以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお、以下の実施形態の説明に用いる全図においては、特に理由がない限り、同様箇所には同一符号を付す。また、以下の実施形態において、同様の構成・動作に関しては繰り返しの説明を省略する場合がある。また、図面中の矢印の向きは、一例を示すものであり、ブロック間の信号の向きを限定するものではない。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態に係る識別装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態の識別装置は、SMT(Surface Mount Technology)ラインで部品実装される基板のそれぞれを、基板の側面の表面状態で識別する。本実施形態においては、側面に切欠きを有する基板を、その切欠き部分の表面状態で識別する。本実施形態においては、特に、上面から見た際に矩形状の切欠きが側部に形成されている基板を識別対象(対象基板とも呼ぶ)とする。
図1は、SMTラインに識別装置1を設置する一例である。SMTラインは、基板100に部品を実装するための少なくとも一つのSMT装置200を含む。識別装置1は、SMT装置200ごとに設置されてもよいし、いくつかのSMT装置200ごとに設置されてもよい。また、識別装置1は、SMTラインを構成するSMT装置200の入り口に配置されたカメラ11、センサ13、搬送装置17に接続される。
本実施形態においては、上面から見た際に矩形状の切欠き111が側部に形成されている基板100−1を識別対象とする。基板100−1は、搬送装置17によってSMT装置200に搬送され、SMT装置200において部品が実装される。
〔識別装置〕
図2は、識別装置1によって制御されるカメラ11が基板100−1の側面の切欠き111を撮像する様子を示す概念図である。なお、図2においては、識別装置1やセンサ13は省略している。
識別装置1は、センサ13によって基板100−1が検出されると、カメラ11の撮像視野内に切欠き111が入る位置(図2)で搬送装置17を停止させる。
識別装置1は、基板100−1が静止している状態で、切欠き111を含む範囲をカメラ11に撮像させる。識別装置1は、切欠き111の部分のみをカメラ11に撮像させてもよいし、基板100−1の側面全体をカメラ11に撮像させて切欠き111の部分を画像データから抽出してもよい。識別装置1は、切欠き111を含む範囲の画像データが得られると、搬送装置17の停止を解除する。
識別装置1は、カメラ11によって撮像された画像データを取得すると、取得した画像データの切欠き111を含む範囲(以下、切欠き画像)から特徴量を抽出する。識別装置1は、抽出した特徴量に基づいて個々の基板を識別する。
識別装置1は、基板100−1の画像データから抽出した特徴量を各基板100−1と関連付けた登録データを格納する。識別装置1は、基板100−1の画像データを取得すると、その画像データから抽出した特徴量と、登録データに含まれる特徴量とを比較する。識別装置1は、新たに抽出された特徴量と同じ特徴量を含む登録データが照合されると、検証中の基板100−1がその登録データの基板であると識別する。また、識別装置1は、新たに抽出された特徴量と同じ特徴量を含む登録データが照合されなかった場合、検証中の基板100−1と、抽出された特徴量とを関連付けた登録データを格納する。
一般に、有機配線基板などの基板は、層状に形成されたガラスクロスを含む基材や、基材を層状に重ねた構造を有する。基板表面の模様は、人の指紋のように基板ごとに異なる。そのため、基板表面の模様に応じて特徴量を抽出すれば、個々の基板を照合できる。
ここで、本実施形態の識別装置1の識別対象の基板100−1について、一般的な基板100との相違点を上げて説明する。
図3は、一般的な基板100の側面の状態を示す概念図である。図3は、基板100(上図)をSMTラインに投入後、搬送中またはいずれかの工程において基板100の側面に汚れ105や傷106が付いた状態(下図)を示す。
図3(上図)のように、基板100の側面には、基材101中に含有されるガラスクロスなどの含有物102によって模様が表れる。例えば、細長く変形した楕円状の含有物102が100マイクロメートル程度の間隔で積み重なることによって、図3のような模様が基板100の側面に表れる。基板100の側面の模様から抽出された特徴量を用いれば、個々の基板100−1を識別できる。
ところで、図3(下図)のように、SMTラインのどこかの工程で基板100の側面に汚れ105や傷106が付くと、側面の模様から抽出される特徴量から基板が識別できなくなってしまう。
図4は、本実施形態において識別対象とする基板100−1の側面の状態を示す概念図である。図4は、基板100−1(上図)をSMTラインに投入後、いずれかの工程において基板100−1の側面に汚れ105や傷106が付いた状態(下図)を示す。
図4のように、基板100−1には切欠き111が形成されている。そのため、搬送装置17に触れて基板側面に汚れ105や傷106が付いても、切欠き111の内部は搬送装置17と直接触れることはなく、汚れ105や傷106が付かない。すなわち、切欠き111を含む範囲の画像データを用いれば、基板100−1の側面に汚れ105や傷106が付いても基板100−1を識別できる。そのため、切欠き111を含む範囲の画像データから抽出した特徴量を登録および照合すれば、識別精度の低下を防ぎ、高い識別精度で基板の表面状態を利用した基板識別を実現できる。
〔周辺機器〕
次に、識別装置1によって制御される個々の周辺機器について説明する。なお、カメラ11、センサ13、搬送装置17のいずれかを識別装置1の構成に加えてもよい。
カメラ11は、支持部14によって支持され、基板100−1の側面が撮像視野内に入る位置に配置される。カメラ11は、基板100−1の搬送方向に対して垂直な方向から基板100の側面を撮像する位置に配置される。なお、カメラ11は、基板100の側面を撮像できる位置に配置されればよく、基板100の側面を斜めに撮像するように設置してもよい。例えば、カメラ11は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などのイメージセンサを内蔵する撮像装置である。なお、カメラ11は、撮像機能がありさえすれば、特に限定を加えない。
カメラ11は、基板100−1の切欠き111が撮像視野内に入ると、識別装置1の制御に応じて、切欠き111を含む範囲を撮像する。カメラ11は、撮像した画像データを識別装置1に送信する。
センサ13は、カメラ11の近傍に配置され、搬送装置17によって搬送されてきた基板100−1を検知する。センサ13は、カメラ11の撮像視野内に基板100−1が到達するよりも前に基板100−1を検知できる位置に配置されることが好ましい。例えば、センサ13は、基板100−1の前端を検知すると、基板100−1を検知したことを通知する検知信号を識別装置1に送信する。また、センサ13は、切欠き111の部分を検知し、カメラ11の撮像視野内に切欠き111が入ったタイミングで検知信号を識別装置1に出力するように構成してもよい。
図1の例では、センサ13は、基板100―1を上方から撮像する位置に配置する。なお、センサ13は、カメラ11の撮像視野内に到達する基板100−1を検知できさえすれば、基板100を上方から検知する位置ではなく、下方や側方、斜め方向から検知するように配置してもよい。
例えば、センサ13は、フォトマイクロセンサや光電センサ、近接センサ、一般的なカメラ、赤外線カメラなどのように光を用いて物体検知する光学式センサによって実現できる。また、例えば、センサ13は、音波や電磁波、磁気などを利用して物体検知するセンサで構成してもよい。また、例えば、センサ13は、接触検知センサで構成してもよい。
本実施形態においては、SMT装置200に到達する基板100−1をセンサ13によって検出する例を挙げるが、センサ13の替わりにカメラ11の撮像データを画像処理して基板100を検出するように構成してもよい。その場合、センサ13は省略できる。
また、センサ13は、切欠き111を検知できる位置に配置されてもよい。その場合、センサ13は、切欠き111の部分を検知した際に検知信号を出力できる。
支持部14は、カメラ11を支持する。支持部14は、カメラ11の撮像視野を固定することさえできれば、その構造に限定を加えない。
搬送装置17は、基板100−1をSMT装置200に搬送するためにコンベアベルト71と、コンベアベルト71を支持しながら動かすためのコンベアガイド72とを少なくとも含む。搬送装置17は、識別装置1の制御に応じて稼働し、コンベアガイド72に載せられた基板100−1を搬送する。
以上が、識別装置1と、その周辺機器に関する説明である。なお、カメラ11および支持部14を配置する位置は、図2の例に限定されない。例えば、図5のように、カメラ11および支持部14は、搬送装置17の途中に配置してもよい。
(構成)
次に、本実施形態に係る識別装置の概略的な構成について図面を参照しながら説明する。図6は、本実施形態の識別装置1の構成を示すブロック図である。図6のように、識別装置1は、制御手段20と、基板識別手段30とを備える。
また、識別装置1は、ローカルエリアネットワークやインターネットを介して生産履歴サーバ10に接続される。識別装置1と生産履歴サーバ10とは、基板追跡システムを構成する。生産履歴サーバ10は、基板100−1に関するトレーサビリティ等の情報を管理するサーバである。生産履歴サーバ10は、各基板100−1の生産履歴を追跡するために、各基板100−1の基板情報と、SMT装置を構成する各工程の通過履歴とを関連付けて記録する。例えば、生産履歴サーバ10は、登録済みの基板100−1の品種やシリアルナンバーなどの基板情報と通過履歴とを含む生産履歴を、その基板100−1の特徴データと関連付けて記録する。
制御手段20は、カメラ11、センサ13、搬送装置17に接続される。
制御手段20は、センサ13から検知信号を受信すると、カメラ11の撮像範囲内に切欠き111が入るように搬送装置17を停止させる。制御手段20は、搬送装置17を停止させると、切欠き111が含まれる範囲をカメラ11に撮像させ、カメラ11によって撮像された画像データを取得する。制御手段20は、取得した画像データを基板識別手段30に出力する。
すなわち、制御手段20は、対象基板(基板100−1)の側部の切欠き部分(切欠き111)を含む範囲を撮像させるように周辺機器を制御し、周辺機器によって撮像された画像データを取得する。
基板識別手段30は、制御手段20に接続される。また、基板識別手段30は、生産履歴サーバ10に接続される。
基板識別手段30は、制御手段20から画像データを取得する。基板識別手段30は、取得した画像データから切欠き111の部分を検出する。例えば、カメラ11による撮像視野が固定されている場合、基板識別手段30は、画像データの特定範囲から切欠き111の部分を検出する。
基板識別手段30は、検出した切欠き111部分から特徴量を抽出する。基板識別手段30は、カメラ11に撮像させた画像データに含まれる基板100−1の側面の切欠き111を含む画像から、切欠き111部分の表面状態に基づいて特徴点を抽出する。例えば、基板識別手段30は、基板100−1の側面の切欠き111内部の表面に表れる模様から特徴点を抽出する。
基板識別手段30は、基板100−1の側面の切欠き111を含む画像から抽出した特徴点に基づいて特徴データを生成する。
基板識別手段30は、生成した照合データと、自身が格納する登録済みの特徴データ(以下、登録データ)とを照合する。
基板識別手段30は、照合データと登録データとを照合できなかった場合、その照合データに対応する基板100−1が登録されていないと識別する。この場合、基板識別手段30は、照合データを基板100−1に関連付けて登録データとして格納する。そして、基板識別手段30は、生産履歴を生産履歴サーバ10に送信する。
一方、基板識別手段30は、照合データと登録データとを照合できた場合、その照合データに対応する基板100−1が登録済みの基板100−1であると識別する。そして、基板識別手段30は、生産履歴を生産履歴サーバ10に送信する。
以上が、識別装置1の概略的な構成に関する説明である。次に、識別装置1が備える制御手段20および基板識別手段30の詳細構成について図面を参照しながら説明する。
〔制御手段〕
図7は、制御手段20の詳細構成を示すブロック図である。図7のように、制御手段20は、検知信号受信手段21、搬送装置制御手段23、撮像制御手段25を有する。
検知信号受信手段21は、センサ13に接続される。また、検知信号受信手段21は、搬送装置制御手段23および撮像制御手段25に接続される。検知信号受信手段21は、センサ13から検知信号を受信すると、受信した検知信号を搬送装置制御手段23および撮像制御手段25に出力する。
搬送装置制御手段23は、搬送装置17に接続される。また、搬送装置制御手段23は、検知信号受信手段21および撮像制御手段25に接続される。搬送装置制御手段23は、検知信号を受信すると、基板100−1の側面の切欠き111がカメラ11の撮像視野内に入るタイミングで、搬送装置17を停止するための停止信号を搬送装置17に送信する。
また、搬送装置制御手段23は、搬送装置17に停止信号を送信するタイミングに合わせて、撮像制御手段25に搬送装置17を停止したことを通知する停止通知信号を出力する。搬送装置制御手段23が撮像制御手段25に停止通知信号を出力するタイミングは、搬送装置17に停止信号を出力するタイミングと同時であってもよいし、搬送装置17に停止信号を出力した後のタイミングであってもよい。
また、搬送装置制御手段23は、撮像制御手段25から撮像が完了したことを示す撮像完了通知信号を受信すると、搬送装置17を再稼働させるための動作指示信号を搬送装置17に送信する。なお、撮像完了通知信号の送受信をせずに、所定時間経過した段階で搬送装置制御手段23から動作指示信号を搬送装置17に送信するように構成してもよい。
撮像制御手段25は、搬送装置制御手段23から停止通知信号を受信すると、カメラ11に対して撮像指示信号を出力する。また、撮像制御手段25は、センサ13が切欠き111を検知したことを示す信号を検知信号受信手段21から受信したタイミングに合わせてカメラ11に対して撮像指示信号を出力してもよい。
撮像制御手段25は、撮像指示信号に応じて撮像された画像データを取得する。撮像制御手段25は、画像データを取得すると、その画像データを基板識別手段30に出力する。そして、撮像制御手段25は、搬送装置制御手段23に撮像完了通知信号を出力する。なお、撮像制御手段25は、基板識別手段30からの指示を待ってから搬送装置制御手段23に撮像完了通知信号を出力するように構成してもよい。
以上が、制御手段20の詳細構成についての説明である。なお、図7に示す制御手段20の詳細構成は一例であって、いずれかの手段を統合したり、いずれかの手段を分割したり、図7に図示していない構成を追加したりしてもよい。
〔基板識別手段〕
図8は、基板識別手段30の詳細構成を示すブロック図である。図8のように、基板識別手段30は、切欠き検出手段31、特徴量抽出手段32、照合判定手段33、格納手段34、出力手段35を有する。
切欠き検出手段31は、制御手段20から画像データを取得する。切欠き検出手段31は、取得した画像データから切欠き111を含む範囲を検出する。切欠き検出手段31は、検出した切欠き111を含む範囲の画像(切欠き画像とも呼ぶ)を特徴量抽出手段32に出力する。なお、切欠き検出手段31は、制御手段20から取得した画像データに切欠き111を含む範囲をマークして特徴量抽出手段32に出力するように構成してもよい。
特徴量抽出手段32は、切欠き検出手段31から切欠き画像を取得する。特徴量抽出手段32は、取得した切欠き画像から特徴量を抽出する。特徴量抽出手段32は、抽出した特徴量から特徴データを生成する。特徴量抽出手段32は、生成した特徴データを照合判定手段33に出力する。
照合判定手段33は、照合データと登録データとを照合する。
照合判定手段33は、照合データと登録データとを照合できなかった場合、その照合データに対応する基板100−1と照合データとを関連付けた登録データを格納手段34に格納する。そして、基板識別手段30は、その基板100−1がSMT装置200を通過した時刻や作業内容を含む生産履歴を生産履歴サーバ10に送信する。
一方、基板識別手段30は、照合データと登録データとを照合できた場合、その照合データに対応する基板100−1が登録済みの基板100−1であると識別する。そして、基板識別手段30は、その基板100−1がSMT装置200を通過した時刻や作業内容を含む生産履歴を生産履歴サーバ10に送信する。
例えば、撮像された基板100−1の一方の面が既に実装済みであり、もう一方の面に部品を実装する場合、その基板100−1の登録データは格納手段34に登録されている。その場合、特徴データ(照合データ)と、格納手段34に格納された特徴データ(登録データ)とが照合されれば、その基板100−1の基板情報が特定できる。
格納手段34には、SMTラインに投入されている基板100−1の側面の切欠き画像から抽出された特徴データと、その基板100−1の基板情報とを関連付ける登録データが格納される。例えば、格納手段34には、登録済みの基板100−1の品種やシリアルナンバーなどの基板情報と、その基板100−1の特徴データとが関連付けて格納される。
出力手段35は、照合判定手段33によって識別された基板100−1に関する生産履歴を生産履歴サーバ10に送信する。
以上が、基板識別手段30の詳細構成に関する説明である。なお、図8に示す基板識別手段30の詳細構成は一例であって、いずれかの手段を統合したり、いずれかの手段を分割したり、図8に図示していない構成を追加したりしてもよい。
(動作)
次に、本実施形態の識別装置1の動作について図9および図10のフローチャートを用いて説明する。
〔制御処理〕
まず、図9のフローチャートを用いて、識別装置1の制御手段20による制御処理について説明する。
図9において、まず、制御手段20は、基板100−1が撮像範囲に到達したことを示す検出信号をセンサ13から受信しているか否かを確認する(ステップS11)。なお、制御手段20は、所定の時間ごとに検出信号の受信を確認してもよいし、検出信号が受信されたタイミングでステップS12に進んでもよい。
検出信号が受信されている場合(ステップS11でYes)、制御手段20は、搬送装置17を一時停止させる(ステップS12)。一方、検出信号が出力されていない場合(ステップS11でNo)、制御手段20は待機する(ステップS11に戻る)。
次に、制御手段20は、基板100−1の側面の切欠き111を含む範囲をカメラ11に撮像させる(ステップS13)。
次に、制御手段20は、ステップS13で撮像した画像データを基板識別手段30に送信する(ステップS14)。
そして、制御手段20は、搬送装置17を再稼働させる(ステップS15)。
以上が、図9のフローチャートに沿った制御手段20による制御処理に関する説明である。
〔基板識別処理〕
次に、図10のフローチャートを用いて、識別装置1の基板識別手段30による基板識別処理について説明する。基板識別手段30は、制御手段20から画像データを受信したタイミングに合わせて基板識別処理を開始する。
図10において、まず、基板識別手段30は、受信した画像データから切欠き111を検出し、切欠き111を含む画像(以下、切欠き画像)を生成する(ステップS21)。なお、受信した画像データをそのまま使用する際には、ステップS21を削除してもよい。
次に、基板識別手段30は、切欠き画像から特徴量を抽出し、抽出した特徴量から特徴データ(以下、照合データ)を生成する(ステップS22)。
次に、基板識別手段30は、生成した照合データと、格納手段34に格納された登録データとの照合を行う(ステップS23)。
照合データと一致する登録データが格納手段34に登録されていない場合(ステップS24でNo)、基板識別手段30は、その基板100−1の特徴量を基板情報に関連付けて格納手段34に格納する(ステップS25)。一方、照合データと一致する登録データが格納手段34に登録されている場合(ステップS24でYes)、ステップS26に進む。
そして、基板識別手段30は、その基板100−1の基板情報と通過履歴とを含む生産履歴を生産履歴サーバ10に送信する(ステップS26)。
以上が、図10のフローチャートに沿った基板識別手段30による基板識別処理に関する説明である。
以上のように、本実施形態の識別装置は、側面に切欠きのある基板に関して、切欠きの部分を含む画像データから生成した特徴データを用いて基板を照合する。基板の側面に形成された切欠きの内部は、他の側面とは異なり、SMT装置の内部や搬送装置などに直接接触することがないため、汚れや傷が付きにくい。そのため本実施形態の識別装置によれば、側面に切欠きのない基板を識別対象とする一般的な装置と比べて、高い識別精度で回路基板を識別できる。すなわち、本実施形態の識別装置によれば、個体識別情報を基板に付与せずに、高い識別精度で回路基板を識別できる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る識別装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態においては、上面から見た際に三角形状の切欠きが側部に形成されている基板を識別対象とする。なお、本実施形態の識別装置は、制御装置以外の構成は第1の実施形態と同様であるため、同様の構成・機能については説明を省略する。
図11は、SMTラインに識別装置2を設置する一例である。識別装置2は、SMTラインを構成するSMT装置200の入り口に配置されたカメラ11、センサ13、位置調整機構15、搬送装置17に接続される。識別装置2は、上面から見た際に三角形状の切欠き112が側部に形成されている基板100−2を識別対象とする。基板100−2は、搬送装置17によってSMT装置200に搬送され、SMT装置200において部品が実装される。なお、カメラ11、センサ13、位置調整機構15、搬送装置17のいずれかを識別装置2の構成に加えてもよい。
本実施形態は、位置調整機構15に支持されたカメラ11によって基板100−2の側面を撮像する点で第1の実施形態とは異なる。位置調整機構15は、カメラ11を移動可能に支持する。例えば、位置調整機構15は、レール状の支持体と、カメラ11を搭載して移動する可動部とを組み合わせた構造とする。なお、位置調整機構15は、カメラ11の撮像視野を変えることさえできれば、その構造に限定を加えない。
本実施形態においては、切欠き112が三角形状であるため、識別装置2は、切欠き112が含まれる範囲を2方向からカメラ11に撮像させる。図12および図13は、カメラ11が2方向から切欠き112を撮像する例である。
まず、図12のように、識別装置2は、基板100−2が静止している状態で、カメラ11が切欠き112の内部の第1の面に正対するように位置調整機構15を制御する。識別装置2は、カメラ11が切欠き112の内部の第1の面に正対する状態で、切欠き112を含む範囲をカメラ11に撮像させる。
そして、図13のように、識別装置2は、基板100−2が静止している状態で、カメラ11が切欠き112の内部の第2の面に正対するように位置調整機構15を制御する。識別装置2は、カメラ11が切欠き112の内部の第2の面に正対する状態で、切欠き112を含む範囲をカメラ11に撮像させる。
識別装置2は、切欠き112の部分のみをカメラ11に撮像させてもよいし、基板100−2の側面全体をカメラ11に撮像させて切欠き112の部分を画像データから抽出してもよい。識別装置2は、切欠き112を含む範囲の画像データが得られると、搬送装置17の停止を解除する。
〔制御手段〕
次に、本実施形態の識別装置2の制御手段20−2の構成について図面を参照しながら説明する。図14は、制御手段20−2の詳細構成を示すブロック図である。図14のように、制御手段20−2は、検知信号受信手段21、搬送装置制御手段23および撮像制御手段25に加えて、位置調整制御手段24を有する。以下においては、第1の実施形態との相違点について説明し、第1の実施形態と同様の点については説明を省略する。
搬送装置制御手段23は、検知信号受信手段21および位置調整制御手段24に接続される。搬送装置制御手段23は、検知信号を受信すると、基板100−2の側面の切欠き112がカメラ11の撮像視野内に入るタイミングで、搬送装置17を停止するための停止信号を搬送装置17に送信する。
また、搬送装置制御手段23は、搬送装置17に停止信号を送信するタイミングに合わせて、位置調整制御手段24に搬送装置17を停止したことを通知する停止通知信号を出力する。搬送装置制御手段23が位置調整制御手段24に停止通知信号を出力するタイミングは、搬送装置17に停止信号を出力するタイミングと同時であってもよいし、搬送装置17に停止信号を出力した後のタイミングであってもよい。
また、搬送装置制御手段23は、撮像完了通知信号を受信すると、搬送装置17を再稼働させるための動作指示信号を搬送装置17に送信する。なお、撮像完了通知信号は、撮像制御手段25から搬送装置制御手段23に直接送信するように構成してもよいし、位置調整制御手段24を経由させるように構成してもよい。また、撮像完了通知信号の送受信をせずに、所定時間経過した段階で搬送装置制御手段23から動作指示信号を搬送装置17に送信するように構成してもよい。
位置調整制御手段24は、位置調整機構15に接続される。また、位置調整制御手段24は、搬送装置制御手段23および撮像制御手段25に接続される。
位置調整制御手段24は、搬送装置制御手段23から停止通知信号を受信する。位置調整制御手段24は、停止通知信号を受信すると、カメラ11が切欠き112の内部の第1の面に正対するように位置調整機構15を制御する。そして、位置調整制御手段24は、カメラ11が切欠き112の内部の第1の面に正対したことを通知する位置停止通知信号を撮像制御手段25に出力する。
そして、位置調整制御手段24は、撮像制御手段25から撮像完了通知信号を受信すると、カメラ11が切欠き112の内部の第2の面に正対するように位置調整機構15を制御する。そして、位置調整制御手段24は、カメラ11が切欠き112の内部の第2の面に正対したことを通知する位置停止通知信号を撮像制御手段25に出力する。
位置調整制御手段24は、2度目の撮像完了通知信号を受信すると、その撮像完了通知信号を搬送装置制御手段23に転送する。
以上が、制御手段20−2の詳細構成についての説明である。なお、図14に示す制御手段20の詳細構成は一例であって、いずれかの手段を統合したり、いずれかの手段を分割したり、図14に図示していない構成を追加したりしてもよい。
〔制御処理〕
次に、図15のフローチャートを用いて、識別装置2の制御手段20−2による制御処理について説明する。
図15において、まず、制御手段20−2は、基板100−2が撮像範囲に到達したことを示す検出信号をセンサ13から受信しているか否かを確認する(ステップS121)。なお、制御手段20−2は、所定の時間ごとに検出信号の受信を確認してもよいし、検出信号が受信されたタイミングでステップS122に進んでもよい。
検出信号が受信されている場合(ステップS121でYes)、制御手段20−2は、搬送装置17を一時停止させる(ステップS122)。一方、検出信号が出力されていない場合(ステップS121でNo)、制御手段20−2は待機する(ステップS121に戻る)。
次に、制御手段20−2は、カメラ11が切欠き112の内部のいずれかの面に正対するように位置調整機構15を制御する(ステップS123)。例えば、制御手段20−2の位置調整制御手段24が、カメラ11の撮像視野を少なくとも二つの方向に変更させるように位置調整機構15を制御する。
次に、制御手段20−2は、基板100−2の側面の切欠き112を含む範囲をカメラ11に撮像させる(ステップS124)。例えば、撮像制御手段25が、位置調整機構15の制御に応じて変更された少なくとも二つの撮像視野で基板100−2の側部の切欠き112部分を撮像するようにカメラ11を制御する。
ここで、他の面を撮像する場合(ステップS125でYes)、ステップS123に戻る。一方、他の面を撮像しない場合(ステップS125でNo)、ステップS123で撮像した全ての画像データを基板識別手段30に送信する(ステップS126)。
そして、制御手段20−2は、搬送装置17を再稼働させる(ステップS127)。なお、ステップS126とステップS127を処理する順番は入れ違ってもよい。
以上が、図15のフローチャートに沿った制御手段20−2による制御処理に関する説明である。
〔基板識別処理〕
次に、図16のフローチャートを用いて、識別装置2の基板識別手段30による基板識別処理について説明する。基板識別手段30は、制御手段20−2から画像データを受信したタイミングに合わせて基板識別処理を開始する。
図16において、まず、基板識別手段30は、受信した複数の画像データから切欠き112を検出し、画像データごとに切欠き112を含む画像(以下、切欠き画像)を生成する(ステップS221)。例えば、切欠き検出手段31が、カメラ11から取得された少なくとも二つの撮像視野で撮像された画像データごとに切欠き112部分を検出する。なお、受信した画像データをそのまま使用する際には、ステップS221を削除してもよい。また、画像データを合成してから切欠き画像を生成してもよい。
次に、基板識別手段30は、画像データごとの切欠き画像を合成し、一つの切欠き画像(以下、合成切欠き画像)とする。
次に、基板識別手段30は、合成切欠き画像から特徴量を抽出し、抽出した特徴量から特徴データ(以下、照合データ)を生成する(ステップS223)。例えば、特徴量抽出手段32が、切欠き検出手段31によって検出された画像データの切欠き112部分を合成した画像に基づいて特徴データを生成する。
次に、基板識別手段30は、生成した照合データと、格納手段34に格納された登録データとの照合を行う(ステップS224)。
照合データと一致する登録データが格納手段34に登録されていない場合(ステップS225でNo)、基板識別手段30は、その基板100−2の特徴量を基板情報に関連付けて格納手段34に格納する(ステップS226)。一方、照合データと一致する登録データが格納手段34に登録されている場合(ステップS225でYes)、ステップS227に進む。
そして、基板識別手段30は、その基板100−2の基板情報と通過履歴とを含む生産履歴を生産履歴サーバ10に送信する(ステップS227)。
以上が、図16のフローチャートに沿った基板識別手段30による基板識別処理に関する説明である。
ここで、本実施形態の切欠き形状の長所について説明する。図17は、基板100−2の側面と、識別装置2が取得する切欠き画像122とを比較するために並べて示す概念図である。
基板100−2の切欠き112を側面に対して正対した方向から撮像すると、切欠き112の部分の面に対して斜めに撮像することになる。そのため、実際の切欠き112の部分の面が縮小された画像が得られてしまう。
一方、識別装置2は、切欠き112部分の面を正対する2方向から撮像した切欠き画像122を用いて特徴量を抽出する。
第1の実施形態の手法で撮像した場合、基板の厚さをD、切欠き112の長さをL1とすると、特徴量を抽出する箇所の面積はD×L1となる。一方、本実施形態の手法で撮像した場合、切欠き112に沿った長さをL2とすると、特徴量を抽出する箇所の面積はD×L2となる。L2はL1よりも大きいため、本実施形態の手法を用いた方が、第1の実施形態の手法よりも特徴量の抽出対象面積が増大する。例えば、切欠き112が正三角形の場合、本実施形態の手法によれば、特徴量を抽出する箇所の面積は、第1の実施形態と比べて約2倍になる。
すなわち、本実施形態によれば、特徴量を抽出する切欠き112部分の画像の面積が増えるため、第1の実施形態と比較して照合に使用できる特徴量を増やせる。
以上のように、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、切欠き部分がSMT装置や搬送装置と触れないため、SMT工程における搬送時に傷や汚れが識別対象位置に付きにくく、基板の表面状態の変化を防ぎ識別精度が低下しない。さらに、本実施形態によれば、切欠き形状に合わせてカメラの撮像視野を変えて取得した画像に基づいて特徴量を抽出するため、特徴量を抽出する部分の面積を増やし、識別精度をより向上できる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る識別装置について図面を参照しながら説明する。上面から見た際に半円形状の切欠きが側部に形成されている基板を識別対象とする。なお、本実施形態の識別装置の構成は、第2の実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
図18は、SMTラインに識別装置3を設置する一例である。識別装置3は、SMTラインを構成するSMT装置200の入り口に配置されたカメラ11、センサ13、位置調整機構15、搬送装置17に接続される。識別装置3は、上面から見た際に半円形状の切欠き113が側部に形成されている基板100−3を識別対象とする。基板100−3は、搬送装置17によってSMT装置200に搬送され、SMT装置200において部品が実装される。
本実施形態においては、切欠き113が半円形状であるため、識別装置3は、位置調整機構15を制御してカメラ11の撮像視野を変化させながら、切欠き113が含まれる範囲を連続的にカメラ11に撮像させる。なお、カメラ11による撮像回数やタイミングは、任意に設定できる。例えば、識別装置3は、位置調整機構15によってカメラ11の位置を調整しながら、カメラ11によってストロボ撮像するように制御する。
図19および図20は、カメラ11が連続的に切欠き113を撮像する動きの概念図である。なお、本実施形態においては、図19のカメラ11の位置を初期位置とし、図20のカメラ11の位置を撮像完了位置とする。すなわち、カメラ11は、初期位置における第1の視野から撮像を開始し、撮像完了位置における第2の視野で撮像を停止する。なお、カメラ11による撮像タイミングは、任意に設定できる。
まず、図19のように、識別装置3は、基板100−3が静止している状態で、初期位置にあるカメラ11に切欠き113を撮像させる。そして、識別装置3は、位置調整機構15を制御してカメラ11の撮像視野を変化させながら、切欠き113が含まれる範囲を連続的にカメラ11に撮像させる。そして、図20に示す撮像完了位置にカメラ11が移動すると、識別装置3は、カメラ11による撮影を終了させるとともに、位置調整機構15を停止させる。
(動作)
〔制御処理〕
次に、図21のフローチャートを用いて、識別装置3による制御処理について説明する。なお、本実施形態においては、識別装置3を動作の主体として説明する。
図21において、まず、識別装置3は、基板100−3が撮像範囲に到達したことを示す検出信号をセンサ13から受信しているか否かを確認する(ステップS131)。なお、識別装置3は、所定の時間ごとに検出信号の受信を確認してもよいし、検出信号が受信されたタイミングでステップS132に進んでもよい。
検出信号が受信されている場合(ステップS131でYes)、識別装置3は、搬送装置17を一時停止させる(ステップS132)。一方、検出信号が出力されていない場合(ステップS131でNo)、識別装置3は待機する(ステップS131に戻る)。
次に、識別装置3は、カメラ11が切欠き112の内部の曲面に正対するように位置調整機構15を制御する(ステップS133)。例えば、位置調整制御手段24が、カメラ11の撮像視野が第1の視野から第2の視野まで変化するように位置調整機構15を制御する。
次に、識別装置3は、基板100−3の側面の切欠き112を含む範囲をカメラ11に撮像させる(ステップS134)。例えば、撮像制御手段25が、第1の視野から第2の視野まで変化する視野範囲で基板100−3の側部の切欠き113部分を連続的に撮像するようにカメラ11を制御する。
ここで、他の面を撮像する場合(ステップS135でYes)、ステップS133に戻る。一方、他の面を撮像しない場合(ステップS135でNo)、ステップS133で撮像した全ての画像データを基板識別手段30に送信する(ステップS136)。
そして、識別装置3は、搬送装置17を再稼働させる(ステップS137)。
また、識別装置3は、位置調整機構15を制御してカメラ11を初期位置に戻す(ステップS138)。なお、ステップS136〜ステップS138を処理する順番は入れ違ってもよい。
以上が、図21のフローチャートに沿った識別装置3による制御処理に関する説明である。
〔基板識別処理〕
次に、図22のフローチャートを用いて、識別装置3による基板識別処理について説明する。なお、本実施形態においては、識別装置3を動作の主体として説明する。
図22において、まず、識別装置3は、受信した複数の画像データを合成し、合成画像を生成する(ステップS231)。
次に、識別装置3は、合成画像から切欠きを検出し、切欠き113を含む画像(以下、切欠き画像)を生成する。例えば、切欠き検出手段31が、カメラ11から取得された複数の画像データを合成した画像から切欠き113部分を検出する。なお、受信した合成画像をそのまま使用する際には、ステップS231を削除してもよい。また、複数の画像データから切欠き画像を生成し、それらの切欠き画像を合成することによって切欠き画像を生成してもよい。
次に、識別装置3は、切欠き画像から特徴量を抽出し、抽出した特徴量から特徴データ(以下、照合データ)を生成する(ステップS233)。例えば、特徴量抽出手段32が、切欠き検出手段31によって検出された切欠き113部分の画像に基づいて特徴データを生成する。
次に、識別装置3は、生成した照合データと、格納手段34に格納された登録データとの照合を行う(ステップS234)。
照合データと一致する登録データが格納手段34に登録されていない場合(ステップS235でNo)、識別装置3は、その基板100−2の特徴量を基板情報に関連付けて格納手段34に格納する(ステップS236)。一方、照合データと一致する登録データが格納手段34に登録されている場合(ステップS235でYes)、ステップS237に進む。
そして、識別装置3は、その基板100−2の基板情報と通過履歴とを含む生産履歴を生産履歴サーバ10に送信する(ステップS237)。
以上が、図22のフローチャートに沿った識別装置3による基板識別処理に関する説明である。
ここで、本実施形態の切欠き形状の長所について説明する。図23は、基板100−3の側面と、識別装置3が取得する切欠き画像123とを比較するために並べて示す概念図である。
基板100−3の切欠き113を側面に対して正対した方向から撮像すると、切欠き113の部分の曲面に対して斜めに撮像することになる。そのため、実際の切欠き113の部分の面が縮小された画像が得られてしまう。
一方、識別装置3は、切欠き113部分の面に対して正対する方向から撮像した切欠き画像123を合成した合成画像を用いて特徴量を抽出する。
第1の実施形態の手法で撮像した場合、基板の厚さをD、切欠き113の長さをL1とすると、特徴量を抽出する箇所の面積はD×L1となる。一方、本実施形態の手法で撮像した場合、切欠き113に沿った長さをL3とすると、特徴量を抽出する箇所の面積はD×L3となる。L3はL1よりも大きいため、本実施形態の手法を用いた方が、第1の実施形態の手法よりも特徴量の抽出対象面積が増大する。例えば、切欠き112が半円の場合、本実施形態の手法によれば、特徴量を抽出する箇所の面積は、第1の実施形態と比べて約3倍になり、第2の実施形態と比べて約1.5倍になる。
すなわち、本実施形態によれば、特徴量を抽出する切欠き113部分の画像の面積が増えるため、第1および第2の実施形態と比較して照合に使用できる特徴量を増やせる。
以上のように、本実施形態によれば、第1および第2の実施形態と同様に、切欠き部分がSMT装置や搬送装置と触れないため、SMT工程における搬送時に傷や汚れが識別対象位置に付きにくく、基板の表面状態の変化を防ぎ識別精度が低下しない。さらに、本実施形態によれば、切欠き形状に合わせてカメラの撮像視野を変えて取得した画像を合成した合成画像に基づいて特徴量を抽出するため、特徴量を抽出する部分の面積を増やし、識別精度をより向上できる。
(ハードウェア)
最後に、本実施形態に係る識別装置を可能とするハードウェア構成について説明する。図24は、本発明の各実施形態に係る識別装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図24には、プロセッサ91、コンバータ93、主記憶装置95、入出力インターフェース96、画像処理回路97および記憶媒体98がバス99によって接続されたハードウェア構成を示す。なお、図24は、各実施形態に係る識別装置を実現するための構成例であって、装置のスペックに合わせて装置や回路を任意に追加・削除してもよい。
プロセッサ91は、記憶媒体98等に格納されたプログラムを主記憶装置95等に展開し、展開されたプログラムを実行する演算装置である。プロセッサ91は、一般的な中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成すればよい。
コンバータ93は、外部から入力されたアナログデータをデジタル変換する機能を有する回路である。コンバータ93は、アナログデータをデジタルデータに変換するA/D(Analog/Digital)変換コンバータを有する。なお、コンバータ93は、内部で生成されたデジタルデータをアナログ変換する機能を有してもよい。
主記憶装置95は、プロセッサ91が扱うプログラムやデータを一時的に展開するための記憶領域を有する装置である。例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)を主記憶装置95として構成することができる。
入出力インターフェース96は、外部または内部の入出力機器との間のデータ授受を行うインターフェースである。例えば、入出力インターフェース96は、カメラ11やセンサ13、位置調整機構15、搬送装置17と接続される。また、入出力インターフェース96は、図示しないキーボードやマウスなどの入力装置、図示しないディスプレイやプリンタなどの出力装置、外部のコンピュータやサーバなどに繋がるネットワークと接続されてもよい。
画像処理回路97は、画像データに対して種々の処理を行う回路である。画像処理回路97は、例えば、撮像データに対して、暗電流補正や補間演算、色空間変換、ガンマ補正、収差の補正、ノイズリダクション、画像圧縮などの画像処理を実行する集積回路である。なお、画像処理回路97は、上述の画像処理以外の処理を実行できるように構成してもよい。例えば、画像処理回路97は、画像の合成処理や、切欠き画像のトリミング処理などの処理を実行する。
記憶媒体98は、プログラムやデータを記憶する媒体である。例えば、ハードディスクなどを記憶媒体98として用いることができる。また、ROM(Read Only Memory)を記憶媒体98として構成してもよい。記録媒体は98、例えばSD(Secure Digital)カードやUSB(Universal Serial Bus)メモリなどの半導体記録媒体などで実現してもよい。また、記憶媒体98は、フレキシブルディスクなどの磁気記録媒体、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光学記録媒体やその他の原理を用いた記録媒体によって実現してもよい。
以上が、本発明の実施形態に係る識別装置を可能とするためのハードウェア構成の一例である。なお、図24のハードウェア構成は、本実施形態に係る識別装置を可能とするためのハードウェア構成の一例であって、本発明の範囲を限定するものではない。また、本実施形態に係る識別装置による処理をコンピュータに実行させる処理プログラムも本発明の範囲に含まれる。さらに、本発明の実施形態に係る処理プログラムを記録したプログラム記録媒体も本発明の範囲に含まれる。
以上、実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。