ヘルメットの内装体係止装置の概要について説明する。図2に示すように、ヘルメット1の内装体係止装置50は、ヘルメット本体10に内装体3を装着するものであって、ハンモック5装着用の外側差込部材51と、外側差込部材51の内側に配置される、耳あご紐7装着用の内側差込部材81とからなる。図5に示すように、外側差込部材51は、一対の弾性係止部材66,67を有する。一対の弾性係止部材66,67は、図1,3に示すように、ヘルメット本体10の縁部10a付近内面に形成された一対の係止凸部20,40間に外側差込部材51を差し込むことによって一対の係止凸部20,40に係止される一対の係止部(係止爪)72,73と、一対の係止部72,73を素材の弾性に抗して一対の係止凸部20,40の係止位置から非係止位置に移動させて係止を解除する一対の操作部77,78とが形成されている。
内側差込部材81は、図1,8に示すように、ヘルメット本体10の一対の係止凸部20,40に一対の係止部72,73が係止された外側差込部材51の内側に押し込んで配置された時に、ヘルメット本体10の縁部10a付近内面に形成された係止突起25に係止される弾性係止片91を有する。前記一対の弾性係止部材66,67の少なくとも一方には、図1,5に示すように、前記外側差込部材51の一対の操作部77,78の操作により、前記弾性係止片91を弾性に抗して係止突起25の係止位置から非係止位置に移動させて係止を解除する係止解除部(係止解除突起)75,76が形成されている。
ヘルメット1の内装体係止装置50は、図1に示すように、ハンモック5装着用の外側差込部材51を、ヘルメット本体10の縁部10a付近内面に形成された一対の係止凸部20,40間に差し込むと、一対の弾性係止部材66,67の係止部72,73が一対の係止凸部20,40に係止され、外側差込部材51を一対の係止凸部20,40間の所定位置でヘルメット本体10に取り付けることができる。ヘルメット1の内装体係止装置50は、図17に示すように、一対の操作部77,78を操作すると、一対の係止部72,73が素材の弾性に抗して一対の係止凸部20,40の係止位置から非係止位置に移動し、一対の係止部72,73の係止が解除され、外側差込部材51をヘルメット本体10から取り出すことができる。このようにして、ヘルメット1の内装体係止装置50は、ハンモック5をヘルメット本体10に着脱することができる。
ヘルメット1の内装体係止装置50は、図1に示すように、ハンモック5装着用の外側差込部材51の内側に耳あご紐7装着用の内側差込部材81を配置することができる。ヘルメットの内装体係止装置50は、図13に示すように、ヘルメット本体10の一対の係止凸部20,40間に差し込み係止された外側差込部材51の内側に、内側差込部材81を配置すると、図1に示すように、ヘルメット本体10の縁部10a付近内面に形成された係止突起25に内側差込部材81の弾性係止片91が係止され、内側差込部材81を外側差込部材51の内側に配置された位置でヘルメット本体10に取り付けることができる。
ヘルメットの内装体係止装置50は、図16に示すように、外側差込部材51の一対の操作部77,78を操作すると、係止解除部75,76が内側差込部材81の弾性係止片91を弾性に抗して係止突起25の係止位置から非係止位置に移動させ、弾性係止片91の係止を解除して、内側差込部材81をヘルメット本体10から取り出すことができる。このようにして、ヘルメット1の内装体係止装置50は、耳あご紐7をヘルメット本体10に着脱することができる。即ち、ヘルメット1の内装体係止装置50は、外側差込部材51の一対の操作部77,78を操作すると、外側差込部材51と内側差込部材81がヘルメット本体10から外れ、ハンモック5と耳あご紐7をヘルメット本体10から取り外すことができる。
ヘルメット1の内装体係止装置50は、図1に示すように、ハンモック5装着用の外側差込部材51の一対の係止部72,73をヘルメット本体10の一対の係止凸部20,40に係止させ、耳あご紐7装着用の内側差込部材81の弾性係止片91をヘルメット本体10の係止突起25に係止させて、内装体3がヘルメット本体10に取り付けられている。ヘルメット1の内装体係止装置50は、一対の係止凸部20,40の少なくとも一方が破損又は変形して外側差込部材51の係止部72又は73が外れても、内側差込部材81が係止突起25から外れることはないので、内側差込部材81がヘルメット本体10に係止されていれば、外側差込部材51がヘルメット本体10から外れることはない。従って、ヘルメット1の内装体係止装置50は、保護機能が大幅に向上している。
ヘルメット1の内装体係止装置50は、外側差込部材51の一対の操作部77,78を操作して、外側差込部材51と内側差込部材81の係止を解除でき、ヘルメット本体10から外側差込部材51と内側差込部材81を略同時に取り外すことができるので、脱着が極めて簡単に行うことができる。このように、ヘルメット1の内装体係止装置50は、内装体3とヘルメット本体10の保持性を向上させ、かつ、簡易な操作で着脱可能な構成となっている。
ヘルメット1の内装体係止装置50は、図8、9に示すように、前記内側差込部材81の弾性係止片91の両側に、前記外側差込部材51の一対の弾性係止部材66,67に形成された係止解除部75,76が当接する傾斜ガイド面101,102が形成されている。当該傾斜ガイド面101,102は、前記外側差込部材51の一対の操作部77,78の操作により、係止解除部75,76に押圧され、弾性係止片91を係止位置から非係止位置に移動させ、且つ、内側差込部材81を外側差込部材51から引き抜く方向に移動させる形状に形成されている。
ヘルメット1の内装体係止装置50は、一対の弾性係止部材66,67の係止部72,73がヘルメット本体10の一対の係止凸部20,40に係止されて、ハンモック装着用の外側差込部材51がヘルメット本体10に取り付けられる。また、外側差込部材51の内側に配置され、弾性係止片91がヘルメット本体10の係止突起25に係止されて、耳あご紐装着用の内側差込部材81がヘルメット本体10に取り付けられる。
ヘルメット1の内装体係止装置50は、外側差込部材51の一対の操作部77,78を操作すると、一対の係止解除部75,76が内側差込部材81の弾性係止片91の傾斜ガイド面101,102と当接し、弾性係止片91を弾性に抗して係止突起25の係止位置から非係止位置に移動させ、且つ、内側差込部材81を外側差込部材51から引き抜く方向に移動させる。ヘルメット1の内装体係止装置50は、弾性係止片91の係止を解除しながら内側差込部材81をヘルメット本体10から引き抜くので、内側差込部材81を容易に取り出すことができ、ヘルメット本体10から耳あご紐7を簡単に取り外すことができる。
ヘルメット1の内装体係止装置50は、前記内側差込部材81の両側に、前記外側差込部材51の一対の弾性係止部材66,67に形成された操作部77,78が当接する当接縁84c,84dが形成されている。当該当接縁84c,84dは、前記外側差込部材51の一対の操作部77,78の操作により、操作部77,78に当接し、内側差込部材81を外側差込部材51から引き出す方向に移動させる形状に形成されている。
ヘルメット1の内装体係止装置50は、外側差込部材51の一対の操作部77,78を操作すると、一対の係止解除部75,76が内側差込部材81の弾性係止片91を弾性に抗して係止突起25の係止位置から非係止位置に移動させ、且つ、操作部77,78が内側差込部材81の当接縁84c,84dに当接し、内側差込部材81を外側差込部材51から引き出す方向に移動させる。ヘルメット1の内装体係止装置50は、弾性係止片91の係止を解除しながら内側差込部材81をヘルメット本体10から引き出すので、内側差込部材81を容易に取り出すことができ、ヘルメット本体10から耳あご紐7を簡単に取り外すことができる。
さらに、ヘルメットの内装体係止装置について、詳細に説明する。まず、ヘルメット1について説明する。ヘルメット1は、図1,2に示すように、ヘルメット本体10と、ヘルメット本体10に取り付けられる内装体3とからなる。内装体3は、衝撃を吸収する機能を持つハンモック5と、ヘルメット1を頭部に装着するためのヘッドバンド6と、ヘルメット1が着用者の頭部から脱落することを防止するための耳あご紐7とからなっている。ヘルメット本体10は、この内装体3を取り付ける内装体係止装置50を有する。
図2に示すように、ヘルメット本体10の外周縁10a近傍の内面には、内装体係止装置50を着脱可能に挿着する取付部11が形成されている。この取付部11は、ヘルメット本体10の周囲4カ所に設けられている。取付部11は、図3,4に示すように、所定間隔開けて形成された一対のガイド部12,32と、係止突起25とからなる。ちなみに、図3は、ヘルメット本体10の構成を外側から視た透視斜視図である。ガイド部12,32は、前部ガイド壁15,35と、後部ガイド壁16,36と、上壁17,37とで形成されている。
図4に示すように、前部ガイド壁15,35は、前壁13,33と側壁14,34によって略L字状に形成されている。後部ガイド壁16,36は、前壁13,33の先端ガイド縁13a,33aの後部であって、先端ガイド縁13a,33aと略平行に形成されている。上壁17,37は、前部ガイド壁15,35と後部ガイド壁16,36の上端に形成されている。前部ガイド壁15,35の前壁13,33と後部ガイド壁16,36の間には、ガイド溝18,38が形成されている。
一対の後部ガイド壁16,36の対向する面(内面)の下端には、係止凸部20,40が設けられている。係止凸部20,40は、矩形体状に形成され、前面側にガイド面21,41が設けられている。左側のガイド部12の上壁17の略中央には、側壁14と略平行の規制片22が形成されている。右側のガイド部32の上壁37の略中央には、側壁34と略平行の規制片42が形成されている。規制片22,42は、側壁14,34の略半分の長さとなっている。また係止突起25は、一対の係止凸部20,40の略中央に突設形成されている。係止突起25は、矩形体状に形成され、下方から上方に向かって前面側に肉厚となる傾斜ガイド面26が形成されている。
次に内装体係止装置について説明する。内装体係止装置50は、図1に示すように、ハンモック(ハンモックベルト)5及びヘッドバンド6装着用の外側差込部材(第1の差込片)51と、耳あご紐7装着用の内側差込部材(第2の差込片)81とからなる。外側差込部材51は、図5乃至7に示すように、合成樹脂により一体成形され、装着板52と差込板62とで構成されている。装着板52は、平板状に形成され、上部にヘッドバンド6を取り付けるバンド取付部53が設けられ、下部にハンモック5を取り付けるベルト取付部55が設けられている。バンド取付部53には、合成樹脂で形成されたヘッドバンド6を係止する係止孔54が複数形成されている。ベルト取付部55には、ハンモック5の幅と略同幅の、ハンモック5を挿通する一対の挿通口56,57が形成されている。
外側差込部材51の差込板62は、平板状に形成され、前記装着板52の下端後面に上端前部が一体的に連設されて形成されている。差込板62の前面には、装着板52の後面にまで連続するガイド壁63,64が両側に形成されている。ガイド壁63と64の間の長さは、前記した取付部11の前壁13の先端ガイド縁13aと前壁33の先端ガイド縁33a間と略同じであり、図14に示すように、左側のガイド壁63が先端ガイド縁13aに案内され、右側のガイド壁64が先端ガイド縁33aに案内される。差込板62の下部両側には、阻止片65a,65bが形成されている。
図5に示すように、差込板62の後面には、一対の弾性係止部材66,67が設けられている。差込板62の後面上部には、ストッパー片65が形成されている。前記一対の弾性係止部材66,67は、上端がストッパー片65に一体的に連結成形された係止杆68,69と、係止杆68,69の下端に略直角に形成された操作杆70,71とからなる。係止杆68は、一方の側(図5右側)に係止爪72が形成され、他方の側(図5左側)に係止解除突起75が形成されている。また、係止杆69は、一方の側(図5右側)に係止解除突起76が形成され、他方の側(図5左側)に係止爪73が形成されている。このように、係止杆68,69は、外側に係止爪(係止部)72,73が形成され、内側に係止解除突起(係止解除部)75,76が形成されている。また、操作杆70,71は、係止杆68,69の外側に屈曲しており、端部に操作片77,78が形成されている。
図7に示すように、一対の弾性係止部材66,67は、差込板62と略平行に配置され、差込板62側の面(前面)が平坦となっており、当該平坦面66a,67aと差込板62の後面のと間に収納スペース79が形成されている。操作片77,78は、操作杆70,71と略直角の摘み部77a,78aと、差込板62の前面と略平行の案内部77b,78bとで略L字状に形成されている。前記摘み部77a,78aは差込板62の阻止片65a,65bの外側に位置し、案内部77b,78bは阻止片65a,65bの前側に位置する。
耳あご紐装着用の内側差込部材81は、図8,9に示すように、平板状に形成され、差込本体82と、差込本体82の下端部に形成された装着板83とからなる。装着板83には、耳あご紐7を連結するための連結口85が形成されている。装着板83は、差込本体82より幅広に形成され、図8において、左側に傾斜ガイド縁84aと当接縁84cが形成され、右側に傾斜ガイド縁84bと当接縁84dが形成されている。傾斜ガイド縁84a,84bは、上部が差込本体82の下端82a,82bにそれぞれ接続され、この上部から下部に向かって幅広くなるように形成されている。また、当接縁84c,84dは、上部が傾斜ガイド縁84a,84bの下部に接続され、この上部から下部に向かってさらに幅広くなるように形成されている。
差込本体82は、略コ字状の切り欠き86によって形成された弾性係止片91を有する。弾性係止片91は、上端縁91aが差込本体82に接続されており、差込本体82の後面82d側に突出形成されている。この弾性係止片91は、中央部の上下方向に向かって形成されたスライド部92と、スライド部92の左右両側に設けられたガイド部93,96とからなる。スライド部92の後面には、上端縁91aから下端縁91bに向かって後方に傾斜するスライド傾斜面92aが形成されている。
ガイド部93,96は、外側面に第1の傾斜面94,97が形成されている。第1の傾斜面94,97は、前端縁94a,97aを底辺として、後端縁中央94b,97bを頂点とした略三角形状に形成されている。第1の傾斜面94,97は、前端縁94a,97aから後端縁中央94b,97bに向かって面が互いに近付くように傾斜している。即ち、第1の傾斜面94,97は、前端縁94a,97aが外側に位置し、後端縁中央94b,97bが内側に位置し、面が外側の前端縁94a,97aから内側の後端縁中央94b,97bに向かって傾斜している。また、ガイド部93,96は、後面に上端縁91aから後端縁中央94b,97bに向かって後方に傾斜する第2の傾斜面95,98が形成されている。また、ガイド部93,96は、第2の傾斜面95,98の下側に平坦面99,100が設けられている。
また、前記平坦面99,100の外側には、傾斜ガイド面101,102が形成されている。傾斜ガイド面101,102は、前記第1の傾斜面94,97を形成する下側の稜線94c,97cから平坦面99,100に向かって内側に近付くように傾斜し、平坦面99,100と交差する。傾斜ガイド面101,102は、平坦面99,100と交差する稜線101a,102aと、稜線101a,102aの下端と、前記第1の傾斜面94,97の稜線94c,97cの下端を結ぶ稜線101b,102bとを有する。従って、傾斜ガイド面101,102は、稜線101a,102aと、稜線94c,97cと、稜線101b,102bによって略三角形状に形成される。稜線101a,102aは、下端から後端縁中央94b,97bに向かって互いに近付くように(外側から内側に向かって)傾斜し、稜線101b,102bは、前端から後端に向かって互いに近付くように(外側から内側に向かって)傾斜している。そのため、傾斜ガイド面101,102は、外側の下部稜線101b,102bから、内側の後端縁中央94b,97bに向かって傾斜している。
差込本体82の後面82d上端には、一対の逆入れ防止突起85a,85bが形成されている。また、差込本体82の後面82dの左右両側には、ガイド凸条87,88が設けられている。差込本体82の前面82c下部両側には、案内突起89a,89bが形成されている。
ヘルメットの内装体係止装置50は、以上の構成を有し、ヘルメット本体10に以下のように取り付けられる。図10に示すように、内装体係止装置50の外側差込部材51を取付部11の一対のガイド部12,32間に下方から差し込む。図11に示すように、外側差込部材51は、差込板62の左右両側がガイド部12,32のガイド溝18,38に案内され、差込板62の側端部62a,62bがガイド部12,32の規制片22,42にそれぞれ当接し、差込板62の上端62cがガイド部12,32の上壁17,37に当接し、弾性係止部材66,67の係止爪72,73がガイド部12,32の係止凸部20,40に係止する。
係止爪72,73と係止凸部20,40の係止は、次のように行われる。図17(c)に示すように、内装体係止装置50の外側差込部材51を取付部11の一対のガイド部12,32間に下方から差し込むと、弾性係止部材66,67の係止爪72,73がガイド部12,32の係止凸部20,40に接触し、図17(b)に示すように、係止爪72,73が互いに近付くように、弾性係止部材66,67が内側に撓む。図17(a)に示すように、弾性係止部材66,67の係止爪72,73がガイド部12,32の係止凸部20,40を通過すると、弾性復元力により弾性係止部材66,67が元の状態に戻り、係止爪72,73が係止凸部20,40に係止する。
外側差込部材51は、図11に示すように、差込板62の後方への移動が後部ガイド壁16,36によって阻止され、差込板62の前方への移動が前部ガイド壁15,35によって阻止され、差込板62の左方向への移動が規制片22によって案内され、差込板62の右方向への移動が規制片42によって阻止され、差込板62の上方への移動が上壁17,37によって阻止され、差込板62の下方への移動が係止凸部20,40によって阻止され、ヘルメット本体10に安定して装着することができる。なお、図14に示すように、外側差込部材51は、差込板62の前面に形成されたガイド壁63,64が取付部11の前壁13の先端ガイド縁13aと前壁33の先端ガイド縁33aにガイドされている。このようにして、ヘルメット本体10にハンモック5とヘッドバンド6が取り付けられる。
次に、図13に示すように、内装体係止装置50の内側差込部材81を、取付部11に装着した外側差込部材51の収納スペース79内に差し込む。図1に示すように、内側差込部材81は、差込本体82の前面82cが外側差込部材51の差込板62に当接し、差込本体82の後面82dが一対の弾性係止部材66,67の平坦面66a,67aに当接し、差込本体82の側端部82e,82fがガイド部12,32の後部ガイド壁16,36にそれぞれ当接し、差込本体82の上端82gが外側差込部材51のストッパー片65に当接し、差込本体82の弾性係止片91が係止突起25に係止する。前記一対の弾性係止部材66,67の係止解除突起75,76は、図1に示すように、内側差込部材81の弾性係止片91の両側に形成された傾斜ガイド面101,102の下部に当接する。
内側差込部材81は、弾性係止片91がヘルメット本体10の係止突起25側に向くように差し込む。内側差込部材81は、弾性係止片91がヘルメット本体10の係止突起25側に向かないで差し込もうとしても、逆入れ防止突起85a,85bが外側差込部材51の下端62dに当接するので、差し込むことができない。従って、内側差込部材81は、差込方向を間違えることがない。
弾性係止片91と係止突起25の係止は、次のように行われる。内装体係止装置50の内側差込部材81を、ヘルメット本体10の取付部11に装着した外側差込部材51の収納スペース79内に差し込む。弾性係止片91は、スライド傾斜面92aが係止突起25に接触して前方に撓む。弾性係止片91が係止突起25を通過すると、弾性復元力により弾性係止片91が元の状態に戻り、弾性係止片91が係止突起25に係止する。
内側差込部材81は、図1に示すように、差込本体82の後方への移動が一対の弾性係止部材66,67によって阻止され、差込本体82の前方への移動が外側差込部材51の差込板62によって阻止され、差込本体82の左方向への移動が後部ガイド壁16によって阻止され、差込本体82の右方向への移動が後部ガイド壁36によって阻止され、差込本体82の上方への移動がストッパー片65によって阻止され、差込本体82の下方への移動が係止突起25によって阻止され、ヘルメット本体10に安定して装着することができる。このようにして、ヘルメット本体10に耳あご紐7が取り付けられる。
ヘルメットの内装体係止装置50は、ヘルメット本体10から次のようにして取り外すことができる。図16(a)に示すように、操作片77,78の摘み部77a,78aを互いに近付けるように外側差込部材51の弾性係止部材66,67を内側に撓ませる。摘み部77a,78aは、差込板62の阻止片65a,65bに当接するまで撓ませることができる。
図16(b)に示すように、係止解除突起75,76が内側差込部材81の弾性係止片91の傾斜ガイド面101,102を押圧する。弾性係止片91は、前方に撓みながら下方に移動し、係止突起25から外れる。図16(c)に示すように、係止解除突起75,76が弾性係止片91の第1の傾斜面94,97の後端縁中央94b,97bに位置すると、第2の傾斜面95,98により係止解除突起75,76が第1の傾斜面94,97から外れ、内側差込部材81が外側差込部材51から飛び出る。図16(d)に示すように、摘み部77a,78aが内側差込部材81の当接縁84c,84d及び/又は傾斜ガイド縁84a,84bに当接し、内側差込部材81を外側差込部材51から引き出す。このようにして、ヘルメット本体10から内側差込部材81を取り外すことができる。
次に、図17(a)に示すように、操作片77,78の摘み部77a,78aを互いに近付けるように外側差込部材51の弾性係止部材66,67を内側に撓ませる。図17(b)に示すように、係止爪72,73が係止凸部20,40から外れる。図17(c)に示すように、外側差込部材51をヘルメット本体10の取付部11から引き出す。このようにして、ヘルメット本体10から外側差込部材51を取り外すことができる。
上記説明では、ヘルメットの内装体係止装置50は、内側差込部材81をヘルメット本体10から取り外してから、次に外側差込部材51をヘルメット本体10から取り外した。しかし、操作片77,78の摘み部77a,78aを互いに近付けるようにして、略同時に内側差込部材81と外側差込部材51をヘルメット本体10から取り外すこともできる。なお、ヘルメットの内装体係止装置50は、内側差込部材81がヘルメット本体10に取り付けられた状態で、外側差込部材51のみをヘルメット本体10から取り外すことができない。外側差込部材51は、係止凸部20,40に係止してヘルメット本体10に取り付けられ、内側差込部材81は係止突起25に係止してヘルメット本体10に取り付けられている。外側差込部材51は、係止凸部20,40の少なくとも一方が破損若しくは変形して、係止が解除されたとしても、内側差込部材81が係止突起25に係止されているので、ヘルメット本体10から外れてしまうことがない。
次に、図18〜22を参照して、本発明に係る内装体係止装置50の第2の実施例について説明する。なお、上述した第1の実施例と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図18,19の姿勢を基準として、「上」、「下」、「左」及び「右」というものとし、ヘルメット本体10の内側を「前」、外側を「後」というものとする。
図18は、本発明の第2実施例に係る内側差込部材181の斜視図である。内側差込部材181は、第1実施例の内側差込部材81と基本的に同一の構成であり、弾性係止片91を有する差込本体82と、差込本体82の下方に位置し幅広に形成された装着板83と、からなる。内側差込部材181は、互いに平行をなす上端82g及び下端84eと、上端82g及び下端84eと直交する一対の側端部82e,82fと、側端部82e,82fと下端84eとの間にそれぞれ形成された傾斜ガイド縁84a,84b及び当接縁84c,84dと、を有する。
差込本体82の後面82dには、側端部82e,82fに沿ってガイド凸条87,88がそれぞれ突設されている。ガイド凸条87,88は、上端82gから下方に所定の間隔を隔てた位置から差込本体82の下端82a,82b(図8参照)まで延びている。さらに、本実施例では、ガイド凸条87,88に連続して、装着板83の後面83aに第2ガイド凸条126,127及び第3ガイド凸条128,129がそれぞれ突設されている。第2ガイド凸条126,127は、傾斜ガイド縁84a,84bに沿ってそれぞれ突設されている。第3ガイド凸条128,129は、当接縁84c,84dに沿ってそれぞれ突設されているとともに、下端84eの両端部に沿って部分的にそれぞれ突設されている。ガイド凸条87,88、第2ガイド凸条126,127及び第3ガイド凸条128,129は、同一の厚さを有している。
さらに、ガイド凸条87,88の下端と第2ガイド凸条126,127の上端とに亘って凸片130,131(第1の係合部)がそれぞれ突設されている。各々の凸片130,131は、側端部82e,82f及び傾斜ガイド縁84a,84bから外側に突出しており、上端82gと平行をなす上端部136と、この上端部136と直交する側端部137と、を有している。各々の凸片130,131は、ガイド凸条87,88,126,127,128,129の略半分の厚さを有している(図22参照)。凸片130,131は、内側差込部材181の前後方向及び上方への移動を抑制するように、後述する取付部111の係合溝142,143内に収容される。
さらに、内側差込部材181は、図18に示すように、上端82gの両端部にそれぞれ突設された突起部138,139を有する。突起部138,139は、内側差込部材181を外側差込部材51内に挿入して上端82gがストッパー片65に当接したときに、ストッパー片65の両端部を側方から挟み込むように、上端82gから所定の高さに亘って延在している。
次に、図19,20を参照して、本発明の第2実施例にかかる取付部111について説明する。図19は、取付部111の斜視図であり、図20は、取付部111の底面図である。ヘルメット本体10に設けられた取付部111は、第1実施例の取付部11と基本的に同一の構成であり、前部ガイド壁15,35と、後部ガイド壁16,36と、上壁17,37と、からそれぞれ形成された一対のガイド部12,32を有している。前部ガイド壁15,35は、前壁13,33をそれぞれ有している。後部ガイド壁16,36の下端16a,36aには、係止凸部20,40がそれぞれ設けられている。各々の係止凸部20,40は、矩形体状をなしており、後部ガイド壁16,36から内側、すなわち対向する他方の係止凸部20,40に向けて突出している。係止凸部20,40は、前壁13,33と略平行をなすガイド面21,41を前面側に有している。
さらに、後部ガイド壁16,36の下端16a,36aには、内側差込部材181の凸片130,131をそれぞれ受ける係合溝142,143(第2の係合部)が、係止凸部20,40に沿ってそれぞれ形成されている。図19に示すように、係合溝142,143は、所定の高さに亘って下端16a,36aから上方に向けて延びている。係合溝142,143の上下方向の寸法は、凸片130,131の上下方向の寸法に対応するように設定されている。また、係合溝142,143の前後方向の寸法は、凸片130,131の前後方向の寸法すなわち厚さに対応するように設定されている。図20に示すように、各々の係合溝142,143は、上壁17,37とそれぞれ平行をなす底面すなわち当接面142a,143aをそれぞれ有している。当接面142a,143aは、内側差込部材181を取付部111に対して取り付けたときに、凸片130,131の上端部136が当接する面である。また、係合溝142,143の一方の内側面は、係止凸部20,40のガイド面21,41と連続している。
さらに、図19に示すように、本実施例では、前壁13,33と、ヘルメット本体10との間に形成された規制片22,42は、第1実施例(図3参照)の規制片22,42と比べて長くなっており、差込板62の側端部62a,62bがより広範囲にわたって規制片22,42に当接するように、前壁13,33の下端近傍まで延びている。
また、ヘルメット本体10において、上壁17,37の上方には、後方(ヘルメット本体10の外側)に向けた外側差込部材51(特に装着板52)の移動を抑制する一対の凸部146,147が突設されている。凸部146,147は、外側差込部材51のガイド壁63,64にそれぞれ対応するように所定の間隔を隔てて互いに離間しており、外側差込部材51を取付部111に対して取り付けたときに、ガイド壁63,64にそれぞれ当接する位置に設けられている。
次に、図21,22を参照して、取付部111に対する内側差込部材181の取り付けについて説明する。図21は、本発明の第2実施例に係る内側差込部材181及び取付部111の正面図であり、両者の関係を明確にするために外側差込部材51を省略して示している。図22は、図21の線A−Aに沿った内側差込部材181及び取付部111の断面図である。
まず、第1実施例と同様に、取付部111に外側差込部材51を取り付ける。次いで、上端82gが外側差込部材51のストッパー片65に当接するまで、内側差込部材181を外側差込部材51に差し込む。このとき、凸片130,131は、取付部111の係合溝142,143内に収容され、凸片130,131の上端部136が係合溝142,143の当接面142a,143aに当接する。
このように、本実施例によれば、取付部111に係合溝142,143を形成し、内側差込部材181に凸片130,131を突設したことにより、内側差込部材181を取付部111に対して取り付けたときに、凸片130,131が係合溝142,143と係合するため、内側差込部材181の前後方向及び上方への移動が抑制される。従って、内側差込部材181ひいては耳あご紐7を取付部111すなわちヘルメット本体10に確実に保持することができる。
さらに、本実施例によれば、内側差込部材181の上端82gに突起部138,139を設けたことにより、内側差込部材181を外側差込部材51に対して取り付けたときに、内側差込部材181の左右方向への移動を抑制することができる。
また、本実施例によれば、規制片22,42を前壁13,33の下端近傍まで延長させたことにより、差込板62の側端部62a,62bがより広範囲にわたって規制片22,42に当接する。したがって、内装体係止装置50を取付部111に対して取り付けたときに、外側差込部材51ひいては内側差込部材181の左右方向への移動を抑制することができる。
さらに、ヘルメット本体10に一対の凸部146,147を突設したことにより、内装体係止装置50を取付部111に対して取り付けたときに、外側差込部材51ひいては内側差込部材181のヘルメット本体10の外側への移動を抑制することができる。