JP6880322B2 - 数値制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、工作機械を制御する数値制御装置に関する。
数値制御される工作機械は、アクチュエータと、アクチュエータによって駆動されるテーブル、工具などの被駆動体とを備える。アクチュエータは、回転サーボモータ、リニアサーボモータなどである。工作機械に接続される数値制御装置から出力される位置、経路、速度、トルクなどを示す指令に従って、アクチュエータが制御されることによって、被駆動体が動作する。これにより、テーブルに固定される加工対象である被加工物が工具により加工される。被加工物に対する工具の位置が、指令された経路である指令軌跡に正確に追従するように、被駆動体を駆動する制御は、軌跡制御又は輪郭運動制御と呼ばれる。軌跡制御又は輪郭運動制御は、数値制御装置によって精密に実行される。軌跡制御又は輪郭運動制御が実行されることによって、工作機械に設けられる主軸、送り軸といった複数の軸のそれぞれに繋がるサーボモータが動作して、被加工物に対する工具の位置が制御される。
工作機械では、被加工物の加工時に、工具の被加工物への接触部分に切削力が生じる。工具の寿命を延ばし、また被加工物の加工精度を向上させるためには、切削力を一定に保つことが重要である。しかしながら、切削工具が例えばエンドミル、ドリルなどである場合、切削工具の軸に設けられる切削刃が軸の回転方向に対して離れて配列されるため、加工中の工具の被加工物への接触部分における切削抵抗が変動して、被加工物への加工が断続的に行われる。従って、エンドミル、ドリルなどの切削工具が用いられる場合、切削力を一定に保つことが困難であり、切削力の変動が、主軸、送り軸を駆動するサーボモータの制御系の外乱となる。切削力の変動によって、例えば送り軸に繋がるサーボモータの制御系に振動等が生じた場合、被加工物を基準とした場合の工具の相対位置も振動的となり、加工精度又は加工面品位が悪化するだけでなく、工具の摩耗が進む。特許文献1には、モータを制御する制御系の周波数応答帯域を、工具摩耗が許容範囲内となるような周波数応答帯域に設定して、被加工物を加工する技術が開示される。特許文献1に開示される技術によれば、加工中の切削抵抗の変動に起因して制御系に外乱が生じた場合でも、工具の摩耗が一定範囲内に抑えられ、加工品質が安定化すると共に加工効率が向上する。
特開2013−250866号公報
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、周波数応答帯域が狭くなることによって、工具位置の指令軌跡への追従性が低下して、加工精度に悪影響を及ぼす可能性があるという課題がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、指令軌跡への追従性の低下を抑制することができる数値制御装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の数値制御装置は、被加工物を加工する工具により被加工物の加工を行う機械系を制御する数値制御装置であって、位置指令に基づいて、被加工物が設けられる被駆動体の位置が位置指令に追従するように被駆動体に接続されるモータを駆動するサーボ制御部を備える。数値制御装置は、工具と被加工物と間に生じる切削力を測定又は推定して出力する切削力出力部と、被駆動体の位置と切削力とに基づき切削力ベクトルを演算する切削力ベクトル演算部と、切削力に対する機械系の動特性を同定する機械特性同定部を備える。数値制御装置は、切削力ベクトルと機械特性同定部で同定された機械系の動特性とに基づき、サーボ制御部の制御特性を変更する制御特性変更部とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、指令軌跡への追従性の低下を抑制することができるという効果を奏する。
本発明の実施の形態1に係る数値制御装置の構成を示す図 図1に示すモータ及び機械系の構成を示す図 図1に示す模擬応答演算部の構成を示す図 図1に示す模擬応答演算部の変形例を示す図 図1に示す機械特性同定部で算出される機械特性情報を説明するための第1図 図1に示す機械特性同定部で算出される機械特性情報を説明するための第2図 図1に示す制御特性変更部の動作を説明するためのフローチャート 切削力により、図1に示す機械端位置に外乱振動が生じている例を示す第1図 切削力により、図1に示す機械端位置に外乱振動が生じている例を示す第2図 本発明の実施の形態2に係る数値制御装置の構成を示す図 本発明の実施の形態3に係る数値制御装置の構成を示す図 図2に示すモータ及び機械系を2慣性のモデルで近似したブロック図 実施の形態1から3に係る数値制御装置のハードウェア構成例を示す図
以下に、本発明の実施の形態に係る数値制御装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る数値制御装置の構成を示す図である。図2は図1に示すモータ及び機械系の構成を示す図である。数値制御装置100−1は、位置指令200及び機械端位置201に基づきトルク指令202を生成し、生成したトルク指令202を工作機械100に設けられるモータ7へ与えることにより、制御対象である機械系8を駆動する。数値制御装置100−1は、サーボ制御部1、切削力出力部2、切削力ベクトル演算部3、模擬応答演算部4、機械特性同定部5、制御特性変更部6及び減算部9を備える。
サーボ制御部1はモータ7に接続されており、モータ7にトルク指令202を与えることにより、制御対象である機械系8を駆動する。図2に示すようにモータ7は、サーボモータ71と、モータ位置検出器72とを備える。サーボモータ71のロータ71aにはシャフト71bが設けられる。モータ位置検出器72には、ロータ71aの回転位置を検出するロータリエンコーダが用いられる。機械系8は、テーブル81、ボールねじナット82、ボールねじ83、カップリング84、機械端位置検出器85及び機械端位置検出器ヘッド86を備える。機械系8のボールねじ83は、カップリング84を介して、サーボモータ71のシャフト71bに接続される。ボールねじ83には、ボールねじナット82が嵌め合わされ、ボールねじナット82には、被駆動体であるテーブル81が固定される。テーブル81、不図示の案内機構によって、ボールねじ83がびる方向に移動可能に支持されている。機械端位置検出器85及び機械端位置検出器ヘッド86は、数値制御装置100−1の制御対象であるテーブル81の位置を検出するためのエンコーダである。機械端位置検出器85は、例えばリニアエンコーダであり、機械端位置検出器ヘッド86は、例えばリニアエンコーダヘッドである。サーボ制御部1に入力される機械端位置201は、モータ位置検出器72により検出されたロータ71aの回転位置を示す情報と、機械端位置検出器85により検出されたテーブル81の位置を示す情報との少なくとも一方を示す。
なお、機械端位置検出器85ではテーブル81の移動距離が測定されるのに対して、モータ位置検出器72ではロータ71aの回転角度が測定される。しかし、この回転角度にモータ7の1回転当たりのテーブル移動距離であるボールねじリードを乗じて、ロータ71aの1回転の角度2π[rad]で除することで、サーボ制御部1では、ロータ71aの回転角度が、テーブル81の移動方向の長さに換算される。実施の形態1では、ロータ71aの回転角度をテーブル81の移動方向に換算した値が用いられるものとする。
機械端位置201として、モータ位置検出器72により検出された位置情報のみ用いるフィードバック制御をセミクローズドループ制御と呼ぶ。機械端位置201として、モータ位置検出器72により検出された位置情報と、機械端位置検出器85により検出された位置情報との両方を用いるフィードバック制御、又は機械端位置検出器85により検出された位置情報のみ用いるフィードバック制御を、フルクローズドループ制御と呼ぶ。実施の形態1に係る数値制御装置100−1には、セミクローズドループ制御とフルクローズドループ制御との何れを適用してもよい。以下では、フルクローズドループ制御が適用される数値制御装置100−1の構成例について説明する。また以下では、フィードバック制御に用いられる位置情報を機械端位置と呼ぶ。なお、機械系8の構成は一例であり、機械系8の構成は図2に示される例に限定されず、数値制御装置100−1は、複数の機械系を制御対象とすることも可能である。
図1に示すサーボ制御部1には位置指令200及び機械端位置201が入力される。サーボ制御部1は、機械端位置201を位置指令200に追従させるトルク指令202を生成する。サーボ制御部1は、例えば、位置指令200と機械端位置201との差である位置偏差を求め、位置偏差に対して、例えば比例制御といった位置制御処理を実行して、速度指令を算出する。さらに、速度指令に対して、例えば比例積分制御といった速度制御処理を実行することによって、トルク指令202を算出して出力する。
図1に示す切削力出力部2は、例えばテーブル81に設けられる被加工物90の加工時に、工具101の被加工物90への接触部分に生じる切削力を測定し、測定された切削力を示す情報である切削力203を出力する。
切削力203の測定には、例えばロードセル、動力計などが用いられる。ロードセル、動力計などは、切削力203を直接測定することが可能な測定器である。なお、切削力203はモータ電流からも推定することも可能であり、モータ電流から切削力203を推定する場合、外乱オブザーバと呼ばれる手法が用いられる。なお、切削力出力部2には、切削力203を直接測定する手段の代わりに、切削力203を間接的に測定する手段を用いてもよい。
切削力ベクトル演算部3は、測定された切削力203と機械端位置201とに基づき、例えば、3つの切削力ベクトルを演算する。3つの切削力ベクトルの内、第1切削力ベクトルは、例えば機械のX軸、Y軸、Z軸などの駆動軸に平行な方向を基準とするベクトルである。以下では、第1切削力ベクトルを機械軸方向切削力ベクトルと呼ぶ。3つの切削力ベクトルの内、第2切削力ベクトルは、工具101の送り方向に平行な切削力ベクトルである。以下では、第2切削力ベクトルを工具送り方向切削力ベクトルと呼ぶ。3つの切削力ベクトルの内、第3切削力ベクトルは、工具101の送り方向に垂直な方向の切削力ベクトルである。以下では、第3切削力ベクトルを垂直方向切削力ベクトルと呼ぶ。
ここでは、動力計を用いて切削力を測定する場合の例について説明する。動力計を用いて切削力を測定する場合、一般的には、機械に設置される動力計の向きを調整することによって、機械の駆動軸、例えばX軸、Y軸、Z軸のそれぞれがびる方向と平行な方向の切削力が測定される。そのため、動力計からの出力には、機械軸方向切削力ベクトルの成分が含まれる。なお、動力計には、3つの軸の方向に対応する機械軸方向切削力ベクトルを測定できるものだけでなく、X軸、Y軸、Z軸の内、1つの軸の方向に対応する機械軸方向切削力ベクトルのみ測定できるものも存在する。そして、測定されない方向の切削力は0とみなされる。なお、5つの回転軸を有する5軸制御工作機械では、動力計の設置方向が回転軸の向きによって変化する場合があり、このような場合、回転軸の角度が、機械軸方向切削力ベクトルの計算に利用される。
切削力ベクトル演算部3では、機械端位置201を微分することにより、複数の工具101のそれぞれの軸の移動速度を計算できる。工作機械100が例えば3つの工具101を備える場合、切削力ベクトル演算部3は、3つの工具101のそれぞれの軸の移動速度を成分とする移動速度ベクトルvを演算する。また切削力ベクトル演算部3では、工具送り方向切削力ベクトルFtが(1)式及び(2)式により演算される。「u」は単位ベクトルである。「v」は移動速度ベクトルである。「F」は機械軸方向切削力ベクトルである。「・」は内積を示す。また切削力ベクトル演算部3では、垂直方向切削力ベクトルFnが(1)式及び(3)式により演算される。
u=v/|v|・・・(1)式
Ft=(F・u)・・・(2)式
Fn=F−Ft・・・(3)式
なお、切削力ベクトル演算部3は、機械端位置201を微分して得られる移動速度の代わりに、速度制御に用いる速度フィードバック情報を用いて、工具送り方向切削力ベクトル及び垂直方向切削力ベクトルを演算するように構成してもよい。また切削力ベクトル演算部3は、機械軸方向切削力ベクトルFの大きさを演算し、演算された機械軸方向切削力ベクトルFの大きさを、切削力の大きさとする。
さらに、切削力ベクトル演算部3は、現時点から一定時間遡った時点までに演算された複数の軸のそれぞれに対応する機械軸方向切削力ベクトルの成分を示すデータを保持して、保持されたデータを利用して、各周波数に対する切削力のパワースペクトルを計算する。なお、周波数に対するパワースペクトルは、フーリエ変換を行うことにより演算することができる。
切削力ベクトル演算部3は、各切削力ベクトル、切削力の大きさ、及び各機械軸方向切削力ベクトルの各成分のパワースペクトルを、切削力ベクトル情報204として、制御特性変更部6に出力する。
図3は図1に示す模擬応答演算部の構成を示す図である。模擬応答演算部4は、位置指令200に基づいて機械端位置201の応答を模擬し、機械端位置201が追従するべき理想的な位置の計算結果であるモデル位置205を算出して出力する。模擬応答演算部4は、位置制御模擬部41及び積分演算部42を備える。位置制御模擬部41は、位置指令200と積分演算部42の出力との差に対して、サーボ制御部1で行われる位置制御処理と同じ処理を実行する。積分演算部42は、位置制御模擬部41の処理結果を積分することにより、機械端位置201の値を求めて、モデル位置205として出力する。
図4は図1に示す模擬応答演算部の変形例を示す図である。図4に示す模擬応答演算部4Aは、図3に示す位置制御模擬部41及び積分演算部42に加えて、速度制御模擬部43、積分演算器44及び比例定数演算部45を備える。模擬応答演算部4Aは、モデル位置205に加えて、機械系8の理想的な速度の値を示すモデル速度208と、モータトルクの理想的な出力を示す情報であるモデルトルク209とを演算する。比例定数演算部45では、モデル速度208にトルク変換のための定数を積算することにより、モデルトルク209が演算される。Kpp、Kvp、Kvi、Kt及びJのそれぞれは比例定数を示す。sは微分を表すラプラス演算子である。1/sは積分を表す。位置制御模擬部41では一般的な比例制御が行われる。速度制御模擬部43では一般的な比例積分制御が行われる。速度制御模擬部43の出力は加速度の次元になっており、速度制御模擬部43の出力は、積分演算器44に入力され、積分演算器44及び積分演算部42によって、2段積分される。これにより機械端位置が模擬される。また速度制御模擬部43の出力は、比例定数演算部45に入力される。比例定数演算部45は、速度制御模擬部43の出力に比例定数Ktを掛けることにより、速度制御模擬部43の出力をトルクに変換する。
減算部9は、模擬応答演算部4で演算されたモデル位置205を機械端位置201から減算することにより、切削力等の制御への外乱によって生じる位置外乱206を算出する。
機械特性同定部5は、位置外乱206及び切削力203を用いて、切削力203に対する工作機械100の機械特性を同定する。実施の形態1では、切削力203に対する機械特性として、切削力203から制御系における位置外乱206までの伝達関数を同定する例について説明する。なお、機械特性同定部5は、位置外乱206の代わりに、図4に示す模擬応答演算部4Aにより演算されるモデル速度208、モデルトルク209などを用いて、速度外乱、トルク外乱などを算出し、切削力203から速度外乱までの伝達関数、又は切削力203からトルク外乱までの伝達関数を同定するように構成してもよい。
機械特性同定部5は、切削力203及び位置外乱206に対してフーリエ変換などの数値処理を行い、周波数伝達関数を算出する。機械特性同定部5は、算出した周波数伝達関数を機械特性情報207として制御特性変更部6に出力する。図5は図1に示す機械特性同定部で算出される機械特性情報を説明するための第1図である。図5の横軸は対数周波数を表し、図5の縦軸はデシベル値で示されるゲインを表す。図5では、周波数伝達関数がゲイン線図により表される。ゲイン線図では、共振点が正のピークとして表れ、***振点が負のピークとして現れる。図6は図1に示す機械特性同定部で算出される機械特性情報を説明するための第2図である。図6の横軸は対数周波数を表し、図6の縦軸は位相を表す。図6では、周波数伝達関数が位相線図により表される。なお、周波数伝達関数は、横軸を対数周波数とし、縦軸をフーリエ変換後の実部及び虚部によって表されるコクアド線図でも表すことができる。
制御系における外乱には、切削力の変動による外乱以外にも、摩擦による外乱が存在し、摩擦によっても位置外乱206が生じる。代表的な例として、円弧の象限切り替え位置において、送り軸の移動方向が反転する際に生じる象限突起がある。機械特性同定部5では、切削力に対する機械特性を同定するために、摩擦の影響を除去する必要がある。そのため、送り軸の移動方向が反転する際に生じる摩擦の影響、又は送り軸が停止状態から動き出すときに生じる摩擦の影響が大きい場合を除いて、切削力に対する機械特性を同定することが望ましい。
制御特性変更部6は、切削力ベクトル演算部3で演算された切削力ベクトル情報204と、機械特性同定部5で同定された機械特性情報207とに基づき、サーボ制御部1の周波数特性の変更を行う。工作機械100において2軸以上で行われる軌跡制御では、制御する軸の目標値応答性が異なると、指令軌跡に対して軌跡誤差が生じる。実施の形態1では、このような軌跡誤差を生じないため、サーボ制御部1に2自由度制御が採用される。2自由度制御とは、目標値への追従と外乱の抑制のために、2つの独立した補償器を利用する制御方式である。外乱抑制のための補償器の周波数応答が制御軸によって異なる場合でも軌跡誤差は生じないため、制御特性変更部6は、外乱抑制のための補償器である外乱応答補償器の周波数応答を変更することにより、外乱抑制を実現する。外乱応答補償器は、一般的にP(Proportional)制御器、PI(Proportional Integral)制御器などで構成される。すなわち、サーボ制御部1において、2自由度制御を採用することにより、軌跡誤差を生じることなく、切削力による外乱を抑制することが可能となる。
機械特性同定部5で同定される周波数伝達関数にピークが存在し、このピークが共振点である場合、機械端位置で観測可能な範囲において、切削力に起因する振動が生じている可能性がある。フルクローズドループ制御の場合、図2に示すモータ7及び機械系8において振動が生じており、セミクローズドループ制御の場合、モータ7において振動が生じていることとなる。この場合、共振点における外乱応答補償器の応答性を高める、すなわち、共振点における外乱応答補償器の制御ゲインを上げることにより、外乱を抑制することができる。
一方、周波数伝達関数のピークが***振点である場合、機械端位置では観測不可能な範囲において、切削力に起因する振動が発生する可能性がある。例えば、テーブル81上に設置されている被加工物90、工具101などが振動している可能性がある。この場合、***振点における外乱応答補償器の応答性を下げる、すなわち、***振点における外乱応答補償器の制御ゲインを下げることにより、切削力による外乱を抑制できる。
次に制御特性変更部6の動作について説明する。図7は図1に示す制御特性変更部の動作を説明するためのフローチャートである。まず制御特性変更部6は、機械特性同定部5で算出された周波数伝達関数において、データサンプリング周波数の1/2の周波数の範囲で、ピークを探索する(ステップS1)。例えば、サンプリング周期を1kHzとした場合、ピークを探索する範囲は、1kHzの1/2の周波数までの範囲、すなわち0〜500Hzとなる。そして、500Hzから1kHzまでの範囲ではエリアシングが起きているため、制御特性変更部6ではピークの探索が行われない。
制御特性変更部6は、周波数伝達関数に***振点又は共振点が存在するか否かを判定する(ステップS2)。例えば、ゲインの値が低下から増加に転じる第1ピーク点が存在するか否か、ゲインの値が増加から低下に転じる第2ピーク点が存在するか否かにより、***振点又は共振点の有無が判断される。
周波数伝達関数に***振点又は共振点が存在しない場合(ステップS2,No)、制御特性変更部6は、ステップS1,S2の処理を繰り返す。
周波数伝達関数に***振点又は共振点が存在する場合(ステップS2,Yes)、制御特性変更部6は、周波数伝達関数のピークが共振点であるか、***振点であるかを判定する(ステップS3)。例えば、ゲインの値が低下から増加に転じる第1ピーク点が存在する場合、制御特性変更部6は、周波数伝達関数に***振点が存在すると判定する。ゲインの値が増加から低下に転じる第2ピーク点が存在する場合、制御特性変更部6は、周波数伝達関数に共振点が存在すると判定する。なお、走査中に複数の第1ピーク点が存在する場合、制御特性変更部6は、複数の第1ピーク点を記憶し、その中で最低のものを***振点と判断する。また、走査中に複数の第2ピーク点が存在する場合、制御特性変更部6は、複数の第2ピーク点を記憶し、その中で最大のものを共振点と判断する。
周波数伝達関数のピークが共振点の場合(ステップS3,Yes)、制御特性変更部6は、切削力ベクトル演算部3で算出された、ピークの周波数における切削力のパワースペクトルが閾値以上であるか閾値未満であるかを判断する(ステップS4)。
切削力のパワースペクトルが閾値未満の場合(ステップS4,No)、制御特性変更部6はステップS8の処理を行う。切削力のパワースペクトルが閾値以上の場合(ステップS4,Yes)、制御特性変更部6は、ピークの周波数におけるサーボ制御部1の外乱応答補償器の制御ゲインを上げる(ステップS6)。
ステップS3において、周波数伝達関数のピークが***振点の場合(ステップS3,No)、制御特性変更部6は、切削力ベクトル演算部3で算出された、ピークの周波数における切削力のパワースペクトルが閾値以上であるか閾値未満であるかを判断する(ステップS5)。
切削力のパワースペクトルが閾値未満の場合(ステップS5,No)、制御特性変更部6はステップS8の処理を行う。切削力のパワースペクトルが閾値以上の場合(ステップS5,Yes)、制御特性変更部6は、ピークの周波数におけるサーボ制御部1の外乱応答補償器の制御ゲインを下げる(ステップS7)。制御特性変更部6は、走査対象の周波数の範囲内でピークの探索が完了するまでステップS1からS7までの処理を繰り返す(ステップS8)。
ステップS4,5において、周波数特性の変更を行うか否かを切削力のパワースペクトルにより判定されている理由は、切削力が小さい周波数の領域では、コヒーレントが低いため、周波数伝達関数のピークが正しく計算できていない可能性が高く、不要な周波数特性の変更を防ぐためである。ステップS4,5の処理では、制御特性を変更する駆動軸に対応する機械軸方向切削力ベクトルの各成分のパワースペクトルが用いられる。
なお、ステップS1の処理では、前述したコクアド線図に示される周波数伝達関数を用いてもよい。またステップS4,5の処理では、切削力のパワースペクトルの代わりに切削力の大きさを用いてもよい。
ステップS6における制御系の外乱応答を高める手段には、以下に説明する第一手段を利用してもよい。第一手段としては、外乱応答補償器の制御パラメータを変更することを例示できる。サーボ制御部1の外乱応答補償器は、一般的にP制御器、PI制御器などにより構成される。例えば、PI制御の場合、比例ゲインと積分ゲインとが外乱応答補償器の制御パラメータとなり、比例ゲインと積分ゲインとが共に、高い値に設定されることにより、外乱応答補償器の制御ゲインを上げることができる。しかし、この方法では、外乱応答補償器の全周波数域のゲインが上がり、制御系が不安定となる場合がある。
ステップS6における制御系の外乱応答を高める手段には、以下に説明する第二手段を利用してもよい。第手段としては、狭帯域のゲインを上げるフィルタ、すなわち逆ノッチフィルタを、外乱応答補償器に付加することを例示できる。逆ノッチフィルタは例えば、(4)式の伝達関数で表される。sは微分を表すラプラス演算子、ωはゲインを上げる範囲の中心の角周波数である。Qはゲインを上げる周波数帯を決定する係数、aはゲインの上げる量を決定する係数である。共振点のピークの周波数としてωを設定することにより、外乱応答補償器の外乱が生じている周波数におけるゲインを上げることができる。
(s+ωs/Q+ω)/(s+as+ω)・・・(4)式
さらに、ステップS6における制御系の外乱応答を高める手段には、以下に説明する第三手段を利用してもよい。第三手段としては、特定の範囲の周波数のみ通過させ、かつ、特定の範囲の周波数以外の周波数は通過させないバンドパスフィルタ、又は特定の範囲の周波数のみ通過させ、かつ、特定の範囲の周波数以外の周波数は減衰させるバンドパスフィルタを用いることを例示できる。機械端位置201をバンドパスフィルタに通過させることにより、バンドパスフィルタを通過した機械端位置201に対する外乱応答補償器の制御パラメータが変更される。例えば、PI制御の場合、比例ゲインと積分ゲインとが外乱応答補償器の制御パラメータとなり、比例ゲインと積分ゲインとが共に、高い値に設定される。バンドパスフィルタを通過しない機械端位置に対しては、制御パラメータが変更されないため、第一手段より制御系が不安定となりにくい。
ステップS7においては、以下に説明する第一手段を利用してもよい。ステップS7の第一手段としては、外乱応答補償器の制御パラメータを変更することを例示できる。サーボ制御部1の外乱応答補償器がPI制御の場合、比例ゲインと積分ゲインとに低い値が設定される。
またステップS7においては、以下に説明する第二手段を利用してもよい。ステップS7の第二手段としては、狭帯域のゲインを下げるノッチフィルタを外乱応答補償器に付加することを例示できる。ノッチフィルタは、例えば(5)式で表される。sは微分を表すラプラス演算子、ωはゲインを下げる範囲の中心の角周波数である。Qはゲインを下げる周波数帯を決定する係数、bはゲインの下げる量を決定する係数である。共振点のピークの周波数としてωを設定することにより、外乱応答補償器の外乱が生じている周波数におけるゲインを下げることができる。
(s+bs+ω)/(s+ωs/Q+ω)・・・(5)式
さらに、ステップS7には、以下に説明する第三手段を利用してもよい。第三手段としては、特定の範囲の周波数のみ通過させ、かつ、特定の範囲の周波数以外の周波数は通過させないバンドパスフィルタ、又は特定の範囲の周波数のみ通過させ、かつ、特定の範囲の周波数以外の周波数は減衰させるバンドパスフィルタを用いることを例示できる。機械端位置201をバンドパスフィルタに通過させることにより、バンドパスフィルタを通過した機械端位置201に対する外乱応答補償器の制御パラメータが変更される。例えば、PI制御の場合、比例ゲインと積分ゲインとが外乱応答補償器の制御パラメータとなり、比例ゲインと積分ゲインとが共に、低い値に設定される。
図8は切削力により、図1に示す機械端位置に外乱振動が生じている例を示す第1図である。図8には、時々刻々に変化する機械端位置を表す工具軌跡300が示され、さらに図8には、変化する各機械端位置における切削力ベクトル310が矢印で示される。なお、図8には、ピークの周波数における切削力のパワースペクトルが閾値以上のときの切削力ベクトル310のみ示される。
図9は切削力により、図1に示す機械端位置に外乱振動が生じている例を示す第2図である。図9には、位置指令200に対する切削力による外乱振動が拡大して表示されている。図9において、工具の送り方向は矢印Dで示される。図9に示すように切削中に工具の送り方向に垂直な方向に外乱振動が生じると、工具側面で加工される被加工物の加工面の面性状が悪化する。
実施の形態1に係る数値制御装置100−1では、このように加工面の面性状が悪化する外乱振動が生じた場合、制御特性変更部6によって、サーボ制御部1の外乱応答特性が変更されることにより、外乱振動が低減される。さらに、数値制御装置100−1では、切削力ベクトル演算部3、機械特性同定部5、制御特性変更部6の処理が一定の周期で行われる。これは、加工位置の変化と、切削加工を行うことによる被加工物、工具及び機械の状態の変化とにより、切削力を、変更を行うべき周波数の変化に対応させるためである。
以上のように、実施の形態1の数値制御装置100−1によれば、外乱抑制に用いる伝達関数を切削加工中に逐次計算できるため、切削加工中に計算される切削力ベクトル情報及び機械特性情報に基づいて、外乱応答補償器の周波数応答を変更することができる。これにより、切削力による機械系の位置外乱を抑制することができ、加工の精度向上が向上し、また工具の摩耗を抑制することができる。
また、実施の形態1の数値制御装置100−1によれば、外乱抑制に用いる伝達関数を切削加工中に逐次計算できるため、切削条件が変わる度に周波数応答帯域を予め測定する必要がない。そのため、周波数応答帯域の事前測定が不要になり、また切削加工の際に適切な周波数応答帯域を変更する手間がなくなり、数値制御装置100−1のユーザの負担を軽減することができる。
また、実施の形態1の数値制御装置100−1では、切削力ベクトル演算部3、機械特性同定部5及び制御特性変更部6のそれぞれの処理動作が一定の周期で行われるため、加工位置の変化と、切削加工を行うことによる被加工物、工具及び機械の状態の変化とにより、切削力を対応させて変えることができる。
また実施の形態1の数値制御装置100−1のサーボ制御部1に2自由度制御が採用される場合、軌跡誤差を生じることなく、切削力による外乱を抑制することが可能となる。
また実施の形態1の数値制御装置100−1によれば、従来技術のように周波数応答帯域を狭くする必要がないため、工具位置の指令軌跡への追従性を低下させることなく切削力変動によって生じる外乱を抑制できる。
実施の形態2.
図10は本発明の実施の形態2に係る数値制御装置の構成を示す図である。実施の形態2に係る数値制御装置100−2は、実施の形態1に係る数値制御装置100−1が備える構成に加えて、表示部10及び条件入力部11を備える。実施の形態2において、実施の形態1と同様の構成要素については実施の形態1と同一の名称及び記号を用いて説明する。
条件入力部11では、数値制御装置100−2のユーザが、制御特性変更部6における制御特性を変更するための条件と、制御特性変更部6における制御特性の変更を許可するか否かを指定することができる。制御特性を変更するための条件とは、例えば、前述した制御特性変更部6のステップS4及びステップS5の処理動作における、パワースペクトルの閾値、切削力の大きさの閾値などである。
また工作機械100を利用して被加工物の加工を行うためのプログラムは、一般的にGコードと呼ばれる指令コードが用いられる。Gコードには、位置決め指令(G00)、直線補間切削指令(G01)、円弧補間切削指令(G02、G03)などの指令がある。一般的に、位置決め指令(G00)は非切削時に用いられる指令である。条件入力部11では、例えば、位置決め指令の場合に制御特性変更部6による制御特性の変更を実施させ、又は切削指令の場合に制御特性変更部6による制御特性の変更を実施させるなど、制御特性変更部6による制御特性の変更の許可条件をユーザが指定できる。
また条件入力部11では、常時、制御特性の変更を許可するか否かを変更することも可能であり、例えば、制御特性の変更が許可され、かつ、制御特性変更を行う条件を満たす場合のみ、制御特性変更部6によるサーボ制御部1の制御特性の変更が行われる。
表示部10では、機械特性同定部5の出力である機械特性情報207と、切削力ベクトル演算部3の出力である切削力ベクトル情報204の一部又は全部のデータとが表示される。数値制御装置100−2のユーザは、表示部10に表示されるこれらの情報を把握できる。例えば、表示部10には、図7に示される工具軌跡300の単位長さ(例えば1mm)が、特定の長さで表示される。また表示部10には、図7に示される切削力ベクトル310の単位力(1N)が、特定の長さで表示される。これにより、ユーザは、切削力の大きさと向きを確認することができ、切削加工中の状況を把握できると共に、制御特性変更部6において制御特性の変更を行うべきかどうかを容易に判定することができる。
また、表示部10には、図5に示されるゲイン線図と図6に示される位相線図とのそれぞれの周波数の常用対数の単位量が、単位長さで表示される。これにより、ユーザは、どの周波数で振動が生じているかを確認でき、切削加工中の状況を把握できると共に、制御特性変更部6において制御特性の変更を行うべきかどうかを容易に判定することができる。
以上のように、実施の形態2に係る数値制御装置100−2によれば、ユーザが条件入力部11より、制御特性の変更を行う条件と指定すると共に、制御特性の変更を許可するか否かとを指定することにより、ユーザの意図しない処理を防ぐことができる。さらに、表示部10に機械特性情報、切削力ベクトル情報などを表示させることにより、ユーザが制御特性の変更を行うべきかどうかを容易に判断することができる。
実施の形態3.
図11は本発明の実施の形態3に係る数値制御装置の構成を示す図である。位置の制御帯域に含まれる周波数の振動に対してノッチフィルタを利用した場合、指令軌跡への追従性が低下するため、望ましくない。そこで、制御帯域に含まれる低周波数の振動に関しては、切削力に起因する振動を異なる方法で抑制する必要がある。そこで実施の形態3に係る数値制御装置100−3では、図1に示される制御特性変更部6の代わりに、加算部12及び外乱補正量算出部13が用いられる。実施の形態3において、実施の形態1と同様の構成要素については実施の形態1と同一の名称及び記号を用いて説明する。
外乱補正量算出部13は、機械特性情報207と切削力ベクトル情報204とに基づき、切削力に起因する外乱を推定し、推定した外乱から補正量を算出する。算出された補正量は加算部12により位置指令200へ加算され、加算部12の出力、すなわち補正量が加算された位置指令200は、サーボ制御部1及び模擬応答演算部4に入力される。数値制御装置100−3は、補正量が加算された位置指令200を用いて、工作機械100を制御することにより、工具位置の指令軌跡への追従性の低下を抑制しながら、切削力の変動に起因する外乱を抑制することで、加工精度の低下を抑制することができる。
図12は図2に示すモータ及び機械系を2慣性のモデルで近似したブロック図である。図12に示されるモデルにおいて、Kは機械系8の弾性要素のバネ定数であり、Cは機械系8のダンピング要素の粘性摩擦係数であり、Jmはモータ7のイナーシャであり、Jlは機械系8のイナーシャである。Jmの位置はモータ端位置を模擬しており、Jlの位置は機械端位置を模擬している。Tmは、トルク指令に従ってサーボモータ71が出力するトルクであり、xlは機械端位置を示す変数であり、xmはモータ端位置を示す変数であり、sは微分を表すラプラス演算子である。xm、xl及びfcを、ラプラス変換したものはX、X及びFcとする。
切削力により弾性要素K、ダンピング要素Cなどが変化することにより、テーブル81に位置外乱が生じる。さらに、弾性要素K、ダンピング要素Cなどにより、切削力が伝達されるためモータ位置にも位置外乱が生じる。モータ7、機械系8が2慣性モデルでモデル化される場合、切削力から位置外乱までの伝達関数は、例えば(6)式で表される。
G(s)=1/(Jls+Cs+K)・・・(6)式
外乱補正量算出部13は、機械特性同定部5で同定された伝達関数に対して、例えば最小二乗法、スペクトル解析法、部分空間法などを用いて(6)式の各係数を同定する。なお、(6)式では、機械系8が2慣性モデルに近似されているが、これよりも低次又は高次のモデルによって伝達関数を表現してもよい。外乱補正量算出部13は、切削力出力部2により測定される切削力203に対して、上記のように同定された伝達関数型のフィルタを適用することにより、切削力により生じる外乱を算出することができる。ここで計算される外乱の計算値には、高周波成分も含まれている。高周波成分は制御できないため、外乱補正量算出部13では、適当な周波数のローパスフィルタを用いて高周波成分が除去される。外乱補正量算出部13は、制御周期で逐次外乱を算出する。外乱補正量算出部13は、算出された外乱の正負の値を反転させることにより、反転後の外乱を補正量とする。補正は加算部12に入力され、加算部12では、補正が位置指令200に加算される。補正量Cは(7)式及び(8)式により算出される。Fは機械軸切削力ベクトルである。Tはローパスフィルタの時定数である。
C=−GLPF(s)G(s)F・・・(7)式
LPF(s)=1/(Ts+1)・・・(8)式
加工面の面性状に悪影響を及ぼすのは、工具の送り方向に対して垂直な方向の振動である。一方、工具の送り方向に対して補正を行った場合、工具の送り方向に対する工具の移動速度が一定ではなくなり、加工面の面性状に悪影響を及ぼす可能性がある。そこで、外乱補正量算出部13では、工具の送り方向に垂直な方向のみ補正が行われる。この場合、(7)式の機械軸方向切削力ベクトルFの代わりに、(3)式に示される垂直方向切削力ベクトルFnを用いればよい。
以上のように実施の形態3に係る数値制御装置100−3によれば、指令軌跡への追従性を低下させることなく、位置制御の帯域に含まれる低周波な外乱振動を抑制できる。これにより、工具寿命が延び、また被加工物の加工精度を向上させることができる。また数値制御装置100−3では、実施の形態1に係る数値制御装置100−1と同様に、切削力ベクトル演算部3、機械特性同定部5及び制御特性変更部6のそれぞれの処理動作が一定の周期で行われるため、加工位置の変化と、切削加工を行うことによる被加工物、工具及び機械の状態の変化とにより、切削力を対応させて変えることができる。
図13は実施の形態1から3に係る数値制御装置のハードウェア構成例を示す図である。数値制御装置100−1,100−2,100−3は、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)51と、CPU51がワークエリアに用いるメモリ52と、プログラム、情報などを記憶可能な記憶装置53と、ユーザからの入力を受け付ける入力装置54と、表示装置55とを備える。メモリ52とは、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリー、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)といった不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disk)が該当する。入力装置54は、キーボード、マウスが例示され、表示装置55は、モニタ、ディスプレイが例示される。なお、入力装置54と表示装置55とが一体化されて、タッチパネルなどにより実現されてもよい。
サーボ制御部1、切削力ベクトル演算部3、模擬応答演算部4、機械特性同定部5、制御特性変更部6、減算部9、外乱補正量算出部13及び加算部12は、CPU51が記憶装置53に格納されたプログラムを実行することにより実現される。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1 サーボ制御部、2 切削力出力部、3 切削力ベクトル演算部、4,4A 模擬応答演算部、5 機械特性同定部、6 制御特性変更部、7 モータ、8 機械系、9 減算部、10 表示部、11 条件入力部、12 加算部、13 外乱補正量算出部、41 位置制御模擬部、42 積分演算部、43 速度制御模擬部、44 積分演算器、45 比例定数演算部、51 CPU、52 メモリ、53 記憶装置、54 入力装置、55 表示装置、71 サーボモータ、71a ロータ、71b シャフト、72 モータ位置検出器、81 テーブル、82 ボールねじナット、83 ボールねじ、84 カップリング、85 機械端位置検出器、86 機械端位置検出器ヘッド、90 被加工物、100 工作機械、100−1,100−2,100−3 数値制御装置、101 工具、200 位置指令、201 機械端位置、202 トルク指令、203 切削力、204 切削力ベクトル情報、205 モデル位置、206 位置外乱、207 機械特性情報、208 モデル速度、209 モデルトルク、300 工具軌跡、310 切削力ベクトル。

Claims (9)

  1. 被加工物を加工する工具により前記被加工物の加工を行う機械系を制御する数値制御装置であって、
    位置指令に基づいて、前記被加工物が設けられる被駆動体の位置が前記位置指令に追従するように前記被駆動体に接続されるモータを駆動するサーボ制御部と、
    前記工具と前記被加工物と間に生じる切削力を測定又は推定して出力する切削力出力部と、
    前記被駆動体の位置と前記切削力とに基づき切削力ベクトルを演算する切削力ベクトル演算部と、
    前記切削力に対する前記機械系の動特性を同定する機械特性同定部と、
    前記切削力ベクトルと前記機械特性同定部で同定された前記機械系の動特性とに基づき、前記サーボ制御部の制御特性を変更する制御特性変更部と、
    を備えることを特徴とする数値制御装置。
  2. 前記機械特性同定部は、切削力から制御系の外乱までの周波数領域におけるゲインと位相により示される前記サーボ制御部の周波数応答特性を同定することを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置。
  3. 前記制御特性変更部は、前記機械特性同定部で同定された前記周波数応答特性において、前記周波数応答特性のピーク形状が互いに異なる共振点又は***振点を探索することによって外乱要因を特定して、特定した前記外乱要因に応じて制御系の周波数特性を変更することを特徴とする請求項2に記載の数値制御装置。
  4. 前記制御特性変更部は、前記周波数応答特性の変更の可否を前記切削力ベクトルにより判断することを特徴とする請求項2又は3に記載の数値制御装置。
  5. 前記制御特性変更部に対して、前記サーボ制御部の制御特性を変更する条件を入力する条件入力部を備えることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の数値制御装置。
  6. 被加工物を加工する工具により前記被加工物の加工を行う機械系を制御する数値制御装置であって、
    位置指令に基づいて、前記被加工物が設けられる被駆動体の位置が前記位置指令に追従するように前記被駆動体に接続されるモータを駆動するサーボ制御部と、
    前記工具と前記被加工物と間に生じる切削力を測定又は推定して出力する切削力出力部と、
    前記被駆動体の位置と前記切削力とに基づき切削力ベクトルを演算する切削力ベクトル演算部と、
    前記切削力に対する前記機械系の動特性を同定する機械特性同定部と、
    前記切削力により生じる制御系の外乱を補正する補正量を算出する外乱補正量算出部と、
    を備えることを特徴とする数値制御装置。
  7. 前記機械特性同定部は、前記切削力から制御系の外乱までの周波数応答特性を同定し、
    前記外乱補正量算出部は、前記切削力に、前記周波数応答特性を示す伝達関数型フィルタを適用することにより、外乱を補正するための補正量を演算することを特徴とする請求項6に記載の数値制御装置。
  8. 前記外乱補正量算出部は、前記切削力ベクトルに基づき前記工具の送り方向に直交する方向の補正量を算出することを特徴とする請求項6又は7に記載の数値制御装置。
  9. 前記制御系の外乱は、前記位置指令、速度指令及びトルク指令の何れか1つに含まれる外乱であることを特徴とする請求項2、3、4、6、7又は8に記載の数値制御装置。
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