例えば、協和界面化学株式会社製 DM−501)を用いて測定することができる。また、本発明における「液体からの圧力に対する安定した撥液性」とは、液体に圧力、例えば3kPaの圧力を加えた場合においても撥液性が維持されることを意味するものとする。
撥液層は、疎水性無機微粒子の含有量が30質量%から80質量%であり、バインダー樹脂の含量が20質量%から70質量%であることが好ましい。また、疎水性無機微粒子の含有量が40質量%から70質量%であり、バインダー樹脂の含有量が30質量%から60質量%であることがより好ましい。この範囲の組成とすることによって、液体から圧力がかかった場合でも安定した撥液性を得ることができる。これに対して、疎水性無機微粒子の含有量が30質量%未満では、液体から圧力がかかった場合に十分に安定した撥液性が得られない場合があり、疎水性無機微粒子の含有量が80質量%を超えると、疎水性無機微粒子が剥がれ落ちる場合がある。
凸形状面に撥液層を形成する方法としては、予めイソピルアルコール(IPA)に疎水性無機微粒子を添加した分散液を調製し、その後、バインダー樹脂と任意の割合で混合し、前記凸形状面にコーター等で塗布する方法が好ましい。
(疎水性無機微粒子)
疎水性無機微粒子としては、疎水基を有するものであればよく、表面処理により疎水化されたものであってもよい。例えば、表面がトリメチルシリル、ジメチルシリル、アルキルシリル、アミノアルキルシリル、メタクリルシリル等の官能基、或いはジメチルポリシロキサンで修飾された疎水性シリカ微粒子が好ましい。また、親水性無機微粒子をシランカップリング剤等で表面処理を施し、表面状態を疎水性とした微粒子を用いることもできる。無機物の種類も、疎水性を有するものであれば限定されない。これらの中では、疎水性ヒュームドシリカ、溶融シリカ、アルミナ、チタニア等の少なくとも1種を用いることができる。疎水性であればこれらの粒子の形状には制約がなく、球形、非球形(破砕状)のいずれの形状も使用することができる。一次粒子の平均粒子径が5〜1000nmであるものが好ましく、7〜200nmであるものがより好ましい。一次粒子の平均粒子径を5〜1000nmとすることで、本発明の条件を満たす撥液性が得られると共に、バインダー樹脂への分散性が良好となる。なお、一次粒子の平均粒子径とは、走査型電子顕微鏡を用いて3000個〜5000個の疎水性無機微粒子の直径を測定して、平均値を算出することにより得られる値のことを言う。これらの具体例としては、例えば、シリカとしては、製品名「AEROSIL R972」、「AEROSIL R972V」、「AEROSIL R972CF」、「AEROSIL R974」、「AEROSIL RX200」、「AEROSIL RY200」、「AEROSIL R202」、「AEROSIL R805」、「AEROSIL R812」、「AEROSIL R812S」、「AEROSIL RY300」(以上、エボニック デグサ社製)等が挙げられる。チタニアとしては、製品名「AEROXIDE TiO2 T805」(エボニック デグサ社製)等が例示できる。アルミナとしては、製品名「AEROXIDE Alu C」(エボニック デグサ社製)等をシランカップリング剤で処理して粒子表面を疎水性とした微粒子が例示できる。
(バインダー樹脂)
本発明におけるバインダー樹脂とは、オレフィン系共重合体が水あるいはイソピルアルコール(IPA)などの溶剤に分散した分散液を表している。本明細書において、バインダー樹脂の含量とは、用いたバインダー樹脂中の樹脂を主体とした固形分の含量を示す。
本発明におけるオレフィン系共重合体とは、α−オレフィンを単量体として含む重合体を意味し、ポリエチレン系重合体やポリプロピレン系重合体が含まれる。例えば、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン(エチレンとα−オレフィンとの共重合体)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アルキルアクリレート共重合体、エチレン−アルキルメタクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、低密度ポリエチレン等のアイオノマ、プロピレン系エラストマー材料などが挙げられる。これに対応する市販品としては、「ケミパールS−100」(三井化学社製)、「アクアテックスAC−3100」、「アクアテックスEC−3500」(ジャパンコーティングレジン社製)、「アローベースSE−1200」、「アローベースSD−1200」、「アローベースYA−4010」(ユニチカ社製)等が挙げられる。
<液体>
本発明における液体とは、流動性を有する液体であり、液体の粘度は問わない。例えば、食品用の液体を包含する場合、具体的にはヨーグルト、ゼリー、プリン、フルーツソース、シロップ、ケチャップ、ジュース、お粥、蜂蜜、糖蜜、液糖などがある。
[第二実施形態]
本発明の第二実施形態に係る樹脂シートの例としては、図8に示すように、表面に撥液層(2)が積層された凹形状層(1)と基材層(4)との間に、シーラント樹脂層(3)が形成された樹脂シートである。すなわち、第二実施形態に係る樹脂シートの層構成は、上から下に向かって、撥液層(2)、凹形状層(1)、シーラント樹脂層(3)、基材層(4)である。ここで、撥液層と凹形状層は、第一実施形態において説明したものと同じであるので、説明を省略する。但し、凹形状層の厚みは、好ましくは50〜250μmである。50μm未満であると、凹形状の転写が不良な場合がある。また、250μmを超えると、生産コストが高くなる場合がある。
<基材層>
基材層は、スチレン系樹脂(耐衝撃性ポリスチレン、ポリブタジエン−ポリスチレン−ポリアクリロニトリルグラフト重合体など)、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリカーボネート、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)、ナイロン系樹脂(ナイロン6、ナイロン−66など)、エチレン−ビニルアルコール共重合体、アクリル系樹脂、熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性樹脂からなることが好ましい。また、積層する場合、共押出成形による積層や無延伸フィルム、二軸延伸フィルムを用いた押出ラミネート成形、ドライラミネート成形による積層がある。
二軸延伸フィルムとしてはポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂からなることが好ましい。例えば、基材層となるポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリメチレンテレフタレートなどが好ましい。また、共重合成分として、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分や、アジピン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸成分などを共重合したポリエステル樹脂などを用いることができる。
ナイロン系樹脂としては、カプロラクタム、ラウロラクタム等のラクタム重合体、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸の重合体、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−又は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシルメタン)等の脂環式ジアミン、m−又はp−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミン等のジアミン単位と、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸等のジカルボン酸単位との重縮合体、及びこれらの共重合体等が挙げられる。
ナイロン系樹脂として、具体的には、ナイロン6、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン611、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロンMXD6、ナイロン6/66、ナイロン6/610、ナイロン6/6T、ナイロン6I/6T等があり、なかでもナイロン6、ナイロンMXD6が好適である。
基材層には、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で、顔料、染料などの着色剤、シリコンオイル等の離型剤、セルロースナノファイバー、アラミド繊維、カーボンナノファイバーなどの炭素繊維、ガラス繊維等の繊維状強化剤、タルク、クレイ、シリカなどの着色剤、スルホン酸とアルカリ金属などとの塩化合物やポリアルキレングリコール等の帯電防止剤及び紫外線吸収剤、抗菌剤のような添加剤を添加することができる。また、本発明の多層樹脂シートの製造工程で発生したスクラップ樹脂を混合して用いることもできる。
<シーラント樹脂層>
シーラント樹脂層は、凹形状層と基材層の接着性を発現させるものである。樹脂成分としては、100質量%の変性オレフィン系重合体樹脂、100質量部の熱可塑性エラストマーがある。
シーラント樹脂層の材料としては、変性オレフィン系重合体が好ましい。変性オレフィン系重合体樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1等の炭素数2〜8程度のオレフィン、それらのオレフィンと、エチレン、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等の炭素数2〜20程度の他のオレフィンとの共重合体や、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン等のビニル化合物との共重合体等のオレフィン系樹脂や、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体等のオレフィン系ゴムを、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸等の不飽和カルボン酸、または、その酸ハライド、アミド、イミド、無水物、エステル等の誘導体、具体的には、塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸グリシジル等で、グラフト反応条件下に変性したものが代表的なものとして挙げられる。
なかでも、不飽和ジカルボン酸またはその無水物、特にマレイン酸またはその無水物で変性した、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体又はエチレン−プロピレン又はエチレン−ブテン−1共重合体ゴムが好適である。
シーラント樹脂層の厚みは、好ましくは20〜90μm、より好ましくは40〜80μmである。20μm未満であると、凹形状層と基材層間で層間剥離が発生する場合があり、また、90μmを超えると、生産コストが高くなる場合がある。
[第三実施形態]
本発明の第三実施形態に係る樹脂シートは、図9に示すように、第二実施形態で示したシーラント樹脂層(3)を用いずに、凹形状層(1)と基材層(4)を直接積層したものである。すなわち、第三実施形態に係る樹脂シートの層構成は、上から下に向かって、撥液層(2)、凹形状層(1)、基材層(4)であり、第二実施形態に係る熱可塑性樹脂シートからシーラント樹脂層を除いた層構成を有している。ここで、撥液層と凹形状層は、第一実施形態及び第二実施形態における層と同じであるので、説明を省略する。一方、本実施形態における基材層(4)は、凹形状層と十分な接着性を備えたものとするのが好ましい。
よって、第三実施形態に係る樹脂シートにおいて、基材層としては、凹形状層との接着性に優れるスチレン系樹脂を使用することが好ましい。スチレン系樹脂としては、好ましくは60〜15質量%、より好ましくは55〜15質量%のポリスチレン樹脂と、好ましくは40〜85質量%、より好ましくは45〜85質量%の耐衝撃性ポリスチレン樹脂とを含んでなるスチレン系基材層が好ましい。また、水添スチレン系熱可塑性エラストマーを添加したスチレン系樹脂組成物を用いることもできる。ポリスチレン樹脂と水添スチレン系熱可塑性エラストマーを併用するときは、90〜95質量%のポリスチレン系樹脂と、5〜10質量%の水添スチレン系熱可塑性エラストマーとを含んでなるスチレン系樹脂組成物が好ましい。この場合、水添スチレン系熱可塑性エラストマーの添加量が5質量%未満では凹形状層との接着性が不十分になり、層間剥離が発生する場合があり、10質量%を超えると生産コストが高くなる場合がある。
[第四実施形態]
本発明の第四実施形態に係る樹脂シートは、図10に示すように、撥液層(2)、凹形状層(1)、第1のシーラント樹脂層(3a)、酸素バリア基材層(5)、第2のシーラント樹脂層(3b)、基材層(4)の順に積層した樹脂シートである。第1のシーラント樹脂層と第2のシーラント樹脂層は組成が同じでも異なってもよい。凹形状層の厚みは、好ましくは50〜250μmである。50μm未満であると、凹形状の転写が不良な場合がある。また、250μmを超えると、生産コストが高くなる場合がある。
<基材層>
第四実施形態の基材層の材料としては、第二実施形態の基材層の材料と同様なものが使用でき、例えばスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、アクリル系樹脂など第2のシーラント樹脂層と十分な接着性を備えたものとするのが好ましい。アクリル系樹脂は特に好適に用いられ、その構造としてはメタクリル酸エステル単量体に基づくビニル重合体であれば特に限定するものではない。このメタクリル酸エステル単量体としては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル及びメタクリル酸ヘキシルなどが挙げられる。これらのうち、特にメタクリル酸メチルが好適である。また、メタクリル酸エステル単量体におけるプロピル基、ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基などのアルキル基は、直鎖であってもよく、枝分かれしてもよい。また、本実施形態の樹脂組成物に配合されるメタクリル酸エステル樹脂は、メタクリル酸エステル単量体の単独重合体や、複数のメタクリル酸エステル単量体の共重合体であってもよい。又は、メタクリル酸エステル以外の公知のビニル化合物であるエチレン、プロピレン、ブタジエン、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル及びアクリル酸などに由来する単量体単位を有してもよい。
基材層には、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で、顔料、染料などの着色剤、シリコンオイル等の離型剤、セルロースナノファイバー、アラミド繊維、カーボンナノファイバーなどの炭素繊維、ガラス繊維等の繊維状強化剤、タルク、クレイ、シリカなどの着色剤、スルホン酸とアルカリ金属などとの塩化合物やポリアルキレングリコール等の帯電防止剤及び紫外線吸収剤、抗菌剤のような添加剤を添加することができる。また、本発明の多層樹脂シートの製造工程で発生したスクラップ樹脂を混合して用いることもできる。
<酸素バリア基材層>
酸素バリア基材層の材料としては、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、ナイロン系樹脂が挙げられる。そのなかでも、加工性、成形性の面でエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂が好ましい。
エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂は、通常、エチレン−酢酸ビニル共重合体を鹸化して得られるものであり、酸素バリア性、加工性、成形性を具備する為に、エチレン含有量が10〜65モル%、好ましくは20〜50モル%で、鹸化度が90%以上、好ましくは95%以上のものが好ましい。
また、ナイロン系樹脂としては、カプロラクタム、ラウロラクタム等のラクタム重合体、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸の重合体、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−又は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシルメタン)等の脂環式ジアミン、m−又はp−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミン等のジアミン単位と、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸等のジカルボン酸単位との重縮合体、及びこれらの共重合体等が挙げられる。
ナイロン系樹脂として、具体的には、ナイロン6、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン611、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロンMXD6、ナイロン6/66、ナイロン6/610、ナイロン6/6T、ナイロン6I/6T等があり、なかでもナイロン6、ナイロンMXD6が好適である。
<シーラント樹脂層>
シーラント樹脂層の材料としては、変性オレフィン系重合体が好ましい。変性オレフィン系重合体樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1等の炭素数2〜8程度のオレフィン、それらのオレフィンと、エチレン、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等の炭素数2〜20程度の他のオレフィンとの共重合体や、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン等のビニル化合物との共重合体等のオレフィン系樹脂や、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体等のオレフィン系ゴムを、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸等の不飽和カルボン酸、または、その酸ハライド、アミド、イミド、無水物、エステル等の誘導体、具体的には、塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸グリシジル等で、グラフト反応条件下に変性したものが代表的なものとして挙げられる。
なかでも、不飽和ジカルボン酸またはその無水物、特にマレイン酸またはその無水物で変性した、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、又はエチレン−プロピレン又はエチレン−ブテン−1共重合体ゴムが好適である。
シーラント樹脂層の厚みとしては、何れの側も、好ましくは10〜50μm、より好ましくは20〜40μmである。10μm未満であると、十分な層間接着強度が得られなくなる場合があり、また、50μmを超えると、生産コストが高くなる場合がある。
[撥液性樹脂シートの製造]
本発明に係る樹脂シートの製造方法は、限定されず、如何なる方法によってもよいが、典型的には、一方の面に凹形状を有する単層シート又は該凹形状を有する層を含む積層樹脂シートを作製し、最後に凹形状の表面に撥液層を形成する工程を含んでなることが好ましい。
先ず、一方の面に凹形状を有する単層シート又は該凹形状を有する層を含む積層樹脂シートの作製に際しては、任意の樹脂シート成形方法を使用できる。例えば、単層の場合は1台の単軸押出機を、複層の場合は複数台の単軸押出機を用いて、各々の原料樹脂を溶融押出し、Tダイによって樹脂シートを得る方法が挙げられる。多層の場合は、マルチマニホールドダイを使用してもよい。尚、本発明の樹脂シートの各実施形態の層構成は、基本的に前述した通りであるが、他に、例えば、本発明の樹脂シートや部材の製造工程で発生したスクラップ原料を、物性等の劣化が見られない限り、基材層へ添加してもよいし、更なる層として積層してもよい。
次に、単層又は多層樹脂シートに凹形状を形成するが、この方法も特に制限はなく、当業者に知られている任意の方法を使用することができる。例えば、押出成形方式を用いて製造する方法、フォトリソグラフィー方式を用いて製造する方法、熱プレス方式を用いて製造する方法、パターンロールとUV硬化樹脂とを用いて製造する方法、ロールtoロール方式を用いて製造する方法等である。
最後に、凹形状層の表面に、特定の含有量の疎水性無機微粒子とバインダー樹脂からなる撥液層を形成する。撥液層を形成する方法は特に限定されず、例えば、ロールコーティング、グラビアコーティング、バーコート、ドクターブレードコーティング、刷毛塗り、粉体静電法等の公知の塗工方法を採用することができる。また塗工液を調製する際の溶媒も、特に限定されず、水の他、例えばアルコール(エタノール)、シクロヘキサン、トルエン、アセトン、IPA、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ブチルジグリコール、ペンタメチレングリコール、ノルマルペンタン、ノルマルヘキサン、ヘキシルアルコール等の有機溶剤を適宜選択することができる。この際、微量の分散剤、着色剤、沈降防止剤、粘度調整剤等を併用することもできる。
[物品]
本発明にかかる撥液性樹脂シートは、前記に示した撥液性が必要とされる物品に適用できる。以下、具体的に記載する。
本発明の撥液性樹脂シートは、食品容器、パウチ等の包装材や、雨合羽、傘などの生活用品、キッチン、風呂場、トイレなどに用いられる水回り部材、壁紙などの建材として適用できる。
例えば、本発明の撥液性樹脂シートは、食品容器、パウチなどに適用することで、内容物が容器などの内壁へ付着することを防止し、内容物を最後まで使い切り易いという効果やごみの分別時に容器を洗浄する手間を少なくする効果などが得られる。
例えば、本発明の撥液性樹脂シートは、雨合羽、傘などに適用することで、水滴が付着し難く、折りたたむ際に手に水滴などが付着し難いという効果も得られる。
例えば、本発明の撥液性樹脂シートは、浴室の壁パネルに適用することで、水滴などが付着し難いという効果が得られる。
例えば、本発明の撥液性樹脂シートは、内装材などに適用することで、汚れなどが付着し難いという効果が得られる。
以下、本発明を実施例及び比較例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は実施例等の内容に何ら限定されるものではない。
実施例等で用いた各種原料は以下の通りである。
(1)凹形状層
(A−1)ランダムポリプロピレン「PM921V」(サンアロマー社製)
(A−2)ブロックポリプロピレン「PM854X」(サンアロマー社製)
(B−1)直鎖状中密度ポリエチレン樹脂(C4)「ネオゼックス 45200」(プライムポリマー社製)
(B−2)直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(C6)「ウルトゼックス 20200J」(プライムポリマー社製)
(C)スチレン−共役ジエンブロック共重合体樹脂「730L」(デンカ社製)(ジエン含有量25質量%)
(D)GPPS樹脂「G100C」(東洋スチレン社製)
(E)PET樹脂「TRN−8580FC」(帝人社製)
(F)塩化ビニル樹脂「CG60EB」(三菱化学社製)
(G)ナイロン6樹脂「1022B」(宇部興産社製)
(H)ポリフッ化ビニリデン樹脂「カイナー720」(アルケマ社製)
(I)ポリカーボネート樹脂「L-1225L」(帝人社製)
(2)撥液層
(J)疎水性無機微粒子:トリメチルシリル基で表面修飾された疎水性シリカ「AEROSIL R812S」(エボニック デグザ社製)、平均一次粒径:7nm
(K)疎水性無機微粒子:ジメチルポリシロキサンで表面修飾された疎水性シリカ「AEROSIL RY200」(エボニック デグザ社製)、平均一次粒径:12nm
(L)バインダー樹脂:オレフィン系共重合体樹脂「アクアテックスAC−3100」(ジャパンコーティングレジン社製)
(3)シーラント樹脂層
(M)水添スチレン系熱可塑性エラストマー「タフテックP2000」(旭化成社製)
(N)水添スチレン系熱可塑性エラストマー「タフテックM1943」(旭化成社製)
(O)変性オレフィン系樹脂「モディックF502」(三菱化学社製)
(P)変性オレフィン系樹脂「アドマー SE810」(三井化学社製)
(4)基材層
(M)水添スチレン系熱可塑性エラストマー「タフテックP2000」(旭化成社製)
(Q)HIPS樹脂「トーヨースチロールH850N」(東洋スチレン社製、ブタジエン含量9.0質量%)
(R)GPPS樹脂「HRM23」(東洋スチレン社製)
(S)PET樹脂(フィルム)「エステルフィルム E5102:16μm」(東洋紡績社製)
(T)ナイロン6樹脂(フィルム)「ハーデンフィルム N1100:15μm」(東洋紡績社製)
(U)エチレン−ビニルアルコール共重合体「エバールJ−171B」(クラレ社製)
(V)アクリル樹脂 「HBS000」(三菱化学社製)
実施例等で作製した樹脂シートについての各種特性の評価方法は以下の通りである。
(1)凹形状観察
シートの凹形状はレーザー顕微鏡VK−X100(キーエンス社製)を用いて、凹形状深さ、凹形状の最深部間隔、凹形状間隔、凹形状の開口径を測定した。また、凹形状深さおよび凹形状の最深部間隔を測定するために、ミクロトームを用いて凹形状断面サンプルを作製した。凹形状の深さは、樹脂シートの任意の3箇所より、それぞれ形状が同じ10個の深さを測定し、その30測定値の算術平均値を用いた。最深部間隔については、樹脂シートの任意の3箇所より、隣接する10個の凹形状の最深部間隔を測定し、その30測定値の算術平均値を用いた。
(2)接触角及び転落角
接触角及び転落角は、樹脂シートおよび樹脂シートを真空圧空成形機(浅野研究所社製)を用いて、トレー容器(図11)の底面部の延伸倍率(=シート厚み/容器底面部の厚み)が1.6倍になるように成形したトレー容器について、自動接触角計DM−501(協和界面科学社製)を用いて測定した。また、試験液はシロップ液(メロディアン社製)を用い、滴下量は、接触角測定時は8μL、転落角測定時は20μLとした。シートの場合は、接触角が130°以上であると撥液性が高く、液体の付着を防止できると判定できる。また転落角が40°以下であると撥液性が高く、液体の付着を防止できると判定できる。
トレー容器の場合は、接触角が120°以上であると撥液性が高く、液体の付着を防止できると判定できる。また転落角が70°以下であると撥液性が高く、液体の付着を防止できると判定できる。
(3)液圧試験
加圧試験は、円筒状ポリプロピレン製ケース(以下、円筒ケース:14mm径、50mm高さ)の底面に10mm角の樹脂シートを貼り付け、3kPaの液圧がかかるように、円筒ケース内にシロップ液(メロディアン社製)を充填し、1時間後のシロップ液を取り除き、円筒ケース底面に貼り付けた撥液シートをピンセットで取り出し、樹脂シート上のシロップ液の付着について、表2、4、6に示すように、全く付着がない状態を「5」、最も付着がある状態を「1」として、目視により5段階で評価した。この5段階評価において、「4」以上であれば付着が抑制されていると判断した。
(4)メルトマスフローレートの測定
JIS K 7210、ASTM D 1238に準拠し、オレフィン系樹脂、塩ビ系樹脂は試験温度:190℃、荷重:2.16Kg、PS系樹脂は試験温度:200℃、荷重:5.00Kg、フッ素系樹脂は試験温度:230℃、荷重:5.0Kg、PET系樹脂は試験温度:280℃、荷重:1.2Kg、PC系樹脂は試験温度:300℃、荷重:1.2Kgの条件下で、測定した。使用した試験機器はメルトインデックサF−F01(株式会社東洋精機製作所製)を用いた。
(5)酸素透過率
樹脂シートの酸素透過率は、OX−TRAN酸素透過率測定装置(Mocon社製)を用いて、JIS K7126−B法に準拠し、温度25℃、相対湿度65%の測定条件下で測定した。酸素透過率が3.0ml/m・day・atm未満であると酸素バリア性が良好であると判定できる。
(6)シール性評価(容器)
耐衝撃性ポリスチレンの単層シート(900μm厚)を用いて、真空成形した容器のフランジ部(図11参照)部分を切り取り、ヒートシールテスター(佐川製作所製)を用いてヒートシールを実施した。ヒートシールテスターのシールコテ幅は1.0mmのものを使用し、作製した樹脂シートを蓋材として使用した。シール温度は210℃であり、シール圧は0.36MPaである。また、剥離強度はストログラフVE1D(東洋精機社製)を用いて、ストログラフの一方のチャック部に蓋材(樹脂シート)を挟み、もう一方のチャック部には容器のフランジ部を挟んで測定した。剥離速度は200mm/minである。剥離強度が2.8N以上であると、シール性が良好であると判定できる。
(7)シール性評価(パウチ)
作製したシートの凹形状層が内面側になる様にして、上記のヒートシールテスター(佐川製作所)を用いて、パウチを作製した。シール温度は210℃であり、シール圧は0.36MPaであり、シールコテ幅は5mmである。剥離強度はストログラフVE1D(東洋精機社製)を用いて、ストログラフのチャック部に樹脂シートを挟んで測定した。剥離速度は200mm/minである。剥離強度が8.5N以上であると、シール性が良好であると判定できる。
(8)凹形状の個数(単位面積:1cmあたり)
作製したシートの凹形状層の表面をレーザー顕微鏡VK−X100(キーエンス社製)を用いて、10000μmあたりの凹形状数をカウントし、カウント数を基に単位面積(1cm)あたりの凹形状の個数を算出した。
<実施例1(図1の凹形状、図2の層構成)>
凹形状層用の材料として前記(A−1)ランダムポリプロピレンを用い、1台の65mm単軸押出機を使用し、Tダイ法により、単層の樹脂シートを押し出した。この押出しシートを、ダイヤモンドバイト彫刻法で表面に凸形状を付与した転写ロールとタッチロールでキャスティングし、一方の表面に凹形状を付与した。
ついで、凹形状層の凹形状を付与した側の表面に撥液層を形成するために、前記(J)疎水性シリカと前記(L)バインダー樹脂を、固形分比で撥液層中の疎水性シリカが49質量%、バインダー樹脂が51質量%となる組成比になるように混合した分散液(溶媒はいずれも精製水/イソプロピルアルコールの混合液)を作製した。この混合分散液をバーコーターを用いて凹形状を付与した側の表面にコーティングし、これを90℃で乾燥させて撥液層を形成させた。この撥液層を形成した樹脂シートの各層の厚みを表1(撥液層の括弧内の数値は乾燥後の撥液層の厚みを示す)に示した。また上記のようにして作製した撥液性樹脂シートについて、その各種特性を前述の方法によって評価した。結果を表2に示す。
<実施例2〜12、比較例1〜6>
各層の材料組成、厚みを表1に示すように設定した以外は実施例1と同様にし、凹形状については転写ロールを換えて図1、3〜5及び7に示す凹形状を付与し、実施例2〜12及び比較例1〜6に係る撥液性樹脂シートを作製した。また、得られた撥液性樹脂シートについて、実施例1におけるものと同様の評価試験を実施し、結果を表2に示した。
尚、比較例1では撥液層を形成せず、比較例2では凹形状を付与していない。比較例3では疎水性シリカを含有せず、比較例4では釣鐘型の凸形状を付与した。比較例5では撥液層にバインダー樹脂を含有していない組成であり、比較例6では疎水性の表面処理を実施していないシリカを用いた組成である。
Figure 0006895747
Figure 0006895747
表2に示した結果から以下のことが明らかになった。
実施例6の撥液性における若干の性能低下が見受けられるが、その他の実施例1〜5、7〜12の全てにおいて、シートでの各液体に対する撥液性(接触角、転落角、液圧試験)に関し、接触角130°以上、転落角40°以下、加圧試験4以上という結果が得られた。これに対して、比較例1では液圧試験で3以下となり、比較例2では、接触角130°以上、転落角40°以下という結果が得られたものの、液圧試験において3以下となった。比較例3では、接触角130°以上という結果が得られたものの、転落角40°以上、加圧試験において3以下となった。また、比較例4では、液圧試験で3以下となり、比較例5では、接触角、転落角及び液圧試験の何れに関しても効果が得られたが、塗工した疎水性シリカの脱離が見られた。比較例6では、接触角、転落角及び液圧試験の何れに関しても効果が得られなかった。
<実施例13(図1の凹形状、図8の層構成)>
凹形状層用の材料として前記(A−1)ランダムポリプロピレンを、シーラント樹脂層用の材料として前記(P)変性オレフィン系樹脂を用い、2台の40mm単軸押出機及びTダイを用いたフィードブロック法により、凹形状層とシーラント樹脂層とを積層後、基材層となる上記(S)PET樹脂(フィルム)上に押出ラミネートし、凹形状層/シーラント樹脂層/基材層からなる3層の樹脂シートを得た。その際、ダイヤモンドバイト彫刻法で表面に凸形状を付与した転写ロールとタッチロールでキャスティングし、凹形状層側の表面に凹形状を付与した。
ついで、実施例1と同様にして凹形状層の凹形状を付与した側の表面に撥液層を形成させた。この撥液層を形成した樹脂シートの各層の厚みを表3(撥液層の括弧内の数値は乾燥後の撥液層の厚みを示す)に示した。また上記のようにして作製した撥液性樹脂シートについて、その各種特性を前述の方法によって評価した。結果を表4に示す。
<実施例14〜24、比較例7〜12>
実施例14、19、22〜24及び比較例12については、各層の材料組成、厚みを表3に示すように設定した以外は実施例13と同様にし、実施例15〜18、20、21及び比較例7〜11については、3台の40mm単軸押出機及びTダイを用いたフィードブロック法により、凹形状層/シーラント樹脂層/基材層からなる3層の樹脂シートを得たこと、各層の材料組成、厚みを表3に示すように設定した以外は実施例13と同様にし、凹形状については転写ロールを換えて図1、3〜7に示す凹形状を付与し、実施例14〜24及び比較例7〜12に係る撥液性樹脂シートを作製した。また得られた撥液性樹脂シートについて、実施例13におけるものと同様の評価試験を実施し、結果を表4に示した。
尚、比較例7では撥液層を形成せず、比較例8では凹形状を付与していない。比較例9では釣鐘型の凸形状を付与し、比較例10では疎水性シリカを含有していない。比較例11では撥液層にバインダー樹脂を含有していない組成であり、比較例12では疎水性の表面処理を実施していないシリカを用いた組成である。
Figure 0006895747
Figure 0006895747
表4に示した結果から以下のことが明らかになった。
実施例18の撥液性における若干の性能低下が見受けられるが、実施例13〜17、19〜24の全てにおいて、シートでの各液体に対する撥液性(接触角、転落角、液圧試験)に関し、接触角130°以上、転落角40°以下、加圧試験4以上という結果が得られた。これに対して、比較例7では液圧試験で3以下となり、比較例8では、接触角130°以上、転落角40°以下という結果が得られたものの、液圧試験において3以下となった。比較例9では、接触角130°以上という結果が得られたものの、転落角40°以上、加圧試験において3以下となった。また、比較例10では、液圧試験で3以下となり、比較例11では、接触角、転落角及び液圧試験の何れに関しても効果が得られたが、塗工した疎水性シリカの脱離が見られた。比較例12では、接触角、転落角及び液圧試験の何れに関しても効果が得られなかった。
<実施例25(図5の凹形状、図9の層構成)>
凹形状層用の材料として前記(A−1)ランダムポリプロピレン50質量%及び前記(C)スチレン−共役ジエンブロック共重合体樹脂50質量%の混合物を、基材層用の材料として前記(M)水添スチレン系熱可塑性エラストマー5質量%及び前記(Q)HIPS樹脂95質量%の混合物を用い、2台の40mm単軸押出機及びTダイを用いたフィードブロック法により、凹形状層と基材層とからなる2層の樹脂シートを押し出した。この押し出しシートを、ダイヤモンドバイト彫刻法で表面に凸形状を付与した転写ロールとタッチロールでキャスティングし、凹形状層側の表面に凹形状を付与した。
ついで、前記(J)疎水性シリカと前記(L)バインダー樹脂を、固形分比で撥液層中の疎水性シリカが66質量%、バインダー樹脂が34質量%となる組成比になるように混合した分散液(溶媒はいずれも精製水/イソプロピルアルコールの混合液)を作製した以外は実施例1と同様にして凹形状層の凹形状を付与した側の表面に撥液層を形成させた。この撥液層を形成した樹脂シートの各層の厚みを表3(撥液層の括弧内の数値は乾燥後の撥液層の厚みを示す)に示した。また上記のようにして作製した撥液性樹脂シートについて、その各種特性を前述の方法によって評価した。結果を表4に示す。
<実施例26(図1の凹形状、図9の層構成)>
各層の材料組成、厚みを表3に示すように設定した以外は実施例25と同様にし、凹形状については転写ロールを換えて図1に示す凹形状を付与し、実施例26に係る撥液性樹脂シートを作製した。また、得られた撥液性樹脂シートについて、実施例25におけるものと同様の評価試験を実施し、結果を表4に示した。
表4に示した結果から以下のことが明らかになった。すなわち、実施例25、26においては、シートでの各液体に対する撥液性(接触角、転落角、液圧試験)に関する評価基準を全て満足する結果が得られた。
<実施例27(図1の凹形状、図10の層構成)>
凹形状層用の材料として前記(A−1)ランダムポリプロピレンを、第1のシーラント樹脂層用の材料として前記(O)変性オレフィン系樹脂を、酸素バリア性基材層用の材料として前記(U)エチレン−ビニルアルコール共重合体を、第2のシーラント樹脂用の材料として前記(P)変性オレフィン系樹脂を用い、4台の40mm単軸押出機及びTダイを用いたフィードブロック法により、凹形状層/第1のシーラント樹脂層/酸素バリア性基材層/第2のシーラント樹脂層の順で積層後、基材層となる上記(S)PET樹脂(フィルム)上に押出ラミネートし、凹形状層/第1のシーラント樹脂層/酸素バリア性基材層/第2のシーラント樹脂層/基材層からなる5層の樹脂シートを得た。その際、ダイヤモンドバイト彫刻法で表面に凸形状を付与した転写ロールとタッチロールでキャスティングし、凹形状層側の表面に凹形状を付与した。
ついで、実施例1と同様にして凹形状層の凹形状を付与した側の表面に撥液層を形成させた。この撥液層を形成した樹脂シートの各層の厚みを表5(撥液層の括弧内の数値は乾燥後の撥液層の厚みを示す)に示した。また上記のようにして作製した撥液性樹脂シートについて、その各種特性を前述の方法によって評価した。結果を表6に示す。
<実施例28〜39、比較例13〜18>
実施例28、29、33、36〜39、比較例13及び16については、各層の材料組成、厚みを表5に示すように設定した以外は実施例27と同様にし、実施例30〜32、34、35、比較例14、15、17及び18については、5台の40mm単軸押出機及びTダイを用いたフィードブロック法により、凹形状層/第1のシーラント樹脂層/酸素バリア性基材層/第2のシーラント樹脂層/基材層からなる5層の樹脂シートを得たこと、各層の材料組成、厚みを表5に示すように設定した以外は実施例27と同様にし、凹形状については転写ロールを換えて図1、3〜7に示す凹形状を付与し、実施例28〜39及び比較例13〜18に係る撥液性樹脂シートを作製した。また得られた撥液性樹脂シートについて、実施例27におけるものと同様の評価試験を実施し、結果を表6に示した。
尚、比較例13では撥液層を形成せず、比較例14では凹形状を付与していない。比較例15では釣鐘型の凸形状を付与し、比較例16では疎水性シリカを含有していない。比較例17では撥液層にバインダー樹脂を含有していない組成であり、比較例18では疎水性の表面処理を実施していないシリカを用いた組成である。
Figure 0006895747
Figure 0006895747
表6に示した結果から以下のことが明らかになった。
実施例32の撥液性における若干の性能低下が見受けられるが、実施例27〜31、33〜39の全てにおいて、シートでの各液体に対する撥液性(接触角、転落角、液圧試験)に関し、接触角130°以上、転落角40°以下、加圧試験4以上という結果が得られた。これに対して、比較例13では液圧試験で3以下となり、比較例14では、接触角130°以上、転落角40°以下という結果が得られたものの、液圧試験において3以下となった。比較例15では、接触角130°以上という結果が得られたものの、転落角40°以上、加圧試験において3以下となった。また、比較例16では、液圧試験で3以下となり、比較例17では、接触角、転落角及び液圧試験の何れに関しても効果が得られたが、塗工した疎水性シリカの脱離が見られた。比較例18では、接触角、転落角及び液圧試験の何れに関しても効果が得られなかった。
以上、様々な実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれうることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
1 凹形状層
1a 凹形状
1b 凹形状最深部
h 凹形状深さ
t1 凹形状最深部間隔
d 凹形状開口径
2 撥液層
3 シーラント樹脂層
3a 第1のシーラント樹脂層
3b 第2のシーラント樹脂層
4 基材層
5 酸素バリア性基材層
6 容器フランジ部
7 容器の底面部

Claims (12)

  1. 微細な凹形状を有する熱可塑性樹脂組成物からなる凹形状層と、前記凹形状層の凹形状を有する面に疎水性無機微粒子とバインダー樹脂からなる撥液層とを備え、前記凹形状の開口径が10μm〜150μmであり、凹形状の最深部間隔が5μm〜180μmであり、凹形状の深さが10μm〜200μmであり、アスペクト比(凹形状の深さ/凹形状の開口径)0.5〜2.0である、撥液性樹脂シート。
  2. 前記撥液層における疎水性無機粒子の含有量が30〜80質量%であり、バインダー樹脂の含有量が70〜20質量%である請求項1に記載の撥液性樹脂シート。
  3. 樹脂シート表面における1cm当たりの前記凹形状の個数が2500個〜9500000個である請求項1または2に記載の撥液性樹脂シート。
  4. 前記熱可塑性樹脂組成物のメルトマスフローレートが5g/10分以上である、請求項1からの何れか一項に記載の撥液性樹脂シート。
  5. 前記バインダー樹脂が、オレフィン系共重合体である、請求項1からの何れか一項に記載の撥液性樹脂シート。
  6. 前記疎水性無機微粒子が、表面がトリメチルシリル基またはジメチルポリシロキサンで修飾された疎水性シリカ微粒子である、請求項1からの何れか一項に記載の撥液性樹脂シート。
  7. 前記疎水性無機微粒子の平均粒子径が、5〜1000nmである、請求項1からの何れか一項に記載の撥液性樹脂シート。
  8. 前記凹形状層の厚みが、50μm〜1000μmである、請求項1からの何れか一項に記載の撥液性樹脂シート。
  9. 前記凹形状層の凹形状を有する面の他方の面に、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、及び熱可塑性エラストマーから選択される1種類以上の樹脂からなる1層以上の基材層が積層された、請求項1からの何れか一項に記載の撥液性樹脂シート。
  10. 請求項1からの何れか一項に記載の撥液性樹脂シートを用いた物品。
  11. 生活用品、包装材、または建材部材である、請求項10に記載の物品。
  12. 食品容器、パウチ、雨具合羽、傘、壁紙、または水回り部材である請求項10に記載の物品。
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