JP6891511B2 - 真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品 - Google Patents

真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品 Download PDF

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Description

本発明は、高温環境下または常温にて長期間断熱性能を維持することができる真空断熱材を形成可能な真空断熱材用外包材に関するものである。
近年、地球温暖化防止のため温室効果ガスの削減が推進されており、電気製品や車両、設備機器ならびに建物等の省エネルギー化が求められている。中でも、消費電力量の低減の観点から、電気製品、車両、建築、貯蔵庫等の物品への真空断熱材の採用が進められている。これらの物品に真空断熱材を備えることで、物品全体としての断熱性能を向上させることが可能となり、エネルギー削減効果が期待される。
真空断熱材は、一般に、対向させた2枚の外包材の周縁を熱で溶着させて袋体とし、その中に発泡樹脂や繊維材等の芯材を入れ、脱気して内部を真空状態とし、袋体の開口を封止して密閉することで形成されている。真空断熱材はその内部が高真空状態にあることから、内部での空気の対流による熱移動が遮断されるため、高い断熱性能を発揮することができる。
高温に曝される場所にも使用することができる真空断熱材の外包材用のガスバリア性複合フィルムとして、特許文献1には、ガスバリア層、および、ポリプロピレンフィルム層を含有し、揮発ガス量が少ないガスバリア性複合フィルムが開示されている。特許文献1においては、真空断熱材が含有する揮発ガス量(揮発成分量)を低いレベルに制御することによって、断熱性能を向上させることが開示されている。
特許第5335149号公報
真空断熱材内部を真空状態とし、気体の対流を遮断することにより、高い断熱性能を発揮させる真空断熱材において、長期間断熱性能を維持するためには、長期間にわたり高い真空度を維持することが必要となる。製造時に真空断熱材内部を高真空にしても、真空断熱材用外包材を構成する部材に揮発ガスが含まれている場合は、時間の経過と共に真空断熱材内部の真空度は低下する。特に、バリア層の内側に配置される熱溶着層については、熱溶着層から揮発したガスは真空断熱材の内部に留まることになるため、真空断熱材の真空度の経時的な変化への影響は大きくなる。したがって、高温環境下において、また、常温において長期間にわたり、より高い断熱性能を維持することができる真空断熱材を得るために、真空断熱材用外包材、特にバリア層の内側に配置される層からの揮発ガス量をさらに抑制することが求められている。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高温環境下または常温にて長期間断熱性能を維持することができる真空断熱材を形成可能な真空断熱材用外包材を提供することを主目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく研究を重ねた結果、ポリプロピレンフィルムの中でも、ホモポリマーを含有する無延伸ポリプロピレン(以下、「CPP」とする場合がある。)は、他のポリプロピレンよりも含まれる揮発ガスの量が少ないことを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。
また、上記の特長は、ポリプロピレンフィルムの延伸の有無によらない。すなわち、ポリプロピレンフィルムは、主体となるポリプロピレンポリマー成分(以下、ポリマー成分とする場合がある。)がホモポリマーを主成分とすれば、フィルムの延伸の有無によらず、ブロックコポリマーやランダムコポリマー等のコポリマーを主成分とする場合と比較して、含まれる揮発ガスの量が少ないことを知得した。本発明は、このような知得に基づくものである。なお、以下、ポリプロピレンを「PP」とする場合がある。
すなわち、本発明は、熱溶着層、バリア層および保護層を、この順で有する真空断熱材用外包材であって、上記熱溶着層は、ホモポリマーを含有する無延伸ポリプロピレンフィルムであることを特徴とする真空断熱材用外包材を提供する。
本発明によれば、真空断熱材用外包材の熱溶着層として、ホモポリマーを含有するCPPフィルムを用いることにより、真空断熱材用外包材を構成する部材に含まれる揮発ガスの量を低減することができるため、高温環境下または常温にて長期間断熱性能を維持することができる真空断熱材を形成可能な真空断熱材用外包材を得ることができる。
上記発明においては、上記無延伸ポリプロピレンフィルムの90℃における揮発ガス量が、15mg/m以下であることが好ましい。上記CPPフィルムの揮発ガス量が上記範囲内であれば、高温環境下または常温にて長期間断熱性能を維持することができる真空断熱材を形成可能な真空断熱材用外包材とすることができるからである。
本発明は、熱溶着層、バリア層および保護層を、この順で有する真空断熱材用外包材であって、上記熱溶着層は、ホモポリマーを主成分とするポリプロピレンフィルムであることを特徴とする真空断熱材用外包材を提供する。
本発明によれば、熱溶着層として用いるPPフィルムのポリマー成分がホモポリマーを主成分とすることで、熱溶着層に含まれる揮発ガスの量を低減することができ、揮発ガスの量の少ない真空断熱材用外包材とすることができる。また、本発明の真空断熱材用外包材は、真空断熱材に用いたときに、熱溶着層から揮発したガスによる内部真空度の低下を抑制することが出来るため、高温環境下または常温にて長期間断熱性能を維持することができる真空断熱材を形成することができる。
上記発明においては、上記ポリプロピレンフィルムの90℃における揮発ガス量が、15mg/m以下であることが好ましい。上記PPフィルムの揮発ガス量が上記範囲内であれば、高温環境下または常温にて長期間断熱性能を維持することができる真空断熱材を形成可能な真空断熱材用外包材とすることができるからである。
上記発明においては、上記熱溶着層は、赤外吸収スペクトルにおいて、1380±10cm−1の波数領域でピーク強度が最大である吸収ピークの上記ピーク強度に対する、700cm−1から790cm−1までの波数領域でピーク強度が最大である吸収ピークの上記ピーク強度の比が、0.05以下であることが好ましい。なお、所望の波数領域でピーク強度が最大である吸収ピークのことを、(所望の波数領域での)最大吸収ピークと称する場合がある。
1380cm−1付近に出現するプロピレンユニット由来の最大吸収ピークに対する、700cm−1から790cm−1までの波数領域に出現するプロピレンユニット以外のユニット(以下、他のユニットと称する場合がある。)由来の最大吸収ピークのピーク強度比が、所定値以下であるPPフィルムは、ホモポリマーの純度が高いと推量される。本発明の真空断熱材用外包材は、このようなPPフィルムを熱溶着層とすることで、上記熱溶着層からの揮発ガスの量を低減することができるからである。
なおユニットとは、各種ポリマーの構成単位(モノマーユニット)を意味する。
また、上記発明においては、上記熱溶着層は、赤外吸収スペクトルにおいて、720cm−1±5cm−1の波数領域でピーク強度が最大である吸収ピークを第1吸収ピークとし、730cm−1±5cm−1の波数領域でピーク強度が最大である吸収ピークを第2吸収ピークとし、1380±10cm−1の波数領域でピーク強度が最大である吸収ピークを第3吸収ピークとしたときに、上記第3吸収ピークの上記ピーク強度に対する、上記第1吸収ピークおよび上記第2吸収ピークの少なくとも一方の上記ピーク強度の比が0.05以下であることが好ましい。
中でも、上記第3吸収ピークの上記ピーク強度に対する上記第1吸収ピークの上記ピーク強度の比、および上記第3吸収ピークの上記ピーク強度に対する上記第2吸収ピークの上記ピーク強度の比が、それぞれ0.05以下であることが好ましい。
ランダムPPやブロックPPは、他のユニットとしてエチレンユニットを主に含む場合が多く、エチレンユニットは、720cm−1および730cm−1の各波数付近で、それぞれ強度の大きいピークを出現しやすい傾向にある。上記2つの波数付近に現れるエチレンユニット由来の最大吸収ピークとプロピレンユニット由来の最大吸収ピークとのピーク強度比が所定値以下であるPPフィルムは、ランダムコポリマーおよびブロックコポリマーを殆ど含まないものとすることができ、ホモポリマーの純度が高いと推量される。本発明の真空断熱材用外包材は、このようなPPフィルムを熱溶着層とすることで、上記熱溶着層からの揮発ガスの量を低減することができるからである。
本発明は、芯材と、上記芯材を封入する真空断熱材用外包材とを有する真空断熱材であって、上記真空断熱材用外包材は、熱溶着層、バリア層および保護層を、この順で有し、上記熱溶着層は、ホモポリマーを含有する無延伸ポリプロピレンフィルムであることを特徴とする真空断熱材を提供する。
また、本発明は、芯材と、上記芯材を封入する真空断熱材用外包材とを有する真空断熱材であって、上記真空断熱材用外包材は、熱溶着層、バリア層および保護層を、この順で有し、上記熱溶着層は、ホモポリマーを主成分とするポリプロピレンフィルムであることを特徴とする真空断熱材を提供する。
本発明によれば、上記真空断熱材用外包材が、上述の本発明の真空断熱材用外包材であることにより、高温環境下または常温にて長期間断熱性能を維持することができる真空断熱材とすることができる。
本発明は、熱絶縁領域を有する物品および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、上記真空断熱材は、芯材と、上記芯材を封入する真空断熱材用外包材とを有し、上記真空断熱材用外包材は、熱溶着層、バリア層および保護層を、この順で有し、上記熱溶着層は、ホモポリマーを含有する無延伸ポリプロピレンフィルムであることを特徴とする真空断熱材付き物品を提供する。
また、本発明は、熱絶縁領域を有する物品および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、上記真空断熱材は、芯材と、上記芯材を封入する真空断熱材用外包材とを有し、上記真空断熱材用外包材は、熱溶着層、バリア層および保護層を、この順で有し、上記熱溶着層は、ホモポリマーを主成分とするポリプロピレンフィルムであることを特徴とする真空断熱材付き物品を提供する。
本発明によれば、上記真空断熱材が、上述の本発明の真空断熱材であり、高温環境下または常温にて長期間断熱性能を維持することができるため、熱源部を有する機器においては、上記真空断熱材により熱源部からの熱を断熱し、機器全体の温度が高温となることを防止し、一方、被保温部を有する機器においては、上記真空断熱材により上記被保温部の温度状態を保つことができる。これにより、消費電力を抑えた高い省エネルギー特性を有する機器とすることができる。
このように、本発明によれば、物品に備わる上記真空断熱材が、上述の真空断熱材用外包材を用いた真空断熱材であり、高温環境下または常温にて長期間断熱性能を維持することができるため、良好な断熱性能を有する物品とすることができる。
本発明においては、高温環境下または常温にて長期間断熱性能を維持することができる真空断熱材を形成可能な真空断熱材用外包材を提供できるといった作用効果を奏する。
本発明の真空断熱材用外包材の一例を示す概略断面図である。 本発明の真空断熱材の一例を示す概略斜視図および概略断面図である。 各種CPPフィルムに含まれる揮発ガスのうち、有機成分の量を測定した結果を示すグラフである。 各種CPPフィルムに含まれる揮発ガスのうち、無機成分の量を測定した結果を示すグラフである。 ポリプロピレンホモポリマーフィルムおよびポリエチレンフィルムの赤外吸収スペクトルである。 実施例および比較例で測定した、真空断熱材の熱伝導率の経時的変化を示すグラフである。 参考例の各PPフィルムの赤外吸収スペクトルにおけるピーク強度比I/IおよびI/Iを示すグラフである。
以下、本発明の真空断熱材用外包材、真空断熱材、および、真空断熱材付き機器について説明する。なお、以下の説明において、「真空断熱材用外包材」を「外包材」とする場合がある。
A.真空断熱材用外包材
本発明の真空断熱材用外包材は、熱溶着層の仕様により、2つの態様に分けることが出来る。以下、態様ごとに説明する。
I.第1態様
本発明の真空断熱材用外包材は、熱溶着層、バリア層および保護層を、この順で有する真空断熱材用外包材であって、上記熱溶着層は、ホモポリマーを含有する無延伸ポリプロピレンフィルムであることを特徴とするものである。
本発明の外包材について図を参照して説明する。図1は本発明の外包材の一例を示す概略断面図である。本発明の外包材10は、熱溶着層1、バリア層2および保護層3を、この順で有するものである。上記熱溶着層1には、ホモポリマーを含有する無延伸ポリプロピレンフィルムが用いられている。
また、図2(a)は、本発明の外包材を用いた真空断熱材の一例を示す概略斜視図であり、図2(b)は図2(a)のX−X線断面図である。図2(a)および(b)に例示するように、上記真空断熱材20は、対向する2枚の外包材10Aおよび10Bの周縁が熱溶着されて封止されており、外包材10Aおよび10Bにより密閉された空間内部に芯材11が収納され、内部が減圧されて真空状態となっている。外包材10Aおよび10Bの周縁の封止部分は、真空断熱材20の端部12となる。なお、図2中の符号については、図1と同一の部材を示すものであるため、ここでの説明は省略する。
このように真空断熱材は、製造時に内部が減圧されて真空状態とされており、内部の気体の対流が遮断されているため、高い断熱性能を発揮することができる。しかしながら、バリア層よりも内側に位置する部材が揮発ガスを含む場合、上記揮発ガスは真空断熱材内部に留まり、拡散されるため、真空断熱材内部の真空度が低下し、高い断熱性能を維持することができなくなる可能性がある。本発明においては、外包材の熱溶着層として、ホモポリマーを含有するCPPフィルムを用いることにより、バリア層よりも内側に位置する部材に含まれる揮発ガスの量を低減することができるため、高温環境下または常温にて長期間断熱性能を維持することができる真空断熱材を形成可能な外包材とすることができる。
本発明の外包材は、熱溶着層、バリア層および保護層を、この順で有するものである。以下、本発明の外包材の各構成について説明する。
1.熱溶着層
本発明における熱溶着層は、上記外包材を用いて真空断熱材を形成する際に、芯材と接する部位であり、対向する外包材同士の端部を熱溶着する熱溶着面を形成する部位である。本発明においては、このような熱溶着層として、ホモポリマーを含有する無延伸ポリプロピレンフィルムが用いられる。
ポリプロピレンは、従来の真空断熱材の外包材における熱溶着層として用いられてきたポリエチレンよりも高い耐熱性を有するため、高温に曝される場所に用いられる真空断熱材においても用いることができる。このようなポリプロピレンには、製造工程において延伸されていない無延伸ポリプロピレン(CPP)と、製造工程において延伸することで配向結晶性が高められた延伸ポリプロピレン(OPP)とがある。中でも、CPPはヒートシール性に優れているため、外包材の熱溶着層として好適に用いることができる。
しかしながらポリプロピレンの中には、揮発ガスを多く含むものがある。そのようなポリプロピレンフィルムを熱溶着層として用いると、当該熱溶着層から揮発したガスが真空断熱材内部に拡散されるため、真空断熱材内部の真空度が経時的に低下し、真空断熱材の断熱性能を長期間維持することができない場合がある。このような課題を解決するために本発明者が研究を重ねた結果、ポリプロピレンの中でも、ホモポリマーを含有する無延伸ポリプロピレン(CPP)は、他のポリプロピレンよりも含まれる揮発ガスの量が少ないことを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。
ポリプロピレンフィルムの原料のポリプロピレンには、単一のモノマーを用いて生成されたホモポリマーと、2種類以上のモノマーを用いて生成されたコポリマーとがある。上記コポリマーは、モノマーの配列によりさらに分類することができ、モノマーの配列に秩序のないランダムコポリマーや、同種のモノマーが長く連続する配列を有するブロックコポリマーなどがある。これらの各種ポリマーに含まれる揮発ガス量について研究を重ねた結果、本発明者は、ランダムコポリマーやブロックコポリマーなどのコポリマーよりも、ホモポリマーは、その内部に含まれる揮発ガス量が少ないことを見出した。
図3は、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、および、ホモポリマーをそれぞれ含有する各CPPフィルムに含まれる揮発ガスのうち、有機成分の量を測定した結果を示すグラフである。上記有機成分の量は、2−メチル−1−ペンテン、メチルシクロペンタン等の炭化水素、および酸化防止剤(τ−ブチルフェノール)等の合計であり、各フィルムの有機成分の量は、以下の測定方法および分析条件により定量されたものである。測定および分析は、各CPPフィルムに関し、3つの試料について行われた。各CPPフィルムについて、グラフ中の左側の3つの帯は各試料の定量結果を示すものであり、一番右の帯および数値は、3つの試料についての平均を示すものである。
なお、図3で示す有機成分の量の測定に用いた、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、および、ホモポリマーをそれぞれ含有するCPPフィルムとは、各ポリマーで構成されたフィルム、すなわち、無延伸ポリプロピレンブロックコポリマーフィルム、無延伸ポリプロピレンランダムコポリマーフィルム、無延伸ポリプロピレンホモポリマーフィルムの各CPPフィルムである。
<測定方法>
各CPPフィルムについて、1cm×5cmのサイズに切り出した試験片2枚を試料管に入れ、その試料管を下記条件にてパージ&トラップGC/MS法にかけて分析した。定量はC16標準により作成した検量線を用い、フィルムから揮発する有機ガス量の合計をC16換算値(mg/10cm)として算出した。
<パージ&トラップ条件>
・装置名:日本分析工業製JTD505
・加熱温度:90℃
・冷却温度:−60℃
・吸着材:グラスウール
・パージ時間:60min
・総スプリット比(導入量:排気量)=1:10
・カラム流量:1ml/min
<GC/MS条件>
・装置名:Agilent製 Agilent6890/5973
・キャピラリーカラム
・名称:DB−5MS相当
・固定相:5% diphenyl dimethyl polysiloxane(微極性)
・長さ×膜厚×内径:30m×0.25μm×0.25mm
・カラム流量:1ml/min
・オーブン条件:50℃(5min)→(10℃/min)→320℃(3min)
また、図4は、上記図3と同じブロックコポリマー、ランダムコポリマー、および、ホモポリマーをそれぞれ含有する各CPPフィルムに含まれる揮発ガスのうち、無機成分の量を定量した結果を示すグラフである。上記無機成分の量は、水素、水、窒素、一酸化炭素、酸素、および、二酸化炭素の各量の合計であり、各CPPフィルムの無機成分の定量は、以下の測定方法および分析条件により定量されたものである。
各CPPフィルムについて、4mm×4mmのサイズに切り出した試験片をTDS(昇温脱離ガス分析)測定にて、下記条件で加熱することにより分析した。
<加熱条件>
・装置名:電子科学製EMD−WA1000S
・加熱条件:30℃〜90℃
・昇温速度:10℃/min
・保持温度:90℃
・SiCステージにて試料を加熱
<測定方法>
・MID法(定量)
・測定質量数(M/Z):2(H)、18(HO)、28(N・CO)、32(O)、44(CO
上述した図3から、ホモポリマーの有機成分の量は、ブロックコポリマーよりも大幅に少ないことが分かる。一方、図4からは、ホモポリマーの無機成分の量は、ランダムコポリマーよりも大幅に少ないことが分かる。したがって、有機成分の量および無機成分の量の合計である揮発ガス量についてホモポリマーは、ブロックコポリマーやランダムポリマーなどのコポリマーよりも大幅に少ないことが分かる。
一般にコポリマーは、所望される特性に応じ、ゴム成分などのポリプロピレン以外の成分と共に重合されるのに対し、ホモポリマーは、プロピレン以外の成分をほとんど含まないものである。コポリマーに比べ、ホモポリマーの揮発ガス量が少ないのは、ポリプロピレンに含まれる揮発ガスのうち、プロピレン成分に由来するものは極少量であり、揮発ガスの多くはポリプロピレン以外の成分に由来するものであるからではないかと推測される。
本発明においては、熱溶着層に用いられるCPPフィルムの90℃における揮発ガス量が、15mg/m以下、中でも10mg/m以下、特には5mg/m以下であることが好ましい。CPPフィルムの揮発ガス量が上記範囲内であることにより、本発明の外包材を、高温環境下または常温にて長期間断熱性能を維持することができる真空断熱材を形成可能なものとすることができるからである。
なお、上記CPPフィルムの90℃における揮発ガス量とは、上述した方法により定量された少なくとも有機成分の量とすることができ、有機成分および無機成分の総量が上記の範囲内であることが好ましい。
本発明において「ホモポリマーを含有する無延伸ポリプロピレンフィルム」とは、ホモポリマーを含有するCPPをシート状に成形したものである。また、本発明において「ホモポリマーを含有するCPP」は、ホモポリマーを主成分とするCPPであり、「ホモポリマーを主成分とする」とは、含まれるプロピレン以外の成分の含有量が、10重量%以下、中でも5重量%以下、特には1重量%以下の範囲内であることを意味する。上記「プロピレン以外の成分」の例としては、アンチブロッキング剤、滑剤、難燃化剤、有機充填剤等を挙げることができる。また、ここでいう上記「プロピレン以外の成分」には、上記の添加剤の他に更に、PPのコポリマー等のPPのホモポリマー以外のポリマー、その他モノマー等も含むものとする。
また、本発明において、CPPフィルムの主体となるポリマー成分は、PPのホモポリマーを主成分とすることが好ましい。ポリマー成分がPPのホモポリマーを主成分とするとは、上記ポリマー成分に含まれるプロピレンユニット以外のユニットの含有量が少ないことをいい、好ましくはポリマー成分がプロピレンユニット以外のユニットを含まないことをいう。具体的には、PPフィルムのポリマー成分全体を100質量%としたときのプロピレンユニット以外のユニットの含有量が、1.0質量%以下であることが好ましく、中でも0.5質量%以下であることが好ましく、特に0.3質量%以下であることが好ましい。
プロピレンユニット以外のユニット(すなわち、他のユニット)とは、例えば、PPのランダムコポリマーを構成するユニットのうちプロピレンユニット以外のユニット、PPのブロックコポリマーにおいて、ホモポリマーと共存する共重合を構成するユニットのうち、プロピレンユニット以外のユニット等が挙げられる。上記他のユニットは、PPのランダムコポリマーにおいてプロピレンモノマーと重合するモノマー骨格、PPのブロックコポリマーにおいて、ホモポリマーと共存する共重合を構成するモノマー骨格を有する。具体的には、ランダムコポリマーおよびブロックコポリマーにおけるエチレンユニット、ブテンユニット等のオレフィンユニットが挙げられる。なお、ポリマー成分の中に未反応のモノマーが単体で含まれる場合は、上記プロピレンユニット以外のユニットには、プロピレンモノマー以外の上記モノマーも含むものとする。
PPのホモポリマー(以下、ホモPPと記す場合がある。)は、通常、プロピレンモノマーの単独重合体であるのに対し、PPのランダムコポリマー(以下、ランダムPPと記す場合がある。)は、エチレン等のプロピレン以外の共重合モノマーとプロピレンとの共重合体であり、ポリマー鎖内にプロピレンユニットと上記プロピレンユニット以外のユニットとがランダムに配分された構成を有する。具体的には、上記プロピレン以外の共重合モノマーがエチレンであるエチレンプロピレンコポリマー(EPM)は、ポリマー鎖内にプロピレンユニットとエチレンユニットとがランダムに配分された構成を有する。また、PPのブロックコポリマー(以下、ブロックPPと記す場合がある。)は、例えば、ホモPPにポリエチレン成分およびエチレンプロピレンゴム(EPR)成分が分散された混合物であり、プロピレンユニットを含むマトリックス部分と、エチレンユニットを含むドメイン部分と、からなるマトリックス−ドメイン構造を有する。
すなわち、PPフィルムがポリマー成分としてホモポリマーおよびコポリマーを含む場合、上記ポリマー成分には、プロピレンユニットおよび他のユニットが存在することとなる。このとき、上記ポリマー成分においてコポリマーの割合が高いほど、上記他のユニットの含有量が多くなるため、プロピレンユニットの含有量が相対的に少なくなる。一方、上記ポリマー成分においてホモポリマーの割合が高いほど、上記他のユニットの含有量が少なくなる。よって、ポリマー成分中の上記他のユニットの含有量が所定値以下であれば、PPフィルムのポリマー成分は、ホモポリマーを主成分とすることが出来る。これらの特長は、PPフィルムの延伸の有無に因らない。
ポリマー成分中の他のユニットの含有量は、例えば、後述する方法によりPPフィルムの赤外吸収スペクトルを測定し、プロピレンユニット由来の吸収ピークと、他のユニット由来の吸収ピークと、のピーク強度の比から検量線を引いて算出することが出来る。また、他の算出方法として、PPフィルムを適当な重水素化溶媒に溶解させ、H−NMRを測定し、その積分値より算出することができる。
PPフィルムにおいて、ポリマー成分中のホモポリマーとコポリマーとの混合比率は、赤外吸収スペクトルにおけるプロピレンユニット由来の吸収ピークと、コポリマーに含まれる他のユニット由来の1以上の吸収ピークのうち、少なくとも1つの吸収ピークと、のピーク強度比から確認することが出来る。先に説明したように、コポリマーは、プロピレンユニットの他にエチレンユニット等の他のユニットを含む。このため、PPフィルムがホモポリマーおよびコポリマーを含む場合、PPフィルムの赤外吸収スペクトルでは、プロピレンユニット由来の吸収ピークに加え、コポリマーの他のユニット由来の吸収ピークが出現し、上記他のユニット由来の吸収ピークのピーク強度が高いほど、上記ポリマー成分においてコポリマーの割合が高いことが示唆される。
ここで、プロピレンユニット由来の吸収ピークとは、図5で示すように、1380cm−1付近に出現する最大吸収ピークAとすることができる。上記波数付近に出現する吸収ピークAは、C−H対称変角振動に由来するピークと推量され、プロピレンユニットに含まれる測鎖メチル(−CH)基の存在を示す。
また、コポリマーに含まれる他のユニット由来のピークとは、700cm−1から790cm−1までの波数領域に出現する少なくとも1以上の吸収ピークとすることができる。例えば、ポリマーがエチレンユニットを含む場合、図5で示すように、720cm−1および730cm−1の各波数付近に強度の大きい吸収ピークBおよび吸収ピークCがそれぞれ出現する。上記波数付近に出現する吸収ピークB、吸収ピークCは、エチレンユニットのC−C骨格振動に起因したエチレンユニット由来のピークと推量される。PPフィルムにおいて上記ピークが出現するとき、ランダムPPやブロックPP内のエチレンユニットの存在が示唆される。上記エチレンユニットのように、他のユニットの種類によっては、上記波数領域においてピークが複数出現する場合がある。
なお、図5は、ポリプロピレンホモポリマーフィルム(以下、ホモPPフィルムとする。)およびポリエチレン(以下、PEとする。)フィルムの赤外吸収スペクトルである。ホモPPフィルムは、後述する実施例1で用いたCPPフィルムと同じである。また、PEフィルムは、後述する参考評価において用いたPEフィルムと同じである。各フィルムの赤外吸収スペクトルは、後述する熱溶着層の赤外吸収スペクトルの測定方法と同様の方法により測定した。
したがって、プロピレンユニット由来の1380cm−1付近に出現する最大吸収ピークのピーク強度に対する、上記の所定の波数領域に出現する、コポリマーに含まれる他のユニット由来の吸収ピークのピーク強度比が小さいほど、ポリマー成分において上記他のユニットの割合が少なくなるため、コポリマーの含有量が少なくホモポリマーの純度が高いPPフィルムとすることが出来る。上記の特長はPPフィルムの延伸の有無に因らない。
なお、ピーク強度は、吸収ピークの高さとすることができ、ピーク強度比は、ピーク高さ比とすることができる。また、1380cm−1付近とは、1380cm−1を基準とする許容範囲をいい、1380cm−1±10cm−1の波数領域とすることができる。中でも1380cm−1±5cm−1の波数領域とすることが好ましい。
本発明においては、1380cm−1付近でピーク強度が最大である吸収ピークの上記ピーク強度に対する、700cm−1から790cm−1までの波数領域でピーク強度が最大である吸収ピークのピーク強度の比が、0.05以下であることが好ましく、中でも0.04以下、特に0.03以下であることが好ましい。プロピレンユニット由来の最大吸収ピークに対する他のユニット由来の最大吸収ピークのピーク強度比が、所定値以下であるPPフィルムは、ランダムコポリマーおよびブロックコポリマーを殆ど含まないものとすることができ、ホモポリマーの純度が高いと推量される。このようなPPフィルムを熱溶着層とすることで、上記熱溶着層からの揮発ガスの量を低減することができるからである。
中でも1380cm−1付近でピーク強度が最大である吸収ピークの上記ピーク強度に対する、725cm−1付近でピーク強度が最大である吸収ピークの上記ピーク強度の比が、0.05以下であることが好ましく、中でも0.04以下、特に0.03以下であることが好ましい。
ここで、725cm−1付近とは、725cm−1を基準とする許容範囲をいい、725cm−1±25cm−1の波数領域とすることができる。上記許容範囲は±20cm−1としてもよく、±15cm−1としてもよく、±10cm−1としてもよい。
ランダムPPやブロックPPが、他のユニットとしてエチレンユニットを主に含む場合、725cm−1付近にエチレンユニット由来の強い吸収ピークが出現する傾向にある。このため、725cm−1付近での最大吸収ピークと1380cm−1付近での最大吸収ピークとのピーク強度比を規定することで、ホモポリマーの純度が高いPPフィルムとすることができる。
また、上記波域領域において、2以上の吸収ピークが出現する場合は、赤外吸収スペクトルにおいて、700cm−1から790cm−1までの波数領域でピーク強度が最大である吸収ピークおよび上記ピーク強度が2番目に大きい吸収ピーク(2番目の最大吸収ピークという場合がある。)を、低波数側から第1吸収ピークおよび第2吸収ピークとし、1380cm−1付近でピーク強度が最大である吸収ピークを第3吸収ピークとしたときに、上記第3吸収ピークの上記ピーク強度に対する、上記第1吸収ピークおよび上記第2吸収ピークの少なくとも一方の上記ピーク強度の比が、0.05以下であることが好ましく、中でも0.04以下、特に0.03以下であることが好ましい。
中でも725cm−1付近でピーク強度が最大である吸収ピークおよび上記ピーク強度が2番目に大きい吸収ピークを、低波数側から第1吸収ピークおよび第2吸収ピークとし、1380cm−1付近でピーク強度が最大である吸収ピークを第3吸収ピークとしたときに、上記第3吸収ピークの上記ピーク強度に対する、上記第1吸収ピークおよび上記第2吸収ピークの少なくとも一方の上記ピーク強度の比が、0.05以下であることが好ましく、中でも0.04以下、特に0.03以下であることが好ましい。
なお、上記第3吸収ピークの上記ピーク強度に対する上記第1吸収ピークの上記ピーク強度の比を、第1ピーク強度比とする。また、上記第3吸収ピークの上記ピーク強度に対する上記第2吸収ピークの上記ピーク強度の比を、第2ピーク強度比とする。
上記700cm−1から790cm−1までの波数領域において、コポリマーに含まれる他のユニットに由来する強度の大きいピークが2以上出現する場合、上記波数領域での最大吸収ピークおよび2番目の最大吸収ピークのうち少なくとも一方が、プロピレンユニット由来の最大吸収ピークに対して所定のピーク強度比を示すことで、PPフィルムのホモポリマーの純度が高くなるからである。
上記波数領域において、第1ピーク強度比および第2ピーク強度比の少なくとも一方が上述したピーク強度の比の範囲内にあればよく、中でも、第1ピーク強度比および第2ピーク強度比が、それぞれ上述したピーク強度の比の範囲内にあることが好ましい。
さらに、上記熱溶着層は、赤外吸収スペクトルにおいて、720cm−1付近でピーク強度が最大である吸収ピークを第1吸収ピークとし、730cm−1付近でピーク強度が最大である吸収ピークを第2吸収ピークとし、1380cm−1付近でピーク強度が最大である吸収ピークを第3吸収ピークとしたときに、上記第3吸収ピークの上記ピーク強度に対する、上記第1吸収ピークおよび上記第2吸収ピークの少なくとも一方の上記ピーク強度の比が0.05以下であることが好ましく、中でも0.04以下、特に0.03以下であることが好ましい。
上記第1ピーク強度比および上記第2ピーク強度比は、少なくとも一方が上述したピーク強度の比の範囲内にあればよいが、中でも上記第1ピーク強度比および上記第2ピーク強度比のそれぞれが、上述したピーク強度の比の範囲内にあることが好ましい。
ここで、720cm−1付近とは、720cm−1±5cm−1の波数領域とすることができ、中でも720cm−1±2cm−1の波数領域であることが好ましい。また、730cm−1付近とは、730cm−1±5cm−1の波数領域とすることができ、中でも730cm−1±2cm−1の波数領域であることが好ましい。
ランダムPPやブロックPPは、他のユニットとしてエチレンユニットを主に含む場合が多く、エチレンユニットは、主に720cm−1付近および730cm−1付近でそれぞれ強度の大きいピークが出現する場合が多い。プロピレンユニット由来の第3吸収ピークのピーク強度に対して、コポリマーのエチレンユニット由来の第1吸収ピークおよび第2吸収ピークの少なくとも一方のピーク強度が所定値以下であるPPフィルムは、ランダムコポリマーおよびブロックコポリマーを殆ど含まないものとすることができ、ホモポリマーの純度が高いと推量される。すなわち、このようなPPフィルムは、ポリマー成分の中でホモPPを主成分とすることができるため、上記熱溶着層として用いることで、揮発ガスの発生量を低減することができる。
本発明における赤外吸収スペクトルは、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)を用いた1回反射ATR測定法により測定することができ、横軸を波数とし、縦軸を吸光度とする。測定方法は、具体的には、分光器に付属装置を設置し、所望のサイズ(数cm角)に切り出した外包材を、熱溶着層側表面が上記付属装置を向くようにセットして、上記熱溶着層の表面に赤外線を照射したときの1回反射のスペクトルを測定することにより、熱溶着層の赤外吸収スペクトルとすることができる。なお、測定の際に、熱溶着層の厚みに応じて光の侵入深度を調整することにより、外包材の状態で熱溶着層の赤外吸収スペクトルの測定が可能となる。
(測定条件)
・分光器:フーリエ変換赤外分光光度計FTS−7000(Digilab社製)
・付属装置:1回反射ATR用アタッチメント:Silver Gate Evolution(SPECAC製)
・プリズム:Ge結晶
・入射角:45°入射
・測定波数領域:700cm−1〜4000cm−1
・分解能:4cm−1
・スキャンスピード:20kHz
・積算回数:64回
本発明において熱溶着層として用いられるCPPフィルムの厚みは、例えば20μm〜100μmの範囲内が好ましく、中でも25μm〜90μmの範囲内が好ましく、特に30μm〜80μmの範囲内が好ましい。熱溶着層の厚みが上記範囲よりも大きいと、熱溶着部からの外気進入の確率が高まり、厚みが上記範囲よりも小さいと、所望の接着力が得られない場合がある。
上述したようなCPPフィルムは、市販の物を用いてもよく、また、公知の方法でプロピレンを重合して得られたCPPを、シート状に成形したものを用いてもよい。
2.バリア層
本発明におけるバリア層は、通常、熱溶着層と保護層との間に形成される部位である。このようなバリア層としては、例えば金属箔、樹脂基材および上記樹脂基材の少なくとも一方の面側に配置された無機物を含むバリア膜を有する積層体等の、一般にバリア層として使用されるものを用いることもできる。このようなバリア層を用いることにより、高温環境下または常温にて長期間断熱性能を維持することができる真空断熱材を形成可能な外包材とすることができるからである。
金属箔としては、例えばアルミニウム、ニッケル、ステンレス、鉄、銅、チタニウム等の金属箔が挙げられる。
上記積層体としては、例えば、公知のバリアフィルム等が挙げられる。上記積層体のバリア膜を構成する無機物としては、例えば金属、金属酸化物や酸化珪素等の無機酸化物等の無機化合物が挙げられる。上記バリア膜は、塗布(コーティング)膜であってもよく、蒸着膜であってもよいが、中でも蒸着膜であることが好ましい。樹脂基材との密着性が高く高ガスバリア性能を発揮することができるからである。
また、上記積層体の樹脂基材は、特に限定されず、例えば、PETフィルム等の、公知のバリアフィルムにおける樹脂基材を用いることが出来る。
上記バリア層は、上記積層体のバリア膜上に更にバリア性組成物を含むバリア性組成膜が配置されたものであってもよい。上記バリア性組成物としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂およびエチレンビニルアルコール共重合体の少なくともいずれかを含有するバリア性組成物が挙げられる。
上記バリア層は、単層であってもよく、同一材料から成る層または異なる材料から成る層を積層した多層体であってもよい。上記バリア層が上述した樹脂基材およびバリア膜を有する積層体の場合、バリア膜は単層であってもよく、2層以上の同一組成のバリア膜、または、異なる組成のバリア膜が積層されていてもよい。また、上記バリア層は、バリア性能および他の層との密着性の向上が図れるという点から、コロナ放電処理等の表面処理が施されていてもよい。
上記バリア層の厚みは、例えば、2μm〜50μmの範囲内、中でも5μm〜25μmの範囲内であることが好ましい。上記バリア層の厚みが上記範囲よりも小さいと、バリア層にピンホール等が生じやすくなり、上記バリア層の厚みが上記範囲よりも大きいと、屈曲部にてクラック等が生じやすくなり、断熱性能が低下する場合がある。また、アルミニウム箔等の金属箔のバリア層を適用する場合はヒートブリッジが生じやすくなり、断熱性能が低下する場合がある。
上記バリア層のバリア性能としては、酸素透過度が0.5cc/(m・day・atm)以下であることが好ましく、中でも0.1cc/(m・day・atm)以下であることが好ましい。また、水蒸気透過度が0.5g/(m・day)以下であることが好ましく、中でも0.1g/(m・day)以下であることが好ましい。上記バリア層の酸素および水蒸気透過度が上述の範囲内であることにより、外部より浸透した水分やガス等を内部の芯材まで浸透しにくくすることができる。なお、本発明の外包材全体の酸素透過度および水蒸気透過度も、それぞれ上記の範囲内であることが好ましい。
酸素透過度の測定は、JIS K7126−2A:2006(プラスチック−フィルム及びシート−ガス透過度試験方法−第2部:等圧法、付属書A:電解センサ法による酸素ガス透過度の試験方法)に準拠し、温度23℃、湿度60%RHの条件下で、酸素ガス透過度測定装置を使用して測定することができる。酸素ガス透過度測定装置としては、例えば米国MOCON社製OXTRANを用いることが出来る。測定は、外包材の表面のうち、上記外包材の厚み方向において熱溶着可能なフィルムに対してバリア層側に位置する上記表面が酸素ガスに接するようにして上記装置内に装着し、透過面積50cmの条件で行う。上記測定は、以下の手順で行う。まず、上記装置内にキャリアガスを流量10cc/分で60分以上供給してパージする。上記キャリアガスは5%程度水素を含む窒素ガスを用いることができる。パージ後、上記装置内に試験ガスを流し、流し始めてから平衡状態に達するまでの時間として12時間を確保した後に、上記の温度および湿度の条件で測定を開始する。上記試験ガスは少なくとも99.5%の乾燥酸素を用いる。1つの条件では少なくとも3つのサンプルを測定し、それらの測定値の平均をその条件の酸素透過度の値とする。本明細書において説明する酸素透過度は、上述の方法と同様の方法を用いて測定することができる。
水蒸気透過度は、ISO−15106−5:2015(差圧法)に準拠して、温度40℃、湿度90%RHの条件で、水蒸気透過度測定装置を用いて測定することができる。水蒸気透過度測定装置としては、例えば、英国Technolox社製DELTAPERMを用いることが出来る。測定は、外包材の表面のうち、上記外包材の厚み方向において熱溶着可能なフィルムに対してバリア層側に位置する上記表面が高湿度側(水蒸気供給側)となるようにして、上記装置の上室と下室との間に装着し、透過面積64cmとして、上記の温度および湿度の条件で行う。水蒸気透過度は、外包材について1つの条件で少なくとも3つのサンプルを測定し、それらの測定値の平均をその条件での水蒸気透過度の値とすることができる。
3.保護層
保護層は、本発明の外包材において最外層(最表層)となる部位である。上記保護層は、本発明の外包材を用いて真空断熱材を形成した際に、真空断熱材の内部を保護するのに十分な強度を有し、耐熱性、防湿性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性等に優れたものであることが好ましい。
上記保護層としては、熱溶着層よりも高融点の樹脂を用いたものであればよく、樹脂製のシートでも、一軸延伸または二軸延伸されたフィルムでもよい。このような保護層として、例えば、ナイロン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、アクリル樹脂、セルロース樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体等のシートまたはフィルム等が挙げられる。
上記保護層は、単層であってもよく、同一材料から成る層または異なる材料から成る層を積層して多層としたものであってもよい。また上記保護層は、他の層との密着性の向上が図れるという点から、コロナ放電処理等の表面処理が施されていてもよい。
上記保護層の厚みは、熱溶着層およびバリア層を保護することができる厚みであれば特に限定されるものではないが、一般的に5μm〜80μmの範囲内程度である。
4.真空断熱材用外包材
本発明の外包材は、上記外包材を構成する各層が、直接接触して積層されていてもよく、層間接着剤を介して積層されていてもよい。層間接着剤については、一般に真空断熱材用の外包材に使用される接着剤を用いることができる。
上記外包材は、保護層またはバリア層を複数有するものであってもよい。上記外包材は、例えば、熱溶着層と保護層との間にバリア層を2層以上設けてもよく、熱溶着層およびバリア層の上に、第1保護層および第2保護層のように保護層を2層以上設けてもよい。また、上記外包材は、熱溶着層とバリア層との間に内面側保護層が設けられてもよい。さらに、上記外包材は、アンカーコート層、耐ピンホール層等の任意の層を有していても良い。
本発明の外包材は、透明性を有していてもよく、有さなくてもよく、外包材が用いられる真空断熱材の用途に応じて適宜設定することができる。外包材の透明性については、厳密な透過率で規定されず、用途等に応じて適宜決定することができる。上記外包材が透明性を有する場合、真空断熱材に用いることで真空断熱材の内部の視認が可能となることから、真空断熱材の内部に検知剤を入れることで、検知剤の変化から内部の真空状態を目視で確認することが可能となる。
上記外包材の積層方法としては、特に限定されるものではなく、一方の最表層に保護層を有し、他方の最表層に熱溶着層を有するように各層を積層できる方法であればよく、公知の方法を用いることができる。上記積層方法としては、予め成膜した各層を上述した層間接着剤を使用して貼り合せるドライラミネーション法や、熱溶融させた各層の材料をTダイ等を用いて押出しして貼り合せ、得られた積層体に層間接着剤を介して熱溶着層を貼り合せる方法等が挙げられる。
II.第2態様
本発明の真空断熱材用外包材の第2態様は、熱溶着層、バリア層および保護層を、この順で有する真空断熱材用外包材であって、上記熱溶着層は、ホモポリマーを主成分とするポリプロピレンフィルム(PPフィルム)であることを特徴とする。
本態様の真空断熱材用外包材は、図1において、熱溶着層1が、ホモポリマーを主成分とするPPフィルムである。
上述した「1.第1態様」の項で説明したPPフィルムの特長および効果は、PPフィルムの延伸の有無によらない。すなわち、PPフィルムの主体となるポリマー成分がホモポリマーを主成分とすれば、フィルムの延伸の有無によらず、本発明の効果を奏することが出来る。
すなわち、本態様によれば、熱溶着層として用いるPPフィルムのポリマー成分がホモポリマーを主成分とすることで、熱溶着層に含まれる揮発ガスの量を低減することができ、揮発ガスの量の少ない真空断熱材用外包材とすることができる。また、本態様の真空断熱材用外包材は、真空断熱材に用いたときに、熱溶着層から揮発したガスによる内部真空度の低下を抑制することが出来るため、高温環境下または常温にて長期間断熱性能を維持することができる真空断熱材を形成することができる。
以下、本態様の外包材の各構成について説明する。なお、本態様の外包材の熱溶着層以外については、「I.第1態様」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
1.熱溶着層
本態様における熱溶着層は、ホモポリマーを主成分とするPPフィルムである。
上記「I.第1態様 1.熱溶着層」の項で説明したように、ポリプロピレンの揮発ガス量は、ポリプロピレンのポリマー種により異なり、ホモポリマーの量が多い程、揮発ガス量を少なくすることができる。つまり、ポリプロピレンフィルムの揮発ガス量は、フィルムのポリマー成分に含まれるポリプロピレンのポリマー種に因るものであり、フィルムの延伸の有無に因らないと推量される。
本態様においては、熱溶着層として、ホモポリマーを主成分とするPPフィルムを用いることで、上記PPフィルムの延伸の有無に因らず、他のポリマーを主成分とする場合よりも揮発ガス量を少なくすることができる。
ここで、本態様においてPPフィルムが「ホモポリマーを主成分とする」とは、PPフィルムの主体となるポリマー成分の中でPPのホモポリマー(ホモPP)の割合が最も多いことを意味する。すなわち、上記ポリマー成分中のホモPP以外の成分の割合が、上記熱溶着層の揮発ガス量を後述する所定の範囲内とすることが可能となる割合であればよい。
具体的には、上記ポリマー成分に含まれるプロピレンユニット以外のユニットの含有量が少なければよく、PPフィルムのポリマー成分全体を100質量%としたときの、プロピレンユニット以外のユニットの含有量が1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.3質量%以下であることがさらに好ましい。プロピレンユニット以外のユニットの含有量が0質量%、すなわちPPフィルムのポリマー成分がホモPPのみであることが特に好ましい。
なお、ポリマー成分中のプロピレンユニット以外のユニットの例、およびポリマー成分中のプロピレンユニット以外のユニットの含有量の算出方法等、「ホモポリマーを主成分とする」ことの規定の詳細については、上記「I.第1態様 1.熱溶着層」の項で説明した「ポリマー成分がホモポリマーを主成分とする」ことの規定の詳細と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本態様において上記熱溶着層は、ポリマー成分中にホモPPを主成分として含むものであればよく、ポリマー成分としてホモPPのみを含んでいてもよく、ポリマー成分中のプロピレンユニット以外のユニットの含有量が上述した範囲内であれば、ポリマー成分として、ホモPPに加えてブロックPP、ランダムPP等のコポリマーを含んでいてもよい。また、上記熱溶着層は、ポリマー成分の他に、アンチブロッキング剤、滑剤、難燃化剤、有機充填剤等の添加剤を含んでいてもよい。上記添加剤の量としては、熱溶着層においてポリマー成分が主体となれば特に限定されず、例えばPPフィルムの全質量100質量%に対して3質量%以下とすることができる。
また、本態様において上記熱溶着層は、ホモポリマーを主成分として含むものであれば、延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)であってもよく、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)であってもよい。中でも、ヒートシール性に優れている観点から、CPPフィルムが好ましい。
本態様において上記熱溶着層は、90℃における揮発ガス量が、15mg/m以下、中でも10mg/m以下、特には5mg/m以下であることが好ましい。その理由は、上記「I.第1態様 1.熱溶着層」の項で説明した通りである。また、90℃における揮発ガス量は、上記「I.第1態様 1.熱溶着層」の項で説明した方法により定量することができ、少なくとも有機成分の量とすることができる。
本態様において上記熱溶着層は、赤外吸収スペクトルにおいて、1380cm−1付近でピーク強度が最大である吸収ピークのピーク強度に対する、700cm−1から790cm−1までの波数領域でピーク強度が最大である吸収ピークの上記ピーク強度の比が、0.05以下であることが好ましく、中でも0.04以下、特に0.03以下であることが好ましい。中でも1380cm−1付近でピーク強度が最大である吸収ピークのピーク強度に対する、725cm−1付近でピーク強度が最大である吸収ピークのピーク強度の比が、0.05以下であることが好ましく、中でも0.04以下、特に0.03以下であることが好ましい。その理由については、上記「I.第1態様 1.熱溶着層」の項で説明した理由と同様である。
ここで1380cm−1付近とは、1380cm−1を基準とする許容範囲をいい、1380cm−1±10cm−1の波数領域とすることができる。中でも1380cm−1±5cm−1の波数領域とすることが好ましい。また、725cm−1付近とは、725cm−1を基準とする許容範囲をいい、725cm−1±25cm−1の波数領域とすることができる。上記許容範囲は±20cm−1としてもよく、±15cm−1としてもよく、±10cm−1としてもよい。
また、上記波域領域において、2以上の吸収ピークが出現する場合、本態様において上記熱溶着層は、赤外吸収スペクトルにおいて、700cm−1から790cm−1までの波数領域でピーク強度が最大である吸収ピーク(最大吸収ピークという場合がある。)および上記ピーク強度が2番目に大きい吸収ピーク(2番目の最大吸収ピークという場合がある。)を、低波数側から第1吸収ピークおよび第2吸収ピークとし、1380cm−1付近でピーク強度が最大である吸収ピークを第3吸収ピークとしたときに、上記第3吸収ピークの上記ピーク強度に対する、上記第1吸収ピークおよび上記第2吸収ピークの少なくとも一方の上記ピーク強度の比が、0.05以下であることが好ましく、中でも0.04以下、特に0.03以下であることが好ましい。
中でも725cm−1付近でピーク強度が最大である吸収ピークおよび上記ピーク強度が2番目に大きい吸収ピークを、低波数側から第1吸収ピークおよび第2吸収ピークとし、1380cm−1付近でピーク強度が最大である吸収ピークを第3吸収ピークとしたときに、上記第3吸収ピークの上記ピーク強度に対する、上記第1吸収ピークおよび上記第2吸収ピークの少なくとも一方の上記ピーク強度の比が、0.05以下であることが好ましく、中でも0.04以下、特に0.03以下であることが好ましい。
その理由については、上記「I.第1態様 1.熱溶着層」の項で説明した理由と同様である。
上記第1ピーク強度比および第2ピーク強度比は、少なくとも一方が上記の範囲内にあればよく、中でも、第1ピーク強度比および第2ピーク強度比が、それぞれ上記の範囲内にあることが好ましい。
さらに、本態様において上記熱溶着層は、720cm−1付近でピーク強度が最大である吸収ピークを第1吸収ピークとし、730cm−1付近でピーク強度が最大である吸収ピークを第2吸収ピークとし、1380cm−1付近でピーク強度が最大である吸収ピークを第3吸収ピークとしたときに、上記第3吸収ピークの上記ピーク強度に対する、上記第1吸収ピークおよび上記第2吸収ピークの少なくとも一方の上記ピーク強度の比が0.05以下であることが好ましく、中でも0.04以下、特に0.03以下であることが好ましい。このとき、上記第1ピーク強度比および上記第2ピーク強度比は、少なくとも一方が上記の範囲内にあればよいが、中でも上記第1ピーク強度比および上記第2ピーク強度比のそれぞれが、上記の範囲内にあることが好ましい。その理由については、上記「I.第1態様 1.熱溶着層」の項で説明した理由と同様である。
ここで720cm−1付近とは、720cm−1±5cm−1の波数領域とすることができ、中でも720cm−1±2cm−1の波数領域であることが好ましい。また、上記730cm−1付近とは、730cm−1±5cm−1の波数領域とすることができ、中でも730cm−1±2cm−1の波数領域であることが好ましい。
本態様における上記熱溶着層の赤外吸収スペクトルは、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)を用いた1回反射ATR測定法により測定することができる。測定方法については、上記「I.第1態様 1.熱溶着層」の項で説明した通りである。また、その他、本態様における熱溶着層の赤外吸収スペクトルの詳細については、上記「I.第1態様 1.熱溶着層」の項で説明した通りである。
本態様において、上記熱溶着層の厚みは、上記「I.第1態様 1.熱溶着層」の項で説明した厚みと同様とすることが出来る。また、上記熱溶着層は、市販のフィルムを用いてもよく、公知の方法でプロピレンを重合して得られる、ホモポリマーを主成分とするポリプロピレン樹脂を用い、押出等によりシート状に成形した成形体を用いてもよい。上記成形体は、無延伸であってもよく、延伸してもよい。
B.真空断熱材
次に、本発明の真空断熱材について説明する。本発明の真空断熱材は、芯材と、上記芯材を封入する真空断熱材用外包材とを有する真空断熱材であって、上記真空断熱材用外包材は、熱溶着層、バリア層および保護層を、この順で有し、上記熱溶着層は、ホモポリマーを含有する無延伸ポリプロピレンフィルムであることを特徴とするものである。
また、本発明の真空断熱材の別の態様は、芯材と、上記芯材を封入する真空断熱材用外包材とを有する真空断熱材であって、上記真空断熱材用外包材は、熱溶着層、バリア層および保護層を、この順で有し、上記熱溶着層は、ホモポリマーを主成分とするポリプロピレンフィルムであることを特徴とするものである。
本発明の真空断熱材については、既に説明した図2に例示するものと同様とすることができる。本発明によれば、上記真空断熱材用外包材が上述の本発明の真空断熱材用外包材であることにより、上記真空断熱材を高温環境下または常温にて長期間断熱性能を維持することができる真空断熱材を形成可能なものとすることができる。
本発明の真空断熱材は、真空断熱材用外包材および芯材を少なくとも有するものである。
以下、本発明の真空断熱材について、構成ごとに説明する。
1.真空断熱材用外包材
本発明における真空断熱材用外包材は、上記芯材を封入するものである。また、上記真空断熱材用外包材は、上述の本発明の真空断熱材用外包材である。このような真空断熱材用外包材については、「A.真空断熱材用外包材」の項に記載した内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
なお、封入するとは、上記外包材を用いて形成された袋体の内部に密封されることをいうものである。
本発明における真空断熱材用外包材は、「A.真空断熱材用外包材」の項に説明した第1態様であってもよく、第2態様であってもよい。
2.芯材
本発明における芯材は、上記真空断熱材用外包材により封入されるものである。
上記芯材としては、熱伝導度の低いものであることが好ましい。上記芯材は、その空隙率が50%以上、特に90%以上の多孔質材であることが好ましい。
上記芯材を構成する材料としては、粉体、発泡体、繊維体等を用いることができる。
上記粉体としては、無機系、有機系のいずれでもよく、例えば、乾式シリカ、湿式シリカ、凝集シリカ粉末、導電性粉体、炭酸カルシウム粉末、パーライト、クレー、タルク等を用いることができる。なかでも乾式シリカと導電性粉体との混合物は、真空断熱材の内圧上昇に伴う断熱性能の劣化が小さいため、内圧上昇が生じる温度範囲で使用する際に有利である。さらに、上述の材料に酸化チタンや酸化アルミニウムやインジウムドープ酸化錫等の赤外線吸収率が小さい物質を輻射抑制材として添加すると、芯材の赤外線吸収率を小さくすることができる。
また、上記発泡体としては、ウレタンフォーム、スチレンフォーム、フェノールフォーム等があり、これらのなかでも連続気泡を形成する発泡体が好ましい。
また、上記繊維体としては、無機繊維でもよく有機繊維でもよいが、断熱性能の観点から無機繊維を用いることが好ましい。このような無機繊維としては、グラスウールやグラスファイバー等のガラス繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、セラミック繊維、ロックウール等を挙げることができる。これらの無機繊維は、熱伝導率が低く、粉体よりも取り扱いが容易である点で好ましい。
上記芯材は、上述した材料を単独で使用してもよく、2種以上の材料を混合した複合材であってもよい。
3.真空断熱材
本発明の真空断熱材は、上記真空断熱材用外包材で封入された内部を減圧密封し、真空状態としたものである。上記真空断熱材内部の真空度としては、5Pa以下であることが好ましい。真空断熱材内部の真空度を上記範囲内とすることにより、内部に残存する空気の対流による熱伝導を小さいものとすることができ、優れた断熱性を発揮することが可能となる。
また、上記真空断熱材の熱伝導率は低いことが好ましく、例えば、上記真空断熱材の25℃における熱伝導率(初期熱伝導率)は、5mW/m・K以下であることが好ましく、中でも4mW/m・K以下であることが好ましく、特に3mW/m・K以下であることが好ましい。真空断熱材の熱伝導率を上記範囲とすることにより、上記真空断熱材は熱を外部に伝導しにくくなることから、高い断熱効果を奏することができるからである。また、上記真空断熱材の90℃、1000時間劣化後の熱伝導率が15mW/m・K以下好ましく、中でも11.5mW/m・K以下であることが好ましい。なお、上記熱伝導率は、JIS−A−1412−2に従い、熱伝導率測定装置を用いて熱流計法により測定された値とすることができる。上記熱伝導率測定装置としては、熱伝導率測定装置オートラムダ(製品名 HC−074、英弘精機製)を挙げることができる。
詳しくは、上記熱伝導率の測定は、JIS A1412−2:1999(熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法−第2部:熱流計法(HFM法))に準拠する方法により、熱伝導率測定装置(例えば、熱伝導率測定装置オートラムダHC−074(英弘精機製))を用いて以下の条件で測定することができる。測定は、測定試料(真空断熱材)の両方の主面が上下方向を向くように配置して行う。熱伝導率測定前に、測定試料の温度が測定環境温度と等しくなっているかを、熱流計などを使用して予め測定しておくことが好ましい。1つの条件では少なくとも3つのサンプルを測定し、それらの測定値の平均をその条件の熱伝導率の値とする。
(熱伝導率の測定条件)
・測定試料:幅29cm±0.5cm、長さ30cm±0.5cm
・試験の定常に要する時間:15分以上
・標準板の種類:EPS
・高温面の温度:30℃
・低温面の温度:10℃
・測定試料の平均温度:20℃
上記真空断熱材はバリア性能が高いことが好ましい。外部からの水分や酸素等の侵入による真空度の低下を防止することができるからである。上記真空断熱材のバリア性能については、上述した「A.真空断熱材用外包材 I.第1態様 2.バリア層」の項で説明した酸素透過度および水蒸気透過度と同様であるため、ここでの説明は省略する。
4.製造方法
本発明の真空断熱材の製造方法としては、一般的な方法を用いることができる。例えば、予め上述の本発明の外包材を準備し、2枚の上記外包材をそれぞれの熱溶着層が内側に向き合う様に対向させ、その間に上記芯材を配置し、製袋機等によって上記芯材の外周の一方を開口部とし、残り三方の外包材同士の端部を熱溶着することで、2枚の上記外包材により形成され、内部に上記芯材が配置された袋体を準備し、次いで、上記袋体を真空封止機に装着し、上記袋体の内部圧力を減圧した状態で上記開口部を密封することにより、上記芯材が上記外包材により封入された真空断熱材が得られる。
また、上記製造方法は、1枚の上記外包材を熱溶着層が内側に向き合う様に対向させ、その間に上記芯材を配置し、製袋機等によって上記芯材の外周の一方を開口部とし、残り二方の上記外包材同士の端部を熱溶着することで、1枚の上記外包材により形成され、内部に上記芯材が配置された袋体を準備し、次いで、上記袋体を真空封止機に装着し、上記袋体の内部圧力を減圧した状態で上記開口部を密封することにより、上記芯材が上記外包材により封入された真空断熱材を得る方法であっても良い。
5.用途
本発明の真空断熱材は、熱伝導率が低く、高温下においても断熱性および耐久性に優れるものである。従って、上記真空断熱材は、熱源を有し発熱する部位や、外部から加熱されることにより高温となる部位等の熱絶縁が必要な部位に用いることができる。本発明の用途としては、例えば、「C.真空断熱材付き機器」で説明する機器、クーラーボックス、輸送用コンテナ、水素等の燃料タンク、システムバス、温水タンク、保温庫、住宅壁、自動車、飛行機、船舶、列車等が挙げられる。
C.真空断熱材付き物品
次に、本発明の真空断熱材付き物品について説明する。本発明の真空断熱材付き物品は、熱絶縁領域を有する物品および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、上記真空断熱材は、芯材と、上記芯材を封入する真空断熱材用外包材とを有し、上記真空断熱材用外包材は、熱溶着層、バリア層および保護層を、この順で有し、上記熱溶着層は、ホモポリマーを含有する無延伸ポリプロピレンフィルムであることを特徴とするものである。
また、本発明の真空断熱材付き物品の別の態様は、熱絶縁領域を有する物品および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、上記真空断熱材は、芯材と、上記芯材を封入する真空断熱材用外包材とを有し、上記真空断熱材用外包材は、熱溶着層、バリア層および保護層を、この順で有し、上記熱溶着層は、ホモポリマーを主成分とするポリプロピレンフィルムであることを特徴とするものである。
本発明によれば、物品に備わる上記真空断熱材が、「A.真空断熱材用外包材」の項で説明した外包材を用いた真空断熱材であり、高温環境下または常温にて長期間断熱性能を維持することができるため、良好な断熱性能を有する物品とすることができる。
ここで、熱絶縁領域とは、真空断熱材により熱絶縁された領域であり、例えば、保温や保冷された領域、熱源や冷却源を取り囲んでいる領域、熱源や冷却源から隔離されている領域である。これらの領域は、空間であっても物体であってもよい。
物品として、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、保温器、保冷器等の電気機器、保温容器、保冷容器、輸送容器、コンテナ、貯蔵容器等の容器、車両、航空機、船舶等の乗り物、家屋、倉庫等の建築物、壁材、床材等の建築資材等が挙げられる。
本発明の真空断熱材付き物品の具体例としては、本体又は内部に熱源部または被保温部を有する機器、および真空断熱材を備える真空断熱材付き機器が挙げられる。ここで、「熱源部」とは、機器自体が駆動することにより、当該機器本体または機器内部において発熱する部位をいうものであり、例えば電源やモーター等をいう。また、「被保温部」とは、機器本体または内部に熱源部を有さないが、上記機器が外部の熱源から熱を受けて、高温になる部位をいうものである。
本発明によれば、上記真空断熱材が上述の本発明の真空断熱材であり、高温環境下または常温にて長期間断熱性能を維持することができるため、熱源部を有する機器においては、上記真空断熱材により熱源部からの熱を断熱し、機器全体の温度が高温となることを防止し、一方、被保温部を有する機器においては、上記真空断熱材により上記被保温部の温度状態を保つことができる。これにより、消費電力を抑えた高い省エネルギー特性を有する機器とすることができる。
本発明における真空断熱材については、上述した「B.真空断熱材」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本発明における機器とは、本体又は本体の内部に熱源部もしくは被保温部を有するものであるが、中でも、80℃〜150℃の範囲内程度の高温に達する熱源部または被保温部を少なくとも有するものが好ましい。本発明における機器としては、例えば、自然冷媒ヒートポンプ給湯機(登録商標「エコキュート」)、冷蔵庫、自動販売機、炊飯ジャー、ポット、電子レンジ、業務用オーブン、IHクッキングヒーター、OA機器等の電化機器、自動車等が挙げられる。中でも本発明においては、上記機器が、自然冷媒ヒートポンプ給湯機、業務用オーブン、電子レンジ、自動車であり、上述の本発明の真空断熱材が用いられていることが好ましい。
上記真空断熱材を機器に装着する態様としては、当該機器の熱源部もしくは被保温部に直接真空断熱材を貼り付けてもよく、被保温部と熱源部または外部熱源との間に真空断熱材を挟みこむようにして装着してもよい。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例]
(層間接着剤の調製)
ポリエステルを主成分とする主剤と脂肪族系ポリイソシアネートを含む硬化剤、および酢酸エチルを、重量配合比が主剤:硬化剤:酢酸エチル=10:1:10となるように混合し、2液硬化型の層間接着剤を調製した。
(真空断熱材用外包材の作製)
熱溶着層/バリア層/第1保護層/第2保護層の層構成を有する外包材を作製した。なお、上記層構成における「/」は積層界面を示す。
熱溶着層として、ホモポリマーを含有するCPPフィルム(厚み:50μm、製品名:トレファン3301、東レフィルム加工社製)を用いた。バリア層として、アルミニウム箔(Al厚み6μm、製品名:8021、UACJ製箔社製)を用いた。また、第1保護層として、ナイロンフィルム(厚み:25μm、製品名:エンブレムONBC、ユニチカ社製)を用い、第2保護層として、PETフィルム(厚み:12μm、製品名:エンブレットPTMB、ユニチカ社製)を用いた。
上記各層は、下層となる層の面上に上述の配合比で調製した層間接着剤を、塗布量3.5g/mとなるようにダイコーターを用いて塗布して乾燥させ、上層となる層をラミネートすることにより積層した。
(真空断熱材の作製)
得られた外包材を2枚重ねて、矩形の3方向をヒートシールして1方向のみが開口した袋体を作成した。芯材として300mm×300mm×30mmのグラスウールを用い、乾燥処理を行った後、上記袋体に上記芯材を収納して、上記袋体内部を真空排気した。その後、上記袋体の開口部分をヒートシールにより密封して、真空断熱材を得た。到達圧力は0.05Paとした。
[比較例1]
熱溶着層として、ランダムコポリマーを含有するCPPフィルム(厚み:50μm、製品名:トレファン3951、東レフィルム加工社製)を用いたこと以外は上記実施例と同様に外包材を作製し、得られた外包材を用いて上記実施例と同様に真空断熱材を作製した。
[比較例2]
熱溶着層として、ブロックコポリマーを含有するCPPフィルム(厚み:50μm、製品名:トレファンZK99S、東レフィルム加工社製)を用いたこと以外は上記実施例と同様に外包材を作製し、得られた外包材を用いて上記実施例と同様に真空断熱材を作製した。
[評価1]
実施例および比較例1〜2で得られた真空断熱材の熱伝導率を測定した。各真空断熱材の熱伝導率は、JIS A1412−2に従い、熱伝導率測定装置を用いて熱流計法により測定された値とした。上記熱伝導率測定装置としては、熱伝導率測定装置オートラムダ(製品名 HC−074、英弘精機製)を用いた。具体的には、上記の熱伝導率測定装置を用い、定試料の両方の主面が上下方向を向くように配置した状態で、JIS A1412−2:1999(熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法−第2部:熱流計法(HFM法))に準拠する方法により下記の測定条件で測定した。1つの条件では3つのサンプルを測定し、それらの測定値の平均を熱伝導率の値とした。測定結果を図6に示す。
(熱伝導率の測定条件)
・測定試料:幅29±0.5cm、長さ30±0.5cm
・試験の定常に要する時間:15分以上
・標準板の種類:EPS
・高温面の温度:30℃
・低温面の温度:10℃
・測定試料の平均温度:20℃
真空断熱材の熱伝導率の測定結果から、熱溶着層として、ホモポリマーを含有するCPPフィルムを用いた実施例は、ランダムコポリマーを用いた比較例1やブロックコポリマーを用いた比較例2と比べ、長時間経過後も熱伝導率が低く、長期間断熱性能を高く維持していることが分かる。長時間経過後も熱伝導率が低いことは、真空断熱材内部の真空度の経時的な変化が少ないことを意味するものであり、ホモポリマーCPPフィルムを用いることにより、他のCPPフィルムを用いた場合よりも、長期間にわたり高い真空度を維持することができていることが分かる。
[参考評価]
実施例および比較例1〜2において熱溶着層として用いた各種CPPフィルムについて、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)を用いた1回反射ATR測定法により赤外吸収スペクトル測定を行い、720±5cm−1の波数領域でピーク強度が最大である吸収ピークを第1吸収ピークBとし、730±5cm−1の波数領域でピーク強度が最大である吸収ピークを第2吸収ピークCとし、1380±10cm−1の波数領域でピーク強度が最大である吸収ピークを第3吸収ピークAとした。赤外吸収スペクトル(FT−IR)測定は、上記「A.真空断熱材用外包材 I.第1態様 1.熱溶着層」の項で説明した熱溶着層の赤外吸収スペクトルの測定方法および条件に従い行った。
上記第1吸収ピークのピーク強度をI、上記第2吸収ピークのピーク強度をI、上記第3吸収ピークのピーク強度をIとして、各種CPPフィルムについて、第3吸収ピークのピーク強度Iに対する第1吸収ピークのピーク強度Iのピーク強度比I/I、および第3吸収ピークのピーク強度Iに対する第2吸収ピークのピーク強度Iのピーク強度比I/Iをそれぞれ算出した(参考例1〜3)。また、ホモPPフィルム(厚み:40μm、製品名:SC40、三井化学東セロ社製)、ポリエチレンフィルム(厚み:50μm、製品名:HC-E、三井化学東セロ社製)についても同様に赤外吸収スペクトル測定を行い、ピーク強度比I/IおよびI/Iを算出した(参考例4〜5)。結果を表1、図7に示す。図7(b)は図7(a)の波線部分の拡大図である。
なお、参考例1、2の第1吸収ピークB、参考例3〜5の第2吸収ピークCは、それぞれ、各参考例に用いたPPフィルムの赤外吸収スペクトルにおいて、700cm−1から790cm−1までの波数領域での最大吸収ピークに相当した。
また、参考例1〜5の各PPフィルムについて、上記「A.真空断熱材用外包材 I.第1態様 1.熱溶着層」の項で説明した方法により、90℃における揮発ガス量(有機成分量)を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0006891511
上記結果から、ホモPPフィルムである参考例1および参考例4のピーク強度比I/IおよびI/Iは、共に0.03以下であり、PEを含有する参考例2〜3およびPEフィルムである参考例5のピーク強度比I/IおよびI/Iと比較して微小な値を示した。この結果から、参考例1および参考例4は、PEを含有していない、若しくはPE含有率が極めて低いこと(ポリマー成分がホモPPを主成分としていること)が示唆された。また、表1および参考例4と同様のホモPPを使用した揮発ガス量の測定結果(図3および図4)から、ホモPPフィルムは、PEを含有するブロックPPフィルムやランダムPPフィルムと比較し揮発ガスの発生量が非常に少ないことが示唆された。
参考例1、2の第1吸収ピークB、参考例3〜5の第2吸収ピークCは、それぞれ、各参考例に用いたPPフィルムについて、700cm−1から790cm−1までの波数領域での最大吸収ピークに相当した。1380±10cm−1の波数領域での最大吸収ピーク(第3吸収ピーク)のピーク強度Iに対する、700m−1から790cm−1までの波数領域での最大吸収ピークのピーク強度の比率(参考例1、2におけるI/I、参考例3〜5におけるI/I)を比較した場合であっても、ホモPPフィルムである参考例1および参考例4のピーク強度比は、コポリマー含有のPPフィルムである参考例2〜3、およびPEフィルムである参考例5のピーク強度比よりも低い値を示した。また、PPフィルムにおいては、ピーク強度比が小さい程、揮発ガスの発生量が少なくなる傾向が確認された。
これらの結果から、真空断熱材用外包材において、熱溶着層に揮発ガス発生量の少ないホモPPフィルムを使用することで、真空断熱材内部の真空度を維持することが可能となり、他のPPフィルムを用いた場合よりも、長期間にわたり高い真空度を維持することが示唆された。すなわち、1380cm−1付近での最大吸収ピークのピーク強度に対する700m−1から790cm−1までの波数領域での最大吸収ピークの比率が所定値以下となるPPフィルムは、ホモPPが主成分であることが確認され、真空断熱材用外包材における熱溶着可能なフィルムに適していることが示唆された。また、1380cm−1付近での最大吸収ピークのピーク強度に対する、720cm−1付近での最大吸収ピークのピーク強度比I/IA、および、1380cm−1付近での最大吸収ピークのピーク強度に対する、730cm−1付近での最大吸収ピークのピーク強度の比I/Iが、I/I≦0.05、I/I≦0.05となるPPフィルムは、PEを殆ど含まずホモPPが主成分であることが確認され、真空断熱材用外包材における熱溶着可能なフィルムに適していることが示唆された。
1、1A、1B … 熱溶着層
2、2A、2B、 … バリア層
3、3A、3B … 保護層
10、10A、10B … 真空断熱材用外包材(外包材)
11 … 芯材
20 … 真空断熱材

Claims (6)

  1. 熱溶着層、バリア層および保護層を、この順で有する真空断熱材用外包材であって、
    前記熱溶着層は、ホモポリマーを主成分とするポリプロピレンフィルムであり、
    前記熱溶着層は、赤外吸収スペクトルにおいて、1380±10cm −1 の波数領域でピーク強度が最大である吸収ピークの前記ピーク強度に対する、700m −1 から790cm −1 までの波数領域でピーク強度が最大である吸収ピークの前記ピーク強度の比が、0.05以下である、真空断熱材用外包材。
  2. 熱溶着層、バリア層および保護層を、この順で有する真空断熱材用外包材であって、
    前記熱溶着層は、ホモポリマーを主成分とするポリプロピレンフィルムであり、
    前記熱溶着層は、赤外吸収スペクトルにおいて、720cm −1 ±5cm −1 の波数領域でピーク強度が最大である吸収ピークを第1吸収ピークとし、
    730cm −1 ±5cm −1 の波数領域でピーク強度が最大である吸収ピークを第2吸収ピークとし、
    1380±10cm −1 の波数領域でピーク強度が最大である吸収ピークを第3吸収ピークとしたときに、
    前記第3吸収ピークの前記ピーク強度に対する、前記第1吸収ピークおよび前記第2吸収ピークの少なくとも一方の前記ピーク強度の比が0.05以下である、真空断熱材用外包材。
  3. 前記ポリプロピレンフィルムの90℃における揮発ガス量が、15mg/m以下である、請求項1または請求項2に記載の真空断熱材用外包材。
  4. 前記第3吸収ピークの前記ピーク強度に対する前記第1吸収ピークの前記ピーク強度の比、および前記第3吸収ピークの前記ピーク強度に対する前記第2吸収ピークの前記ピーク強度の比が、それぞれ0.05以下である、請求項2に記載の真空断熱材用外包材。
  5. 芯材と、前記芯材を封入する真空断熱材用外包材とを有する真空断熱材であって、
    前記真空断熱材用外包材が、請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の真空断熱材用外包材である、
    真空断熱材。
  6. 熱絶縁領域を有する物品および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、
    前記真空断熱材は、芯材と、前記芯材を封入する真空断熱材用外包材とを有し、
    前記真空断熱材用外包材が、請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の真空断熱材用外包材である、真空断熱材付き物品。
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