JP2020035213A - 機械学習装置、制御システム及び機械学習方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1は、チューニングモード時には、周波数をスイープした交流信号を速度指令値の信号に重畳させ、重畳の結果、速度制御部から得られたトルク指令値信号の振幅を検出し、振幅の変化率が正から負に転じたときにおけるトルク指令値信号の周波数をノッチフィルタの中心周波数として設定するサーボアクチュエータを記載している。
しかしながら、ノッチフィルタの特性を決めるときには、減衰係数、除去したい帯域の中心周波数、及び帯域幅等の複数のパラメータを決めることが求められ、これらの最適値を求めることは容易ではない。
前記状態情報に含まれる前記係数の調整情報を含む行動情報を前記フィルタに出力する行動情報出力部(例えば、後述の行動情報出力部133)と、
前記測定情報と前記制御指令と差に基づく評価関数を用いた、強化学習における報酬の値を出力する報酬出力部(例えば、後述の報酬出力部1321)と、
前記報酬出力部により出力される報酬の値と、前記状態情報と、前記行動情報とに基づいて行動価値関数を更新する価値関数更新部(例えば、後述の価値関数更新部1322)と、
を備えてもよい。
前記モータ制御装置の外に設けられた外部測定器(例えば、後述の加速度センサ300)と、を備えた制御システムである。
図1に示すように、制御システム10は、モータ制御装置100と、モータ制御装置100により制御される工作機械200と、工作機械200に取り付けられた加速度センサ300とを備えている。加速度センサ300はモータ制御装置100の外に設けられる外部測定器となり、測定される加速度は測定情報となる。
モータ制御装置100の制御対象として、ここでは工作機械を取り上げて説明するが、制御対象は工作機械に限定されず、例えばロボット,産業機械等であってもよい。モータ制御装置100は、工作機械、ロボット、産業機械等の制御対象の一部として設けられてもよい。
フィルタ110は工作機械200のフィルタで、例えばノッチフィルタ、加減速時定数を設定するフィルタ、又は逆特性フィルタ等が用いられる。フィルタ110には位置指令が入力され、フィルタ110は、入力された位置指令の整形を行う位置指令値整形器となる。位置指令は、上位制御装置や外部入力装置等で、所定の加工プログラムに従って、サーボモータ127の速度を変化させるためにパルス周波数を変えるように生成される。位置指令は制御指令となる。フィルタ110はサーボ制御部120の外、すなわち、後述する位置フィードバックループ及び速度フィードループの外に設けられているが、サーボ制御部120の位置フィードバックループ又は速度フィードループの中に設けてもよい。例えばサーボ制御部120の後述する速度制御部126の出力側又は加算器123の出力側にフィルタ110を接続してもよい。ただし、サーボ制御部120の制御ループ(位置フィードバックループ又は速度フィードバックループ)の外の振動を抑えるため、フィルタは位置フィードバックループ又は速度フィードバックループの外に設けることが好ましい。図1ではフィルタ110は位置偏差を求める後述の減算器121の前に配置している。フィルタ110の構成は特に限定されないが、2次以上のIIRフィルタであることが望ましい。
数式1の係数Rは減衰係数、係数ωは中心角周波数、係数ζは比帯域である。中心周波数をfc、帯域幅をfwとすると、係数ωはω=2πfc、係数ζはζ=fw/fcで表される。
位置フィードフォワード部124は、位置指令値を微分して定数αを掛けた値に、数式2(以下に数2として示す)で示す伝達関数G(s)で示された位置フィードフォワード処理を行い、その処理結果を位置フィードフォワード項として、加算器123に出力する。数式2の係数ai、bj(X≧i,j≧0、Xは自然数)は伝達関数G(s)の各係数である。
以上のように、サーボ制御部120は構成される。
工作機械200は、サーボモータ127の回転軸に連結されたボールねじ230、ボールねじ230に螺合されたナット240、ナットに接続されたテーブル251を含む機械本体250を備えている。サーボモータ127の回転駆動によって、ボールねじ230に螺着されたナット240がボールねじ230の軸方向に移動する。
加速度センサ300は機械本体250の加速度を測定して機械学習部130に出力する。加速度センサ300は、機械学習中にのみ用いる場合には、出荷前に機械学習を行ってフィルタ110の係数を調整し、フィルタ110の調整後に機械本体250から取り外してもよい。出荷後に再学習を行う場合、再学習後に取り外してもよい。加速度センサ300から出力される加速度はサーボ制御部120のフィードバック制御に使ってもよいが、フィードバック制御に使わなければ加速度センサ300は取り外し可能である。この場合、工作機械200のコストを低減でき、信頼性も向上する。
機械学習部130は、予め設定された加工プログラム(以下、「学習時の加工プログラム」ともいう)を実行し、位置指令及び加速度センサ300からの加速度測定値を用いて、フィルタ110の伝達関数の係数ω、ζ、Rを機械学習(以下、学習という)する。機械学習部130は機械学習装置となる。機械学習部130による学習は出荷前に行われるが、出荷後に再学習を行ってもよい。
ここで、モータ制御装置100は、学習時の加工プログラムによりサーボモータ127を駆動し、被加工物(ワーク)を搭載しない状態で、テーブル251を移動させる。X軸方向及びY軸方向に移動されるテーブル251の任意の点の移動軌跡は、例えば、円形、四角形、八角形、又は八角形の角が一つ置きに円弧に置き換えられた形等である。図2〜図5はそれぞれ、移動軌跡が円形、四角形、八角形、又は八角形の角が一つ置きに円弧に置き換えられた形である場合のモータの動作を説明するための図である。図2〜図5において、テーブル251は時計まわりにX軸及びY軸方向に移動するものとする。
角の位置C2で、テーブルをY軸方向に移動するモータは、回転方向が反転し、テーブルはY軸方向に直線反転するように移動する。また、テーブルをX軸方向に移動するモータは、位置C1から位置C2及び位置C2から位置C3にかけて、同じ回転方向で、等速度で回転する。
角の位置Cで、テーブルをY軸方向に移動するモータは回転速度が速くなり、テーブルをX軸方向に移動するモータは回転速度が遅くなる。
角の位置C4で、テーブルをX軸方向に移動するモータは、回転方向が反転し、テーブルはX軸方向に直線反転するように移動する。また、テーブルをY軸方向に移動するモータは、位置C3から位置C4及び位置C4から次の角の位置にかけて、同じ回転方向で、等速度で回転する。
円弧の位置D2で、テーブルをY軸方向に移動するモータは、回転方向が反転し、テーブルはY軸方向に直線反転するように移動する。また、テーブルをX軸方向に移動するモータは位置D1から位置D3にかけて同じ回転方向で、等速度で回転する。図4に示した移動軌跡が八角形の場合と異なり、テーブルをY軸方向に移動するモータは位置D2の前後で円弧の移動軌跡が形成されるように、位置D2に向かって徐々に減速され、位置D2で回転が停止され、位置D2を過ぎると回転方向が徐々に増加していく。
角の位置D3で、テーブルをY軸方向に移動するモータは回転速度が速くなり、テーブルをX軸方向に移動するモータは回転速度が遅くなる。
円弧の位置D4で、テーブルをX軸方向に移動するモータは、回転方向が反転し、テーブルはX軸方向に直線反転するように移動する。また、テーブルをY軸方向に移動するモータは位置D3から位置D4、及び位置D4から次の角の位置にかけて同じ回転方向で、等速度で回転する。テーブルをX軸方向に移動するモータは位置D4の前後で円弧の移動軌跡が形成されるように、位置D4に向かって徐々に減速され、位置D4で回転が停止され、位置D4を過ぎると回転方向が徐々に増加していく。
以下の説明では機械学習部130が強化学習を行う場合について説明するが、機械学習部130が行う学習は特に強化学習に限定されず、例えば、教師あり学習を行う場合にも本発明は適用可能である。
教師あり学習が、完全な正解を示すのに対して、強化学習における報酬は、環境の一部の変化に基づく断片的な値であることが多い。このため、エージェントは、将来にわたっての報酬の合計を最大にするように行動を選択するように学習する。
Q学習では、或る状態Sのとき、取り得る行動Aのなかから、価値Q(S,A)の最も高い行動Aを最適な行動として選択することを目的とする。
この更新式は、状態Stにおける行動Atの価値Q(St,At)よりも、行動Atによる次の状態St+1における最良の行動の価値maxa Q(St+1,A)の方が大きければ、Q(St,At)を大きくし、逆に小さければ、Q(St,At)を小さくすることを示している。つまり、或る状態における或る行動の価値を、それによる次の状態における最良の行動の価値に近づける。ただし、その差は、割引率γと報酬rt+1のあり方により変わってくるが、基本的には、ある状態における最良の行動の価値が、それに至る一つ前の状態における行動の価値に伝播していく仕組みになっている。
「Human-level control through deep reinforcement learning」、Volodymyr Mnih1著[online]、[平成29年1月17日検索]、インターネット〈URL:http://files.davidqiu.com/research/nature14236.pdf〉
上述した強化学習を行うために、図6に示すように、機械学習部130は、状態情報取得部131、学習部132、行動情報出力部133、価値関数記憶部134、及び最適化行動情報出力部135を備える。学習部132は報酬出力部1321、価値関数更新部1322、及び行動情報生成部1323を備える。
状態情報取得部131は、取得した状態情報Sを学習部132に対して出力する。
なお、係数ω、ζ、Rは予め操作者が工作機械を調整している場合には、調整済の値を初期値として機械学習してもよい。
なお、行動情報Aにより修正された状態情報S´に係る修正後のフィルタ110に基づいてモータ制御装置100が動作したときの評価関数f(r(S´),y(S´))が、行動情報Aにより修正される前の状態情報Sに係る修正前のフィルタ110に基づいてモータ制御装置100が動作したときの評価関数f(r(S),y(S))と等しい場合は、報酬出力部1321は、報酬の値をゼロとする。
価値関数Qの更新は、オンライン学習で行ってもよく、バッチ学習で行ってもよく、ミニバッチ学習で行ってもよい。
オンライン学習は、或る行動Aを現在の状態Sに適用することにより、状態Sが新たな状態S´に遷移する都度、即座に価値関数Qの更新を行う学習方法である。また、バッチ学習は、或る行動Aを現在の状態Sに適用することにより、状態Sが新たな状態S´に遷移することを繰り返すことにより、学習用のデータを収集し、収集した全ての学習用データを用いて、価値関数Qの更新を行う学習方法である。更に、ミニバッチ学習は、オンライン学習と、バッチ学習の中間的な、ある程度学習用データが溜まるたびに価値関数Qの更新を行う学習方法である。
より具体的には、最適化行動情報出力部135は、価値関数記憶部134が記憶している価値関数Qを取得する。この価値関数Qは、上述したように価値関数更新部1322がQ学習を行うことにより更新したものである。そして、最適化行動情報出力部135は、価値関数Qに基づいて、行動情報を生成し、生成した行動情報をフィルタ110に対して出力する。この最適化行動情報には、行動情報出力部133がQ学習の過程において出力する行動情報と同様に、フィルタ110の伝達関数の各係数ω、ζ、Rを修正する情報が含まれる。
機械学習部130は、以上の動作で、フィルタ110の伝達関数の各係数ω、ζ、Rの最適化を行い、機械端の振動を抑制するように動作することができる。
以上のように、本発明に係る機械学習部130を利用することで、フィルタ110のパラメータ調整を簡易化することができる。
これらの機能ブロックを実現するために、モータ制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置を備える。また、モータ制御装置100は、アプリケーションソフトウェアやOS(Operating System)等の各種の制御用プログラムを格納したHDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶装置や、演算処理装置がプログラムを実行する上で一時的に必要とされるデータを格納するためのRAM(Random Access Memory)といった主記憶装置も備える。
なお、ステップS18はオンライン更新を例示しているが、オンライン更新に替えてバッチ更新又はミニバッチ更新に置き換えてもよい。
次に、図8のフローチャートを参照して、最適化行動情報出力部135による最適化行動情報の生成時の動作について説明をする。
まず、ステップS21において、最適化行動情報出力部135は、価値関数記憶部134に記憶している価値関数Qを取得する。価値関数Qは、上述したように価値関数更新部1322がQ学習を行うことにより更新したものである。
具体的には、評価関数として、位置偏差を用いる場合には、機械学習部130は、状態情報として、位置指令と、外部測定器としての位置センサからの測定位置を取得し、位置指令と測定位置との差(位置偏差)の絶対値の時間積分、位置偏差の絶対値の2乗の時間積分、位置偏差の絶対値に時間tの重み付けした時間積分、位置偏差の絶対値の集合の最大値を評価関数とすることができる。
また、上述した実施形態では、工作機械200に1つの共振点がある場合について説明したが、工作機械200に複数の共振点がある場合もある。工作機械200に複数の共振点がある場合には、各共振点に対応するようにフィルタを複数個設けて、直列に接続することで、すべての共振を減衰させることができる。図10は複数のフィルタを直接接続してフィルタを構成した例を示すブロック図である。図10において、m個(mは2以上の自然数)の共振点がある場合に、フィルタ110は、m個のフィルタ110−1〜110−mを直列接続して構成する。m個のフィルタ110−1〜110−mのそれぞれの係数ω、ζ、Rについて、順次、共振点を減衰させる最適値を機械学習により求めていく。
速度フィードフォワード部は、位置指令値を2回微分して定数βを掛けた値に、数式5(以下に数5として示す)で示す伝達関数H(s)で示された速度フィードフォワード処理を行い、その処理結果を速度フィードフォワード項として、加算器に出力する。数式5の係数ci、dj(X≧i,j≧0、Xは自然数)は伝達関数H(s)の各係数である。自然数Xは数式2の自然数Xと同じ値でも別の値でもよい。
<機械学習装置がモータ制御装置の外部に設けられた変形例>
図11は制御システムの他の構成例を示すブロック図である。図11に示す制御システム10Aが、図1に示した制御システム10と異なる点は、n(nは2以上の自然数)個のモータ制御装置100A−1〜100A−nと、それぞれ加速度センサ300−1〜300−nが取り付けられたn個の工作機械200−1〜200−nとがネットワーク400を介して機械学習装置130A−1〜130A−nが接続されていることである。モータ制御装置100A−1〜100A−nの各々は機械学習部を備えていない点を除き、図1のモータ制御装置100と同じ構成を有している。機械学習装置130A−1〜130A−nは図6に示した機械学習部130と同じ構成を有している。
上述した実施形態では、モータ制御装置100A−1〜100A−n及び加速度センサ300−1〜300−nと、機械学習装置130A−1〜130A−nとはそれぞれ1対1の組とされて通信可能に接続されているが、例えば1台の機械学習装置が複数のモータ制御装置及び複数の加速度センサとネットワーク400を介して通信可能に接続され、各モータ制御装置と各工作機械の機械学習を実施するようにしてもよい。
その際、1台の機械学習装置の各機能を、適宜複数のサーバに分散する、分散処理システムとしてもよい。また、クラウド上で仮想サーバ機能等を利用して、1台の機械学習装置の各機能を実現してもよい。
100、100A−1〜100A−n モータ制御装置
110 フィルタ
120 サーボ制御部
121 減算器
122 位置制御部
123 加算器
124 位置フィードフォワード部
125 減算器
126 速度制御部
127 サーボモータ
128 ロータリーエンコーダ
129 積分器
130 機械学習部
130A−1〜130A−n 機械学習装置
131 状態情報取得部
132 学習部
133 行動情報出力部
134 価値関数記憶部
135 最適化行動情報出力部
200、200−1〜200−n 工作機械
300 加速度センサ
400 ネットワーク
Claims (9)
- モータの回転を制御するモータ制御装置に設けられたフィルタの係数を、前記モータ制御装置の外に設けられた外部測定器の測定情報と前記モータ制御装置に入力される制御指令とに基づいて最適化する機械学習を行う機械学習装置。
- 前記外部測定器の測定情報は、位置、速度、加速度のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の機械学習装置。
- 前記モータ制御装置は、位置フィードバックループ及び速度フィードバックループの少なくとも一つを有し、前記フィルタは前記位置フィードバックループ又は前記速度フィードバックループの外にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の機械学習装置。
- 前記モータ制御装置は、フィードバックループを有し、前記外部測定器の測定情報は前記フィードバックループのフィードバック制御に使わないことを特徴とする請求項1又は2に記載の機械学習装置。
- 前記外部測定器は機械学習による前記フィルタの調整後に取り外されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の機械学習装置。
- 前記測定情報と、前記制御指令と、前記フィルタの係数と、を含む状態情報を取得する状態情報取得部と、
前記状態情報に含まれる前記係数の調整情報を含む行動情報を前記フィルタに出力する行動情報出力部と、
前記測定情報と前記制御指令と差に基づく評価関数を用いた、強化学習における報酬の値を出力する報酬出力部と、
前記報酬出力部により出力される報酬の値と、前記状態情報と、前記行動情報とに基づいて行動価値関数を更新する価値関数更新部と、
を備えた請求項1から5のいずれか1項に記載の機械学習装置。 - 前記価値関数更新部により更新された価値関数に基づいて、前記係数の調整情報を出力する最適化行動情報出力部を備えた請求項6に記載の機械学習装置。
- 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の機械学習装置、モータ、及びフィルタを含み、前記モータの回転を制御するモータ制御装置と、
前記モータ制御装置の外に設けられた外部測定器と、
を備えた制御システム。 - モータの回転を制御するモータ制御装置に設けられたフィルタの係数と、前記モータ制御装置の外に設けられた外部測定器の測定情報と、前記モータ制御装置に入力される制御指令とを取得し、前記測定情報と前記制御指令とに基づいて前記係数を最適化する機械学習を行う、機械学習装置の機械学習方法。
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