JP6889527B2 - 磁気センサモジュール - Google Patents

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Description

本発明は,リチウムイオン電池から生じる磁界を検出するための磁気センサモジュールに関する。
リチウムイオン電池には、製造工程における金属異物の混入や製造後のデンドライトの成長に起因して、欠陥が生じることがある。この欠陥により、リチウムイオン電池の内部に局所的な短絡電流が流れ、その近傍に局所的な磁界が生成される。従って、この磁界を検出することで、リチウムイオン電池の欠陥を検知できる。特許文献1及び特許文献2には、局所的な磁界を検出するための技術が開示されている。
特許文献1に開示された検査装置は、リチウムイオン電池を置くステージと、磁気センサとを備えている。ステージは、XY平面と平行に延びている。磁気センサは、ステージの下に位置している。磁気センサは、X方向に移動可能であり、且つ、Y方向に移動可能である。磁気センサを移動しながら磁界を検出することによって、リチウムイオン電池から生じる局所的な磁界を検出できる。
特許文献2に開示された磁気計測装置は、複数の磁気センサを備えている。リチウムイオン電池は、アレイ状に配置された磁気センサの上に置かれる。この配置により、磁気センサのいずれかが、リチウムイオン電池から生じる局所的な磁界を検出できる。
特許第5229352号公報 特許第5841779号公報
リチウムイオン電池の欠陥に起因して生じる磁界は、非常に局所的である。この磁界の局所性により、欠陥を正確に検知するためには、磁気センサのサイズを小さくし、多数の磁気センサをアレイ状に配置して空間分解能を向上させることが好ましい。更に、上述した欠陥に起因して生じる磁界は弱い。従って、個々の磁気センサの感度を高めることが好ましい。即ち、高い感度を有しつつ小型化可能な磁気センサが求められている。
本発明は、この要望に応えることができる磁気センサを備える磁気センサモジュールを提供することを目的とする。
本発明は、第1の磁気センサモジュールとして、
リチウムイオン電池に生じる磁界を検出するための磁気センサモジュールであって、
前記磁気センサモジュールは、複数の磁気センサを備えており、
前記磁気センサは、所定平面上に配置されており、且つ、前記磁界を検出する際に、前記所定平面と直交する上下方向において前記リチウムイオン電池の下に位置し、
前記磁気センサの夫々は、第1センサと、第2センサとを備えており、
前記第1センサは、第1磁気抵抗薄膜と、第1固定抵抗薄膜とを備えており、
前記第1磁気抵抗薄膜の抵抗値は、前記磁界の増加に応じて増加し、
前記第1固定抵抗薄膜の抵抗値は、前記磁界に対して不変であり、
前記第2センサは、第2磁気抵抗薄膜と、第2固定抵抗薄膜とを備えており、
前記第2磁気抵抗薄膜の抵抗値は、前記磁界の増加に応じて減少し、
前記第2固定抵抗薄膜の抵抗値は、前記磁界に対して不変であり、
前記第1センサにおいて、前記第1磁気抵抗薄膜の一端側は、前記第1固定抵抗薄膜の一端側と直列に接続されており、
前記第2センサにおいて、前記第2磁気抵抗薄膜の一端側は、前記第2固定抵抗薄膜の一端側と直列に接続されており、
前記第1センサと前記第2センサとは、前記第1磁気抵抗薄膜の他端側と前記第2磁気抵抗薄膜の他端側とを互いに接続し、且つ、前記第1固定抵抗薄膜の他端側と前記第2固定抵抗薄膜の他端側とを互いに接続することにより、互いに並列に接続されている
磁気センサモジュールを提供する。
また、本発明は、第2の磁気センサモジュールとして、第1の磁気センサモジュールであって、
前記第1固定抵抗薄膜の抵抗値は、前記磁界が生じていないときの前記第1磁気抵抗薄膜の前記抵抗値の±10%以内であり、
前記第2固定抵抗薄膜の抵抗値は、前記磁界が生じていないときの前記第2磁気抵抗薄膜の前記抵抗値の±10%以内である
磁気センサモジュールを提供する。
また、本発明は、第3の磁気センサモジュールとして、第1又は第2の磁気センサモジュールであって、
磁気センサの夫々において、前記第1磁気抵抗薄膜及び前記第2磁気抵抗薄膜は、前記所定平面上において互いに隣り合っており、且つ、前記所定平面上において前記第1固定抵抗薄膜及び前記第2固定抵抗薄膜の間に配置されている
磁気センサモジュールを提供する。
また、本発明は、第4の磁気センサモジュールとして、第1から第3までのいずれかの磁気センサモジュールであって、
前記第1磁気抵抗薄膜、前記第2磁気抵抗薄膜、前記第1固定抵抗薄膜及び前記第2固定抵抗薄膜は、互いに同じ材料からなる
磁気センサモジュールを提供する。
また、本発明は、第5の磁気センサモジュールとして、第1から第4までのいずれかの磁気センサモジュールであって、
前記第1センサは、第1薄膜磁石と、2つの第1軟磁性薄膜とを更に備えており、
前記第1薄膜磁石は、前記所定平面と平行な所定方向に沿って延びており、且つ、前記所定方向に沿って着磁されており、
前記第1磁気抵抗薄膜は、前記第1薄膜磁石の上に位置しており、
2つの前記第1軟磁性薄膜は、前記所定方向において前記第1磁気抵抗薄膜を挟んでおり、且つ、前記第1薄膜磁石の前記所定方向における両端部を覆っており、
前記第2センサは、第2薄膜磁石と、2つの第2軟磁性薄膜とを更に備えており、
前記第2薄膜磁石は、前記所定方向に沿って延びており、且つ、前記所定方向に沿って着磁されており、
前記第2磁気抵抗薄膜は、前記第2薄膜磁石の上に位置しており、
2つの前記第2軟磁性薄膜は、前記所定方向において前記第2磁気抵抗薄膜を挟んでおり、且つ、前記第2薄膜磁石の前記所定方向における両端部を覆っている
磁気センサモジュールを提供する。
本発明によれば、リチウムイオン電池が生じる磁界の増加に応じて、第1磁気抵抗薄膜の抵抗値は増加し、第2磁気抵抗薄膜の抵抗値は減少する。このため、第1センサと第2センサとに同一電圧を付加し、第1磁気抵抗薄膜と第1固定抵抗薄膜との間の電圧と第2磁気抵抗薄膜と第2固定抵抗薄膜との間の電圧との差分を測定することで、磁界の検出感度を高めることができる。即ち、本発明による磁気センサは、高い感度を有しつつ小型化可能である。
また、本発明による磁気センサモジュールは、複数の磁気センサを所定平面上に配置しているため、高い空間分解能を得ることができる。より具体的には、ミリメートルオーダー以下の微小な金属異物やデンドライト等に起因する微弱な磁界を、高い感度で且つ短時間で検出できる。
本発明の実施の形態による測定システムを模式的に示す図である。 図1の測定システムの動作を示す図である。 図1の測定システムの磁気センサモジュールを示す斜視図である。磁気センサモジュールには、リチウムイオン電池が搭載されている。 図3の磁気センサモジュールを示す斜視図である。磁気センサモジュールには、リチウムイオン電池が搭載されていない。磁気センサモジュールにおいて磁気センサアレイが設けられた領域を破線で描画している。 図4の磁気センサモジュールの磁気センサアレイの一部(1点鎖線Aで囲んだ部分)を模式的に示す底面図である。磁気センサアレイに含まれる1つの磁気センサを拡大して描画している。 図5の磁気センサのセンサ素子を示す底面図である。センサ素子の薄膜磁石及び軟磁性薄膜の隠れた輪郭を破線で描画している。 図6のセンサ素子をVI−VI線に沿って示す断面図である。 図5の磁気センサの抵抗素子を示す断面図である。 図5の磁気センサの磁気抵抗素子の磁界に対する電気抵抗特性を示すグラフである。磁気バイアスされていないときの磁気抵抗素子の電気抵抗特性を破線で描画している。 図5の磁気センサを増幅部と共に示す回路図である。 図2の増幅部と乗算部との間に設けられる次段の増幅部の一例を示すブロック回路図である。 図1の測定システムの出力結果の一例を示す図である。
図1及び図2を参照すると、本発明の実施の形態による測定システム10は、リチウムイオン電池70に生じる磁界を検出するためのシステムである。詳しくは、リチウムイオン電池70には、正極(図示せず)と負極(図示せず)とを隔てるセパレータ(図示せず)が設けられている。リチウムイオン電池70の製造工程における金属異物の混入や製造後のデンドライトの成長に起因して、セパレータが部分的に破損することがある(即ち、リチウムイオン電池70に欠陥が生じることがある)。リチウムイオン電池70に上述の欠陥が生じると、欠陥近傍に局所的な短絡電流Iiが流れ、短絡電流Iiの近傍に局所的な磁界が生じる。測定システム10は、この磁界を検出することでリチウムイオン電池70の欠陥を検知するためのシステムである。
以下、まず、本実施の形態による測定システム10の基本的な構造について説明する。
測定システム10は、例えばコンピュータである制御装置12と、磁気センサモジュール20とを備えている。制御装置12は、発信部122と、表示部128とを備えている。
図1、図3及び図4を参照すると、磁気センサモジュール20は、シリコン、ガラスまたはFR−4等の絶縁体からなる基板22と、磁気センサアレイ24と、信号処理部26と、ケーブル28とを備えている。基板22は、上面(実装面)22Uと、下面22Lと有している。上面22U及び下面22Lの夫々は、XY平面と平行に延びており、XY平面において矩形形状を有している。上面22Uは、XY平面と直交する上下方向(Z方向)において、下面22Lの上に位置している。
図1及び図4を参照すると、磁気センサモジュール20は、複数の磁気センサ30を備えている。図4及び図5を参照すると、磁気センサ30の夫々は、シリコン、ガラスまたはFR−4等の絶縁体からなる2つの基板32と、第1センサ40と、第2センサ50とを備えている。磁気センサ30の夫々において、基板32は、横方向(Y方向)に隣り合っている。第1センサ40は、一方の基板32上に形成されており、第2センサ50は、他方の基板32上に形成されている。
図4及び図5に示されるように、磁気センサ30は、基板22の上面22U上にアレイ状(マトリックス状)に配置されており、これにより磁気センサアレイ24が形成されている。換言すれば、磁気センサアレイ24は、複数の磁気センサ30をアレイ状に配置したものであり、上面22U上に設けられている。本実施の形態においては、35個の磁気センサ30が、前後方向(所定方向:X方向)において7列に配置されており、Y方向において5列に配置されている。但し、磁気センサ30の数は、これに限られない。また、磁気センサ30の配列は、N×Mのマトリックス状に限定されない。
図1、図4及び図5を参照すると、基板32の夫々は、XY平面と平行に延びており、XY平面において矩形形状を有している。磁気センサ30の夫々において、2つの基板32は、一方の基板32の+Y側の縁が他方の基板32の−Y側の縁に隣接するようにして、基板22の上面22Uに実装されている。第1センサ40及び第2センサ50は、基板32の下面(−Z側の面)上に位置しており、Z方向において基板22の上面22Uと対向している。本実施の形態において、基板32の夫々は、フリップチップ実装によって基板22の上面22Uに固定されている。但し、本発明は、これに限られず、基板32の夫々は、様々な方法で基板22に実装できる。
図1を参照すると、信号処理部26は、基板22の下面22L上に設けられている。信号処理部26は、基板22に設けられたスルーホール(図示せず)を経由して磁気センサ30の夫々に接続されている。また、信号処理部26は、ケーブル28に接続されている。信号処理部26は、ケーブル28を経由して受けた入力信号を使用して、磁気センサ30の夫々から受けた信号を処理してケーブル28に出力する。上述のように、本実施の形態の信号処理部26は、基板22のうち、リチウムイオン電池70と反対側の下面22Lに実装されている。この配置により、信号処理部26は、電気的な外乱を受け難い。但し、本発明は、これに限られない。例えば、信号処理部26は、基板32の上面22Uに実装されていてもよい。
詳しくは、図2に示されるように、信号処理部26は、磁気センサ30に夫々対応した複数の信号処理ユニット262を備えている。信号処理ユニット262の夫々は、増幅部264、乗算部266及びフィルター部268を備えている。信号処理ユニット262の夫々において、増幅部264、乗算部266及びフィルター部268は、互いに直列に接続されている。増幅部264の夫々は、対応する磁気センサ30に接続されている。また、乗算部266の夫々は、制御装置12の発信部122に接続されており、フィルター部268の夫々は、制御装置12に接続されている。
図3に示されるように、リチウムイオン電池70は、本体部72と、2つの端子部78とを備えている。本体部72は、所定平面(水平面:XY平面)と平行に延びており、XY平面において矩形形状を有している。2つの端子部78は、本体部72の正極(図示せず)及び負極(図示せず)に夫々接続されており、充電時及び放電時に、外部機器(図示せず)に接続される。
以下、リチウムイオン電池70に生じる磁界を検出する際(検査の際)の測定システム10の基本的な動作について説明する。
図1及び図3を参照すると、リチウムイオン電池70を、検査の際に、磁気センサアレイ24の上に置く。換言すれば、磁気センサアレイ24の磁気センサ30は、リチウムイオン電池70から生じる磁界を検出する際に、Z方向においてリチウムイオン電池70の下に位置する。
図1及び図2を参照すると、制御装置12の発信部122は、検査の際に、磁気センサモジュール20のケーブル28及びリチウムイオン電池70の端子部78に、所定周波数を有する同期信号Vinを供給する。この結果、同期信号Vinは、信号処理部26の乗算部266に印加される。加えて、同期信号Vinは、リチウムイオン電池70の正極(図示せず)と負極(図示せず)との間に印加される。リチウムイオン電池70については、同期信号Vinを充放電過程における準定常的な信号に重畳して印加してもよいし、同期信号Vinのみを印加してもよい。
リチウムイオン電池70に印加される同期信号Vinについて、電圧値の最大値は、リチウムイオン電池70の満充電電圧値(約4.2V)以下であることが好ましく、電圧値の最小値は、リチウムイオン電池70の終止電圧値(約2.8V)以上であることが好ましい。同期信号Vinの周波数は、10Hz以上かつ100kHz以下であればよい。特に、単セルのリチウムイオン電池70の検査の際には、ノイズ特性を考慮すると、上述の周波数帯のうちの高周波帯を使用することが好ましい。一方、積層型の比較的厚みのあるリチウムイオン電池70の検査においては、表皮効果の影響や渦電流の影響を抑制するという観点から、100Hz以上かつ1kHz以下の低周波帯を使用することが好ましい。
図2を参照すると、短絡電流Iiによって発生した局所的な磁界は、磁気センサモジュール20の磁気センサアレイ24の中で磁界に近い位置にある磁気センサ30(例えば、磁気センサS2)によって検出される。磁気センサ30の夫々は、検出した磁界の強さに応じた電圧Vdを、対応する増幅部264に出力する。
増幅部264は、磁気センサ30が出力した電圧Vdを増幅して、増幅電圧Voutを対応する乗算部266に出力する。乗算部266及びフィルター部268は、同期信号Vinを参照信号として使用することで、増幅電圧Voutから、参照信号の周波数成分のみを抽出する。これにより、極めて高いSN比を有する出力信号Vout2が得られる。出力信号Vout2は、制御装置12に出力される。
出力信号Vout2は、磁気センサ30が短絡電流Iiの近傍に生じた局所的な磁界に近いほど強くなる。従って、制御装置12は、磁気センサアレイ24に含まれる全ての磁気センサ30について出力信号Vout2を解析することで、リチウムイオン電池70の内部に流れる短絡電流IiのXY平面上の分布(即ち、磁界分布)を算出できる。
図12を参照すると、算出された磁界分布は、例えばコンター図として制御装置12の表示部128に表示できる。これにより、短絡電流Iiの近傍に生じた局所的な磁界の分布を視覚的に把握できる。図12のコンター図は、ラミネート型のリチウムイオン電池70において単セルの内部に生じた短絡部近傍の磁界分布を例示している。本実施例においては、コバルト酸リチウムからなる正極とグラファイトからなる負極との間に、JIS C8712に準拠する強制内部短絡試験において使用するニッケル片を意図的に混入して、内部短絡を形成した。次に、リチウムイオン電池70の正極と負極との間に1kHzの正弦波信号を印加して図12に描画された分布を得た。
以下、磁気センサ30の構造及び機能について、更に詳細に説明する。
図5及び図10に示されるように、磁気センサ30の夫々において、第1センサ40は、第1センサ素子42と、第1抵抗素子44とを備えており、第2センサ50は、第2センサ素子52と、第2抵抗素子54とを備えている。第1センサ素子42及び第1抵抗素子44は、互いに直列に接続されて、第1ハーフブリッジ回路(第1センサ40)を形成している。同様に、第2センサ素子52及び第2抵抗素子54は、互いに直列に接続されて、第2ハーフブリッジ回路(第2センサ50)を形成している。第1センサ40及び第2センサ50は、互いに並列に接続されて、電気的なブリッジ回路を形成している。
図5から図7までを参照すると、第1センサ40の第1センサ素子42は、第2センサ50の第2センサ素子52と同一の部材から形成されており、第2センサ素子52と基本的に同一の構造及びサイズを有している。以下、まず、第1センサ素子42の構造について説明する。その後、第2センサ素子52の構造について、第1センサ素子42と異なる点を中心に説明する。
図6及び図7を参照すると、第1センサ素子42は、薄膜状の磁気抵抗材料からなる第1磁気抵抗薄膜424と、薄膜状の強磁性体からなる第1薄膜磁石426と、薄膜状の軟磁性体からなる2つの第1軟磁性薄膜428と、Au(金)等の導電体からなる2つの接続部422E,422Mとを備えている。
第1薄膜磁石426は、基板32上に形成されている。第1薄膜磁石426は、XY平面と平行な所定方向(X方向)に沿って延びており、X方向において2つの端部426N,426Sを有している。第1薄膜磁石426は、+X側がN極になり且つ−X側がS極になるようにして、X方向に沿って着磁されている。第1薄膜磁石426のZ方向におけるサイズ(厚さ)は、例えば1μm程度である。第1薄膜磁石426は、例えば、SmCo磁石、Nd−Fe−B系磁石、Sm−Fe−N系磁石、Nd−Fe−N系磁石、鉄酸化物系のハードフェライト磁石の永久磁石からなり、強い磁力を有している。
第1磁気抵抗薄膜424は、第1薄膜磁石426の上に形成されている。詳しくは、第1磁気抵抗薄膜424は、第1薄膜磁石426のX方向における中間部の上に位置している。また、第1磁気抵抗薄膜424は、Y方向において、第1薄膜磁石426の両側縁の間に位置している。本実施の形態において、第1磁気抵抗薄膜424の厚さは、例えば0.5μm程度であり、X方向におけるサイズは、例えば1μm程度である。第1磁気抵抗薄膜424は、例えば、CoAlO系、CoYO系、FeMgF系、FeCoMgF系、FeCoAlF系のナノグラニュラー合金からなり、外部磁界に応じて数10%以上の大きな電気抵抗変化を示す。
第1軟磁性薄膜428の夫々は、第1薄膜磁石426を覆うようにして、主として第1薄膜磁石426上に形成された薄膜である。詳しくは、2つの第1軟磁性薄膜428は、X方向に並んでおり、第1薄膜磁石426のX方向における両端部(端部426N及び端部426S)を覆っている。特に、本実施の形態において、+X側の第1軟磁性薄膜428は、第1薄膜磁石426の+X側の部位の大部分を、上から完全に覆うと共にXY平面において完全に覆っている。同様に、−X側の第1軟磁性薄膜428は、第1薄膜磁石426の−X側の部位の大部分を、上から完全に覆うと共にXY平面において完全に覆っている。
2つの第1軟磁性薄膜428は、X方向において第1磁気抵抗薄膜424を挟んでいる。詳しくは、第1磁気抵抗薄膜424は、+X側の第1軟磁性薄膜428の−X側の端と接触しており、且つ、−X側の第1軟磁性薄膜428の+X側の端と接触している。+X側の第1軟磁性薄膜428の+X側の端と−X側の第1軟磁性薄膜428の−X側の端とと間の距離は、例えば数百μm程度である。第1軟磁性薄膜428の夫々の厚さは、第1薄膜磁石426の厚さ(例えば1μm程度)よりも少し大きい。第1軟磁性薄膜428の夫々は、例えば、FeNi系、CoFeSiB系、FeSiAl系、FeNiNb系の金属合金からなり、これにより、約数千の高い比透磁率を有しており、且つ、第1磁気抵抗薄膜424に比べて極く僅かな電気抵抗値(抵抗値)を有している。
接続部422Eは、−X側の第1軟磁性薄膜428の−X側の端部を覆うようにして基板32上に形成されている。同様に、接続部422Mは、+X側の第1軟磁性薄膜428の+X側の端部を覆うようにして基板32上に形成されている。接続部422Eは、第1軟磁性薄膜428及び第1磁気抵抗薄膜424を経由して、接続部422Mと電気的に接続されている。接続部422Eと接続部422Mとの間の抵抗値は、第1磁気抵抗薄膜424の抵抗値と実質的に等しい。
第1薄膜磁石426は、上述のように第1軟磁性薄膜428に覆われているため、第1薄膜磁石426及び第1軟磁性薄膜428は、磁気回路を形成している。より具体的には、第1薄膜磁石426から生じた磁束の殆どは、第1センサ素子42の外部に漏れることなく第1軟磁性薄膜428の内部に収束されて、第1磁気抵抗薄膜424を−X方向に通過する。この結果、第1磁気抵抗薄膜424は−X方向に磁気バイアスされている。
第2センサ素子52は、第1センサ素子42と同様に、薄膜状の磁気抵抗材料からなる第2磁気抵抗薄膜524と、薄膜状の強磁性体からなる第2薄膜磁石526と、薄膜状の軟磁性体からなる2つの第2軟磁性薄膜528と、Au(金)等の導電体からなる2つの接続部522E,522Mとを備えている。
第2薄膜磁石526は、X方向に沿って延びており、X方向において2つの端部526N,526Sを有している。第2薄膜磁石526は、−X側がN極になり且つ+X側がS極になるようにして、X方向に沿って着磁されている。第2薄膜磁石526は、第1薄膜磁石426と同じ材料からなり、強い磁力を有している。
第2磁気抵抗薄膜524は、第1磁気抵抗薄膜424と同様に、第2薄膜磁石526の上に形成されている。第2磁気抵抗薄膜524は、第1磁気抵抗薄膜424と同じ材料から同じサイズを有するように形成されており、外部磁界に応じて数10%以上の大きな電気抵抗変化を示す。
2つの第2軟磁性薄膜528は、第1軟磁性薄膜428と同様に、X方向に並んでおり、第2薄膜磁石526のX方向における両端部(端部526N及び端部526S)をほぼ完全に覆っている。また、2つの第2軟磁性薄膜528は、第1軟磁性薄膜428と同様に、X方向において第2磁気抵抗薄膜524を挟んでいる。第2軟磁性薄膜528の夫々は、第1軟磁性薄膜428と同じ材料からなり、約数千の高い比透磁率を有しており、且つ、第2磁気抵抗薄膜524に比べて極く僅かな抵抗値を有している。
接続部522Eは、−X側の第2軟磁性薄膜528の−X側の端部を覆うようにして基板32上に形成されている。同様に、接続部522Mは、+X側の第2軟磁性薄膜528の+X側の端部を覆うようにして基板32上に形成されている。これにより、接続部522Eは、接続部522Mと電気的に接続されている。接続部522Eと接続部522Mとの間の抵抗値は、第2磁気抵抗薄膜524の抵抗値と実質的に等しい。
第2薄膜磁石526及び第2軟磁性薄膜528は、第1薄膜磁石426及び第1軟磁性薄膜428と同様に、磁気回路を形成しており、第2磁気抵抗薄膜524は、第1磁気抵抗薄膜424と反対の+X方向に磁気バイアスされている。
図5及び図8を参照すると、第1センサ40の第1抵抗素子44は、第2センサ50の第2抵抗素子54と同一の部材から形成されており、第2抵抗素子54と同一の構造及びサイズを有している。更に、第1抵抗素子44及び第2抵抗素子54の夫々は、第1磁気抵抗薄膜424や第2磁気抵抗薄膜524と異なっているが類似した構造及びサイズを有している。以下、第1抵抗素子44及び第2抵抗素子54の構造について説明する。
図8を参照すると、第1抵抗素子44は、薄膜状の磁気抵抗材料からなる第1固定抵抗薄膜444と、薄膜状の金属からなる2つの第1薄膜448と、Au(金)等の導電体からなる2つの接続部442E,442Mとを備えている。
第1固定抵抗薄膜444は、基板32上に形成されている。第1固定抵抗薄膜444は、第1磁気抵抗薄膜424と同じ材料から同じサイズを有するように形成されている。2つの非磁性の第1薄膜448は、X方向に並んでおり、且つ、X方向において第1固定抵抗薄膜444を挟んでいる。第1薄膜448の夫々は、低い透磁率を有する金属からなり、且つ、第1固定抵抗薄膜444に比べて極く僅かな抵抗値を有している。
接続部442Eは、−X側の第1薄膜448の−X側の端部を覆うようにして基板32上に形成されている。同様に、接続部442Mは、+X側の第1薄膜448の+X側の端部を覆うようにして基板32上に形成されている。接続部442Eは、第1薄膜448及び第1固定抵抗薄膜444を経由して、接続部442Mと電気的に接続されている。接続部442Eと接続部442Mとの間の抵抗値は、第1固定抵抗薄膜444の抵抗値と実質的に等しい。
第2抵抗素子54は、第1抵抗素子44と同様に、薄膜状の磁気抵抗材料からなる第2固定抵抗薄膜544と、薄膜状の金属からなる2つの第2薄膜548と、Au(金)等の導電体からなる2つの接続部542E,542Mとを備えている。
第2固定抵抗薄膜544は、基板32上に形成されている。第2固定抵抗薄膜544は、第1固定抵抗薄膜444と同じ材料から同じサイズを有するように形成されている。2つの非磁性の第2薄膜548は、X方向に並んでおり、且つ、X方向において第2固定抵抗薄膜544を挟んでいる。第2薄膜548の夫々は、第1薄膜448と同じ材料からなり、低い透磁率を有しており、且つ、第2固定抵抗薄膜544に比べて極く僅かな抵抗値を有している。
接続部542Eは、−X側の第2薄膜548の−X側の端部を覆うようにして基板32上に形成されている。同様に、接続部542Mは、+X側の第2薄膜548の+X側の端部を覆うようにして基板32上に形成されている。これにより、接続部542Eは、接続部542Mと電気的に接続されている。接続部542Eと接続部542Mとの間の抵抗値は、第2固定抵抗薄膜544の抵抗値と実質的に等しい。
図9を参照すると、第1磁気抵抗薄膜424、第2磁気抵抗薄膜524、第1固定抵抗薄膜444及び第2固定抵抗薄膜544のようなTMR(Tunnel Magneto Resistance Effect)型の磁気抵抗素子は、図9において破線で描画しているように、正負の外部磁界に対して対称な電気抵抗特性を示す。
但し、本実施の形態において、第1磁気抵抗薄膜424及び第2磁気抵抗薄膜524の夫々は、磁気バイアスされており、これにより、正負の外部磁界に対して非対称な電気抵抗特性を示す。更に、第1磁気抵抗薄膜424の磁気バイアス方向は、第2磁気抵抗薄膜524の磁気バイアス方向と反対であるため、第1磁気抵抗薄膜424は、第2磁気抵抗薄膜524と異なる電気抵抗特性を示す。より具体的には、零磁界近傍において、第1磁気抵抗薄膜424の抵抗値は、外部磁界の増加に応じて増加し、第2磁気抵抗薄膜524の抵抗値は、外部磁界の増加に応じて減少する。
上述したように、本実施の形態における磁気バイアスは、永久磁石を使用して行われる。但し、本発明は、これに限られず、磁気バイアスは、例えばコイルを使用して行ってもよい。また、第1磁気抵抗薄膜424の抵抗値及び第2磁気抵抗薄膜524は、一方が外部磁界の増加に応じて増加し、他方が外部磁界の増加に応じて減少するように互いに逆方向に磁気バイアスされていればよい。換言すれば、2つの同じ磁気抵抗薄膜において、外部磁界の増加に応じて抵抗値が増加するように磁気バイアスされ且つ配置された方を第1磁気抵抗薄膜424として説明し、外部磁界の増加に応じて抵抗値が減少するように磁気バイアスされ且つ配置された方を第2磁気抵抗薄膜524として説明しているに過ぎない。
図5を参照すると、第1固定抵抗薄膜444及び第2固定抵抗薄膜544の夫々は、第1磁気抵抗薄膜424や第2磁気抵抗薄膜524と同じ薄膜状の磁気抵抗材料からなる。但し、第1固定抵抗薄膜444の近傍には、強磁性体が設けられておらず、且つ、第1薄膜448は磁束を殆ど集めない。即ち、第1固定抵抗薄膜444は、外部磁界の影響を殆ど受けない。このため、第1固定抵抗薄膜444の抵抗値は、外部磁界に対して実質的に不変である。同様に、第2固定抵抗薄膜544の抵抗値は、外部磁界に対して実質的に不変である。
図5及び図10を参照すると、第1センサ40(第1ハーフブリッジ回路)において、第1磁気抵抗薄膜424の一端側(図5において+X側)は、第1固定抵抗薄膜444の一端側(図5において+X側)と直列に接続されている。詳しくは、第1磁気抵抗薄膜424の一端側は、接続部422Mと接続されており、第1固定抵抗薄膜444の一端側は、接続部442Mと接続されている。接続部422Mと接続部442Mとは、導電体からなる中間部48によって互いに接続されている。
同様に、第2センサ50(第2ハーフブリッジ回路)において、第2磁気抵抗薄膜524の一端側(図5において+X側)は、第2固定抵抗薄膜544の一端側(図5において+X側)と直列に接続されている。詳しくは、第2磁気抵抗薄膜524の一端側は、接続部522Mと接続されており、第2固定抵抗薄膜544の一端側は、接続部542Mと接続されている。接続部522Mと接続部542Mとは、導電体からなる中間部58によって互いに接続されている。
第1センサ40の接続部422E及び第2センサ50の接続部522Eには、一定値の電源電圧Vccが供給されている。また、第1センサ40の接続部442E及び第2センサ50の接続部542Eは、グランドされている。即ち、第1センサ40と第2センサ50とは、第1磁気抵抗薄膜424の他端側(図5において−X側)と第2磁気抵抗薄膜524の他端側(図5において−X側)とを互いに接続し、且つ、第1固定抵抗薄膜444の他端側(図5において−X側)と第2固定抵抗薄膜544の他端側(図5において−X側)とを互いに接続することにより、互いに並列に接続されている。
図10を参照すると、局所的な磁界の発生によって磁気センサ30周辺の外部磁界が増加すると、第1磁気抵抗薄膜424の抵抗値が増加し、第2磁気抵抗薄膜524の抵抗値が減少する。一方、第1固定抵抗薄膜444や第2固定抵抗薄膜544の抵抗値は変わらない。従って、第1センサ40の中間部48の電圧Vfd(Vd)は、局所的な磁界が発生していない場合の電圧から、所定値だけ下がる。同様に、第2センサ50の中間部58の電圧Vsd(Vd)は、局所的な磁界が発生していない場合の電圧から、所定値だけ下がる。このときの電圧VfdとVsdとの間の電圧差Voffの値は、磁気センサ30が第1センサ40又は第2センサ50のみを備えている場合に得られる電圧変動値(所定値)の2倍である。
以上の説明から理解されるように、第1センサ40と第2センサ50とに同一の電源電圧Vccを付加し、第1磁気抵抗薄膜424と第1固定抵抗薄膜444との間の電圧と第2磁気抵抗薄膜524と第2固定抵抗薄膜544との間の電圧との差分を測定することで、磁界の検出感度を高めることができる。即ち、磁気センサ30は、高い感度を有しつつ小型化可能である。
また、図5を参照すると、前述したように、磁気センサ30のサイズは小さい。このため、基板32のXY平面におけるサイズは、既存の薄膜形成技術およびフォトリソグラフィー技術により、例えば約1mm×1mmにできる。更に、磁気センサ30間の磁気干渉は殆ど発生しない。このため、磁気センサ30を、XY平面において近接配置できる。
磁気センサモジュール20は、複数の小さな磁気センサ30をXY平面上に近接配置しているため、高い空間分解能が得られる。より具体的には、XY平面において、磁気センサ30の第1磁気抵抗薄膜424及び第2磁気抵抗薄膜524の夫々を、他の磁気センサ30の第1磁気抵抗薄膜424及び第2磁気抵抗薄膜524から1mm以内の距離に配置できる。換言すれば、磁気センサ30を高密度で配置でき、これにより、ミリメートルオーダー以下の微小な金属異物やデンドライト等に起因する微弱な磁界を、高い感度で且つ短時間で検出できる。
また、磁気センサ30の夫々において、第1磁気抵抗薄膜424及び第2磁気抵抗薄膜524は、XY平面上において互いに隣り合っており、且つ、XY平面上において第1固定抵抗薄膜444及び第2固定抵抗薄膜544の間に配置されている。この配置により、第1磁気抵抗薄膜424及び第2磁気抵抗薄膜524を互いに接近させ、第1磁気抵抗薄膜424及び第2磁気抵抗薄膜524が検出する磁界の対象空間をできる限り同一にできる。これにより、更に高い空間分解能が得られる。
図10を参照すると、電圧Vfd及び電圧Vsdは、例えば下記のように処理される。
信号処理部26の増幅部264の夫々は、2つの初段増幅部264F,264Sを有している。初段増幅部264F及び初段増幅部264Sは、第1センサ40及び第2センサ50に夫々対応している。より具体的には、初段増幅部264Fは、第1センサ40の接続部422Mや接続部442Mを経由して中間部48に接続されており、初段増幅部264Sは、第2センサ50の接続部522Mや接続部542Mを経由して中間部58に接続されている。
初段増幅部264Fは、電圧Vfdを増幅して、増幅電圧Vfa(Va)を出力する。同様に、初段増幅部264Sは、電圧Vsdを増幅して、増幅電圧Vsa(Va)を出力する。次に、増幅電圧Vfaと増幅電圧Vsaとの間の電圧差を有する増幅電圧Voutが出力される。
零磁界において、増幅部264が飽和しないように、中間部48の電圧Vfdと中間部58の電圧Vsdとの間の差分を小さくするという観点から、第1磁気抵抗薄膜424の抵抗値と第1固定抵抗薄膜444の抵抗値とは、互いに同一であることが好ましい。同様に、第2磁気抵抗薄膜524の抵抗値と第2固定抵抗薄膜544の抵抗値とは、互いに同一であることが好ましい。しかしながら、これらの抵抗値は、製造上の加工誤差に起因してばらつく。この結果、磁気センサ30が外部磁場を受けていないときにも(即ち、零磁界においても)、中間部48と中間部58との間には、所定のオフセット電圧が生じる。初段増幅部264F(初段増幅部264S)の動作レンジには制限があるため、オフセット電圧は、できる限り小さいことが好ましい。例えば,電源電圧Vccが5Vである場合、中点電位は2.5Vである。増幅部264の増幅度が5倍である場合、オフセット電圧を+0.3Vと−0.3Vの間にする必要がある。
図6及び図7を参照すると、第1磁気抵抗薄膜424及び第2磁気抵抗薄膜524は、同一工程及び同一マスクで形成できる。従って、第1磁気抵抗薄膜424の抵抗値及び第2磁気抵抗薄膜524の抵抗値は、殆どばらつきのない同一値にできる。同様に、図8を参照すると、第1固定抵抗薄膜444及び第2固定抵抗薄膜544は、同一工程及び同一マスクで形成できる。従って、第1固定抵抗薄膜444の抵抗値及び第2固定抵抗薄膜544の抵抗値は、殆どばらつきのない同一値にできる。従って、第1磁気抵抗薄膜424の抵抗値と第1固定抵抗薄膜444の抵抗値との比率を、第2磁気抵抗薄膜524の抵抗値と第2固定抵抗薄膜544の抵抗値との比率と略等しくなるように組合せることでオフセット電圧を所定の電圧範囲内できる。
より具体的には、本実施の形態において、第1固定抵抗薄膜444の抵抗値は、磁界が生じていないときの第1磁気抵抗薄膜424の抵抗値の±10%以内である。また、第2固定抵抗薄膜544の抵抗値は、磁界が生じていないときの第2磁気抵抗薄膜524の抵抗値の±10%以内である。この設定により、第1磁気抵抗薄膜424の抵抗値と第1固定抵抗薄膜444の抵抗値との比率を、第2磁気抵抗薄膜524の抵抗値と第2固定抵抗薄膜544の抵抗値との比率の±10%以内にでき、オフセット電圧を+0.3Vと−0.3Vとの間にできる。
図6から図8までを参照すると、本実施の形態において、第1磁気抵抗薄膜424、第2磁気抵抗薄膜524、第1固定抵抗薄膜444及び第2固定抵抗薄膜544は、全て同じ磁気抵抗材料からなる。このため、温度係数を容易に同一とし、温度変化による影響を防止できる。但し、本発明は、これに限られない。例えば、第1固定抵抗薄膜444及び第2固定抵抗薄膜544の夫々は、磁気抵抗材料以外の材料から形成してもよい。
本実施の形態は、既に説明した変形例に加えて、更に様々に変形可能である。例えば、図2の増幅部264と乗算部266との間に、図11に示した次段の増幅回路を設けてもよい。図11の次段の増幅回路は、増幅回路に加えて、オフセット調整回路を備えている。オフセット調整回路により、増幅回路の出力オフセット電圧を補正できる。特に、オフセット調整回路は、逐次比較型DAコンバータを備えており、電圧精度の良い補正信号を生成できる。このため、確実に出力オフセット電圧を補正でき、直流成分と交流成分とを含む電圧Voutを安定して増幅できる。
また、図1を参照すると、リチウムイオン電池70が搭載された磁気センサモジュール20全体を磁気シールドによって覆ってもよい。これにより、直流的な外部磁界の影響による磁気バイアスの動作点の変動が防止できる。また、リチウムイオン電池70と磁気センサ30との間の距離を光学的な手法等によって測定して、出力信号Vout2の距離依存性を補正してもよい。また、温度センサを設けて、リチウムイオン電池70の内部に流れる局所的な短絡電流Ii(図2参照)によって生じる温度上昇を測定してもよい。このように出力信号Vout2による磁気的な情報に加えて熱的な情報を加えることで、磁気センサモジュール20の信頼性を更に高めることができる。
10 測定システム
12 制御装置
122 発信部
128 表示部
20 磁気センサモジュール
22 基板
22U 上面(実装面)
22L 下面
24 磁気センサアレイ
26 信号処理部
262 信号処理ユニット
264 増幅部
264F,264S 初段増幅部
266 乗算部
268 フィルター部
28 ケーブル
30,S2 磁気センサ
32 基板
40 第1センサ
42 第1センサ素子
422E,422M 接続部
424 第1磁気抵抗薄膜
426 第1薄膜磁石
426N,426S 端部
428 第1軟磁性薄膜
44 第1抵抗素子
442E,442M 接続部
444 第1固定抵抗薄膜
448 第1薄膜
48 中間部
50 第2センサ
52 第2センサ素子
522E,522M 接続部
524 第2磁気抵抗薄膜
526 第2薄膜磁石
526N,526S 端部
528 第2軟磁性薄膜
54 第2抵抗素子
542E,542M 接続部
544 第2固定抵抗薄膜
548 第2薄膜
58 中間部
70 リチウムイオン電池
72 本体部
78 端子部

Claims (5)

  1. リチウムイオン電池の部分的な欠陥に起因して欠陥近傍に局所的に生じる磁界を検出するための磁気センサモジュールであって、
    前記磁気センサモジュールは、複数の磁気センサを備えており、
    前記磁気センサは、所定平面上に配置されており、且つ、前記磁界を検出する際に、前記所定平面と直交する上下方向において前記リチウムイオン電池の下に位置し、
    前記磁気センサの夫々は、第1センサと、第2センサとを備えており、
    前記第1センサ及び前記第2センサの夫々は、絶縁体からなる基板上に形成されており、
    前記第1センサ及び前記第2センサは、前記所定平面において、前記基板以外の部材を間に挟むことなく互いに隣り合っており、
    前記第1センサは、第1磁気抵抗薄膜と、第1固定抵抗薄膜と、第1薄膜磁石とを備えており、
    前記第1薄膜磁石は、前記所定平面と平行な所定方向に沿って延びており、且つ、前記所定方向に沿って着磁されており、
    前記第1磁気抵抗薄膜は、前記第1薄膜磁石の上に位置しており、
    前記第1磁気抵抗薄膜の抵抗値は、前記磁界の増加に応じて増加し、
    前記第1固定抵抗薄膜の近傍には強磁性体が設けられておらず、これにより、前記第1固定抵抗薄膜の抵抗値は、前記磁界に対して変化が抑制されており、
    前記第2センサは、第2磁気抵抗薄膜と、第2固定抵抗薄膜と、第2薄膜磁石とを備えており、
    前記第2薄膜磁石は、前記所定方向に沿って延びており、且つ、前記所定方向に沿って前記第1薄膜磁石と反対の方向に着磁されており、
    前記第2磁気抵抗薄膜は、前記第2薄膜磁石の上に位置しており、
    前記第2磁気抵抗薄膜の抵抗値は、前記磁界の増加に応じて減少し、
    前記第2固定抵抗薄膜の近傍には強磁性体が設けられておらず、これにより、前記第2固定抵抗薄膜の抵抗値は、前記磁界に対して変化が抑制されており、
    前記第1センサにおいて、前記第1磁気抵抗薄膜の一端側は、前記第1固定抵抗薄膜の一端側と直列に接続されており、
    前記第2センサにおいて、前記第2磁気抵抗薄膜の一端側は、前記第2固定抵抗薄膜の一端側と直列に接続されており、
    前記第1センサと前記第2センサとは、前記第1磁気抵抗薄膜の他端側と前記第2磁気抵抗薄膜の他端側とを互いに接続し、且つ、前記第1固定抵抗薄膜の他端側と前記第2固定抵抗薄膜の他端側とを互いに接続することにより、互いに並列に接続されている
    磁気センサモジュール。
  2. 請求項1記載の磁気センサモジュールであって、
    前記第1固定抵抗薄膜の抵抗値は、前記磁界が生じていないときの前記第1磁気抵抗薄膜の前記抵抗値の±10%以内であり、
    前記第2固定抵抗薄膜の抵抗値は、前記磁界が生じていないときの前記第2磁気抵抗薄膜の前記抵抗値の±10%以内である
    磁気センサモジュール。
  3. 請求項1又は請求項2記載の磁気センサモジュールであって、
    磁気センサの夫々において、前記第1磁気抵抗薄膜及び前記第2磁気抵抗薄膜は、前記所定平面上において互いに隣り合っており、且つ、前記所定平面上において前記第1固定抵抗薄膜及び前記第2固定抵抗薄膜の間に配置されている
    磁気センサモジュール。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれかに記載の磁気センサモジュールであって、
    前記第1磁気抵抗薄膜、前記第2磁気抵抗薄膜、前記第1固定抵抗薄膜及び前記第2固定抵抗薄膜は、互いに同じ材料からなる
    磁気センサモジュール。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれかに記載の磁気センサモジュールであって、
    前記第1センサは、2つの第1軟磁性薄膜を更に備えており
    つの前記第1軟磁性薄膜は、前記所定方向において前記第1磁気抵抗薄膜を挟んでおり、且つ、前記第1薄膜磁石の前記所定方向における両端部を覆っており、
    前記第2センサは、2つの第2軟磁性薄膜を更に備えており
    つの前記第2軟磁性薄膜は、前記所定方向において前記第2磁気抵抗薄膜を挟んでおり、且つ、前記第2薄膜磁石の前記所定方向における両端部を覆っている
    磁気センサモジュール。
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