JP6849546B2 - 系統連系用電力変換装置 - Google Patents

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Description

本発明は、系統に連系して使用される系統連系用電力変換装置に関する。
近年、電力変換装置を介して太陽光発電装置等の分散型電源から供給された電力を系統に連系する発電システムや、分散型電源と電力貯蔵装置とを組み合わせて使用し、電力変換装置を介して系統に連系するいわゆるハイブリッド発電システムの需要が高まっている。これらの発電システムでは、自然エネルギーを最大限に活用する観点から、電力変換装置の変換効率を高めることが望まれている。例えば、特許文献1には、系統連系インバータ装置の効率を向上させることを目的として、特にDC/DCコンバータの効率を向上させる技術が開示されている。
また、上記のような発電システムに関し、「系統連系規定 JFEAC9701−2012」は、事故時運転継続要件(以下、FRT要件という)を満たすシステムであることを要求している。本FRT要件を満たすために、発電システムは、系統電圧の瞬時電圧低下(以下、瞬低と略して記載する場合がある)時においても所定の期間は継続運転するように構成されている必要がある。
特許文献2には、系統電圧の瞬低が発生した前後の直流リンク電圧の目標値を変更した上で、DC/DCコンバータ部とインバータ装置の間のリンク電圧が所定の閾値を下回った量に応じて、スイッチング素子を駆動するパルス信号の幅を広げる技術が記載されている。また、特許文献3には、瞬低(電圧降下)解消時用の電気エネルギーをキャパシタに保持し、商用電力系統が瞬低(電圧低下)から元の電圧に戻ったときに、このキャパシタから必要な電気エネルギーを補う技術が記載されている。
特開2005−6383号公報 特開2016−32396号公報 特開2015−223038号公報
ところで、系統連系用電力変換装置において、変換効率を向上させるためには、出力電力追従制御を行うことが好ましい。出力電流の歪み等を抑制しつつ、出力電力への追従性を高めることができれば、電力変換装置の変換効率を高めることができるためである。一方で、出力電力への追従性を高めた場合には、瞬低のような電圧低下に対しても追従しようとするため、電力変換装置の動作が不安定になる場合がある。したがって、安定的な継続運転を実現するための対策が必要である。
また、変換効率の向上に関し、特許文献1のように、DC/DCコンバータにより直流電力を最大の効率で昇圧させ、それをインバータで逆変換させることにより、インバータ装置全体の効率を高める方法は、商用系統電圧が大幅に上昇した場合に、DC/DCコンバータのデューティ比が最大許容値を超え、インバータの出力電流が歪んでしまう場合がある。
上記問題に鑑み、本発明は、上記課題を解決し、高い変換効率を実現しつつ、瞬低での継続運転が確保された電力変換装置を提供することを目的とする。
本発明の第1態様に係る系統連系用電力変換装置は、直流バスと、前記直流バスに供給された直流電力を交流電力に変換するインバータと、系統電圧を計測する電圧計測部と、前記直流バスのバス電圧を制御する制御部とを備え、前記制御部は、通常運転モードでは、所定の第1時点から所定の時間だけ遡った第2時点より前に前記電圧計測部で計測された第1計測電圧に基づいて前記バス電圧を制御する一方、前記第1時点において前記電圧計測部で計測された第2計測電圧が前記第1計測電圧より所定の閾値電圧以上高くなる電圧上昇モードでは、当該第2計測電圧に基づいて前記バス電圧を制御することを特徴とする。
この態様によると、制御部は、通常運転モードでは、第2時点より前に測定された第1計測電圧に基づいて直流バスのバス電圧を制御する。このような構成とすることにより、第2時点から第1時点までの間に、系統電圧に変化があった場合に、その電圧変化がバス電圧の制御に影響しないようにすることができる。これにより、例えば、系統電圧が急激に低下した場合にも、しばらくの間、その影響を受けずに運転を継続することができる。一方で、電圧上昇モードでは、第1時点で計測された第2計測電圧に基づいてバス電圧を制御するため、系統電圧の上昇に速やかに追従した出力追従型の運転を実現することができるので変換効率を高めることができる。さらに、系統電圧が上昇した場合に、直流バス電圧が不足して電力変換装置の出力電流が歪むのを防ぐことができる。
前記第1計測電圧は、前記第2時点と、前記第2時点から所定の期間遡った第3時点との間における前記系統電圧の平均値である、としてもよい。
このように、第1計測電圧として平均値を用いることにより、第2時点より前に発生している電圧変化の影響を和らげることができる。また、平均化されたデータを使うことにより、安定性の高い動作を実現することができる。
前記制御部は、前記電圧上昇モード時に、前記第1計測電圧に基づく前記バス電圧の制御値と、前記第2計測電圧に基づく前記バス電圧の制御値との差が所定の閾値未満になったとき、前記バス電圧の制御を前記通常運転モードにする、としてもよい。
この構成によると、電圧上昇モードから通常運転モードに移行させる場合のバス電圧の制御値の差を小さくすることができるので、例えば、電力変換装置が系統に連系される場合に、運転モードの変更による系統電源電圧への影響を小さくすることができる。
前記電圧計測部で計測された計測電圧と、前記バス電圧の設定値との関係を示したテーブルが記憶された記憶部を備え、前記制御部は、前記第1計測電圧及び前記第2計測電圧に応じた前記テーブルの参照値に基づいて前記バス電圧を制御するようにしてもよい。
ところで、系統電圧(計測電圧)に対して、変換効率が最大化されるバス電圧の設定値は、電力変換装置の設計から製造の段階において、ある程度確定された値となる。したがって、上記の構成のように、テーブル方式を用いることにより、複雑な演算等を行うことなく、最適なバス電圧を設定することができるようになる。
前記制御部は、前記電圧上昇モードにおいて、前記第2計測電圧に基づいた設定信号をローパスフィルタに通過させ、当該ローパスフィルタを通過した設定信号により前記バス電圧を制御するにしてもよい。
この構成によると、仮に、第2計測電圧の変動が大きいような場合においても、設定信号の変化を、ローパスフィルタの遮断周波数に応じた緩やかなものにすることができる。これにより、電力変換装置が商用電力系統の不安定要因となることを防ぐことができる。
前記制御部は、電力変換装置の起動から所定の期間は、前記バス電圧を初期設定値に固定し、所定の期間経過後に、前記第1計測電圧に基づいた電圧に向かって前記バス電圧を徐々に近づけるように制御するようにしてもよい。
このように、バス電圧を第1計測電圧に基づいた電圧に徐々に近づける、いわゆる、ソフトスタートの機能を追加することにより、インバータの出力電圧が急激に変化することを防ぐことができ、安定的な動作を実現することができる。
前記制御部は、前記電圧計測部が瞬時電圧低下を検知した場合、前記インバータの出力電流を前記電圧計測部の計測電圧に応じた電流値に低下させるとともに、前記瞬時電圧低下が解消されたときの前記バス電圧が前記初期設定値になるように制御するようにしてもよい。
このような構成にすることにより、瞬低時においても、インバータを停止させることなく、継続運転することができる。
本発明に係る電力変換装置は、系統電圧に応じて互いに異なる時間に計測された計測電圧に基づいたバス電圧制御を行うようにしたので、高い変換効率を実現しつつ、瞬低等の電圧降下時における安定的な継続運転を実現するができる。
本実施形態に係るハイブリッド発電システムの概略構成図である。 制御回路の制御ブロック図である。 直流バス電圧指令値調整回路のブロック図である。 ハイブリッド発電システムの動作を示すフローチャートである。 起動時におけるハイブリッド発電システムの動作状態を模式的に示した図である。 通常運転時において、系統電圧が変動した場合におけるハイブリッド発電システムの動作状態を模式的に示した図である。 図6の直流バス電圧波形、系統電圧波形及び出力電流波形の部分拡大図である。 ソフトスタートについて説明するための図である。 瞬低時の動作について説明するための図である。 本実施形態に係るハイブリッド発電システムの変換効率を示すグラフである。 本実施形態に係るハイブリッド発電システムの他の例を示す概略構成図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
<ハイブリッド発電システムの構成>
図1は本実施形態に係るハイブリッド発電システムの概略構成図である。図1に示すように、ハイブリッド発電システム1は、分散型電源としての太陽電池2と、太陽電池2から出力された電力を貯える蓄電池3と、太陽電池2を商用電力系統に連系させる系統連系用電力変換装置A(以下、単に電力変換装置Aという)とを備えている。なお、図1中のVPV及びIPVは、それぞれ、太陽電池2の出力電圧、及び太陽電池2の出力電流を示している。また、図1中のV及びIは、それぞれ、蓄電池3の充放電電流及び充放電電圧を示している。
商用電力系統9は、商用系統電源10と、系統インピーダンスとを含んでいる。図1において、R及びLは、系統インピーダンスの抵抗成分と誘導性リアクタンス成分とを示している。また、図1のZ及びiは、商用電力系統9側に接続されている交流負荷(例えば、家庭用負荷)及びその交流負荷に流れる負荷電流を示している。なお、図1中のeuwは、ハイブリッド発電システム1と商用電力系統9とを接続する配電線間の電圧(以下、商用系統電圧euwという)である。
電力変換装置Aは、太陽電池2の出力を受けてDC/DC(Direct Current to Direct Current)変換するDC/DCコンバータ4aと、蓄電池3に対する充放電を行うための双方向のDC/DCコンバータ4b(以下、単にDC/DCコンバータ4bという)と、太陽電池2と蓄電池3の少なくとも一方から入力された直流電力を交流電力に変換するインバータ5と、制御回路7a,7bとを備えている。DC/DCコンバータ4aからの出力電圧である直流バス電圧Vdcは、電圧平滑化のためのコンデンサCdcを介してインバータ5に与えられている。さらに、電力変換装置Aは、インバータ5の後段に接続されたLCフィルタ6及び系統連系用リレーSを備えている。なお、図示を省略しているが、電力変換装置Aには、直流バス電圧Vdcを測定するための電圧計が設けられ、その測定値が制御回路7a,7bに入力されている。以下の説明において、単に直流バス電圧Vdcといった場合、上記直流バス電圧Vdcの測定値を含むものとする。また、図1中のSPVは、DC/DCコンバータ4aのスイッチング素子を示している。
電力変換装置Aにおいて、インバータ5及びDC/DCコンバータ4bの主要部が、三相インバータ用IPM(Intelligent Power Module)8により構成されている。具体的には、三相インバータ用IPM8の各相は、2つのスイッチング素子からなるハーフブリッジ回路で構成されている。そして、三相インバータ用IPM8における3相の出力ラインのうち、u相とw相の出力ラインがLCフィルタ6及び系統連系用リレーSを介して単相2線の商用電力系統9に接続され、v相の出力ラインは、蓄電池3に接続されている。図1では、スイッチング素子S1〜S4をインバータ5用のスイッチング素子として用い、スイッチング素子S5,S6をDC/DCコンバータ4b用のスイッチング素子として用いている例を示している。また、DC/DCコンバータ4bにおいて、スイッチング素子S5、S6の中間ノードと蓄電池との間には、DCリアクトルLが設けられている。なお、図1中のRは、DCリアクトルLの内部抵抗である。また、コンデンサCdcは、DC/DCコンバータ4bのDC/DC変換に必要なコンデンサの役割も果たす。また、図1中のeinv及びiinvは、それぞれ、インバータ5の出力電圧及び出力電流を示している。
LCフィルタ6は、u相とw相の出力ラインに設けられた一対のACリアクトルLと、両出力ライン間に接続されたコンデンサCとから構成され、インバータ5の出力から高調波成分(主に、PWM信号のキャリア周波数)を除去する。図中におけるR及びRは、それぞれ、ACリアクトルLの内部抵抗及びコンデンサCの内部抵抗を示す。また、図1中のiはコンデンサCに流れる電流(コンデンサ通過電流)を、ispはLCフィルタ6から出力される出力電流をそれぞれ示している。
制御回路7a,7bは、例えば、マイクロコンピュータを用いて構成されており、主に、DC/DCコンバータ4a,4b及びインバータ5を制御する。
制御回路7aは、太陽電池2からの発電電力を最大限に活用するために、太陽電池2からの発電電力及び交流負荷Zの消費電力の情報に基づいて、DC/DCコンバータ4bを介して蓄電池3の充放電制御を行う。制御回路7aには、前述の直流バス電圧Vdc、インバータ5の出力電流iinv、負荷電流i、商用系統電圧euw、インバータ5の出力電圧einv、蓄電池3の充放電電流I、及び蓄電池3の電圧Vの測定値が入力信号として与えられている。なお、以下の制御回路7aの説明において、上記各測定電圧、測定電流に関し、測定値である旨の記載を省略する場合がある。さらに、制御回路7aからは、スイッチング素子S1〜S6の駆動制御信号及び系統連系用リレーSの遮断制御信号が出力されている。
制御回路7bは、太陽電池2からの出力電力が最大(最適)になるように、太陽電池2の最大電力点追従制御(以下、MPPT(Maximum Power Point Tracking)制御という)を行う。具体的には、DC/DCコンバータ4aを制御して、太陽電池2からの入力電圧を調整する。また、制御回路7bは、商用系統電圧euwが急激に低下した場合(例えば、瞬低時)には、インバータ5からの有効成分の出力電流の絶対値が出力電流のリミッタ値Ilimの範囲内に抑制されるようにDC/DCコンバータ4aを制御する。具体的に、制御回路7bは、商用系統電圧euwが急激に低下した場合、MPPT制御から、DC/DCコンバータ4aの直流出力電圧をある一定の範囲内で上下させるCV(Constant Voltage)モードの制御(以下、CVモード制御という)に切り替える。制御回路7bには、直流バス電圧Vdc、太陽電池2の出力電圧VPV、及び太陽電池2の出力電流IPVが入力信号として与えられており、DC/DCコンバータ4aのスイッチング素子SPVの制御信号を出力する。
−制御回路の構成−
図2は制御回路7aの制御ブロック図を示している。図2では、主に、直流バス電圧Vdcの一定制御(直流バス電圧Vdcの値が一定になるようにするための制御)、無効電力制御、及びインバータ5の出力電流制御に関連する制御ブロックを示している。
図2において、直流バス電圧制御回路11は、直流バス電圧Vdcの値が一定になるように制御する回路である。直流バス電圧制御回路11は、直流バス電圧Vdcのフィードバック値(測定値)と、直流バス電圧Vdcの指令値である直流バス電圧指令値V dcとの差分に基づいて、インバータ5からの有効成分の出力電流の制御目標値である有効電流指令値I を算出し、後段の出力電流リミッタ回路19に出力する。
出力電流リミッタ回路19は、後述する出力電流調整回路18で求めた係数FRTratioと、出力電流制限用指令値I lim等に基づいて、有効成分の出力電流のリミッタ値(以下、「出力電流リミッタ値」と略す)Ilimを算出する。そして、出力電流リミッタ回路19は、直流バス電圧制御回路11から出力された有効電流指令値I の絶対値が出力電流リミッタ値Ilimを超えないように、インバータ5からの有効成分の出力電流を抑制する機能を有する。具体的には、後段の有効成分生成回路12に対して、制限有効電流指令値I p1を出力する。
なお、瞬低時等において、商用系統電圧euwの残電圧が0%になった場合、その状態を検知してから商用系統電圧euwが復帰するまでの間、出力電流リミッタ回路19は、以下の(1),(2)のいずれかの動作を選択する。(1)は、有効成分生成回路12に出力する制限有効電流指令値I p1をゼロにして、インバータ5の出力電流制御を継続し、インバータ5の運転を継続させる動作であり、(2)は、後述するPWM出力制御回路21にゲートブロック信号を出力して、インバータ5を停止させる動作である。
有効成分生成回路12は、出力電流リミッタ回路19から受けた制限有効電流指令値I p1と、PLL15から出力された商用系統電圧euwの位相角θuwの正弦値sin(θuw)とを乗算して、有効成分の電流指令値の瞬時値を生成する。ここで、PLL15は、商用系統電圧euwを入力信号として受け、商用系統電圧euwの位相角θuwに同期した電圧信号を生成する回路である。具体的には、商用系統電圧euwの位相角θuwと周期Tuwを算出して、出力する。周期Tuwは、後述する出力電圧検出回路16に供給される。
無効成分生成回路14は、無効電流制御回路13からの出力値と、PLL15から出力された商用系統電圧euwの位相角θuwの余弦値cos(θuw)とを乗算して、無効成分の電流指令値の瞬時値を生成する。そして、有効成分生成回路12からの出力値と無効成分生成回路14からの出力値とが、加算点SP1で加算されて、インバータ5の出力電流指令値i invとなる。この出力電流指令値i invは、出力電流制御回路20に送られる。
ここで、無効電流制御回路13は、インバータ5から出力された無効成分の出力電流のフィードバック値Iと、インバータ5からの無効成分の出力電流の指令値である無効電流指令値I とに基づいて、インバータ5からの無効成分の出力電流が、無効電流指令値I と等しくなるように、フィードバック制御をする回路である。なお、図2において、PLL22は、LCフィルタ6の出力電流ispの位相角θspに同期した電圧信号を生成する回路である。なお、出力電流ispは、以下の式(1)により求めることができる。
Figure 0006849546
また、PLL15から出力された位相角θuwと、PLL22から出力された位相角θspとは、減算ポイントSP2で減算され、位相差Δφ(θuw−θsp)としてフィードバック値生成部23に供給される。フィードバック値生成部23は、上記位相差Δφから正接値tan(Δφ)を求める回路である。乗算器24は、上記の位相差Δφの正接値tan(Δφ)に、(2Puw/Euwm)を乗じることにより、無効成分の出力電流のフィードバック値Iを求めて、無効電流制御回路13に出力する回路である。なお、この計算に用いられるPuwは、ハイブリッド発電システム1の有効出力電力であり、Euwmは、商用系統電圧euwの最大値(振幅値)である。
出力電流制御回路20は、商用電力系統9から正常な電源が供給されている場合における運転モードである通常運転モードにおいて、インバータ5の出力電流iinvの値が、出力電流指令値i invに追従するように、上記出力電流iinv及び直流バス電圧Vdcに基づいたフィードバック制御を行い、インバータ5の出力デューティ比dinvを算出する。このデューティ比dinvは、PWM出力制御回路21に供給される。
PWM出力制御回路21は、出力電流制御回路20から受けた出力デューティ比dinvに基づいて、この出力デューティ比dinvに対応するパルス幅のPWM信号を生成する。そして、PWM信号に基づいて、インバータ5の各スイッチSW1,SW2,SW3,SW4を駆動制御する。
次に、図2のうち、瞬低時における事故時運転継続動作(以下、FRTモードという)に係る処理に関連する回路について、説明する。
出力電圧検出回路16は、商用系統電圧euwを取得し、その振幅値を第2計測電圧Euwmとして出力する。なお、Euwmは、以下の式(2)により求めることができる。
Figure 0006849546
さらに、出力電圧検出回路16は、以下の式(3)に基づいて、第1計測電圧Euwaを求める。なお、式(3)中のzは、半サイクル毎のサンプリング周期である。
Figure 0006849546
上記式(3)において、x及びyは、現時点(所定の第1時点に相当)を起点として何サイクル遡った時点(第2時点と第3時点との間に相当)の測定値が第2計測電圧に採用されるのかを示す正の整数であり、任意に設定することができる値である。また、y>xの関係を満たす値である。例えば、x及びyは、FRT要件を満たような値に設定するという観点に基づいて定めることができる。具体的には、式(3)に示される第1計測電圧Euwaは、現時点(第1時点に相当)を起点としてyサイクル前(第3時点に相当)からxサイクル前(第2時点に相当)までの間の第2計測電圧Euwmの平均値を示している。換言すると、仮に、xサイクル前から現時点までの間に商用系統電圧euwの変動があったとしても、この変動によって第1計測電圧Euwaの値には影響がないことを示している。そうすると、例えば、xサイクル前から現時点までの時間を、FRT要件を満たす時間(例えば、1秒)以上に設定することにより、瞬低が発生した場合においても、少なくともFRT要件を満たす時間において変化しない計測電圧(第1計測電圧Euwa)を取得することができる。
商用電圧振幅瞬時値検出回路28は、商用系統電圧euwに基づいて、商用系統電圧euwの振幅の瞬時値(以下、「振幅瞬時値」という)Emaxを求める。
電圧瞬低復帰検出回路17は、出力電圧検出回路16から受けた第2計測電圧Euwmと、商用電圧振幅瞬時値検出回路28から受けた振幅瞬時値Emaxとに基づいて、瞬低が発生しているか否かを判定する。例えば、振幅瞬時値Emaxが所定の瞬低判定電圧EFRT未満になった場合には、瞬低が発生したと判定する。さらに、電圧瞬低復帰検出回路17は、第2計測電圧Euwm及び振幅瞬時値Emaxに基づいて、商用系統電圧euwが瞬低から通常の電圧値(通常運転モード)に復帰したことを検出する。なお、瞬低判定電圧EFRTは、例えば、制御回路7a,7bまたはその周辺に搭載されたメモリ(図示省略)等にあらかじめ記憶されている。
出力電流調整回路18は、電圧瞬低復帰検出回路17で瞬低が検出されたときに、係数FRTratioを算出し、出力電流リミッタ回路19に出力する。これにより、インバータ5からの出力電流値は、第2計測電圧Euwmの大きさに応じた出力電流値に低下する。なお、係数FRTratioは、瞬低時(FRTモードの時)に、インバータ5からの出力電流を絞る(出力電流値を低下させる)ための調整用の係数である。
充放電停止指示回路27は、電圧瞬低復帰検出回路17によって商用電力系統9が瞬低状態にあることが検出されたときに、充放電電力制御回路(図示省略)に対して、DC/DCコンバータ4bによる蓄電池3への充放電を行わないように指示する。
図3は、直流バス電圧指令値調整回路26の一例を示すブロック図である。
直流バス電圧指令値調整回路26は、3入力(SW0,SW1,SW2)の切替スイッチSWVdcを備えている。また、直流バス電圧指令値調整回路26には、入力信号として、直流バス指令の基準値(以下、基準指令値V dc0という)と、出力電圧検出回路16(図2参照)から出力された第2計測電圧Euwm及び第1計測電圧Euwaとが入力されている。ここで、基準指令値V dc0は、商用電力系統9の定格電圧等に基づいてあらかじめ任意に設定され、例えば、制御回路7a,7bまたはその周辺に搭載されたメモリ(図示省略)等に記憶されている。
直流バス電圧指令値調整回路26の入力端子SW0には、基準指令値V dc0が供給されている。入力端子SW1には、第1計測電圧Euwaに基づくルックアップテーブルLUTの参照値が、第1直流バス電圧指令値V dc1として供給されている。同様に、入力端子SW2には、第2計測電圧Euwmに基づくルックアップテーブルLUTの参照値が、ローパスフィルタLPFを介して第2直流バス電圧指令値V dc2として供給されている。このように、ローパスフィルタLPF(遮断周波数:fc)を介在させることにより、第2計測電圧Euwmの変動が大きいような場合においても、第2直流バス電圧指令値V dc2を遮断周波数fcに応じた緩やかな変化にすることができる。これにより、電力変換装置Aが商用電力系統9の不安定要因となることを防ぐことができる。なお、ローパスフィルタの遮断周波数fcは、任意に設定することができる。
ここで、ルックアップテーブルLUTは、第1計測電圧Euwa及び第2計測電圧Euwmに対して、最適な直流バス電圧指令値V dcが対応付けられたテーブルである。このルックアップテーブルLUTは、例えば、事前に測定されたデータやシミュレーションデータ等に基づいて作成され、あらかじめ制御回路7a,7bまたはその周辺に搭載されたメモリ(図示省略)等に記憶されている。なお、上記メモリ(例えば、EPROM)に記憶されたルックアップテーブルLUTが、電力変換装置Aの外部から書き換えできるように構成されていてもよい。
<ハイブリッド発電システムの動作>
次に、図4から図9を用いて、ハイブリッド発電システム1の動作について、具体的に説明する。図4は、ハイブリッド発電システム1の動作を示すフローチャートである。図5は、起動時におけるハイブリッド発電システム1の動作状態を模式的に示した図である。図6は、通常運転時において、系統電圧変動時におけるハイブリッド発電システムの動作状態を模式的に示した図である。なお、図5及び図6では、発明の理解を容易にするために、発明のポイントとなる部分やその周辺部分について実際の電圧や電流の変化よりも誇張して記載したり、逆に微弱な電圧や電流の変動等を省略したりしている場合がある。また、後述する図9についても同様である。なお、以下の動作説明では、特に明記しないが、DC/DCコンバータ4aは、太陽電池2のMPPT制御を実施しているものとする。
−1.通常動作(起動から通常運転モード)−
まず、ハイブリッド発電システム1の起動から通常運転モードに移行するまでの動作について説明する。
図4のステップS10において、ハイブリッド発電システム1が起動されると、ソフトスタート機能が実行される。
具体的なソフトスタートについて、図8を参照しながら説明する。
まず、制御回路7aは、ハイブリッド発電システム1が起動されると、直流バス電圧Vdcと基準指令値V dc0とを比較する。そして、図8中の(i)に示されるように、起動時における直流バス電圧Vdcが、基準指令値V dc0より高い場合、制御回路7aは、降圧動作のソフトスタートを行う。具体的には、制御回路7a(直流バス電圧指令値調整回路26)は、起動直後の直流バス電圧指令値V dc(以下、初期指令値V dcsと記載する)として、起動直後の直流バス電圧Vdc(基準指令値V dc0より大きい値)を使用する。その後、制御回路7aは、直流バス電圧指令値調整回路26および直流バス電圧制御回路11により、直流バス電圧指令値V* dcが、初期指令値V dcsから基準指令値V dc0に徐々に近づくように制御する。初期指令値V dcsから基準指令値V dc0に近づける速度は、所定のソフトスタート時間Tsoftに基づいて決まる。なおこのソフトスタート時間Tsoftは、ハイブリッド発電システム1のスムーズかつスピーディな起動ができるようにする観点等に基づいて、任意に設定すればよい。なお、起動時における直流バス電圧Vdc(初期指令値V dcs)が、基準指令値V dc0より低い場合においても、同様である。すなわち、図8中の(ii)に示されるように、制御回路7aは、初期指令値V dcsとして起動直後の直流バス電圧Vdcを使用するとともに、直流バス電圧指令値V dcが初期指令値V dcsから基準指令値V dc0に徐々に近づくように制御する。このような構成にすることにより、直流バス電圧Vdcの値と直流バス電圧指令値V dcとの差分を小さくすることができ、出力電流ispの変動が大きくなることを防ぐことができる。さらに、DC/DCコンバータ4a,4bの昇圧比(電解コンデンサCdcの充電により直流バス電圧Vdcを上昇させるための昇圧比)が低い場合においても、ハイブリッド発電システム1を起動することができるようになる。なお、図5では、時間T10から時間T11までの間がソフトスタート期間に相当し、図8中(i)と同様に、降圧動作のソフトスタートを行っている例を示している。
図4に戻り、ステップS11のソフトスタートが終了すると、直流バス電圧指令値V dcとして基準指令値V dc0値が設定される。このとき、直流バス電圧指令値調整回路26の切替スイッチSWVdcは、SW0に設定されている。これにより、DC/DCコンバータ4a,4bは、この基準指令値V dc0値に基づいた動作をする。具体的には、DC/DCコンバータ4a,4bは、制御回路7aの制御を受けて、直流バス電圧Vdcが基準指令値V dc0に応じた電圧値になるように動作する。
そして、ステップS11における基準指令値V dc0の設定後に所定時間TP1が経過すると、フローはステップS12に進み、直流バス電圧指令値調整回路26の切替スイッチSWVdcがSW0からSW1に切り替えられる(図5の時間T12参照)。ここで、起動から切替スイッチSWVdcがSW1に切り替えられるまでの時間Ts1は、以下の式で与えられ、例えば数秒程度である。
Figure 0006849546
なお、上記所定時間TP1は、yサイクル期間に必要な時間Tyよりも長く設定されるのが望ましい。ただし、所定時間TP1が時間Tyより短く設定されていてもかまわない。この場合、例えば、上記時間Tyが経過するまでの間における第1直流バス電圧指令値V dc1の設定に用いる式として、式(3)よりも短い時間で設定値が算出できる式を採用すればよい。
上記切替スイッチSWVdcの切り替えにより、直流バス電圧指令値調整回路26からは、前述の第1計測電圧Euwaに基づいて設定された第1直流バス電圧指令値V dc1が出力されるようになる(図3参照)。より具体的には、ステップS12では、第1計測電圧Euwaに基づいたルックアップテーブルLUTの参照値が、第1直流バス電圧指令値V dc1として設定される(図5参照)。
以上のように、通常運転モードでは、第1直流バス電圧指令値V dc1として、「現時点(第1時点に相当)を起点としてyサイクル前(第3時点に相当)からxサイクル前(第2時点に相当)までの第2計測電圧Euwmの平均値である第1計測電圧Euwa(式(3)参照)」に基づいて選択された値を使用するようにしている。これにより、切替スイッチSWVdcがSW1に設定されている期間中は、仮に、xサイクル前から現時点までの間に商用系統電圧の変動があったとしても、直流バス電圧指令値V dcの設定に対して影響が出ないようにすることができる。
なお、図5に示す時間TP2において、直流バス電圧Vdcが低下しているにも拘わらず、出力電流ispが一定であるのは、商用系統電圧euwが一定であり、電力変換装置Aからの出力電力も一定であることによる。また、直流バス電圧指令値V dcが系統電圧の振幅値euwに近ければ近いほど、出力電流制御回路20において算出されるデューティ比dinvの上下値が±1に近くなり、インバータ5の出力電流iinvのピック値の付近でのスイッチング損失は低減されるため、変換効率の向上が期待できる。
−2.商用系統電圧降下時の動作(振幅瞬時値Emax=瞬低判定電圧EFRT以上)−
次に、商用系統電圧euwが降下した場合における動作について、図4及び図6を参照しながら説明する。図6では、時間T21までの期間TP1は通常運転モードで動作しているものとする。すなわち、商用系統電圧euwが一定であり、直流バス電圧指令値調整回路26の切替スイッチSWVdcがSW1に設定され、直流バス電圧指令値V dcとして第1直流バス電圧指令値V dc1が設定されているものとする。その後、時間T21からT22にかけて商用系統電圧euwが下降し、時間T22の商用系統電圧euwが時間T26まで保持されているものとする。なお、ここでは、下降後の商用系統電圧euwに基づく振幅瞬時値Emaxは、瞬低判定電圧EFRT以上であるものとする。
図6のT21からT22の間の期間TP2において、商用系統電圧euwが低下すると、それにしたがって第2計測電圧Euwmが低下し、それにしたがって第2直流バス電圧指令値V dc2も低下する。一方で、出力電流ispの値は増加している。これは、インバータ5の入力電力と出力電力とが等しいためである。
図6のT21からT23の間の期間TP3において、第1計測電圧Euwa及び第1直流バス電圧指令値V dc1は、は、時間T21までの値が保持される。すなわち、商用系統電圧euwが下降する場合において、直流バス電圧指令値V dcがその変化に追従しない期間が設定されている。具体的には、時間T21からxサイクルに相当する時間が経過するまでの間(図5の時間TP2参照)は、式(2)に基づく第1計測電圧Euwaの値が変化しないので、第1直流バス電圧指令値V dc1の値も変化しないようになっている。
そして、時間T21からxサイクルに相当する時間が経過すると、すなわち時間T23になると、第1計測電圧Euwaの値が徐々に低下し、第1直流バス電圧指令値V dc1の値もそれにしたがって徐々に低下する。
このように、本実施形態では、商用系統電圧euwの降下開始から所定の期間は、過去の商用系統電圧euw(第1計測電圧Euwa)に基づいて直流バス電圧を制御するようにしている。すなわち、商用系統電圧euwの降下にしたがって直流バス電圧指令値V dcを変化させることなく、インバータ5を継続運転させるようにしている。これにより、短時間の瞬低が発生してすぐに復帰するような場合や、断続的な瞬低が発生するような場合においても、継続運転を行うことができる。このような制御にする理由は、商用系統電圧euwの降下が発生した場合には、仮に、直流バス電圧指令値V dcを変化させなかったとしても、そのことが原因で商用電力系統9を不安定にさせるおそれが少ないからである。
−3.商用系統電圧上昇時の動作−
次に、商用系統電圧euwが上昇した場合における動作について、図4及び図6を参照しながら説明する。図6では、時間T25から時間T27にかけて商用系統電圧euwが上昇し、時間T27以降は商用系統電圧euwが一定電圧に保持されている例を示している。
図6の時間T25から時間T28の期間TP4において、商用系統電圧euwが上昇すると、直流バス電圧指令値V dcは、速やかにその上昇に追従するようになっている。このように速やかに追従させる理由は、追従が遅れると、直流バス電圧の不足により出力電流ispに歪みが発生してしまうためである。
以下において、具体的に説明する。
図6の時間T25から時間T26において、商用系統電圧euwが上昇すると、第2計測電圧Euwm及び第2直流バス電圧指令値V dc2が上昇する。このとき、第1計測電圧Euwa及び第1直流バス電圧指令値V dc1は、それまでの値を保持している。したがって、第2計測電圧Euwmと第1計測電圧Euwaとの差が徐々に広がっていく。時間T25から時間T26の間は、第2計測電圧Euwmと第1計測電圧Euwaとの差が所定の閾値電圧Vth1以下のため(図4のステップS13でNO)、直流バス電圧指令値V dcとして、第1直流バス電圧指令値V dc1が引き続き設定される。なお、所定の閾値電圧Vth1は、任意に設定することのできる値である。
そして時間T26において、第2計測電圧Euwmと第1計測電圧Euwaとの差が閾値電圧Vth1を超えると、ステップS13でYES判定となり、フローがステップS15に進む。ステップS15(電圧上昇モードに相当)では、制御回路7aは、切替スイッチSWVdcをSW1からSW2に切り替える。これにより、直流バス電圧指令値V dcとして、第2直流バス電圧指令値V dc2が設定される。第2直流バス電圧指令値V dc2は、第2計測電圧Euwmに基づいて設定されるため、商用系統電圧euwの変化に応じて上昇する。これにより、商用系統電圧euwの降下時と比較して、直流バス電圧指令値V dcが商用系統電圧euwの変化に応じて速やかに上昇することになる。これにより、出力電力追従性を向上させることができる。
このように、本実施形態では、商用系統電圧euwが上昇する場合に、出力電力追従性を高めることができる。このような制御にすることにより、電力変換装置Aの出力電流ispが歪むのを防ぐことができる。
この点に関し、以下において、より具体的に説明する。
電力変換装置Aにおいて、インバータ5の出力におけるデューティ比dinvは、−1から1までの範囲で動作させることにより、そのスイッチング損失を低減させ、変換効率を向上させることができる。具体的に、以下の式(5)に示すように、インバータ5の出力デューティ比dinvは、第2計測電圧Euwmと、直流バス電圧Vdcの最小値Vdcminの割合に基づいて決定される。なお、下式(5)にも示すように、直流バス電圧Vdcの最小値Vdcminは、第2計測電圧Euwmと、ACリアクトルの電圧降下分ΔEinvとの和に基づいて決定される。
Figure 0006849546
このような制御形態において、商用系統電圧euwが上昇した場合に、直流バス電圧指令値V dcの上昇が遅いと、上式(5)で示されるインバータ5の出力デューティ比dinvが±1を超えてしまい、インバータの出力電流ispの波形が直流バス電圧Vdcの不足により歪んでしまうことが考えられる。これに対し、本実施形態のように、商用系統電圧euwが上昇する場合に、速やかに直流バス電圧指令値V dcを上昇させることにより、直流バス電圧Vdcの不足による出力電流の波形の歪みを防ぐことができる。
その後、商用系統電圧euwの上昇が止まって一定電圧となり、第2計測電圧Euwmと第1計測電圧Euwaとの差が所定の閾値電圧Vth2未満になると、ステップS16においてYES判定となり、フローがステップS12に戻る。そうすると、制御回路7aは、切替スイッチSWVdcをSW2からSW1に切り替える。これにより、直流バス電圧指令値V dcとして、第1直流バス電圧指令値V dc1が設定される。
図7には、期間TP4における直流バス電圧波形(Vdc)、系統電圧波形(euw)及び電力変換装置Aの出力電流波形(isp)を示している。図7では、商用系統電圧euwの上昇により、直流バス電圧の不足による出力電流ispの歪みが発生し、出力電流の波高値が低下した後、一時的に高くなっている。しかしながら、その後、短期間で直流バス電圧Vdcが安定し、それに伴って速やかに出力電流ispも安定している様子がわかる。なお、期間TP3と期間TP4との間において、直流バス電圧指令値V dcが低下しているにも拘わらず、出力電流ispが一定であるのは、商用系統電圧euwが一定であり、電力変換装置Aからの出力電力も一定であることによる。
その後の動作は、前述の説明と同様であるため、ここではその詳細な説明を省略する。
このように、第2計測電圧Euwmと第1計測電圧Euwaとの差分に基づいて、切替スイッチSWVdcをSW1に戻すことにより、再度、商用系統電圧euwの変化に拘わらず、インバータ5を継続運転させることができる通常動作モードに戻すことができる。また、切替スイッチSWVdcの切り替えタイミングを閾値電圧Vth2で調整しているので、切替スイッチSWVdcの設定変更による系統電源電圧euwへの影響を小さくすることができる。
−4.瞬低時の動作(振幅瞬時値Emax=瞬低判定電圧EFRT未満)−
次に、瞬低が発生した場合における動作について、図9を参照しながら説明する。図9では、通常状態から瞬低が発生し、その瞬低状態がしばらく続いた後、通常状態に復帰したケースを示している。
この場合において、制御回路7aは、振幅瞬時値Emaxが瞬低判定用閾値EFRT以下の状態(以下、瞬低状態という)になってから1サイクル以内に、インバータ5の出力電流iinvを絞る処理を行う。具体的には、瞬低状態になってから1サイクル以内に有効電流指令値I を下げる処理を行う。そして、振幅瞬時値Emaxが瞬低判定用閾値EFRT以下の状態から瞬低判定用閾値EFRTよりもΔEFRT以上高い状態に復帰した場合、制御回路7aは、復帰から1サイクル以内に、前述のソフトスタートを開始する。
上記の瞬低に係る動作について、図4を参照しながら詳細に説明する。
まず、通常動作モードで動作している状態(ステップS12)または電圧上昇モードで動作している状態(ステップS15)において、瞬低が発生した場合、すなわち、振幅瞬時値Emaxが瞬低判定用閾値EFRT以下になると、ステップS14がYES判定となり、フローはステップS17に進む。なお、図4では、ステップS15からステップS14にフローが遷移する矢印を省略している。
ステップS17では、制御回路7aは、DC/DCコンバータ4aの制御を、MPPT制御からCVモード制御に切り替える。CVモード制御では、前述のとおり、制御回路7aが、インバータ5からの出力電流iinvを絞る処理を実行するとともに、直流バス電圧Vdcがある閾値までしか上昇しないように制御する。
そして、振幅瞬時値Emaxが瞬低判定用閾値EFRT以下の状態から瞬低判定用閾値EFRTよりもΔEFRT以上高い状態に復帰すると、フローはS10に進み、ソフトスタートが実行される。このソフトスタートでは、直流バス電圧指令値V dcとして、復帰後の直流バス電圧Vdcを与えて、その電圧からソフトスタートを実行する。なお、このときのソフトスタート時間TFRTは、起動時のソフトスタート時間Tsoftよりも短い時間に設定されるのが好ましい。そうすることで、瞬低からの速やかな起動が実現される。なお、基本的なソフトスタートの動作は、起動時の場合(図8の説明)と同様であり、ここではその詳細な説明を省略する。
また、図9の上段には、この一連の流れにおける直流バス電圧指令値調整回路26の切替スイッチSWVdcの設定の変化の状態を記載している。前述の「2.系統電圧降下時の動作」と同様に、系統電圧降下時(ここでは瞬低発生時)から所定の期間は、直流バス電圧指令値V dc(第1直流バス電圧指令値V dc1)が変化しない。一方で、振幅瞬時値Emaxの上昇に伴って直流バス電圧Vdcが上昇しており、ソフトスタートは、その上昇分が加味された電圧から開始される。
なお、瞬低期間中は、CVモードで動作させているので、切替スイッチSWVdcはSW0でもSW1でもどちらでも構わない。ただし、ソフトスタート時には、切替スイッチSWVdcがSW0になっていることが必要であるため、図9では、有効電流指令値I を下げる処理を行うときに、切替スイッチSWVdcをSW0に切り替えている。
以上のような処理を行うことにより、瞬低時においても、電力変換装置Aの継続運転が可能となり、電力変換装置Aが商用電力系統9の不安定要因となることを防ぐことができる。
図10は、直流バス電圧を固定した場合(図10では直流バス電圧固定と記載)と、本実施形態に係る構成(図10では直流バス電圧可変と記載)との変換効率をグラフにして示したものである。図10に示すように、本実施形態に係る構成は、直流バス電圧を固定した場合と比較して高い変換効率を実現することができている。特に、商用電力系統の公称電圧が低い部分において、直流バス電圧固定制御と比較して、高い変換効率を実現することができている。
以上、本発明の好ましい実施形態及びその変形例について説明したが、本開示に係る技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え等を行った実施形態にも適用が可能である。また、上記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。
例えば、上記実施形態では、第1計測電圧Euwa、第2計測電圧Euwmに基づくルックアップテーブルLUTを参照して、直流バス電圧指令値V dcを決定するものとしたが、これに限定されない。例えば、制御回路7aに直流バス電圧指令値V dcを演算するような演算手段を設けるようにしてもよい。
例えば、上記実施形態では、ハイブリッド発電システム1が蓄電池3を備えている例について説明したが、蓄電池3はなくてもよい。図11には、蓄電池3を省いた例を示している。図11の場合においても、上記実施形態と同様に動作させることが可能であり、同様の作用効果を得ることができる。また、上記実施形態では、分散型電源としての太陽電池2を例示したが、分散型電源は太陽電池に限定されず、風力発電等の他の分散型電源であってもよい。
例えば、上記実施形態では、現時点を起点としてyサイクル前からxサイクル前までの間の第2計測電圧Euwmの平均値を用いて第1計測電圧Euwaを算出しているが、これに限るものではなく、xサイクル前の値Euwm(z−x)を用いて、第一計測電圧Euwaの値に入れ替えてもよいし、xサイクル前の値Euwm(z−x)を用いて、ローパスフィルタを介し、ローパスフィルタを通した値を第一計測電圧Euwaの値に入れ替えてもよい。
また、上記実施形態では、ローパスフィルタLPF(遮断周波数:fc)を介在させることにより、第2計測電圧Euwmの変動が大きいような場合においても、第2直流バス電圧指令値V dc2を遮断周波数fcに応じた緩やかな変化にすることができるようにしているが、これに限るものではなく、制御ソフトの制限上で、ローパスフィルタを用いなくてもよい。
また、上記実施形態を説明した図5、図6、図8および図9は、直流バス電圧Vdcにおいて2f成分等を除去した波形を示した模式図であり、実際の直流バス電圧Vdcの波形は、図7に示すように、2f成分を含む波形となる。
本発明は、電力変換装置において、高い変換効率の運転及び瞬低での継続運転が実現されており、極めて有用である。
A 電力変換装置
5 インバータ
7a 制御回路(制御部)
16 出力電圧検出回路(電圧計測部)
uwa 第1計測電圧
uwm 第2計測電圧
dc 直流バス電圧(バス電圧)

Claims (7)

  1. 系統に連系して使用される系統連系用電力変換装置であって、
    直流バスと、
    前記直流バスに供給された直流電力を交流電力に変換するインバータと、
    系統電圧を計測する電圧計測部と、
    前記直流バスのバス電圧を制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、
    通常運転モードでは、所定の第1時点から所定の時間だけ遡った第2時点より前に前記電圧計測部で計測された第1計測電圧に基づいて前記バス電圧を制御する一方、
    前記第1時点において前記電圧計測部で計測された第2計測電圧が前記第1計測電圧より所定の閾値電圧以上高くなる電圧上昇モードでは、当該第2計測電圧に基づいて前記バス電圧を制御する
    ことを特徴とする系統連系用電力変換装置。
  2. 請求項1記載の系統連系用電力変換装置において、
    前記第1計測電圧は、前記第2時点と、前記第2時点から所定の期間遡った第3時点との間における前記系統電圧の平均値である
    ことを特徴とする系統連系用電力変換装置。
  3. 請求項1記載の系統連系用電力変換装置において、
    前記制御部は、前記電圧上昇モード時に、前記第1計測電圧に基づく前記バス電圧の制御値と、前記第2計測電圧に基づく前記バス電圧の制御値との差が所定の閾値未満になったとき、前記バス電圧の制御を前記通常運転モードにする
    ことを特徴とする系統連系用電力変換装置。
  4. 請求項1記載の系統連系用電力変換装置において、
    前記電圧計測部で計測された計測電圧と、前記バス電圧の設定値との関係を示したテーブルが記憶された記憶部を備え、
    前記制御部は、前記第1計測電圧及び前記第2計測電圧に応じた前記テーブルの参照値に基づいて前記バス電圧を制御する
    ことを特徴とする系統連系用電力変換装置。
  5. 請求項1記載の系統連系用電力変換装置において、
    前記制御部は、前記電圧上昇モードにおいて、前記第2計測電圧に基づいた設定信号をローパスフィルタに通過させ、当該ローパスフィルタを通過した設定信号により前記バス電圧を制御する
    ことを特徴とする系統連系用電力変換装置。
  6. 請求項1記載の系統連系用電力変換装置において、
    前記制御部は、電力変換装置の起動から所定の期間は、前記バス電圧を初期設定値に固定し、所定の期間経過後に、前記第1計測電圧に基づいた電圧に向かって前記バス電圧を徐々に近づけるように制御する
    ことを特徴とする系統連系用電力変換装置。
  7. 請求項6記載の系統連系用電力変換装置において、
    前記制御部は、前記電圧計測部が瞬時電圧低下を検知した場合、前記インバータの出力電流を前記電圧計測部の計測電圧に応じた電流値に低下させるとともに、前記瞬時電圧低下が解消されたときの前記バス電圧が前記初期設定値になるように制御する
    ことを特徴とする系統連系用電力変換装置。
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