JP6885044B2 - 液体吐出ユニット、液体吐出装置及び印刷方法 - Google Patents

液体吐出ユニット、液体吐出装置及び印刷方法 Download PDF

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Description

本発明は、液体吐出ユニット、液体吐出装置及び印刷方法に関する。
従来、屋内屋外で飾られる広告などのサイングラフィックス分野では、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)であるプロセスカラーの画像形成用のインクと、白インクやメタリックインクなどのプロセスカラーとは異なる色の補助用インクとを搭載したインクジェット方式の液体吐出装置が用いられている。このような液体吐出装置は、例えば、まず被印刷物である透明メディアの全面に白インクなどの補助用インク(背景用や下地用インク)をプリント(付与)し、その上から画像形成インクによって画像をプリントする。
ここで、被印刷物の全面に補助用インク(例えば、白インク)を付与する場合と、被印刷物の画像を形成する場所にのみ補助用インクを付与する場合との何れかの場合のように、画像を形成する場所と重なる場所に補助用インクを付与する状態を「下地を形成する」という。また、画像形成する場所と重ならない場所に、補助用インクを付与する状態を「背景を形成する」という。したがって、「下地及び背景を形成する」は、被印刷物の全面に補助用インクを付与する態様を表す。また、「下地又は背景を形成する」は、被印刷物に対して画像を形成する場所と補助インクを付与する場所とが完全に一致しない態様、例えば、画像と重なる部分の一部に補助インク層があり、被印刷物の全面ではなく画像が形成されない場所の一部に補助インク層がある態様を表す。
なお、液体吐出装置は、粒状性を向上させるため、KCMY以外に、ライトシアン、ライトマゼンタ、グレーなどの特色インクを画像形成インクに加えることも可能である。また、プリンタ装置は、色再現性を向上させるため、オレンジ、グリーン、レッドなどの特色インクを画像形成インクに加えることも可能である。
特許文献1には、KCMY(プロセスカラー)とは異なる特色の記録液(インク)を吐出するヘッドを備え、特色の記録液を用いて往復の色の差を小さくする技術が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示された技術によれば、特色のインクをより効果的に用いて様々な印字モードに対応することができない、という問題がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、多彩な印字モードに対応でき、それぞれの印字モードで高速に印字することができる液体吐出ユニット、液体吐出装置及び印刷方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、画像形成用のプロセスカラーのインクを吐出するノズル孔を主走査方向に直交する副走査方向に複数配列したノズル列を有する第1ノズル群と、前記第1ノズル群と同一のノズル列数およびノズル数を有し、前記第1ノズル群に対して副走査方向上流側および下流側に設けられるとともに、前記第1ノズル群とはそれぞれ互いに主走査方向に位置をずらして配置され、前記プロセスカラーとは異なる補助色の液体である補助用インクと前記画像形成用の特色のインクを吐出するノズル孔を副走査方向に複数配列したノズル列を有する第2ノズル群及び第3ノズル群と、前記第1ノズル群、第2ノズル群および第3ノズル群から吐出する液体を制御する制御部であって、前記第2ノズル群で前記補助色インクを吐出し、その後前記第1ノズル群で前記プロセスカラーのインクを吐出し、さらにその後前記第3ノズル群で前記特色インクを吐出する第1の画像形成、および、前記第2ノズル群で前記特色インクを吐出し、その後前記第1ノズル群で前記プロセスカラーのインクを吐出し、さらにその後前記第3ノズル群で前記補助色インクを吐出する第2の画像形成を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、多彩な印字モードに対応でき、それぞれの印字モードで高速に印字することができる、という効果を奏する。
図1は、第1の実施形態にかかるインクジェット記録装置の構成を示す模式図である。 図2は、インクジェット記録装置の制御構成を示すブロック図である。 図3は、記録ヘッドのノズル構成を示す平面図である。 図4は、記録ヘッドの印字動作の一例を示す説明図である。 図5は、記録ヘッドの印字動作の一例を示す説明図である。 図6は、記録ヘッドの印字動作の一例を示す説明図である。 図7は、記録ヘッドの印字動作の一例を示す説明図である。 図8は、記録ヘッドの印字動作の一例を示す説明図である。 図9は、記録ヘッドの印字動作の一例を示す説明図である。 図10は、印刷結果の一例を示す図である。 図11は、画像にじみが生じた印刷結果の一例を示す図である。 図12は、第2の実施形態にかかる記録ヘッドの印字動作の一例を示す説明図である。 図13は、第3の実施形態にかかる乾燥装置を示すものであり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
以下に添付図面を参照して、液体吐出ユニット、液体吐出装置及び印刷方法の実施形態を詳細に説明する。本実施形態は、液体吐出ユニットとして記録ヘッドを適用し、液体吐出装置としてインクジェット記録装置を適用した例について説明するものである。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかるインクジェット記録装置1の構成を示す模式図である。液体吐出装置であるインクジェット記録装置1は、シリアル型のインクジェット記録装置である。図1に示すように、インクジェット記録装置1は、所要の画像を印字する画像形成部2と、乾燥装置3と、ロールメディア収納部4と、搬送機構5と、を備えている。ロールメディア収納部4は、被印刷物であるロールメディア(記録用メディア)40を収納する。なお、ロールメディア収納部4は、幅方向のサイズが異なる記録用メディア40を収納可能である。記録用メディア40は、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどの透明な非浸透メディアである。
搬送機構5は、ロール・ツー・ロール方式の搬送手段を構成する。搬送機構5は、一対のニップローラ51と、一対の従動ローラ52と、巻き取りローラ53とを記録用メディア40の搬送経路54上に備えている。ニップローラ51は、画像形成部2の手前側(搬送方向Aの上流側)に設けられている。ニップローラ51は、モータM(図2参照)の駆動に伴って回転することで挟み込んだ記録用メディア40を画像形成部2に向けて搬送する。また、巻き取りローラ53は、モータMの駆動に伴って回転することにより印字後の記録用メディア40を巻き取る。従動ローラ52は、記録用メディア40の搬送に従動して回転する。
搬送機構5は、搬送速度を検出するためのホイールエンコーダ55(図2参照)を備えている。搬送機構5は、目標値とホイールエンコーダ55からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値に基づくモータMの制御により、搬送速度を制御される。
すなわち、ロールメディア収納部4に収納された記録用メディア40は、従動ローラ52を介して、ニップローラ51の回転によって画像形成部2へと搬送される。画像形成部2に到達した記録用メディア40は、画像形成部2によって所要の画像を印字される。そして、印字後の記録用メディア40は、巻き取りローラ53の回転により巻き取られることになる。
画像形成部2は、キャリッジ21を備えている。キャリッジ21は、ガイドロッド(ガイドレール)22によって摺動可能に保持されている。キャリッジ21は、モータMの駆動に伴って記録用メディア40の搬送方向Aと直交する方向(主走査方向)にガイドロッド(ガイドレール)22上を移動する。より詳細には、キャリッジ21は、主走査方向の移動可能領域である主走査領域のうち、搬送機構5により搬送される記録用メディア40に対して画像形成部2により印字可能な記録領域内を往復移動する。
キャリッジ21は、液滴を吐出する吐出口であるノズル孔を複数配列した記録ヘッド20を搭載している。なお、記録ヘッド20は、記録ヘッド20にインクを供給するタンクを一体的に備えている。ただし、記録ヘッド20は、タンクを一体的に備えているものに限るものではなく、タンクを別体で備えるものであっても良い。記録ヘッド20は、液体吐出ユニットとして機能するものであって、プロセスカラーの記録液であるブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のインク滴を吐出する。ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)は、画像形成用のインクである。加えて、記録ヘッド20は、補助用インク(背景用や下地用のインク)であるホワイト(W)のインク滴を吐出する。また、記録ヘッド20は、色再現性を向上のために用いるこれらのプロセスカラーの記録液とは色相の異なる特色の記録液であるオレンジ(O)、グリーン(G)の各色のインクを吐出する。
ここで、被印刷物である記録用メディア40の全面に補助用インク(例えば、ホワイトのインク(白インク))を付与する場合と、記録用メディア40の画像を形成する場所にのみ補助用インクを付与する場合との何れかの場合のように、画像を形成する場所と重なる場所に補助用インクを付与する状態を「下地を形成する」という。また、画像形成する場所と重ならない場所に、補助用インクを付与する状態を「背景を形成する」という。したがって、「下地及び背景を形成する」は、記録用メディア40の全面に補助用インクを付与する態様を表す。また、「下地又は背景を形成する」は、記録用メディア40に対して画像を形成する場所と補助インクを付与する場所とが完全に一致しない態様、例えば、画像と重なる部分の一部に補助インク層があり、記録用メディア40の全面ではなく画像が形成されない場所の一部に補助インク層がある態様を表す。
画像形成部2は、記録ヘッド20における印字の際に、記録ヘッド20の下方で記録用メディア40を支持するプラテン23を備えている。
また、画像形成部2は、キャリッジ21の主走査方向に沿ってキャリッジ21の主走査位置を検知するためのエンコーダシートを備えている。また、キャリッジ21は、エンコーダ26(図2参照)を備えている。画像形成部2は、キャリッジ21のエンコーダ26によってエンコーダシートを読み取ることにより、キャリッジ21の主走査位置を検知する。
キャリッジ21は、キャリッジ21の移動に従って記録用メディア40の端部を光学的に検知するセンサ24を備えている。このセンサ24による検知信号は、記録用メディア40の端部の主走査方向の位置と記録用メディア40の幅との算出に用いられる。
乾燥装置3は、プリヒータ30と、プラテンヒータ31と、乾燥ヒータ32と、温風ファン33とを備えている。プリヒータ30とプラテンヒータ31と乾燥ヒータ32は、例えばセラミックやニクロム線を用いた電熱ヒータである。
プリヒータ30は、画像形成部2に対して記録用メディア40の搬送方向Aの上流に設けられている。プリヒータ30は、搬送機構5により搬送される記録用メディア40を予備的に加熱する。
プラテンヒータ31は、プラテン23に配設されている。プラテンヒータ31は、記録ヘッド20のノズル孔から噴射されるインク滴を着弾させる記録用メディア40を加熱する。
乾燥ヒータ32は、画像形成部2に対して記録用メディア40の搬送方向Aの下流に設けられている。乾燥ヒータ32は、画像形成部2により印刷した記録用メディア40を引き続き加熱し、着弾したインク滴の乾燥を促す。
温風ファン33は、乾燥ヒータ32(画像形成部2)に対して記録用メディア40の搬送方向Aの下流に設けられている。温風ファン33は、インクが着弾した記録用メディア40の記録面に対して温風を吹き付ける。温風ファン33は、記録用メディア40の記録面のインクに対して直接温風を当てることにより、記録用メディア40の記録面周辺の雰囲気の湿度を下げ、完全に乾燥させる。
このような乾燥装置3を搭載することにより、インクジェット記録装置1は、記録用メディア40として、塩化ビニル、PET、アクリルなどのインクがしみこまない非浸透のメディアを採用することができる。インクジェット記録装置1は、非浸透のメディアを採用する場合、画像形成部2に用いるインクとして、非浸透メディアにも定着が良好な溶剤系のインクあるいは樹脂成分の多い水性レジンインクを採用することができる。
なお、キャリッジ21が記録用メディア40の幅に往復移動しながら記録ヘッド20からインクを吐出して画像を形成するインクジェット記録装置1では、キャリッジ動作が往路のときにのみインクを吐出して画像を形成する片方向印字と、キャリッジ動作が往路復路両方でインクを吐出して画像を形成する双方向印字がある。インクジェット記録装置1では、印字速度の点で有利な双方向印字が主に用いられる。なお、ここでは、キャリッジ21が主走査方向に移動しながら記録ヘッド20からインクを吐出する動作は、1スキャンとする。
次に、インクジェット記録装置1の制御構成について説明する。ここで、図2はインクジェット記録装置1の制御構成を示すブロック図である。
図2に示すように、インクジェット記録装置1は、この装置全体の制御を司る制御部10を備えている。制御部10は、制御主体となるCPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、メモリ14と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)15とを備えている。ROM12は、CPU11が実行するコンピュータプログラムやその他の固定データを格納する。RAM13は、画像データ等を一時格納する。メモリ14は、インクジェット記録装置1の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリである。ASIC15は、画像データに対する各種信号処理や並び替え等を行なう画像処理や、その他装置全体を制御するための入出力信号処理を実行する。
また、図2に示すように、制御部10は、ホストインタフェース(I/F)16と、ヘッド駆動制御部17と、モータ制御部18と、I/O19とを備えている。
ホストI/F16は、ホスト側との間で画像データ(印刷データ)や制御信号の送受信をケーブル或いはネットワークを介して行う。インクジェット記録装置1に接続されるホストとしては、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読取装置、デジタルカメラなどの撮像装置などが挙げられる。
I/O19は、エンコーダ26およびホイールエンコーダ55からの検出パルスを入力する。加えて、I/O19は、センサ24の他、湿度センサ、温度センサ及びその他のセンサなどの各種センサ25を接続する。I/O19は、センサ24や各種センサ25からの検知信号を入力する。
ヘッド駆動制御部17は、記録ヘッド20を駆動制御するものであり、データ転送手段を含む。より詳細には、ヘッド駆動制御部17は、画像データをシリアルデータで転送する。また、ヘッド駆動制御部17は、画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、記録ヘッド20から液滴を吐出する際に使用する駆動波形を生成する。そして、ヘッド駆動制御部17は、生成した駆動波形等を記録ヘッド20の内部の駆動回路へ入力する。
モータ制御部18は、モータMを駆動するものである。より詳細には、モータ制御部18は、CPU11側から与えられる目標値とホイールエンコーダ55からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値に基づいて制御値を算出する。そして、モータ制御部18は、内部のモータ駆動回路を介し、算出した制御値に基づいてモータMを駆動する。
また、制御部10は、ヒータ制御部8と、温風ファン制御部9とを備えている。
ヒータ制御部8は、プリヒータ30とプラテンヒータ31と乾燥ヒータ32とについて、各ヒータ30,31,32の温度が設定された温度となるように出力の制御を行う。より詳細には、ヒータ制御部8は、各ヒータ30,31,32を制御する際、各ヒータ30,31,32に設けられた温度センサにより温度情報を取得する。そして、ヒータ制御部8は、各ヒータ30,31,32の温度を監視しながら、各ヒータ30,31,32の温度が設定された温度となるように制御する。なお、記録ヘッド20のタンクやインク経路上にヒータが設けられている場合には、ヒータ制御部8は、このヒータについても同様に制御する。
温風ファン制御部9は、所定の温度および風量の送風が行われるよう、温風ファン33の出力を制御する。
加えて、制御部10は、インクジェット記録装置1に必要な情報の入力及び表示を行なうための操作パネル60を接続する。
制御部10は、CPU11がROM12(またはメモリ14)から読み出したコンピュータプログラムをRAM13に展開して実行することにより、各部を統括的に制御する。より詳細には、CPU11は、操作パネル60から設定された印字モードに基づき、当該印字モード毎に設定された制御内容をROM12(またはメモリ14)から読み出す。そして、CPU11は、ROM12(またはメモリ14)から読み出した制御内容に基づいて各部を制御することで、後述する制御を実行する。
なお、本実施形態のインクジェット記録装置1で実行されるコンピュータプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
また、本実施形態のインクジェット記録装置1で実行されるコンピュータプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態のインクジェット記録装置1で実行されるコンピュータプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
また、本実施形態のインクジェット記録装置1で実行されるコンピュータプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
次に、インクジェット記録装置1の制御部10が実行する画像データ転送印刷処理について簡単に説明する。制御部10のCPU11は、ホストI/F16に含まれる受信バッファ内の画像データ(印刷データ)を読み出して解析し、ASIC15にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行なう。次いで、制御部10のCPU11は、ASIC15で処理を施した画像データ(印刷データ)をヘッド駆動制御部17から記録ヘッド20に転送する。
なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成は、例えばROM12にフォントデータを格納して行っても良いし、ホスト側のプリンタドライバで画像データをビットマップデータに展開してインクジェット記録装置1に転送するようにしても良い。
次に、本実施形態のインクジェット記録装置1の特徴的な機能について説明する。本実施形態のインクジェット記録装置1は、透明な非浸透メディアである記録用メディア40へのインクジェット印刷に際して、多彩な印字モードに対応でき、それぞれの印字モードで高速に印字することができ、乾燥不足による画像のにじみを低減することができるようにしたものである。
ここで、図3は記録ヘッド20のノズル構成を示す平面図である。図3は、記録ヘッド20のノズル列を上面から透過的に示したものである。図3に示すように、記録ヘッド20は、第1ノズル群20aと、第2ノズル群20bと、第3ノズル群20cとを備えている。
図3に示すように、第1ノズル群20aと少なくとも一つの第2ノズル群20bと第3ノズル群20cとは、それぞれ互いに主走査方向に位置をずらして配置されている。特に図3においては、各ノズル群20a、20b、20cは、主走査方向に2列とし副走査方向に千鳥状に交互に配設されている。すなわち、各ノズル群20a、20b、20cは、記録用メディア40の搬送方向Aの上流側から下流側に向かってノズル列が重複しないように、第2ノズル群20b、第1ノズル群20a、第3ノズル群20cの順に配設されている。また、図3に示すように、第1ノズル群20aは、第2ノズル群20bおよび第3ノズル群20cとは、主走査方向に位置をずらして配設されている。
第1ノズル群20aは、画像形成用のKCMY(プロセスカラー)のインク滴を吐出する4列のノズル列を備えている。それぞれのノズル列は、ノズル番号No.1のノズル孔からノズル番号No.192のノズル孔の192個のノズル孔を有している。図3に示す例では、各ノズル孔は、記録用メディア40の搬送方向Aの下流側のノズル孔から上流側のノズル孔に向かって、ノズル番号No.1からノズル番号No.192となっている。なお、これらのノズル孔間のピッチPは、150dpi(dots per inch)である。
第1ノズル群20aは、イエロー(Y)のインク滴を吐出するイエローインクノズル列NYと、マゼンタ(M)のインク滴を吐出するマゼンタインクノズル列NMと、シアン(C)のインク滴を吐出するシアンインクノズル列NCと、ブラック(K)のインク滴を吐出するブラックインクノズル列NKを有している。
第2ノズル群20bおよび第3ノズル群20cも、第1ノズル群20aと同様に、各列がノズル番号No.1からノズル番号No.192の192個のノズル孔を有する4列のノズル列を有している。第2ノズル群20bおよび第3ノズル群20cも、第1ノズル群20aと同様に、ノズル孔間のピッチPは、150dpiである。
第2ノズル群20bおよび第3ノズル群20cは、補助記録用のノズル列を備えている。具体的には、第2ノズル群20bおよび第3ノズル群20cは、背景及び/又は下地形成用の色のインク滴を吐出する2列のノズル列と、画像形成用の特色のインク滴を吐出する2列のノズル列とを備えている。
第2ノズル群20bおよび第3ノズル群20cは、背景及び/又は下地形成用インクの一例としてホワイト(W)のインク滴を吐出する2列のノズル列NWを有している。また、第2ノズル群20bおよび第3ノズル群20cは、画像形成用の特色のインクの一例としてオレンジ(O)のインク滴を吐出するノズル列NOと、グリーン(G)のインク滴を吐出するノズル列NGを有している。
上述したように、各ノズル群20a、20b、20cはノズル列数およびノズル数が同一であることから、各ノズル群20a、20b、20cを同一の部品で構成することができることにより、部品種類を少なくすることができるので、装置の低コスト化を図ることができる。
ここで、記録ヘッド20の各ノズル群20a、20b、20cによる印字動作について説明する。なお、ここでは、4パス、1/4インターレースの16スキャンで印字する場合を例とする。各ノズル列のノズル孔間のピッチPは150dpiであるので、1/4インターレースで印字すると、副走査方向600dpiの画像が形成される。
[白下地→カラー画像(4色)]
図4は、記録ヘッド20の印字動作の一例を示す説明図である。図4に示す例は、白下地を下地及び背景として形成した後、カラー画像(4色)を形成するモードである。図4に示す例では、破線で囲まれたノズル列NW,NW,NY,NC,NM,NKを用いる。
まず、インクジェット記録装置1の制御部10は、第2ノズル群20bの2列のノズル列NWを用いて、下地及び背景の白ベタを形成する。下地及び背景形成用の2列のノズル列NWは、300dpi(150dpi×2)で配列される。通常、副走査600dpiの画像は、300dpiのノズル列によれば1/2インターレースで可能である。しかしながら、ここでは1/4インターレースとしているため、下地及び背景用白ベタは2倍の付着量となり、インク層が厚く形成される。そのため、記録用メディア40は、白ベタで下地や背景を形成した場合に十分な遮光性を得ることができる。
次に、インクジェット記録装置1の制御部10は、白ベタが完成した後に、第1ノズル群20aのノズル列NY,NC,NM,NKを用いて、画像形成用のKCMY(プロセスカラー)による画像を白ベタの上に形成する。この場合、KCMYの4色のインクによる画像は、4パス、1/4インターレースの16スキャンで副走査600dpiの画像である。
[白下地→カラー画像(6色)]
図5は、記録ヘッド20の印字動作の一例を示す説明図である。図5に示す例は、白ベタで下地や背景を形成した後、カラー画像(6色)を形成するモードである。図5に示す例では、破線で囲まれたノズル列NW,NW,NY,NC,NM,NK,NO,NGを用いる。
まず、図4の例と同様に、インクジェット記録装置1の制御部10は、第2ノズル群20bの2列のノズル列NWを用いて、下地及び背景の白ベタを形成する。その後、図4の例と同様に、インクジェット記録装置1の制御部10は、第1ノズル群20aのノズル列NY,NC,NM,NKを用いて、画像形成用のKCMY(プロセスカラー)による画像を白ベタの上に形成する。
次に、インクジェット記録装置1の制御部10は、第3ノズル群20cのノズル列NO,NGを用いて、オレンジおよびグリーンの特色による画像を加えていく。図5に示す例では、このような特色の追加により、より色域の広い画像を形成することができる。
特色ドットは、プロセスカラーのドットよりも観察面側に位置するように印刷すると、特色の効果をより効率的に引き出すことができ、色域を大きくするのに有効である。本実施例では、プロセスカラーであるイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックを形成した後に、特色であるオレンジ、グリーンを印字するので、特色ドットがプロセスカラーよりも上に打たれることになり色域を大きくするのに有効である。
[カラー画像(6色)→白上塗り]
図6は、記録ヘッド20の印字動作の一例を示す説明図である。図6に示す例は、透明な記録用メディア40に印字して、印字した面と反対側の面から観察する裏刷りモードである。図6に示す例は、カラー画像(6色)を形成した後、白を上塗りして白インク層を設け、観察する面から見た場合の下地及び背景を形成する例である。図6に示す例では、破線で囲まれたノズル列NO,NG,NY,NC,NM,NK,NW,NWを用いる。
まず、インクジェット記録装置1の制御部10は、第3ノズル群20cのノズル列NO,NGを用いて、オレンジおよびグリーンの特色による画像を形成する。オレンジとグリーンの画像形成が終わった後に、インクジェット記録装置1の制御部10は、第1ノズル群20aのノズル列NY,NC,NM,NKを用いて、画像形成用のKCMY(プロセスカラー)による画像を形成する。
画像が完成した後に、インクジェット記録装置1の制御部10は、第2ノズル群20bの2列のノズル列NWを用いて、白ベタを形成し、観察する面から見た場合の下地及び背景を形成する例である。
図6に示す例では、完成した印字物を裏面から観察することにより、白ベタを、下地及び背景にして、カラー画像が形成された画像となる。ここで、印字するときにプロセスカラーであるイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックよりも、特色であるオレンジ、グリーンを先に印字しているので、観察面側から見ればオレンジ、グリーンのドットは上に位置する。本実施例では、特色ドットがプロセスカラーのドットよりも観察面側に位置するので、特色の効果をより効率的に引き出すことができ色域が大きくするのに有効である。
[カラー画像(6色)]
図7は、記録ヘッド20の印字動作の一例を示す説明図である。図7に示す例は、透明な記録用メディア40に代えて白色などの記録用メディアを用いた場合に、特色を加えたカラー画像を印字するモードである。図7に示す例では、破線で囲まれたノズル列NY,NC,NM,NK,NO,NGを用いる。
まず、インクジェット記録装置1の制御部10は、第1ノズル群20aのノズル列NY,NC,NM,NKを用いて、画像形成用のKCMY(プロセスカラー)による画像を形成する。
次に、インクジェット記録装置1の制御部10は、第3ノズル群20cのノズル列NO,NGを用いて、オレンジおよびグリーンの特色による画像を加えていく。図7に示す例では、このような特色の追加により、より色域の広い画像を形成することができる。
特色ドットは、プロセスカラーのドットよりも観察面側に位置するように印刷すると、特色の効果をより効率的に引き出すことができ、色域を大きくするのに有効である。本実施例では、プロセスカラーであるイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックを形成した後に、特色であるオレンジ、グリーンを印字するので、特色ドットがプロセスカラーよりも上に打たれることになり色域を大きくするのに有効である。
[カラー画像(4色)]
図8は、記録ヘッド20の印字動作の一例を示す説明図である。図8に示す例は、透明な記録用メディア40に代えて白色などの記録用メディアを用いた場合に、カラー画像(4色)を形成するモードである。図8に示す例では、破線で囲まれたノズル列NY,NC,NM,NKを用いる。
インクジェット記録装置1の制御部10は、第1ノズル群20aのノズル列NY,NC,NM,NKを用いて、画像形成用のKCMY(プロセスカラー)による画像を形成する。
本実施例では、第1ノズル群20aのみで印字が可能となる。そのため、副走査方向の印字幅は、第1ノズル群20aのノズル列長さとなるため、2つのヘッドを使用して印字する場合に比べ、画像の書き出しと書き終わりでのスキャン数は少なくなり、結果として印字速度が速くなる。
[白下地→カラー画像(4色)の変形例]
図9は、記録ヘッド20の印字動作の一例を示す説明図である。図9に示す例は、白を下地及び背景として形成した後、カラー画像(4色)を形成するモードである。図9に示す例では、破線で囲まれたノズル列NW,NW,NY,NC,NM,NKを用いる。
図4に示した例との違いは、図9に示すように、第2ノズル群20bの2列のノズル列NWについて、第1ノズル群20aから離れた部分の1/2だけ使用する点である。こうすることにより、下地及び背景である白ベタが完成してから、白ベタ上に第1ノズル群20aのノズル列NY,NC,NM,NKを用いた画像の形成を開始するまでの時間を長くすることができる。
白ベタ上にカラー画像を形成する場合、インクの特性、印字速度やメディアの加熱時間により、白ベタの乾燥が不十分でその上に打ったカラーインクが滲んだり、白インク層に沈み込んだりすることがある。本実施例によれば、白ベタ上にカラー画像を形成するまでの白ベタインクの乾燥時間が長くなり、画像不具合を低減することができる。
また、第2ノズル群20bの2列のノズル列NWについては駆動するノズル数が少なくなるので、インク滴の吐出周波数を2倍で駆動するようにしても良い。これにより、ノズル数が少なくても、画像プリントと同じ速度でプリントすることができる。
たとえば、図4に示した例において第2ノズル群20bの2列のノズル列NWで形成される画像を4パス、1/4インターレースの16スキャンで印字する場合、本実施例の第2ノズル群20bの2列のノズル列NWで形成される下地及び背景は、2パス、1/4インターレースの8スキャンで形成される。
下地及び背景の印刷はベタ画像ができればよく、ハーフトーン、高精細プリントは必要ない。そのため多値ドットは必要なく2値ドットで十分であり、駆動波形は単純な形状で可能となるため、吐出周波数を高くすることが可能である。また、下地及び背景の形成は画像形成よりも少ないスキャン数でプリントすることになるが、下地及び背景色のみのベタ画像を印刷するだけであり色境界も存在しないため、色境界にじみの対策も必要ない。そのため、スキャン数を少なくしても画像の不具合は生じない。
このように本実施形態によれば、多彩な印字モードに対応でき、それぞれのモードで高速に印字することができる。
また、本実施形態によれば、乾燥不足による画像にじみも少なくすることができる。
なお、本実施形態では、特色としてオレンジとグリーンを適用した。しかしながら、これに限るものではなく、レッド、ブルーなどの特色、あるいはライトシアン、ライトマゼンタ、グレーのようなライトインクを特色として用いるようにしても良い。
また、本実施形態では、補助用インクとして白インクを適用したが、これに限るものではない。インクジェット記録装置1は、補助用インクとして、銀インク、金インク、透明インク、プライマー、表面保護剤などを適用することができる。このような補助用インクは、基本的に画像形成用のインクで形成される画像の層である画像層の表面または裏面に補助層を形成して画像の品質を高めたり、質感を追加したりするために使われる。
補助用インクは、被印刷物である記録用メディア40の全面に付与しても良く(背景用、下地用)、また、記録用メディア40の一部に塗布しても良い(下地用)。また、記録用メディア40の一部に塗布する場合は、例えば、記録を行う箇所と同一の箇所に塗布しても良いし、又は記録を行う箇所と一部共通する箇所に塗布しても良い。
さらに、本実施形態では、画像形成用のプロセスカラーにはブラックインクも含んでいるが、画像形成用のプロセスカラーにはブラックインクを含まない構成とすることもできる。
本実施形態のインクジェット記録装置1を用いた印刷は、全てのマス境界において図10に示すようなブリーディング(にじみ)の無い良好な結果を得られる。
一方、従来の記録ヘッドを用いた印刷は、図11に示すようなブリーディング(にじみ)などの画質欠陥を生じる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。なお、前述した第1の実施形態と同じ部分は同じ符号で示し説明も省略する。
図12は、第2の実施形態にかかる記録ヘッド20の印字動作の一例を示す説明図である。図12に示すように、本実施形態の記録ヘッド20は、第1ノズル群20aと、第2ノズル群20bおよび第3ノズル群20cとの記録用メディア40の搬送方向Aの距離を広げた構成としている。このようにすることで、白ベタ上にカラー画像を形成するまでの白ベタインクの乾燥時間が長くすることができる。
図12に示す本実施形態の記録ヘッド20は、第2ノズル群20bの下地及び背景形成用ノズル列NWを全チャネル使用しても、乾燥時間を得ることができる。
また、第1ノズル群20aと第3ノズル群20cとの記録用メディア40の搬送方向Aの距離を広げることにより、第1ノズル群20aで形成されたカラー画像の上に、第3ノズル群20cで白ベタを形成する場合(裏刷り)、カラー画像とその上の白ベタとの間で発生するにじみを低減することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。なお、前述した第1の実施形態と同じ部分は同じ符号で示し説明も省略する。
第1の実施形態においては、乾燥装置3を用いたヒータ加熱等によりインクを硬化させ、記録用メディア40に画像を定着させる方式を例としていた。本実施形態は、UV光(紫外線)などの放射線のエネルギーにより硬化するインクを用いた場合に、第1の実施形態とは異なる方式でインクを硬化させるようにしたものである。
図13は、第3の実施形態にかかる硬化装置80を示すものであり、(a)は平面図、(b)は正面図である。図13に示すように、インクジェット記録装置1は、ガイドロッド22にキャリッジ21が支持されている。キャリッジ21は、主走査方向をガイドロッド22に従って往復移動する。
インクジェット記録装置1は、キャリッジ21に記録ヘッド20を搭載している。記録ヘッド20の両側部には、記録用メディア40に吐出されたインクに対して紫外線を照射する硬化装置80としての紫外線照射装置が設けられている。
このような構成により、インクジェット記録装置1は、硬化装置80により記録ヘッド20から吐出され記録用メディア40に着弾したインクに対して、硬化装置80としての紫外線照射装置より順次紫外線を照射する。これにより、インクジェット記録装置1は、UV光(紫外線)により硬化するインクを、記録用メディア40上に硬化定着させることができる。
なお、第1の実施の形態ないし第3の実施の形態にかかるインクジェット記録装置1で用いられるインクとしては、特段の制限はない。特に、インクジェット記録装置1においては、水、有機溶剤、色材、樹脂粒子及びシロキサン化合物を含有するインクを用いると、乾燥性を高めることができ、好適に滲みを抑制することができる。
<シロキサン化合物>
インクジェット記録装置1で用いられるインクに含まれる成分のうち、シロキサン化合物は、記録する非浸透メディア(記録用メディア40)へのインク定着性を左右する。そのため、シロキサン化合物の果たす役割は非常に大きい。本発明者らは、シロキサン化合物をインクに加えることでインクの乾燥性が著しく向上することを知見した。より詳細には、シロキサン化合物をインクに加えることで、各種の非浸透メディア(記録用メディア40)との親和性が向上し、インクが非浸透メディア(記録用メディア40)へ付着後すぐに広がり表面積を拡大し、乾燥効率が高まるためと推察される。インクの非浸透メディア(記録用メディア40)への乾燥性が向上することにより、白インクによる下地及び/又は背景を形成した後にプロセスカラーインクによる画像形成を行う白先刷り、プロセスカラーインクによる画像形成後に白インクによるインク層を設ける白後刷りなどを実行時においても色境界にじみの発生が抑制でき、高品位の画像を得ることができる。
シロキサン化合物としては、例えばポリジメチルシロキサンなどのポリシロキサン部を有する化合物(シリコーン系化合物)の側鎖、及び/又は末端に親水性の基や親水性ポリマー鎖を有する化合物がー般的である。親水性の基や親水性ポリマー鎖としては、例えばポリエーテル結合(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキンドやこれらの共重合体など)、ポリグリセリン(CΗO(CHCH(OH)CHO)n−Hなど)、ピロリドン、ベタイン(CΗN+Me−CHCOO―など)、硫酸塩(CO(CO)n−SONaなど)、リン酸塩(CΗO(CO)n−P(=O)OHONaなど)、4級塩(CN+MeCl−など)が挙げられる。なお、上記化学式中nは1以上の整数を表わす。
また、シロキサン化合物としては、末端に重合性ビニル基を有するポリジメチルシロキサンなどと共重合可能なその他のモノマー(該モノマーの少なくとも一部には(メタ)アクリル酸やその塩などの親水性モノマーを用いることが好ましい)との共重合で得られる側鎖にポリジメチルシロキサンなどのシリコーン系化合物鎖を有するビニル系共重合体など挙げられる。
これらの中でも、シロキサン化合物としては、ポリシロキサン部を有する化合物に親水性ポリマー鎖を有する化合物が好ましい。親水性ポリマー鎖としては、ポリエーテル結合を含有するものが特に好ましい。
また、シロキサン化合物としては、疎水基にメチルポリシロキサン、親水基にポリオキシエチレンの構造をもつ、非イオン界面活性剤であることが特に好ましい。
シロキサン化合物のHLB(親水基/疎水基バランス:Hydrophile-Lipophile Balance)は、8.0以下であることが好ましい。シロキサン化合物のHLBが8.0以下であると、各種の非浸透メディア(記録用メディア40)に対するインクジェット印字時において優れたインク乾燥性を確保することができる。
ここで、HLBは、以下の式(グリフィン法)により定義されるものである。
HLB=20×(親水部の式量の総和/分子量)
好適に使用できるシロキサン化合物としては、シルフェイスSAG005(日信化学工業(株)社製;HLB=7.0)、シルフェイスSAG008(日信化学工業(株)社製;HLB=7.0)、FZ2110(東レ・ダウ(株)社製;HLB=1.0)、FZ2166(東レ・ダウ(株)社製;HLB=5.8)、SH-3772M(東レ・ダウ(株)社製、HLB=6.0)、L7001(東レ・ダウ(株)社製;HLB=7.4)、SH-3773M(東レ・ダウ(株)社製;HLB=8.0)、KF-945(信越化学工業(株)社製;HLB=4.0)、KF-6017(信越化学工業(株)社製;HLB=4.5)、FormBan MS-575(Ultra Addives Inc.社製;HLB=5.0)などが挙げられる。
上記のシロキサン化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。シロキサン化合物のインク中の総量は、0.1質量%〜4.0質量%であることが好ましく、1.0〜2.0質量%であるとさらに好ましい。シロキサン化合物のインク中の総量は、1.0〜2.0質量%であると各種の非浸透メディア(記録用メディア40)へのインク定着性を確保でき、さらに光沢等の画像品質も良好である。
<樹脂粒子>
樹脂粒子としては、特に制限はないが、例えば、ポリエステル樹脂粒子;ポリウレタン樹脂粒子;エポキシ樹脂粒子;ポリアミド樹脂粒子;ポリエーテル樹脂粒子;アクリル樹脂粒子;アクリル−シリコーン樹脂粒子;フッ素系樹脂等の縮合系合成樹脂粒子;ポリオレフィン樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂粒子、ポリビニルアルコール系樹脂粒子、ポリビニルエステル系樹脂粒子、ポリアクリル酸系樹脂粒子、不飽和カルボン酸系樹脂等の付加系合成樹脂粒子;セルロース類、ロジン類、天然ゴム等の天然高分子などが挙げられる。上記の樹脂粒子は、2種以上を併用して用いてもよい。
添加する樹脂粒子のうちの一つは、これらの樹脂粒子の中でも、インクの分散安定性と高光沢性の点から、ポリウレタン樹脂粒子が好ましい。ポリウレタン樹脂粒子は、シロキサン化合物との分散性がよく、造膜性が高まることから、良好な乾燥性が得られ、効果的に色にじみを抑制することができる。これにより、白インクによる下地及び/又は背景形成後にカラーインクによる画像形成を行う白先刷り、カラーインクによる画像形成後に白インクによる背景形成を行う白後刷りなどを実行時においても色境界にじみの発生が抑制でき、高品位の画像を得ることができる。
なお、樹脂微粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
<<ポリウレタン樹脂粒子>>
ポリウレタン樹脂粒子としては、特に制限はなく、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られるポリウレタン樹脂粒子などが挙げられる。ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオールなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
−ポリエーテルポリオール−
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、活性水素原子を2個以上有する化合物の1種又は2種以上を出発原料として、アルキレンオキサイドを付加重合させたものなどが挙げられる。
出発原料としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ポリエーテルポリオールとしては、非常に優れた耐擦過性を付与できるインク用バインダーを得る点から、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
−ポリカーボネートポリオール−
また、ポリウレタン樹脂粒子の製造に使用できるポリカーボネートポリオールとしては、例えば、炭酸エステルとポリオールとを反応させて得られるもの、ホスゲンとビスフェノールA等とを反応させて得られるものなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
炭酸エステルとしては、例えば、メチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノール−A、ビスフェノール−F、4,4’−ビフェノール等の比較的低分子量のジヒドロキシ化合物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリカプロラクトン等のポリエステルポリオールなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
−ポリエステルポリオール−
ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子量のポリオールとポリカルボン酸とをエステル化反応して得られるもの、ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステル、これらの共重合ポリエステルなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
低分子量のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコ−ルなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ポリカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、これらの無水物又はエステル形成性誘導体などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
−ポリイソシアネート−
ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式ジイソシアネートなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、長期耐候性の点から、脂肪族又は脂環式ジイソシアネートが好ましい。特に、ポスターや看板などの屋外向けの用途としても用いる場合は、非常に高い長期耐候性を持つ塗膜を必要としているためである。
更に、ポリイソシアネートとしては、少なくとも1種の脂環式ジイソシアネートを使用することにより、画像を形成した場合に塗膜強度、及び耐擦過性を得ることができるので好ましい。
脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが挙げられる。脂環式ジイソシアネートの含有量としては、イソシアネート化合物全量に対して、60質量%以上が好ましい。
<<ポリウレタン樹脂粒子の製造方法>>
ポリウレタン樹脂粒子は、従来一般的に用いられている製造方法により得ることができる。例えば、次の方法などが挙げられる。まず、無溶剤下又は有機溶剤の存在下で、ポリオールとポリイソシアネートを、イソシアネート基が過剰になる当量比で反応させて、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを製造する。次いで、イソシアネート末端ウレタンプレポリマー中のアニオン性基を必要に応じて中和剤により中和し、その後、鎖延長剤と反応させて、最後に必要に応じて系内の有機溶剤を除去することによって得ることができる。
ポリウレタン樹脂粒子の製造に使用できる有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;アセトニトリル等のニトリル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のアミド類などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
鎖延長剤としては、例えば、ポリアミンやその他の活性水素基含有化合物などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン等のジアミン類;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン類;ヒドラジン、N,N’−ジメチルヒドラジン、1,6−ヘキサメチレンビスヒドラジン等のヒドラジン類;コハク酸ジヒドラジッド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のジヒドラジド類などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
その他の活性水素基含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等のグリコール類;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等のフェノール類;水などが挙げられる。これらは、インクの保存安定性が低下しない範囲内であれば、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ポリウレタン樹脂粒子としては、高光沢性の点から、ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子が好ましい。ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子である場合、屋外用途のような過酷な環境において使用される記録物にも高光沢性を維持するインクが得られる。
ポリウレタン樹脂粒子としては、市販品を使用してもよく、例えば、ユーコートUX−485(ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子)、ユーコートUWS−145(ポリエステル系ウレタン樹脂粒子)、パーマリンUA−368T(ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子)、パーマリンUA−200(ポリエーテル系ウレタン樹脂粒子)(以上、三洋化成工業株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に、液体吐出装置であるインクジェット記録装置1に使用することを考慮すると、10nm以上1,000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
体積平均粒径が10nm以上1,000nm以下の樹脂粒子を用いることで、インクを循環させる循環手段を有する液体吐出装置であるインクジェット記録装置1に用いた場合に、優れたインク供給性や吐出信頼性を得られると共に、非浸透メディア(記録用メディア40)など被印刷物上でインクが乾燥する過程で樹脂粒子が有機溶剤に溶解しやすく、樹脂の広がりの効果を得やすいことから高光沢の画像を形成しやすい。
体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(マイクロトラック MODEL UPA9340、日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
インク中に樹脂粒子を含有する場合、樹脂粒子の合計含有量としては、インクの分散安定性の点から、インク全量に対して、1質量%以上15質量%以下が好ましく、インク層の平滑性がより向上し、高い光沢度を得ることができるとともに、基材への定着性も向上する点から、5質量%以上12質量%以下、5質量%以上10質量%以下がより好ましい。
樹脂粒子の定性及び定量としては、例えば、下記参考文献1に詳述されているような手順で確認することができる。具体的には、以下に示すような測定装置を用いた分析により確認することができる。
[参考文献1]
「プラスチック材料の各動特性の試験法と評価結果(22);安田武夫著、プラスチックス:日本プラスチック工業連盟誌/「プラスチックス」編集委員会編」
<<赤外線分光分析(IR)>>
赤外線分光分析(IR)は、樹脂粒子の持っている各種の官能基の吸収波長を測定し、既知の樹脂粒子のIRスペクトルと比較することによる樹脂粒子の定性分析を行うことができる。また、赤外線分光分析(IR)は、各樹脂粒子の官能基の吸収の吸光度を比較することにより、数種類のモノマーや樹脂粒子の相対量の比較を行うことができる。
<<熱分析(DS/A、TG/DTA)>>
熱分析(DS/A、TG/DTA)は、示差走査型熱量分析(DS/A)や示差熱分析(DTA)を用いて樹脂粒子の融点、ガラス転移点等を測定することにより、ポリマーを同定することができる。
<<熱分解ガスクロマトグラフィ(PyGC)>>
熱分解ガスクロマトグラフィ(PyGC)は、熱分解生成物をガスクロマトグラフィにより分離し、組成分析や構造解析を行うことができる。なお、熱分解ガスクロマトグラフィ(PyGC)は、質量分析計を直結し、熱分解により生成した分解生成物を同定しておくと、より正確な分析を行うことができる。
<<核磁気共鳴法(NMR)>>
核磁気共鳴法(NMR)は、既知の樹脂粒子のスペクトルと比較して、樹脂粒子の同定、及び確認を行うことができる。核磁気共鳴法(NMR)は、未知の樹脂粒子の場合、分子構造の推定を行うことができる。さらに、核磁気共鳴法(NMR)は、共重合体や複数のポリマーのブレンド物の組成比やブレンド比の定量分析を行うことができる。
なお、上述したような測定装置を用いて樹脂粒子の分析を行う前に、前処理として遠心分離によりインク中の着色剤成分を沈降させ、樹脂粒子を含んだ上澄みを回収したり、適当な有機溶剤を用いて樹脂粒子を抽出したりしておくことも分析精度を高める手段として有効である。
また、液体吐出装置であるインクジェット記録装置1による記録後に加熱を行うと、残留溶剤が低減して接着性が向上することができる。特に、樹脂粒子の最低造膜温度(以下、「MFT」とも称することがある)が80℃を超える場合、樹脂の造膜不良をなく、画像堅牢性を向上する点から、加熱をすることが好ましい。
なお、樹脂エマルションの最低造膜温度を調整する場合、例えば、樹脂のガラス転移点(以下、「Tg」とも称することがある)をコントロールすることで、樹脂エマルションの最低造膜温度を調整することができる。また、樹脂粒子が共重合体である場合には、共重合体を形成するモノマーの比率を変えることにより、樹脂エマルションの最低造膜温度を調整することができる。なお、最低造膜温度とは、エマルションをアルミニウム等の金属板の上に薄く流延し、温度を上げていったときに透明な連続フィルムが形成される最低温度のことをいう。最低造膜温度とは、最低造膜温度未満の温度領域では、エマルションは白色粉末状となる点をいう。具体的には、最低造膜温度とは、「造膜温度試験装置」(株式会社井元製作所製)、「TP−801 MFTテスター」(テスター産業株式会社製)などの市販の最低造膜温度測定装置で測定される値のことをいう。
また、樹脂の粒子径の制御によっても変化するため、これらの制御因子により樹脂の最低造膜温度を狙いの値とすることが可能である。
<有機溶剤>
有機溶剤としては、特に制限はなく、例えば、水溶性有機溶剤などが挙げられる。水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物;プロピレンカーボネイト;炭酸エチレンなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、高光沢性、及び粒子の凝集の防止の点から、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。また、高い耐擦過性、耐溶剤性、及び樹脂の造膜を促進する点から、沸点が200℃未満である、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオールが好ましい。
有機溶剤の含有量としては、特に制限はなく、インク全量に対して、20質量%以上70質量%以下が好ましく、30質量%以上60質量%以下がより好ましい。有機溶剤の含有量が、20質量%以上70質量%以下であると、乾燥性に優れ、かつ、良好な吐出安定性が得られる。
<化合物>
下記一般式(1)で表される化合物は、インクの乾燥工程において樹脂が造膜するのを促進するため、乾燥性を高めることができる。
Figure 0006885044
(ただし、前記一般式(1)中、R、R、及びRは、それぞれ、炭素数1以上5以下のアルキル基を示し、R、R、及びRは同一であっても、異なっていてもよい)
炭素数1以上5以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブロピル基、ブチル基、ペンチル基などが挙げられる。
一般式(1)で表される化合物としては、例えば、下記構造式(1−1)で表される3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド;下記構造式(1−2)で表される3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド;3−メトキシ−N,N−ジエチルプロピオンアミドなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、密着性、耐擦過性、非転写性、及び高光沢性の点から、下記構造式(1−1)で表される3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドが好ましい。
Figure 0006885044
Figure 0006885044
一般式(1)で表される化合物を含有することで、有機溶剤と樹脂粒子との相溶性を高め、分散性を向上させることができる。また、一般式(1)で表される化合物は、各種の非浸透メディア(記録用メディア40)への浸透性も高いため、非浸透メディア(記録用メディア40)への十分な濡れ性を確保できる。その結果、更にインクの乾燥性に優れた画像を得ることができる。
また、一般式(1)で表される化合物としては、樹脂粒子と、ある程度の親和性を持ちつつ比較的沸点の低い、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール等の有機溶剤を併用することで、インク中における樹脂粒子の分散安定性を確保でき、かつ記録後の画像ベタ部の均一性を向上させることができ、優れた画像品位を得ることができる。
一般式(1)で表される化合物の市販品としては、例えば、商品名「エクアミドM−100」(出光興産株式会社製、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、一般式(1)中、R:メチル基、R:メチル基、R:メチル基)、商品名「エクアミドB100」(出光興産株式会社製、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、一般式(1)中、R:メチル基、R:メチル基、R:ブチル基)などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
一般式(1)で表される化合物の合計の含有量としては、インク全量に対して、5質量%以上55質量%以下が好ましく、10質量%以上45質量%以下がより好ましい。化合物の合計の含有量が5質量%以上55質量%以下であると、均一に混合される効果が高まり、インクジェット印刷方法に用いた場合に良好な吐出性を得ることができる。また、化合物の合計の含有量が5質量%以上55質量%以下であると、非浸透性基材への濡れ性が優れたインクを製造しやすくなる。
一般式(1)で表される化合物の少なくともいずれかのインク中の含有量は、ガスクロマトグラフ質量分析(GCMS)法により確認することができる。具体的に、インク全体をGCMSにかけ、含まれている溶剤の定性分析を行う。溶剤の種類が特定できたら、各溶剤の濃度の検量線を作成し、インク中に含まれる各溶剤の定量をすることができる。
<水>
液体吐出ユニットとしての記録ヘッド20には、水を含まない溶剤インクを用いることも可能であるが、環境に影響を与えない安全性の高いインクとして、水を含む水性インクを用いることも可能である。水性インクに用いる水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水;超純水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
水の含有量としては、インク全量に対して、15質量%以上60質量%以下が好ましい。水の含有量が、15質量%以上であると、高粘度になることを防止し、吐出安定性を向上でき、60質量%以下であると、非浸透性基材への濡れ性が好適となり、画像品位を向上できる。
<その他の成分>
その他の成分としては、例えば、色材;防腐防黴剤;防錆剤;pH調整剤;ヒンダードフエノールやヒンダードフエノールアミンのようなゴム及びプラスチックス用無色老化防止剤などが挙げられる。
<色材>
・白インク
白インクの白色度の基準としては、ISO−2469(JIS−8148)があり、一般的にはその値が70以上の場合、白色の色材として用いられる。白インクに用いる色材としては、酸化チタン、酸化鉄、酸化スズ、酸化ジルコニウム、チタン酸鉄(鉄とチタンの複合酸化物)等を挙げることができる。
・プロセスカラーインク、特色インク
プロセスカラーインク、特色インクとしては、カラーインク、黒色インク、灰色インク、クリアインク、メタリックインクなど、非白色インクを用いることができる。なお、クリアインクとは、着色剤を含まず、主に樹脂粒子、有機溶剤及び水からなるインクを意味する。カラーインクとしては、例えば、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ライトシアンインク、ライトマゼンタインク、レッドインク、グリーンインク、ブルーインク、オレンジインク、バイオレットインクなどが挙げられる。
非白色インクに用いられる色材としては、非白色を呈するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、染料、顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、顔料が好ましい。非白色インクに用いられる色材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、顔料、染料などが挙げられる。これらの中でも、顔料が好ましい。
顔料としては、例えば、無機顔料、有機顔料などが挙げられる。無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料(例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。その他、中空樹脂粒子、無機中空粒子の使用も可能である。これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。
黒色用の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、カラー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155;C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51;C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219;C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63;C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー17、23、42、44、79、142;C.I.アシッドレッド52、80、82、249、254、289;C.I.アシッドブルー9、45、249;C.I.アシッドブラック1、2、24、94;C.I.フードブラック1、2;C.I.ダイレクトイエロー1、12、24、33、50、55、58、86、132、142、144、173;C.I.ダイレクトレッド1、4、9、80、81、225、227;C.I.ダイレクトブルー1、2、15、71、86、87、98、165、199、202;C.I.ダイレクドブラック19、38、51、71、154、168、171、195;C.I.リアクティブレッド14、32、55、79、249;C.I.リアクティブブラック3、4、35などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
メタリックインクに用いる色材としては、例えば、金属単体、合金、又は金属化合物を微粉砕してなる微粉末である。より具体的には、メタリックインクに用いる色材としては、アルミニウム、銀、金、ニッケル、クロム、スズ、亜鉛、インジウム、チタン、シリコーン、銅、又はプラチナよりなる一群の金属単体の何れか1種類若しくは複数よりなるものであって、又はこれらの一群の金属を組み合わせて得られる合金であって良く、又はこれらの一群の金属単体若しくは合金の酸化物、窒化物、硫化物、又は炭化物の何れか1種類若しくは複数、を微粉砕して得られるものである。
その他、顔料(例えば、カーボンブラック)の表面にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加し水中に分散可能とした自己分散顔料などが使用できる。また、顔料をマイクロカプセルに包含させ、顔料を水中に分散可能なもの、すなわち、顔料粒子を含有させた樹脂微粒子であってもよい。この場合、インクに含有される顔料としては、すべて樹脂微粒子に封入又は吸着されている必要はなく、顔料がインク中に分散していてもよい。
顔料の数平均粒径としては、特に制限はなく、最大個数換算で最大頻度が20nm以上150nm以下が好ましい。数平均粒径が、20nm以上であると、分散操作、分級操作が容易になり、150nm以下であると、インク組成物としての顔料分散安定性が良くなるばかりでなく、吐出安定性にも優れ、画像濃度などの画像品質も高くなり好ましい。数平均粒径は、例えば、粒度分析装置(マイクロトラック MODEL UPA9340、日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
分散剤を用いて顔料を分散する場合には、従来公知のものであればいずれも使用することができ、例えば、高分子分散剤、水溶性界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<防腐防黴剤>
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
<防錆剤>
防錆剤としては、1,2,3−ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
<pH調整剤>
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
<インクの製造方法>
インクの製造方法としては、例えば、水、有機溶剤、一般式(1)で表される化合物、樹脂粒子、及び必要に応じて、その他の成分を水性媒体中に分散又は溶解し、適宜撹拌混合して製造することができる。撹拌混合としては、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシェイカー、超音波分散機、通常の撹拌羽を用いた撹拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機などを用いることができる。
<粘度>
インクの粘度としては、印刷媒体に記録した場合の文字品位等の画像品質の点から、25℃で、2mPa・s以上が好ましく、3mPa・s以上20mPa・s以下がより好ましい。前記粘度が、2mPa・s以上であると、吐出安定性を向上できる。
<インクカートリッジ>
インクカートリッジは、プロセスカラーインク、特色インク、補助用インクを容器中に収容するインクカートリッジを含む。インクカートリッジとしては、インクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材などを有してなる。
容器としては、特に制限はなく、目的に応じて、その形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋などを少なくとも有するものなどが挙げられる。
<記録物>
記録物は、記録媒体上に、インクにより記録された画像を有する。
<記録媒体>
記録媒体としては特に制限はなく、普通紙、光沢紙、特殊紙、布などを用いることもできるが、上述したように非浸透メディア(記録用メディア40)を用いても良好な画像形成が可能である。非浸透メディア(記録用メディア40)とは、水透過性、吸収性が低い表面を有する基材であり、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれ、より定量的には、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である基材をいう。
非浸透メディア(記録用メディア40)としては、例えば、塩化ビニル樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートフィルムなどのプラスチックフィルムを、好適に使用することができる。
なお、記録媒体としては、一般的な記録媒体として用いられるものに限られず、壁紙、床材、タイル等の建材、Tシャツなど衣料用等の布、テキスタイル、皮革等を適宜使用することができる。また、記録媒体を搬送する経路の構成を調整することにより、セラミックスやガラス、金属などを使用することもできる。
<インクの実施例>
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、例中の「部」は「質量部」であり、「%」は、「質量%」である。
<<ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルションの調製>>
攪拌機、還流冷却管及び温度計を挿入した反応容器に、ポリカーボネートジオール(1,6−ヘキサンジオールとジメチルカーボネートの反応生成物(数平均分子量(Mn):1200)1,500g、2,2−ジメチロールプロピオン酸(以下、「DMPA」とも称することがある)220g、及びN−メチルピロリドン(以下、「NMP」とも称することがある)1,347gを窒素気流下で仕込み、60℃に加熱してDMPAを溶解させた。
次いで、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート1,445g、ジブチルスズジラウリレート(触媒)2.6gを加えて90℃まで加熱し、5時間かけてウレタン化反応を行い、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。この反応混合物を80℃まで冷却し、これにトリエチルアミン149gを添加・混合したものの中から4,340gを抜き出して、強攪拌下、水5,400g及びトリエチルアミン15gの混合溶液の中に加えた。次いで、氷1,500gを投入し、35%の2−メチル−1,5−ペンタンジアミン水溶液626gを加えて鎖延長反応を行い、固形分濃度が30%となるように溶媒を留去し、ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルションを得た。
ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルションを用いて、「造膜温度試験装置」(株式会社井元製作所製)で測定した最低造膜温度は55℃であった。
<<ポリエーテル系ウレタン樹脂エマルションの調製>>
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリエーテルポリオール(「PTMG1000」三菱化学株式会社製、平均分子量:1,000)100.2部、2,2―ジメチロールプロピオン酸15.7部、イソホロンジイソシアネート48.0部、有機溶剤としてメチルエチルケトン77.1部を、触媒としてジブチルスズジレウレート(以下、「DMTDL」とも称することがある)0.06部を使用し反応させた。
前記反応を4時間継続した後、希釈溶剤としてメチルエチルケトン30.7部を供給し、更に反応を継続した。
前記反応物の平均分子量が20,000以上60,000以下の範囲に達した時点で、メタノール1.4部を投入し前記反応を終了することによって、ウレタン樹脂の有機溶剤溶液を得た。
ウレタン樹脂の有機溶剤溶液に48%水酸化カリウム水溶液を13.4部加えることでウレタン樹脂が有するカルボキシル基を中和し、次いで、水715.3部を加え十分に攪拌した後、エージング及び脱溶剤することによって、固形分30質量%のポリエーテル系ウレタン樹脂エマルションを得た。
ポリエーテル系ウレタン樹脂エマルションについて、ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルションの調製と同様にして「造膜温度試験装置」(株式会社井元製作所製)で測定した最低造膜温度は43℃であった。
<<ポリエステル系ウレタン樹脂エマルションの調製>>
ポリエーテルポリオール(「PTMG1000」三菱化学株式会社製、平均分子量:1,000)を、ポリエステルポリオール(「ポリライトOD−X−2251」DIC株式会社製、平均分子量:2,000)に変更した以外は、前記ポリエーテル系ウレタン樹脂エマルションの調製例2と同様にして、固形分30質量%のポリエステル系ウレタン樹脂エマルションを得た。
ポリエステル系ウレタン樹脂エマルションについて、ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルションの調製と同様にして「造膜温度試験装置」(株式会社井元製作所製)で測定した最低造膜温度は74℃であった。
<<アクリル樹脂エマルションの調製>>
撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、及び温度計を備えた反応容器に、イオン交換水900g、及びラウリル硫酸ナトリウム1gを仕込み、撹拌下に窒素置換しながら70℃まで昇温した。内温を70℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム4gを添加し、溶解後、予めイオン交換水450g、ラウリル硫酸ナトリウム3gにアクリルアミド20gにスチレン615g、ブチルアクリレート30g、及びメタクリル酸350gを撹拌化に加えて作製した乳化物を、反応溶液内に連続的に4時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間の間反応させ、水性エマルションを得た。
得られた水性エマルションを常温まで冷却した後、イオン交換水及び水酸化ナトリウム水溶液を添加して固形分濃度30質量%、pH8のアクリル樹脂エマルションを得た。
アクリル樹脂エマルションについて、ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルションの調製と同様にして、「造膜温度試験装置」(株式会社井元製作所製)で測定した最低造膜温度は53℃であった。
<顔料分散液の調製>
<<ブラック顔料分散液の調製>>
以下の処方混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社KDL型、メディア:直径0.3mmジルコニアボール使用)で7時間循環分散してブラック顔料分散液を得た。
カーボンブラック顔料(商品名:Monarch800、キャボット社製)・15部
アニオン性界面活性剤(パイオニンA−51−B、竹本油脂株式会社製)・・・2部
イオン交換水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・83部
<<シアン顔料分散液の調製>>
カーボンブラック顔料を、ピグメントブルー15:3(商品名:LIONOL BLUE FG−7351、東洋インキ株式会社製)に変更した以外は、ブラック顔料分散液の調製と同様にして、シアン顔料分散液を得た。
<<マゼンタ顔料分散液の調製>>
カーボンブラック顔料を、ピグメントレッド122(商品名:トナーマゼンタEO02、クラリアントジャパン株式会社製)に変更した以外は、ブラック顔料分散液の調製と同様にして、マゼンタ顔料分散液を得た。
<<イエロー顔料分散液の調製>>
カーボンブラック顔料を、ピグメントイエロー74(商品名:ファーストイエロー531、大日精化工業株式会社製)に変更した以外は、ブラック顔料分散液の調製と同様にして、イエロー顔料分散液を得た。
<<ホワイト顔料分散液の調製>>
酸化チタン(商品名:STR−100W、堺化学工業株式会社製)25部、顔料分散剤(商品名:TEGO Dispers651、エボニック社製)5部、水70部を混合し、ビーズミル(商品名:リサーチラボ、株式会社シンマルエンタープライゼス製)にて、0.3mmΦのジルコニアビーズを充填率60%、8m/sにて5分間分散し、白色顔料分散液を得た。
<ブラックインク1の調製>
ブラック顔料分散液20質量%、ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルション(固形分濃度30質量%)を樹脂固形分換算で10質量%、1,2−プロパンジオール12質量%、1,2−ブタンジオール5質量%、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド(商品名:エクアミドM−100、出光興産株式会社製)17質量%、シロキサン化合物(商品名:FZ2110、東レ・ダウ(株)社製、HLB=1.0)1%、防腐剤として商品名:プロキセルLV(アビシア株式会社製)0.1質量%、及び高純水12質量%を混合攪拌し、0.2μmポリプロピレンフィルターにて濾過することによりブラックインク1を作製した。
<インク2〜6の調製>
インク2〜6について、下記に示す表1に記載のインクの組成、及びに含有量に変更した以外は、ブラックインク1と同様にして、インク2〜6を作製した。表1にインク1〜6の組成及び含有量を示す。
Figure 0006885044
液体吐出ユニットとしての記録ヘッド20及び液体吐出装置としてのインクジェット記録装置1を用いて、白インクによる下地及び背景形成後にカラーインクによる画像形成を行う白先刷り、カラーインクによる画像形成後に白インクによる白インク層を設けて背景形成を行う白後刷りなどを実施した。評価結果は、下記に示す表2の通りである。なお、記録用メディア40としては、PVC(Polyvinyl chloride:ポリ塩化ビニル)を用いた。表2に示す実施例1〜9では、カラーインクとして上記インク1〜5を使用し、白インクとして上記インク6を用いた。表2に示す実施例10では、インクとして市販のRICOH Proインクを使用した。
Figure 0006885044
表2の評価結果に示すように、50m/hの生産性において、全てのマス境界において図10に示すようなブリーディング(にじみ)の無い高品位の画像を得ることができた(評価結果において、◎で示す)。また、45m/hの生産性において、全てのマス境界において図10に示すようなブリーディング(にじみ)の無い高品位の画像を得ることができた(評価結果において、○で示す)。さらに、40m/hの生産性において、全てのマス境界において図10に示すようなブリーディング(にじみ)の無い高品位の画像を得ることができた(評価結果において、△で示す)。
1 液体吐出装置
2 画像形成部
3,80 乾燥装置
4 メディア収納部
5 搬送機構
10 制御部
20 液体吐出ユニット
20a 第1ノズル群
20b 第2ノズル群
20c 第3ノズル群
特開2006−167934号公報

Claims (10)

  1. 画像形成用のプロセスカラーのインクを吐出するノズル孔を主走査方向に直交する副走査方向に複数配列したノズル列を有する第1ノズル群と、
    前記第1ノズル群と同一のノズル列数およびノズル数を有し、前記第1ノズル群に対して副走査方向上流側および下流側に設けられるとともに、前記第1ノズル群とはそれぞれ互いに主走査方向に位置をずらして配置され、プロセスカラーとは異なる補助色の液体である補助用インクと前記画像形成用の特色のインクを吐出するノズル孔を副走査方向に複数配列したノズル列を有する第2ノズル群及び第3ノズル群と、
    前記第1ノズル群、第2ノズル群および第3ノズル群から吐出する液体を制御する制御部であって、前記第2ノズル群で前記補助色インクを吐出し、その後前記第1ノズル群で前記プロセスカラーのインクを吐出し、さらにその後前記第3ノズル群で前記特色インクを吐出する第1の画像形成、および、前記第2ノズル群で前記特色インクを吐出し、その後前記第1ノズル群で前記プロセスカラーのインクを吐出し、さらにその後前記第3ノズル群で前記補助色インクを吐出する第2の画像形成を制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とする液体吐出ユニット。
  2. 前記第1ノズル群と前記第2ノズル群と前記第3ノズル群とは、一体に搭載される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ユニット。
  3. 前記第1ノズル群は、前記プロセスカラーの液体として、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のインクを、それぞれ吐出するノズル列を有しており、
    前記第2ノズル群及び前記第3ノズル群は、前記液体として、前記プロセスカラーとは異なる色の補助用インクを、吐出するノズル列を有している、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出ユニット。
  4. 前記液体は、水、有機溶剤、色材、樹脂粒子及びシロキサン化合物を有する、
    ことを特徴とする請求項1ないしの何れか一項に記載の液体吐出ユニット。
  5. 前記樹脂粒子は、ポリウレタン樹脂粒子 である、
    ことを特徴とする請求項に記載の液体吐出ユニット。
  6. 前記ポリウレタン樹脂粒子は、ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子又はポリエステル
    系ウレタン樹脂粒子である、
    ことを特徴とする請求項に記載の液体吐出ユニット。
  7. 前記有機溶剤は、下記一般式(1)で表される化合物を含む、
    Figure 0006885044
    ことを特徴とする請求項4ないし6の何れか一項に記載の液体吐出ユニット。
  8. 記録用メディアを収納するメディア収納部と、
    前記メディア収納部に収納された前記記録用メディアを搬送する搬送機構と、
    請求項1ないしの何れか一項に記載の液体吐出ユニットを搭載し、前記搬送機構により搬送された前記記録用メディアに対して当該液体吐出ユニットを主走査方向に往復移動しながら液体を吐出させて所要の画像を形成する画像形成部と、
    前記画像形成部により形成した画像を乾燥させる乾燥装置と、
    を備えることを特徴とする液体吐出装置。
  9. 前記液体吐出ユニットのノズル列に対し、画像形成用のプロセスカラーの液体を吐出して形成される画像の層である画像層に対してプロセスカラーとは異なる色の液体を吐出して形成される補助的な層である補助層を先刷り、後刷り、間刷りの何れかとして配置することができるように制御する制御部を備える、
    ことを特徴とする請求項に記載の液体吐出装置。
  10. 請求項8又は9に記載の液体吐出装置を用いて印刷する印刷方法において、
    画像形成用のプロセスカラーの液体として、ブラックインク、イエローインク、マゼンタインク、シアンインクを前記液体吐出装置から吐出し、
    該ブラックインク、イエローインク、マゼンタインク、シアンインクとして、水、色材、シロキサン化合物、下記一般式(1)で表される化合物及びポリウレタン樹脂粒子を有するインクを用いる、
    Figure 0006885044
    ことを特徴とする印刷方法。
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