JP6870581B2 - 射出圧縮成形品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、射出圧縮成形品の製造方法に関する。
金型内に溶融樹脂を射出して樹脂成形品を製造する方法の1つとして、射出圧縮成形方法がある。射出圧縮成形方法は、金型開き工程、射出工程、圧縮工程、冷却工程と、を有している。金型開き工程では、規定間隔よりも少し大きな間隔をあけて金型が保持される。射出工程では、金型の間隔に溶融樹脂が射出される。圧縮工程では、金型の間隔が規定間隔となるように金型に全体圧力が付与される。冷却工程では、金型に全体圧力が付与された状態で金型が冷却され、冷却が完了後、金型が開かれて射出圧縮成形品が取り出される。
以下、図11〜図16の例に示す金型201、202の断面図を用いて、従来の射出圧縮成形方法の冷却工程における溶融樹脂の固化の様子の例について説明する。図11は、金型開き工程にて間隔203が形成された金型201、202の全体の断面を示しており、領域A201において、薄肉領域A211の間隔D211は狭く(樹脂の板厚が薄い)、厚肉領域A212の間隔D212は広い(樹脂の板厚が厚い)状態である例を示している。そして射出工程にて間隔203に溶融樹脂を射出し、圧縮工程にて、金型201と金型202との間隔D200が規定間隔となるように金型201、202に全体圧力P200を付与する。そして全体圧力P200が付与された状態で、金型を徐々に冷却する冷却工程が開始される。なお、図12〜図16は、図11における領域A201の拡大図を示している。
図12の例は、冷却工程の開始時点の状態を示している。金型201と金型202との間隔203には溶融した樹脂が充填されており、冷却工程の開始時点では、この樹脂は流動する溶融層211のみである。冷却工程の開始時点では、薄肉領域A211内の樹脂と厚肉領域A212内の樹脂は、どちらも溶融層211のみである。
図13の例は、図12の状態から冷却工程が進行した状態を示しており、金型201、202に接触している樹脂が硬化して薄い固化層212が形成されている。図13の例では、薄肉領域A211内の樹脂と厚肉領域A212内の樹脂は、どちらも溶融層211が、金型201の表面に対向している固化層212と金型202の表面に対向している固化層212に挟まれている。
図14の例は、図13の状態からさらに冷却工程が進行した状態を示しており、固化層212が板厚方向に成長して厚くなった状態を示している。図14に示す例では、薄肉領域A211では溶融層211が無くなり、厚肉領域A212では溶融層211が残っている状態を示している。
図15の例は、図14の状態からさらに冷却工程が進行した状態を示しており、薄肉領域A211及び厚肉領域A212の双方から溶融層211が無くなり、固化層212のみとなった、冷却工程が終了した状態を示している。この後、金型201と金型202が開かれて、固化層212のみとなった射出圧縮成形品が取り出される。
このように冷却工程では、流動体の溶融層211が徐々に薄くなっていき、冷却工程が終了した時点では、溶融層211がなくなり、固化層212のみとなる。なお、射出圧縮成形品の板厚が均一であれば、射出圧縮成形品のいずれの領域の溶融層211も、ほぼ同じタイミングで薄くなっていき、やがて無くなる。しかし、射出圧縮成形品の板厚の差が比較的大きい場合、冷却工程の途中において、図14の例に示すように、板厚が薄い薄肉領域A211では固化層212が充填されて溶融層211が無くなったが、板厚が厚い厚肉領域A212では固化層212に挟まれた比較的厚い溶融層211が残っている期間が存在する場合がある。このとき、板厚が薄い薄肉領域A211では、金型の間隔に充填されている固化層212に圧力が集中し、金型表面と固化層が接触している状態が維持されて冷却が進行し、金型の表面に沿った見栄えの良い表面状態となる。しかし、図16の例に示すように、板厚が厚い厚肉領域A212では、流動体である溶融層211の樹脂が周囲に移動して溶融層211が薄くなったり、冷却により樹脂が収縮したりして、金型201、202の表面から固化層212が離間し、固化層212の表面と金型201、202の表面との間に空間213が形成された状態で冷却が進行する場合がある。この場合、固化層212の表面が金型201、202の表面から離間しているため、固化層212の表面(すなわち、射出圧縮成形品の表面)が、見栄えの良くない表面状態となる場合がある。例えば、射出圧縮成形品が透明な樹脂ウィンドウの場合、上述した見栄えの良くない表面状態となった際には、樹脂ウィンドウ越しに、樹脂ウィンドウに対して斜め方向から景色を見たとき、景色が波打つように見える場合がある。
上述した冷却工程における固化層と金型との離間を回避するために、例えば特許文献1には、図17、図18に示す合成樹脂成形品の製造方法が開示されている。この製造方法では、まず、金型111、112のキャビティ102を規定容積よりも少し拡げておき、キャビティ102内にゲート103から溶融した樹脂を注入し、図17に示すようにキャビティ102を規定容積に縮小させるように金型111と金型112に全体圧力を付与してキャビティ102の全体に樹脂を行き渡らせている。その後、図18に示すように可動部104を上方に可動させてキャビティ102内の樹脂に圧力をかけて成形を完了させている。つまり、金型111と金型112に付与した全体圧力とは異なる圧力を、可動部104を用いて厚肉領域に付与することで、厚肉領域において樹脂の固化層と金型とが離間することを回避している。
特開昭61−116519号公報
特許文献1に記載の合成樹脂成形品の製造方法では、図18に示すように、可動部104を用いてキャビティ102内の樹脂に圧力をかけているが、可動部104と金型112との境界部にて合成樹脂成形品の表面に段差等が形成され易く、合成樹脂成形品の表面の見栄えが良くない可能性がある。例えば、可動部104にて圧力が付与される領域が透明な樹脂ウィンドウである場合、段差等が形成されてしまうと見栄えが良くないので好ましくない。また、金型の構造が複雑になることも好ましくない。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、板厚が均一でなく領域によって板厚の差が比較的大きな射出圧縮成形品であっても、見栄えの良い射出圧縮成形品を得ることができる、射出圧縮成形品の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の第1の発明は、射出圧縮成形品の製造方法であって、予め設定された規定間隔よりも大きな間隔で金型を保持する金型開き工程と、前記金型の間隔に溶融樹脂を射出する射出工程と、前記金型の間隔が前記規定間隔となるように前記金型に全体圧力を付与する全体圧縮工程と、前記射出圧縮成形品の板厚が周囲の板厚よりも厚くなる領域である厚肉領域に、前記金型に付与する前記全体圧力とは別の圧力である部分圧力を、前記金型の一部を前記金型の間隔の方向に移動させることなく付与する部分圧力付与工程と、前記全体圧力と前記部分圧力とを付与した状態で前記金型を冷却する冷却工程と、を有する、射出圧縮成形品の製造方法である。
本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係る射出圧縮成形品の製造方法であって、前記部分圧力を、前記射出工程において前記溶融樹脂が射出される射出口であるゲートにおける前記厚肉領域に配置されているゲートから前記溶融樹脂を所定圧力で前記金型の間隔に吐出する力によって付与する、射出圧縮成形品の製造方法である。
本発明の第3の発明は、上記第1の発明または第2の発明に係る射出圧縮成形品の製造方法であって、前記溶融樹脂は、透明である、射出圧縮成形品の製造方法である。
本発明の第4の発明は、上記第1の発明〜第3の発明のいずれか1つに係る射出圧縮成形品の製造方法であって、前記射出圧縮成形品は、車両のバックウィンドウと、当該バックウィンドウの周囲の少なくとも一部と、を含み、前記厚肉領域は、透明な前記バックウィンドウである、射出圧縮成形品の製造方法である。
第1の発明によれば、冷却工程において、金型に付与する全体圧力とは異なる部分圧力を、厚肉領域に付与することで、厚肉領域の固化層が金型表面から離間することを防止することができる。従って、板厚が均一でなく領域によって板厚の差が比較的大きな射出圧縮成形品であっても、見栄えの良い射出圧縮成形品を得ることができる。また、金型の一部を金型の間隔の方向に移動させることなく部分圧力を付与するので、厚肉領域に段差等が形成されることを防止可能であり、見栄えの良い射出圧縮成形品を得ることができる。
第2の発明によれば、厚肉領域に配置されているゲートから、金型の間隔に所定圧力にて溶融樹脂を吐出する力によって、部分圧力を付与する。これにより、厚肉領域内の溶融層に圧力を付与できるので、厚肉領域の固化層が金型表面から離間することを適切に防止することができる。また、金型の一部を金型の間隔の方向に移動させることなく部分圧力を付与するので、厚肉領域に段差等が形成されることを防止可能であり、見栄えの良い射出圧縮成形品を得ることができる。
第3の発明によれば、例えば、射出圧縮成形品が透明な樹脂ウィンドウであっても、見栄えの良い射出圧縮成形品を得ることができる。
第4の発明によれば、厚肉領域が車両のバックウィンドウ(透明)であっても、見栄えの良い射出圧縮成形品を得ることができる。
本発明の射出圧縮成形品の製造方法にて製造した射出圧縮成形品の例を説明する図である。 本発明の射出圧縮成形品の製造方法の各工程を説明するフローチャートである。 金型開き工程を説明する金型(中央部)の断面図である。 射出工程を説明する金型(中央部)の断面図である。 全体圧縮工程を説明する金型(中央部)の断面図である。 部分圧力付与工程を説明する金型(中央部)の断面図である。 冷却工程を説明する金型(中央部)の断面図である。 冷却工程の開始時点における樹脂の状態を説明する断面図である。 冷却工程の中間時点における樹脂の状態を説明する断面図である。 冷却工程の終了時点における樹脂の状態を説明する断面図である。 従来の射出圧縮成形品の製造方法を説明する金型(中央部)の断面図である。 従来の射出圧縮成形品の製造方法の冷却工程の開始時点における樹脂の状態を説明する断面図である。 図12の状態から冷却工程が進行した状態における樹脂の状態を説明する断面図である。 図13の状態からさらに冷却工程が進行した状態における樹脂の状態を説明する断面図である。 図14の状態からさらに冷却工程が進行した状態における樹脂の状態を説明する断面図である。 図14に示す樹脂の状態において、厚肉領域の固化層が金型表面から離間した状態を説明する断面図である。 従来の合成樹脂成形品の製造方法の例を説明する図である。 従来の合成樹脂成形品の製造方法において、冷却工程にて金型の可動部を上方に移動させ、可動部にて樹脂に部分圧力を付与する様子を説明する図である。
●[射出圧縮成形品の外観(図1)]
以下に本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。図1は、射出圧縮成形品の製造方法を用いて製造した、車両のバックドア40の外観の例を示している。本実施の形態にて説明するバックドア40は、ルーフ部41、スポイラ部42、リア枠部43、リアサイド部44、バックウィンドウ45等を有し、樹脂にて一体成形されているが、バックウィンドウ45と、バックウィンドウ45の周囲の少なくとも一部を有しているものであってもよい。バックウィンドウ45は無色の透明であるが、バックウィンドウ45以外の個所は、例えば塗装等にて不透明な有色部とされている。
図1の例に示すバックドア40を、樹脂にて一体成形された射出圧縮成形品として製造する場合、無色で透明なバックウィンドウ45の領域の板厚が、周囲の領域の板厚よりも厚肉の場合、従来の射出圧縮成形品の製造方法では、図16を用いて上述したように、冷却工程の途中でバックウィンドウ45の固化層が金型表面から離間する場合がある。冷却工程の途中でバックウィンドウ45の固化層が金型表面から離間した場合、バックウィンドウ45の表面状態が、見栄えの良くない状態となる。例えば、バックウィンドウに対して斜め方向からバックウィンドウ越しに周囲の景色を見た場合、景色が波打つように見える場合がある。以下、本実施の形態にて説明する射出圧縮成形品の製造方法にて射出圧縮成形品を製造すれば、上述した見栄えの良くない状態を回避し、見栄えの良い表面状態とされた射出圧縮成形品を、安定的に得ることができる。
●[射出圧縮成形品の製造方法における各工程(図2〜図7)]
図2に示すフローチャートは、本実施の形態の射出圧縮成形品の製造方法における各工程を示している。射出圧縮成形品の製造工程は、金型開き工程S10、射出工程S20、全体圧縮工程S30、部分圧力付与工程S40、冷却工程S50、を有している。以下、各工程の詳細について説明する。
[金型開き工程S10(図3)]
金型開き工程S10では、図3に示すように、予め設定された規定間隔(この場合、図5に示す全体圧縮工程、図6に示す部分圧力付与工程、図7に示す冷却工程、における間隔D2)よりも少し大きな間隔D1で第1金型11、第2金型12が保持される。なお、間隔D1は、適宜設定される。また、通路G1、G2は、次の工程である射出工程にて、第1金型11と第2金型12との間隔Kに溶融樹脂を射出するために、第1金型11に予め形成されている通路である。通路G1における間隔Kへの射出口であるゲートG1A、通路G2における間隔Kへの射出口であるゲートG2Aは、射出圧縮成形品の見栄えに影響を及ぼさない適切な位置に設定されている。本実施の形態の説明では、図8に示すように、ゲートG1Aは、薄肉領域A11に配置されており、ゲートG2Aは、厚肉領域A12に配置されている例にて説明する。
[射出工程S20(図4)]
射出工程S20では、図4に示すように、通路G1を経由させてゲートG1Aから、及び通路G2を経由させてゲートG2Aから、第1金型11と第2金型12との間隔K(キャビティ)に、溶融樹脂20が射出される。なお、第1金型11及び第2金型12は、予め設定された保持温度に保持されている。射出する溶融樹脂20の温度は、例えば、約300[℃]である。また樹脂の材質は、例えばポリカーボネートである。
[全体圧縮工程S30(図5)]
全体圧縮工程S30では、図5に示すように、第1金型11と第2金型12との間隔D2が予め設定された規定間隔となるように、第1金型11と第2金型12に全体圧力P1を付与する。なお、全体圧力P1は、第1金型11と第2金型12の双方を可動体として双方に付与してもよいし、第1金型11を固定して第2金型12を可動体として第2金型12に付与してもよいし、第2金型12を固定して第1金型11を可動体として第1金型11に付与してもよい。第1金型11と第2金型12の間隔を間隔D2(間隔D2<間隔D1)とすることで、間隔K内に射出された溶融樹脂を押しつぶし、間隔K内に溶融樹脂を均一に行き渡らせるとともに、溶融樹脂を間隔K内に充填させる。全体圧縮工程において間隔K内の樹脂は、溶融状態の溶融層21のみであり、硬化した固化層を有していない。
[部分圧力付与工程S40(図6)]
部分圧力付与工程S40では、図6に示すように、射出圧縮成形品の板厚が周囲の板厚よりも厚くなる領域である厚肉領域A12(図8参照)に、第1金型11及び第2金型12に付与する全体圧力P1とは別の圧力である部分圧力P2を、第1金型11または第2金型12の一部を間隔Kの方向に移動させることなく付与する。この場合、図6に示すように、通路G2に所定圧力(この場合、部分圧力P2)の溶融樹脂20を供給する。これにより、図8に示すように、厚肉領域A12に配置されているゲートG2Aから、溶融樹脂が間隔K内に吐出される力によって、部分圧力P2が間隔K内の溶融樹脂に付与される。厚肉領域に配置されているゲートから吐出する溶融樹脂にて部分圧力を付与するために、冷却工程の終了の直前まで溶融層21(図8、図9参照)が残っている個所にゲートが配置されていることが好ましい。なお、部分圧力P2の値は、適宜設定される。
[冷却工程S50(図7)]
冷却工程S50では、図7に示すように、全体圧力P1と部分圧力P2が付与されている状態を維持しながら、第1金型11と第2金型12の温度が、保持温度から徐々に低下されて冷却される。そして冷却が終了して間隔K内に充填されていた溶融樹脂がすべて固化した後、第1金型11と第2金型12の間隔が開かれて、射出圧縮成形品が取り出される。
●[冷却工程中における樹脂の固化状態の変化(図8〜図10)]
次に図8〜図10を用いて、冷却工程中における樹脂の固化状態の変化について説明する。図8は、冷却工程の開始時点における樹脂の状態を示しており、図9は、冷却工程の中間時点における樹脂の状態を示しており、図10は、冷却工程の終了時点の樹脂の状態を示している。なお、冷却工程が開始される前の部分圧力付与工程では、間隔K内に充填されている樹脂は、すべて溶融状態の樹脂である溶融層21である。
[冷却工程の開始時点における樹脂の状態(図8)]
図8に示すように、冷却工程が開始された時点(冷却初期の時点)では、間隔K内の樹脂は、ほとんどが溶融状態の樹脂である溶融層21であり、固化した樹脂である固化層22は、第1金型11及び第2金型12の表面に対向して(接して)薄く形成されている。冷却工程が開始されて第1金型11及び第2金型12の温度が徐々に低下されると、第1金型11及び第2金型12の表面に接触している樹脂の固化が始まり、第1金型11及び第2金型12の表面には、固化した樹脂である固化層22が形成される。そして第1金型11及び第2金型12の温度が低下するに従って、固化層22が板厚方向に成長して厚くなっていき、溶融層21が薄くなっていく。冷却工程の開始時点では、板厚D11が周囲の板厚よりも薄い薄肉領域A11、板厚D12が周囲の板厚よりも厚い厚肉領域A12、のいずれの領域も、第1金型11及び第2金型12の表面に接する個所に薄い固化層22が形成され、溶融層21が固化層22に挟まれている。
なお、ゲートG2Aが固化層22にて塞がれないように、ゲートG2Aの近傍には、ヒータ15が設けられており、ヒータ15によってゲートG2Aの周囲の温度は適切な温度に維持されている。従って、部分圧力P2にて通路G2から押し込まれた溶融樹脂は、ゲートG2Aの周囲の固化層22を溶融して溶融層21に達して、溶融層21内に部分圧力P2を均一に付与する。これにより、溶融層21内から固化層22を第1金型11及び第2金型12の表面に押し付けるように、部分圧力P2が働く。従って、薄肉領域A11及び厚肉領域A12において、固化層22が第1金型11及び第2金型12の表面から離間することを回避することができる。
[冷却工程の中間時点における樹脂の状態(図9)]
図8の状態からさらに第1金型11及び第2金型12の温度が低下されて冷却工程の中間時点に達した状態を図9に示す。図9に示す状態は、薄肉領域A11では、溶融層21が無くなり固化層22のみとなり、厚肉領域A12では、溶融層21と固化層22が混在した状態を示している。
薄肉領域A11は、固化層22で充填されているので、全体圧力P1により、固化層22の表面は、第1金型11及び第2金型12の表面に押し付けられた状態で冷却が進行していく。従って、薄肉領域A11では、固化層22が第1金型11及び第2金型12の表面から離間することがないので、見栄えの良い表面が形成される。
厚肉領域A12は、第1金型11及び第2金型12のそれぞれの表面に対向する(接する)それぞれの固化層22と、それぞれの固化層22に挟まれた溶融層21とが混在している。もしも、流動体である溶融層21の一部が周囲に移動したり、板厚方向に樹脂が収縮したりして溶融層21が薄くなると、固化層22が第1金型11及び第2金型12の表面から離間する場合がある。これを回避するために、ゲートG2Aからの溶融樹脂による部分圧力P2を、厚肉領域A12内の溶融層21に付与しているので(もしも、溶融層21が薄くなっても、ゲートG2Aからの溶融樹脂によって溶融層21が補充されるので)、溶融層21の内圧が固化層22を第1金型11及び第2金型12の表面に押し付ける。従って、厚肉領域A12では、固化層22が第1金型11及び第2金型12の表面から離間することがないので、見栄えの良い表面が形成される。
[冷却工程の終了時点における樹脂の状態(図10)]
図9の状態からさらに第1金型11及び第2金型12の温度が低下されて冷却工程の終了時点に達した状態を図10に示す。図10に示す状態は、薄肉領域A11、厚肉領域A12、ともに溶融層21が無くなり、固化層22のみとなった状態を示している。なお、ヒータ15の温度は、第1金型11及び第2金型12の温度の低下と、厚肉領域A12内の溶融層21の厚さに応じて、適切な温度に調整されている。
上述したとおり、ゲートG2Aからの部分圧力P2によって、薄肉領域A11及び厚肉領域A12のいずれの領域も、第1金型11及び第2金型12の表面から固化層22を離間させることなく冷却を進行させることができるので、見栄えの良い表面となる。また、金型の一部を可動体として、可動体を間隔Kの方向に移動させて可動体で部分圧力を付与する構造ではないので、可動体と金型の境界部による段差等の発生も無く、金型も複雑化しない。
本発明の、射出圧縮成形品の製造方法は、本実施の形態で説明した工程等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
また金型の形状や、ゲートの位置等は、本実施の形態にて説明したものに限定されるものではなく、製造する射出圧縮成形品は、車両のバックドアに限定されるものではない。また樹脂の材質や温度等は、本実施の形態にて説明した材質や温度等に限定されるものではない。
11 第1金型
12 第2金型
15 ヒータ
20 溶融樹脂
21 溶融層
22 固化層
40 バックドア(射出圧縮成形品)
41 ルーフ部
42 スポイラ部
43 リア枠部
44 リアサイド部
45 バックウィンドウ
A11 薄肉領域
A12 厚肉領域
D1、D2 間隔
D11、D12 板厚
G1、G2 通路
G1A、G2A ゲート
K 間隔
P1 全体圧力
P2 部分圧力
S10 金型開き工程
S20 射出工程
S30 全体圧縮工程
S40 部分圧力付与工程
S50 冷却工程

Claims (3)

  1. 射出圧縮成形品の製造方法であって、
    予め設定された規定間隔よりも大きな間隔で金型を保持する金型開き工程と、
    前記金型の間隔に溶融樹脂を射出する射出工程と、
    前記金型の間隔が前記規定間隔となるように前記金型に全体圧力を付与する全体圧縮工程と、
    前記射出圧縮成形品の板厚が周囲の板厚よりも厚くなる領域である厚肉領域に、前記金型に付与する前記全体圧力とは別の圧力である部分圧力を、前記金型の一部を前記金型の間隔の方向に移動させることなく付与する部分圧力付与工程と、
    前記全体圧力と前記部分圧力とを付与した状態で前記金型を冷却する冷却工程と、
    有し、
    前記射出工程において前記溶融樹脂が射出される射出口であるゲートには、前記厚肉領域に配置されているゲートと、前記厚肉領域の板厚よりも薄い領域であって前記射出圧縮成形品の板厚が周囲の板厚よりも薄くなる領域である薄肉領域に配置されているゲートと、が有り、
    前記部分圧力付与工程にて付与する前記部分圧力を、
    前記薄肉領域に配置されているゲートからは前記溶融樹脂を吐出しないことで付与せず、
    前記厚肉領域に配置されているゲートから前記溶融樹脂を所定圧力で前記金型の間隔に吐出する力によって付与することで、前記金型の一部を前記金型の間隔の方向に移動させることなく付与する、
    射出圧縮成形品の製造方法。
  2. 請求項1に記載の射出圧縮成形品の製造方法であって、
    前記溶融樹脂は、透明である、
    射出圧縮成形品の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の射出圧縮成形品の製造方法であって、
    前記射出圧縮成形品は、車両のバックウィンドウと、当該バックウィンドウの周囲の少なくとも一部と、を含み、
    前記厚肉領域は、透明な前記バックウィンドウである、
    射出圧縮成形品の製造方法。
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