≪感光性組成物≫
感光性組成物は、下記式(1)で表される化合物を含む。式(1)で表される化合物は、例えばエチレン性不飽和二重結合を有する光重合性化合物を重合させる光重合開始剤としての機能や、露光により塩基を発生させる機能を有する。このため、式(1)で表される化合物は、種々の目的で、組成物に感光性を付与する成分として使用される。365nm、385nm等紫外線の感光性成分だけでなく、405nmのh線や435nmのg線を含むLED露光用の感光剤成分としても使用される。
感光性組成物としては、例えば、式(1)で表される化合物と、後述する(A)光重合性化合物を含む組成物や、式(1)で表される化合物と、オキシラン環やオキセタン環を有する硬化性の化合物とを含む組成物、式(1)で表される化合物と、ポリイミド前駆体とを含む組成物等が好ましい。
感光性組成物は、必要に応じて、式(1)で表される化合物、後述する(A)光重合性化合物、及びオキシラン環やオキセタン環を有する硬化性の化合物、ポリイミド前駆体の他に、種々の添加剤を含んでいてもよい。
かかる添加剤としては、具体的には、着色剤、溶剤、増感剤、硬化促進剤、光架橋剤、光増感剤、分散助剤、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、熱重合禁止剤、消泡剤、界面活性剤等が例示される。
着色剤、及び溶剤の好適な例については、好ましい感光性組成物である(A)光重合性化合物を含む感光性組成物の成分として、詳細に後述する。
<式(1)で表される化合物>
以下、下記式(1)で表される化合物について説明する。
(式(1)中、R
1は電子吸引基を表し、R
6は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、炭素−炭素二重結合及び炭素−炭素三重結合から選択される1以上の結合を1以上含む鎖状脂肪族炭化水素基、又はこれらを組み合わせた基であり、前記R
6は、電子吸引基、チオール基及び1価の有機基から選択される1以上の置換基を有していてもよく、R
4は1価の有機基、又は水素原子を表し、R
5は1価の有機基又は水素原子を表し、nは、0又は1を表し、Tは下記式(T
C)又は式(T
N):
で表される基を表し、
式(T
C)及び式(T
N)中、R
2及びR
3はそれぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基又は水素原子を表し、*は結合手を表し、
式(T
C)中、R
2及びR
3は組み合わさって環を形成していてもよい。)
(R1及びR6について)
式(1)で表する化合物は、フルオレン環状又はカルバゾール環上に、R1−R6−で表される電子吸引基を含む基と、その他の所定の構造の基とを組わせて有することにより、感度に優れる。
R6が有してもよい置換基や、R1としての電子吸引基としては、化学分野において一般的に電子吸引基として認識されている官能基であれば特に限定されない。
電子吸引基の好適な例としては、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基、炭素原子数1〜6のアルカンスルホニル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、及びハロゲン化アルキル基等が挙げられる。これらの電子吸引基の中では、化学的な安定性、式(1)で表される化合物の光に対する感度、式(1)で表される化合物の合成が容易である点等から、ニトロ基、シアノ基、及び炭素原子数1〜6のフルオロアルキル基が好ましい。
R6は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、炭素−炭素二重結合及び炭素−炭素三重結合から選択される1以上の結合を1以上含む鎖状脂肪族炭化水素基、又はこれらを組み合わせた基である。また、R6は、電子吸引基、チオール基及び1価の有機基から選択される1以上の置換基を有していてもよい。
R6がアリーレン基である場合、当該アリーレン基は、芳香族炭化水素から2つの水素原子を除いた基であれば特に限定されない。アリーレン基は、1以上のベンゼン環からなる基が好ましい。アリーレン基が2以上のベンゼン環を含む場合、複数のベンゼン環は、単結合により互いに結合していてもよく、互いに縮合してナフタレン環等の縮合環を形成していてもよい。
アリーレン基は、1〜3のベンゼン環を含むのが好ましく、1又は2のベンゼン環を含むのがより好ましい。
アリーレン基の好適な例としては、p−フェニレン基、m−フェニレン基、o−フェニレン基、ナフタレン−1,2−ジイル基、ナフタレン−1,3−ジイル基、ナフタレン1,4−ジイル基、ナフタレン−1,5−ジイル基、ナフタレン−1,7−ジイル基、ナフタレン−1,8−ジイル基、ナフタレン−2,3−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−2,7−ジイル基、ビフェニル−4,4’−ジイル基、ビフェニル−3,3’−ジイル基、ビフェニル−2,2’−ジイル基、ビフェニル−3,4’−ジイル基、ビフェニル−3,2’−ジイル基、及びビフェニル−2,4’−ジイル基が挙げられる。
R6がヘテロアリーレン基である場合、当該ヘテロアリーレン基は、芳香族複素環から2つの水素原子を除いた基であれば特に限定されない。ヘテロアリーレン基は、5員又は6員の芳香環からなる基であって、5員又は6員の芳香族複素環を少なくとも1つ含む基が好ましい。
ヘテロアリーレン基が5員又は6員の芳香環からなる基であって、5員又は6員の芳香族複素環を少なくとも1つ含む基である場合、複数の5員又は6員の芳香環は、単結合により互いに結合していてもよく、互いに縮合して縮合環を形成していてもよい。
ヘテロアリーレン基、1〜3の5員又は6員の芳香環を含むのが好ましく、1又は2の5員又は6員の芳香環を含むのがより好ましい。
ヘテロアリーレン基の好適な例としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、及びキノキサリン等の芳香族複素環化合物から、炭素原子に結合する2つの水素原子を除いた基が挙げられる。
炭素−炭素二重結合及び炭素−炭素三重結合から選択される1以上の結合を1以上含む鎖状脂肪族炭化水素基について、その炭素原子数や、炭素−炭素二重結合及び炭素−炭素三重結合の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。
また、炭素−炭素二重結合及び炭素−炭素三重結合から選択される1以上の結合を1以上含む鎖状脂肪族炭化水素基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、直鎖状が好ましい。
炭素−炭素二重結合及び炭素−炭素三重結合から選択される1以上の結合を1以上含む鎖状脂肪族炭化水素基の炭素原子数は、2〜10が好ましく、2〜6がより好ましく、2〜4が特に好ましい。
鎖状脂肪族炭化水素基は、1つの炭素−炭素二重結合を含むアルケニレン基であるか、1つの炭素−炭素三重結合を含むアルキニレン基であるのが好ましい。
炭素−炭素二重結合及び炭素−炭素三重結合から選択される1以上の結合を1以上含む鎖状脂肪族炭化水素基の好適な例としては、エチレン−1,2−ジイル基、エチン−1,2−ジイル基、プロパ−1−エン−1,2−ジイル基、プロパルギレン基、ペンチニレン基が挙げられる。
例えば、アリーレン基と、炭素−炭素二重結合及び炭素−炭素三重結合から選択される1以上の結合を1以上含む鎖状脂肪族炭化水素基とを組み合わせた基の好ましい例としては、下記の2価の基が挙げられる。
ヘテロアリーレン基と、炭素−炭素二重結合及び炭素−炭素三重結合から選択される1以上の結合を1以上含む鎖状脂肪族炭化水素基とを組み合わせた基の好ましい例としては、下記の2価の基に含まれるアリーレン基を、種々のヘテロアリーレン基に置き換えた基が挙げられる。
R6について、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、又は炭素−炭素二重結合及び炭素−炭素三重結合から選択される1以上の結合を1以上含む鎖状脂肪族炭化水素基は、電子吸引基、チオール基、及び1価の有機基から選択される1以上の置換基を有していてもよい。
電子吸引基については、前述の通りである。R6がアリーレン基の場合はp位又はo位に電子吸引基が置換されていることが好ましい。R6が有してもよい置換基としての1価の有機基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基)、及びアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基)等が挙げられる。R6がアリーレン基の場合はm位に置換されていることが好ましい。
以上説明した、R1−R6−で表される電子吸引基を含む基としては、ニトロ基で置換されたアリール基が好ましく、ニトロ基で置換されたフェニル基がより好ましい。
アリール基におけるニトロ基の置換数は特に限定されないが、1〜3が好ましく、1又は2がより好ましく、1が特に好ましい。
ニトロ基で置換されたアリール基の具体例としては、(R6が式(1)の母骨格に結合する部分を1位として)o−ニトロフェニル、m−ニトロフェニル基、p−ニトロフェニル基、2,3−ジニトロフェニル基、2,4−ジニトロフェニル基、2,5−ジニトロフェニル基、2,6−ジニトロフェニル基、3,4−ジニトロフェニル基、3,5−ジニトロフェニル基、2−ニトロナフタレン−1−イル基、3−ニトロナフタレン−1−イル基、4−ニトロナフタレン−1−イル基、5−ニトロナフタレン−1−イル基、6−ニトロナフタレン−1−イル基、7−ニトロナフタレン−1−イル基、8−ニトロナフタレン−1−イル基、3−ニトロナフタレン−2−イル基、6−ニトロナフタレン−2−イル基、8−ニトロナフタレン−2−イル基、1−ニトロナフタレン−2−イル基及び7−ニトロナフタレン−2−イル基が挙げられる。
これらの基の中では、o−ニトロフェニル基、及びp−ニトロフェニル基、2,4−ジニトロフェニル基、2,6−ジニトロフェニル基、2−ニトロナフタレン−1イル基、4−ニトロナフタレン−1−イル基、5−ニトロナフタレン−1−イル基、3−ニトロナフタレン−2−イル基、6−ニトロナフタレン−2−イル基、8−ニトロナフタレン−2−イル基、1−ニトロナフタレン−2−イル基がより好ましい。特に好ましくはp−ニトロフェニル基である。
(式(TC)及び式(TN)に含まれるR2及びR3について)
式(1)中のTは、前述の式(TC)で表される基、又は式(TN)で表される基である。式(TC)及び式(TN)に含まれるR2及びR3は、それぞれ、置換されていてもよいアルキル基又は水素原子である。式(TC)においては、R2とR3とは相互に結合して環を形成してもよい。これらの基の中では、R2及びR3として、置換されていてもよいアルキル基が好ましい。R2及びR3が置換されていてもよいアルキル基である場合、アルキル基は直鎖アルキル基でも分岐鎖アルキル基でもよい。
R2及びR3が置換基を持たないアルキル基である場合、当該アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6が特に好ましい。R2及びR3がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。
R2及びR3が置換基を有するアルキル基である場合、アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6が特に好ましい。この場合、置換基の炭素原子数は、鎖状アルキル基の炭素原子数に含まれない。置換基を有するアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、直鎖状であるのが好ましい。
アルキル基が有してもよい置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。置換基の好適な例としては、シアノ基、ハロゲン原子、環状有機基、アルコキシ基、及びアルコキシカルボニル基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらの中では、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。
環状有機基としては、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。
シクロアルキル基の炭素原子数は、3〜10が好ましく、3〜6がより好ましい。シクロアルキル基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。
ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、縮合する環の数は3以下である。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。R2及びR3がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
アルコキシ基としては、炭素原子数1〜10のアルコキシ基が好ましく、炭素原子数1〜6のアルコキシ基がより好ましく、炭素原子数1〜4のアルコキシ基が特に好ましい。具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、及びn−ヘキシルオキシ基が挙げられる。
アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基の炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、及びn−ヘキシルオキシカルボニル基が挙げられる。
アルキル基が置換基を有する場合、置換基の数は特に限定されない。好ましい置換基の数は鎖状アルキル基の炭素原子数に応じて変わる。置換基の数は、典型的には、1〜20であり、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。
R2とR3とは相互に結合して環を形成してもよい。R2とR3とが形成する環からなる基は、シクロアルキリデン基であるのが好ましい。R2とR3とが結合してシクロアルキリデン基を形成する場合、シクロアルキリデン基を構成する環は、5員環〜6員環であるのが好ましく、5員環であるのがより好ましい。
R2とR3とが結合して形成する基がシクロアルキリデン基である場合、シクロアルキリデン基は、1以上の他の環と縮合していてもよい。シクロアルキリデン基と縮合していてもよい環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、及びピリミジン環等が挙げられる。
以上説明したR2及びR3の中でも好適な基の例としては、式−A1−A2で表される基が挙げられる。式中、A1は直鎖アルキレン基であり、A2は、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、環状有機基、又はアルコキシカルボニル基である。
A1の直鎖アルキレン基の炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。A2がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシ基の炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4が特に好ましい。
A2がハロゲン原子である場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。
A2がハロゲン化アルキル基である場合、ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。ハロゲン化アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。
A2が環状有機基である場合、環状有機基の例は、R2及びR3が置換基として有する環状有機基と同様である。A2がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の例は、R2及びR3が置換基として有するアルコキシカルボニル基と同様である。
R2及びR3の好適な具体例としては、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、及びn−オクチル基等のアルキル基;2−メトキシエチル基、3−メトキシ−n−プロピル基、4−メトキシ−n−ブチル基、5−メトキシ−n−ペンチル基、6−メトキシ−n−ヘキシル基、7−メトキシ−n−ヘプチル基、8−メトキシ−n−オクチル基、2−エトキシエチル基、3−エトキシ−n−プロピル基、4−エトキシ−n−ブチル基、5−エトキシ−n−ペンチル基、6−エトキシ−n−ヘキシル基、7−エトキシ−n−ヘプチル基、及び8−エトキシ−n−オクチル基等のアルコキシアルキル基;2−シアノエチル基、3−シアノ−n−プロピル基、4−シアノ−n−ブチル基、5−シアノ−n−ペンチル基、6−シアノ−n−ヘキシル基、7−シアノ−n−ヘプチル基、及び8−シアノ−n−オクチル基等のシアノアルキル基;2−フェニルエチル基、3−フェニル−n−プロピル基、4−フェニル−n−ブチル基、5−フェニル−n−ペンチル基、6−フェニル−n−ヘキシル基、7−フェニル−n−ヘプチル基、及び8−フェニル−n−オクチル基等のフェニルアルキル基;2−シクロヘキシルエチル基、3−シクロヘキシル−n−プロピル基、4−シクロヘキシル−n−ブチル基、5−シクロヘキシル−n−ペンチル基、6−シクロヘキシル−n−ヘキシル基、7−シクロヘキシル−n−ヘプチル基、8−シクロヘキシル−n−オクチル基、2−シクロペンチルエチル基、3−シクロペンチル−n−プロピル基、4−シクロペンチル−n−ブチル基、5−シクロペンチル−n−ペンチル基、6−シクロペンチル−n−ヘキシル基、7−シクロペンチル−n−ヘプチル基、及び8−シクロペンチル−n−オクチル基等のシクロアルキルアルキル基;2−メトキシカルボニルエチル基、3−メトキシカルボニル−n−プロピル基、4−メトキシカルボニル−n−ブチル基、5−メトキシカルボニル−n−ペンチル基、6−メトキシカルボニル−n−ヘキシル基、7−メトキシカルボニル−n−ヘプチル基、8−メトキシカルボニル−n−オクチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、3−エトキシカルボニル−n−プロピル基、4−エトキシカルボニル−n−ブチル基、5−エトキシカルボニル−n−ペンチル基、6−エトキシカルボニル−n−ヘキシル基、7−エトキシカルボニル−n−ヘプチル基、及び8−エトキシカルボニル−n−オクチル基等のアルコキシカルボニルアルキル基;2−クロロエチル基、3−クロロ−n−プロピル基、4−クロロ−n−ブチル基、5−クロロ−n−ペンチル基、6−クロロ−n−ヘキシル基、7−クロロ−n−ヘプチル基、8−クロロ−n−オクチル基、2−ブロモエチル基、3−ブロモ−n−プロピル基、4−ブロモ−n−ブチル基、5−ブロモ−n−ペンチル基、6−ブロモ−n−ヘキシル基、7−ブロモ−n−ヘプチル基、8−ブロモ−n−オクチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−n−ペンチル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
R2及びR3として、上記の中でも好適な基は、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−メトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−フェニルエチル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−n−ペンチル基である。
(R4について)
R4は、1価の有機基又は水素原子である。1価の有機基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。
R4の好適な有機基の例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいフェノキシアルキル基、置換基を有してもよいフェニルチオアルキル基、N−置換アミノアルキル基、N,N−ジ置換アミノアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいナフトキシアルキル基、置換基を有してもよいナフチルチオアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基等が挙げられる。
また、R4としてはシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェノキシアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基、も好ましい。
R4がアルキル基である場合、アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、R4がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。R4がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、R4がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
R4がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、R4がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。R4がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチオキシル基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、R4がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
R4がシクロアルキル基又はシクロアルコキシ基である場合、シクロアルキル基又はシクロアルコキシ基の炭素原子数は、3〜10が好ましく、3〜6がより好ましい。R4がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。R4がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
R4が飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、2〜21が好ましく、2〜7がより好ましい。R4が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。R4が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
R4がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜20が好ましく、2〜7がより好ましい。R4がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチオキシルカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
R4がフェニルアルキル基である場合、フェニルアルキル基の炭素原子数は、7〜20が好ましく、7〜10がより好ましい。また、R4がナフチルアルキル基である場合、ナフチルアルキル基の炭素原子数は、11〜20が好ましく、11〜14がより好ましい。
R4がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。
R4がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。
R4が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、R4は、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
R4がフェノキシアルキル基、フェニルチオアルキル基、ナフトキシアルキル基、及びナフチルチオアルキル基である場合に、これらの基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、当該アルキレン基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、直鎖状が好ましい。
フェノキシアルキル基の具体例としては、2−フェノキシエチル基、3−フェノキシ−n−プロピル基、4−フェノキシ−n−ブチル基、5−フェノキシ−n−ペンチル基、及び6−フェノキシ−n−ヘキシル基が挙げられる。
フェニルチオアルキル基の具体例としては、2−フェニルチオエチル基、3−フェニルチオ−n−プロピル基、4−フェニルチオ−n−ブチル基、5−フェニルチオ−n−ペンチル基、及び6−フェニルチオ−n−ヘキシル基が挙げられる。
ナフトキシアルキル基の具体例としては、2−(α−ナフトキシ)エチル基、3−(α−ナフトキシ)−n−プロピル基、4−(α−ナフトキシ)−n−ブチル基、5−(α−ナフトキシ)−n−ペンチル基、6−(α−ナフトキシ)−n−ヘキシル基、2−(β−ナフトキシ)エチル基、3−(β−ナフトキシ)−n−プロピル基、4−(β−ナフトキシ)−n−ブチル基、5−(β−ナフトキシ)−n−ペンチル基、及び6−(β−ナフトキシ)−n−ヘキシル基が挙げられる。
ナフチルチオアルキル基の具体例としては、2−(α−ナフチルチオ)エチル基、3−(α−ナフチルチオ)−n−プロピル基、4−(α−ナフチルチオ)−n−ブチル基、5−(α−ナフチルチオ)−n−ペンチル基、6−(α−ナフチルチオ)−n−ヘキシル基、2−(β−ナフチルチオ)エチル基、3−(β−ナフチルチオ)−n−プロピル基、4−(β−ナフチルチオ)−n−ブチル基、5−(β−ナフチルチオ)−n−ペンチル基、及び6−(β−ナフチルチオ)−n−ヘキシル基が挙げられる。
R4が、フェノキシアルキル基、フェニルチオアルキル基、ナフトキシアルキル基、又はナフチルチオアルキル基である場合、R4は、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
R4がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、縮合する環の数は3以下である。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。R4がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
R4がヘテロシクリルカルボニル基である場合、ヘテロシクリルカルボニル基に含まれるヘテロシクリル基は、R4がヘテロシクリル基である場合と同様である。
R4がN−置換アミノアルキル基、又はN,N−ジ置換アミノアルキル基、である場合、窒素原子に結合する置換基としては有機基が好ましい。
有機基の好適な例は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜21の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜21の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。
N−置換アミノアルキル基、又はN,N−ジ置換アミノアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、当該アルキレン基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
N−置換アミノアルキル基の具体例としては、2−(メチルアミノ)エチル基、2−(エチルアミノ)エチル基、2−(n−プロピルアミノ)エチル基、2−(n−ブチルアミノ)エチル基、3−(メチルアミノ)n−プロピル基、3−(エチルアミノ)n−プロピル基、3−(n−プロピルアミノ)n−プロピル基、3−(n−ブチルアミノ)n−プロピル基、2−(メチルアミノ)n−プロピル基、2−(エチルアミノ)n−プロピル基、2−(n−プロピルアミノ)n−プロピル基、2−(n−ブチルアミノ)n−プロピル基、2−(アセチルアミノ)エチル基、2−(プロピオニルアミノ)エチル基、2−(アセトキシアミノ)エチル基、2−(プロピオニルオキシアミノ)エチル基、3−(アセチルアミノ)n−プロピル基、3−(プロピオニルアミノ)n−プロピル基、3−(アセトキシアミノ)n−プロピル基、3−(プロピオニルオキシアミノ)n−プロピル基、2−(アセチルアミノ)n−プロピル基、2−(プロピオニルアミノ)n−プロピル基、2−(アセトキシアミノ)n−プロピル基、及び2−(プロピオニルオキシアミノ)n−プロピル基が挙げられる。
N,N−ジ置換アミノアルキル基の具体例としては、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル基、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル基、2−(N,N−ジ−n−プロピルアミノ)エチル基、2−(N,N−ジ−n−ブチルアミノ)エチル基、3−(N,N−ジメチルアミノ)n−プロピル基、3−(N,N−ジエチルアミノ)n−プロピル基、3−(N,N−ジ−n−プロピルアミノ)n−プロピル基、3−(N,N−ジ−n−ブチルアミノ)n−プロピル基、2−(N,N−ジメチルアミノ)n−プロピル基、2−(N,N−ジエチルアミノ)n−プロピル基、2−(N,N−ジ−n−プロピルアミノ)n−プロピル基、2−(N,N−ジ−n−ブチルアミノ)n−プロピル基、2−(N,N−ジアセチルアミノ)エチル基、2−(N,N−ジプロピオニルアミノ)エチル基、2−(N,N−ジアセトキシアミノ)エチル基、2−(N,N−ジプロピオニルオキシアミノ)エチル基、3−(N,N−ジアセチルアミノ)n−プロピル基、3−(N,N−ジプロピオニルアミノ)n−プロピル基、3−(N,N−ジアセトキシアミノ)n−プロピル基、3−(N,N−ジプロピオニルオキシアミノ)n−プロピル基、2−(N,N−ジアセチルアミノ)n−プロピル基、2−(N,N−ジプロピオニルアミノ)n−プロピル基、2−(N,N−ジアセトキシアミノ)n−プロピル基、2−(N,N−ジプロピオニルオキシアミノ)n−プロピル基、2−(N−アセチル−N−アセトキシアミノ)エチル基、2−(N−プロピオニル−N−プロピオニルオキシアミノ)エチル基、3−(N−アセチル−N−アセトキシアミノ)n−プロピル基、3−(N−プロピオニル−N−プロピオニルオキシアミノ)n−プロピル基、2−(N−アセチル−N−アセトキシアミノ)n−プロピル基、及び2−(N−プロピオニル−N−プロピオニルオキシアミノ)n−プロピル基が挙げられる。
R4に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。R4に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。R4に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
有機基の中でも、R4としては、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又はシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基が好ましい。アルキル基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1〜4のアルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。置換基を有していてもよいフェニル基の中では、メチルフェニル基が好ましく、2−メチルフェニル基がより好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるシクロアルキル基の炭素原子数は、5〜10が好ましく、5〜8がより好ましく、5又は6が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、2が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基の中では、シクロペンチルエチル基が好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、2が特に好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基の中では、2−(4−クロロフェニルチオ)エチル基が好ましい。
また、R4としては、−A3−CO−O−A4で表される基も好ましい。A3は、2価の有機基であり、2価の炭化水素基であるのが好ましく、アルキレン基であるのがより好ましい。A4は、1価の有機基であり、1価の炭化水素基であるのが好ましい。
A3がアルキレン基である場合、アルキレン基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。A3がアルキレン基である場合、アルキレン基の炭素原子数は1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4が特に好ましい。
A4の好適な例としては、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、及び炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられる。A4の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチルメチル基、及びβ−ナフチルメチル基等が挙げられる。
−A3−CO−O−A4で表される基の好適な具体例としては、2−メトキシカルボニルエチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、2−n−プロピルオキシカルボニルエチル基、2−n−ブチルオキシカルボニルエチル基、2−n−ペンチルオキシカルボニルエチル基、2−n−ヘキシルオキシカルボニルエチル基、2−ベンジルオキシカルボニルエチル基、2−フェノキシカルボニルエチル基、3−メトキシカルボニル−n−プロピル基、3−エトキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−プロピルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ブチルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ペンチルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ヘキシルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−ベンジルオキシカルボニル−n−プロピル基、及び3−フェノキシカルボニル−n−プロピル基等が挙げられる。
以上、R
4について説明したが、R
4としては、下記式(R4−1)又は(R4−2)で表される基が好ましい。
(式(R4−1)及び(R4−2)中、R
7及びR
8はそれぞれ有機基であり、pは0〜4の整数であり、R
7及びR
8がベンゼン環上の隣接する位置に存在する場合、R
7とR
8とが互いに結合して環を形成してもよく、qは1〜8の整数であり、rは1〜5の整数であり、sは0〜(r+3)の整数であり、R
9は有機基である。)
式(R4−1)中のR7及びR8についての有機基の例は、R1と同様である。R7としては、アルキル基又はフェニル基が好ましい。R7がアルキル基である場合、その炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましく、1が最も好ましい。つまり、R7はメチル基であるのが最も好ましい。R7とR8とが結合して環を形成する場合、当該環は、芳香族環でもよく、脂肪族環でもよい。式(R4−1)で表される基であって、R7とR8とが環を形成している基の好適な例としては、ナフタレン−1−イル基や、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−5−イル基等が挙げられる。上記式(R4−1)中、pは0〜4の整数であり、0又は1であるのが好ましく、0であるのがより好ましい。
上記式(R4−2)中、R9は有機基である。有機基としては、R1について説明した有機基と同様の基が挙げられる。有機基の中では、アルキル基が好ましい。アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。アルキル基の炭素原子数は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。R9としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基であることがより好ましい。
上記式(R4−2)中、rは1〜5の整数であり、1〜3の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。上記式(R4−2)中、sは0〜(r+3)であり、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0が特に好ましい。上記式(R4−2)中、qは1〜8の整数であり、1〜5の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1又は2が特に好ましい。
(R5について)
式(1)中、R5は、1価の有機基、又は水素原子である。1価の有機基としては、例えば、置換基を有してもよい炭素原子数1〜11のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基である。R5がアルキル基である場合に有してもよい置換基としては、フェニル基、ナフチル基等が好ましく例示される。また、R1がアリール基である場合に有してもよい置換基としては、炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が好ましく例示される。
式(1)中、R5としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、ナフチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
式(1)においてTが式(T
C)で表される基である場合、式(1)で表される化合物としては、下記式(1C)で表される化合物が好ましい。
(式(1C)中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、及びnは前記の通り。)
また、式(1C)で表される化合物の中では、下記式(1C−1)又は(1C−2)で表される化合物が好ましい。
式(1)においてTが式(T
N)で表される基である場合、式(1)で表される化合物としては、下記式(1N)で表される化合物が好ましい。
(式(1N)中、R
1、R
2、R
4、R
5、R
6、及びnは前記の通り。)
また、式(1N)で表される化合物の中では、下記式(1N−1)又は(1N−2)で表される化合物が好ましい。
式(1)で表される化合物の好適な具体例としては、以下の化合物1〜化合物139が挙げられる。
以上説明した、式(1)で表される化合物は高感度であり、感度に優れる感光性組成物を与える。
<式(1)で表される化合物の製造方法>
前述の式(1)で表される化合物の製造方法は特に限定されない。式(1)で表される化合物は、nが0である場合には、例えば、
(I)下記式(1a):
(式(1a)中、Tは前記の通り。)
で表される環骨格に、クロスカップリング反応により−R
6−R
1で表される基を導入することと、
(II)式(1a)で表される環骨格に、−CO−R
4で表されるアシル基を導入した後、−CO−R
4で表される基を、−C(=N−OH)−R
4で表される基に変換し、さらに、−C(=N−OH)−R
4で表される基をエステル化して−C(=N−O−CO−R
5)−R
4で表される基に変換することと、を含む、方法により製造される。
また、式(1)で表される化合物は、nが1である場合には、例えば、
(I)下記式(1a):
(式(1a)中、Tは前記の通り。)
で表される環骨格に、クロスカップリング反応により−R
6−R
1で表される基を導入することと、
(II)式(1a)で表される環骨格に、−CO−CH
2−R
4で表されるアシル基を導入した後、−CO−CH
2−R
4で表される基を、−CO−C(=N−OH)−R
4で表される基に変換し、さらに、−CO−C(=N−OH)−R
4で表される基をエステル化して−CO−C(=N−O−CO−R
5)−R
4で表される基に変換することと、を含む、方法により製造される。
上記の方法において、工程(I)と、工程(II)とのいずれが先に行われてもよい。また、工程(II)は多段階の操作を含むが、工程(I)は、工程(II)のいずれのタイミングで実施されてもよい。
上記の方法において工程(II)で、オキシム基(=N−OH)を、=N−O−COR5で表されるオキシムエステル基に変換する方法は特に限定されない。典型的には、オキシム基中の水酸基に、−COR5で表されるアシル基を与えるアシル化剤を反応させる方法が挙げられる。アシル化剤としては、(R5CO)2Oで表される酸無水物や、R5COHal(Halはハロゲン原子)で表される酸ハライドが挙げられる。
nが0である場合、式(1)で表される化合物は、一例として、下記スキーム1に従って合成することができる。
なお、下記スキーム1では、式(1a)で表される環骨格を有するハロゲン化化合物と、−R6−R1で表される基を含むホウ素化合物とを用いてクロスカップリング反応を行っているが、式(1a)で表される環骨格を有するホウ素化合物と、−R6−R1で表される基を含むハロゲン化化合物とを用いてクロスカップリング反応を行ってもよい。
また、クロスカップリング反応は、
・式(1a)で表される環骨格に、−CO−R4で表されるアシル基を導入した後、
・−CO−R4で表される基を、−C(=N−OH)−R4で表される基に変換した後、及び
・−C(=N−OH)−R4で表される基をエステル化して−C(=N−O−CO−R5)−R4で表される基に変換した後のいずれのタイミングで実施されてもよい。
まず、化合物1Aに、フリーデルクラフツアシル化反応により、−CO−R4で表されるアシル基を導入し、化合物1Bが得られる。−CO−R4で表されるアシル基を導入するためのアシル化剤は、Hal−CO−R4で表されるハロカルボニル化合物であってもよく、(R4CO)2O酸無水物であってもよい。アシル化剤としては、Hal−CO−R4で表されるハロカルボニル化合物が好ましい。Halはハロゲン原子である。アシル基が導入される位置は、フリーデルクラフツ反応の条件を適宜変更したり、アシル化される位置の他の位置に保護及び脱保護を施したりする方法で、選択することができる。
化合物1A中のTが式(TC)で表される基である場合、例えば、ブロモフルオレン(好ましくは2−ブロモフルオレン)等のハロゲン化フルオレンを、カリウムtert−ブトキシド等の塩基と、R2−Hal、及びR3−Halと反応させて、化合物1Aが得られる。R2−Hal、及びR3−Halにおいて、Halはハロゲン原子であり、臭素原子が好ましい。
なお、Tが式(TC)で表される基である場合、化合物1Aを合成する際に、フルオレン環上の9位に、2つのR2、又は2つのR3が結合した化合物が副生する場合がある。この場合、カラムクロマトグラフィー等の公知の方法に従って、目的の生成物のみを分取すればよい。
次いで、化合物1Bと、R1−R6−B(OH)2等のR1−R6−で表される基を含むホウ素化合物とを、所謂、鈴木・宮浦カップリング反応により縮合させて、化合物1Cを得る。
なお、クロスカップリング反応としては、鈴木・宮浦カップリング反応には限定されず、周知のクロスカップリング反応から適宜選択して採用できる。
ホウ素化合物の種類は、化合物1Bに、R1−R6−で表される基を導入可能なものであれば特に限定されない。
鈴木・宮浦カップリング反応において用いられる触媒は、従来から当該反応に用いられているものであれば特に限定されない。例えば、好適な触媒としては、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド・ジクロロメタン付加物(Pd(dppf)Cl2・CH2Cl2)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh3)4)、[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノエタン)]パラジウム(II)ジクロリド(PdCl2(dppe))、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノプロパン)]パラジウム(II)ジクロリド(PdCl2(dppp))、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ニッケル(II)ジクロリド・ジクロロメタン付加物(Ni(dppf)Cl2・CH2Cl2)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)ジクロリド(NiCl2(PPh3)2)等が挙げられる。また、酢酸パラジウムや塩化パラジウムと適当な配位子を系内で混合して使用することも出来る。
この反応において用いる溶媒は、反応の進行を阻害しない限り特に限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、トルエン、酢酸エチル、N−メチルピロリドン、シクロペンチルメチルエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、及び水等を用いることができる。鈴木・宮浦カップリング反応を良好に進行させやすい点からは、N,N,N’,N’−テトラメチルウレア、N,N,N’,N’−テトラエチルウレア等のN,N,N’,N’−テトラアルキルウレアも溶媒として好ましく使用される。
次いで、化合物1C中の−CO−R4で表される基を、−C(=N−OH)−R4で表される基に変換し、化合物1Dを得る。−CO−R4で表される基を、−C(=N−OH)−R4で表される基に変換する方法は特に限定されないが、ヒドロキシルアミンによるオキシム化が好ましい。化合物1Dと、酸無水物((R5CO)2O)、又は酸ハライド(R5COHal、Halはハロゲン原子。)とを反応させることにより、nが0である、式(1)で表される化合物を得ることができる。
また、nが1である場合、式(1)で表される化合物は、一例として、下記スキーム2に従って合成することができる。
なお、下記スキーム2では、式(1a)で表される環骨格を有するハロゲン化化合物と、−R6−R1で表される基を含むホウ素化合物とを用いてクロスカップリング反応を行っているが、式(1a)で表される環骨格を有するホウ素化合物と、−R6−R1で表される基を含むハロゲン化化合物とを用いてクロスカップリング反応を行ってもよい。
また、クロスカップリング反応は、
・式(1a)で表される環骨格に、−CO−CH2−R4で表されるアシル基を導入した後、
・−CO−CH2−R4で表される基を、−CO−C(=N−OH)−R4で表される基に変換した後、及び
・−CO−C(=N−OH)−R4で表される基をエステル化して−CO−C(=N−O−CO−R5)−R4で表される基に変換した後のいずれのタイミングで実施されてもよい。
スキーム2では、前述の化合物1Aを原料として用いる。化合物1Aに対して、スキーム1と同様にフリーデルクラフツ反応によって−CO−CH2−R4で表されるアシル基を導入して、化合物1Eが得られる。アシル化剤としては、Hal−CO−CH2−R4で表されるカルボン酸ハライドが好ましい。
次いで、化合物1Eと、R1−R6−B(OH)2で表されるホウ素化合物とを、所謂、鈴木・宮浦カップリング反応により縮合させて、化合物1Fを得る。鈴木・宮浦カップリング反応による縮合方法は、スキーム1と同様である。
得られた化合物1F中の、R4とカルボニル基との間に存在するメチレン基をオキシム化して、化合物1Gを得る。メチレン基をオキシム化する方法は特に限定されないが、塩酸の存在下に亜硝酸エステル(RONO、Rは炭素数1〜6のアルキル基。)を反応させる方法が好ましい。次いで、化合物1Gと、酸無水物((R5CO)2O)、又は酸ハライド(R5COHal、Halはハロゲン原子。)とを反応させて、nが1である、式(1)で表される化合物を得ることができる。
なお、スキーム1において、化合物1B、化合物1C、化合物1D、及び最終生成物に含まれるR4は、同一であっても異なってもいてもよい。つまり、化合物1B、化合物1C、化合物1D、及び最終生成物に含まれるR4は、スキーム1として示される合成過程において、化学修飾を受けてもよい。化学修飾の例としては、エステル化、エーテル化、アシル化、アミド化、ハロゲン化、アミノ基中の水素原子の有機基による置換等が挙げられる。R4が受けてもよい化学修飾はこれらに限定されない。
スキーム2における、化合物1E、化合物1F、化合物1G、及び最終生成物に含まれる、R4も、同一であっても異なってもいてもよい。化合物1E、化合物1F、化合物1G、及び最終生成物に含まれるR4は、スキーム12として示される合成過程において、スキーム1と同様に化学修飾を受けてもよい。
以上説明した方法により合成しうる式(1)で表される化合物は、溶剤による洗浄、再結晶、カラム精製等の常法に従って適宜生成された後、光重合開始剤等の感光剤用途に好適に用いられる。
なお、式(1)で表される化合物の用途は、光重合開始剤には限定されない。式(1)で表される化合物は、従来からオキシムエステル化合物が使用されている種々の感光剤用途に用いることができる。
≪(A)光重合性化合物を含む感光性組成物≫
感光性組成物としては、(A)光重合性化合物と、式(1)で表される化合物を含む(B)光重合開始剤とを含有する組成物が好ましい。
以下、かかる感光性組成物が含む必須又は任意の成分について説明する。
<(A)光重合性化合物>
感光性組成物に含有される(A)光重合性化合物としては、特に限定されず、従来公知の光重合性化合物を用いることができる。その中でも、エチレン性不飽和基を有する樹脂又はモノマーが好ましく、これらを組み合わせることがより好ましい。エチレン性不飽和基を有する樹脂とエチレン性不飽和基を有するモノマーとを組み合わせることにより、感光性組成物の硬化性を向上させ、パターン形成を容易にすることができる。
[エチレン性不飽和基を有する樹脂]
エチレン性不飽和基を有する樹脂としては、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、カルドエポキシジアクリレート等が重合したオリゴマー類;多価アルコール類と一塩基酸又は多塩基酸とを縮合して得られるポリエステルプレポリマーに(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオールと2個のイソシアネート基を持つ化合物とを反応させた後、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノール又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾール型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエステル、脂肪族又は脂環式エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。さらに、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂に多塩基酸無水物を反応させた樹脂を好適に用いることができる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」は、「アクリル又はメタクリル」を意味する。
また、エチレン性不飽和基を有する樹脂としては、エポキシ化合物と不飽和基含有カルボン酸化合物との反応物を、さらに多塩基酸無水物と反応させることにより得られる樹脂を好適に用いることができる。
その中でも、下記式(a1)で表される化合物が好ましい。この式(a1)で表される化合物は、それ自体が、光硬化性が高い点で好ましい。
上記式(a1)中、Xは、下記式(a2)で表される基を表す。
上記式(a2)中、R
1aは、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6の炭化水素基、又はハロゲン原子を表し、R
2aは、それぞれ独立に水素原子、又はメチル基を表し、Wは、単結合、又は下記構造式(a3)で表される基を表す。なお、式(a2)、及び構造式(a3)において「*」は、2価の基の結合手の末端を意味する。
上記式(a1)中、Yはジカルボン酸無水物から酸無水物基(−CO−O−CO−)を除いた残基を表す。ジカルボン酸無水物の例としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸等が挙げられる。
また、上記式(a1)中、Zは、テトラカルボン酸二無水物から2個の酸無水物基を除いた残基を表す。テトラカルボン酸二無水物の例としては、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。さらに、上記式(a1)中、aは、0〜20の整数を表す。
エチレン性不飽和基を有する樹脂の酸価は、樹脂固形分で、10〜150mgKOH/gであることが好ましく、70〜110mgKOH/gであることがより好ましい。酸価を10mgKOH/g以上とすることにより、現像液に対する十分な溶解性が得られるので好ましい。また、酸価を150mgKOH/g以下とすることにより、十分な硬化性を得ることができ、表面性を良好にすることができるので好ましい。
また、エチレン性不飽和基を有する樹脂の質量平均分子量は、1000〜40000であることが好ましく、2000〜30000であることがより好ましい。質量平均分子量を1000以上とすることにより、良好な耐熱性、膜強度を得ることができるので好ましい。また、質量平均分子量を40000以下とすることにより、良好な現像性を得ることができるので好ましい。
[エチレン性不飽和基を有するモノマー]
エチレン性不飽和基を有するモノマーには、単官能モノマーと多官能モノマーとがある。以下、単官能モノマー、及び多官能モノマーについて順に説明する。
単官能モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能モノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能モノマーや、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能モノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)光重合性化合物の含有量は、感光性組成物の固形分の合計100質量部に対して10〜99.9質量部であることが好ましい。(A)光重合性化合物の含有量を固形分の合計100質量部に対して10質量部以上とすることにより、感光性組成物を用いて、耐熱性、耐薬品性、及び機械的強度に優れる膜を形成しやすい。
<(B)光重合開始剤>
好ましい感光性組成物は、式(1)で表される化合物を含む(B)光重合開始剤を含有する。式(1)で表される化合物については前述の通りである。感光性組成物は、式(1)で表される化合物を(B)光重合開始剤として含むため、感度に優れる。
(B)光重合開始剤は、式(1)で表される化合物とともに、その他の光重合開始剤を含んでいてもよい。その他の光重合開始剤は、従来、種々の感光性組成物に配合されている種々の光重合開始剤から適宜選択できる。
その他の光重合開始剤として具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンヒドロペルオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン(すなわち、ミヒラーズケトン)、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン(すなわち、エチルミヒラーズケトン)、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、「IRGACURE OXE02」、「IRGACURE OXE01」、「IRGACURE 369」、「IRGACURE 651」、「IRGACURE 907」(商品名:BASF製)、「NCI−831」(商品名:ADEKA製)等が挙げられる。これらのその他の光重合開始剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
式(1)で表される化合物が、芳香環に結合するニトロ基を有する化合物である場合、式(1)で表され且つ芳香環に結合するニトロ基を有する化合物と、以下説明する式(B1)で表されるオキシムエステル化合物とを組み合わせて含む(B)光重合開始剤を用いることも、感光性組成物の感度の点で好ましい。
特に、感光性組成物が後述の(C)着色剤を含まない透明な組成物である場合、感光性組成物がかかる(B)光重合開始剤を含むことにより、透明性に優れる硬化物を形成しやすい。
なお、式(1)で表され且つ芳香環に結合するニトロ基を有する化合物と、下式(B1)で表されるオキシムエステル化合物とに対して、これらの化合物以外の光重合開始剤を組み合わせて用いてもよい。
式(1)で表され且つ芳香環に結合するニトロ基を有する化合物としては、例えば、前述の化合物1〜17、及び化合物69〜85が好ましく、化合物1〜17がより好ましい。
(B)光重合開始剤の質量に対する、式(1)で表される化合物の質量の比率は、1〜100質量%が好ましく、50〜100質量%がより好ましく、70〜100質量%以上が特に好ましい。後述の(C)着色剤として、遮光剤を有する場合、又はLED露光用の感光性組成物として用いる場合、式(1)で表される化合物の質量の比率は、50〜100質量%がより好ましく、70〜100質量%以上が特に好ましい。
(B)光重合開始剤が、式(1)で表され且つ芳香環に結合するニトロ基を有する化合物と、式(1)で表され且つニトロ基を有さない化合物とを組み合わせて含む場合、(B)光重合開始剤の質量に対する、式(1)で表され且つ芳香環に結合するニトロ基を有する化合物の質量の比率は、硬化物の用途に応じて適宜変更すればよいが、0.5〜99質量%が好ましく、1〜80質量%がより好ましく、2〜50質量%がさらに好ましい。
(B)光重合開始剤が、式(1)で表され且つ芳香環に結合するニトロ基を有する化合物と、式(B1)で表されるオキシムエステル化合物とを組み合わせて含む場合、(B)光重合開始剤の質量に対する、式(1)で表され且つ芳香環に結合するニトロ基を有する化合物の質量の比率は、硬化物の用途に応じて適宜変更すればよいが、0.5〜99質量%が好ましく、1〜80質量%がより好ましく、2〜50質量%がさらに好ましい。透明性が要求される感光性組成物として用いる場合や、後述の(C)着色剤として遮光剤以外の着色剤を用いる場合は、前記比率は0.5〜20質量%が特に好ましい。また、(B)光重合開始剤の質量に対する、式(B1)で表されるオキシムエステル化合物の質量の比率は、1〜99.5質量%が好ましく、50〜99質量%がより好ましく、70〜98質量%が特に好ましい。
(式(B1)で表されるオキシムエステル化合物)
以下、式(1)で表される化合物とともに好適に使用される、式(B1)で表されるオキシムエステル化合物について説明する。
(R
b1は水素原子、又は1価の有機基であり、R
b2及びR
b3は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子であり、R
b2とR
b3とは相互に結合して環を形成してもよく、R
b4は1価の有機基であり、R
b5は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜11のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、n1は0〜4の整数であり、n2は0又は1である。ただし、式(B1)で表される化合物はニトロ基を有さない。)
このため、式(B1)のオキシムエステル化合物を製造するためのオキシム化合物としては、下式(B2)で表される化合物が好適である。
(R
b1、R
b2、R
b3、R
b4、n1、及びn2は、式(B1)と同様である。)
式(B1)及び(B2)中、Rb1は、水素原子、又は1価の有機基である。Rb1は、式(B1)中のフルオレン環上で、−(CO)n2−で表される基に結合する6員芳香環とは、異なる6員芳香環に結合する。式(B1)中、Rb1のフルオレン環に対する結合位置は特に限定されない。式(B1)で表される化合物が1以上のRb1を有する場合、式(B1)で表される化合物の合成が容易であること等から、1以上のRb1のうちの1つがフルオレン環中の2位に結合するのが好ましい。Rb1が複数である場合、複数のRb1は同一であっても異なっていてもよい。
Rb1が有機基である場合、Rb1は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から適宜選択される。ただし、Rb1は、ニトロ基を有する有機基ではない。Rb1が有機基である場合の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基等が挙げられる。
Rb1がアルキル基である場合、アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、Rb1がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rb1がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rb1がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
Rb1がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、Rb1がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rb1がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、Rb1がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
Rb1がシクロアルキル基又はシクロアルコキシ基である場合、シクロアルキル基又はシクロアルコキシ基の炭素原子数は、3〜10が好ましく、3〜6がより好ましい。Rb1がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。Rb1がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
Rb1が飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、2〜21が好ましく、2〜7がより好ましい。Rb1が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。Rb1が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
Rb1がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜20が好ましく、2〜7がより好ましい。Rb1がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチルオキシカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
Rb1がフェニルアルキル基である場合、フェニルアルキル基の炭素原子数は、7〜20が好ましく、7〜10がより好ましい。また、Rb1がナフチルアルキル基である場合、ナフチルアルキル基の炭素原子数は、11〜20が好ましく、11〜14がより好ましい。Rb1がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。Rb1がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。Rb1が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、Rb1は、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
Rb1がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。Rb1がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
Rb1がヘテロシクリルカルボニル基である場合、ヘテロシクリルカルボニル基に含まれるヘテロシクリル基は、Rb1がヘテロシクリル基である場合と同様である。
Rb1が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜21の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、Rb1と同様である。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n−ブタノイルアミノ基、n−ペンタノイルアミノ基、n−ヘキサノイルアミノ基、n−ヘプタノイルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α−ナフトイルアミノ基、及びβ−ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
Rb1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、及びシアノ基等が挙げられる。Rb1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。Rb1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
以上説明した基の中でも、Rb1としては、Rb6−CO−で表される基であると、感度が向上する傾向があり好ましい。Rb6は、本発明の目的を阻害しない範囲において、ニトロ基を含まない基であれば特に限定されず、種々の有機基から選択できる。Rb6として好適な基の例としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。Rb6として、これらの基の中では、2−メチルフェニル基、チオフェン−2−イル基、及びα−ナフチル基が特に好ましい。
また、Rb1が水素原子であると、透明性が良好となる傾向があり好ましい。なお、Rb1が水素原子であり且つRb4が後述の式(b1b)で表される基であると透明性はより良好となる傾向がある。
式(B1)中、Rb2及びRb3は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子である。ただし、Rb2及びRb3はニトロ基を有する基ではない。Rb2とRb3とは相互に結合して環を形成してもよい。これらの基の中では、Rb2及びRb3として、置換基を有してもよい鎖状アルキル基が好ましい。Rb2及びRb3が置換基を有してもよい鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基は直鎖アルキル基でも分岐鎖アルキル基でもよい。
Rb2及びRb3が置換基を持たない鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6が特に好ましい。Rb2及びRb3が鎖状アルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rb2及びRb3がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
Rb2及びRb3が置換基を有する鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6が特に好ましい。この場合、置換基の炭素原子数は、鎖状アルキル基の炭素原子数に含まれない。置換基を有する鎖状アルキル基は、直鎖状であるのが好ましい。
アルキル基が有してもよい置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。置換基の好適な例としては、シアノ基、ハロゲン原子、環状有機基、及びアルコキシカルボニル基が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらの中では、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。環状有機基としては、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。シクロアルキル基の具体例としては、Rb1がシクロアルキル基である場合の好適な例と同様である。芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。ヘテロシクリル基の具体例としては、Rb1がヘテロシクリル基である場合の好適な例と同様である。Rb1がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基の炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。
鎖状アルキル基が置換基を有する場合、置換基の数は特に限定されない。好ましい置換基の数は鎖状アルキル基の炭素原子数に応じて変わる。置換基の数は、典型的には、1〜20であり、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。
Rb2及びRb3が環状有機基である場合、環状有機基は、脂環式基であっても、芳香族基であってもよい。環状有機基としては、脂肪族環状炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。Rb2及びRb3が環状有機基である場合に、環状有機基が有してもよい置換基は、Rb2及びRb3が鎖状アルキル基である場合と同様である。
Rb2及びRb3が芳香族炭化水素基である場合、芳香族炭化水素基は、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が炭素−炭素結合を介して結合して形成される基であるか、複数のベンゼン環が縮合して形成される基であるのが好ましい。芳香族炭化水素基が、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が結合又は縮合して形成される基である場合、芳香族炭化水素基に含まれるベンゼン環の環数は特に限定されず、3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1が特に好ましい。芳香族炭化水素基の好ましい具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。
Rb2及びRb3が脂肪族環状炭化水素基である場合、脂肪族環状炭化水素基は、単環式であっても多環式であってもよい。脂肪族環状炭化水素基の炭素原子数は特に限定されないが、3〜20が好ましく、3〜10がより好ましい。単環式の環状炭化水素基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基、及びアダマンチル基等が挙げられる。
Rb2及びRb3がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。
Rb2とRb3ととは相互に結合して環を形成してもよい。Rb2とRb3とが形成する環からなる基は、シクロアルキリデン基であるのが好ましい。Rb2とRb3とが結合してシクロアルキリデン基を形成する場合、シクロアルキリデン基を構成する環は、5員環〜6員環であるのが好ましく、5員環であるのがより好ましい。
Rb2とRb3とが結合して形成する基がシクロアルキリデン基である場合、シクロアルキリデン基は、1以上の他の環と縮合していてもよい。シクロアルキリデン基と縮合していてもよい環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、及びピリミジン環等が挙げられる。
以上説明したRb2及びRb3の中でも好適な基の例としては、式−Ab1−Ab2で表される基が挙げられる。式中、Ab1は直鎖アルキレン基であり、Ab2は、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、環状有機基、又はアルコキシカルボニル基である挙げられる。
Ab1の直鎖アルキレン基の炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。Ab2がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシ基の炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。Ab2がハロゲン原子である場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。Ab2がハロゲン化アルキル基である場合、ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。ハロゲン化アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。Ab2が環状有機基である場合、環状有機基の例は、Rb2及びRb3が置換基として有する環状有機基と同様である。Ab2がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の例は、Rb2及びRb3が置換基として有するアルコキシカルボニル基と同様である。
Rb2及びRb3の好適な具体例としては、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、及びn−オクチル基等のアルキル基;2−メトキシエチル基、3−メトキシ−n−プロピル基、4−メトキシ−n−ブチル基、5−メトキシ−n−ペンチル基、6−メトキシ−n−ヘキシル基、7−メトキシ−n−ヘプチル基、8−メトキシ−n−オクチル基、2−エトキシエチル基、3−エトキシ−n−プロピル基、4−エトキシ−n−ブチル基、5−エトキシ−n−ペンチル基、6−エトキシ−n−ヘキシル基、7−エトキシ−n−ヘプチル基、及び8−エトキシ−n−オクチル基等のアルコキシアルキル基;2−シアノエチル基、3−シアノ−n−プロピル基、4−シアノ−n−ブチル基、5−シアノ−n−ペンチル基、6−シアノ−n−ヘキシル基、7−シアノ−n−ヘプチル基、及び8−シアノ−n−オクチル基等のシアノアルキル基;2−フェニルエチル基、3−フェニル−n−プロピル基、4−フェニル−n−ブチル基、5−フェニル−n−ペンチル基、6−フェニル−n−ヘキシル基、7−フェニル−n−ヘプチル基、及び8−フェニル−n−オクチル基等のフェニルアルキル基;2−シクロヘキシルエチル基、3−シクロヘキシル−n−プロピル基、4−シクロヘキシル−n−ブチル基、5−シクロヘキシル−n−ペンチル基、6−シクロヘキシル−n−ヘキシル基、7−シクロヘキシル−n−ヘプチル基、8−シクロヘキシル−n−オクチル基、2−シクロペンチルエチル基、3−シクロペンチル−n−プロピル基、4−シクロペンチル−n−ブチル基、5−シクロペンチル−n−ペンチル基、6−シクロペンチル−n−ヘキシル基、7−シクロペンチル−n−ヘプチル基、及び8−シクロペンチル−n−オクチル基等のシクロアルキルアルキル基;2−メトキシカルボニルエチル基、3−メトキシカルボニル−n−プロピル基、4−メトキシカルボニル−n−ブチル基、5−メトキシカルボニル−n−ペンチル基、6−メトキシカルボニル−n−ヘキシル基、7−メトキシカルボニル−n−ヘプチル基、8−メトキシカルボニル−n−オクチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、3−エトキシカルボニル−n−プロピル基、4−エトキシカルボニル−n−ブチル基、5−エトキシカルボニル−n−ペンチル基、6−エトキシカルボニル−n−ヘキシル基、7−エトキシカルボニル−n−ヘプチル基、及び8−エトキシカルボニル−n−オクチル基等のアルコキシカルボニルアルキル基;2−クロロエチル基、3−クロロ−n−プロピル基、4−クロロ−n−ブチル基、5−クロロ−n−ペンチル基、6−クロロ−n−ヘキシル基、7−クロロ−n−ヘプチル基、8−クロロ−n−オクチル基、2−ブロモエチル基、3−ブロモ−n−プロピル基、4−ブロモ−n−ブチル基、5−ブロモ−n−ペンチル基、6−ブロモ−n−ヘキシル基、7−ブロモ−n−ヘプチル基、8−ブロモ−n−オクチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−n−ペンチル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
Rb2及びRb3として、上記の中でも好適な基は、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、2−メトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−フェニルエチル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−n−ペンチル基である。
Rb4は1価の有機基であるが、当該有機基はニトロ基を有さない。Rb4の好適な有機基の例としては、Rb1と同様に、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基等が挙げられる。これらの基の具体例は、Rb1について説明したものと同様である。また、Rb4としてはシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェノキシアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基、も好ましい。フェノキシアルキル基、及びフェニルチオアルキル基が有していてもよい置換基は、Rb1に含まれるフェニル基が有していてもよい置換基と同様である。
有機基の中でも、Rb4としては、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又はシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基が好ましい。アルキル基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1〜4のアルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。置換基を有していてもよいフェニル基の中では、メチルフェニル基が好ましく、2−メチルフェニル基がより好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるシクロアルキル基の炭素原子数は、5〜10が好ましく、5〜8がより好ましく、5又は6が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、2が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基の中では、シクロペンチルエチル基が好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、2が特に好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基の中では、2−(4−クロロフェニルチオ)エチル基が好ましい。
また、Rb4としては、−Ab3−CO−O−Ab4で表される基も好ましい。Ab3は、2価の有機基であり、2価の炭化水素基であるのが好ましく、アルキレン基であるのが好ましい。Ab4は、1価の有機基であり、1価の炭化水素基であるのが好ましい。
Ab3がアルキレン基である場合、アルキレン基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。Ab3がアルキレン基である場合、アルキレン基の炭素原子数は1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4が特に好ましい。
Ab4の好適な例としては、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、及び炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられる。Ab4の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチルメチル基、及びβ−ナフチルメチル基等が挙げられる。
−Ab3−CO−O−Ab4で表される基の好適な具体例としては、2−メトキシカルボニルエチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、2−n−プロピルオキシカルボニルエチル基、2−n−ブチルオキシカルボニルエチル基、2−n−ペンチルオキシカルボニルエチル基、2−n−ヘキシルオキシカルボニルエチル基、2−ベンジルオキシカルボニルエチル基、2−フェノキシカルボニルエチル基、3−メトキシカルボニル−n−プロピル基、3−エトキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−プロピルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ブチルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ペンチルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ヘキシルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−ベンジルオキシカルボニル−n−プロピル基、及び3−フェノキシカルボニル−n−プロピル基等が挙げられる。
以上、R
b4について説明したが、R
b4としては、下記式(b1a)又は(b1b)で表される基が好ましい。
(式(b1a)及び(b1b)中、R
b7及びR
b8はそれぞれ有機基であり、n3は0〜4の整数であり、R
b7及びR
b8がベンゼン環上の隣接する位置に存在する場合、R
b7とR
b8とが互いに結合して環を形成してもよく、n4は1〜8の整数であり、n5は1〜5の整数であり、n6は0〜(n5+3)の整数であり、R
b9は有機基である。)
式(b1a)中のRb7及びRb8についての有機基の例は、Rb1と同様である。Rb7としては、アルキル基又はフェニル基が好ましい。Rb7がアルキル基である場合、その炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましく、1が最も好ましい。つまり、Rb7はメチル基であるのが最も好ましい。Rb7とRb8とが結合して環を形成する場合、当該環は、芳香族環でもよく、脂肪族環でもよい。式(b1a)で表される基であって、Rb7とRb8とが環を形成している基の好適な例としては、ナフタレン−1−イル基や、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−5−イル基等が挙げられる。上記式(b1a)中、n3は0〜4の整数であり、0又は1であるのが好ましく、0であるのがより好ましい。
上記式(b1b)中、Rb9は有機基である。有機基としては、Rb1について説明した有機基と同様の基が挙げられる。有機基の中では、アルキル基が好ましい。アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。アルキル基の炭素原子数は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。Rb9としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基であることがより好ましい。
上記式(b1b)中、n5は1〜5の整数であり、1〜3の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。上記式(b1b)中、n6は0〜(n5+3)であり、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0が特に好ましい。上記式(b1b)中、n4は1〜8の整数であり、1〜5の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1又は2が特に好ましい。
式(B1)中、Rb5は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜11のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基である。Rb5がアルキル基である場合に有してもよい置換基としては、フェニル基、ナフチル基等が好ましく例示される。また、Rb1がアリール基である場合に有してもよい置換基としては、炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が好ましく例示される。
式(B1)中、Rb5としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、ナフチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
式(B1)で表される化合物は、前述の式(B2)で表される化合物に含まれるオキシム基(>C=N−OH)を、>C=N−O−CORb5で表されるオキシムエステル基に変換する工程を含む方法により製造される。Rb5は、式(B1)中のRb5と同様である。
オキシム基(>C=N−OH)の、>C=N−O−CORb5で表されるオキシムエステル基への変換は、前述の式(B2)で表される化合物と、アシル化剤とを反応させることにより行われる。
−CORb5で表されるアシル基を与えるアシル化剤としては、(Rb5CO)2Oで表される酸無水物や、Rb5COHal(Halはハロゲン原子)で表される酸ハライドが挙げられる。
式(B1)で表される化合物は、n2が0である場合、例えば、下記スキーム3に従って合成することができる。スキーム3では、下記式(b1−1)で表されるフルオレン誘導体を原料として用いる。Rb1が1価の有機基である場合、式(b1−1)で表されるフルオレン誘導体は、9位をRb2及びRb3で置換されたフルオレン誘導体に、周知の方法によって、置換基Rb1を導入して得ることができる。9位をRb2及びRb3で置換されたフルオレン誘導体は、例えば、Rb2及びRb3がアルキル基である場合、特開平06−234668号公報に記載されるように、アルカリ金属水酸化物の存在下に、非プロトン性極性有機溶媒中で、フルオレンとアルキル化剤とを反応させて得ることができる。また、フルオレンの有機溶媒溶液中に、ハロゲン化アルキルのようなアルキル化剤と、アルカリ金属水酸化物の水溶液と、ヨウ化テトラブチルアンモニウムやカリウムtert−ブトキシドのような相間移動触媒とを添加してアルキル化反応を行うことで、9,9−アルキル置換フルオレンを得ることができる。
式(b1−1)で表されるフルオレン誘導体に、フリーデルクラフツアシル化反応により、−CO−Rb4で表されるアシル基を導入し、式(b1−3)で表されるフルオレン誘導体が得られる。を、−CO−Rb4で表されるアシル基を導入するためのアシル化剤は、ハロカルボニル化合物であってもよく、酸無水物であってもよい。アシル化剤としては、式(b1−2)で表されるハロカルボニル化合物が好ましい。式(b1−2)中、Halはハロゲン原子である。フルオレン環上にアシル基が導入される位置は、フリーデルクラフツ反応の条件を適宜変更したり、アシル化される位置の他の位置に保護及び脱保護を施したりする方法で、選択することができる。
次いで、得られる式(b1−3)で表されるフルオレン誘導体中の−CO−Rb4で表される基を、−C(=N−OH)−Rb4で表される基に変換し、式(b1−4)で表されるオキシム化合物を得る。−CO−Rb4で表される基を、−C(=N−OH)−Rb4で表される基に変換する方法は特に限定されないが、ヒドロキシルアミンによるオキシム化が好ましい。式(b1−4)のオキシム化合物と、下式(b1−5)で表される酸無水物((Rb5CO)2O)、又は下記式(b1−6)で表される酸ハライド(Rb5COHal、Halはハロゲン原子。)とを反応させて、下記式(b1−7)で表される化合物を得ることができる。
なお、式(b1−1)、(b1−2)、(b1−3)、(b1−4)、(b1−5)、(b1−6)、及び(b1−7)において、Rb1、Rb2、Rb3、Rb4、及びRb5は、式(B1)と同様である。
また、スキーム3において、式(b1−2)、式(b1−3)、及び式(b1−4)それぞれに含まれるRb4は、同一であっても異なってもいてもよい。つまり、式(b1−2)、式(b1−3)、及び式(b1−4)中のRb4は、スキーム3として示される合成過程において、化学修飾を受けてもよい。化学修飾の例としては、エステル化、エーテル化、アシル化、アミド化、ハロゲン化、アミノ基中の水素原子の有機基による置換等が挙げられる。Rb4が受けてもよい化学修飾はこれらに限定されない。
式(B1)で表される化合物は、n2が1である場合、例えば、下記スキーム4に従って合成することができる。スキーム4では、下記式(b2−1)で表されるフルオレン誘導体を原料として用いる。式(b2−1)で表されるフルオレン誘導体は、スキーム3と同様の方法によって、式(b1−1)で表される化合物に、フリーデルクラフツ反応によって−CO−CH2−Rb4で表されるアシル基を導入して得られる。アシル化剤としては、式(b1−8):Hal−CO−CH2−Rb4で表されるカルボン酸ハライドが好ましい。次いで、式(b2−1)で表される化合物中の、Rb4とカルボニル基との間に存在するメチレン基をオキシム化して、下式(b2−3)で表されるケトオキシム化合物を得る。メチレン基をオキシム化する方法は特に限定されないが、塩酸の存在下に下式(b2−2)で表される亜硝酸エステル(RONO、Rは炭素原子数1〜6のアルキル基。)を反応させる方法が好ましい。次いで、下記式(b2−3)で表されるケトオキシム化合物と、下記式(b2−4)で表される酸無水物((Rb5CO)2O)、又は下記式(b2−5)で表される酸ハライド(Rb5COHal、Halはハロゲン原子。)とを反応させて、下記式(b2−6)で表される化合物を得ることができる。なお、下記式(b2−1)、(b2−3)、(b2−4)、(b2−5)、及び(b2−6)において、Rb1、Rb2、Rb3、Rb4、及びRb5は、式(B1)と同様である。
n2が1である場合、式(B1)で表される化合物を含有する感光性組成物を用いて形成されるパターン中での異物の発生をより低減できる傾向がある。
また、スキーム4において、式(b1−8)、式(b2−1)、及び式(b2−3)それぞれに含まれるRb4は、同一であっても異なってもいてもよい。つまり、式(b1−8)、式(b2−1)、及び式(b2−3)中のRb4は、スキーム4として示される合成過程において、化学修飾を受けてもよい。化学修飾の例としては、エステル化、エーテル化、アシル化、アミド化、ハロゲン化、アミノ基中の水素原子の有機基による置換等が挙げられる。Rb4が受けてもよい化学修飾はこれらに限定されない。
式(B1)で表される化合物の好適な具体例としては、以下のPI−1〜PI−37が挙げられる。
感光性組成物における(B)光重合開始剤の含有量は、感光性組成物(溶剤を除く)合計100質量部に対して0.001〜30質量部が好ましく、0.1〜20質量部がより好ましく、0.5〜10質量部がさらに好ましい。
また、(B)光重合開始剤の含有量は、(A)光重合性化合物の質量と(B)光重合開始剤の質量との総和に対し、0.1〜50質量%であることが好ましく、0.5〜30質量%であることがより好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましい。
<(C)着色剤>
感光性組成物は、さらに(C)着色剤を含んでもよい。感光性組成物は、(C)着色剤を含むことにより、例えば、液晶表示ディスプレイ等の表示装置のカラーフィルタ形成用途として好ましく使用される。また、感光性組成物は、(C)着色剤として遮光剤を含むことにより、例えば、表示装置のカラーフィルタにおけるブラックマトリクス形成用途として好ましく使用される。
感光性組成物に配合される(C)着色剤としては、特に限定されないが、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)において、ピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されている化合物を用いるのが好ましい。
好適に使用できる黄色顔料の例としては、C.I.ピグメントイエロー1(以下、「C.I.ピグメントイエロー」は同様であり、番号のみを記載する。)、3、11、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、55、60、61、65、71、73,74、81、83、86、93、95、97、98、99、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、166、167、168、175、180、及び185が挙げられる。
好適に使用できる橙色顔料の例としては、C.I.ピグメントオレンジ1(以下、「C.I.ピグメントオレンジ」は同様であり、番号のみを記載する。)、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、55、59、61、63、64、71、及び73が挙げられる。
好適に使用できる紫色顔料の例としては、C.I.ピグメントバイオレット1(以下、「C.I.ピグメントバイオレット」は同様であり、番号のみを記載する。)、19、23、29、30、32、36、37、38、39、40、及び50が挙げられる。
好適に使用できる赤色顔料の例としては、C.I.ピグメントレッド1(以下、「C.I.ピグメントレッド」は同様であり、番号のみを記載する。)2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、108、112、113、114、122、123、144、146、149、150、151、155、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、180、185、187、188、190、192、193、194、202、206、207、208、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、243、245、254、255、264、及び265が挙げられる。
好適に使用できる青色顔料の例としては、C.I.ピグメントブルー1(以下、「C.I.ピグメントブルー」は同様であり、番号のみを記載する。)、2、15、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、及び66が挙げられる。
好適に使用できる、上記の他の色相の顔料の例としては、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37等の緑色顔料、C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン26、C.I.ピグメントブラウン28等の茶色顔料、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7等の黒色顔料が挙げられる。
また、(C)着色剤を遮光剤とする場合、遮光剤としては黒色顔料を用いることが好ましい。黒色顔料としては、カーボンブラック、ペリレン系顔料、ラクタム系顔料、チタンブラック、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属硫酸塩又は金属炭酸塩等、有機物、無機物を問わず各種の顔料を挙げることができる。これらの中でも、高い遮光性を有するカーボンブラックを用いることが好ましい。
カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック等の公知のカーボンブラックを用いることができるが、遮光性に優れるチャンネルブラックを用いることが好ましい。また、樹脂被覆カーボンブラックを使用してもよい。
樹脂被覆カーボンブラックは、樹脂被覆のないカーボンブラックに比べて導電性が低い。このため、樹脂被覆カーボンブラックを含む感光性組成物を用いてブラックマトリクスを形成する場合、液晶表示ディスプレイのような表示素子における電流のリークが少なく、信頼性の高い低消費電力のディスプレイを製造できる。
また、カーボンブラックの色調を調整するために、補助顔料として上記の有機顔料を適宜添加してもよい。
上記の(C)着色剤を感光性組成物において均一に分散させるために、さらに分散剤を使用してもよい。このような分散剤としては、ポリエチレンイミン系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系の高分子分散剤を用いることが好ましい。特に、(C)着色剤として、カーボンブラックを用いる場合には、分散剤としてアクリル樹脂系の分散剤を用いることが好ましい。
また、無機顔料と有機顔料はそれぞれ単独又は2種以上併用してもよい。併用する場合には、無機顔料と有機顔料との総量100質量部に対して、有機顔料を10〜80質量部の範囲で用いることが好ましく、20〜40質量部の範囲で用いることがより好ましい。
感光性組成物における(C)着色剤の使用量は、感光性組成物の用途に応じて適宜決定すればよい。一例として、感光性組成物の固形分の合計100質量部に対して、5〜70質量部が好ましく、25〜60質量部がより好ましい。上記の範囲とすることにより、目的とするパターンでブラックマトリクスや各着色層を形成することができ、好ましい。
特に、感光性組成物を使用してブラックマトリクスを形成する場合には、ブラックマトリクスの被膜1μm当たりのOD値が4以上となるように感光性組成物における遮光剤の量を調整することが好ましい。ブラックマトリクスにおける被膜1μm当たりのOD値が4以上あれば、液晶表示ディスプレイ等の表示装置におけるブラックマトリクスに用いた場合に、十分な表示コントラストを得ることができる。
(C)着色剤は、分散剤を用いて適当な濃度で分散させた分散液とした後、感光性組成物に添加することが好ましい。
<(D)アルカリ可溶性樹脂>
感光性組成物は、光重合性化合物として使用される樹脂以外の他の樹脂として、(D)アルカリ可溶性樹脂を含んでいてもよい。感光性組成物に(D)アルカリ可溶性樹脂を配合することで、感光性組成物にアルカリ現像性を付与することができる。
本明細書において(D)アルカリ可溶性樹脂とは、樹脂濃度20質量%の樹脂溶液(溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)により、膜厚1μmの樹脂膜を基板上に形成し、濃度0.05質量%のKOH水溶液に1分間浸漬した際に、膜厚0.01μm以上溶解するものをいう。
(D)アルカリ可溶性樹脂の中では、製膜性に優れる点や、単量体の選択によって樹脂の特性を調整しやすいこと等から、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合体が好ましい。エチレン性不飽和二重結合を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸アミド;クロトン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、これらジカルボン酸の無水物;酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル、及びアリルオキシエタノールのようなアリル化合物;ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロロフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロロフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、及びビニルアントラニルエーテルのようなビニルエーテル;ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルジクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフエニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ安息香酸ビニル、テトラクロロ安息香酸ビニル、及びナフトエ酸ビニルのようなビニルエステル;スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、テトラクロロスチレン、ペンタクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2−ブロモ−4−トリフルオロメチルスチレン、及び4−フルオロ−3−トリフルオロメチルスチレンのようなスチレン又はスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセンのようなオレフィンが挙げられる。
エチレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合体である(D)アルカリ可溶性樹脂は、通常、不飽和カルボン酸に由来する単位を含む。不飽和カルボン酸の例としては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸アミド;クロトン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、これらジカルボン酸の無水物が挙げられる。(D)アルカリ可溶性樹脂として使用されるエチレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合体に含まれる、不飽和カルボン酸に由来する単位の量は、樹脂が所望するアルカリ可溶性を有する限り特に限定されない。(D)アルカリ可溶性樹脂として使用される樹脂中の、不飽和カルボン酸に由来する単位の量は、樹脂の質量に対して、5〜25質量%が好ましく、8〜16質量%がより好ましい。
以上例示した単量体から選択される1種以上の単量体の重合体である、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合体の中では、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体が好ましい。以下、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体について説明する。
(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体の調製に用いられる、(メタ)アクリル酸エステルは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、公知の(メタ)アクリル酸エステルから適宜選択される。
(メタ)アクリル酸エステルの好適な例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリレート等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル(メタ)アクリレート;クロロエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート;エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステル;脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステル、及び脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルの詳細については後述する。
(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体の中では、感光性組成物を用いて形成される透明絶縁膜の基材への密着性や機械的強度が優れる点から、エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含む樹脂が好ましい。
エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、鎖状脂肪族エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルであっても、後述するような、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルであってもよい。
エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、芳香族基を含んでいてもよい。芳香族基を構成する芳香環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環が挙げられる。芳香族基を有し、且つエポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルの例としては、4−グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート、2−グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート、4−グリシジルオキシフェニルメチル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシフェニルメチル(メタ)アクリレート、及び2−グリシジルオキシフェニルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
感光性組成物を用いて形成される膜が透明性を要求される場合、エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸は、芳香族基を含まないのが好ましい。
鎖状脂肪族エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルの例としては、エポキシアルキル(メタ)アクリレート、及びエポキシアルキルオキシアルキル(メタ)アクリレート等のような、エステル基(−O−CO−)中のオキシ基(−O−)に鎖状脂肪族エポキシ基が結合する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。このような(メタ)アクリル酸エステルが有する鎖状脂肪族エポキシ基は、鎖中に1又は複数のオキシ基(−O−)を含んでいてもよい。鎖状脂肪族エポキシ基の炭素原子数は、特に限定されないが、3〜20が好ましく、3〜15がより好ましく、3〜10が特に好ましい。
鎖状脂肪族エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート等のエポキシアルキル(メタ)アクリレート;2−グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシ−n−プロピル(メタ)アクリレート、4−グリシジルオキシ−n−ブチル(メタ)アクリレート、5−グリシジルオキシ−n−ヘキシル(メタ)アクリレート、6−グリシジルオキシ−n−ヘキシル(メタ)アクリレート等のエポキシアルキルオキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含む、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体における、エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の含有量は、樹脂の重量に対して、1〜95質量%が好ましく、40〜80質量%がより好ましい。
また、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体の中では、感光性組成物を用いて透明性に優れる透明絶縁膜を形成しやすいことから、脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含む樹脂も好ましい。
脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルにおいて、脂環式骨格を有する基は、脂環式炭化水素基を有する基であっても、脂環式エポキシ基を有する基であってもよい。脂環式骨格を構成する脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。
脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルのうち、脂環式炭化水素基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば下記式(d1−1)〜(d1−8)で表される化合物が挙げられる。これらの中では、下記式(d1−3)〜(d1−8)で表される化合物が好ましく、下記式(d1−3)又は(d1−4)で表される化合物がより好ましい。
上記式中、Rd1は水素原子又はメチル基を示し、Rd2は単結合又は炭素原子数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、Rd3は水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を示す。Rd2としては、単結合、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。Rd3としては、メチル基、エチル基が好ましい。
脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルのうち、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、例えば下記式(d2−1)〜(d2−16)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、感光性組成物の現像性を適度なレベルとするためには、下記式(d2−1)〜(d2−6)で表される化合物が好ましく、下記式(d2−1)〜(d2−4)で表される化合物がより好ましい。
上記式中、Rd4は水素原子又はメチル基を示し、Rd5は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、Rd6は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を示し、nは0〜10の整数を示す。Rd5としては、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。Rd6としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、フェニレン基、シクロヘキシレン基、−CH2−Ph−CH2−(Phはフェニレン基を示す)が好ましい。
(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体が、脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含む樹脂である場合、樹脂中の脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の量は、5〜95質量%が好ましく、10〜90質量%がより好ましく、30〜70質量%がさらに好ましい。
また、脂環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含む、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体の中では、(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂が好ましい。このような(D)アルカリ可溶性樹脂を含む感光性組成物を用いて形成される膜は、基材に対する密着性に優れる。また、このような樹脂を用いる場合、樹脂に含まれるカルボキシル基と、脂環式エポキシ基との自己反応を生じさせることが可能である。このため、このような樹脂を含む感光性組成物を用いると、膜を加熱する方法等を用いて、カルボキシル基と、脂環式エポキシ基との自己反応を生じさせることによって、形成される膜の硬度のような機械的物性を向上させることができる。
(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂において、樹脂中の、(メタ)アクリル酸に由来する単位の量は、1〜95質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂において、樹脂中の、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の量は、1〜95質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。
(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上の単量体の重合体の中では、(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂が好ましい。
(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂において、樹脂中の、(メタ)アクリル酸に由来する単位の量は、1〜95質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂において、樹脂中の、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の量は、1〜95質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましい。(メタ)アクリル酸に由来する単位と、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂において、樹脂中の、脂環式エポキシ基を有する基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の量は、1〜95質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましい。
(D)アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量(Mw:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)のポリスチレン換算による測定値。本明細書において同じ。)は、2000〜200000であることが好ましく、2000〜18000であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感光性組成物の膜形成能、露光後の現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
感光性組成物が(D)アルカリ可溶性樹脂を含む場合、感光性組成物中の(D)アルカリ可溶性樹脂の含有量は、感光性組成物の固形分中、15〜95質量%が好ましく、35〜85質量%がより好ましく、50〜70質量%が特に好ましい。
<その他の成分>
感光性組成物には、必要に応じて、各種の添加剤を含んでいてもよい。具体的には、溶剤、増感剤、硬化促進剤、光架橋剤、光増感剤、分散助剤、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、熱重合禁止剤、消泡剤、界面活性剤等が例示される。
感光性組成物に使用される溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、蟻酸n−ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記溶剤の中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、3−メトキシブチルアセテートは、上述の(A)成分及び(B)成分に対して優れた溶解性を示すとともに、上述の(C)成分の分散性を良好にすることができるため好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテートを用いることが特に好ましい。溶剤は、感光性組成物の用途に応じて適宜決定すればよいが、一例として、感光性組成物の固形分の合計100質量部に対して、50〜900質量部程度が挙げられる。
本発明に係る感光性組成物に使用される熱重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノエチルエーテル等を挙げることができる。また、消泡剤としては、シリコーン系、フッ素系等の化合物を、界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン等の化合物を、それぞれ例示できる。
<感光性組成物の調製方法>
感光性組成物は、上記の各成分を全て撹拌機で混合することにより調製される。なお、調製された感光性組成物が顔料等の不溶性の成分を含まない場合、感光性組成物が均一となるようフィルタを用いて濾過してもよい。
≪硬化物≫
以上説明した、(A)光重合性化合物と、式(1)で表される化合物を含む(B)光重合開始剤と、任意に(C)着色剤とを含む感光性組成物は、露光されることにより硬化される。かかる感光性組成物の硬化物は種々の用途に使用される。
例えば、硬化物の用途としては、絶縁膜が挙げられる。感光性組成物が(C)着色剤を含まない場合には、透明絶縁膜が形成される。感光性組成物が(C)着色剤を含む場合には、着色された絶縁膜が形成される。特に、(C)着色剤が黒色の遮光剤である場合、遮光性の黒色絶縁膜が形成される。
遮光性の黒色絶縁膜の好適な例としては、種々の画像表示装置用のパネルが備える、ブラックマトリクス中の黒色の隔壁や、ブラックカラムスペーサが挙げられる。
また、感光性組成物がRGB等の有彩色の(C)着色剤を含む場合、ブラックマトリクスにより区画された領域に着色された硬化膜を形成してカラーフィルタを製造することができる。
例えば、上記のブラックマトリクスや、有彩色の硬化膜を硬化物として含むカラーフィルタは、種々の表示装置において好適に使用される。
≪硬化膜の形成方法≫
以上説明した感光性組成物を用いて、絶縁膜やカラーフィルタとして使用される硬化膜を形成する方法を以下に説明する。感光性組成物を用いて形成される硬化膜は、必要に応じてパターン化されていてもよい。
本発明の感光性組成物を用いて硬化膜を形成するには、まず、ロールコータ、リバースコータ、バーコータ等の接触転写型塗布装置やスピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコータ等の非接触型塗布装置を用いて、基板上に感光性組成物を塗布する。
次いで、塗布された感光性組成物を乾燥させて塗布膜を形成させる。乾燥方法は、特に限定されず、例えば、(1)ホットプレートにて80〜120℃、好ましくは90〜100℃の温度にて60〜120秒間乾燥させる方法、(2)室温にて数時間〜数日間放置する方法、(3)温風ヒータや赤外線ヒータ中に数十分間〜数時間入れて溶剤を除去する方法等が挙げられる。
次いで、この塗布膜に、紫外線、エキシマレーザー光等の活性エネルギー線を照射して露光する。露光は、例えば、ネガ型のマスクを介して露光を行う方法等により、位置選択的に行われてもよい。照射するエネルギー線量は、感光性組成物の組成によっても異なるが、例えば40〜200mJ/cm2程度が好ましい。既に説明したように、本発明に係る感光性組成物は感度に優れるため、本発明の感光性組成物を用いることで、液晶表示ディスプレイパネルのような表示装置の生産性を向上させることができる。
塗布膜が位置選択的に露光された場合、露光後の膜を、現像液により現像することによって所望の形状にパターニングする。現像方法は、特に限定されず、例えば、浸漬法、スプレー法等を用いることができる。現像液は、感光性組成物の組成に応じて適宜選択される。感光性組成物が、アルカリ可溶性樹脂のようなアルカリ可溶性の成分を含む部場合、現像液としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系の現像液や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の水溶液を用いることができる。
次いで、現像後のパターンに対して200〜250℃程度でポストベークを行うことが好ましい。
このようにして形成されるパターン化された硬化膜は、例えば、液晶表示ディスプレイ等のような表示装置において使用される、絶縁膜や、カラーフィルタを構成する画素及びブラックマトリクス等の用途に好適に用いることができる。このような、絶縁膜や、カラーフィルタや、当該カラーフィルタの使用された表示装置も本発明の1つである。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されない。
以下、参考例1〜5により、式(1)で表される化合物の合成方法の概略を示す。
[参考例1]
化合物2の合成
以下の合成方法に従って、前述の化合物2を合成した。なお、下記合成スキームにおける略号の意味は以下の通りである
tBu:tert−ブチル基
Pr:n−プロピル基
Ac:アセチル基
反応容器にテトラヒドロフラン(THF)500質量部、及びカリウムtert−ブトキシド68.7質量部を仕込んだ後、2−ブロモフルオレン50.0質量部を添加した。
次いで、反応容器に、1−ブロモプロパン56.1質量部を滴下し、40℃で3時間撹拌した。この反応液を室温まで冷却した後に酢酸エチル、水を注入して分液、水洗した。油層を濃縮し、2−ブロモ−9,9−ジプロピルフルオレン67.2質量部(収率100%、HPLC純度92%)を得た。
得られた2−ブロモ−9,9−ジプロピルフルオレン50.0質量部、塩化メチレン500質量部、及び無水塩化アルミニウム30.4質量部を反応容器に仕込み、0℃に冷却した。
プロピオニルクロライド16.9質量部を滴下後、10℃で3時間撹拌した。氷水に反応液を注入して、分液し、5%重曹水、及び水にて油層を洗浄した。油層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離精製して、化合物2a46.8質量部(収率80%、HPLC純度95%)を得た。
化合物2a30.0質量部にTHF150質量部を加え、次いで4−ニトロフェニルボロン酸15.6質量部、及び炭酸カリウム21.5質量部を加えた。次いで、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物0.6質量部、及び水3質量部を添加した後、還流温度で5時間撹拌した。
この反応液を室温まで冷却後、不溶解分をろ過し、ろ液を濃縮乾固した後にシリカゲルクロマトグラフィーにより単離生成して、化合物2b24.7質量部(収率75%、HPLC純度95%)を得た。
化合物2b15.0質量部に、メタノール75.0質量部、ヒドロキシルアミン塩酸塩7.4質量部、及び酢酸ナトリウム6.9質量部を添加し、60℃で5時間撹拌した。この反応液を室温まで冷却し、水25質量部を加えてろ過し、メタノール、次いで水で洗浄した。送風乾燥で乾燥して、化合物2c15.5質量部(収率100%、HPLC純度90%)を得た。
化合物2c10.0質量部に、酢酸エチル50.0質量部と無水酢酸9.3質量部を加えて、40℃で5時間撹拌した。反応液を室温まで冷却後、メタノール10.0質量部を加えて30分撹拌後、析出した固体をろ過した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離精製し、化合物2を5.5質量部(収率50%、HPLC純度98%)得た。得られた化合物2の構造は、1H−NMRスペクトル(CDCl3)により確認した。1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:8.30−8.35(m:2H)、7.71−7.85(m:6H)、7.58−7.65(m:2H)、2.93(q:2H)、2.30(s:3H)、1.98−2.10(m:4H)、1.24(t:3H)、0.64−0.76(m:10H)
[参考例2]
化合物37の合成
プロピオニルクロライドをブチリルクロライドに変更することと、4−ニトロフェニルボロン酸を4−シアノフェニルボロン酸に変更することとを除いて、参考例1と同様にして、下記化合物37を得た。
以下の合成方法に従って、前述の化合物37を合成した。なお、下記合成スキームにおける略号の意味は実施例1と同様である
プロピオニルクロライドをブチリルクロライドに変更することを除いて、実施例1と同様にして化合物37aを得た。
化合物37a20質量部に、THF80質量部、メタノール80質量部、酢酸ナトリウム6.2質量部、ヒドロキシルアミン塩酸塩5.2質量部を加えて60℃で5時間撹拌した。この反応液を室温まで冷却し、水60質量部を加えてろ過し、メタノールで洗浄した。送風乾燥で乾燥して、化合物37b19.8質量部(収率95%、HPLC純度90%)を得た。
化合物37b15.0質量部にTHF75質量部を加え、次いで4−シアノフェニルボロン酸6.4質量部、及び炭酸カリウム7.6質量部を加えた。次いで、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物0.3質量部、及び水3質量部を添加した後、還流温度で5時間撹拌した。
この反応液を室温まで冷却後、不溶解分をろ過し、ろ液を濃縮乾固した後にシリカゲルクロマトグラフィーにより単離生成して、化合物37c8.1質量部(収率52%、HPLC純度95%)を得た。
化合物37c5.0質量部に、酢酸エチル25.0質量部と無水酢酸2.4質量部を加えて、40℃で5時間撹拌した。反応液を室温まで冷却後、メタノール10.0質量部を加えて30分撹拌後、析出した固体をろ過した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離精製し、化合物37を2.7質量部(収率50%、HPLC純度98%)得た。
得られた化合物37の構造は、1H−NMRスペクトル(CDCl3)により確認した。1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:7.67−7.82(m:8H)、7.55−7.60(m:2H)、2.90(t:2H)、2.30(s:3H)、1.93−2.07(m:4H)、1.65(sep:2H)、1.12(t:3H)、0.65−0.70(m:10H)
[参考例3]
化合物20の合成
プロピオニルクロライドをブチリルクロライドに変更することと、4−ニトロフェニルボロン酸を3−ニトロフェニルボロン酸に変更することとを除いて、参考例1と同様にして、下記化合物20を得た。
得られた化合物20の構造は、1H−NMRスペクトル(CDCl3)により確認した。1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:8.52(t:1H)、8.19−8.25(m:1H)、7.96−8.02(m:1H)、7.58−7.86(m:7H)、2.91(q:2H)、2.29(s:3H)、1.96−2.12(m:4H)、1.58−1.70(m:2H)、1.02(t:3H)、0.58−0.75(m:10H)
[参考例4]
化合物28の合成
以下の合成方法に従って、前述の化合物28を合成した。なお、下記合成スキームにおける略号の意味は参考例1と同様である
プロピオニルクロライドをブチリルクロライドに変更することと、4−ニトロフェニルボロン酸を3−ニトロフェニルボロン酸に変更することとを除いて、参考例1と同様にして化合物28bを得た。
化合物28b20質量部に、THF150質量部、35%塩酸12.0質量部を加えた。亜硝酸イソペンチル8.1質量部を室温でゆっくり加え、7時間撹拌を継続した。得られた反応液を濃縮乾固し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離精製して、化合物28c11.9質量部(収率55%、HPLC純度95%)を得た。
得られた化合物28c10.0質量部に酢酸エチル100質量部、無水酢酸2.6質量部を加え、40℃で5時間撹拌した。反応液を室温まで冷却後、濃縮乾固し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離精製して、化合物28を8.2質量部(収率75%、HPLC純度97%)得た。
得られた化合物28の構造は、1H−NMRスペクトル(CDCl3)により確認した。1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:8.53(t:1H)、8.20−8.26(m:1H)、8.07−8.16(m:2H)、7.96−8.02(m:1H)、7.83(q:2H),7.58−7.68(m:3H)、2.85(q:2H)、2.30(s:3H)、1.96−2.15(m:4H)、1.22(t:3H)、0.58−0.80(m:10H)
[参考例5]
化合物137の合成
2−ブロモ−9,9−ジプロピルフルオレンをN−エチル−3−ブロモカルバゾールに変更することと、4−ニトロフェニルボロン酸を3−ニトロフェニルボロン酸に変更することと、プロピオニルクロライドを4−((1−メトキシプロパン−2−イル)オキシ)−2−メチル安息香酸クロライドに変更することとを除いて、実施例1と同様にして下記化合物137を得た。
得られた化合物137の構造は、1H−NMRスペクトル(CDCl3)により確認した。1H−NMRスペクトルを以下に示す。
δ[ppm]:8.54(brs:1H)、8.30(brs:2H)、8.00−8.20(m:2H)、7.86(dd:1H)、7.75(dd:1H)、7.63(t:1H)、7.42(d:1H)、7.40(d:1H)、7.08(d:1H)、6.85−6.95(m:2H)、4.60−4.70(m:1H)、4.42(q:2H)、3.50−3.70(m:2H)、3.46(s:3H)、2.18(s:3H)、2.12(s:3H)、1.50(t:3H)、1.60(d:3H)
[実施例1〜12、比較例1、及び比較例2]
実施例及び比較例において、光重合性化合物として、樹脂Aと、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製)とを用いた。樹脂Aは、以下の処方に従って合成したものを用いた。
まず、500ml四つ口フラスコ中に、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量235)235g、テトラメチルアンモニウムクロライド110mg、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール100mg、及びアクリル酸72.0gを仕込み、これに25ml/分の速度で空気を吹き込みながら90〜100℃で加熱溶解した。次に、溶液が白濁した状態のまま徐々に昇温し、120℃に加熱して完全溶解させた。この際、溶液は次第に透明粘稠になったが、そのまま撹拌を継続した。この間、酸価を測定し、1.0mgKOH/g未満になるまで加熱撹拌を続けた。酸価が目標値に達するまで12時間を要した。そして室温まで冷却し、無色透明で固体状の下記構造式(a4)で表されるビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレートを得た。
次いで、このようにして得られた上記のビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート307.0gに3−メトキシブチルアセテート600gを加えて溶解した後、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物80.5g及び臭化テトラエチルアンモニウム1gを混合し、徐々に昇温して110〜115℃で4時間反応させた。酸無水物基の消失を確認した後、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸38.0gを混合し、90℃で6時間反応させ、樹脂Aを得た。酸無水物基の消失はIRスペクトルにより確認した。この樹脂Aは、前述の式(a1)で表される化合物に相当する。
実施例では、光重合開始剤として、下記の化合物1、化合物4〜10、及び化合物13〜17を用いた。下記の化合物1、化合物4〜10、及び化合物13〜17は、参考例1〜5と同様の方法により合成した。
比較例では、光重合開始剤として、下記の比較化合物1、及び比較化合物2を用いた。
樹脂A25質量部と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製)10質量部と、表1に記載の種類の光重合開始剤5質量部と、カーボン分散液(CFブラック、御国色素株式会社製)60質量部とを、3−メトキシブチルアセテート、シクロヘキサノン、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートからなる混合溶媒で、固形分濃度が15質量%となるように希釈した後、これらの成分を均一に混合して、実施例1〜12、比較例1、及び比較例2の感光性組成物を得た。混合溶媒中の各溶媒の質量比は、3−メトキシブチルアセテート/シクロヘキサノン/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとして60/20/20であった。
[感度評価]
感度の評価は、以下の手順で実施した。まず、各実施例及び比較例の感光性組成物をガラス基板(10cm×10cm)上にスピンコーターを用いて塗布し、90℃で120秒間プリベークを行い、ガラス基板の表面に膜厚1.0μmの塗布膜を形成した。その後、ミラープロジェクションアライナー(製品名:TME−150RTO、株式会社トプコン製)を使用し、露光ギャップを50μmとして、幅10μmのパターンの形成されたネガ型マスクを介して、塗布膜に紫外線を照射した。露光量は、30、60、1200mJ/cm2の3段階とした。露光後の塗布膜を、26℃の0.04質量%KOH水溶液で30秒間現像後、230℃にて30分間ポストベークを行うことにより、各露光量のパターンを得た。各露光量でのパターンの線幅を光学顕微鏡で測定し、各露光量での線幅と露光量とから最小二乗法による近似計算により10μmの線幅が得られる露光量を算出した。算出された、現像時間30秒における感度(mJ/cm2)のデータを表1に示す。表1に示した感度のデータは、所定の線幅のパターン(10μm)を形成させるのに必要な露光量を示すものであり、この数値が小さいほど感光性組成物の感度が高いことを意味する。
[OD値の評価]
6インチのガラス基板(ダウ・コーニング製、1737ガラス)上に、各実施例及び比較例の感光性組成物を塗布した後、90℃で60秒間乾燥して塗布膜を形成した。次いで、この塗布膜に60mJ/cm2の露光量でghi線を照射した。そして、230℃で20分間、ホットプレート上でポストベークを行って遮光幕を形成した。形成された遮光膜の膜厚は0.8μm、1.0μm、1.2μmの3水準であった。この遮光膜について、D200−II(Macbeth製)を用いて各膜厚におけるOD値を測定し、近似曲線にて1μmあたりのOD値を算出した。各実施例及び比較例の感光性組成物を用いて形成された遮光膜の算出されたOD値は、いずれも4.8/μmであった。
[ラインパターン評価]
各実施例、及び比較例の感光性組成物を、ガラス基板(100mm×100mm)上にスピンコーターを用いて塗布し、70℃で120秒間プリベークを行い、塗布膜を形成した。次いで、ミラープロジェクションアライナー(製品名:TME−150RTO、株式会社トプコン製)を使用し、露光ギャップを50μmとして、幅10μmのラインパターンの形成されたネガ型マスクを介して、塗布膜に紫外線を照射した。露光量は、20、40、60、120mJ/cm2の4段階とした。露光後の塗布膜を、26℃の0.04質量%KOH水溶液で50秒間現像後、230℃にて30分間ポストベークを行うことにより、膜厚3.5μmのラインパターンを形成した。
(パターンはがれ評価)
形成されたラインパターンを光学顕微鏡により観察し、パターンはがれの有無を確認した。パターンはがれの有無の確認結果を、表1に記す。
(テーパー角)
露光量40mJ/cm2で形成されたラインパターンについて、テーパー角を評価した。測定されたテーパー角に基づいて、ラインパターンの断面形状を以下の基準に従って判定した。
◎:テーパー角が70°以上85°以下である。
○:テーパー角が85°超90°以下である。
△:テーパー角が90°超100°以下である。
×:テーパー角が100°超である。
テーパー角については、走査電子顕微鏡にてパターンと基板との間の接合角度として測定した。このテーパー角は、図1(a)及び(b)における角θに対応する。測定されたテーパー角を表1に示す。テーパー角が90℃に近いほど、パターン断面の形状が所望する矩形形状に近いことを意味する。テーパー角が鋭角であって、90℃よりも相当量小さな角である場合、パターンにアンダーカットは生じていないが、パターン断面の形状が所望する矩形形状でない。テーパー角が鈍角である場合、パターンにアンダーカットが生じている。
表1によれば、光重合性化合物と、光重合開始剤として式(1)で表される構造の化合物とを含む実施例の感光性組成物は、感度に優れることが分かる。
実施例8〜13によれば、式(1)におけるnが1である化合物を用いる場合、特に感度に優れる感光性組成物を得やすいことが分かる。
また、表1から、実施例の感光性組成物を用いることで、基板からはがれにくく、断面形状が所望する矩形形状であるラインパターンを形成できることが分かる。
他方、式(1)に含まれない構造の光重合開始剤を含む比較例の感光性組成物は、感度に劣ることが分かる。また、比較例の感光性組成物を用いてラインパターンを形成する場合、露光量によっては、パターンはがれが生じ、また、テーパー角が鈍角であって、ラインパターンにアンダーカットが生じている。