JP6854485B2 - 白水改質方法及び古紙パルプ製造方法 - Google Patents

白水改質方法及び古紙パルプ製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、古紙を主原料とする古紙パルプ製造工程における白水改質方法及び古紙パルプ製造方法に関する。
近年、環境保護の点から、古紙を再利用した古紙パルプを使用することが広く求められており、印刷古紙の再利用の重要性が増している。一方、市場では家庭紙を含む紙製品に対して一定値以上の品質が要求されており、印刷古紙を再利用して製造された紙に対しても同等の品質が求められている。
ところで、古紙を再利用して紙を製造するにあたり、原料である古紙から古紙パルプを製造する工程を経るが、この古紙パルプは、新聞紙や雑誌等といった印刷古紙を原料としていることから、漂白の処理に手間とコストを要する一方で、得られるパルプの白色度が低い場合が多い。このため、より白色度の高い古紙パルプを低コストで効率よく製造する方法が求められている。
古紙パルプ製造における漂白方法としては、例えば、過酸化水素のみを用いた方法(例えば、特許文献1)や、過酸化水素を用いた酸化漂白と二酸化チオ尿素を用いた還元漂白とを組み合わせた方法(例えば、特許文献2)、モノクロラミン及び/又はモノブロラミン並びに過酸化水素と接触させる古紙パルプの漂白方法(例えば、特許文献3)等がある。
このように古紙パルプ製造における漂白方法において、過酸化水素漂白は一般的に用いられている。しかしながら、その漂白効果は古紙パルプ製造工場において差があり、常に一定の漂白効果が得られるものではなかった。
また、抄紙工程などの製紙工程水を殺菌する方法として特許文献4が知られている。これは、抄紙工程水などの製紙工程水を殺菌するために次亜塩素酸ナトリウムを使用する場合に、紙製品の白色度を向上させる目的で添加されている染料に影響することなく殺菌することのできる方法であるが、古紙パルプ製造工程における漂白については触れられていない。
ところで、一般に、古紙を主原料とする古紙パルプの製造工程(以下、DIP系内ともいう。)のpHは、古紙パルプ製造の操業状況と古紙パルプ(以下、DIPともいう。)の品質に影響を与える重要なファクターである。そのため、従来から古紙パルプ製造工程内を適正なpHとするため、苛性ソーダ及び珪酸ソーダ等をDIP系内に定率で添加し、pH管理を行っている。
しかしながら、苛性ソーダ及び珪酸ソーダ等のpH調整剤の添加はスケールの原因となり、配管や機壁等への影響が懸念されている。
特開2005−240188号公報 特開2006−45745号公報 特許第6023953号公報 特許第4914146号公報
一定値以上の品質を備えた古紙パルプの製造には、漂白工程での漂白処理、及び古紙パルプ製造工程におけるpH管理が必要であるが、漂白処理及びpH管理において使用される薬品等の添加量及び効果を最適化することは困難であり、その解決が望まれている。
本発明は、過酸化水素漂白の効果を向上させ、さらにpH管理のために添加する苛性ソーダ及び珪酸ソーダ等のpH調整剤等の添加剤の添加量及びその効果を最適化することができる白水改質方法及び古紙パルプ製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、主原料である古紙から古紙パルプを製造する古紙パルプ製造工程全体の調査を実施した。そして、同一工程であっても測定日によりpHが大きく変動しているケースがあること、また、DIP系内における熟成タワー及びストックタワー等でpHが大きく低下しているケースがあることを見出した。
ところで、古紙パルプの製造工程では、回収パルプ及び回収水の循環使用の高度化が進み、DIP系内の温度が一般的に40〜60℃となり細菌が繁殖しやすい条件となっている。
本発明者らは、実際にDIP系内の菌数を測定し、菌数が106〜7CFU/mlと高く、ほぼ飽和状態であることを確認した。さらに、熟成タワー及びストックタワー等のようにDIP系内において白水の滞留時間が長い工程では細菌が増殖し、古紙パルプ製造工程内で代謝物である有機酸が生成され、pHの低下が生じるケースがあることを見出した。
本発明者らは、このような条件下においては、古紙パルプ製造工程内のpHの適正化を目的として添加される苛性ソーダ及び珪酸ソーダ等は、添加と同時に細菌等による消費が始まっており、本来の目的であるpHの適正化を達成するために多くの添加量が必要となっていると考えた。
さらに、本発明者らは、残留過酸化水素濃度の測定を行い、従来技術では、過酸化水素等はDIP系内に添加されると同時に分解が始まり、過酸化水素等による漂白を促進させる晒しタワーにおける過酸化水素等の残留濃度はごく低い値となっていることを見出した。
このような知見に基づき、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、従来、古紙パルプ製造工程において局所的に行ってきた漂白剤、pH調整剤及び殺菌剤等の添加剤の使用量及び効果を最適化するためには、これら添加剤の投入対象の1主成分である白水による影響を低減させることが重要であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、主原料である古紙から古紙パルプを製造する工程における白水改質方法であって、古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所でモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加し、前記連続添加は、添加の供給と停止の間隔が30分以内である持続的な供給であり、古紙パルプ製造工程全体にわたって存在する白水の菌数を10 CFU/ml以下にすることを特徴とする白水改質方法である。
また、本発明は、主原料である古紙から古紙パルプを製造する古紙パルプ製造方法であって、古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所でモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加し、前記連続添加は、添加の供給と停止の間隔が30分以内である持続的な供給であり、古紙パルプ製造工程全体にわたって存在する白水の菌数を10 CFU/ml以下にすることを特徴とする古紙パルプ製造方法でもある。
上記モノクロラミン及び/又はモノブロラミンの濃度は、残留塩素量として0.5〜30mg/Lであることが好ましい。
また、本発明は、白水のパルプ濃度が0.03〜30%である箇所の少なくとも一箇所でモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加することが好ましい。
本発明における古紙パルプ製造工程において、白水供給ライン、白水ピット及び白水回収ラインの少なくとも1カ所でモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加することが好ましい。
また、本発明における古紙パルプ製造工程において、少なくとも一箇所の白水供給ラインでモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加することが好ましい。
上記一つ以上の白水供給ラインは古紙パルプ製造工程におけるパルパー工程に白水を供給する白水供給ラインを含み、パルパー工程に白水を供給する白水供給ラインでモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加することが好ましい。
また、残留塩素量が0.5mg/L以上である白水をパルパーに添加することが好ましい。
また、本発明の白水改質方法又は古紙パルプ製造方法では、白水の残留塩素量が0.5〜10mg/Lとなるようにモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを連続添加することが好ましい。
また、本発明の白水の改質方法又は古紙パルプ製造方法では、古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所で白水の残留塩素量を測定し、上記残留塩素量が0.5〜10.0mg/Lになった後、上記残留塩素量維持するように、モノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加又は間欠添加することが好ましい。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所でモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加する白水改質方法又は古紙パルプ製造方法である。
本発明における「白水」とは、古紙パルプ製造工程全体において使用される水のことをいい、例えば、古紙パルプ製造工程において、原料となる古紙を水と混合しながら機械力でパルプスラリーとする離解(パルパー)工程、古紙に含まれる異物を除去する粗選(除塵)工程、脱墨剤を加えてインキ成分を除去する脱墨工程、古紙に含まれる異物とパルプ分とをスクリーンで分離する精選工程、脱墨されたパルプスラリーを水洗する洗浄工程、及びパルプの脱水を行う脱水工程、漂白剤を加えてパルプの漂白を行う漂白工程等の各工程で用いられる水、及び排水される水を白水という。また、上記パルパー工程において原料である古紙と白水とが混合されたパルプスラリーが形成されるが、このパルプスラリーについてもパルプ成分を含有する白水であるため、本明細書においては白水と表現し、以下説明をする。さらに、抄紙工程等の別工程から再利用水として送水される水についても古紙パルプ製造工程で使用される水は全て白水という。
本発明の白水改質方法及び古紙パルプ製造方法において、モノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に添加するとは、一又は複数の実施形態において、モノクロラミン及び/又はモノブロラミンを生成する薬品、モノクロラミン及び/又はモノブロラミンを含む薬品を使用することにより行うことができる。このような薬品としては、一又は複数の実施形態として、次亜塩素酸ナトリウムと、硫酸アンモニウム及び/又は臭化アンモニウムとを含む薬品等が挙げられる。モノクロラミンは、一又は複数の実施形態において、次亜塩素酸ナトリウムと、アンモニウム化合物とを混合することにより生成できる。モノブロラミンは、一又は複数の実施形態において、次亜臭素酸ナトリウムと、アンモニウム化合物とを混合することにより生成できる。アンモニウム化合物としては、一又は複数の実施形態において、硫酸アンモニウム、臭化アンモニウム、塩化アンモニウム、スルファミン酸アンモニウム、及びこれらの少なくとも2種以上の混合物等が挙げられる。次亜塩素酸ナトリウムとアンモニウム化合物とのモル比は、一又は複数の実施形態において、残留塩素と窒素とのモル比として1:1〜1:2、1:1.1〜1:2、1:1.2〜1:2、又は1:1.2〜1:1.6である。
ここで、上記モノクロラミンは結合塩素の一種であり、上記モノブロラミンは結合臭素の一種である。よって、OCl(Br)+NH →NHCl(Br)+HOのような反応で生成される穏やかな酸化剤である。古紙パルプ製造工程内(DIP系内)のpHは通常9〜11であるが、モノクロラミン(モノブロラミン)はこのpH領域において安定な化合物である。
一方、多くの有機系スライムコントロール剤はアルカリ側で不安定であり、このような環境下での使用は適さない。また同じ酸化剤である次亜塩素酸ナトリウムもアルカリ側で安定だが、強い酸化力を有する遊離塩素が白水中の様々な夾雑物及び不純物等と容易に且つ瞬時に反応するため、多量に添加しなければ白水改質効果を発揮することができない。モノクロラミン及び/又はモノブロラミンは適度な酸化力、殺菌力、アルカリ側での安定性を有していることから古紙パルプ製造工程(DIP工程)における白水の改質に適した化合物といえる。
なお、本発明において白水の改質とは、古紙パルプ製造工程における各工程(パルパー工程、除塵工程、脱墨工程、精選工程、洗浄・脱水工程及び漂白工程等)での機械処理及び薬品処理において、白水成分に起因する機械処理及び薬品処理の無駄な消費が生じない程度に白水の性質を向上及び改質させるものであり、所定箇所における白水のpH値、酸化還元電位(ORP)、菌数及び残留塩素量等の測定値を指標として判断することができる。
各指標における判断基準は、例えば、古紙パルプを原料に抄紙を行う抄紙工程で求められる古紙パルプの品質や、抄紙工程の最終生成物である紙に求められる品質を考慮したうえで適宜設定することができるが、例えば、過酸化水素晒タワーにおける薬品添加直後のpHであれば、好ましくは10.0以上、より好ましくは10.5以上、さらに好ましくは11.0以上;古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所における酸化還元電位であれば、好ましくは、100mV以上、より好ましくは200mV以上、さらに好ましくは250mV以上;古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所における菌数であれば、好ましくは10CFU/ml以下、より好ましくは10CFU/ml以下、さらに好ましくは10CFU/ml以下;古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所における残留塩素量であれば、好ましくは0.5mg/L以上、より好ましくは1.5mg/L以上、さらに好ましくは3.0mg/L以上となっている場合、白水が改質されたと判断することができる。
上記指標の測定箇所としては、例えば、漂白工程前、フローテーション工程、洗浄工程前等が挙げられる。製造される古紙パルプの品質に重要な影響を与える工程のためである。
また、上記指標のうち、残留塩素量及び/又は菌数は、古紙パルプ製造工程の白水ループ毎に少なくとも一箇所で測定されることがより好ましい。ここで、白水ループとは、古紙パルプ製造工程から抽出及び/又は排水される白水が白水ピットに貯蔵され、白水ピットに貯蔵された白水が上記古紙パルプ製造工程に供給されることで形成される白水の再循環系のことをいい、一つの白水ピットに対し一つの白水ループが形成される。なお、一つの白水ピットから複数の白水供給ラインを有する場合は、白水ピットから古紙パルプ製造工程の最上流側に白水を供給する最上流側白水供給ラインで形成される白水の再循環系を白水ループといい、上記最上流側白水供給ラインから分岐する白水供給ラインも上記白水ループの一部に含まれる。
モノクロラミン及び/又はモノブロラミンの濃度は、残留塩素量として(モノブロラミンの場合は残留塩素量換算値として)、0.5〜30mg/Lであることが好ましく、1〜30mg/Lがより好ましく、経済性の点から、1〜10mg/L又は1〜5mg/Lが更に好ましい。
なお、本発明における「残留塩素量」の記載は、モノブロラミンである場合には「残留塩素量換算値」を意味する。
前記モノクロラミン及び/又はモノブロラミンの濃度は、一又は複数の実施形態において、DIP系内における少なくとも一箇所における白水のpH、酸化還元電位(ORP)、菌数及び残留塩素量等の少なくとも一つの指標によって適宜決定できる。
本発明におけるモノクロラミン及び/又はモノブロラミンの白水への添加総量は、対パルプ量換算で、例えば、上限が2.0kg/tであることが好ましく、経済性の点から上限が1.5kg/tであることがより好ましい。
一方、古紙パルプ製造工程の複数箇所でモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加する場合、各箇所における添加量は、対パルプ量換算で0.5〜1.0kg/tであることが好ましい。
本発明において、パルプ濃度が、0.03〜30%である箇所の少なくとも一箇所でモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に添加することが好ましく、パルプ濃度が0.5〜2.0%である箇所であることが更に好ましい。
また、本発明における古紙パルプ製造工程は、白水を回収する白水回収ラインを一つ以上備えており、白水回収ラインは白水ピットに繋がれている。さらに、本発明における古紙パルプ製造工程は、白水を供給する白水供給ラインを一つ以上備えており、上記白水ピットから供給される白水及び/又は抄紙工程から再利用水として供給される白水が古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所に供給され、白水が循環使用されている。
ここで、古紙パルプ製造工程は、離解(パルパー)工程、粗選(除塵)工程、脱墨工程、精選工程、洗浄工程、脱水工程及び漂白工程等の各工程含み、各工程及びその前後の少なくとも一箇所において白水回収ライン及び/又は白水供給ラインを備えていることが好ましい。
本発明においては少なくとも一箇所の白水供給ラインでモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加することが好ましい。
この場合、洗浄工程、脱水工程及び漂白工程から回収された白水が貯蔵される白水ピットに繋がれる白水供給ラインの少なくとも一箇所でモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加することが好ましい。
また、本発明においては少なくとも一箇所の白水回収ラインでモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加することとしてもよい。
この場合、洗浄工程、脱水工程及び漂白工程に備えられた白水回収ラインの少なくとも一箇所でモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加することが好ましく、漂白工程に備えられた白水回収ラインでモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加することがより好ましい。
また、本発明において、一つ以上の白水供給ラインは古紙パルプ製造工程におけるパルパー工程に白水を供給する白水供給ラインを含むことが好ましい。
パルパー工程に添加される白水としては、例えば、洗浄工程、脱水工程及び/又は漂白工程で回収された白水を用いることが好ましい。白水中の残留塩素を有効利用できるためである。また、漂白工程で回収された白水を用いることがより好ましく、漂白工程を経ることで、白水におけるpH値が向上し、パルパー工程においても白水改質効果を発揮するためである。
また、本発明において、残留塩素量が0.5mg/L以上である白水をパルパーに添加することが好ましい。白水の残留塩素量は、1.5mg/L以上であることがより好ましく、3.0mg/L以上であることが更に好ましい。
こうすることにより、古紙パルプ製造工程の第一段階であるパルパー工程から、用いられる白水を改質することができ、古紙パルプ製造工程全体の白水の改質に効果的である。
本発明の白水改質方法及び古紙パルプ製造方法では、例えば、漂白工程前、フローテーション工程、洗浄工程前において白水の残留塩素量を測定し、残留塩素量が0.5〜10.0mg/Lとなるようにモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを連続添加することが好ましく、残留塩素量が0.5〜5.0mg/Lとなるように連続添加することがより好ましい。
白水の残留塩素量が1.0mg/L以上であると細菌類の繁殖がほぼ抑制され、0.5mg/L以下であると細菌類の繁殖が進むためである。
本発明の白水改質方法及び古紙パルプ製造方法では、白水の残留塩素量が所定の値となるまでモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを連続添加し、残留塩素量が前記所定の値となった後は、前記所定の値を維持するようにモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを、白水に連続添加及び/又は間欠添加することが好ましい。
なお、上記所定の値は、例えば、古紙パルプを原料に抄紙を行う抄紙工程で求められる古紙パルプの品質や、抄紙工程の最終生成物である紙に求められる品質を考慮したうえで適宜設定することができるが、古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所における残留塩素量が、0.5〜10.0mg/Lであることが好ましく、1.5〜8.0mg/Lであることがより好ましく、3.0〜5.0mg/Lであることがさらに好ましい。
ここで、連続添加とは、古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所、言い換えると白水の流路のうち少なくとも一箇所で、一定量のモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを持続的に供給して添加することや、熟成タワーやストックタワーのように一定量のパルプスラリーすなわち白水が貯蔵又は保管される系内における白水に、一定量のモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを持続的に供給して添加することを意味する。なお、持続的に供給するとは、古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所においてモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に供給し続けること、及び、供給と停止を繰り返す場合であっても供給と停止の間隔が30分以内である場合は持続的に供給するという。
また、間欠添加(衝撃添加ともいう。)とは、古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所、言い換えると白水の流路のうち少なくとも一箇所で、一定量のモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを30分を超える間隔をあけて、所定時間毎に供給して添加することや、熟成タワーやストックタワーのように一定量のパルプスラリーが貯蔵又は保管される系内における白水に、一定量のモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを30分を超える間隔をあけて、所定時間毎に添加することを意味する。
上述のように本発明の白水改質方法及び古紙パルプ製造方法によれば、古紙パルプ製造工程全体で(循環)使用される白水のpH値及び残留塩素量が向上し、酸化還元電位(ORP)は、還元雰囲気から酸化雰囲気へ改善され、菌数の増加が抑制されるため、古紙パルプ製造工程の各工程(パルパー工程、除塵工程、脱墨工程、精選工程、洗浄・脱水工程及び漂白工程)における機械処理が効果的に行われ、更に各工程で用いられる脱墨剤、漂白剤、pH調整剤等の添加剤(薬品ともいう。)の添加量及び効果を最適化することができる。
なお、添加剤の添加量及び効果を最適化することができるとは、添加剤の効果が得られる範囲で添加剤の使用量を低減させることができることをいう。例えば、苛性ソーダ及び珪酸ソーダ等のpH調整剤の使用は、スケールの原因となるために機械的な問題面を有し、さらに経済面からも使用量を抑えることが希望されている。一方、pH調整効果を発揮し得る程度の量を使用する必要がある。本発明によれば、古紙パルプ製造工程全体にわたって存在する白水を改質できるため、pH調整剤の使用量を抑えつつもpH調整効果を得ることができる。他の添加剤についても同様である。また、本発明によれば、古紙パルプ製造工程全体にわたって存在する白水を改質できるため、各工程における機械処理及び薬品処理の効果が発揮されやすく、白色度及びパルプ純度の高い品質の良い古紙パルプを製造することができる。
図1は本発明が実施される古紙パルプ製造工程のブロック図である。 図2は本発明が実施される古紙パルプ製造工程のブロック図である。 図3は実施例1及び比較例1における各工程でのpH変化を示すグラフである。 図4は実施例1及び比較例1における測定日毎のpH変化を示すグラフである。 図5は実施例1及び比較例1における各工程での菌数変化を示すグラフである。 図6は実施例1及び比較例1におけるスクリーンバスケットのスケール付着状況を示す写真である。 図7は実施例1におけるフローテーター後の測定日毎の白色度を示すグラフである。 図8−1は実施例1及び比較例1におけるフローテーター後の疎水性物質(23μm以下)の測定日毎の量変化を示すグラフである。 図8−2は実施例1及び比較例1におけるフローテーター後の疎水性物質(150μm以下)の測定日毎の量変化を示すグラフである。 図9は実施例1及び比較例1におけるパルパー後洗浄シートの測定日毎の白色度を示すグラフである。 図10は実施例1及び比較例1における晒タワー入り口での測定日毎の過酸化水素含有量を示すグラフである。
以下に本発明の実施形態を示し、更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1に、古紙パルプの製造工程の一例を示す。図1に示す古紙パルプの製造工程は、パルパー1による離解工程と、熟成タワー2によるパルプスラリー貯蔵工程と、スクリーン3による粗選工程と、フローテーター4による脱墨工程と、晒タワー6による漂白工程と、ウォッシャー7による洗浄工程と、シックナー8による脱水濃縮工程とを含む。まず、原料である古紙はパルパー1に供給される。パルパー1において古紙を解きほぐしてスラリー状とするための離解工程が行われる。離解工程で得られたパルプスラリーは白水を含有し、スクリーン3において異物を除去するための粗選工程が行われる。粗選工程で異物が除去されたパルプスラリーは、フローテーター4に供給され、そこでパルプに付着したインクを剥離除去する脱墨工程が行われる。脱墨工程が行われたパルプスラリーは、ストックチェスト5aに貯蔵され、晒タワー6に供給され、そこで過酸化水素漂白による漂白工程が行われる。漂白工程が行われたパルプスラリーは、ウォッシャー7による洗浄工程とシックナー8による脱水濃縮工程を経てた後、完成チェスト5bに貯蔵される。各工程で排出される白水は、白水回収ライン10により回収され、白水ピット9に貯蔵される。
白水ピット9に回収された白水は、パルパー1、パルパー1と熟成タワー2とをつなぐ流路、晒タワー6とウォッシャー7とをつなぐ流路等に白水を供給するための白水供給ライン11を介し、古紙パルプ製造工程へ供給され、再利用される。
本実施形態における白水改質方法及び古紙パルプ製造方法は、古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所でモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加することを含む。
本実施形態において、モノクロラミン及び/又はモノブロラミンの少なくとも一箇所の添加場所としては、白水供給ライン11a(図1の矢印A)、11b(図1の矢印B)、11c(図1の矢印C)、ストックチェスト5aの出口側流路(図1の矢印D)、熟成タワー2の出口側流路(図1の矢印E)等が挙げられる。
また、別の本実施形態において、モノクロラミン及び/又はモノブロラミンの少なくとも一箇所の添加場所としては、パルパー1から熟成タワー2における少なくとも一箇所(図2の矢印F)及び/又は熟成タワー2からシックナー8における少なくとも一箇所(図2の矢印G)等が挙げられる。
また、本実施形態においては、白水ループが二つ形成されており(図2の13及び14)、白水ループ毎に白水の残留塩素量を測定することが好ましい。
(実施形態1)
実施形態1における白水改質方法又は古紙パルプ製造方法は、古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所でモノクロラミン等を白水に連続添加する工程を含む。本実施形態1の白水改質方法又は古紙パルプ製造方法を行うことにより、古紙パルプ製造工程において(循環)使用される白水のpH値及び残留塩素量が向上し、酸化還元電位(ORP)は、還元雰囲気から酸化雰囲気へ改善され、菌数の増加が抑制される。これにより、各工程における機械処理及び薬品処理が好適化されるため、添加剤の使用量は減少するにもかかわらず、高品質の古紙パルプを得ることができる。
(実施形態2)
実施形態2における白水改質方法及び古紙パルプ製造方法は、古紙パルプ製造工程における少なくとも脱墨工程と漂白工程との間の流路のいずれかの箇所でモノクロラミン等を白水に連続添加する工程を含む。本実施形態2の白水改質方法又は古紙パルプ製造方法を行うことにより、古紙パルプ製造工程において(循環)使用される白水のpH値及び残留塩素量が向上し、酸化還元電位(ORP)は、還元雰囲気から酸化雰囲気へ改善され、菌数の増加が抑制される。これにより、各工程における機械処理及び薬品処理が好適化されるため、添加剤の使用量は減少するにもかかわらず、高品質の古紙パルプを得ることができる。
(実施形態3)
実施形態3における白水改質方法及び古紙パルプ製造方法は、古紙パルプ製造工程における少なくとも脱墨工程と漂白工程との間の流路のいずれかの箇所、及び、パルパー工程及び/又はパルパー工程の直後の流路に供給される白水供給ラインでモノクロラミン等を白水に連続添加する工程を含む。本実施形態3の白水改質方法又は古紙パルプ製造方法を行うことにより、古紙パルプ製造工程において(循環)使用される白水のpH値及び残留塩素量が向上し、酸化還元電位(ORP)は、還元雰囲気から酸化雰囲気へ改善され、菌数の増加が抑制される。これにより、各工程における機械処理及び薬品処理が好適化されるため、添加剤の使用量は減少するにもかかわらず、高品質の古紙パルプを得ることができる。
上記連続添加工程は、一又は複数の実施形態において、モノクロラミン等を白水に対し、残留塩素量として0.5〜30mg/Lとなるように連続添加することを含み、1〜30mg/Lとなるように連続添加することを含むことが好ましく、経済性の点から1〜10mg/L又は1〜5mg/Lとなるように添加することを含むことが好ましい。
以下の実施例及び比較例に基いて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実機試験1:本試験はモノクロラミンを白水に連続添加することで白水を改質した例である。
(実施例1及び比較例1)
某製紙工場Aにて試験を行った。
(試験運転条件)
当該製紙工場Aでは、原料に印刷古紙を使用しており、従来白水の改質は行われておらず、古紙パルプ製造工程における各工程(パルパー工程、除塵工程、脱墨工程、漂白工程、洗浄・脱水工程等)において、機械処理及び/又は薬品処理が行われていた。従来は、古紙パルプ製造工程内のpH管理を目的として、パルパー工程において苛性ソーダがパルプ量換算で3〜5kg/t(純分換算)添加されていた。また、漂白工程では過酸化水素漂白が行われていた。
下記調製例1に記載の薬品を連続添加する前1カ月又は6カ月の特定の期間、連続しない任意の日を選択し、所定の箇所において白水のpH、菌数、残留塩素量、疎水性物質量及び過酸化水素量等の測定を行った。その結果を下記表1、図3〜6及び8〜10に比較例1として記載する。
(薬品の添加)
上記の運転条件において、脱墨工程と漂白工程との間の流路に下記調製例1に記載のモノクロラミンを白水にパルプ量換算で0.5〜1.0kg/tとなるように連続添加した。その後、5箇所において白水の残留塩素量の測定を1〜2回/日で行った。上記連続添加の開始から10日程度で、上記測定箇所における白水の残留塩素量が0.5mg/L以上となっていることが確認され、白水が改質されたことを確認した。
上記薬品の連続添加開始後2カ月から3カ月の間で、連続しない任意の日を選択し、所定の箇所において白水のpH、菌数、残留塩素量、疎水性物質量及び過酸化水素量等の測定を行った。その結果を下記表1及び図3〜10に実施例1として示す。
表1は、パルプ製造工程の各工程におけるpH、菌数及び残留塩素量の測定結果である。
(調整例1)次亜塩素酸ナトリウムと硫酸アンモニウムとの混合液の調製
次亜塩素酸ナトリウム溶液(残留塩素量:140kg/t)を脱イオン水で残留塩素量が5kg/tになるように希釈した後、30%硫酸アンモニウム水溶液(硫酸アンモニウム(キシダ化学株式会社製))30kgを脱イオン水で溶解し、全量を100kgとしたもの)と残留塩素と窒素とのモル比が1:1.2となるように調製した。
Figure 0006854485
表1から、白水にモノクロラミンを連続添加することにより、白水が改質され、pH、菌数及び残留塩素量が改善されていることが分かった。
従来、パルパー工程に3〜5kg/tのpH調整剤を添加していたため、比較例1のパルパー後のpHは、10.2と高い数値を示しているが、その後熟成タワー後でpHは急激に下がり、白水ピットでは、7.6まで下がっている。一方、実施例1では、脱墨工程と漂白工程との間の流路でモノクロラミンを白水に連続添加したため、晒タワー前でのpHは10.3と高くなっている。しかし、その後急激にpHが下がることなく、パルパー工程でpH調整剤を添加していないにもかかわらず、熟成タワー後のpHは8.1であり、比較例1を上回っていた。
また、菌数に関しては、比較例1では、パルプ製造工程全体において、菌数が106〜7CFU/mlと高く、ほぼ飽和状態であるのに対し、実施例1では、パルプ製造工程全体において菌数が10CFU/ml以下に抑制されていた。従来のようにバイオフィルム生成抑制を主目的とした衝撃添加ではないため、衝撃添加後のように細菌数が増加することがなく、低い値を維持していることが確認できた。
また、残留塩素量に関しては、比較例1では、パルプ製造工程全体において残留塩素が存在していないのに対し、実施例1では、パルプ製造工程全体において白水中の残留塩素量が1.5〜4.5mg/Lの範囲で存在していることが確認された。
また、図4によると、比較例1では、苛性ソーダ添加率を一定としても測定日毎にpHが変動していたが、実施例1では、測定日が異なってもpHが安定し、平均値が上昇した。
また、図6はスクリーンバスケットのスケール付着状況を示す写真である。比較例1の写真は、スクリーンバスケットをケーシングから出した直後のものであるが、スケールが付着し汚れている。しかし、モノクロラミンを白水に連続添加し10日程度経過し、白水が改質されると、実施例1の写真が示すようにスケールが除去されている。これは、モノクロラミンを白水に連続添加することにより、白水中に存在するスケール粒子の肥大化が阻止され、小さい粒子のまま存在していることにより図られた。またDIP系内のスケールは、スライムと重なりあっていることが多いため、スライム除去によりスケール除去が図られた。同様に、洗浄機、シックナー・フィルターのワイヤー汚れが改善された。洗浄機に至っては、ワイヤー汚れにより水抜けが阻害されていたため、ドラム回転数を最大回転数である60Hzで運転せざるを得ない状況であったが、汚れが改善されたため、白水改質方法による処理の後は、ドラム回転数を15Hzまで下げることができた。
さらに、従来使用してきた汚れ防止薬品の使用及び定期的な洗浄が不要になり、洗浄効率の改善を図ることができた。また、シックナー・フィルターにおいても汚れが付かなくなったため、高圧洗浄・薬品洗浄が不要になった。
脱墨工程における脱墨方法は、フローテーション法と洗浄法がある。モノクロラミンを白水に連続添加する白水改質方法を行った後は、上記いずれの脱墨方法を行っても白色度が向上した。
洗浄法においては、上記のように洗浄機の汚れが改善されたことにより洗浄効率及び置換効率が改善され脱墨効率が改善された。
フローテーション法においては、白水改質方法を行った後は、図7から分るようにフローテーター後のパルプスラリーの白色度が向上した。
さらに図8−1及び図8−2から分かるように、白水改質方法による処理開始後20日程度でフローテーター出口における白水中の疎水性物質が減少していることが確認できた。
白水中の疎水性物質が減少していることは、製造される古紙パルプの品質の良化を意味する。
酸化剤であるモノクロラミンを白水に連続添加すると、局所的に高濃度のモノクロラミンが生じ、フローテーターの発泡性・インク捕集性を阻害する物質(スライム,有機物など)と高濃度接触し、酸化分解される。この結果,インクの捕集性が改善された。また、夾雑物が酸化分解されるため、電気伝導度及びカチオンデマンドが低下した。
[白色度の評価]
脱墨工程では、白水に混合されるパルプ繊維からのインク剥離と繊維の離解も重要である。白水改質方法による処理では、モノクロラミンが白水に連続添加されることにより、古紙パルプ製造工程全体で用いられる白水が改質される。よって、パルパー工程にも改質された白水が添加されることになる。すなわち、残留塩素を含む酸化力のある白水が添加される。
当該製紙工場Aにおいて、パルパー後原料をサンプリングし、水道水で十分洗浄し、遊離インクを完全除去した試験用手抄きシートを作製した。
得られた試験用手抄きシートについて、ISO白色度を測定した。ISO白色度の測定は、分光白色度計・色左計PF−10(日本電飾工業株式会社性により行った。)その結果を下記表2に示す。白色度の単位は%である。
Figure 0006854485
表2に示す通り、モノクロラミンを白水に連続添加し、白水が改質された後のパルパー後原料は、白水が改質される前のパルパー後原料と比較し、白色度が平均1.7ポイント向上し、図9によると、白色度は1〜2ポイント向上したことが確認できた。
離解促進のため、次亜塩素酸ソーダ及び過酸化水素をパルパーに添加するケースもあるが、一般的にパルパー工程では「アルカリ及び脱墨剤(界面活性剤)」で処理を行う。ここで、白水が改質されると、パルパー工程において「アルカリ、脱墨剤及び酸化剤」による処理が行われることとなり、未剥離インクも除去できたと考えられる。
[残過酸化水素の測定]
モノクロラミンを白水に連続添加する前後において、DIP系内に過酸化水素が添加されニーダーで攪拌された直後であって過酸化水素晒しタワーに投入される直前の白水中の残過酸化水素量を測定した。その結果を図10に示す。
図10によると、モノクロラミンを白水に連続添加する前の比較例1では、DIP系内に過酸化水素水が添加されニーダーで攪拌された直後に、白水中の残過酸化水素が検出されず、添加からわずか数分間で過酸化水素が急激に分解している状態であったことが確認された。
一方、モノクロラミンを白水に連続添加を開始した後から、徐々に白水中の残過酸化水素濃度が高くなり、最終的には添加された過酸化水素原単位と、ニーダーで攪拌された直後であって晒しタワー投入直前で検出された過酸化水素濃度からの理論値とがほぼあうようになり、過酸化水素の無駄な分解が抑制されていることが確認された。
[CODの測定]
(実施例1〜6、比較例1〜6)
上記製紙工場Aにおいて、モノクロラミンを白水に連続添加をする前後における排水のCODを測定した。
さらに、上記実施例と同様に他の製紙工場B〜Fにおいて、モノクロラミンを白水に連続添加する前後における排水のCODを測定した。測定結果を下記表3に示す。
なお、CODの測定は、系外にオーバーフローしている白水を採取し、酸性高温過マンガン酸法(CODMn)を用いて実施した。
Figure 0006854485
DIP系内の少なくとも一箇所でモノクロラミンを白水に連続添加することにより、有機酸の生成が抑制され、また、DIP系内におけるアルカリ使用量が削減された。よって、DIP工程から発生するCODは、各工場における実機試験の結果を平均して約40%削減できた。
1 パルパー
2 熟成タワー
3 スクリーン
4 フローテーター
5a ストックチェスト
5b 完成チェスト
5c チェスト
6 過酸化水素晒タワー
7 ウォッシャー
8 シックナー
9 白水ピット
10 白水回収ライン
11 白水供給ライン
12 マシン
13 白水ループ1
14 白水ループ2

Claims (10)

  1. 主原料である古紙から古紙パルプを製造する工程における白水改質方法であって、
    古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所でモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加し、
    前記連続添加は、添加の供給と停止の間隔が30分以内である持続的な供給であり、
    古紙パルプ製造工程全体にわたって存在する白水の菌数を10 CFU/ml以下にすることを特徴とする白水改質方法。
  2. 主原料である古紙から古紙パルプを製造する古紙パルプ製造方法であって、
    古紙パルプ製造工程の少なくとも一箇所でモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加し、
    前記連続添加は、添加の供給と停止の間隔が30分以内である持続的な供給であり、
    古紙パルプ製造工程全体にわたって存在する白水の菌数を10 CFU/ml以下にすることを特徴とする古紙パルプ製造方法。
  3. モノクロラミン及び/又はモノブロラミンの濃度が、残留塩素量として0.5〜30mg/Lである請求項1に記載の白水改質方法又は請求項2に記載の古紙パルプ製造方法。
  4. 白水のパルプ濃度が0.03〜30%である箇所の少なくとも一箇所でモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加する請求項1若しくは3に記載の白水改質方法又は請求項2若しくは3に記載の古紙パルプ製造方法。
  5. 古紙パルプ製造工程において、白水供給ライン、白水ピット及び白水回収ラインの少なくとも1カ所でモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加する請求項1、3若しくは4に記載の白水改質方法又は請求項2、3若しくは4に記載の古紙パルプ製造方法。
  6. 古紙パルプ製造工程において、なくとも一箇所の白水供給ラインでモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加する請求項に記載の白水改質方法又は請求項に記載の古紙パルプ製造方法。
  7. 一つ以上の白水供給ラインは古紙パルプ製造工程におけるパルパー工程に白水を供給する白水供給ラインを含み、パルパー工程に白水を供給する白水供給ラインでモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加する請求項に記載の白水改質方法又は請求項に記載の古紙パルプ製造方法。
  8. 残留塩素量が0.5mg/L以上である白水をパルパーに添加する請求項に記載の白水改質方法又は請求項に記載の古紙パルプ製造方法。
  9. 白水の残留塩素量が0.5〜10.0mg/Lとなるようにモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを連続添加する請求項1、3、4、5、6、7若しくはに記載の白水改質方法又は請求項2、3、4、5、6、7若しくはに記載の古紙パルプ製造方法。
  10. 古紙パルプ製造工程の少なくとも一か所で白水の残留塩素量を測定し、前記残留塩素量が0.5〜10.0mg/Lになった後、前記残留塩素量維持するようにモノクロラミン及び/又はモノブロラミンを白水に連続添加又は間欠添加する請求項に記載の白水改質方法又は請求項に記載の古紙パルプ製造方法。
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