以下に、本発明の好ましい実施の形態を、以下の図面に基づいて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る撮像システムの概略図であり、図1の撮像システムは、撮像装置であるカメラ本体1、カメラ本体1の着脱可能な交換レンズである交換レンズ2、カメラ1に着脱可能な照明装置であるフラッシュ3を有している。
カメラ本体1において、10はメカニカルシャッター、11は光学ロウパスフィルター、12は例えばCMOSやCCDといったエリア蓄積型光電変換素子からなる撮像素子である。メカニカルシャッター10を光路から退避させることで撮像素子12が露光される。
13は半透過性の主ミラー、14は第1の反射ミラーで、主ミラー13と第1の反射ミラー14はともに撮影時には上部に跳ね上がり光路から退避する。
15は第1の反射ミラー14による撮像素子12の撮像面と共役な近軸的結像面、16は第2の反射ミラー、17は赤外カットフィルター、18は2つの開口部を有する絞り、19は2次結像レンズ、20は焦点検出用センサー(AFセンサー)である。焦点検出用センサー20は、例えばCMOS等のエリアの蓄積型光電変換素子からなる。図2は、焦点検出用センサー20の構成例を示す図であり、図2に示すように絞り18の2つの開口部に対応して多数分割された受光センサー部が20Aと20Bとの2対のエリアの構成になっている。また、受光センサー部20Aと20Bに加えて、信号蓄積部や信号処理用の周辺回路などが同一チップ上に集積回路として実装されている。第1の反射ミラー14から焦点検出用センサー20までの構成は、撮像領域内の複数の位置での位相差検出方式での焦点検出を可能とするものである。
21は拡散性を有するピント板、22はペンタプリズム、23は接眼レンズ、24は第3の反射ミラー、25は集光レンズ、26は被写体の輝度に関する情報を得るための測光用センサー(AEセンサー)である。ピント板21、ペンタプリズム22、接眼レンズ23によってファインダー光学系が構成される。測光用センサー26には、主ミラー13によって反射されてピント板21によって拡散された光線のうち光軸外の一部が入射する。
測光用センサー26は、例えばCMOS等のエリアの蓄積型光電変換素子からなる。図3(a)は測光用センサー26の構成例を示す図であり、図3(a)に示すように、受光領域内を複数分割した領域(測光エリア)毎に被写体の輝度情報や色情報を出力できる。複数分割した領域について本例では7列×5行の35分割とし、35分割された各分割領域をPD1〜PD35と呼ぶこととする。なお、図示していないがPD1〜PD35の各分割領域はさらに細かな受光部画素に分割し、各画素には一定の配列でカラーフィルタが設けられる。このような構成の測光用センサー26の出力情報に基づき、被写体検知情報を得ることができる。被写体検知情報とは測光用センサー26の細かな受光部画素出力に基づく人物の顔検出情報であったり、測光用センサー26の色検出情報に基づく主被写体の色情報であったりする。図3(b)は、測光用センサー26の測光エリアと焦点検出用センサー20の焦点検出位置との関係を示す図である。本例では焦点検出用センサー20による撮像領域内の焦点検出位置をFA10からFA26までの11ポイントとする例で、それぞれの焦点検出位置は測光用センサー26による測光エリアのPD10からPD26部分に合致するものとしている。
27は交換レンズ2を取り付けるマウント部、28は交換レンズ2と情報通信を行うための接点部、29はフラッシュ3を取り付けられる接続部である。
交換レンズ2において、30a〜30eは撮影レンズを構成する各光学レンズ、31は絞り、32はカメラ本体1と情報通信を行うための接点部、33はカメラ本体1に取り付けられるためのマウント部である。
フラッシュ3において、34は光源であるキセノン管、35は光源が発する光を所定方向に反射させる反射部材、36はキセノン管34からの光及び反射部材35で反射された光を集光するフレネルレンズである。また、37はキセノン管34の発光量をモニターするためのモニターセンサー、38はカメラ本体1にフラッシュ3を取り付けるための取り付け部である。
図4は、図1に示した撮像システムのブロック図であり、図1と同様の部分は図1と同じ符号にしている。
カメラ本体1において、41は例えば内部にALU、ROM、RAMやA/Dコンバータ、タイマー、シリアル通信ポート(SPI)等を内蔵したワンチップマイクロコンピュータ(マイコン)でありカメラ撮像システムの全体制御を行う。
焦点検出用センサー20及び測光用センサー26の出力信号は、マイコン41のA/Dコンバータ入力端子に接続される。42は測光用センサー26の蓄積や読み出しを制御するためのタイミング信号等を生成するタイミングジェネレータである。
43は信号処理回路であり、マイコン41の指示に従って撮像素子12を制御して撮像素子12が出力する撮像信号をA/D変換しながら入力して信号処理を行い、画像信号を得る。また、得られた画像信号を記録するにあたって、圧縮等の必要な画像処理を行う。44はDRAM等のメモリであり、信号処理回路43が種々の信号処理を行う際のワーク用メモリとして使われたり、後述する表示器45に画像を表示する際のVRAMとして使われたりする。45は液晶パネル等で構成されて各種撮影情報や撮像画像を表示する表示部であり、マイコン41からの指示により点灯制御される。46はフラッシュメモリ又は光ディスク等による記憶手段であり、撮像された画像信号を信号処理回路43から入力されて記憶する。
47は第1のモータドライバであり、マイコン41の出力端子に接続されて制御されて、主ミラー13及び第1の反射ミラー14のアップ・ダウンやメカニカルシャッター10のチャージを行うための第1のモータ48を駆動する。49は撮影開始を指示するためのレリーズスイッチである。
28は交換レンズ2との接点部であり、マイコン41のシリアル通信ポートの入出力信号が接続される。29はフラッシュ3との接続部であり、フラッシュ3と通信が可能なようにマイコン41のシリアル通信ポートの入出力信号が接続される。50はシャッター駆動手段でありマイコン41の出力端子に接続されてメカニカルシャッター10を駆動する。
交換レンズ2において、51は例えば内部にALU、ROM、RAMやタイマー、シリアル通信ポート(SPI)等を内蔵したワンチップマイクロコンピュータによるレンズマイコンである。
52は第2のモータドライバであり、レンズマイコン51の出力端子に接続されて制御され、焦点調節を行うための第2のモータ53を駆動する。54は第3のモータドライバであり、レンズマイコン51の出力端子に接続されて制御され、絞り31の制御を行うための第3のモータ55を駆動する。56は焦点調節レンズ(フォーカスレンズ)の繰り出し量すなわち被写体距離に関する情報を得るための距離エンコーダーであり、レンズマイコン51の入力端子に接続される。57は交換レンズ2がズームレンズである場合に撮影時の焦点距離情報を得るためのズームエンコーダーであり、レンズマイコン51の入力端子に接続される。32はカメラ本体1との接点部であり、レンズマイコン51のシリアル通信ポートの入出力信号が接続される。
交換レンズ2がカメラ本体1に装着されると、接点部28、32が互いに接続されてレンズマイコン51はカメラ本体1のマイコン41とのデータ通信が可能となる。カメラ本体1のマイコン41が焦点検出や露出演算を行うために必要なレンズ固有の光学的な情報は、レンズマイコン51からカメラ本体1のマイコン41へとデータ通信によって出力される。また、距離エンコーダー56あるいはズームエンコーダー57に基づいた被写体距離に関する情報または焦点距離情報は、レンズマイコン51からカメラ本体1のマイコン41へとデータ通信によって出力される。また、カメラ本体1のマイコン41が焦点検出や露出演算を行った結果求められた焦点調節情報や絞り情報はカメラ本体1のマイコン41からレンズマイコン51へとデータ通信によって出力される。そして、レンズマイコン51は焦点調節情報に従って第2のモータドライバ52を制御し、絞り情報に従って第3のモータドライバ54を制御する。
フラッシュ3において、61は例えば内部にALU、ROM、RAMやA/Dコンバータ、タイマー、シリアル通信ポート(SPI)等を内蔵したワンチップマイクロコンピュータによるフラッシュマイコンである。62はコンデンサを含み、キセノン管34の発光に必要な300V程度の高圧電圧を作りその高圧電圧をコンデンサに充電する機能を有する昇圧部である。
フラッシュ3がカメラ本体1に装着されると、接続部38、29が互いに接続されてフラッシュマイコン61はカメラ本体1のマイコン41とのデータ通信が可能となる。フラッシュマイコン61はカメラ本体1のマイコン41からの通信内容に従って昇圧部62を制御してキセノン管34の発光開始や発光停止を行うとともに、モニターセンサー37の検出量をカメラ本体1のマイコン41に対して出力する。
次に、本実施形態の撮像システムの発光撮影に関する動作を図5を用いて説明する。図5は、本実施形態の撮像システムの発光撮影に関する動作を示す図であり、カメラ本体1が有する不図示の電源スイッチがオンされてマイコン41が動作可能となると、図5に示す動作が開始される。
ステップS101でマイコン41は、フラッシュマイコン61に通信して、昇圧部62を動作させてフラッシュ3の発光に十分となるようコンデンサに充電するように指示する。
ステップS102でマイコン41は、レンズマイコン51と通信を行ない測距や測光に必要な各種レンズ情報を得る。
ステップS103でマイコン41は、焦点検出用センサー20に対して制御信号を出力する。そして、マイコン41は、焦点検出用センサー20の信号蓄積が終了すると焦点検出用センサー20に蓄積された信号を読み出してA/D変換を行い、読み込まれた各デジタルデータに対してシェーディング等の必要な各種のデータ補正を行う。
ステップS104でマイコン41は、ステップS102で得たレンズ情報とステップS103で得たデジタルデータに基づいて撮像領域内の各焦点検出位置の焦点状態を演算し、撮像領域内の焦点を合わせるべき領域(合焦対象領域)を決定する。なお、合焦対象領域は、あらかじめカメラ本体1が有する不図示の操作部材などにより指定されている領域があるならばその指定にしたがってもよい。
そして、マイコン41は、決定された合焦対象領域における焦点状態に従って合焦となるためのレンズ移動量を算出し、算出されたレンズ移動量をレンズマイコン51に出力する。レンズマイコン51は、マイコン41から取得したレンズ移動量に基づいて焦点調節用レンズを駆動するように第2のモータドライバ52に信号出力して、第2のモータ53を駆動する。これにより決定された合焦対象領域の被写体に対して合焦状態となる。ここで、焦点調節用レンズを駆動することで距離エンコーダー56の情報が変化するので、マイコン41はレンズマイコン51と通信を行い、各種レンズ情報の更新も行う。また、マイコン41は、合焦対象領域の被写体に対して合焦状態となった後に、再度焦点検出用センサー20の信号蓄積と信号読み出し及び撮像領域内の各焦点検出位置の焦点状態を演算する。
ステップS105でマイコン41は、タイミングジェネレータ42を制御して測光用センサー26の所定の蓄積制御及び信号読み出し制御を行う。ここでは、被写体検知処理と撮影時露出を決定するための露出演算用の第1の測光情報と、測光対象の光量変化特性(光量変化周期および位相)を算出するための第2の測光情報とが得られるように制御する。
第2の測光情報を得るためには、例えば、想定される光量変化周期よりも十分に短い間隔での蓄積制御及び信号読み出し制御を複数回繰り返し行う。マイコン41は、測光用センサー26から複数回の蓄積信号を順次読み出し、A/D変換を行いRAMに格納する。
なお、第1の測光情報を得るための蓄積と第2の測光情報を得るための蓄積とは各々独立に行う例も考えられるし、第2の測光情報を得るための蓄積から得た測光情報を加算して第1の測光情報を得るための蓄積情報とすることも可能である。
ステップS106でマイコン41は、RAMに格納された第1の測光情報に基づいて被写体検知処理と露出演算処理を行う。被写体検知処理は、人物の顔検出や被写体の色検出などであり、例えば、連写撮影時にはこれらの情報を次回の焦点検出時にフィードバックして同じ被写体にピントを合わせられるようにすることも可能である。
露出演算処理は、例えば、第1の測光情報から35分割された測光エリアそれぞれの測光値を算出し、被写体検知情報やステップS104で決定された合焦対象領域の情報などに基づいて測光エリアごとの重み付け係数を算出する。そして、測光エリアごとの測光値に各々の重み付けをして加重平均するといった周知の方法で被写体輝度を算出する。被写体輝度が算出されたら、その輝度に対して適切な撮影を行うことができるシャッター速度、絞り値、撮影感度などの露出条件を決定する。
ステップS107でマイコン41は、第2の測光情報に基づいて、測光対象の光量変化特性を算出する。以下では、測光対象の光量変化特性を算出することをフリッカー検知と呼ぶこととする。ステップS107で実行するフリッカー検知処理の詳細については後述する。
ステップS108でマイコン41は、レリーズスイッチ49がオンされるのを待つ。オンされていなければステップS101へ移行し、レリーズスイッチ49がオンされていればステップS109へ移行する。
ステップS109でマイコン41は、フラッシュマイコン61にフラッシュ3の予備発光を指示する。マイコン41からの指示にしたがってフラッシュマイコン61は、モニターセンサー37の出力信号に基づきキセノン管34が予め定められた予備発光量だけ発光するようにキセノン管34を発光させる。この予備発光が行われている間の被写体の測光情報(予備発光時測光情報)を得るために、マイコン41はタイミングジェネレータ42を制御して測光用センサー26による所定の蓄積制御及び信号読み出し制御を行う。マイコン41は、測光用センサー26の信号蓄積が終了すると測光用センサー26に蓄積された信号を読み出してA/D変換を行いRAMに格納する。マイコン41は、RAMに格納された測光用センサー26の蓄積信号情報に基づいて、周知の方法でフラッシュ3の本発光量を決定する演算を行う。
ステップS110でマイコン41は、第1のモータドライバ47に制御信号を出力して、第1のモータ48を駆動して主ミラー13及び第1の反射ミラー14を跳ね上げる。続いて、マイコン41は、ステップS106で演算された絞り値情報をレンズマイコン51に出力する。この情報にしたがってレンズマイコン51は、絞り31を駆動するように第3のモータドライバ54に信号出力して、第3のモータ55を駆動する。
ステップS111でマイコン41は、ステップS107のフリッカー検知によりフリッカーが検知されている(測光対象の光量が所定の周期で変化している)場合に、露光タイミング調整を行う。露光タイミング調整では、フリッカー光源の光量変化の影響で画像内で露出ムラや色ムラが生じたり、連続して撮影した複数の画像間で露出や色温度のばらつきが生じないように、フリッカー光源の光量変化における所定の位相に露光タイミングを合わせる。例えば、フリッカー光源の光量変化のうちピークとなる位相の近傍は光量変化の度合いが最も小さい。そこで、本実施形態では、フリッカー光源の光量変化におけるピークタイミングに露光タイミングを合わせる。フリッカー光源の光量変化におけるピークタイミングに露光タイミングを合わせる方法は、例えば、特開2015−210283号公報に記載された方法などの公知の方法を用いればよく、詳細な説明は省略する。
ステップS112でマイコン41は、シャッター駆動手段50に対して信号出力を行い、メカニカルシャッター10を開放状態とする。これにより撮像素子12に交換レンズ2を透過した光が入射する状態(露光状態)となる。マイコン41は、ステップS106で演算されたシャッター速度に応じた蓄積時間と所定の撮像感度にしたがった読み出しゲインとに撮像素子12が設定されて信号蓄積が行われるように信号処理回路43に対して指示を出す。また、発光撮影するために露光タイミングに同期してフラッシュ3が本発光するようにフラッシュマイコン61にフラッシュ3の本発光指示を出力する。フラッシュマイコン61は、マイコン41からの本発光指示にしたがって、ステップS109で演算された本発光量に対応する発光量となるようにモニターセンサー37の出力信号に基づきキセノン管34を発光させる。以上のようにして、フラッシュ3の発光が伴う撮像が実行される。
ステップS106で演算されたシャッター速度に応じた蓄積時間が経過すると、マイコン41は、シャッター駆動手段50に対して信号出力を行い、メカニカルシャッター10を遮光状態とする。これにより撮像素子12に対する交換レンズ2を透過した光が遮断される。
ステップS113でマイコン41は、レンズマイコン51に絞り31を開放するように情報を出力する。このマイコン4からの情報にしたがってレンズマイコン51は、絞り31を駆動するように第3のモータドライバ54に信号出力して、第3のモータ55を駆動する。さらに、マイコン41は、第1のモータドライバ47に制御信号を出力して、第1のモータ48を駆動して主ミラー13及び第1の反射ミラー14をダウンさせる。
ステップS114でマイコン41は、撮像画像情報を撮像素子12からA/D変換しながら読み出して、必要な補正処理や補間処理を行うように信号処理回路43に対して指示を出す。
ステップS115でマイコン41は、信号処理回路43に対して指示を出して撮像画像情報に対してホワイトバランス調整を行う。具体的には、撮像画像情報に基づく画像を複数領域に分割し、各領域毎の色差信号より被写体の白色領域を抽出する。さらに抽出された領域の信号に基づいて画像全体の赤チャンネル及び青チャンネルのゲイン補正を行いホワイトバランス調整を行う。
ステップS116でマイコン41は、ホワイトバランス調整が行われた撮像画像情報を記録ファイルフォーマットに圧縮変換して記憶手段46に記憶するように信号処理回路43に対して指示を出す。以上が発光撮影に関する一連の動作である。
次に、ステップS107のフリッカー検知処理に関する動作について図6及び図7を用いて説明する。図6は、フリッカー検知処理に関する動作を示す図であり、図7は、撮影環境に応じたフリッカー検知用被写体輝度値を算出するときの各測光エリアの重み付けを示す図である。
ステップS151でマイコン41は、ステップS104で合焦対象領域の被写体に対して合焦状態となった後に再度演算した、撮像領域内の各焦点検出位置の焦点状態に基づいて、主被写体領域と主被写体よりは遠方にあると見なせる背景領域とを判別する。主被写体領域とは、合焦対象領域の被写体に対応する領域であり、主被写体領域の判別にはステップS106の被写体検知処理の検知結果を加味してもよい。
ステップS152でマイコン41は、ステップS106で算出した被写体輝度値に基づいて、日中の屋外等の高輝度環境での撮影と見なせるような被写体輝度の大きさであるか否かを判定する。具体的には、例えば、ステップS106で算出した被写体輝度値が、あらかじめ設定された第1の閾値以上か否かを判定する。なお、ステップS106で算出した被写体輝度値とステップS106で決定した露出条件とに基づいて判定してもよい。被写体輝度値が第1の閾値未満の場合はステップS153へ移行し、被写体輝度値が第1の閾値以上の場合はステップS156へ移行する。
ステップS153でマイコン41は、ステップS106で算出した被写体輝度値に基づいて、比較的明るい屋内等の中輝度環境での撮影と見なせるような被写体輝度の大きさであるか否かを判定する。具体的には、例えば、ステップS106で算出した被写体輝度値が、あらかじめ設定された第2の閾値以上か否かを判定する。第2の閾値は第1の閾値よりも小さい値である。なお、ステップS106で算出した被写体輝度値とステップS106で決定した露出条件とに基づいて判定してもよい。被写体輝度値が第2の閾値未満の場合はステップS154へ移行し、被写体輝度値が第2の閾値以上の場合はステップS155へ移行する。
S154へ移行する場合は、夜の屋外など低輝度環境での撮影と見なせる。低輝度環境で発光撮影を行うと、図7(a)に示すようにフラッシュ3の光が届いた主被写体は明るく、フラッシュ3の光が届かない背景は暗くなる。このように、低輝度環境で発光撮影を行うときは、環境光の光源がフリッカー光源であっても画像に影響を与えるは極めて少ないため、フリッカー検知の検知領域を主被写体と背景とで区別しない。そこで、ステップS154でマイコン41は、図7(b)に示すように35分割された測光エリアそれぞれの重み付けを等しくして、単純平均してフリッカー検知用の被写体輝度値を算出する。そして、複数の第2の測光情報に基づく複数のフリッカー検知用の被写体輝度値を比較して、測光対象の光量変化周期を算出する。さらに、複数のフリッカー検知用の被写体輝度値の変化傾向から測光対象の光量変化における光量のピークタイミングを算出する。なお、測光対象の光量変化周期やピークタイミングの算出方法は、例えば、特開2015−210283号公報に記載された方法などの公知の方法を用いればよく、詳細な説明は省略する。
中輝度環境で発光撮影を行うと、図7(c)に示すようにフラッシュ3の光が届いた被写体が明るくなる点は低輝度環境と同じであるが、フラッシュ3の光が届かない背景は環境光によりある程度の明るさとなる。このような中輝度環境では、フラッシュ3の光が届く被写体には環境光も届くが、フラッシュ3の光に比べて環境光は被写体に届く光量が小さいため、環境光の光源がフリッカー光源であっても被写体に与える影響は小さい。一方、フラッシュ3の光が届かない背景は環境光の光源がフリッカー光源であると影響が大きい。そのため、ステップS155でマイコン41は、フリッカー検知時には背景領域を重視し、図7(d)に示すように主被写体領域の測光エリアよりも背景領域の測光エリアの重み付けを大きくして、加重平均してフリッカー検知用の被写体輝度値を算出する。測光対象の光量変化における光量のピークタイミングを算出方法についてはステップS154と同じため説明は省略する。
高輝度環境で発光撮影を行うと、図7(e)に示すようにフラッシュ3の光が届いた被写体が明るくなる点は低輝度環境や中輝度環境と同じであるが、フラッシュ3の光が届かない背景も環境光により一様な明るさとなる。このような高輝度環境では、フラッシュ3の光が届く被写体には環境光も届き、フラッシュ3の光に比べて環境光は被写体に届く光量が大きい。そのため、環境光の光源がフリッカー光源であればフラッシュ3の光が届く被写体に与える影響は大きい。フラッシュ3の光が届かない背景は、環境光の光源がフリッカー光源であると、中輝度環境よりも多くの環境光が届くためさらに影響が大きい。しかしながら、撮影者がきれいに撮りたいのは背景よりも主被写体である。そのため、ステップS156でマイコン41は、フリッカー検知時には主被写体領域を重視し、図7(f)に示すように主被写体領域の測光エリアを背景領域の測光エリアの重み付けよりも大きくして、加重平均してフリッカー検知用の被写体輝度値を算出する。測光対象の光量変化における光量のピークタイミングを算出方法についてはステップS154と同じため説明は省略する。
以上のように、撮影環境に応じてフリッカー検知用の被写体輝度値を算出するときの各測光エリアに対する重み付けを設定することで、撮影環境に応じて測光対象からの光の光量変化特性を精度よく算出することができる。なお、撮影環境に応じて各測光エリアに対する重み付けを設定する例を図7を用いて説明したが、重み付けの値は図7に示した値に限定されない。例えば、図7(d)や図7(f)において重み付けの値が「1」になっている領域の重み付けの値を「0」としてもよい。重み付けの値を「0」にするということは、フリッカー検知用の被写体輝度値を算出するときにその測光エリアの測光値を用いないことを意味する。すなわち、フリッカー検知用の被写体輝度値を算出するときの各測光エリアに対する重み付けを設定することは、フリッカー検知用の被写体輝度値を算出するときに用いる測光エリアを選択することも含む。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、フリッカー検知用の被写体輝度値を算出するときの各測光エリアに対する重み付けを設定するために、焦点状態情報を用いて主被写体領域と背景領域とを判別する例を説明した。第2の実施形態では、焦点状態情報を用いる方法とは異なる方法で主被写体領域と背景領域とを判別する例を説明する。なお、本実施形態の撮像システムは第1の実施形態の撮像システムと同様であるため詳細な説明は省略する。
本実施形態の撮像システムの発光撮影に関する動作を図8を用いて説明する。図8は、本実施形態の撮像システムの発光撮影に関する動作を示す図であり、カメラ本体1が有する不図示の電源スイッチがオンされてマイコン41が動作可能となると、図8に示す動作が開始される。
ステップS201〜S206は、図5のステップS101〜S106と同様であるため説明は省略する。
ステップS206で被写体検知処理と露出演算処理を行った後、ステップS207でマイコン41は、レリーズスイッチ49がオンされるのを待つ。ステップS207〜S209は、図5のステップS108〜S110と同様であるため説明は省略する。
その後、ステップS210でマイコン41は、フリッカー検知処理を行う。ステップS210で実行するフリッカー検知処理の詳細については後述する。
ステップS211〜S216は、図5のステップS111〜S116と同様であるため説明は省略する。
次に、ステップS210のフリッカー検知処理に関する動作について図9を用いて説明する。図9は、フリッカー検知処理に関する動作を示す図であり、図6と比較してステップS251が図6のステップS151と異なる。
ステップS251でマイコン41は、ステップS208で得た予備発光が行われている間の被写体の測光情報に基づいて、主被写体領域と背景領域を判別する。例えば、予備発光が行われている間の被写体の測光情報に基づいて、各測光エリアのうち測光値が所定値を超える領域は予備発光が届いた領域と判断して主被写体領域とし、その他の領域を背景領域とする。ここで、予備発光が行われている間の被写体の測光情報と予備発光が行われていないときの被写体の測光情報との差分を用いると、予備発光の反射光成分を抽出できるので、予備発光の直前か直後に被写体の測光情報を取得してもよい。
続くステップS252〜S256は図5のステップS152〜S156と同様であるため説明は省略する。
以上のように、本実施形態では、予備発光が行われている間の被写体の測光情報に基づいて主被写体領域と背景領域を判別するため、焦点状態が得られない領域に対しても、主被写体領域と背景領域を判別することができる。
また、実際に予備発光を行い、予備発光によって明るくなった領域を主被写体とするため、焦点状態に関する情報の精度によらず主被写体領域と背景領域を判別することができる。
(第3の実施形態)
本実施形態は、フリッカー検知用の被写体輝度値を算出するときの各測光エリアに対する重み付けの設定方法が第1の実施形態及び第2の実施形態とは異なる。なお、本実施形態の撮像システムは第1の実施形態の撮像システムと同様であるため詳細な説明は省略する。また、本実施形態の撮像システムの発光撮影に関する動作は、第2の実施形態とフリッカー検知用の被写体輝度値を算出するときの各測光エリアに対する重み付けの設定方法が異なるだけであり、フリッカー検知処理に関する動作以外の説明は省略する。
本実施形態のフリッカー検知処理に関する動作について図10を用いて説明する。図10は、フリッカー検知処理に関する動作を示す図であり、図9と比較して環境光寄与率を算出するステップ(ステップS352)が追加されている。
ステップS351でマイコン41は、ステップS208で得た予備発光が行われている間の被写体の測光情報に基づいて、主被写体領域と背景領域を判別する。
ステップS352でマイコン41は、ステップS206で決定した撮影時の露出条件(シャッター速度、絞り値、撮影感度)から求められる被写体輝度値に対してステップS206で演算した被写体輝度値を減算して環境光寄与率を判定する。
撮影時の露出条件から求められる被写体輝度値に対してステップS206で演算した被写体輝度値を減算した結果(減算結果)が小さい場合は、フラッシュ3を発光させずに環境光のみで撮影しても主被写体がほぼ適正な明るさで撮影されることになる。例えば、日中の屋外で明るい撮影環境だが主被写体である人物の目にキャッチライトを入れるためにフラッシュ3を発光する場合などが該当する。本実施形態では、減算結果が第1の閾値未満であれば環境光寄与率大のシーンとする。
一方、減算結果が大きい場合は、フラッシュ3を発光させずに環境光のみで撮影すると主被写体が暗く撮影されることになる。本実施形態では、減算結果が第1の閾値よりも大きい第2の閾値以上であれば環境光寄与率小のシーンとし、減算結果が第1の閾値以上で第2の閾値未満であれば環境光寄与率中のシーンとする。なお、上記のように環境光寄与率を分類するのではなく、具体的な値として求めてもよい。例えば、減算結果の逆数を環境光寄与率と定義すると、環境光寄与率を具体的な値とすることができ、このようにして求めた環境光寄与率を閾値と比較してもよい。
ステップS353でマイコン41は、環境光寄与率が大か否かを判定し、環境光寄与率が大でなければステップS354へ移行し、環境光寄与率が大であればステップS357へ移行する。
ステップS354でマイコン41は、環境光寄与率が中か否かを判定し、環境光寄与率が中でなければステップS355へ移行し、環境光寄与率が中であればステップS356へ移行する。
ステップS355〜S357は図5のステップS154〜S156と同様であるため説明は省略する。
以上のように、本実施形態では、環境光寄与率に応じてフリッカー検知用の被写体輝度値を算出するときの各測光エリアに対する重み付けを変更することで、フリッカー光源が影響する度合いに応じて各測光エリアに対する重み付けを変更することができる。そのため、環境に応じて測光対象からの光の光量変化特性を精度よく算出することができる。
なお、本実施形態では、第2の実施形態と同様な方法で主被写体領域と背景領域とを判別しているが、第1の実施形態と同様な方法で主被写体領域と背景領域とを判別してもよい。
また、上記の3つの実施形態では、フリッカー検知用の被写体輝度値を算出するときの各測光エリアに対する重み付けを3つのパターンで変更する例を説明したが、被写体輝度や環境光寄与率に応じて4つ以上のパターンで変更するようにしてもよい。あるいは、3つのパターンのうちの2つのパターン(例えば、単純平均と背景重視、背景重視と主被写体重視など)のどちらかを被写体輝度や環境光寄与率に応じて選択するようにしてもよい。
また、上記の3つの実施形態では、撮像装置に照明装置が装着された撮像システムを例にして説明したが、撮像装置が照明装置を内蔵していても構わない。
また、上記の3つの実施形態では、測光用センサー26を用いて得た測光情報に基づいて測光対象の光量変化特性を算出しているが、撮像素子12を駆動させて得た測光情報に基づいて測光対象の光量変化特性を算出してもよい。被写体輝度値の演算や環境光寄与率の決定においても撮像素子12を駆動させて得た測光情報を用いてもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
例えば、上記の実施の形態の機能を制御方法として、この制御方法を撮像装置に実行させるようにすればよい。また、上述の実施の形態の機能を有するプログラムを制御プログラムとして、当該制御プログラムを撮像装置が備えるコンピュータに実行させるようにしてもよい。なお、制御プログラムは、例えば、コンピュータに読み取り可能な記録媒体に記録される。
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。