JP6880366B2 - 吸収性物品 - Google Patents
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Description
図1は、本発明の実施形態に係る吸収性物品1を、尿取りパッド50と併用した際の平面図であり、図2は、図1におけるX1−X1断面図である。本発明の吸収性物品1は、着用時に着用者の腹部を覆う前身頃10A、着用者の背部を覆う後身頃10C、前身頃10Aと後身頃10Cの間に位置し、着用者の股下にあてがわれる股下部10Bとに区分される。また、図1に示すように、本発明の吸収性物品1は、身体側表面側に配された液透過性のトップシート21、トップシート21に対向して配置された液不透過性のバックシート23、及びトップシート21とバックシート23との間に配置され、体液を吸収する吸収体22を備えた構成となっている。本発明の吸収性物品1は、使い捨ておむつであることが好ましく、大人用の使い捨ておむつであることがさらに好ましい。
トップシート21は、体液が吸収体22へと移動するような液透過性を備えた基材を用いればよく、例えば、サーマルボンド不織布等の不織布、サーマルボンド不織布/スパンボンド不織布を積層した複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム、あるいは、これらを積層した複合シートといった材料から形成される。また、トップシート21は、液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施すことが好ましく、エンボス加工や穿孔加工は、従来公知の方法により実施することができる。さらに、トップシート21の肌への刺激を低減させるために、トップシート21にローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させることも好ましい。トップシート21の坪量は、強度及び加工性の観点から、13g/m2以上50g/m2以下であることが好ましい。トップシート21の形状は、特に制限されるものではないが、体液を漏れがないように吸収体22へと誘導するため、吸収体22を覆う形状であればよい。
吸収体22は、体液を吸収、保持するものであり、例えば、フラッフパルプや高吸収性樹脂(Super Absorbent Polymer;SAP)を含有している。吸収体22の基材は、一般に生理用ナプキン、おむつ、尿取りパッド50等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュ、吸収紙、親水性不織布といった材料から形成される。これらの中でも、吸収性の観点から、フラッフパルプを使用することが好ましい。斯かるフラッフパルプとしては、木材パルプ、合成繊維、ポリマー繊維、非木材パルプ等を綿状に解繊したものを挙げることができる。また、吸収体22の基材の坪量は、吸収性能及び肌触りを良好なものとするため、100g/m2以上800g/m2以下とすることが好ましい。
本発明の吸収性物品1は、トップシート21上であって、吸収体22の前側端部及び/又は後側端部を覆う位置にウエストシート27が設けられている。このウエストシート27は、吸収体22の前側端部を覆う位置のみに設けられていてもよく、後側端部を覆う位置のみに設けられていてもよいが、前側端部を覆う位置と、後側端部を覆う位置の両方に設けられていることが好ましい。ウエストシート27としては、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、ポリエチレンフィルム、又はこれらのシートを組み合わせた複合シートを用いることができる。ウエストシート27は、1枚のシートのみで構成されていてもよいが、剛性を持たせるため、2枚以上のシートからなる複合シートであることが好ましい。ウエストシート27を、2枚以上のシートからなる複合シートから形成する場合、2枚以上のシートは、ホットメルト接着剤、熱融着、ヒートエンボス加工等の手段により接合されていることが好ましい。また、ウエストシート27を構成する素材は、親水性の素材であっても、撥水加工が施された素材であっても、疎水性の素材であってもよいが、着用者の背中側や腹側からの体液の漏れを効果的に防止する観点からは、撥水加工が施された素材や疎水性の素材を用いることが好ましい。ウエストシート27の坪量は、15g/m2以上100g/m2以下であることが好ましく、20g/m2以上70g/m2以下であることがより好ましい。
本発明において、ウエストシート27には、幅方向に延びる略コの字状の切れ込み271が形成されおり、この切れ込み271は、長手方向中心に向かって開口している。切れ込み271の開口部近傍においては、トップシート21とウエストシート27は互いに接合しておらず、吸収性物品1の着用時に、切れ込み271の開口部がトップシート21及びウエストシート27の間に空間を形成可能となっている。このような構成を採用することにより、吸収性物品1の着用時に、切れ込み271が起立して、体液に対する堰として作用し、吸収性物品1の背中側及び腹側からの体液の漏れを効果的に防止することができる。また、図1及び図2に示すように、本発明の吸収性物品1を、尿取りパッド50と併用する際、切れ込み271の内側に尿取りパッド50を配置して、開口部に嵌合することにより、吸収性物品1により尿取りパッド50が安定に保持され、尿取りパッド50の長手方向へのずれを効果的に防止することもできる。なお、本発明の吸収性物品1が、幅方向両側部に、長手方向に延びる一対の立体ギャザー32を有している場合、略コの字状の切れ込み271は、立体ギャザー32の基部よりも内側であって、吸収体22の長手方向両端部近傍に、吸収性物品1の長手方向と直行して設けられていることが好ましい。
バックシート23は、吸収体22が保持している体液が衣類を濡らすことを防止できるような液不透過性を備えた基材を用いればよく、樹脂フィルム、あるいは、樹脂フィルムと不織布とを積層した複合シート等の材料から形成される。バックシート23に用いることができる樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン等からなるフィルムや、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。また、複合シートに用いることができる不織布としては、特に、その製法を限定されることなく、例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、あるいは、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布を積層した複合不織布、及びこれらの複合材料を挙げることができる。
吸収性物品1の後身頃10Cの幅方向両側部には、少なくとも一対のサイドフラップ24が形成されており、サイドフラップ24それぞれの、自由端側の幅方向側縁部にはサイドパネル25が、サイドパネル25の幅方向側縁部には2つのファスニングテープ26が設けられていることが好ましい。なお、本明細書の説明においては、サイドパネル25とファスニングテープ26とが別々の部材として説明されているが、サイドパネル25及びファスニングテープ26は、別々の部材により形成されたものに限定されず、両者が一体となって形成されたものであってもよい。ここで、片方のサイドパネル25上の2つのファスニングテープ26は、吸収性物品1の長手方向に沿って離間して設けられていることが好ましく、展開状態において、ファスニングテープ26の身体側表面(肌当接面)には、前身頃10Aと後身頃10Cとを締結するための面ファスナーを構成するフック部材からなる締結手段が設けられると共に、締結手段の自由端側の各ファスニングテープ26の先端部には、つまみしろが設けられていることが好ましい。一方、前身頃10Aの衣類側表面であるバックシート23表面には、面ファスナーを構成するループ部材で形成されたターゲットテープ(図示しない)が設けられており、吸収性物品1を着用者に装着した状態では、締結手段がループ部材であるターゲットテープに固定されることが好ましい。なお、フック部材とは、面ファスナーを構成する部材のうち、フック状突起からなる部材を指し、ループ部材とは、フック部材と対を成す部材であって、ループ状に密集して起毛された部材を指す。面ファスナーは、このフック部材とループ部材とが対となって構成されている。吸収性物品1を着用する場合、後身頃10Cを着用者の背部にあてた状態で、前身頃10Aを着用者の腹部側に持っていき、ファスニングテープ26をターゲットテープに締結することで、着用者に装着させることができる。
吸収性物品1の製造方法としては、特に限定はなく、従来公知の方法を採用することができ、例えば、トップシート21とバックシート23との間に吸収体22を挟持し、さらに、切れ込み271を形成したウエストシート27、サイドフラップ24、サイドパネル25、ファスニングテープ26、及びターゲットテープ、加えて適宜液拡散性シートや立体ギャザー32を配置した後、トップシート21とバックシート23とを一部あるいは全周にわたってホットメルト接着剤やヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等を用いて固定することで製造することができる。
(吸収体の作製)
パルプシートを粉砕して解繊したフラッフパルプ50gと、高吸収性ポリマー15gとをともに積繊した吸収体マットを準備し、長さ700mm、幅330mmにカットした。この吸収体をトップシート、ウエストシート及びバックシートとともに積層するとともに、一対の横漏れ防止用立体ギャザー、サイドフラップ、サイドパネル等を形成し、長さ840mm、幅540mmのテープ止めタイプの吸収性物品を作製し、実施例1のサンプルとした。なお、トップシートとしては、スパンボンド不織布(坪量15g/m2)を2枚を用い、ウエストシートとしては、通気性ポリエチレンフィルム(坪量20g/m2)及びスパンボンド不織布(坪量20g/m2)を貼り合わせた複合シートを用い、バックシートとしては、通気性ポリエチレンフィルム(坪量20g/m2)及びスパンボンド不織布(坪量20g/m2)を貼り合わせた複合シートを用いた。ここで、2枚のウエストシートには、長手方向の寸法が40mm、幅方向の寸法が120mmの略コの字状の切れ込みを形成し、これらの切れ込みが、吸収体の長手方向両端部近傍に位置するようにした。各切れ込みにおいては、略コの字状の切れ込みの二つの端部(基部)を結ぶ直線上には、直線状のエンボス部を形成し、コの字状の切れ込みが起立して、トップシートと離間可能なように構成した。得られた吸収性物品の概要を図3に示す。得られた吸収性物品については、モニターテストの官能評価により、腹側からの尿漏れ、便漏れのし難さ、背中側からの尿漏れ、便漏れのし難さ、併用する尿取りパッドのずれにくさを評価した。以上の結果を表1に示す。
20名のパネラーにより、吸収性物品の着用時の腹側及び背中側からの尿漏れについて、「尿漏れがある」又は「尿漏れがない」の選択で調査を行い、以下の基準により評価を行った。
◎:「尿漏れがない」が16人以上20人以下のとき
○:「尿漏れがない」が11人以上15人以下のとき
△:「尿漏れがない」が6人以上10人以下のとき
×:「尿漏れがない」がいないか、1人以上5人以下の時
20名のパネラーにより、吸収性物品の着用時の腹側及び背中側からの便漏れについて、「便漏れがある」又は「便漏れがない」の選択で調査を行い、以下の基準により評価を行った。
◎:「便漏れがない」が16人以上20人以下のとき
○:「便漏れがない」が11人以上15人以下のとき
△:「便漏れがない」が6人以上10人以下のとき
×:「便漏れがない」がいないか、1人以上5人以下の時
20名のパネラーにより、吸収性物品と併用する尿取りパッドの長手方向のずれにくさについて、「ずれやすい」又は「ずれにくい」の選択で調査を行い、以下の基準により評価を行った。
◎:「ずれにくい」が16人以上20人以下のとき
○:「ずれにくい」が11人以上15人以下のとき
△:「ずれにくい」が6人以上10人以下のとき
×:「ずれにくい」がいないか、1人以上5人以下の時
図4に示すように、ウエストシートを設けなかった点以外は、実施例1と同様の方法により、尿とりパッドを作製して、比較例1のサンプルとし、実施例1と同一の試験・評価を行った。得られた結果を表1に示す。
10A 前身頃
10B 股下部
10C 後身頃
21 トップシート
22 吸収体
23 バックシート
24 サイドフラップ
25 サイドパネル
26 ファスニングテープ
27 ウエストシート
271 切れ込み
272 エンボス部
32 立体ギャザー
50 尿取りパッド
Claims (5)
- 液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、トップシート及びバックシートの間に配置された吸収体と、を備える吸収性物品であって、
前記トップシート上において、前記吸収体の前側端部及び/又は後側端部を覆う位置にウエストシートが設けられ、
前記ウエストシートには、幅方向に延びる、略コの字状の切れ込みが形成されており、前記切れ込みは、長手方向中心に向かって開口しており、前記略コの字状の切れ込みの2つの端部を結ぶ直線上に、直線状又は破線状のエンボス部を設け、切れ込みが容易に起立するように構成されており、
前記切れ込みの開口部近傍において、前記トップシートと前記ウエストシートは接合されておらず、吸収性物品の着用時に、前記切れ込みの開口部が、前記トップシート及び前記ウエストシートの間に空間を形成可能である、吸収性物品。 - 前記吸収性物品が、幅方向両側部に、長手方向に延びる一対の立体ギャザーを有しており、
前記切れ込みは、前記立体ギャザーの基部よりも内側に、かつ前記吸収体の長手方向両端部近傍に、長手方向と直行して設けられている、請求項1に記載の吸収性物品。 - 前記切れ込みの長手方向の寸法が、15mm以上150mm以下であり、幅方向の寸法が、長手方向の寸法よりも大きい、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
- 前記ウエストシートが、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、ポリエチレンフィルム、又はこれらのシートを組み合わせて接合した複合シートである、請求項1から3のいずれかに記載の吸収性物品。
- テープ止めタイプの吸収性物品、又はパンツタイプの吸収性物品である、請求項1から
4のいずれかに記載の吸収性物品。
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