JP6894026B2 - 生物学的汚染物質を検出するための組成物および方法 - Google Patents

生物学的汚染物質を検出するための組成物および方法 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、2015年3月27日に提出された米国仮特許出願第62/139,321号の優先権の恩典を主張するものであり、その出願は参照によりその全体が本明細書に具体的に組み入れられる。
発明の分野
本発明は、概して、細胞培養により生物学的分子を製造するプロセスに関する。本発明は、より具体的には、しかしながら排他的にではなく、細胞培養物における生物学的汚染物質を検出するための組成物および方法に関する。
発明の背景
バイオ医薬品、とりわけ治療用抗体は、哺乳動物細胞培養物によって生産される。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞は、最もよく用いられる宿主細胞である。これらの生産系は、外来性および内因性のウイルス感染を起こしやすく、それは、バイオ医薬品に関する潜在的な安全性の問題を提示する。したがって、薬物の安全性を向上させるために、ウイルスクリアランス手順およびウイルス量測定が用いられる。ウイルス量を低下させるために採用されるステップには、ナノ濾過、熱またはpHの保持によるウイルス不活性化、およびクロマトグラフィーが含まれる。ウイルス量、およびウイルス除去効果は、時間のかかる感染性アッセイによって、またはリアルタイムPCRもしくは定量ポリメラーゼ連鎖反応(Q-PCR)などの迅速な定量アッセイによってモニターされ得る。
Q-PCRは、適正な陰性および陽性対照が信頼できるものであることを必要とする。適正な核酸抽出のための管理のために、核酸抽出対照を試験サンプルに追加する。核酸抽出対照が陰性であるまたはQ-PCRの間に予想される回収範囲外にある場合には、サンプルは却下される。逆に、核酸抽出対照が陽性であるまたはQ-PCRの間に予想される回収範囲内にある場合、試験サンプルからの核酸抽出は信頼できると見なされる。サンプル不含バッファーなどの陰性対照が、通常Q-PCRアッセイに含まれる。陰性対照における陽性シグナルの存在は、ウイルス物質によるQ-PCRまたは核酸抽出試薬の汚染を意味し得る。
陽性増殖対照も、Q-PCRウイルス量アッセイに含まれ得る。そのような陽性対照は、本物のウイルス汚染物質を増幅するプライマーを用いて増幅される保存されたウイルス核酸配列を含み得る。Q-PCRが陽性対照を検出することができないことは、ウイルス汚染物質が試験サンプル中に存在した場合に、増幅手順がウイルス汚染物質を検出できていないであろうことを示し得る。
標的汚染物質を模倣する陽性増幅対照の使用は、それ自身の問題を生む。ほんのわずかな量であっても試験サンプルが陽性対照で汚染されている場合、Q-PCRの優れた感度を考慮すると、試験サンプルは偽陽性を示し得る。低レベルの陽性増幅対照を用いる、陽性対照作業のために隔離室を用いる、dUTPを含有するPCR産物を選択的に分解するUNG/dUTPシステムを用いる、単回使用の容器およびディスプレイスメント式ピペットを用いることによって、ならびに作業エリアおよび設備を徹底的に浄化することによって、偽陽性は、ある程度軽減することが可能である。それらの軽減策の細心の使用にもかかわらず、偽陽性の結果はPCR試験中になおも生じる。
バイオ医薬品製造において、生物学的汚染物質に対して偽陽性が出るリスクは無視できず、かつ結果として費用のかかる是正措置の原因となり得る。所与の陽性PCR結果が真陽性であるのか、または陽性対照の交差汚染により生じる偽陽性であるのかを判定するシステムおよび方法の大きな必要性がある。本出願者らは、偽陽性Q-PCRシグナルのリアルタイム判定を可能にする陽性対照組成物、システム、および方法を開発しておりかつここで開示する。
本出願者らは、試験サンプルにおける標的汚染物質に対する陽性のQ-PCRシグナルが真陽性であるのか、または交差汚染による偽陽性であるのかをリアルタイムで同定するという課題を解決した。本出願者らは、生物学的汚染物質標的配列(すなわち、陽性対照配列)および一意的人工プラスミド特異的配列を含む、陽性増幅対照(PAC)プラスミドを作り出した。この一意的人工プラスミド特異的配列は、それがサンプル中にある場合、アッセイ技術者がプラスミドを特異的に同定するのを可能にする。ゆえに、陽性の汚染物質シグナルが検出され、かつ人工プラスミド特異的配列が存在しないと判定された場合、技術者は、結果が真陽性の結果であることを確信し得る。逆に、偽陽性の事象において、一意的人工プラスミド配列の存在により、技術者は、表向きの陽性結果を偽陽性として迅速に排除することが可能となる。
一部の態様において、陽性対照の一意的人工プラスミド特異的配列(「一意的配列」;別名、PACPまたは陽性増殖対照ポリヌクレオチド)は、Q-PCR反応混合物に含まれる蛍光標識された人工オリゴヌクレオチド検出プローブ(「一意的検出プローブ」または「UDP」)を用いて検出される。一意的検出プローブは、フルオロフォアおよびクエンチャーに共有結合した核酸ポリマーを含む。「一意的」核酸ポリマーは、一意的配列に特異的にアニールして、PCR中に一意的配列のアンプリコンコピーに取り込まれるように設計される。「一意的」核酸ポリマーは、対象アッセイの実施において採用されるハイブリダイゼーション条件下で、天然に存在するいかなるパルボウイルスも認識せずアニールもしないように設計される。一態様において、「一意的」核酸ポリマーは17〜20個のヌクレオチドを含み、ここで、連続した7〜10個以下の内部ヌクレオチドおよび連続した6個以下の3'ヌクレオチドは任意のパルボウイルス配列と同一である。一態様において、「一意的」ヌクレオチドポリマーは17〜20個のヌクレオチドを含み、ここで、連続した7〜10個以下のヌクレオチドおよび連続した6個以下の3'ヌクレオチドは、SEQ ID NO:9および12〜37に明示される任意のパルボウイルス配列と同一である。一意的検出プローブの核酸ポリマーがアンプリコンコピーに組み入れられなかった場合、クエンチャーはフルオロフォアの近くに近接したままである。フルオロフォアが励起されたならば、クエンチャーは、放たれた光を吸収しかつその光が検出されるのを阻止する(FRETまたは接触クエンチングによる)。核酸ポリマーがアンプリコンコピーに組み入れられた場合(すなわち、一意的配列がサンプル中に存在する場合)、フルオロフォアおよびクエンチャーは一意的検出プローブから放出され、したがって空間的に分離される。この場合、フルオロフォアが励起された時、クエンチャーは十分に遠く離れていることから、放たれた光を効率的にクエンチングすることができない。したがって、放たれた光は検出され得る。ゆえに、一意的配列がサンプル中に存在する場合、検出可能な発光波長は、PCRが進むにつれて強度を増加させる。一意的配列が不在である場合、クエンチャーはその機能を果たし、かつPCRが進展しても発光波長は検出されない。一態様において、フルオロフォアは核酸ポリマーの5'末端にまたはその付近に、かつクエンチャーは3'末端にまたはその付近に結合されている。代替的な態様において、フルオロフォアは核酸ポリマーの3'末端にまたはその付近に、かつクエンチャーは5'末端にまたはその付近に結合されている。
現在公知であるまたは後に発見される任意のフルオロフォア-クエンチャーペアが、本発明の実践において用いられ得る。(例えば、S.A. Marras,「Selection of fluorophore and quencher pairs for fluorescent nucleic acid hybridization probes」, Methods Mol. Biol. 2006; 335:3-16を参照されたい。)一部の態様において、フルオロフォアは、それぞれ、495nm、538nm、または646nmの励起波長、および520nm、554nm、または669nmの発光波長を有する。一部の態様において、クエンチャーは、430nm〜672nmの吸収ピークを有する色素である。一部の態様において、クエンチャーは、DDQ-I、Dabcyl、Eclipse、Iowa Black FQ、BHQ-1、QSY-7、BHQ-2、DDQ-II、Iowa Black RQ、QSY-21、およびDHQ-3からなる群より選択される。一態様において、フルオロフォアは、495nmの励起波長および520nmの発光波長を有し(例えばFAM)、かつクエンチャーはBHQ-1である。一態様において、核酸ポリマーは、
Figure 0006894026
の核酸配列を含む。
本発明の一局面は、核酸ポリマーならびに連結されたフルオロフォアおよびクエンチャーを含有する、上記で記載される一意的検出プローブそれ自体である。本発明の他の局面は、生物学的汚染物質標的配列および一意的人工プラスミド特異的配列を含有する陽性増殖対照(PAC)プラスミドそれ自体、ならびに細胞培養物における標的生物学的汚染物質の存在を評価する陽性対照としてのそのプラスミドの使用を含む。このPACプラスミドを、標的生物学的汚染物質配列を増幅するように設計されたPCR増幅反応の成功の対照に使用する。例えば、同一の構成要素を含有しかつ試験サンプルと同一のパラメーターの下で行われるが、試験サンプルの代わりに陽性対照プラスミドを含有する、別個のかつ並行したPCR反応が行われる。陽性対照プラスミド含有サンプルは陽性の「汚染物質」シグナルを発生させるが、試験サンプルはそうではない場合には、試験サンプルは、標的生物学的汚染物質を欠いていると結論付けされ得る。一部の態様において、試験サンプルは、関心対象の治療用タンパク質を産生するように改変されたCHO細胞を含有するバイオリアクター培養物など、哺乳動物細胞培養物から入手される。
一態様において、PACプラスミドは、(a)例えばパルボウイルス核酸配列または別の標的汚染物質の配列などの、標的増幅ポリヌクレオチド(TAP)配列、および(b)プラスミド増幅対照ポリヌクレオチド(PACP)配列を含有する。PACP配列(センスまたはクリック鎖)は、一意的配列プローブの核酸ポリマー(アンチセンスまたはワトソン鎖)に相補的である。
一態様において、PACプラスミドは、試験サンプルを含有するQ-PCR反応と並行して、別個のQ-PCR反応に採用される。TAP配列は、標的生物学的汚染物質を代表するように設計される。例えば、試験サンプルのQ-PCR反応がTAPアンプリコンを産生できず、かつ陽性対照(すなわち、PACプラスミド含有サンプル)のQ-PCRがTAPアンプリコンを産生できない場合は、Q-PCR反応は失敗したと推測され得る。一態様において、標的生物学的汚染物質は齧歯類パルボウイルスであり、かつTAP配列は齧歯類パルボウイルス配列を含む。一態様において、TAP配列は、いくつかの齧歯類パルボウイルス系統にわたって保存されているパルボウイルスNS1配列のすべてまたは一部を含む。Cotmore, et al.,「Replication Initiator Protein NS1 of the parvovirus Minute Virus of Mice Binds to Modular Divergent Sites Distributed throughout Duplex Viral DNA」, J. Virol. 2007 Dec; 81(23):13015-13027を参照されたい。一部の態様において、いくつかの齧歯類パルボウイルス系統には、マウスの微小ウイルスプロトタイプ系統(MVMp)、マウスの微小ウイルス免疫抑制系統(MVMi)、マウスの微小ウイルスCutter系統(MVMc)、マウスパルボウイルス1b(MPV-1b)、マウスパルボウイルス1a(MPV-1a)、マウスパルボウイルス1c(MVP-1c)、ハムスターパルボウイルス(HaPV)、Toolanのパルボウイルス(H-1)、Kilhamラットウイルス(KRV)、ラットパルボウイルス1a(RPV-1a)、ラット微小ウイルス(RMV)、およびラットウイルスLのマサチューセッツ大学系統(RV-Umass)が含まれる。O.-W. Merten,「Virus Contaminations of Cell Cultures - A Biotechnological View」, Cytotechnology. 2002 July; 39(2):91-116を参照されたい。一態様において、TAP配列は、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2の核酸配列、およびSEQ ID NO:4の相補配列を含む。
他の局面において、本発明は、PCRカクテル組成物、および試験サンプルにおける標的汚染物質を検出し、かつPACによる試験サンプルの汚染に起因する偽陽性を排除するために該PCRカクテルを使用する方法に向けられている。
一態様において、PCRカクテルは、とりわけ標的汚染物質特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマー、標的汚染物質特異的オリゴヌクレオチド検出プローブ、上記で記載される一意的検出プローブ(UDP)などの人工オリゴヌクレオチド検出プローブ、および標的汚染物質特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマーを含有する。標的汚染物質が齧歯類パルボウイルスである態様において、PCRカクテルは、とりわけ齧歯類パルボウイルス特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマー、齧歯類パルボウイルス特異的オリゴヌクレオチド検出プローブ、上記で記載される一意的検出プローブ(UDP)などの人工オリゴヌクレオチド検出プローブ、および齧歯類パルボウイルス特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマーを含有する。各検出プローブ(すなわち、齧歯類パルボウイルス特異的オリゴヌクレオチド検出プローブなどの標的汚染物質特異的オリゴヌクレオチド検出プローブ、および人工オリゴヌクレオチド検出プローブ)は、一方の末端(5'または3'のいずれか)でフルオロフォアに、および他方の末端(それぞれ、3'または5'のいずれか)でクエンチャーに連結された核酸配列を含有する。
上記の場合、齧歯類パルボウイルス特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマー、および齧歯類パルボウイルス特異的オリゴヌクレオチド検出プローブの核酸配列は、パルボウイルスのアンチセンス鎖にハイブリダイズする。齧歯類パルボウイルス特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマーは、パルボウイルスのセンス鎖にハイブリダイズする。一態様において、プライマーおよびパルボウイルス特異的オリゴヌクレオチドプローブがハイブリダイズするパルボウイルス配列は、保存された齧歯類パルボウイルス配列である。ある場合には、保存されたパルボウイルス配列は、例えばSEQ ID NO:9に記載される核酸配列など、パルボウイルスNS1配列である。保存された配列を用いることによって、単一プローブは、齧歯類パルボウイルスの多数の系統を検出するのに効果的であると考えられる。
一態様において、人工オリゴヌクレオチド検出プローブは、パルボウイルス核酸にも、いかなる生物学的汚染物質配列にもハイブリダイズしない。人工オリゴヌクレオチド検出プローブの核酸は合成であり、かつ、いかなるストリンジェンシーでも、あらゆる生物学的汚染物質核酸配列にハイブリダイズしないと考えられる。一態様において、人工オリゴヌクレオチド検出プローブの核酸(別名、「一意的」核酸ポリマーまたは一意的配列)は、対象アッセイの実施において採用されるハイブリダイゼーション条件下で、天然に存在するいかなるパルボウイルスも認識せずアニールもしないように設計される。一態様において、「一意的」核酸ポリマーは17〜20個のヌクレオチドを含み、ここで、連続した7〜10個以下の内部ヌクレオチドおよび連続した6個以下の3'ヌクレオチドは任意のパルボウイルス配列と同一である。一態様において、「一意的」ヌクレオチドポリマーは17〜20個のヌクレオチドを含み、ここで、連続した7〜10個以下のヌクレオチドおよび連続した6個以下の3'ヌクレオチドは、SEQ ID NO:9および12〜37に明示される任意のパルボウイルス配列と同一である。しかしながら、人工オリゴヌクレオチド検出プローブの核酸(すなわち、一意的配列)は、PACプラスミドのPACP配列にハイブリダイズする。ゆえに、人工オリゴヌクレオチド検出プローブは、PACプラスミドを検出するが、パルボウイルスまたは他の生物学的汚染物質配列は検出しない。
一態様において、PCRカクテルを用いて、偽陽性結果を与えるPACプラスミドが試験生物学的サンプル中に存在するかどうかを判定することができる。この場合、試験サンプルが、パルボウイルス特異的オリゴヌクレオチドプローブに対して陽性のQ-PCRシグナル、および人工オリゴヌクレオチド検出プローブに対して陰性のQ-PCRシグナルを示す場合は、試験サンプルは、PAC汚染がない(すなわち、真陽性である)と推定される。
一態様において、標的汚染物質特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマーは、SEQ ID NO:1の配列を含み;標的汚染物質特異的オリゴヌクレオチド検出プローブ核酸は、SEQ ID NO:2の配列を含み;人工オリゴヌクレオチド検出プローブ核酸(すなわち、UDP)は、SEQ ID NO:3の配列を含み;かつ標的汚染物質特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマーは、SEQ ID NO:4の配列を含む。
他の局面において、本発明は、試験サンプルにおける生物学的汚染物質を検出するためのシステムおよび方法を提供する。この場合、試験サンプルは、例えば治療用タンパク質の生産のための産業規模の哺乳動物細胞培養物などの細胞培養物である。本発明の実践において有用な哺乳動物細胞には、CHO細胞、CHO-K1細胞、およびEESYR細胞(米国特許第7,771,997号を参照されたい)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。該システムおよび方法は、上記で記載されるように用いられるプライマー、プローブ、カクテル、およびPACプラスミドに加えて、核酸抽出対照(NEC)の使用を含む。一態様において、NECはM13K07ファージであり、それは核酸抽出の前に試験サンプルに含まれている。核酸抽出が、汚染物質DNAまたはRNAを検出する目的に適当である場合には、NEC核酸(例えば、M13K07核酸)は、「加えられた」試験サンプルにおいてQ-PCRにより検出される。特定の態様において、Q-PCR反応混和物は、標的汚染物質特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマー、標的汚染物質特異的オリゴヌクレオチド検出プローブ、上記で記載される一意的検出プローブ(UDP)などの人工オリゴヌクレオチド検出プローブ、標的汚染物質特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマー、NEC特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマー、NEC特異的オリゴヌクレオチド検出プローブ、およびNEC特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマーを含有する。一態様において、試験サンプルは治療用タンパク質産生細胞培養物から採取され、それは、核酸抽出および後続のQ-PCR解析の前に、NEC(例えば、M13K07ファージ)が加えられている。
具体的な態様において、標的汚染物質は齧歯類パルボウイルスであり、その場合において、(1)標的汚染物質特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマーは齧歯類パルボウイルス特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマーであり、より具体的にはSEQ ID NO:1の配列を含み;(2)標的汚染物質特異的オリゴヌクレオチド検出プローブは齧歯類パルボウイルス特異的オリゴヌクレオチド検出プローブであり、より具体的にはSEQ ID NO:2の核酸配列を含み;(3)人工オリゴヌクレオチド検出プローブは一意的検出プローブ(UDP)であり、より具体的にはSEQ ID NO:3の核酸配列を含み;(4)標的汚染物質特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマーは齧歯類パルボウイルス特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマーであり、より具体的にはSEQ ID NO:4の核酸配列を含み;(5)NEC特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマーはM13順方向オリゴヌクレオチドプライマーであり、より具体的にはSEQ ID NO:5の核酸配列を含み;(6)NEC特異的オリゴヌクレオチド検出プローブはM13検出プローブであり、より具体的にはSEQ ID NO:6の核酸配列を含み;かつ(7)NEC特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマーはM13逆方向オリゴヌクレオチドプライマーであり、より具体的にはSEQ ID NO:8の核酸を含む。方法の一態様において、NEC Q-PCRシグナルが検出される(すなわち、シグナルが、予想される回収範囲内にある)場合には、試験サンプルの核酸抽出が成功したと推測され得る。他方で、NECシグナルが検出されない(すなわち、シグナルが、予想される回収範囲外にある)場合には、試験サンプルの核酸抽出が失敗したと推測され得、そしてあらゆる陰性Q-PCR標的汚染物質シグナルが無効(すなわち、偽陰性)であると見なされる。
[本発明1001]
人工ヌクレオチド配列、フルオロフォア、およびクエンチャーを含む組成物であって、該人工ヌクレオチド配列が、その3'末端に、SEQ ID NO:9および12〜37のいずれか1つの配列と同一である連続した5個以下の核酸を含む、組成物。
[本発明1002]
フルオロフォアが、495nm以上680nm以下の範囲内の励起波長、および515nm以上710nm以下の範囲内の発光波長を有するフルオロフォアの群より選択される、本発明1001の組成物。
[本発明1003]
クエンチャーが、430nm以上672nm以下の範囲内に吸収のピークを有する色素の群より選択される、本発明1002の組成物。
[本発明1004]
フルオロフォアが、495nmの励起波長および520nmの発光波長を有する、本発明1001の組成物。
[本発明1005]
フルオロフォアがFAMである、本発明1004の組成物。
[本発明1006]
クエンチャーがBHQ-1である、本発明1005の組成物。
[本発明1007]
フルオロフォアが人工ヌクレオチド配列の5'末端に結合しており、かつクエンチャーが人工ヌクレオチド配列の3'末端に結合している、本発明1001の組成物。
[本発明1008]
人工ヌクレオチド配列が、
Figure 0006894026
の核酸配列を含む、本発明1001の組成物。
[本発明1009]
a.齧歯類パルボウイルス特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマー;
b.齧歯類パルボウイルス特異的オリゴヌクレオチド検出プローブ;
c.人工オリゴヌクレオチド検出プローブ;
d.齧歯類パルボウイルス特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマー;
e.M13特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマー;
f.M13特異的オリゴヌクレオチド検出プローブ;および
g.M13特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマー
を含む、組成物。
[本発明1010]
a、b、およびdのオリゴヌクレオチド配列がそれぞれ、マウスの微小ウイルスプロトタイプ系統(MVMp)、マウスの微小ウイルス免疫抑制系統(MVMi)、マウスの微小ウイルスCutter系統(MVMc)、マウスパルボウイルス1b(MPV-1b)、マウスパルボウイルス1a(MPV-1a)、マウスパルボウイルス1c(MPV-1c)、ハムスターパルボウイルス(HaPV)、Toolanのパルボウイルス(H-1)、Kilhamラットウイルス(KRV)、ラットパルボウイルス1a、ラット微小ウイルス、およびラットウイルスLのUmass系統(RV-Umass)からなる群より選択される齧歯類パルボウイルスのNS-1配列を含む、本発明1009の組成物。
[本発明1011]
人工オリゴヌクレオチド検出プローブが、その3'末端に、SEQ ID NO:9および12〜37のいずれか1つの配列と同一である連続した5個以下の核酸を有するヌクレオチド配列を含む、本発明1009の組成物。
[本発明1012]
a、b、およびdのオリゴヌクレオチド配列がSEQ ID NO:37にハイブリダイズする、本発明1010の組成物。
[本発明1013]
b、c、およびfの各検出プローブが、各検出プローブに対するフルオロフォアが異なる波長で光を放つようなフルオロフォアおよびクエンチャーを含む、本発明1009の組成物。
[本発明1014]
各プローブのフルオロフォアが、495nm以上680nm以下の範囲内の励起波長、および515nm以上710nm以下の範囲内の発光波長を有するフルオロフォアの群より選択される、本発明1013の組成物。
[本発明1015]
クエンチャーが、430nm以上672nm以下の範囲内に吸収のピークを有する色素の群より選択される、本発明1014の組成物。
[本発明1016]
人工オリゴヌクレオチド検出プローブ(c)が、フルオロフォアFAMおよびクエンチャーBHQ-1を含み;齧歯類パルボウイルス特異的オリゴヌクレオチド検出プローブ(b)が、フルオロフォアVICおよび副溝結合非蛍光性クエンチャー(MGBNFQ)を含み;かつM13特異的オリゴヌクレオチド検出プローブが、フルオロフォアCy5およびクエンチャーBHQ2を含む、本発明1013の組成物。
[本発明1017]
齧歯類パルボウイルス特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマー(a)が、SEQ ID NO:1の核酸配列を含み;齧歯類パルボウイルス特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマー(d)が、SEQ ID NO:4の核酸配列を含み;かつ齧歯類パルボウイルス特異的オリゴヌクレオチド検出プローブ(b)が、SEQ ID NO:2の核酸配列を含む、本発明1012の組成物。
[本発明1018]
人工オリゴヌクレオチド検出プローブ(c)が、SEQ ID NO:3の核酸配列を含む、本発明1011の組成物。
[本発明1019]
M13特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマー(e)が、SEQ ID NO:5の核酸配列を含み;M13特異的オリゴヌクレオチド検出プローブ(f)が、SEQ ID NO:6の核酸配列を含み;かつM13特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマー(g)が、SEQ ID NO:7の核酸配列を含む、本発明1009の組成物。
[本発明1020]
a.反応混合物を作製するために複数の成分を混合する段階であって、該成分が、(i)試験サンプルに由来する核酸サンプル、(ii)オリゴヌクレオチド、および(iii)DNAポリメラーゼを含む、前記段階;
b.反応混合物をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に供する段階;
c.PCR中、(i)標的増幅ポリヌクレオチド(TAP)、(ii)核酸抽出対照増幅ポリヌクレオチド(NACP)、および(iii)プラスミド増幅対照ポリヌクレオチド(PACP)の産生をモニターする段階;ならびに
d.TAPの産生をNACPおよびPACPの産生と比較する段階
を含み、PCR中に産生されたTAPの存在、NACPの存在、およびPACPの非存在が、試験サンプルが生物学的汚染物質を含有しかつ陽性増幅対照プラスミドを含有しないことを表す、試験サンプルにおける生物学的汚染物質を検出する方法。
[本発明1021]
オリゴヌクレオチドが、(a)齧歯類パルボウイルス特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマー、(b)齧歯類パルボウイルス特異的オリゴヌクレオチド検出プローブ、(c)人工オリゴヌクレオチド検出プローブ、(d)齧歯類パルボウイルス特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマー、(e)M13特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマー、(f)M13特異的オリゴヌクレオチド検出プローブ、および(g)M13特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマーを含む、本発明1020の方法。
[本発明1022]
試験サンプルが、哺乳動物細胞培養物またはその精製された画分から入手される、本発明1020の方法。
[本発明1023]
試験サンプルにM13K07ファージが加えられる、本発明1020の方法。
[本発明1024]
核酸サンプルが、約1mLの試験サンプルを溶解、タンパク質分解、および熱変性に供し、それに続いてサンプルと抽出対照サンプルとを混合し、次いで該サンプルから核酸を抽出することによって調製される、本発明1020の方法。
[本発明1025]
抽出対照サンプルがM13K07ファージである、本発明1024の方法。
[本発明1026]
(a)齧歯類パルボウイルス特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマーが、SEQ ID NO:1の核酸配列を含み;(b)齧歯類パルボウイルス特異的オリゴヌクレオチド検出プローブが、VICフルオロフォア、副溝結合非蛍光性クエンチャー(MGBNFQ)、およびSEQ ID NO:2の核酸配列を含み;(c)人工オリゴヌクレオチド検出プローブが、FAMフルオロフォア、非蛍光性クエンチャーBHQ、およびSEQ ID NO:3の核酸配列を含み;(d)齧歯類パルボウイルス特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマーが、SEQ ID NO:4の核酸配列を含み;(e)M13特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマーが、SEQ ID NO:5の核酸配列を含み;(f)M13特異的オリゴヌクレオチド検出プローブが、Cy5フルオロフォア、BHQ-2クエンチャー、およびSEQ ID NO:6の核酸配列を含み;かつM13特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマーが、SEQ ID NO:7の核酸配列を含む、本発明1025の方法。
[本発明1027]
前記成分がウラシル-N-グリコシラーゼ(UNG)を含む、本発明1020の方法。
[本発明1028]
反応混合物を50℃で少なくとも2分間インキュベートする段階を含む、本発明1020の方法。
[本発明1029]
PCR段階(b)が、
(i)反応混合物を95℃で2分間インキュベートする段階;それに続く
(ii)(1)95℃で10秒間の変性、それに続く(2)30秒間のアニーリングの8回のサイクルであって、該8回のサイクルの最初のアニーリング温度が70℃であり、アニーリング温度が1サイクル毎に1℃低下し、かつ該8回のサイクルの最後のアニーリング温度が62℃である、前記8回のサイクル;それに続く
(iii)(1)95℃で10秒間の変性段階、それに続く(2)62℃で30秒間のアニーリング段階を含む少なくとも40回のサイクルのDNA増幅であって、変性温度からアニーリング温度への温度変化の割合は1秒間あたり約4.4℃であり、かつアニーリング温度から変性温度へは1秒間あたり約2.2℃である、前記DNA増幅
を含む、本発明1028の方法。
[本発明1030]
(a)TAPの産生を、各増幅サイクルで533〜580nmにおける蛍光を測定することによってモニターし;(b)NACPの産生を、各増幅サイクルで618〜660nmにおける蛍光を測定することによってモニターし;かつ(c)PACPの産生を、各増幅サイクルで465〜510nmにおける蛍光を測定することによってモニターする、本発明1026の方法。
[本発明1031]
試験サンプルに対して実施された方法から得られた結果を、外部陽性対照および外部陰性対照と比較する段階を含み、かつ該陰性対照または該陽性対照が失敗した場合は、試験サンプルに対して実行された方法から得られた結果は却下される、本発明1020の方法。
[本発明1032]
外部陽性対照が、
a.陽性対照混合物を作製するために複数の陽性対照成分を混合する段階であって、該陽性対照成分が、(i)陽性増幅対照(PAC)プラスミド、および(ii)陽性対照オリゴヌクレオチドカクテルを含み、かつ(iii)試験サンプルを含まない、前記段階;
b.陽性対照混合物を陽性対照のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に供する段階;ならびに
c.PCR中、(i)標的増幅ポリヌクレオチド(TAP)、(ii)核酸抽出対照増幅ポリヌクレオチド(NACP)、および(iii)プラスミド増幅対照ポリヌクレオチド(PACP)の産生をモニターする段階
を含み、PCR中に産生されたTAP、NACP、およびPACPの存在が、PCRが適正に機能していることを表し、かつTAP、NACP、またはPACPのうちのいずれか1つまたは複数の非存在が、陽性対照が失敗していることを表す、本発明1031の方法。
[本発明1033]
PACプラスミドが、(i)パルボウイルス核酸配列、(ii)M13K07核酸配列、および(iii)該プラスミドに一意的な人工核酸配列を含む、本発明1032の方法。
[本発明1034]
(i)パルボウイルス核酸配列がSEQ ID NO:37の配列を含み;(ii)M13K07核酸配列がSEQ ID NO:8の配列を含み;かつ(iii)前記プラスミドに一意的な人工核酸配列がSEQ ID NO:10の配列を含む、本発明1033の方法。
[本発明1035]
PACプラスミドがSEQ ID NO:11の核酸配列を含む、本発明1034の方法。
[本発明1036]
陽性対照オリゴヌクレオチドカクテルが、
SEQ ID NO:1の核酸配列を含む、齧歯類パルボウイルス特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマー;
VICフルオロフォア、MGBNFQクエンチャー、およびSEQ ID NO:2の核酸配列を含む、齧歯類パルボウイルス特異的オリゴヌクレオチド検出プローブ;
FAMフルオロフォア、BHQクエンチャー、およびSEQ ID NO:3の核酸配列を含む、人工オリゴヌクレオチド検出プローブ;
SEQ ID NO:4の核酸配列を含む、齧歯類パルボウイルス特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマー;
SEQ ID NO:5の核酸配列を含む、M13特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマー;
Cy5フルオロフォア、BHQ-2クエンチャー、およびSEQ ID NO:6の核酸配列を含む、M13特異的オリゴヌクレオチド検出プローブ;ならびに
SEQ ID NO:7の核酸配列を含む、M13特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマー
を含む、本発明1033の方法。
[本発明1037]
陽性対照PCRが、
a.陽性対照混合物を95℃で2分間インキュベートする段階;それに続く
b.8回のサイクルの最初のアニーリング温度が70℃であり、アニーリング温度が1サイクル毎に1℃低下し、かつ8回のサイクルの最後のアニーリング温度が62℃であるような、(i)95℃で10秒間の変性、それに続く(ii)30秒間のアニーリング、の8回のサイクル;およびそれに続く
c.(i)95℃で10秒間の変性段階、それに続く(ii)62℃で30秒間のアニーリングの段階を含む、40回のサイクルのDNA増幅
を含む、本発明1036の方法。
[本発明1038]
陽性対照PCRにおけるTAPの産生が、各増幅サイクルで533〜580nmにおける蛍光を測定することによってモニターされ、陽性対照PCRにおけるNACPの産生が、各増幅サイクルで618〜660nmにおける蛍光を測定することによってモニターされ;かつ陽性対照PCRにおけるPACPの産生が、各増幅サイクルで465〜510nmにおける蛍光を測定することによってモニターされる、本発明1036の方法。
[本発明1039]
a.陽性増幅対照(PAC)プラスミド;
b.齧歯類パルボウイルス特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマー;
c.齧歯類パルボウイルス特異的オリゴヌクレオチド検出プローブ;
d.人工オリゴヌクレオチド検出プローブ;
e.齧歯類パルボウイルス特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマー;
f.M13特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマー;
g.M13特異的オリゴヌクレオチド検出プローブ;
h.M13特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマー;および
i.バッファー
を含む、組成物。
[本発明1040]
PACプラスミドが、(i)パルボウイルス核酸配列、(ii)M13K07核酸配列、および(iii)該プラスミドに一意的な人工核酸配列を含む、本発明1039の組成物。
[本発明1041]
パルボウイルス核酸配列がSEQ ID NO:37の配列を含み、M13K07核酸配列がSEQ ID NO:8の配列を含み、かつ前記一意的核酸配列がSEQ ID NO:10の配列を含む、本発明1040の組成物。
[本発明1042]
PACプラスミドがSEQ ID NO:11の核酸配列を含む、本発明1041の組成物。
[本発明1043]
齧歯類パルボウイルス特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマーが、SEQ ID NO:1の核酸配列を含み;
齧歯類パルボウイルス特異的オリゴヌクレオチド検出プローブが、VICフルオロフォア、副溝結合クエンチャー(MGBNFQ)、およびSEQ ID NO:2の核酸配列を含み;
人工オリゴヌクレオチド検出プローブが、VICフルオロフォア、非蛍光性クエンチャーBHQ、およびSEQ ID NO:3の核酸配列を含み;
齧歯類パルボウイルス特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマーが、SEQ ID NO:4の核酸配列を含み;
M13特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマーが、SEQ ID NO:5の核酸配列を含み;
M13特異的オリゴヌクレオチド検出プローブが、Cy5フルオロフォア、BHQ-2クエンチャー、およびSEQ ID NO:6の核酸配列を含み;かつ
M13特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマーが、SEQ ID NO:7の核酸配列を含む、
本発明1042の組成物。
発明の詳細な説明
本発明を記載する前に、本発明は、記載される特定の方法および実験条件に限定されるわけではないことが理解されるべきである。なぜならば、そのような方法および条件は変動し得るためである。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書において用いられる専門用語は、単に特定の態様を記載することを目的とするものであり、限定的であることを意図されるものではないことも理解されるべきである。
別様に定義されていない限り、本明細書において用いられるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において使用する、「約」という用語は、特定の記述された数値に関して用いられる場合、値が、記述された値から多くて1%変動し得ることを意味する。例えば、本明細書において使用する、「約100」という表現は、99および101、ならびにその間にあるすべての値(例えば、99.1、99.2、99.3、99.4など)を含む。
本明細書において記載されるものと同様または同等の任意の方法および材料が、本発明の実践において用いられ得るが、好ましい方法および材料を、以降に記載する。本明細書において言及されるすべての刊行物は、参照によりそれらの全体が組み入れられる。次の詳細な説明の概説から、他の態様が明らかになるであろう。
本明細書において記載される本発明が十分に理解され得るために、以下の詳細な説明を明示する。
本発明は、治療用タンパク質を産生する任意の細胞培養物における任意の生物学的汚染物質を検出するための改善された材料および方法に関する。具体的には、本発明は、偽陽性を除外するために容易に検出される陽性増幅対照の要素またはステップを採用する定量ポリメラーゼ連鎖反応(Q-PCR)の材料および方法に関する。
PCRおよび定量PCR
本明細書において使用する、「ポリメラーゼ連鎖反応」(「PCR」)という語句は、変性(鋳型DNA鎖の分離)、アニーリング(一本鎖鋳型DNA鎖への一本鎖オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション)、およびDNA合成(DNAポリメラーゼが、鋳型DNA鎖を鋳型として用いて、ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドの3'末端からプライムされた新たなDNA鎖の合成を触媒する)の多数回のサイクルを採用することによって、核酸(例えば、DNA)のコピーを作製するための方法を意味する。増幅を起こすために、少なくとも2種類の異なるオリゴヌクレオチドプライマー(略して「プライマー」として知られる)が、PCR反応において用いられる。一般的に順方向プライマーと呼ばれる一方のプライマーは、鋳型DNAのアンチセンス鎖にハイブリダイズし、かつ新たに合成されたセンス鎖の5'末端を形成する。一般的に逆方向プライマーと呼ばれる他方のプライマーは、鋳型DNAのセンス鎖にハイブリダイズし、かつ新たに合成されたアンチセンス鎖の5'末端を形成する。各サイクルにおいて、各鋳型鎖がコピーされて、「アンプリコン」としても知られる新たな二本鎖DNA分子を形成する。ゆえに、非限定的な量のオリゴヌクレオチドプライマー、DNAポリメラーゼ(すなわち、Taqポリメラーゼまたは他の熱安定性DNAポリメラーゼ;Innis et al., DNA sequencing with Thermus aquaticus DNA polymerase and direct sequencing of polymerase chain reaction-amplified DNA, 85(24) Proc Natl Acad Sci U S A. 9436-40 (1988)を参照されたい)、およびヌクレオチド三リン酸を用いて、DNA分子(鋳型およびアンプリコン)の数を、各サイクルにおいて倍増させる。PCRは、米国特許第4,683,202号(1987年7月28日発行)に記載されている。PCR Primer: A Laboratory Manual (Carl W. Dieffenbach & Gabriela S. Dveksler eds., 1995)も参照されたい。
本明細書において使用する、「サイクル」という用語は、(1)「変性」と呼ばれるDNA鎖の融解、それに続く(2)「アニーリング」と呼ばれるプロセスである、塩基対合の法則による、結果として生じた一本鎖DNAへのオリゴヌクレオチドプライマーのハイブリダイゼーション、および(3)「増幅」または「伸長」と呼ばれるプロセスである、オリゴヌクレオチドプライマーの3'末端において開始しかつ5'から3'方向へ向かう新たなDNAの鎖の重合、の1回のラウンドを意味する。一般的に、重合は、塩基対合の法則に従う水素結合によって露出一本鎖鋳型DNAに沿って存在する隣接したデオキシヌクレオチド三リン酸(「dNTP」)間のホスホジエステル結合の形成を触媒するために、TaqポリメラーゼなどのDNAポリメラーゼ酵素を用いる。変性、アニーリング、および増幅は、DNA鋳型およびオリゴヌクレオチドプライマーのGC含量、ならびにコピーされる対象となるDNA鎖の長さに部分的に基づき、ある特定の温度で実施される。変性およびアニーリングの温度、ならびに反応バッファーのイオン強度は、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーおよびDNAコピーの忠実性を制御する。
「定量PCR」または「qPCR」または「Q-PCR」(「リアルタイムPCR」としても知られる)は、PCRサイクルプロセス中にアンプリコン形成のモニタリングを可能にするPCRのタイプである。Q-PCRを用いて、サンプルにおける特定の鋳型DNAの量を定量化することができる。Q-PCRは、順方向オリゴヌクレオチドプライマーおよび逆方向オリゴヌクレオチドプライマーに加えて、反応混合物中に少なくとも1種類のオリゴヌクレオチド検出プローブを組み入れる。検出プローブとは、順方向プライマー結合部位と逆方向プライマー結合部位との間のどこかで標的鋳型DNAのセンスまたはアンチセンス鎖にハイブリダイズする、一本鎖オリゴヌクレオチドである。アニーリング段階中、オリゴヌクレオチド検出プローブは、一本鎖鋳型にアニールする。重合が生じるにつれて、プローブは、DNAポリメラーゼの5'ヌクレアーゼ活性によって切断されかつ分解される。ゆえに、特定の鋳型配列の増幅が生じるにつれて、検出プローブは指数関数的な割合で分解される。
Q-PCRオリゴヌクレオチド検出プローブは、一般的に、結合されたフルオロフォア(レポーター蛍光色素または単に「レポーター」としても知られる)および結合されたクエンチャーを有して構築される。ほとんどの場合、フルオロフォアは、オリゴヌクレオチドの5'末端にまたはその付近に結合され、かつクエンチャーはオリゴヌクレオチドの3'末端にまたはその付近に結合される。しかしながら、任意の実行可能な構成が、本発明の実践において用いられ得る。オリゴヌクレオチド検出プローブが無傷である場合、フルオロフォアおよびクエンチャーは、励起されたフルオロフォアによって放たれた光をクエンチャーが吸収するように近接しており、それによって、検出可能なフルオロフォア発光は大幅に低下する。オリゴヌクレオチド検出プローブが切断されたまたは分解された場合、フルオロフォアおよびクエンチャーは放出されかつ結果的に空間に分離される。クエンチャーは、もはやフルオロフォア発光をクエンチングするほど十分に近くはない。特異的アンプリコンが形成されるにつれて、より多くのオリゴヌクレオチド検出プローブが切断され、より多くのフルオロフォアおよびクエンチャーが放出され、そのためより多くのフルオロフォア/クエンチャーペアが分離されて、蛍光発光の振幅が増加する。言い換えれば、増加するフルオロフォア発光シグナルは、サンプルにおける特定の標的DNAの量と相関する。Q-PCRの概説に関しては、Ian M. Mackay et al., Survey and Summary: Real-Time PCR in Virology, 30(6) Nucleic Acids Research 1292-1305 (2002)を参照されたい。
蛍光クエンチングは、レポーターとクエンチャーとの間の直接的接触(静的クエンチングとしても知られる)によって、またはレポーターおよびクエンチャーが両方とも互いのフェルスター半径内にある場合、レポーターとクエンチャーとの間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)によって生じ得る。特異的フルオロフォアは、1つもしくは複数の特異的な波長の光、または極大値を有するある値域の波長によって励起され得る。これは励起波長と呼ばれる。フルオロフォアが励起された後、それは基底状態に戻り、かつ励起波長よりも長い波長で光を放つ。これは発光波長と呼ばれる。FRETの間、フルオロフォアの発光スペクトルと一致するまたは重複する吸収スペクトルを有する第二のフルオロフォア、色素、ランタニド系列分子などは、フェルスター半径内の励起されたフルオロフォアによって放たれた光を吸収し、それによってフルオロフォア発光の波長はクエンチングされるまたは低下する。レポーターおよびクエンチャーがフルオロフォアの基底状態で三重複合体を形成した場合、接触または静的クエンチングが起こる。この三重複合体は非蛍光性、すなわち本質的に非励起性であり、したがって予想される発光波長で光を放たない。
静的クエンチングおよびFRETについての概説に関しては、Salvatore A. E. Marras et al., Efficiencies of Fluorescence Resonance Energy Transfer and Contact-Mediated Quenching in Oligonucleotide Probes, 30(21) Nucleic Acids Research e122, pp.1-8 (2002)を参照されたい。Marrasらも、Q-PCRの適用における使用のための、レポーター/クエンチャーペアの選択を考察している。
核酸
「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「プローブ」、「プライマー」または「ヌクレオチドプライマー」または「オリゴヌクレオチドプライマー」、「鋳型」または「鋳型核酸」または「鋳型DNA」という用語は、分子生物学の技術分野における当業者にとってのそれらの通常の意味に従って本明細書において用いられる。それぞれについての詳細な説明に関しては、例えばPCR Primer: A Laboratory Manual (Carl W. Dieffenbach & Gabriela S. Dveksler eds., 1995)を参照されたい。
本明細書において使用する、「アンプリコン」とは、PCRによる鋳型核酸配列の増幅により生じたDNA産物を指す。PCRが進みかつ鋳型が増幅されるにつれて、新たに形成されたDNAアンプリコンは、後続ラウンドのDNA合成のための鋳型として働く。
細胞培養
本発明は、細胞培養物における生物学的汚染物質を検出するための改善されたQ-PCR法に向けられている。細胞培養は多くの場合、抗体、捕捉分子、およびFc融合タンパク質など、治療的使用のための複合した生物学的分子を生産するために使用される。これらの培養物は、生物学的汚染物質がない状態のままでなければならない。汚染物質の検出は、特定のバッチが廃棄されるまたは修復に供されるべきかどうかを判定するために重要である。
細胞培養物には、培養培地、および単一細胞株に通常由来する細胞が含まれる。この場合、該細胞株には、生物製剤用(biotherapeutic)タンパク質を産生し得る細胞が含まれる。タンパク質性生物製剤を生産するために日常的に用いられる細胞株の例には、とりわけ初代細胞、BSC細胞、HeLa細胞、HepG2細胞、LLC-MK細胞、CV-1細胞、COS細胞、VERO細胞、MDBK細胞、MDCK細胞、CRFK細胞、RAF細胞、RK細胞、TCMK-1細胞、LLCPK細胞、PK15細胞、LLC-RK細胞、MDOK細胞、BHK細胞、BHK-21細胞、CHO細胞、CHO-K1細胞、NS-1細胞、MRC-5細胞、WI-38細胞、3T3細胞、293細胞、Per.C6細胞、およびニワトリ胚細胞が含まれる。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、またはCHO-K1細胞株などのいくつかの特定のCHO細胞変種のうちの1つもしくは複数は、大規模なタンパク質生産のために最適化される。EESYR(登録商標)細胞株は、関心対象のタンパク質の増強した産生のために最適化された、特殊化したCHO細胞株である。EESYR(登録商標)細胞についての詳細な説明に関しては、米国特許第7,771,997号(2010年8月10日発行)を参照されたい。
「細胞培養」または「培養」は、多細胞の生物または組織の外での細胞の成長および増殖を意味する。哺乳動物細胞のための適切な培養条件は、当技術分野において公知である。例えば、Animal cell culture: A Practical Approach (D. Rickwood, ed., 1992)を参照されたい。哺乳動物細胞は、懸濁してまたは固体基盤に付着させて培養され得る。マイクロキャリアの有無にかかわらず、かつバッチ、フェッドバッチ、連続的、半連続的、または灌流の様式で実施される、流動床バイオリアクター、中空糸バイオリアクター、ローラーボトル、振とうフラスコ、または撹拌タンクバイオリアクターが哺乳動物細胞培養に利用可能である。細胞培養培地または濃縮フィード培地が、培養の間、連続的にまたは間隔をおいて培養物に添加され得る(すなわち、バッチフェッド)。例えば、培養物は、1日に1回、1日おきに、2日おきに栄養供給され得るか、または直接的もしくは間接的にモニターされている特定の培地構成要素の濃度が所望の値域から外れた場合に栄養供給され得る。
CHO細胞またはEESYR(登録商標)細胞などの動物細胞は、約25mlの培地を有する125ml容器、約50〜100mlの培地を有する250ml容器、約100〜200mlの培地を有する500ml容器中など、小規模培養で培養され得る。あるいは、培養は、例えば約300〜1000mlの培地を有する1000ml容器、約500ml〜3000mlの培地を有する3000ml容器、約2000ml〜8000mlの培地を有する8000ml容器、および約4000ml〜15000mlの培地を有する15000ml容器など、大規模であり得る。製造のための培養は、10,000Lの培地またはそれを上回る量を含有し得る。タンパク質性治療用物質の臨床用の製造のためなどの大規模細胞培養は、細胞が所望のタンパク質を産生する間、典型的には数日間または数週間維持される。この期間中に、培養物のサンプルが取り出して、生物学的汚染物質の存在について試験してもよい。
治療用タンパク質の生産
生物学的汚染についてモニターされる細胞培養を用いて、治療上効果的な抗体または他のバイオ医薬品原料など、関心対象のタンパク質または他の生物学的分子を生産してもよい。タンパク質産物(関心対象のタンパク質)は、とりわけ抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、モノクローナル抗体、多特異性抗体、二重特異性抗体、抗原結合抗体フラグメント、一本鎖抗体、ダイアボディ、トリアボディ、またはテトラボディ、FabフラグメントまたはF(ab')2フラグメント、IgA抗体、IgD抗体、IgE抗体、IgM抗体、IgG抗体、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体、またはIgG4抗体であり得る。一態様において、抗体はIgG1抗体である。一態様において、抗体はIgG2抗体である。一態様において、抗体はIgG4抗体である。
関心対象のタンパク質は、Fc部分および別のドメインを含有する組換えタンパク質(例えば、Fc融合タンパク質)であり得る。Fc融合タンパク質は、Fc部分に結合した、受容体の1つまたは複数の細胞外ドメインのうちの1つまたは複数を含有する、受容体Fc融合タンパク質であり得る。ある場合には、Fc部分は、ヒンジ領域、それに続くIgGのCH2およびCH3ドメインを含む。ある場合には、受容体Fc融合タンパク質は、単一リガンドまたは複数のリガンドのいずれかに結合する2つまたはそれを上回る数の個別の受容体鎖を含有する。例えば、Fc融合タンパク質は、例えばIL-1捕捉体(例えばリロナセプト、それは、hIgG1のFcドメインに融合したIl-1R1細胞外領域に融合したIL-1RAcPリガンド結合領域を含有する;米国特許第6,927,004号を参照されたい)、またはVEGF捕捉体(例えばアフリベルセプト、それは、hIgG1のFcドメインに融合したVEGF受容体Flk1のIgドメイン3に融合したVEGF受容体Flt1のIgドメイン2を含有する;米国特許第7,087,411号および第7,279,159号を参照されたい)などの捕捉体である。
本発明は、タンパク質産生のための任意の特定のタイプの細胞または細胞株に限定されるわけではない。タンパク質産生に適した細胞タイプの例には、EESYR(登録商標)のようなCHO由来細胞などの哺乳動物細胞、昆虫細胞、鳥類細胞、細菌細胞、および酵母細胞が含まれる。細胞は、幹細胞、または組換え遺伝子発現のためのベクターで形質転換された組換え細胞、またはウイルス産物を産生するためにウイルスをトランスフェクトされた細胞であり得る。細胞は、関心対象のタンパク質をコードする組換え異種ポリヌクレオチド構築物を含有し得る。この構築物はエピソーム性(染色体外プラスミドまたはフラグメントなど)であり得るか、または細胞のゲノムに物理的に組み込まれ得る。細胞はまた、関心対象のタンパク質を、異種ポリペプチド構築物上にそのタンパク質をコードさせることなく産生し得る。言い換えれば、抗体を産生するB細胞など、細胞は、関心対象のタンパク質を天然にコードし得る。関心対象のタンパク質を発現するように細胞または細胞株を遺伝子改変するための方法およびベクターは、当業者に周知である。例えば、様々な技法が、Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel et al., eds. (Wiley & Sons, New York, 1988, および四半期ごとの改訂);Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (Cold Spring Laboratory Press, 1989);Kaufman, R. J., Large Scale Mammalian Cell Culture, 1990, pp.15-69に解説されている。培養下での成長に適した多種多様な細胞株が、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)(Manassas, Va.)および商業的な供給業者から入手可能である。
細胞はまた、ニワトリ胚細胞などの初代細胞、または初代細胞株であってもよい。有用な細胞の例には、BSC細胞、LLC-MK細胞、CV-1細胞、COS細胞、VERO細胞、MDBK細胞、MDCK細胞、CRFK細胞、RAF細胞、RK細胞、TCMK-1細胞、LLCPK細胞、PK15細胞、LLC-RK細胞、MDOK細胞、BHK-21細胞、ニワトリ胚細胞、NS-1細胞、MRC-5細胞、WI-38細胞、BHK細胞、293細胞、Per.C6細胞、およびCHO細胞が含まれる。様々な態様において、細胞株は、CHO-K1、CHO DUX B-11、CHO DG-44、Veggie-CHO、GS-CHO、S-CHO、CHO lec変異体株、またはEESYR(登録商標)細胞株などのCHO細胞誘導体である。
1つの特定のシナリオにおいて、細胞は、タンパク質を異所的に(異種性に)発現する、EESYR(登録商標)細胞などのCHO細胞誘導体である。そのタンパク質は、CH1、CH2、またはCH3領域などの免疫グロブリン重鎖領域を含む。一態様において、タンパク質は、ヒトまたは齧歯類の免疫グロブリンCH2およびCH3領域を含む。一態様において、タンパク質は、ヒトまたは齧歯類の免疫グロブリンCH1、CH2、およびCH3領域を含む。一態様において、タンパク質は、ヒンジ領域、ならびにCH1、CH2、およびCH3領域を含む。具体的な態様において、タンパク質は、免疫グロブリン重鎖可変ドメインを含む。具体的な態様において、タンパク質は、免疫グロブリン軽鎖可変ドメインを含む。具体的な態様において、タンパク質は、免疫グロブリン重鎖可変ドメインおよび免疫グロブリン軽鎖可変ドメインを含む。具体的な態様において、タンパク質は、ヒト抗体、齧歯類抗体、またはキメラのヒト/齧歯類抗体(例えば、ヒト/マウス、ヒト/ラット、またはヒト ハムスター)などの抗体である。
細胞培養のタンパク質産生フェーズは、個々のフラスコおよび振とうフラスコまたはウェーブバッグから、1リットルのバイオリアクターまでおよび大規模な産業用バイオリアクターまで、任意の規模の培養で行われ得る。大規模プロセスは、約100リットル〜20,000リットルの容量またはそれを上回る容量で行われ得る。温度推移または化学的誘導など、いくつかの手段のうちの1つまたは複数を用いて、タンパク質産生を制御してもよい。細胞の増殖フェーズは、タンパク質が発現されかつ/または分泌される産生段階よりも高い温度で起こり得る。例えば、増殖フェーズは約35℃〜38℃の第一の温度で起こり得、かつ産生フェーズは約29℃〜37℃、任意で約30℃〜36℃または約30℃〜34℃の第二の温度で生じ得る。加えて、カフェイン、ブチレート、タモキシフェン、エストロゲン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、およびヘキサメチレンビスアセトアミド(HMBA)など、タンパク質産生の化学的誘導因子が、温度推移と同時に、前に、または後に添加され得る。誘導因子が温度推移の後に添加される場合、それらは、温度推移の1〜2日間後など、温度推移の1時間〜5日間後に添加され得る。産生細胞培養は、ケモスタットにあるような連続フィード培養システムとして(C. Altamirano et al., Biotechnol Prog. 2001 Nov-Dec; 17(6):1032-41を参照されたい)、またはフェッドバッチ(バッチフェッド)プロセス(Huang, 2010)に従って行われ得る。
治療用タンパク質産物
本明細書において使用する、「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」は、全体を通して互換可能に用いられ、ペプチド結合によって互いにつながれた2個またはそれを上回る数のアミノ酸残基を含む分子を指す。ペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質は、グリコシル化、脂質付着、硫酸化、グルタミン酸残基のγ-カルボキシル化、アルキル化、ヒドロキシル化、およびADPリボシル化などの修飾も含み得る。ペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質は、タンパク質に基づく薬物など、科学的または商業的な関心対象のものであり得る。ペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質には、数ある中でも、抗体およびキメラタンパク質または融合タンパク質が含まれる。ペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質は、細胞培養法を用いて組換え動物細胞株によって産生される。
「抗体」とは、ジスルフィド結合によって相互接続した4本のポリペプチド鎖である、2本の重(H)鎖および2本の軽(L)鎖からなる免疫グロブリン分子を指す。各重鎖は、重鎖可変領域(HCVRまたはVH)および重鎖定常領域を有する。重鎖定常領域は、CH1、CH2、およびCH3という3つのドメインを含有する。各軽鎖は、軽鎖可変領域および軽鎖定常領域を有する。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(CL)からなる。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称されるより保存されている領域が散在した、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性の領域にさらに細分され得る。各VHおよびVLは、以下の順序でアミノ末端からカルボキシ末端に並べられた3つのCDRおよび4つのFRから構成される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。「抗体」という用語には、任意のアイソタイプまたはサブクラスのグリコシル化および非グリコシル化免疫グロブリンの両方への言及が含まれる。「抗体」という用語には、抗体を発現するようにトランスフェクトされた宿主細胞から単離された抗体など、組換え手段によって調製された、発現した、作製された、または単離された抗体分子が含まれる。抗体という用語には、1つを上回る数のエピトープに結合し得るヘテロ四量体免疫グロブリンを含む、二重特異性抗体も含まれる。二重特異性抗体は、概して米国特許出願公報第2010/0331527号に記載されており、それは参照により本明細書に組み入れられる。
抗体の「抗原結合部分」(または「抗体フラグメント」)という用語は、抗原に特異的に結合し得る能力を保持する、抗体の1つまたは複数のフラグメントを指す。抗体の「抗原結合部分」という用語の中に包含される結合フラグメントの例には、(i)VL、VH、CL、およびCH1ドメインからなる一価のフラグメントである、Fabフラグメント;(ii)ヒンジ領域におけるジスルフィド架橋によって連結された2つのFabフラグメントを含む二価のフラグメントである、F(ab')2フラグメント;(iii)VHおよびCH1ドメインからなる、Fdフラグメント;(iv)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなる、Fvフラグメント;(v)VHドメインからなる、dAbフラグメント(Ward et al. (1989) Nature 241:544-546);(vi)単離されたCDR;ならびに(vii)合成リンカーによってつながれて単一タンパク質鎖を形成し、そこではVLおよびVH領域が対合して一価の分子を形成する、VLおよびVHというFvフラグメントの2つのドメインからなる、scFvが含まれる。ダイアボディなど、一本鎖抗体の他の形態も、「抗体」という用語の下に包含される(例えば、Holliger et al. (1993) PNAS USA 90:6444-6448;Poljak et al. (1994) Structure 2:1121-1123を参照されたい)。
抗体またはその抗原結合部分は、抗体または抗体部分と1つまたは複数の他のタンパク質またはペプチドとの共有結合性または非共有結合性の結合によって形成される、より大きな免疫接着分子の一部であり得る。そのような免疫接着分子の例には、四量体scFv分子を作製するためのストレプトアビジンコア領域の使用(Kipriyanov et al. (1995) Human Antibodies and Hybridomas 6:93-101)、ならびに二価性でかつビオチン化されたscFv分子を作製するための、システイン残基、マーカーペプチド、およびC末ポリヒスチジンタグの使用(Kipriyanov et al. (1994) Mol. Immunol. 31:1047-1058)が含まれる。FabおよびF(ab')2フラグメントなどの抗体部分は、抗体全体のパパインまたはペプシン消化などによる従来的技法を用いて、抗体全体から調製され得る。さらに、抗体、抗体部分、および免疫接着分子は、標準的組換えDNA技法を用いて入手され得る(Sambrook et al., 1989を参照されたい)。
「ヒト抗体」という用語は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する抗体を含むことを意図される。本発明のヒト抗体は、例えばCDR、とくにCDR3に、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダムなもしくは部位特異的な突然変異誘発によって、またはインビボでの体細胞変異によって導入された変異)を含み得る。しかしながら、「ヒト抗体」という用語は、本明細書において使用するとき、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖細胞系列に由来するCDR配列が、ヒトフレームワーク配列に移植されている抗体を含まない。
本明細書において使用する、「組換えヒト抗体」という用語は、宿主細胞内にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを用いて発現した抗体など、組換え手段によって調製された、発現した、作製された、もしくは単離されたすべてのヒト抗体、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体、ヒト免疫グロブリン遺伝子に関してトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離された抗体(例えば、Taylor et al. (1992) Nucl. Acids Res. 20:6287-6295を参照されたい)、または他のDNA配列へのヒト免疫グロブリン遺伝子配列のスプライシングを伴う他の任意の手段によって調製された、発現した、作製された、もしくは単離された抗体を含むことが意図される。そのような組換えヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する。しかしながら、ある特定の態様において、そのような組換えヒト抗体は、インビトロ突然変異誘発(または、ヒトIg配列に関してトランスジェニックの動物が用いられる場合、インビボ染色体突然変異誘発)に供され、ゆえに組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系列VHおよびVL配列に由来しかつ関連するものの、インビボでのヒト抗体生殖細胞系列レパートリー内には天然に存在しない可能性がある配列である。
「Fc融合タンパク質」は、そのうちの1つが免疫グロブリン分子のFc部分であり、融合タンパク質ではなく天然では一緒に見出される事はない、2種またはそれを上回る種類のタンパク質の一部またはすべてを含む。抗体由来ポリペプチドの様々な部分(Fcドメインを含む)に融合したある特定の異種ポリペプチドを含む融合タンパク質の調製は、例えばAshkenazi et al., Proc. Natl. Acad. ScL USA 88:10535, 1991;Byrn et al., Nature 344:677, 1990;およびHollenbaugh et al.,「Construction of Immunoglobulin Fusion Proteins」, Current Protocols in Immunology, Suppl. 4, pp.10.19.1-10.19.11, 1992によって記載されている。「受容体Fc融合タンパク質」は、Fc部分に結合した受容体の1つまたは複数の細胞外ドメインを含み、これは、一部の態様において、ヒンジ領域、それに続く免疫グロブリンのCH2およびCH3ドメインを含む。一部の態様において、Fc融合タンパク質は、1つまたは複数のリガンドに結合する2つまたはそれを上回る数の個別の受容体鎖を含有する。例えば、Fc融合タンパク質は、例えばIL-1捕捉体(例えばリロナセプト、それは、hIgG1のFcに融合したIL-1R1細胞外領域に融合したIL-1RAcPリガンド結合領域を含有する;米国特許第6,927,004号を参照されたい)、またはVEGF捕捉体(例えばアフリベルセプト、それは、hIgG1のFcに融合したVEGF受容体Flk1のIgドメイン3に融合したVEGF受容体Flt1のIgドメイン2を含有する;米国特許第7,087,411号および第7,279,159号を参照されたい)などの捕捉体である。
生物学的汚染物質
本明細書において使用する、「生物学的汚染物質」という用語は、不要な、望ましくない、有害な、または潜在的に有害な任意の生物学的実体を意味する。それらの実体には、とりわけプリオン(ウシ/伝達性海綿状脳症の病因学的原因)、ビリオン、ウイルス、マイコプラズマ、他の細菌、汚染後生動物細胞、DNA、RNA、トランスポゾン、他の転位性要素、酵母、他の真菌、藻類、原生生物、ならびに他の外来性および内因性の作用物質が含まれる。齧歯類細胞(CHO細胞およびCHO細胞の誘導体のような)を用いる生物製剤生産プロセスに対して特に懸念されるものは、細胞または培地または製造用原材料に伴う外来性ウイルスである。細胞培養バルク処理材料および結果として生じた薬物産物の汚染は、患者への直接的リスクならびに医薬の供給を妨げる間接的リスクをもたらす。
CHO細胞培養物に感染し得る外来性および/または内因性の作用物質の非包括的なリストには、カシェ渓谷ウイルス、インフルエンザA/Bウイルス、パラインフルエンザ1/2/3、シミアンウイルス5、ムンプスウイルス、ウシ呼吸器合胞体ウイルス、および水疱性口内炎ウイルスなどの、一本鎖(−)RNAウイルス;ウシコロナウイルス、ベシウイルス2117、脳心筋炎ウイルス、コクサッキーウイルスB-3、セムリキ森林ウイルス、およびシンドビスウイルスなどの、一本鎖(+)RNAウイルス;ブルータングウイルス、流行性出血性疾患ウイルス、およびレオウイルス1/2/3などの、二本鎖RNAウイルス;ブタサーコウイルス1、およびマウス微小ウイルス(マウスの微小ウイルスとしても知られる)を含むとくに問題のあるパルボウイルスなどの、一本鎖DNAウイルス;ならびにアデノウイルスおよび仮性狂犬病ウイルスなどの、二本鎖DNAウイルスが含まれる。これらの潜在的外来性作用物質の中でも、4種類のウイルスが、様々なメーカーにわたってCHO細胞培養物からのバルク収穫サンプルで優位を占めている。それらのウイルスは、レオウイルス2型、カシェ渓谷ウイルス、流行性疾患出血性ウイルス、および齧歯類パルボウイルスマウス微小ウイルスである。CHO細胞培養物の外来性ウイルス汚染についての詳細な概説に関しては、Andreas Berting et al., Virus Susceptibility of Chinese Hamster Ovary (CHO) Cells and Detection of Viral Contaminations by Adventitious Agent Testing, 106(4) Biotechnology and Bioengineering 598-607 (2010)、およびAndrew Kerr & Raymond Nims, Adventitious Viruses Detected in Biopharmaceutical Bulk Harvest Samples over a 10 Year Period, 64(5) PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology 481-485 (2010)を参照されたい。
外来性作用物質試験は、大まかに2つのカテゴリーに分類される。その第一は、インビトロのウイルスアッセイを用いた古典的ウイルス学手法である。ここでは、試験サンプルを指標細胞株に適用し、該細胞をインキュベートしかつ14〜28日間継代し、次いで細胞変性効果または赤血球凝集反応などの評価項目を測定する(Berting, 2010)。第二は、PCRに基づくアッセイであり、これは、外来性または内因性の作用物質に関連した核酸の存在をリアルタイムで測定する。例えば、Zhan et al., Detection of Minute Virus of Mice Using Real Time Quantitative PCR in Assessment of Virus Clearance during the Purification of Mammalian Cell Substrate Derived Biotherapeutics, 30(4) Biologicals 259-270 (2002)を参照されたい。
マウス微小ウイルス(別名、MMV、マウスの微小ウイルス、またはMVM)は、生物製剤製造に関する特殊な問題をもたらす。アメリカ食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁の両方は、MVMについて特に試験することを要求する。このウイルスは、パルボウイルス科(パルボウイルス)のメンバーであり、そしてマウスにおいてよく見られる。これは、尿および糞便中に***され、丈夫であり、かつ環境中に存在し続ける。これは、生物製剤製造プロセスに容易に持ち込まれ得る。Moody et al., Mouse Minute Virus (MMV) Contamination - A Case Study: Detection, Root Cause Determination, and Corrective Actions, 65(6) PDA Journal of Pharmaceutical Science and Technology 580-288 (2011)を参照されたい。他の齧歯類パルボウイルスは、細胞培養に基づくバイオ医薬品生産にマイナスの影響を及ぼし得る。プロトタイプMVM系統に加えて、それらの齧歯類パルボウイルスには、とりわけMVM免疫抑制系統およびCutter系統、マウスパルボウイルス1a(MPV-1a)、MPV-1b、MPV-1c、ハムスターパルボウイルス、Toolanのパルボウイルス(パルボウイルスH-1)、Kilhamラットウイルス、ラットパルボウイルス1a、ラット微小ウイルス、ならびにラットウイルスLのUmass系統が含まれる。S.F. Cotmore & P. Tattersal, The Autonomously Replicating Parvoviruses of Vertebrates, 33 Advances in Virus Research 91-174 (1987)、およびJacoby et al., Rodent Parvovirus Infections, 46(4) Lab Anim Sci. 370-80 (1996)を参照されたい。
これらのパルボウイルスは、ウイルスゲノムの増幅に関与する大きな非構造タンパク質をコードするNS-1(NS1)と呼ばれる保存された核酸配列を共有する。MVM由来の保存されたNS1ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:9に描写されている。その配列の875〜956位のヌクレオチドは、多彩な齧歯類パルボウイルスNS1配列にわたって少なくとも97%保存されており、したがってPCRに基づく外来性および内因性の作用物質試験のための良好な標的配列として働く。齧歯類パルボウイルス(ならびに、他の外来性および内因性の作用物質)についてのPCRに基づく試験は、生物製剤用分子のバルク処理精製に沿った様々な時点で、ならびに製剤化およびパッケージングの段階で、原材料、事前収穫された培養培地に対して実施され得る。汚染物質の検出により、汚染材料の処分、原材料の置き換え、および施設の汚染除去などの修復ステップが必要となり得る。
製造中に是正措置および予防措置(CAPA)を可能にする、外来性作用物質、内因性作用物質、および他の生物学的汚染物質についての試験に加えて、特殊な製造およびバルク処理ステップ(すなわち、単位操作)を採用して、ウイルス汚染物質を除外、低下、または不活性化させてもよい。化学的不活性化、ウイルス保持性濾過、およびクロマトグラフィーは、収穫されたまたは部分的に精製された細胞培養液中のヘルペスウイルス、レトロウイルス、およびパルボウイルスを低下させるのに効果的であることが示されている。最も高頻度に用いられる化学的不活性化ステップは低pH処理であり、これは、ウイルスエンベロープタンパク質の変性に起因すると一部の当業者が考えている処理である。プロテインA、ヒドロキシアパタイト、陽イオン交換、および陰イオン交換のクロマトグラフィーステップはすべて、ウイルスをある程度除去することが示されている。例えば、Miesegaes et al., Analysis of Viral Clearance Unit Operations for Monoclonal Antibodies, 106(2) Biotechnology and Bioengineering 238-246 (2010)、およびLiu et al., Recovery and Purification Process Development for Monoclonal Antibody production, 2(5) mAbs 480-499 (2010)を参照されたい。
Q-PCR試験:陽性および陰性対照
生物学的汚染物質についての試験は、精度、信頼性、および信憑性を保証するように適正に管理されるべきである。本明細書において用いられるように、「陰性対照」は、ほとんどまたはすべての実験試薬および条件を含むが、試験サンプルは含まない。試験サンプルは、関心対象の生物学的汚染物質を含有しないことが知られるバッファーまたは疑似培養培地で置き換えられ得る。さらに本明細書において用いられるように、「陰性対照」は、生物学的汚染物質に関して陰性の結果をもたらすはずである。陰性対照が陽性の生物学的汚染物質結果をもたらした場合、熟練した技術者または科学者は、並行した試験サンプルからの陽性結果は、該試験サンプルが生物学的汚染物質を含有するかどうかを正確に反映しない可能性があると推測することができる。
本明細書において用いられる、1つまたは複数の「陽性対照」は、実験条件が、生物学的汚染物質を検出するよう適切に機能するかどうかを評価するために使用される。陽性対照を実験プロセスに沿って任意のステップで用いて、各ステップが機能していることを保証する、およびどのステップでプロセスが破綻するのかを判定することができる。
一部の態様において、任意の生物学的汚染物質核酸の意図された抽出が、生物学的汚染物質を検出するのに十分効率的であったかどうかを評価するために、陽性対照を核酸抽出ステップで使用する。そのような陽性対照は、「核酸抽出対照」または「NEC」と呼ばれる。ある場合には、NECは、タンパク質-核酸構造の観点から標的生物学的汚染物質を模倣するように選択される。NECが、検出されるのに十分な様式で抽出された場合、技術者は、標的生物学的核酸も、検出されるのに十分な様式で抽出されたと推測し得る。一態様において、NECは、パルボウイルスと全く異なるわけではない一本鎖DNAファージである。
具体的な態様において、NECはM13バクテリオファージであり、これは約6407個のヌクレオチドの環状一本鎖DNAから構成される。より具体的な態様において、NECはM13K07系統であり、それは、クローニングおよび他の実験室目的のために用いられる一般的に利用可能な分子生物学試薬である。van Wezenbeek et al., Nucleotide Sequence of the Filamentous Bacteriophage M13 DNA Genome: Comparison with Phage fd, 11(1-2) Gene 129-148 (1980)を参照されたい。M13K07ファージのヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:8に描写されている。M13バクテリオファージまたはM13K07バクテリオファージ系統が、具体的態様においてNECとして用いられ得るものの、本発明は、その特定の試薬をNECとして用いることに決して限定されるわけではない。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の実践において別の試薬をNECとして代用し得る(例えば、逆転写酵素PCRアッセイのためのMS2ファージ;Kothapalli et al., Problems associated with product enhancement reverse transcriptase assay using bacteriophage MS2 RNA as a template, 109(2) J. Virol. Methods 203-207 (2003)を参照されたい)。
本発明の一部の態様において、PCR試薬(プライマーを含む)およびPCRステップが、生物学的汚染物質鋳型核酸を検出するのに十分である/十分であったかどうかを評価するために、陽性対照をPCR増幅ステップで使用する。そのような陽性対照は、「プラスミド増幅対照」または「PAC」と呼ばれる。ある場合には、PACは、標的生物学的汚染物質核酸配列と一致し、かつ試験サンプルの順方向および逆方向のオリゴヌクレオチドプライマーと精確に一致するように選択されるまたは設計される。具体的な態様において、PACは、標的生物学的汚染物質核酸には見出されない「一意的配列」をさらに含有する。より具体的な態様において、一意的配列は、天然には見出されない。「一意的」核酸ポリマーは、この一意的配列に特異的にアニールして、PCR中に一意的配列のアンプリコンコピーに取り込まれるように設計される。「一意的」核酸ポリマーは、対象アッセイの実施において採用されるハイブリダイゼーション条件下で、天然に存在するいかなるパルボウイルスも認識せずアニールもしないように設計される。一態様において、「一意的」核酸ポリマーは17〜20個のヌクレオチドを含み、ここで、連続した7〜10個以下の内部ヌクレオチドおよび連続した6個以下の3'ヌクレオチドは任意のパルボウイルス配列と同一である。一態様において、「一意的」ヌクレオチドポリマーは17〜20個のヌクレオチドを含み、ここで、連続した7〜10個以下のヌクレオチドおよび連続した6個以下の3'ヌクレオチドは、SEQ ID NO:9および12〜37に明示される任意のパルボウイルス配列と同一である。
この一意的配列は、熟練した技術者が、真正な標的生物学的汚染物質配列と、PACプラスミドによる試験Q-PCR反応の交差汚染とを区別する事を可能にする。
一態様において、PCR増幅を管理するために、PAC(プラスミドとして、別名PACプラスミド)を、同一であるが別個のQ-PCR反応に含める。実際の標的生物学的汚染物質核酸の増幅を正確に反映するために、PAC反応は、試験サンプルのQ-PCR反応において用いられるものと厳密に同一であるオリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブを使用する。試験サンプルのQ-PCR反応およびPACプラスミドの別個のQ-PCR反応は、標的検出プローブおよび一意的配列プローブを含む。PAC反応は、適正に機能している場合、陽性の標的シグナルおよび陽性の一意的配列シグナルをもたらすことが予想される。PACプラスミド含有反応において陽性の標的シグナルおよび陽性の一意的配列シグナルを得ることは、標的生物学的汚染物質核酸が存在する場合はいつも、試験サンプルQ-PCRの試薬および条件が、試験サンプルにおいて陽性の標的シグナルを産生するように適切に働いていることを示す。
したがって、PACは、適正なPCR増幅の対照としての役割を果たす。陰性の標的シグナルが試験サンプルにおいて得られるが、PACが陽性の標的シグナルを示す場合、熟練した技術者は、検出可能な標的汚染物質DNAが試験サンプルに存在しないと推測することができる。逆に、陽性の標的配列シグナルおよび陽性の一意的配列シグナルが試験サンプルにおいて得られる場合は、技術者は、PACプラスミドにより試験サンプルが交差汚染されており、したがって陽性の標的配列シグナルは偽陽性であり得ると推測することができる。
いくつかの態様の詳細な説明
一部の態様において、ポリメラーゼ連鎖反応、より具体的にはQ-PCRの使用によって生物学的汚染物質を検出するための、改善された陽性対照系(すなわち、組成物および方法)が提供される。
一局面において、本発明は、陽性増殖対照プラスミド(PACプラスミド)を検出する一意的配列プローブ(USP)を提供する。USPは、一意的人工プラスミド特異的配列(unique artificial plasmid-specific sequence)(別名、一意的配列またはPACP一意的配列またはUAPS)にハイブリダイズすることが可能な人工ヌクレオチド配列と、フルオロフォアと、クエンチャーとを含有する。具体的な態様において、UAPSにハイブリダイズする事が可能な人工ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:3の核酸配列
Figure 0006894026
を含み、これは、UAPSセンス鎖配列(例えば、すなわち
Figure 0006894026
)に対してアンチセンスである。
上記で記載されるように、Q-PCR検出プローブは、フルオロフォアおよびクエンチャーを含有する。クエンチングは、フルオロフォア/クエンチャーペアに応じて、接触クエンチングによるまたはFRETによるものであり得る。この場合、フルオロフォアおよびクエンチャーは、USPオリゴヌクレオチドに共有結合で結合している。一態様において、フルオロフォアは、495nm〜680nmの励起波長および515nm〜710nmの発光波長を有する。一部の態様において、フルオロフォアは、それぞれ、495nm、538nm、または646nmの励起波長、および520nm、554nm、または669nmの発光波長を有する。一部の態様において、クエンチャーは、430nm〜672nmの吸収ピークを有する色素である。有用なクエンチャーの例には、DDQ(登録商標)-I、Dabcyl、Eclipse(登録商標)、Iowa Black FQ(登録商標)、BHQ(登録商標)-1、QSY(登録商標)-7、BHQ(登録商標)-2、DDQ(登録商標)-II、Iowa Black RQ(登録商標)、QSY(登録商標)-21、およびDHQ(登録商標)-3が含まれる。具体的な態様において、フルオロフォアは、約495nmでの吸収極大および約520nmでの発光極大を有するフルオレセインアミダイト(FAM;米国特許第5,583,236号(1996年12月10日発行)に記載されている)であり、かつクエンチャーは、480nm〜580nmで吸収するBlack Hole Quencher(登録商標)-1(BHQ(登録商標)-1、Biosearch Technologies, Inc., Petaluma, CA)である。BHQ(登録商標)-1は、FRETおよび接触クエンチングによりクエンチングする。常にではないが一般的に、クエンチャーは、オリゴヌクレオチドの3'ヒドロキシル基にエーテル結合を介して結合され、かつフルオロフォアは、オリゴヌクレオチドの5'リン酸基にエステル結合を介して結合される。
別の局面において、本発明は、細胞培養物、原材料、部分的に精製されたおよび精製された生物学的分子などにおける生物学的汚染物質の検出に有用な、複数種類のオリゴヌクレオチドおよびプローブを含むQ-PCR試薬の混合物を提供する。一態様において、生物学的汚染物質は、DNAウイルス、より具体的にはパルボウイルス、さらにより具体的にはMVMなどの齧歯類パルボウイルスである。パルボウイルスは、表1に列挙された任意の配列と少なくとも88%同一である核酸配列を有するNS1遺伝子を含有する。別の態様において、パルボウイルスは、SEQ ID NO:9に明示される配列(すなわち、マウス微小ウイルス(MVM)NS1遺伝子)と少なくとも97%同一である核酸配列を有するNS1遺伝子を含有する。さらに別の態様において、パルボウイルスは、SEQ ID NO:37のコンセンサス配列を含むNS1遺伝子を含有する。
(表1)パルボウイルスNS1配列
Figure 0006894026
具体的な態様において、混合物は、(1)齧歯類パルボウイルス特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマー;(2)齧歯類パルボウイルス特異的オリゴヌクレオチド検出プローブ;(3)USPなどの人工オリゴヌクレオチド検出プローブ;および(4)齧歯類パルボウイルス特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマーを含有する。そのような混合物は、試験サンプルおよび陽性対照サンプルの両方において用いられ得る。より具体的な態様において、オリゴヌクレオチドプライマーおよびパルボウイルス特異的オリゴヌクレオチド検出プローブは、例えばSEQ ID NO:9に明示されるNS1配列などのNS1配列にハイブリダイズする。より具体的な態様において、(1)順方向プライマーはSEQ ID NO:1の配列を含み;(2)パルボウイルス特異的オリゴヌクレオチド検出プローブはSEQ ID NO:2の配列を含み;(3)人工プローブはUSPでありかつSEQ ID NO:3の配列を含み;そして(4)逆方向プライマーはSEQ ID NO:4の配列を含む。
上記で記載されるように、USPはフルオロフォアおよびクエンチャーを含有し、そのためこの配列、すなわちPAC DNAを含有するアンプリコンは、Q-PCRが進むにつれてリアルタイムで検出され得る。同様の様式で、パルボウイルス特異的検出プローブは、共有結合で結合したフルオロフォアおよびクエンチャーを有するオリゴヌクレオチドを含有する。実際のところ、真のパルボウイルス陽性シグナルと、PACプラスミドまたは他のPACP(例えば、PACP汚染アンプリコン)による試験サンプルの汚染が原因の偽陽性とを識別するために、パルボウイルス検出プローブのフルオロフォア発光波長は、USPの発光波長とは異なるべきである。ゆえに、USPフルオロフォアがFAMである態様において、パルボウイルス検出プローブオリゴヌクレオチドに結合したフルオロフォアは、約520nm以外の発光波長を有するべきである。具体的な態様において、齧歯類パルボウイルス特異的オリゴヌクレオチド検出プローブに結合したフルオロフォアは、538nmに吸収極大および約554nmに発光極大を有するVIC(登録商標)色素(Life Technologies, Inc., Carlsbad, CA)である。ここでは、クエンチャーは、FRETクエンチャーまたは接触クエンチャーであり得る。一態様において、クエンチャーは、副溝結合非蛍光性クエンチャー(MGBNFQ)である(Sylvain et al., Rapid Screening for HLA-B27 by a TaqMan-PCR Assay Using Sequence-Specific Primers and a Minor Groove Binder Probe, a Novel Type of TaqMan(商標)Probe, 287(1-2) Journal of Immunological Methods 179-186 (2004)を参照されたい)。
上記で記載されるプライマーおよびプローブの混合物を、陽性増幅対照構築物と真正なパルボウイルス汚染物質とを試験および区別するために使用する。一部の態様において、プライマーの混合物は、核酸抽出対照(NEC)を検出するプライマーおよびプローブのセットも含む。特定の態様において、NECはM13バクテリオファージ、例えばM13K07系統(SEQ ID NO:8)である。ゆえに、一部の態様において、パルボウイルスのプライマーおよびプローブならびにUPSプローブに加えて、プライマーおよびプローブの混合物は、(5)M13特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマー;(6)M13特異的オリゴヌクレオチド検出プローブ;および(7)M13特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマーを含有する。
一部の態様において、M13プライマーおよびプローブは、SEQ ID NO:8の配列にハイブリダイズする。具体的な態様において、M13特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマーはSEQ ID NO:5の核酸配列を含み;M13特異的オリゴヌクレオチド検出プローブはSEQ ID NO:6の核酸配列を含み;かつM13特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマーはSEQ ID NO:7の核酸配列を含む。パルボウイルスプローブおよびUSPに対して重複しないフルオロフォア発光スペクトルの場合に見られるように、NECプローブは、重複しないスペクトルで光を放つフルオロフォアを含有する。具体的な態様において、M13特異的オリゴヌクレオチド検出プローブに結合したフルオロフォアは、約650nmでの吸収極大および約670nmでの発光極大を有するシアニン色素のCy5である(Southwick et al., Cyanine Dye Labeling Reagents: Carboxymethylindocyanine Succinimidyl Esters, 11 Cytometry, 418-430 (1990)を参照されたい)。この場合、クエンチャーは、FRETまたは接触クエンチングにより機能し得る。一態様において、クエンチャーは、吸収が約579nmで最大でありかつ約550nm〜約650nmの範囲でクエンチングするBlack Hole Quencher(登録商標)-2(BHQ(登録商標)-2、Biosearch Technologies, Inc., Petaluma, CA)である。
別の局面において、本発明は、生物学的分子の生産プロセスにおける生物学的汚染物質を検出する方法を提供する。生物学的汚染物質は、より具体的にはパルボウイルスを含み、さらに具体的には齧歯類パルボウイルスを含み、最も具体的にはMVM NS1遺伝子と少なくとも97%の同一性を共有するパルボウイルスを含む。一部の態様において、NS1遺伝子は、SEQ ID NO:9の配列を含む。一態様において、生物学的分子生産プロセスは、抗体、捕捉分子、または他の治療用抗体を製造するための哺乳動物細胞培養プロセスである。試験サンプルは、細胞培養物(またはバルク成分)から採取されて、核酸について抽出される。ある場合には、Q-PCRの前に、核酸の適正な抽出の対照として働くM13(例えば、SEQ ID NO:8)などのNECを試験サンプルに加える。方法は、(1)(a)試験サンプルから抽出された核酸サンプル、(b)オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブ(上記で記載される)、ならびに(c)DNAポリメラーゼ、好ましくはTaqポリメラーゼなど、5'エクソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性DNAポリメラーゼ、を混合する段階;(2)その組み合わせをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に供する段階;ならびに(3)蛍光発光の大きさにより様々なアンプリコンの産生をモニターする段階、を含む。
特異的アンプリコンの形成は、試験サンプルにおける様々な鋳型核酸の存在および量と相関している。特異的アンプリコンには、(1)例えば齧歯類パルボウイルス配列(例えば、NS1配列を含有する生物学的汚染物質)など、標的増幅ポリヌクレオチド(TAP)、(2)例えばM13(例えば、M13K07)ポリヌクレオチド(NECP)などの、核酸抽出対照(NEC)、および(3)一意的人工プラスミド特異的配列(UAPS)などの、プラスミド増幅対照ポリヌクレオチド(PACP)が含まれる。TAPおよびNECPが産生され、かつPACPが産生されない場合、試験サンプルは生物学的汚染物質を含有し、かつ交差汚染の陽性増幅対照プラスミドを含有しないと結論付けされ得る。しかしながら、TAPおよびPACP(すなわち、UAP)の両方が試験サンプルQ-PCR反応において産生される場合は、試験サンプルは、PACプラスミドで交差汚染されており、かつTAP結果は偽陽性であり得ると結論付けされ得る。
プライマーおよびプローブが、(1)SEQ ID NO:1の配列を含む、齧歯類パルボウイルス特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマー、(2)SEQ ID NO:2の配列、VICフルオロフォア、およびMGBNFQクエンチャーを含む、齧歯類パルボウイルス特異的オリゴヌクレオチド検出プローブ、(3)SEQ ID NO:3の配列を含みかつ6-FAMおよびBHQ(登録商標)-1で標識されたUSPなどの、人工オリゴヌクレオチド検出プローブ、(4)SEQ ID NO:4の配列を含む、齧歯類パルボウイルス特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマー、(5)SEQ ID NO:5の配列を含む、M13特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマー、(6)SEQ ID NO:6の配列を含みかつCy5およびBHQ(登録商標)-2で標識された、M13特異的オリゴヌクレオチド検出プローブ、ならびに(7)SEQ ID NO:7の配列を含む、M13特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマーを含む、具体的な態様において、TAPの産生は約533nm〜約580nmでモニターされ、PACPの産生は約465nm〜約510nmでモニターされ、かつNECPの産生は約618nm〜約660nmでモニターされる。
一態様において、試験サンプルは、培養物収穫時の96〜72時間前に、産生CHO細胞培養物、例えば関心対象のタンパク質をコードする核酸で形質転換されたEESYR(登録商標)細胞の産生培養物から採取される。TAPおよびNECPは試験サンプルにおいて検出されるが、PACPは試験サンプルにおいて検出されない場合、収穫時の48時間前に同じ産生細胞培養物から入手された第二の試験サンプルに対して、確認試験が実施され得る。TAPおよびNECPは第二の試験サンプルにおいて再度検出されるが、PACPは試験サンプルにおいて検出されない場合、細胞培養物は汚染されていると見なされて、さらに処理される事は無いであろう。あるいは、第二の試験は実施されないが、細胞培養物は汚染されていると見なされて、培養物はさらに処理される事は無いであろう。
一態様において、核酸は、産生細胞培養物から採取された試験サンプルから抽出される。この場合、1ミリリットルの試験サンプルを細胞溶解、タンパク質分解、および熱変性に供し、それに続いてサンプルと核酸抽出対照(NEC)サンプルとを混合し、次いで該サンプルから核酸を抽出する。一態様において、核酸は、QIAsymphony(登録商標)機器(Qiagen, Inc., Valencia, CA)などの自動核酸抽出システムを用いて、試験サンプル(またはNEC追加試験サンプル)から抽出される(Lee et al., Comparative evaluation of the QIAGEN QIAsymphony(登録商標)SP system and bioMerieux NucliSens easyMAG automated extraction platforms in a clinical virology laboratory, 52(4) J. Clin. Virol. 339-43 (2011)を参照されたい)。
一態様において、PCRを実施する前にウラシル-N-グリコシラーゼ(UNG)酵素をQ-PCR反応混合物に添加して、汚染しているアンプリコンを選択的に分解する(Taggart et al., Use of heat labile UNG in an RT-PCR assay for enterovirus detection, 105(1) J. Virol. Methods. 57-65 (2002)を参照されたい)。反応混合物を、50℃で少なくとも2分間、より具体的にはある場合には2分間または5分間インキュベートする。
具体的な態様において、任意のUNG処理の後、反応混合物を95℃で2分間インキュベートし、その後に、最初のアニーリング温度が70℃であり、次いで、8番目のアニーリングが62℃であるようにアニーリング温度が1サイクル毎に1℃低下するような、(1)95℃で10秒間の変性、それに続く(2)30秒間のアニーリングおよび伸長、の8回のサイクルが続く。初回の8回のサイクルの後、(1)95℃で10秒間の変性段階、それに続く(2)62℃で30秒間のアニーリングおよび伸長段階を含む、40回のサイクルのDNA増幅を実施する。特定の態様において、変性温度からアニーリング温度への温度変化の割合は、1秒間あたり約4.4℃であり、かつアニーリング温度から変性温度へは、1秒間あたり約2.2℃である。
一部の態様において、産生細胞培養培地またはその産物における生物学的汚染物質を検出する方法は、試験サンプルアッセイとは別個に行われる外部陽性増幅対照(PAC)アッセイを実施する段階、ならびに試験サンプルアッセイおよびPACアッセイとは別個に行われる外部陰性対照アッセイを実施する段階を含む。陰性対照または陽性対照のいずれかが失敗した場合には、試験サンプルアッセイから得られた結果は却下される。
一態様において、外部陽性対照は、(1)とりわけかつ試験サンプルなしで、(a)具体的な態様においてSEQ ID NO:11の配列を含む、陽性増幅対照(PAC)プラスミド、(b)SEQ ID NO:1の配列を含む、齧歯類パルボウイルス特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマー、(c)VICおよびMGBNFQで標識された、SEQ ID NO:2の配列を含む齧歯類パルボウイルス特異的オリゴヌクレオチド検出プローブ、(d)6-FAMおよびBHQ(登録商標)-1で標識された、SEQ ID NO:3の配列を含むUSPなどの、人工オリゴヌクレオチド検出プローブ、(e)SEQ ID NO:4の配列を含む、齧歯類パルボウイルス特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマー、ならびに(f)DNAポリメラーゼ、好ましくはTaqポリメラーゼなど、5'エクソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性DNAポリメラーゼ、を混合する段階;(2)陽性対照混合物を陽性対照のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に供する段階;ならびに(3)PCR中、(a)標的増幅ポリヌクレオチド(TAP)、(b)核酸抽出対照増幅ポリヌクレオチド(NECP)、および(c)プラスミド増幅対照ポリヌクレオチド(PACP)の産生をモニターする段階、を含む。TAPの産生は約533nm〜約580nmでモニターされ、PACPの産生は約465nm〜約510nmでモニターされ、かつNECPの産生は約618nm〜約660nmでモニターされる。
陽性増幅対照のPCR反応は、試験サンプルのPCR反応(上記で記載される)と同一に行われる。TAPおよびPACPが陽性対照の反応において産生される場合、PCR増幅手順は適正に機能していると結論付けされ得る。TAPが陽性増幅対照の反応において産生されない場合は、試験サンプルにおけるいかなる陰性TAPも、失敗したPCR反応として無視されるであろう。一態様において、NEC(すなわち、例えばM13K07)が、陽性増幅対照に含められる。適正に機能する対照は、陽性NECPシグナルも示すはずである(表1を参照されたい)。
一態様において、外部陰性対照は、(1)とりわけかつ試験サンプルなしでかつPACプラスミドなしで、(a)試験サンプルバッファー系を模倣するバッファー、または単に水であり得るブランク、(b)SEQ ID NO:1の配列を含む、齧歯類パルボウイルス特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマー、(c)VICおよびMGBNFQで標識された、SEQ ID NO:2の配列を含む齧歯類パルボウイルス特異的オリゴヌクレオチド検出プローブ、(d)6-FAMおよびBHQ(登録商標)-1で標識された、SEQ ID NO:3の配列を含むUSPなどの、人工オリゴヌクレオチド検出プローブ、(e)SEQ ID NO:4の配列を含む、齧歯類パルボウイルス特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマー、ならびに(f)DNAポリメラーゼ、好ましくはTaqポリメラーゼなど、5'エクソヌクレアーゼ活性を有する熱安定性DNAポリメラーゼ、を混合する段階;(2)陽性対照混合物を陽性対照のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に供する段階;ならびに(3)PCR中、(a)標的増幅ポリヌクレオチド(TAP)、(b)核酸抽出対照増幅ポリヌクレオチド(NECP)、および(c)プラスミド増幅対照ポリヌクレオチド(PACP)の産生をモニターする段階、を含む。TAPの産生は約533nm〜約580nmでモニターされ、かつPACPの産生は約465nm〜約510nmでモニターされる。
陰性対照のPCR反応は、試験サンプルのPCR反応(上記で記載される)と同一に行われる。TAPおよびPACPが陰性対照の反応において産生される場合、PCR試薬がPACプラスミドで汚染されていると結論付けされ得る。TAPは陰性対照の反応において産生されるが、PACPは産生されない場合には、PCR試薬がパルボウイルスで汚染されていると結論付けされ得る。両方の場合において、試験サンプル結果は廃棄される。しかしながら、TAPおよびPACPの産生は陰性対照反応において陰性であり、TAPおよびPACPの産生は陽性増幅対照においては陽性であり、かつ試験サンプルの反応においてTAP(および任意でNECP)産生は陽性でありかつPACP産生は陰性である場合は、技術者は、試験サンプルが汚染されていると結論付けし得る(表2および表3を参照されたい)。
他の局面において、本発明は、陽性増幅対照プラスミド(PACプラスミド)、および該陽性対照プラスミドを含む陽性対照試薬の混合物を提供する。一態様において、PACプラスミドは、(1)パルボウイルス核酸配列、(2)M13K07核酸配列、および(3)該プラスミドに一意的な人工核酸配列(別名、UAPSまたは「一意的」配列)、を含む。具体的な態様において、パルボウイルス核酸配列は、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、およびSEQ ID NO:4の配列を含み;M13K07核酸配列は、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、およびSEQ ID NO:7の配列を含み;かつ一意的配列はSEQ ID NO:3のアンチセンス配列を含む。より具体的な態様において、PACプラスミドのヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:11に明示される配列からなる。
一部の態様において、陽性対照試薬の混合物は、とりわけ上記で記載されるPACプラスミド、齧歯類パルボウイルス特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマー、齧歯類パルボウイルス特異的オリゴヌクレオチド検出プローブ、人工オリゴヌクレオチド検出プローブ(すなわち、USP)、齧歯類パルボウイルス特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマー、M13特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマー、M13特異的オリゴヌクレオチド検出プローブ、およびM13特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマー、ならびにバッファーを含む。混合物は、任意でdNTPおよびTaqポリメラーゼを含有する。
(表2)アッセイ対照および試験セッション状況
Figure 0006894026
(表3)試験セッション状況
Figure 0006894026
具体的な態様において、齧歯類パルボウイルス特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマーはSEQ ID NO:1の核酸配列を含み、齧歯類パルボウイルス特異的オリゴヌクレオチド検出プローブは、VICフルオロフォア、副溝結合クエンチャー(MGBNFQ)、およびSEQ ID NO:2の核酸配列を含み、USPは、VICフルオロフォア、非蛍光性クエンチャーBHQ、およびSEQ ID NO:3の核酸配列を含み、齧歯類パルボウイルス特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマーはSEQ ID NO:4の核酸配列を含み、M13特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマーはSEQ ID NO:5の核酸配列を含み、M13特異的オリゴヌクレオチド検出プローブは、Cy5フルオロフォア、BHQ-2クエンチャー、およびSEQ ID NO:6の核酸配列を含み、かつM13特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマーはSEQ ID NO:7の核酸配列を含む。
実施例1:オリゴヌクレオチドおよび核酸試薬
齧歯類パルボウイルス、M13K07、および人工一意的オリゴヌクレオチド(オリゴ)を、表4に記載されている様々な供給業者から、様々な規模で、かつ様々な形式で入手した。すべてのオリゴに、供給業者から受け取り次第、3年間の使用期限を付与した。
オリゴヌクレオチドを100μMの濃度に水で再構成して、マスターストックを作製した。qPCR反応を準備する前に、マスターストックをさらに希釈して、10×ストック溶液を作製した。表5は、qPCRオリゴヌクレオチド(プライマーおよびプローブ)の10×および1×の濃度を示している。
(表4)パルボウイルス、M13、および一意的人工配列のプライマーおよびプローブ
Figure 0006894026
(表5)オリゴヌクレオチド濃度
Figure 0006894026
実施例2:陽性増幅対照プラスミド
パルボ-M13陽性増幅対照(PAC)プラスミドを、pUC57-Kanプラスミド(GeneWiz, Inc., South Plainfield, NJ)で調製した。このPACプラスミドは、SEQ ID NO:11に明示される配列からなる。パルボウイルス-M13 PACプラスミドは、以下の式:[数=(量*数/モル)/(bp*ng/g*bpのg/モル)];式中、量=ng、数/モル=6.022×1023、bp=4372、ng/g=1×109、およびbpのg/モル=650を用いて算出された、2.1×108コピー/ngを含有する。プラスミドの濃度を算出し、かつng/μLとして表現し、かつ102コピー/μLの10×濃度まで段階的に希釈した。102コピー/μL希釈から、50μLのアリコートを調製し、かつ2mLの滅菌スクリューキャップチューブに保管した。すべてのアリコートを≦-60℃で保管した。
実施例3:M13K07ファージの調製
K13K07ファージの10倍段階希釈を、MEMを希釈剤として用いて実施して、100pfu/μLの力価のM13K07を得た。200μLのアリコートを調製し、かつ≦-60℃で保管し、かつ3年間の使用期限を付与した。
実施例4:Q-PCR反応試薬の調製
齧歯類パルボウイルスリアルタイムPCR検出アッセイは、QIAsymphony(登録商標)(Qiagen)を用いた自動DNA精製、それに続く核酸増幅、およびLightCycler(登録商標)480機器(Roche Diagnostic)でのリアルタイムPCR産物検出からなる、完全に自動化されたTaqMan(登録商標)PCRプロセスである。各被験物質に内部対照(IC)としてファージM13K07を自動的に加え、PCR阻害因子の存在について評価した。齧歯類パルボウイルスプライマーオリゴヌクレオチドを、齧歯類パルボウイルスゲノムの高度に保存された領域(NS-1領域)内でハイブリダイズするように設計して、広域な検出を確保した。アッセイを二重(すなわち、2つの標的)形式で行い、そして齧歯類パルボウイルスおよびM13K07のプライマーは、それぞれおよそ110および97bpのPCR産物を生成した。PCR産物を、齧歯類パルボウイルスに対してVICフルオロフォアおよびM13K07ファージに対してCy5フルオロフォアである異なるレポーター色素で標識された2種類のプローブの切断により、リアルタイムで検出した。陽性増幅対照(PAC)プラスミドを、100コピー/uLの濃度で用いた。このプラスミドは、フルオロフォアFAMで標識された特異的プローブを用いて該プラスミドと野生型パルボウイルスとを識別する、一意的(Flag)配列(USP)を含有する。
マスターミックスを、対照を含む被験物質の数の少なくとも3倍に対して十分な量で、表6に従って2mLチューブにまとめた。チューブを2〜8℃で保管した。50uLの水を2mLチューブに添加することによって、陰性増幅対照(NAC)バイアルを調製した。
(表6)反応混合物
Figure 0006894026
実施例5:試験サンプルの調製
すべてのサンプルは、外来性作用物質を含有するまたはそれで汚染されている可能性を有するため、すべてのサンプルの前処理ステップに対して無菌の実践を厳守した。以下のステップを、清潔なバイオセーフティーキャビネット内で実施した。被験物質(サンプル)を、抗体または捕捉分子を産生するEESYR(登録商標)細胞培養物から入手し、かつ凍結させたまたは直接用いた。
陰性抽出対照(NEC)として働くように、1000μLのPBSをおよそ2mLチューブに分割した。細胞培養ステップに対する評価項目としてPCRを用いる場合、細胞培養の陽性および陰性の対照を、それぞれ陽性抽出対照および陰性抽出対照として用いた。
各被験物質を室温で解凍した。60mLバッグ中のそれらのサンプルを50mLファルコンチューブに移し、次いで分割した。1000μLの各サンプルを、前処理のために2mLチューブにピペットで取った。400μLの溶解バッファー(Charge Switch(登録商標)Lysis Buffer L13)(Invitrogen、カタログ番号CS11202または同等品、Carlsbad, CA)を各チューブに添加し、かつ少なくとも10秒間ボルテックスした。次いで、20μLのプロテイナーゼK(1mM酢酸カルシウムとともに10mM Tris-HCl、pH 7.5を含有する40%グリセロール(v/v)中、≧10mg/mL、≧800ユニット/mL;SAFC、カタログ番号P4850-5ML、Sigma Aldrich, St. Louis, MO)を各サンプルに添加し、かつ少なくとも10秒間ボルテックスした。次いで、サンプルを65℃で30分間インキュベートした。インキュベーション後、サンプルをボルテックスし、かつ17,000×gで10分間遠心分離した。
同時に、陽性増幅対照(PAC;2mLチューブ中、最低50uLの102コピー/μLプラスミド)およびM13K07(102PFU/mL)内部対照(IC;最低150μL/12サンプル)を解凍した。
実施例6:核酸抽出
QIASymphony(登録商標)機器(Qiagen, Valencia, CA)でのプログラム化された抽出プロトコールには内部対照(IC)が要された。該機器は、120μLの再構成されたICを各サンプルに自動的に添加した。12サンプルごとに、1.8mLのIC(すなわち、1バイアル)が機器によって要された。1650μLのAVEバッファー(0.04%のアジ化ナトリウムを含有するRNase不含の水)を150μLのM13K07 ICに添加することによって、ICのバイアルを調製した。
各調製サンプルを、バイオセーフティーキャビネット(BSC)内で機器のサンプルキャリアに乗せた。12サンプルあたり1バイアルのICという比率で、ICのバイアルを、BSC内で別個の(専用の)サンプルキャリアに乗せた。すべての引き出しを閉じ、かつメーカー推奨プロトコール(QIAsymphony DNA Handbook, 09/2010を参照されたい、http://www.algimed.by/download/EN-QIAsymphony-DNA-Handbool.pdfで入手可能)に従って機器を作動させた。
試薬プレップカートリッジを、抽出を実施するために要されるすべての試薬を含有するQIAsymphony(登録商標)DSP Virus/Pathogen試薬キットで調製した(QIAsymphony(登録商標)DSP Virus/Pathogen Kit Instructions for Use Use (Handbook, April 2013, https://www.qiagen.com/us/resources/download.aspx?id=f8bc0b3c-0aff-46ee-8807-5ed145f9e969&lang=enで入手可能)を参照のこと)。試薬プレップカートリッジは、プロテイナーゼKを含有しかつ約2週間の貯蔵寿命を有した。
Q-PCRとの統合を容易にするために、核酸抽出を96ウェル形式の反応プレートで実施した。自動核酸抽出手順が完了しかつステータスチェックを通過した後、反応プレートを冷却しかつLightCycler(登録商標)480 Sealing Foil(Roche, Branchburg, NJ)で密閉した。96ウェルプレートを、適切な釣合い重り(例えば、別の96ウェルプレート)でバランスを取ったプレートスピナーに置き、かつ30〜60秒間スピンした。ウェルを気泡についてチェックし、かつ必要に応じてスピンを繰り返した。
実施例7:Q-PCR
TaqMan Triplexおよび/またはVeriquest Triplexという2つのプログラムのいずれか一方を用いて、LightCycler(登録商標)480機器(Roche, Branchburg, NJ)でQ-PCRを実施した。TaqMan Triplexプロトコールは、参照色素(ROX)を含まないTaqMan Fast Advance Custom Master Mixを用いた。3つの蛍光チャンネル(FAM、VIC、およびCY5)を選択し、およびUNGステップの時間は2分間であった。用いられた反応パラメーターは、表7に要約されている。
同様にROXを含まないVeriQuest(登録商標)Master Mixを用いる場合、5分間のUNGステップ時間を用いた。用いられた反応パラメーターは、表8に要約されている。
(表7)齧歯類パルボウイルスPCRのTaqMan Triplexプログラムのステップ
Figure 0006894026
M13内部対照、齧歯類パルボウイルス、および陽性増幅対照プラスミドのそれぞれに対するクロッシングポイント(Cp)蛍光シグナルを、2つのアルゴリズムの一方または両方によって判定した。第一のアルゴリズムは、自動二次微分法である。この方法は、ユーザーによる入力を要せず、かつ一般的により大きな一貫性をもたらし、したがって好ましい方法であると見なされた。第二のアルゴリズムは、フィットポイント(Fit Point)法である。この方法は、分散したバックグラウンドの場合、ユーザーに閾値ラインを設定させる。対数線形曲線がその閾値ラインを超えるポイントが、クロッシングポイントになる。以下のフィルター組み合わせを用いて、蛍光シグナルをモニターした:齧歯類パルボウイルス(部分集合「サンプル-パルボ」)に対して533〜580nm(VICシグナル);内部対照M13K07(部分集合「サンプル-M13」)に対して618〜660nm(Cy5シグナル);および陽性増幅対照プラスミド(部分集合「サンプル-FAM」)に対して465〜510nm(FAMシグナル)。不明瞭な蛍光シグナルの場合、フィットポイント解析を用いて、蛍光バックグラウンドレベルを判定した。許容されるバックグラウンド蛍光シグナルは、増幅プロット尺度で≦1ユニットであると見なされた。≦1ユニットの任意の蛍光シグナルは、許容されるバックグラウンド内にあり、ゆえに陰性であると見なされた。
(表8)齧歯類パルボウイルスPCRのVeriQuest Triplexプログラムのステップ
Figure 0006894026
実施例8:有効な試験セッションのための条件
試験セッションが有効であると見なされるためには、以下の条件が満たされなければならない。陰性増幅対照(NAC、すなわち水)は、3つすべてのチャンネルにおける蛍光シグナルに対して陰性でなければならない。陰性抽出対照(NEC、すなわちPBS)または細胞培養陰性対照フラスコは、[533〜580]チャンネルにおける蛍光シグナル(すなわち、齧歯類パルボウイルスプローブVICシグナル)に対して陰性であり、[465〜510]チャンネルにおける蛍光シグナル(すなわち、陽性増幅対照[PAC]アンチセンスFlagプローブ-FAMシグナル)に対して陰性であり、かつ[618〜660]チャンネルにおける蛍光シグナル(すなわち、M13K07プローブ-CY5シグナル)に対して陽性でなければならない。PACは、3つすべてのチャンネルにおける蛍光シグナルに対して陽性であるはずである。NECにおけるM13K07のCp値を、サンプルにおける阻害性物質の存在を評価するための参照として用いた。
齧歯類パルボウイルス陽性対照とともに、細胞培養ステップ由来の被験物質に対する評価項目としてPCRを用いる場合、陽性ウイルス対照は、[533〜580]チャンネルにおける蛍光シグナル(すなわち、齧歯類パルボウイルスプローブVICシグナル)に対して陽性であり、[618〜660]チャンネルにおける蛍光シグナル(すなわち、M13K07プローブ-CY5シグナル)に対して陽性であり、かつ[465〜510]チャンネルにおける蛍光シグナル(すなわち、PACアンチセンスFlagプローブ-FAMシグナル)に対して陰性でなければならない。細胞培養陽性対照サンプルにおけるM13K07のCp値は、NEC-M13のCp値の±4サイクルの範囲内にあると予想された。
すべてのPACプラスミド含有対照の反応に関して、蛍光シグナルは、3つすべてのチャンネルにおいて陽性でなければならない。
実施例9:無効な試験セッションのための条件
以下の条件のうちのいずれか1つまたは複数が満たされた場合、アッセイは無効であると見なされた:(1)PACに対して非常に低い増幅曲線(蛍光尺度で<1ユニット)、(2)系統誤差(determinant error)(機械、ソフトウェア、または人間の誤差)が確認された、(3)NACが、3つのチャンネルのいずれかにおける増幅に対して陽性であった、(4)NECが、[533〜580]VICチャンネルにおける増幅に対して陽性であるか、[465〜510]FAMチャンネルにおける増幅に対して陽性であるか、または[618〜660]Cy5チャンネルにおける増幅に対して陰性であった、および(5)PACが、3つのチャンネルのいずれかにおける増幅シグナルに対して陰性であった。アッセイが無効であると判定された場合はいつも、試験サンプルの調査および再試験が実施された。
実施例10:有効な試験における陰性のサンプル結果のための条件
有効な陰性パルボウイルス試験結果のためには、以下の条件のすべてが満たされなければならない。サンプルは、NEC-M13 Cp±4サイクルの予想Cp値範囲内で、M13[618〜660]チャンネルにおけるM13K07 DNA増幅シグナルに対して陽性でなければならず、これは、PCR阻害因子がないことを示唆する。サンプルは、パルボウイルス[533〜580]チャンネルにおけるパルボウイルスDNA増幅シグナルに対して陰性でなければならない。Cp値が許容される蛍光バックグラウンドレベル内にあると見なされるかどうかにかかわらず、蛍光尺度で1ユニットを下回る蛍光シグナルは、パルボウイルスDNA増幅に対して陰性であるとして報告された。サンプルは、アンチセンスFlag[465〜510]チャンネルにおけるPAC増幅シグナルに対して陰性でなければならない。Cp値(機器によって自動的にもたらされる)が許容される蛍光バックグラウンドレベル内にあると見なされるかどうかにかかわらず、蛍光尺度で1ユニットを下回る蛍光シグナルは、PACプラスミドDNA増幅に対して陰性として報告されたことに留意されたい。
実施例11:有効な試験セッションにおける「サンプルなし」結果のための条件
「サンプルなし」結果は、以下の条件のうちのいずれか1つまたは複数が満たされた場合に生じた。サンプルが、Cy5チャンネル[618〜660]におけるM13K07 DNA増幅シグナルに対して陰性であり、パルボウイルスチャンネル[533〜580]におけるパルボウイルスDNA増幅シグナルに対して陰性であり、かつアンチセンスFlag FAMチャンネル[465〜510]におけるPAC増幅に対して陰性であった場合はいつも、サンプルまたはPCR試薬を、標準的実施手順に従って調査した。この条件は、PCR阻害因子の存在または適正な核酸抽出の失敗を示唆する。阻害を克服するために、サンプルは希釈され得る(1:2、1:5、1:10)。範囲(NEC M13 Cp±4サイクル)外にある、M13チャンネル[618 660]における蛍光シグナルのCp値は、PCRの部分的阻害またはファージ追加のエラーを示し、反復試験を必要とした。サンプルの希釈(1:2、1:5、1:10)は、PCRの任意の阻害を克服すると考えられ得る。サンプル適性の決定的な評価を許さない、M13チャンネル[618〜660]において観察された、系統誤差の何らかの証拠または予想外の非常に低い蛍光シグナル(蛍光尺度で<1ユニット)は、「サンプルなし結果」であると見なされ、かつ増幅またはDNA抽出の間の失敗を示唆した。これは、反復試験を必要とした。
実施例12:有効な試験セッションにおける初回規格外(iOOS)サンプル結果のための条件
サンプルは、それが(i)(2つの二つ組ウェルの少なくとも一方に関して)蛍光尺度で1ユニットを上回る蛍光シグナルで、パルボウイルスチャンネル[533〜580]におけるパルボウイルスDNA増幅シグナル(すなわち、齧歯類パルボウイルスプローブVICシグナル)に対して陽性であり、かつ(ii)アンチセンスFlag FAMチャンネル[465〜510]におけるPAC増幅に対して陰性(PACによる交差汚染がないことを示す)であった場合、iOOSであると見なされた。結果として、技術者は、(i)GLIF(一般的な実験室調査の形態)を開始し、(ii)試験のためにサンプルをQC(ウイルス学)に出したことを部門に通知し、(iii)NOEを開始し、(iv)さらなる調査(例えば、Flag配列スクリーニングまたはシーケンシング)のために増幅チューブを保管し(-20℃で凍結)、そして(v)アッセイを反復しかつサンプルを再試験しなければならない。
実施例13:反復および再試験の計画
アッセイが無効であるまたはサンプル結果が「結果なし」と見なされた場合はいつも、反復試験が開始された。再試験は、iOOS事象(すなわち、最初のサンプル結果が、パルボウイルスチャンネル[533〜580]におけるDNA増幅シグナルに対して陽性であった)の確認のために実施された。再試験または反復試験は、新鮮な試薬アリコート(すなわち、マスターミックス試薬、抽出キット)を用いて実行されなければならない。
NACが、任意のチャンネルにおける蛍光に対して陽性であった場合、新鮮に作製されたマスターミックスによる、すでに精製されたDNAサンプルを用いた増幅(PCR)ステップから始まる試験セッション全体が反復された。NECが、M13チャンネル[618〜660]における蛍光に対して陰性であった場合、DNA抽出ステップから始まる試験セッション全体が反復された。NECが、パルボウイルスチャンネル[533〜580]またはアンチセンスFlagチャンネル[465〜510]における蛍光に対して陽性であった場合、DNA抽出ステップから始まる試験セッション全体が反復された。PACが、任意のチャンネルにおける蛍光に対して陰性であった場合、新鮮に作製されたマスターミックスによる、同じ精製DNAサンプルを用いた増幅(PCRステップ)から試験セッションが反復された。
「サンプルなし」結果を有するサンプルに関しては、DNA抽出ステップから始まる試験セッションが、影響を受けたサンプルに対して反復された。阻害因子の存在を実証するために、調査および問題解決のプロセスの一部として、DNA抽出の前にサンプルが希釈され得る(1:2、1:5、または1:10)(非希釈サンプルに加えて)。
初回陽性結果(iOOS)を確認する再試験を、以下の4つの別個のアリコートを用いて実施した:元のサンプル採取事象(例えば、最後の栄養供給の1日後)由来の被験物質の2つのアリコート、および異なるサンプル採取事象(可能な場合、例えば最後の栄養供給の2日後)または異なるサンプルバッグ由来の被験物質の2つのアリコート。4つのアリコートについての付加的試験のいずれかが、明瞭誤差(determinate error)(調査により実証される)の証拠なしで陽性シグナルをもたらした場合、ロットは、齧歯類パルボウイルスゲノム物質の非存在についての要件に失敗したものとして見なされた。そのような陽性Q-PCR結果に対する最終的処遇には、感染性アッセイが必要とされた。検出された核酸の感染状態を判定するために、CHO-K1細胞を指標細胞株として用いる。
再試験結果が陰性である場合はいつも、齧歯類パルボウイルスゲノム物質の非存在を確認するために、異なるサンプル採取事象(例えば、最後の栄養供給の3日後)の時点で確認試験が必要とされる。
実施例14:iOOSを有する他のサンプルタイプに対する再試験計画
初回陽性結果(iOOS)を有した、例えば未処理のバルク材料、製造終了時の細胞(end-of-production cell)、インビトロ寿命の限界にある細胞、および大豆原料を含めた他のサンプルタイプを、4つの別個のアリコートを用いて以下のように再試験した。
元のサンプル容器(すなわち、例えばバッグ)由来の被験物質の2つのアリコート、および異なるサンプル容器由来の2つのアリコートを、標準的実施手順に従って再試験した。CHO-K1指標細胞に、元のサンプル容器由来の被験物質の1つのサンプルアリコートを接種した。接種された指標細胞CHO-K1を、標準的実施手順に従って培養下で1〜3日後に収穫して、検出された核酸の感染状態を判定した。再抽出された核酸の定量化のための標準曲線が用いられ得る。
4つのアリコートについての付加的PCR試験のいずれかが、明瞭誤差(調査により実証される)の証拠なしで陽性であった場合はいつも、感染性アッセイが被験物質の最終的処遇を決定する。初回OOSの確認次第、微生物を同定しかついかなる実験室誤差も排除するために、核酸のシーケンシングおよび透過電子顕微鏡(TEM)が検討され得る。
検出された核酸の感染状態を判定するために、疑わしい汚染材料に対する、CHO-K1を指標細胞として用いる感染性アッセイが必要とされる。調査がパルボウイルスによるウイルス汚染の可能性を裏付けることに失敗し、かつ被験物質の4つのアリコートについての付加的PCR試験およびCHOK1培養がすべて陰性である場合はいつも、ロットは、感染性齧歯類パルボウイルスのウイルスの非存在の要件を満たすものとして見なされた。
実施例15:組換えタンパク質産生中のパルボウイルス試験
細胞培養液、すなわち異種抗体の重鎖および軽鎖構築物を含有するCHO細胞誘導体を含有する生産バイオリアクター由来の未処理のバルク材料、についての試験に対する重要な工程内管理として、上記で記載されるQ-PCR手順を実施した。各異種モノクローナル抗体(mAb)は、異なる標的またはエピトープに結合する。大規模なバイオプロセス生産施設において、QC(ウイルス学)の科学者によって適正製造基準(Good manufacturing process)(GMP)試験が実施された。それらの試験のうちの16個が表9に列挙されている。それぞれの場合において、試験セッションは有効であり、アッセイシステム適性基準は満たされており、かつ偽陽性検出は観察されなかった。#13および#14の試験セッションにおいて、偽陰性検出が生じ、それはPCR阻害因子の存在または核酸抽出の失敗を示唆した。
(表9)齧歯類パルボウイルスPCR試験
Figure 0006894026
UPB=未処理のバルク材料;EA=早期アラート;齧歯類パルボPCR=上記で記載されるQ-PCR手順

Claims (10)

  1. a.(i)一意的人工プラスミド特異的配列(UAPS)、標的増幅ポリヌクレオチド(TAP)配列、および核酸抽出対照(NEC)ヌクレオチド配列を含む陽性増幅対照(PAC)プラスミドのサンプル、
    (ii)一意的検出プローブ(UDP)、
    (iii)TAP順方向オリゴヌクレオチドプライマー、
    (iv)TAP逆方向オリゴヌクレオチドプライマー、
    (v)TAP検出プローブ、および
    (vi)DNAポリメラーゼ、
    を混合する段階;
    b.(i)試験サンプル、
    (ii)UDP、
    (iii)TAP順方向オリゴヌクレオチドプライマー、
    (iv)TAP逆方向オリゴヌクレオチドプライマー、
    (v)TAP検出プローブ、および
    (vi)DNAポリメラーゼ、
    を混合する段階;
    c.段階aの混合サンプルおよび段階bの混合サンプルを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に供する段階;
    d.該PCRを、該PACプラスミド中のTAP配列または生物学的汚染物質中のTAP配列へのTAP検出プローブの結合によりもたらされるTAPシグナルの産生、および該PACプラスミド中のUAPSへのUDPの結合によりもたらされるUDPシグナルの産生についてリアルタイムでモニターする段階;および
    e.該試験サンプル中の生物学的汚染物質の存在または非存在を検出する段階、
    を含み、
    (i)該試験サンプルについて、TAPシグナルが観察されず、該PACプラスミドサンプルについてTAPシグナルが観察される場合は、該試験サンプルが生物学的汚染物質を含んでおらず、
    (ii)該試験サンプルについて、TAPシグナルおよびUDPシグナルが観察される場合は、該試験サンプルが該PACプラスミドサンプルの一部により交差汚染されており、または
    (iii)該試験サンプルについて、TAPシグナルが観察され、UDPシグナルが観察されない場合は、該TAPシグナルはPACプラスミド由来の交差汚染によるものではなく、該試験サンプルが生物学的汚染物質を有している、
    生物学的汚染物質の存在または非存在を検出する方法。
  2. 該UDPが、少なくとも一つのフルオロフォアおよび少なくとも一つのクエンチャーをさらに含む、請求項1記載の方法。
  3. 該フルオロフォアが、495nm〜680nmの範囲内の励起波長、および515nm〜710nmの範囲内の発光波長を有するフルオロフォアの群より選択される、請求項2記載の方法。
  4. 該TAP検出プローブが、少なくとも一つのフルオロフォアおよび少なくとも一つのクエンチャーをさらに含む、請求項1乃至3のいずれか一項記載の方法。
  5. 該TAPシグナルが、約533〜約580nmでモニターされる、請求項4記載の方法。
  6. 反応容器からのオリゴヌクレオチド抽出を検出する段階をさらに含む、請求項1乃至5のいずれか一項記載の方法であって、
    段階aおよびbが、
    (vii)NEC特異的順方向オリゴヌクレオチドプライマー、
    (viii)NEC特異的逆方向オリゴヌクレオチドプライマー、および
    (ix)NEC特異的オリゴヌクレオチド検出プローブ、
    を混合する段階であって、該NEC特異的オリゴヌクレオチド検出プローブは、該PACプラスミドサンプルまたは該試験サンプル中のNEC配列に結合する、
    段階をさらに含み、;
    段階dが、該PCRを、該PACプラスミドサンプルまたは該試験サンプル中のNECヌクレオチド配列への該NEC特異的オリゴヌクレオチド検出プローブの結合によりもたらされるNECシグナルの産生についてリアルタイムでモニターすることをさらに含み、および
    f.反応容器からのオリゴヌクレオチド抽出を検出する段階、
    をさらに含み、
    (i)該試験サンプルおよび該PACプラスミドサンプルについて、NECシグナルが観察され、該試験サンプルについてUDPシグナルが観察されない場合は、該NECシグナルは、反応容器からのオリゴヌクレオチド抽出を示し、または、
    (ii)該試験サンプルについて、NECシグナルおよびUDPシグナルが観察される場合は、該試験サンプルが該PACプラスミドサンプルの一部により交差汚染されている、
    方法。
  7. 該NECヌクレオチド配列が、M13バクテリオファージヌクレオチド配列である、請求項6記載の方法。
  8. 該NEC特異的オリゴヌクレオチド検出プローブが、シアニン色素を含む、請求項6または7記載の方法。
  9. 該シアニン色素が、約650nmでの吸収極大および約670nmでの発光極大を有するシアニン色素のCy5である、請求項8記載の方法。
  10. PCR試薬中の、生物学的汚染物質またはPACプラスミドサンプルの一部の存在または非存在を検出する段階をさらに含む、請求項1乃至9のいずれか一項記載の方法であって、
    g.(i)バッファーサンプル、
    (ii)UDP、
    (iii)TAP順方向オリゴヌクレオチドプライマー、
    (iv)TAP逆方向オリゴヌクレオチドプライマー、
    (v)TAP検出プローブ、および
    (vi)DNAポリメラーゼ、
    を混合する段階;
    h.該混合バッファーサンプル、をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に供する段階;
    i.該PCRを、該PACプラスミドまたは生物学的汚染物質中のTAP配列へのTAP検出プローブの結合によりもたらされるTAPシグナルの産生、および該PACプラスミド中のUAPSへのUDPの結合によりもたらされるUDPシグナルの産生についてリアルタイムでモニターする段階;および
    j.PCR試薬中の、生物学的汚染物質またはPACプラスミドサンプルの一部の存在または非存在を検出する段階、
    をさらに含み、
    (i)該バッファーサンプルに、TAPシグナルも、UDPシグナルも観察されない場合は、該PCR試薬が、生物学的汚染物質または該PACプラスミドで汚染されておらず、
    (ii)該バッファーサンプルに、TAPシグナルおよびUDPシグナルが観察される場合は、該PCR試薬が、該PACプラスミドの一部で汚染されており、または
    (iii)該バッファーサンプルに、TAPシグナルが観察され、UDPシグナルが観察されない場合は、該PCR試薬が、生物学的汚染物質で汚染されている、
    方法。
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