JP2015099882A - 磁気センサ - Google Patents

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洋次 片桐
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浩己 藤田
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Abstract

【課題】検出可能な磁場範囲(ダイナミックレンジ)がより広い、磁気抵抗素子を用いた磁気センサを提供する。【解決手段】磁気センサが有する磁気抵抗素子200は、第1の方向に磁化が固定された強磁性の磁化固定層201と、当該磁化固定層201の上に積層される非磁性の中間層202と、当該中間層の上に積層され、磁化の向きを前記第1の方向とは異なる方向へ変えることが可能な軟磁性の磁化自由層203と、を有する。そして、磁化自由層203は少なくとも1つの強磁性体層213を有し、該強磁性体層213の厚みを20nm以上200nm以下とする。【選択図】 図2

Description

本発明は磁気センサに関する。詳細には、第1の方向に磁化が固定された強磁性の磁化固定層(ピンド層)と、非磁性の中間層と、磁化の向きを前記第1の方向とは異なる方向へ変えることが可能な軟磁性の磁化自由層(フリー層)と、を有する磁気抵抗素子を備えた磁気センサに関する。
磁場を検出する磁気センサとしてGMR(巨大磁気抵抗)効果やTMR(トンネル磁気抵抗)効果を用いたMR磁気センサがある。
図1は、従来のMR素子(磁気抵抗効果素子)の基本構成を模した図である。
MR磁気センサは非磁性体(中間層102)を強磁性体で挟んだ構造(強磁性体/非磁性/強磁性体)を有している。一方の磁性体の磁化を反強磁性体で固定し(磁化固定層101)、もう一方の強磁性体(磁化自由層103)の磁化は外部磁場に対して自由に回転できる構造を有している(スピンバルブ構造)。外部磁場Hが加わり、磁化固定層101の磁化と磁化自由層103の磁化との相対角が変化すると、非磁性体である中間層102を流れる電流が変化するため、磁場を検出することができる(例えば、特許文献1参照)。
MR磁気センサは微小な磁場で大きな磁気抵抗(MR)変化を示すことが知られており、主にハードディスクの磁気ヘッドなどに用いられている。また、MR磁気センサはホール効果を用いた磁気センサと比較して高感度(微小磁場の検出が可能)であることが知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開平9−199769 特開2005−221383
上述したように、GMR効果やTMR効果を用いたMR磁気センサはホール効果を用いた磁気センサと比較して高感度(微小磁場の検出が可能)であるが、一方で検出可能な磁場範囲(ダイナミックレンジ)が、ホール効果を用いた磁気センサと比較して非常に狭いという欠点がある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、より広いダイナミックレンジを実現することの可能な磁気センサを提供することにある。
本発明の一態様は、第1の方向に磁化が固定された強磁性の磁化固定層(例えば図2に示す、磁化固定層201)と、当該磁化固定層の上に積層される非磁性の中間層(例えば図2に示す、中間層202)と、当該中間層の上に積層され、磁化の向きを前記第1の方向とは異なる方向へ変えることが可能な軟磁性の磁化自由層(例えば図2に示す、磁化自由層203)と、を有する磁気抵抗素子(例えば図2に示す、TMR素子200)を備え、前記磁化自由層は少なくとも1つの強磁性体層(例えば図2に示す、第2の強磁性体層213)を有し、該強磁性体層の厚みが20nm以上200nm以下である磁気センサ、である。
前記磁化自由層は、第1の強磁性体層(例えば図2に示す、第1の強磁性体層211)と当該第1の強磁性体層の上に積層される第2の強磁性体層(例えば図2に示す、第2の強磁性体層213)との積層構造を有し、前記第2の強磁性体層の厚みが20nm以上200nm以下であってよい。
前記磁化自由層は、第1の強磁性体層(例えば図2に示す、第1の強磁性体層211)と当該第1の強磁性体層の上に積層される第2の強磁性体層(例えば図2に示す、第2の強磁性体層213)との積層構造を有し、前記中間層は、前記第1の強磁性体層と前記磁化固定層との間に設けられていてよい。
前記第1の強磁性体層と前記第2の強磁性体層との間にスペーサ層(例えば図2に示す、スペーサ層212)をさらに有していてよい。
前記第2の強磁性体層が軟磁性体であってよい。
前記第1の強磁性体層の磁化と前記第2の強磁性体層の磁化とが平行結合状態であってよい。
前記第2の強磁性体層がNiFe合金膜であってよい。
前記第2の強磁性体層のNiFe合金膜が75原子%以上85原子%以下のNiを含むNiFe合金膜であってよい。
前記磁化自由層は、形状異方性により、前記第1の方向と直交する第2の方向に磁化容易軸が誘導されるものであってよい。
前記磁化自由層は前記第1の方向の幅Wが10μm以下であり、前記磁化自由層の、前記第1の方向の幅Wと当該第1の方向と直交する第2の方向の幅Lとのアスペクト比(L/W)が5以上であってよい。
前記磁化自由層の磁化方向が、バイアス磁石により前記第1の方向と直交する第2の方向に誘導されるものであってよい。
前記磁化自由層の磁化方向が、電気配線を流れる電流によって生成された磁界により前記第1の方向と直交する第2の方向に誘導されるものであってよい。
前記磁気抵抗素子を含むブリッジ回路もしくは差動回路を備えていてよい。
本発明の一態様によれば、従来のMR磁気センサよりも広いダイナミックレンジを有する磁気センサを実現することができる。
磁気抵抗素子の基本構成を示す斜視図である。 TMR素子の断面図である。 磁化自由層の断面図である。 TMR素子の表面及び断面の模式図である。 GMR素子の断面図である。 GMR素子の表面及び断面の模式図である。 磁化自由層の磁化を第1の磁化方向(磁化固定層の磁化方向)と直交する第2の磁化方向に誘導する方法を示した図である。 磁気抵抗素子を有するホイートストンブリッジ回路からなる磁気センサの一例を示す回路図である。 磁気抵抗素子を単素子(差動回路)として用いた磁気センサの一例を示す回路図である。 実施例1〜2、比較例1〜2で得られたTMR素子について、その磁気抵抗効果を示すMR比の磁場依存性を測定した結果である。 実施例2〜5で得られたTMR素子に関してMR比の磁場依存性を測定した結果である。 実施例1、6〜8で得られたTMR素子について、その磁気抵抗効果を示すMR比の磁場依存性を測定した結果である
以下、本発明を実施するための形態(本実施形態)について説明する。
(磁気センサの構成)
本実施形態における磁気センサは磁気抵抗素子を備える。この磁気抵抗素子の基本構成は、図1に示す従来の磁気抵抗素子100と同様である。
すなわち、磁気抵抗素子100は、第1の方向に磁化が固定された強磁性の磁化固定層(ピンド層とも称される)101と、非磁性である中間層102と、磁化の向きを前記第1の方向とは異なる方向へ変えることが可能な軟磁性の磁化自由層(フリー層とも称される)103とを有し、磁化固定層101の上に中間層102および磁化自由層103がこの順に積層されてなる。
(磁化固定層)
磁化固定層101は第1の方向に磁化が固定された強磁性の層である。以下、この磁化固定層101の磁化方向を第1の磁化方向ともいう。
磁化固定層101の具体例としては、CoFeやCoFeB、またCoFeを含む積層構造(CoFeB/Ru/CoFe,CoFe/Ru/CoFe)などが挙げられるが、これに限らない。
(中間層)
中間層102は非磁性の層である。
中間層102の具体例としては、磁気抵抗素子100がGMR素子であれば非磁性の導電層が挙げられ、より具体的にはCuが挙げられる。また、磁気抵抗素子100がTMR素子であれば酸化膜絶縁層が挙げられ、より具体的にはAlやMgOなどが挙げられる。
中間層102は、巨大な磁気抵抗効果を発現させる観点から、磁化自由層103に含まれる後述する第1の強磁性体層(図2の211)と磁化固定層101とに挟まれていることが好ましい。
(磁化自由層)
磁化自由層103は、磁化方向を磁化固定層101の第1の磁化方向とは異なる方向へ変えることが可能な軟磁性の層である。
本実施形態における磁化自由層103は少なくとも1つの強磁性体層を有し、この強磁性体層の厚みは20nm以上200nm以下であることが好ましい。
すなわち、磁化自由層103が有する強磁性体層の厚みは、ダイナミックレンジ(磁場測定範囲)を広げる観点から20nm以上であり、好ましくは40nm以上である。また、強磁性体層を厚く形成するとMR比(磁気抵抗変化率)が低下しMR効果が発現しなくなるため、強磁性体層の厚みは200nm以下が好ましく、120nm以下がより好ましい。
また、磁化自由層103の磁化方向を容易に制御できる観点から、磁化自由層103の磁化方向を、例えば磁気抵抗素子100の近傍に配置されたバイアス磁石により磁化固定層101の磁化方向である第1の磁化方向と直交する第2の方向に誘導することが好ましい。以下、この第1の磁化方向と直交する方向を、第2の磁化方向ともいう。
また、磁化自由層103の磁化方向を制御する別の例としては、磁気抵抗効果素子の近傍に配置された電気配線を流れる電流によって生成された磁界により、磁化自由層103の磁化方向を第1の磁化方向と直交する第2の磁化方向に誘導してもよい。上述したバイアス磁石と電気配線を流れる電流によって生成された磁界との両方を適用して磁化自由層103の磁化方向を第1の磁化方向と直交する第2の磁化方向に誘導してもよい。
磁場レンジを広げかつ保持力(ヒステリシス)低減の観点から、磁化自由層103は、第1の磁化方向(磁化固定層101の磁化が固定された方向)と直交する第2の磁化方向に、形状異方性により磁化容易軸が誘導されることが好ましい。
また、形状異方性の効果を強める観点から、磁化自由層103の、前記第1の磁化方向の幅Wが、10μm以下であり、磁化自由層103の前記第1の磁化方向の幅Wと前記第2の磁化方向の幅Lとのアスペクト比(L/W)が5以上200以下であることが好ましく、より好ましくは10以上100以下であることが好ましい。
ダイナミックレンジを広げる観点から磁化自由層103は、第1の強磁性体層と第2の強磁性体層との積層構造を有し、第2の強磁性体層の厚みが20nm以上200nm以下であることが好ましい。なお、MRの低下を避ける観点から、TMR素子においては磁化自由層103は、後述の、磁化自由層に含まれる第1の強磁性体層(図2の211)と第2の強磁性体層(図2の213)との間にスペーサ層(Ta、Ruなど)が挿入されていることが好ましい。
磁化自由層103の保持力を下げ、ダイナミックレンジを広げる観点から、第2の強磁性体層は軟磁性体であることが好ましい。第2の強磁性体層を軟磁性体とするためには、その材料を例えばNiFe合金膜またはNiFe−X合金膜(X=Ta、Cr、Nb、Rh、Zr、Mo、Al、Au、Pd、Pt、Si等を含有)、またはその両方を積層とすることで実現される。
ダイナミックレンジを広げる観点から、磁化自由層103の第1の強磁性体層の磁化方向と第2の強磁性体層の磁化方向とが平行結合状態(磁化の向きが同じ)であることが好ましい。つまり、反平行結合状態の場合、微小磁場領域において磁化自由層の磁化方向が複数回反転するためダイナミックレンジが減少してしまう。したがって、平行結合状態であることが好ましい。
第2の強磁性体層がNiFe合金膜の場合は、結晶磁気異方性及び磁歪の影響を低減させる観点から、NiFe合金膜が75原子%〜85原子%のNiを含むNiFe合金膜で構成されることが好ましい。つまり、結晶磁気異方性が強いとダイナミックレンジが減少し、また磁歪が大きいとノイズや結晶性等に影響を及ぼす。したがって、結晶磁気異方性と磁歪の影響が比較的小さい、75原子%〜85原子%のNiを含むNiFe合金膜で構成されることが好ましい。
また、巨大なMR比(磁気抵抗変化率)を発現させる観点から、磁化自由層103の第1の強磁性体層は、GMRの場合はCoFe、TMRの場合はCoFeB合金膜であることが好ましい。
(ブリッジ回路/差動回路)
また、本実施形態における磁気センサは、磁気抵抗素子単体からなる磁気センサである場合に限るものではなく、複数の磁気抵抗素子を備えたブリッジ回路または差動回路を有する磁気センサであってもよい。ブリッジ回路を備えることにより、簡便に磁場変化に応じた電圧出力を得ることが可能になる。
次に、本発明を実施するための具体的な形態について説明する。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態を説明する。
この第1の実施形態は、磁気センサの磁気抵抗素子としてTMR素子を用いたものである。
図1に示すように、磁気抵抗素子(TMR素子)100は、磁化固定層101と中間層102と磁化自由層103とを備える。この磁気抵抗素子100は、磁化固定層101と磁化自由層103との相対的な磁化の角度によって、膜面に水平方向または垂直方向の抵抗の変化が生じる特徴を有する。特にTMRの場合は、中間層102は、AlあるいはMgOなどの絶縁層からなる。また、図1において、磁化自由層103の表面の矢印は、磁化自由層103の磁化方向を示し、磁化固定層101の矢印は、磁化固定層101の磁化方向を示す。
図2はTMR素子200の断面図を示す。図2に示すように、TMR素子200は、磁化固定層201の上に、中間層202と磁化自由層203とがこの順に積層されてなる。磁化自由層203は、図2に示すように、第1の強磁性体層211と、スペーサ層212と、第2の強磁性体層213とを備え、第1の強磁性体層211の上に、スペーサ層212および第2の強磁性体層213がこの順に積層されてなる。
巨大な磁気抵抗効果を発現させる観点から、磁化自由層103に含まれる第1の強磁性体層211と、磁化固定層101との間に、中間層202が挟まれていることが好ましい。
第1の強磁性体層211はCoFeBなどからなる。スペーサ層212はRuやTaなどからなる。第2の強磁性体層213はNiFeなどからなる。この第2の強磁性体層213は、磁化自由層203の保持力を下げ、ダイナミックレンジを広げる観点から、軟磁性体であることが好ましい。第2の強磁性体層213を軟磁性体とするためには、その材料を例えばNiFe合金膜またはNiFe−X合金膜(X=Ta、Cr、Nb、Rh、Zr、Mo、Al、Au、Pd、Pt、Si等を含有)、またはその両方を積層とすることで実現される。第2の強磁性体層213がNiFe合金膜の場合は、結晶磁気異方性及び磁歪の影響を低減させる観点から、NiFe合金膜が75原子%〜85原子%のNiを含むNiFe合金膜で構成されることが好ましい。
磁化自由層203は、ダイナミックレンジを広げる観点から第1の強磁性体層211と第2の強磁性体層213との積層構造を有し、第2の強磁性体層213の厚みが20nm以上200nm以下であることが好ましく、より好ましくは40nm以上である。また、磁化自由層203は、MRの低下を避ける観点から、第1の強磁性体層211と第2の強磁性体層213との間にスペーサ層212を備えることが好ましい。
なお、磁化自由層103は少なくとも1つの強磁性体層を有していればよく、この強磁性体層の厚みが20nm以上200nm以下であればよい。ダイナミックレンジ(磁場測定範囲)を広げる観点から強磁性体層の厚みは、20nm以上であり、好ましくは40nm以上であればよい。
図3は磁化自由層203の断面図を示し、矢印は磁化自由層203の磁化方向を示している。
図3(a)においては第1の強磁性体層211の磁化方向と第2の強磁性体層213の磁化方向とは一致している(平行結合状態)。一方、図3(b)においては第1の強磁性体層211の磁化方向と第2の強磁性体層213の磁化方向とは反対方向(反平行結合状態)を向いている。ダイナミックレンジを広げる観点から、磁化自由層203の第1の強磁性体層211の磁化方向と第2の強磁性体層213の磁化方向とが平行結合状態(磁化の向きが同じ)であることが好ましい。
図4は、本発明におけるTMR素子からなる磁気抵抗素子200aの模式図であって、図4(a)は表面の模式図、図4(b)〜(d)は図4(a)のA−A′断面の模式図である。
図4において、204は下部電極であり、2つのTMR素子200を備えて、TMR素子からなる磁気抵抗素子200aを構成している。本発明におけるTMR素子からなる磁気抵抗素子200aは、トンネル接合(つまりTMR素子200)の数が2つであることは必須用件ではなく、1つのトンネル接合、あるいは複数のトンネル接合を直列、又は並列に接続したTMR素子であっても構わない。
図4において、磁気抵抗素子200aのパターン形成は、フォトリソグラフィー及びイオンミリングを使用したエッチングにより行うが、エッチングは必ずしも図4(b)に示すように磁化固定層(ピンド層)201まで削りきる必要はない。例えば、磁化固定層201の途中(図4(c))もしくは絶縁層からなる中間層202の途中(図4(d))でも構わない。
図4(b)〜図4(d)において、電流は、磁気抵抗素子(TMR素子)200aの一方のトンネル接合の磁化自由層(フリー層)203から注入され、中間層(絶縁層)202を抜けて磁化固定層201又は下部電極204へ到達する。続いて、磁化固定層201又は下部電極204を通じて、隣のトンネル接合に到達し、磁化固定層201、中間層(絶縁層)202を抜けて磁化自由層203を経由して、外部に取り出される。図4(c)、図4(d)に示すように、下部電極204を積極的に形成せずに、磁化固定層201を下部電極204として利用することも可能である。
図4において、図4(a)に示すように、磁化自由層203の形状は、磁化自由層203の、磁化固定層201の磁化方向(第1の磁化方向)の幅をW、磁化自由層203の、第1の磁化方向と直交する方向(第2の磁化方向)の幅をLとしたとき、磁化自由層103の磁化方向である第1の磁化方向の幅Wは、形状異方性の効果を強める観点から、10μm以下であり、形状異方性によって磁化自由層203の磁化容易軸を第2の磁化方向に誘導するために、第1の磁化方向の幅Wと前記第2の磁化方向の幅Lとのアスペクト比(L/W)がL/W≧5であることが好ましく、また、200以下であることが好ましい。より好ましくは10以上100以下であることが好ましい。
なお、図4においては、磁化自由層203の形状を矩形で示しているが、楕円形状など、矩形に限らない。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を説明する。
この第2の実施形態は、磁気センサの磁気抵抗素子としてGMR素子を用いたものである。
図5は、GMR素子300の断面図である。GMR素子300は、図5に示すように、磁化固定層(ピンド層)301と中間層としての導電層302と磁化自由層(フリー層)303とを備え、磁化固定層301の上に、導電層302と磁化自由層303とがこの順に積層されてなる。
GMR素子300の場合、中間層はCuなどの導電層302からなる。
そして、磁化自由層303は、第1の強磁性体層311と、この第1の強磁性体層311の上に積層される第2の強磁性体層312とを備える。第1の強磁性体層311はCoFeなどからなる。第2の強磁性体層312は、磁化自由層303の保持力を下げ、ダイナミックレンジを広げる観点から、軟磁性体であることが好ましく、例えば、NiFe合金またはNiFe−X合金(X=Ta、Cr、Nb、Rh、Zr、Mo、Al、Au、Pd、Pt、Si等を含有)、またはその両方を積層することで実現される。第2の強磁性体層312がNiFe合金膜の場合は、結晶磁気異方性及び磁歪の影響を低減させる観点から、NiFe合金膜が75原子%〜85原子%のNiを含むNiFe合金膜で構成されることが好ましい。
磁化自由層303は、ダイナミックレンジを広げる観点から第1の強磁性体層311と第2の強磁性体層312との積層構造を有し、第2の強磁性体層312の厚みが20nm以上200nm以下であることが好ましく、より好ましくは40nm以上である。なお、磁化自由層303は少なくとも1つの強磁性体層を有していればよく、この強磁性体層の厚みが20nm以上200nm以下であればよい。ダイナミックレンジ(磁場測定範囲)を広げる観点から強磁性体層の厚みは、20nm以上であり、好ましくは40nm以上であればよい。
巨大な磁気抵抗効果を発現させる観点から、磁化自由層303に含まれる第1の強磁性体層311と、磁化固定層301との間に、中間層302が挟まれていることが好ましい。また、この場合も、ダイナミックレンジを広げる観点から、磁化自由層303の第1の強磁性体層311の磁化方向と第2の強磁性体層313の磁化方向とが平行結合状態(磁化の向きが同じ)であることが好ましい。
図6は、本発明におけるGMR素子からなる磁気抵抗素子400aの模式図であって、図6(a)は表面の模式図、図6(b)は図6(a)のA−A′断面の模式図である。
図6において、401は配線層、402はSi、Si酸化膜などの絶縁層からなる基板である。GMR素子からなる磁気抵抗素子400aのパターン形成はリソグラフィおよびイオンミリングにより行なわれる。図6においては、磁気抵抗素子400aは、Auなどからなる配線層401によりミアンダ状に3つのGMR素子400が直列接続されて、磁気抵抗素子400aを構成している。なお、1つ、もしくは複数のGMR素子が直列、又は並列に接続されて磁気抵抗素子400aを構成しても良い。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態を説明する。
この第3の実施形態は、図7に示すように、第1の実施形態あるいは第2の実施形態で説明したTMR素子あるいはGMR素子などからなる磁気抵抗素子100の磁化自由層103の磁化を第1の磁化方向(磁化固定層101の磁化方向)と直交する第2の磁化方向に誘導する方法を示した図である。
なお、図7において、101は磁化固定層、102は中間層、103は磁化自由層である。
磁化自由層103の磁化方向を容易に制御できる観点から、図7(a)乃至図7(c)などの方法を単独もしくは複数組み合わせで用いて、磁化自由層103の磁化が前記第2の磁化方向に誘導されていることが好ましい。
図7(a)においては、磁場レンジを広げかつ保持力(ヒステリシス)低減の観点から、磁化自由層103の磁化容易軸が形状異方性により第2の磁化方向に誘導されている。形状異方性の効果を強める観点から、磁化自由層103の、第1の磁化方向の幅Wと第2の磁化方向の幅Lとのアスペクト比(L/W)が5以上であることが好ましい。より好ましくは、磁化自由層103の、第1の磁化方向の幅Wが10μm以下であり、第1の磁化方向の幅Wと第2の磁化方向の幅Lとのアスペクト比(L/W)が5以上200以下であることが好ましく、より好ましくは10以上100以下であることが好ましい。
また、図7(b)においては、磁気抵抗素子100近傍に配置されたCoPtなどからなるバイアス磁石501により、磁化自由層103の磁化方向が第2の磁化方向に誘導されている。図7(b)では、誘導したい磁化方向(この場合、第2の磁化方向)に延びる磁化自由層103の両端に、それぞれバイアス磁石501が配置されている。
なお、TMRの場合には、バイアス磁石501は、磁気抵抗素子100と接しないように配置される必要があるが、バイアス磁石501は、磁気抵抗素子100の近傍に配置されていればよく、すなわち、磁気抵抗素子100にバイアス磁界を与えることのできる位置に配置されていればよい。
また、図7(c)においては、磁気抵抗素子100近傍に配置されたAuなどからなる配線層502の作る電流磁界により、磁化自由層103の磁化方向が第2の磁化方向に誘導されている。図7(c)では、誘導したい磁化方向(この場合、第2の磁化方向)と直交する方向に延びる配線層502が磁化自由層103の上に形成されている。
配線層50は、磁気抵抗素子100の近傍に配置されていればよく、すなわち、磁気抵抗素子100にバイアス磁界を与えることのできる位置に配置されていればよい。
また、磁気抵抗素子100の近傍にバイアス磁石501と配線層502とを設け、バイアス磁石501による磁界と配線層502を流れる電流によって生成された磁界との両方を適用して磁化自由層103の磁化方向を第1の磁化方向と直交する第2の磁化方向に誘導してもよい。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態を説明する。
この第4の実施形態における磁気センサは、磁気抵抗素子を用いてホイートストンブリッジ回路を形成した磁気センサである。
図8(a)、(b)は、第4の実施形態における磁気センサの一例を示す回路図である。なお、磁気抵抗素子は、上記各実施形態における磁気抵抗素子100、あるいは、TMR素子200、GMR素子300を適用することができる。
図8(a)、(b)中において、磁気抵抗素子中に記載されている矢印は、磁気抵抗素子が有する磁化固定層の磁化方向を表す。
図8(a)に示す磁気センサは、直列接続された磁気抵抗素子10および11と、直列接続された磁気抵抗素子12および13とが、定電圧Vinを供給する定電圧源およびGnd間に並列に接続されて、磁気抵抗素子12および13間の電圧が出力電圧V1、磁気抵抗素子10および11間の電圧が出力電圧V2となる。つまり、磁気センサは、磁気抵抗素子10〜13を備えたホイートストンブリッジ回路からなる。
磁気抵抗素子10および13の磁化固定層の磁化方向は同一方向であり、磁気抵抗素子11および12の磁化固定層の磁化方向は、磁気抵抗素子10、13の磁化方向と180度異なっておりすなわち逆方向である。
ここで、図8(a)に示す磁気センサを、定電圧Vinで駆動した場合の出力電圧Voutは、次式(1)で表される。
Vout=V1−V2=(ΔR/R)×Vin ……(1)
また、定電圧源に替えて定電流Iinを供給する定電流源を接続し、図8(a)に示す磁気センサを、定電流Iinで駆動したときの出力電圧Voutは、次式(2)で表される。
Vout=V1−V2=ΔR×Iin ……(2)
なお、(1)式および(2)式中の、Rは無磁場状態での初期の抵抗値であり、ΔRは磁場を印可したときの抵抗変化量である。
定電圧Vinで駆動したときは、(1)式に示すように、出力電圧VoutはΔRに比例し、Rに反比例する。オフセット磁場が存在する環境下では、初期の抵抗Rに影響を与えるため、出力電圧Voutはオフセット磁場の影響を受けてしまう。
一方、定電流Iinで駆動したときは、(2)式のように出力電圧VoutはRには依存せず、ΔRにのみに比例する。したがって、オフセット磁場の影響を受けず、検出しようとする磁場変化に依存する抵抗変化量ΔRに比例した出力電圧Voutを得ることができる。
したがって、オフセット磁場が存在するか否かを考慮して、定電圧Vinまたは定電流Iinにより磁気センサを駆動すればよい。
このように、磁気抵抗素子を用いたホイートストンブリッジ回路によって磁気センサを構成することによって、簡便に磁場変化に応じた電圧出力を得ることができる。
なお、図8(b)に示すように、図8(a)に示す磁気抵抗素子11および12に替えて、磁気シールドなどにより、印加磁場に対して不感である(磁気抵抗変化を示さない)固定抵抗15、16を用いてもよい。
図8(b)に示す磁気センサは、直列接続された磁気抵抗素子14および固定抵抗15と、直列接続された固定抵抗16および磁気抵抗素子17とが、定電圧Vinを供給する定電圧源およびGnd間に並列に接続され、固定抵抗16および磁気抵抗素子17間の電圧が出力電圧V1、磁気抵抗素子14および固定抵抗15間の電圧が出力電圧V2となる。磁気抵抗素子14および17の磁化固定層の磁化方向は同一方向である。なお、固定抵抗15および16は、磁気シールドなどにより、印可磁場に対して不感である(磁気抵抗変化を示さない)。
図8(b)に示す磁気センサを、定電圧Vinで駆動した場合の出力電圧Voutは、次式(3)で表される。
Vout=V1−V2=(ΔR/2R)×Vin ……(3)
また、図8(b)に示す磁気センサを、定電圧源に替えて定電流Iinを供給する定電流源を用い、定電流Iinで駆動したときの出力電圧Voutは、次式(4)で表される。
Vout=V1−V2=ΔR/2×Iin ……(4)
したがって、定電圧Vinで駆動したときは、(3)式に示すように、出力はΔRに比例し、2Rに反比例する。オフセット磁場が存在する環境下では、初期の抵抗Rに影響を与えるため、出力電圧Voutはオフセット磁場の影響を受けてしまう。
一方、定電流Iinで駆動したときは、(4)式のように出力はRには依存せず、ΔRにのみに比例する。その結果、オフセット磁場の影響を受けず、検出しようとする磁場変化に依存する抵抗変化量ΔRに比例した出力電圧Voutを得ることができる。
したがって、この場合も、オフセット磁場が存在するか否かを考慮して、定電圧Vinまたは定電流Iinにより磁気センサを駆動すればよい。
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態を説明する。
第5の実施形態は、磁気抵抗素子を、単素子からなる差動回路として用いた磁気センサであって、図9はその構成の一例を示す回路図である。
図9(a)に示す磁気センサは、磁気抵抗素子20および21を備える。これら磁気抵抗素子20、21は、上記各実施形態で説明した磁気抵抗素子100あるいは、TMR素子200、GMR素子300を適用することができる。
磁気抵抗素子20の磁化固定層の磁化方向と、磁気抵抗素子21の磁化固定層の磁化方向とは180度ずれている。すなわち磁化方向は互いに反対方向である。なお、図9(a)、(b)において、磁気抵抗素子中に示す矢印は、磁気抵抗素子の磁化固定層の磁化方向である。
そして、磁気抵抗素子20と定電流Iinを供給する定電流源20aとが、一方の出力V1の出力端とGndとの間に並列に接続される。同様に、磁気抵抗素子21と定電流Iinを供給する定電流源21aとが、他方の出力V2の出力端とGndとの間に並列に接続される。
ここで、図9(a)に示す磁気センサを、定電流源20a、21aにより駆動したとき、出力電圧Voutは、次式(5)で表される。
Vout=V1−V2=2ΔR×Iin ……(5)
なお、(5)式中のΔRは磁場を印可したときの抵抗変化量である。
無磁場状態での初期の抵抗値をRとしたとき、(5)式のように出力電圧VoutはRには依存せず、ΔRにのみに比例する。したがって、オフセット磁場の影響を受けず、検出しようとする磁場変化に依存する抵抗変化量ΔRに比例した出力電圧Voutを得ることができる。
また、図9(a)に示す磁気センサにおいて、図9(b)に示すように、磁気抵抗素子20および21に替えて、ある方向に感磁軸を持つ磁気抵抗素子22と、磁気シールドなどにより、印可磁場に対して不感である(磁気抵抗変化を示さない)固定抵抗23とを備えていてもよい。このときの、定電圧Vinで駆動した場合の磁気センサの出力電圧Voutは、次式(6)で表される。
Vout=V1−V2=ΔR×Iin ……(6)
したがって、この場合も、出力電圧Voutは、無磁場状態での初期の抵抗値Rには依存せず、ΔRにのみに比例する。したがって、オフセット磁場の影響を受けず、検出しようとする磁場変化に依存する抵抗変化量ΔRに比例した出力電圧Voutを得ることができる。
なお、図8および図9に示す磁気センサにおいて、各磁気抵抗素子は、1つの磁気抵抗素子からなる場合に限るものではなく、複数の磁気抵抗素子が直列または並列に接続されて、ホイートストンブリッジ回路(図8)あるいは差動回路(図9)が構成されていてもよい。
以下、本実施形態の磁気センサに係る実施例を示す。
(実施例1)
スパッタ装置を用いてSi基板上に製膜を行い、TMR素子を形成した。具体的には、下地層としてTa(5nm)およびRu(5nm)からなる積層構造、反強磁性層としてIrMn(15nm)、磁化固定層(図2の201)としてCoFe(2nm)/Ru(0.9nm)/CoFeB(3nm)からなる積層構造、中間層(図2の202)としてMgO(2nm)、磁化自由層(図2の203)としてCoFeB(第1の強磁性体層(図2の211)(2nm)/Ru(スペーサ層(図2の212))(1.4nm:第1の強磁性体層と第2の強磁性体層の磁化が平行結合となる距離)/NiFe(第2の強磁性体層(図2の213))(20nm)(Ni:Fe=80:20)からなる積層構造、キャップ層としてTa(5nm)とRu(8nm)からなる積層構造を用い、これらをこの順に積層した。そして、磁化自由層(図2の203)の第1および第2の強磁性体層(図2の211、213)における、第1の磁化方向(つまり磁化固定層の磁化方向)の幅Wが2μm、第1の磁化方向と直交する第2の磁化方向の幅Lが20μmになるようにエッチングを行い、TMR素子を得た。
(実施例2)
磁化自由層の第2の強磁性体層(図2の213)の膜厚を40nmにした以外は実施例1と同様の方法でTMR素子を得た。
(実施例3)
磁化自由層の第2の強磁性体層(図2の213)の膜厚を80nmにした以外は実施例1と同様の方法でTMR素子を得た。
(実施例4)
磁化自由層の第2の強磁性体層(図2の213)の膜厚を120nmにした以外は実施例1と同様の方法でTMR素子を得た。
(実施例5)
磁化自由層の第2の強磁性体層(図2の213)の膜厚を200nmにした以外は実施例1と同様の方法でTMR素子を得た。
(比較例1)
磁化自由層の第2の強磁性体層(図2の213)の膜厚を4nmにした以外は実施例1と同様の方法でTMR素子を得た。
(比較例2)
磁化自由層の第2の強磁性体層(図2の213)の膜厚を10nmにした以外は実施例1と同様の方法でTMR素子を得た。
(評価1)
実施例1、2によって得られた本発明におけるTMR素子について評価を行なった。
まず、実施例1、実施例2、比較例1、比較例2によって得られたTMR素子について、その磁気抵抗効果を示すMR比の磁場依存性を測定した。図10は、そのMR比の磁場依存性の測定結果を示したものである。
磁場依存性の測定は室温で、有磁界プローバーを用いて行い、磁化固定層の磁化方向(第1の磁化方向)に「+1900Oe」から「−1900Oe」までの磁場を印可したときの抵抗値およびMR比を測定した。抵抗値は、TMR素子に定電圧100mVを印可した時の電流値から求めた。また、MR比は次式(7)から求めることができる。
MR[%]=ΔR/Rmin×100 ……(7)
(7)式中のRminは、磁場を「+1900Oe」から「−1900Oe」まで印可したときの最小の抵抗値であり、ΔRはRminからの抵抗変化量である。
図10から、磁化自由層の第2の強磁性体層(図2の213)の膜厚を20nm以上にすることにより、ダイナミックレンジが大幅に拡大していることが分かる。
なお、図10において、横軸は、印加磁場〔Oe〕、縦軸はMR比〔%〕である。また、特性線m1は、第2の強磁性体層NiFeの膜厚が4nmである場合、特性線m2は10nmである場合、特性線m3は20nmである場合、特性線m4は40nmである場合を示す。TMR形状は、磁化自由層の第1および第2の強磁性体層(図2の211、213)の、第1の磁化方向(磁化固定層の磁化方向)の幅Wが2μm、第1の磁化方向と直交する第2の磁化方向の幅Lが20μmで、幅WおよびLとも一定である。
(評価2)
次に、実施例2〜実施例5によって得られた本発明におけるTMR素子について評価を行なった。
具体的には、実施例2〜実施例5によって得られたTMR素子について、その磁気抵抗効果を示すMR比の磁場依存性を測定した。図11は、磁場依存性の測定結果を示したものである。
この磁場依存性の測定は、評価1の場合と同様の手順で行なった。
図11から、磁化自由層の第2の強磁性体層(図2の213)の膜厚(NiFe)を厚くすることで、ダイナミックレンジを拡大することができることがわかる。また、図11から予測される、第2の強磁性体層(図2の213)の膜厚の増加に伴う、MR比減少の観点から、第2の強磁性体層(図2の213)であるNiFe膜厚は200nm以下であることが好ましいことが理解される。
なお、図11において、横軸は、印加磁場〔Oe〕、縦軸はMR比〔%〕である。また、特性線m11は、第2の強磁性体層NiFeの膜厚が40nmである場合、特性線m12は80nmである場合、特性線m13は120nmである場合、特性線m14は200nmである場合を示す。TMR形状は、磁化自由層の第1および第2の強磁性体層(図2の211、213)の、第1の磁化方向(磁化固定層の磁化方向)の幅Wが2μm、第1の磁化方向と直交する第2の磁化方向の幅Lが20μmで、幅WおよびLとも一定である。
(実施例6)
次に、実施例6を説明する。
磁化自由層の第2の強磁性体層(図2の213)の膜厚を40nmとし、磁化自由層の第1および第2の強磁性体層(図2の211、213)の、第1の磁化方向(磁化固定層の磁化方向)の幅Wを1μm(L/W=20)とした以外は実施例1と同様の方法でTMR素子を得た。
(実施例7)
磁化自由層の第2の強磁性体層(図2の213)の膜厚を40nmとし、磁化自由層の第1および第2の強磁性体層(図2の211、213)の、第1の磁化方向(磁化固定層の磁化方向)の幅Wを4μm(L/W=5)とした以外は実施例1と同様の方法でTMR素子を得た。
(実施例8)
磁化自由層の第2の強磁性体層(図2の213)の膜厚を40nmとし、磁化自由層の第1および第2の強磁性体層(図2の211、213)の、第1の磁化方向(磁化固定層の磁化方向)の幅Wを10μm(L/W=2)とした以外は実施例1と同様の方法でTMR素子を得た。
(評価3)
次に、評価3を説明する。
評価3では、実施例1、実施例6〜8で得られたTMR素子について、その磁気抵抗効果を示すMR比の磁場依存性を測定した。図12は、その測定結果を示したものである。
図12から、磁化自由層の第1および第2の強磁性体層(図2の211、213)の、第1の磁化方向の幅Wを小さくするほどダイナミックレンジが拡大されることが分かる。また、特性線m21〜m23に示すように、幅Wが4μm以下であるときに良好なダイナミックレンジを得ることができることから、幅Lと幅Wの比であるL/W(L=20μm固定)は5以上であることが好ましいことがわかる。
なお、図12において、横軸は印加磁場〔Oe〕、縦軸はMR比〔%〕である。また、特性線m21は、磁化自由層の第1および第2の強磁性体層(図2の211、213)の、第1の磁化方向の幅Wが1μmである場合、特性線m22は2μmである場合、特性線m23は4μmである場合、特性線m24は10μmである場合を示す。TMR形状は、第1および第2の強磁性体層(図2の211、213)の、第1の磁化方向(磁化固定層の磁化方向)の幅Wを変化させ、第1の磁化方向と直交する第2の磁化方向の幅Lを20μmで一定とした。
評価1〜評価3から、磁気抵抗素子の磁化自由層に強磁性体層を設け、この強磁性体層の厚みを20nm以上200nm以下とすることにより、ダイナミックレンジを広くすることができることが確認できた。
また、磁化自由層の第1の磁化方向の幅Wが10μm以下であるとき、L/W=5以上とすることにより、ダイナミックレンジを広くすることができることが確認できた。なお、幅Wが10μmより大きいとダイナミックレンジが大きく減少してしまうことが確認されている。
なお、本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
10〜14、17、20、21、22 磁気抵抗素子
15、16 23 固定抵抗
20a、21a、22a、23a 定電流源
100 磁気抵抗素子
101、201、301 磁化固定層(ピンド層)
102 中間層
103、203、303 磁化自由層(フリー層)
200 TMR素子
202 中間層(酸化膜絶縁層)
204 下部電極
211、311 第1の強磁性体層
212 スペーサ層
213、312 第2の強磁性体層
300、400 GMR素子
302 中間層(導電層)
400a 磁気抵抗素子
401 配線層
402 基板(絶縁層)
501 バイアス磁石
502 配線層

Claims (13)

  1. 第1の方向に磁化が固定された強磁性の磁化固定層と、
    当該磁化固定層の上に積層される非磁性の中間層と、
    当該中間層の上に積層され、磁化の向きを前記第1の方向とは異なる方向へ変えることが可能な軟磁性の磁化自由層と、を有する磁気抵抗素子を備え、
    前記磁化自由層は少なくとも1つの強磁性体層を有し、該強磁性体層の厚みが20nm以上200nm以下である磁気センサ。
  2. 前記磁化自由層は、第1の強磁性体層と当該第1の強磁性体層の上に積層される第2の強磁性体層との積層構造を有し、
    前記第2の強磁性体層の厚みが20nm以上200nm以下である請求項1に記載の磁気センサ。
  3. 前記磁化自由層は、第1の強磁性体層と当該第1の強磁性体層の上に積層される第2の強磁性体層との積層構造を有し、
    前記中間層は、前記第1の強磁性体層と前記磁化固定層との間に設けられている請求項1または請求項2に記載の磁気センサ。
  4. 前記第1の強磁性体層と前記第2の強磁性体層との間にスペーサ層をさらに有する請求項2または請求項3に記載の磁気センサ。
  5. 前記第2の強磁性体層が軟磁性体である請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の磁気センサ。
  6. 前記第1の強磁性体層の磁化と前記第2の強磁性体層の磁化とが平行結合状態である請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の磁気センサ。
  7. 前記第2の強磁性体層がNiFe合金膜である請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の磁気センサ。
  8. 前記第2の強磁性体層のNiFe合金膜が75原子%以上85原子%以下のNiを含むNiFe合金膜である請求項7に記載の磁気センサ。
  9. 前記磁化自由層は、形状異方性により、前記第1の方向と直交する第2の方向に磁化容易軸が誘導される請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の磁気センサ
  10. 前記磁化自由層は前記第1の方向の幅Wが10μm以下であり、前記磁化自由層の、前記第1の方向の幅Wと当該第1の方向と直交する第2の方向の幅Lとのアスペクト比(L/W)が5以上である請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の磁気センサ。
  11. 前記磁化自由層の磁化方向が、バイアス磁石により前記第1の方向と直交する第2の方向に誘導される請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の磁気センサ。
  12. 前記磁化自由層の磁化方向が、電気配線を流れる電流によって生成された磁界により前記第1の方向と直交する第2の方向に誘導される請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の磁気センサ。
  13. 前記磁気抵抗素子を含むブリッジ回路もしくは差動回路を備える請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の磁気センサ。
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