JP6844736B1 - 組織状蛋白素材の製造方法及び組織状蛋白素材 - Google Patents
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Abstract
Description
近年では、蛋白質原料に副原料を組み合わせ、食感に特長のある組織状蛋白素材を創出する特許が出願されている。出願人もオート麦ファイバーを副原料として添加し、より適度な硬さと肉様のほぐれ感を有する肉様食感の組織状蛋白素材を実現できる技術を特許化した(特許文献1)。
組織状大豆蛋白質の多くは粒形状であり、粒形状は大きく2つに大別される。ダイから押し出したものをそのまま使用する顆粒形状と、ダイから押し出した後に粉砕機を使って加工した細かい形状である。前者については最終製品の噛み応えを出すために利用され、後者については柔らかさ、ジューシー感を出すために主に利用されている。
また、大豆由来原料に加水して加圧加熱下に押し出して組織状蛋白素材を製造する方法において、2価の金属化合物及び有機酸を併用することを特徴とする、繊維様食感を有する組織状蛋白素材の製造方法を報告しており、その知見を使用して繊維様食感を有する製品を製造している(特許文献3)。
通常組織状蛋白素材は水を加えて吸水させ、ふやかした状態で使用されることが多い。しかし、これらの繊維様食感を有する組織状蛋白素材は、組織が緻密なため、実際に最終製品製造時に吸水しにくく、お湯で戻したり、半日ほどの長い時間をかけて戻したりしている。
この組織状蛋白素材は基本的には水を加えて吸水させ、ふやかした状態で使用されることが多いが、吸水する時間が長いため、近年の労働力不足も伴って非常に使用が難しく、あまり使用されていないのが現状である。例えば、上記の繊維様食感を有する組織状蛋白素材をお湯で戻す場合は20〜40分ほど時間を必要とする。近年の製造ラインにおいてこの吸水時間は生産性を低下させてしまう。
さらに、お湯で戻した組織状蛋白素材を、肉と混ぜる際には肉の変性を避けるために、予めお湯で戻した組織状蛋白素材を10℃以下まで冷まさなくてはならない。
また、冷却する時間を短縮するために、常温水などで吸水させようと試みる場合、半日程度かかってしまう場合もあるため、非常に不便である。つまり、常温水で吸水させても吸水時間が短い素材が求められている
さらに、繊維様食感を有する組織状蛋白素材においては吸水させた後、カッターなどにおける粉砕を強くかけることが必要である。粉砕した後に生地に混ぜ込む工程が通常であり、生産ラインにおいて1工程を追加する必要がある。近年の省人化の状況では1工程の追加は厳しくなってきており、著しく生産性を低くしている。また、粉砕することで、せっかく良質な繊維をもつように製造した組織状蛋白素材の繊維が失われてしまうという欠点もあった。吸水後に良質な繊維感を付与し、なおかつ常温で吸水時間が短い素材が必要とされている。
(A)蛋白質原料及び水を含む原料をエクストルーダーに導入して混練及び加圧加熱をし、エクストルーダーの出口に設置されたダイより原料を常圧下に押し出して組織化し、水分15〜70重量%の組織化物を得る工程、
(B)(A)で得られた組織化物を押し出し方向と垂直に切断する工程、
(C)(B)で得られた組織化物を、水平回転型の円形スライサーを用いて扁平形状にスライスする工程、
により製造される組織状蛋白素材が、繊維感が良好で有り、吸水速度が速いことを見出し本発明を完成するに到った。
(1)以下の(A)〜(C)の工程を含む、組織状蛋白素材の製造方法、
(A)蛋白質原料及び水を含む原料をエクストルーダーに導入して混練及び加圧加熱をし、エクストルーダーの出口に設置されたダイより原料を常圧下に押し出して組織化し、水分15〜70重量%の組織化物を得る工程、
(B)(A)で得られた組織化物を押し出し方向と垂直に切断する工程、
(C)(B)で得られた組織化物を、水平回転型の円形スライサー(1)を用いて扁平形状にスライスする工程、
但し、該円形スライサー(1)は、環状の切断ヘッド(2)と、該切断ヘッド(2)の内部に同軸に配置され軸(4)の周りを回転するインペラアセンブリ(3)と備えるものであり、該切断ヘッド(2)に刃(5)が装着されたものである、
(2)(C)の工程において、円形スライサーの刃(5)が、インペラアセンブリが回転する方向(7)とは逆に半径方向内部に伸長するように装着されている、(1)記載の組織状蛋白素材の製造方法、
(3)(B)の工程において、組織化物を、押し出し方向の長さ(10)が押し出し方向と垂直方向の、断面の最長部分の長さ(11)の2倍以上となるよう切断する、(1)または(2)記載の組織状蛋白素材の製造方法、
(4)(B)の工程において、組織化物の押し出し方向の長さ(10)が10〜200mmの長さとなるように切断する、(3)記載の組織状蛋白素材の製造方法、
(5)(C)の工程において、組織化物を1mm以上の厚さにスライスする、(1)〜(4)何れか1つに記載の組織状蛋白素材の製造方法、
(6)蛋白質原料中の蛋白質含量が固形分換算で35〜95重量%である、(1)〜(5)何れか1つに記載の組織状蛋白素材の製造方法、
(7)次の(a)〜(d)の特徴を有する組織状蛋白素材、
(a)蛋白質含量が固形分中35〜95重量%、
(b)押し出し方向の長さ(10)が10〜200mmであり、スライス後の厚み(16)が1mm以上8mm以下の扁平形状である、
(c)25℃の常温水を自重の6重量倍加えて3分後に、自重の2重量倍以上吸水できる、
(d)組織状蛋白素材の内部の繊維状組織が表面に露出されたものである、
(8)(7)記載の組織状蛋白素材を含有する肉代替物、
である。
本発明の組織状蛋白素材の製造方法は、以下の(A)〜(C)の工程を含むことを特徴とする。
(A)蛋白質原料及び水を含む原料をエクストルーダーに導入して混練及び加圧加熱をし、エクストルーダーの出口に設置されたダイより原料を常圧下に押し出して組織化し、水分15〜70重量%の組織化物を得る工程。
(B)(A)で得られた組織化物を押し出し方向と垂直に切断する工程。
(C)(B)で得られた組織化物を、水平回転型の円形スライサー(1)を用いて扁平形状にスライスする工程。
但し、該円形スライサー(1)は、環状の切断ヘッド(2)と、該切断ヘッド(2)の内部に同軸に配置され軸(4)の周りを回転するインペラアセンブリ(3)と備えるものであり、該切断ヘッド(2)に刃(5)が装着されたものである。
上記の方法で得られた組織状蛋白素材は、肉様の繊維感が良好で、吸水速度が速いという特徴を有し、該組織状蛋白素材を連続生産できるというメリットがある。
なお、水平回転型の円形スライサーの切断ヘッド、インペラアセンブリ、刃、組織状蛋白素材が外側に排出される隙間を模式的に表した図を図1に示している。
まず、脱脂大豆などの蛋白質原料を主要な製造原料(組織化原料)として、これを水、その他澱粉や油脂等の適当な原料をエクストルーダーに導入して、装置内部が加圧加熱された条件下において、原料を装置内のスクリューで混練する。その後、形成された混練物を装置の出口部分にある「ダイ」と呼ばれる部分の穴から常圧下に押し出して組織化物を得ることができる。
この方法では、該混練物がダイから常圧下に押出された際に、組織が膨化した状態の組織化物に変化する。
なお、脱脂大豆や粉末状大豆蛋白を主原料として製造された組織状蛋白素材は、一般的には、「粒状大豆蛋白」や「大豆パフ」などとも称されている。
本発明の組織状蛋白素材の組織化は、エクストルーダーの装置を用いて行う。エクストルーダーは一般的に、原料供給口からバレル内でその中に配置されたスクリューによって原料を送り、混練、加圧(圧縮)、加熱する機構を有し、バレル先端部(出口)に種々の形状の穴を有するダイが装着されている。
使用できるエクストルーダーは、制限はなく、1軸、2軸、あるいは3軸以上のものを用いることができる。この中でも2軸エクストルーダーを好適に用いることができる。
組織状蛋白素材の製造原料をエクストルーダーに供給し、加圧加熱下にダイより押し出す際の運転条件は、公知の条件に基づいて適宜選択および調整できる。非限定的な例を示すと、加熱条件としてバレル先端部の温度は120〜220℃が好ましく、140〜180℃がさらに好ましい。
加圧条件はバレル先端のダイ圧力が2〜100kg/cm2が好ましく、5〜40kg/cm2がさらに適当である。
エクストルーダーの出口に設置されたダイを通過して押し出される組織化物において、押し出し方向と垂直方向の切断面の最長部分の長さ(11)が少なくとも3mm以上であることが好ましい。好ましくは5mm以上、さらに好ましくは8mm以上である方がよい。
本発明においては、組織化物の内部を後述する水平回転型の円形スライサーによって表面に露出させることにより吸水速度を大幅に上げている。したがって、1つの組織化物につき、スライス回数が多いほど、組織化物の内部が露出するために吸水速度が速くなる。
ダイが大きければ、組織化物の押し出し方向と垂直方向の、断面の最長部分の長さ(11)が大きくなり、それだけスライス回数は多くなる(図2右)。
逆に、小さいダイであるほど、一つの組織化物の押し出し方向と垂直方向の、断面の最長部分の長さ(11)が小さく(図2左)、それに伴いスライサーでスライスされる回数も少ない。
実際、発明者の検討において、エクストルーダーから組織化物を押し出す際の円形の穴を持つダイの直径を半分程度にし、組織化物の1粒あたりの厚みを半分程度に調整し、一般的なフレーク形状の粒状植物性蛋白素材の製造に用いられるコミトロールプロセッサー(アーシェルジャパン(株))でカッティングした場合、後述する吸水測定法による吸水量が約0.5〜1.0重量倍程度少なくなるという結果を得ている。
組織状蛋白素材の原料を、エクストルーダーに供給する際に、加水を行う。本発明の膨化組織状蛋白素材の製造方法の場合、エクストルーダーに供給される原料全体の水分が好ましくは、15〜80重量%、より好ましくは15〜65重量%となるように加水するのが適当である。
また、本発明に用いる水は特に制限するものではなく、膨化、風味等に影響のない範囲で水溶性成分を含む水性溶媒を用いることができる。
より具体的には、15〜70重量%、15〜65重量%、15〜60重量%、15〜55重量%、15〜50重量%、15〜45重量%、15〜40重量%、15〜35重量%、15〜30重量%、16〜70重量%、16〜65重量%、16〜60重量%、16〜55重量%、16〜50重量%、16〜45重量%、16〜40重量%、16〜35重量%、16〜30重量%、17〜70重量%、17〜65重量%、17〜70重量%、17〜60重量%、17〜55重量%、17〜50重量%、17〜45重量%、17〜40重量%、17〜35重量%、17〜30重量%などが例示できる。
該組織化物の水分を上記のような範囲に設定することで、後述する水平回転型の円形スライサーでの組織化物のスライス適性が良好となる。
本発明において、「蛋白質原料」とは、組織状蛋白素材を製造するために、エクストルーダーに導入する組織化原料であって、蛋白質を含有する原料を指す。具体的には、1つの態様としては植物性蛋白質原料を用いることが好ましい。
「植物性蛋白原料」とは、植物由来の蛋白質素材であり、例えば、大豆、エンドウ、緑豆、ヒヨコ豆、菜種、綿実、落花生、ゴマ、サフラワー、ヒマワリ、コーン、ベニバナ、ココナッツ等の油糧種子由来の蛋白質素材、あるいは、米、大麦、小麦等の穀物種子由来の蛋白質素材等が挙げられる。蛋白質素材とは、上記植物の粉砕物、抽出蛋白、濃縮蛋白、分離蛋白等である。例えば、米グルテリン、大麦プロラミン、小麦プロラミン、小麦グルテン、全脂大豆粉、脱脂大豆粉、濃縮大豆蛋白、分離大豆蛋白、分離エンドウ蛋白、分離緑豆蛋白等が挙げられる。植物性蛋白原料としては、特に実施例に記載されるような大豆由来の蛋白質素材や、これと置換可能な油量種子由来の蛋白質素材が好ましく、油量種子の中でも豆類由来の蛋白質素材がさらに好ましい。
I)抽出工程
大豆原料として脱脂大豆を使用し、これに加水し攪拌等して懸濁液(スラリー)とし、蛋白質を水で抽出する。水は中性〜アルカリ性のpHとすることができ、塩化カルシウム等の塩を含むこともできる。これを遠心分離等の固液分離手段でオカラを分離し、蛋白質抽出液(いわゆる豆乳)を得る。この段階で加熱殺菌し、噴霧乾燥したものが、いわゆる脱脂豆乳粉末であり、これを粉末状植物性蛋白素材として用いることもできる。
II)酸沈殿工程
次に蛋白質抽出液に塩酸やクエン酸等の酸を添加し、該抽出液のpHを大豆蛋白質の等電点であるpH4〜5に調整し、蛋白質を不溶化させて酸沈殿させる。次に遠心分離等の固液分離手段により酸可溶性成分である糖質や灰分を含む上清(いわゆるホエー)を除去して、酸不溶性成分を含む「酸沈殿カード」を回収する。この段階で噴霧乾燥したものが、いわゆるカードパウダーであり、これを粉末状植物性蛋白素材として用いることもできる。
III)中和工程
次に酸沈殿カードに再度加水し、必要により該カードを水で洗浄後、「カードスラリー」を得る。そして該スラリーに水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリを加えて中和し、「中和スラリー」を得る。
IV)殺菌・粉末化工程
次に中和スラリーを加熱殺菌し、スプレードライヤー等により噴霧乾燥し、必要により流動層造粒を経て分離大豆蛋白を得る。
ただし、本発明における分離大豆蛋白は上記製造例にて製造されるものには限定されるものではない。大豆原料としては脱脂大豆の代わりに全脂大豆や部分脱脂大豆などの種々の大豆原料を用いることもできる。抽出手段も種々の抽出条件や装置を適用できる。たん白質抽出液からホエーを除去する方法として酸沈殿を行う代わりに限外ろ過膜等による膜濃縮を行うこともでき、その場合は中和工程は必ずしも必要ではない。さらに、大豆原料から予め酸性水やアルコールにより洗浄してホエーを除去した後に、中性乃至アルカリ性の水で蛋白質を抽出する方法を適用して製造することもできる。また、上記のいずれかの段階にて蛋白質の溶液にプロテアーゼを作用させ、蛋白質を部分加水分解することもできる。
なお、蛋白質含量は試料中の全窒素量をケルダール法により求めて、係数6.25を乗じ試料に対する百分率として測定し固形分換算で表したものである。
2価金属化合物としてはカルシウム化合物やマグネシウム化合物を1種または2種以上用いることができるが、1種類の2価金属化合物を使用する場合はカルシウム化合物が好ましい。
本発明の組織化原料として、他に種々の副原料を添加することができる。例えば、油脂、食塩等のアルカリ金属塩、卵白やカゼイン等の動物性蛋白、澱粉や多糖類等の糖質、食物繊維、乳化剤、香料、その他の公知の添加物を、本発明の効果を妨げない範囲で、適宜加えることもできる。ただし、動物性蛋白については、植物ベースの組織状蛋白素材を謳いたい場合は、含まないことが好ましい。
エクストルーダーにより組織化された組織化物は、押し出し方向の長さ(10)が、組織化物の押し出し方向と垂直方向の、断面の最長部分の長さ(11)の2倍以上になるように切断するのがよい。好ましくは2.5倍以上、さらに好ましくは3倍以上に切断するのがよい。具体的な押し出し方向の長さとしては10mm〜200mmとなるように切断するのがよい。好ましくは15mm〜100mm、さらに好ましくは20mm〜80mmとなるように切断するのがよい。
このように、組織化物の押し出し方向の長さ(10)が、組織化物の押し出し方向と垂直方向の、断面の最長部分の長さ(11)の2倍以上が好ましいことには、2つの理由がある。
1つ目の理由は肉様の繊維感を付与するために、繊維長を長くする必要があるからである。
具体的には、エクストルーダーにおいて、組織化物の繊維の方向はダイの表面と垂直方向に形成される。つまり、組織化物の繊維の方向は、エクストルーダーによる押し出し方向と同方向になる。そのため、組織化物の繊維長を長くするために押し出し方向の長さを長くする必要がある(図3)。
2つめの理由は、次の工程のスライサーで組織化物の繊維と同方向にスライスするためである。押し出し方向に長い組織化物となるよう切断すると、水平回転型の円形のスライサーで、遠心力が働くため、組織化物を繊維と同方向にスライスすることができる(図4A)。しかし、押し出し方向に短い組織化物に切断すると、水平回転型の円形スライサーで、組織化物を繊維と同方向にスライスすることができない場合もある(図4B)。
本発明において使用するスライサーは、水平回転型の円形スライサー(1)であり、図1に示している。該円形スライサーは、環状の切断ヘッド(2)を備える。また、該切断ヘッドの内部にインペラアセンブリ(3)を備える。該切断ヘッドの中心の軸(4)とインペラアセンブリの軸(4)は同軸である。インペラアセンブリはこの軸の周りを回転するが、切断ヘッドは固定されている。該切断ヘッドには刃(5)が装着されており、組織状蛋白素材をスライスする。水平回転型の円形スライサーの刃は、インペラアセンブリが回転する方向(7)とは逆に半径方向内部に伸長するように装着されている。この刃によってスライスされた組織状蛋白素材は切断ヘッドの隙間(6)を通過して外側に排出される。
また、縦型回転型の円形スライサーの場合、スライサーの最上部を組織化物が通過する際に自重で落下してしまい、スライスできなかったり、繊維方向にうまくスライスできない場合がある(図5)。
一方、水平回転型の円形スライサーにすることで遠心力が働き、繊維方向と同じ方向にスライスすることが可能となる。なお、切断ヘッドの隙間(6)の幅は調整可能だが、幅が1mm未満になってくると機械の負荷が大きくなってしまい、連続生産に適さない。さらに厚さが非常に薄いため繊維が途中で切断され繊維長が短くなり、本発明の目的である繊維長を長く保つことに合致しない。よって、切断ヘッドの隙間(6)の幅は1mm以上とすることが必須である。
水平回転型の円形スライサーで組織化物をスライスし得られた組織状蛋白素材のスライス後の厚み(16)は、1mm以上であり、好ましくは1.5mm以上、より好ましくは2mm以上である。また、上限は8mm以下、好ましくは6mm以下、より好ましくは4mm以下である。
なお、このような水平回転型の円形スライサーとして、アーシェルジャパン製のスライサー(Model CC)等が例示できる。
(a)蛋白質含量が固形分中35〜90重量%。
(b)押し出し方向の長さ(10)が10〜200mmであり、組織状蛋白素材がスライスされたものであり、該厚み(16)が1mm以上8mm以下の扁平形状である。
(c)25℃の常温水を自重の6重量倍加えて3分後の吸水倍率が、自重の2重量倍以上である。
(d)組織状蛋白素材の内部の繊維状組織が表面に露出されたものである。
また、(b)の「押し出し方向の長さ」とは、図2の(10)で示される組織化物の長さを示すものである。また、「組織化物の押し出し方向と垂直方向の、断面の最長部分の長さ」とは、図2の(11)で示される組織化物の断面の長さを示すものである。
なお、(c)の吸水倍率の測定方法は後述する。
また、(d)の要件について、本発明の組織状蛋白素材の組織の顕微鏡写真を図7に示す。
顕微鏡写真は、(株)キーエンス、デジタルマイクロスコープVHX-900Fを使用し、20倍の拡大倍率にて観察する。
比較として、水平回転型の円形スライサーによりスライスする前の組織状蛋白素材の組織の顕微鏡写真も示す。
図7の左の写真が、水平回転型の円形スライサーでスライスする前の組織状蛋白素材の顕微鏡写真であり、図7の中央の写真が、水平回転型の円形スライサーでスライスした本発明の組織状蛋白素材の顕微鏡写真である。
図7の中央の写真では、繊維状組織が表面に露出され、所々気泡が見られる(図中の矢印部分)のに対し、図7の左の写真では、気泡が見られず緻密な組織を形成しているのがわかる。
図7の右の写真は、本発明の組織状蛋白素材に3倍量加水したときの、組織の状態を観察したものである。図7の右の組織状蛋白素材はスライス後の厚み(16)が2mm程度の素材であるが、その薄さにおいても組織化時に形成された繊維を切断することなく、繊維が残っていることがわかる。すなわち組織化時の繊維方向とほぼ同方向に切断することができていることがわかる。
本発明により得られる組織状蛋白素材は、長い繊維を持ち、さらには吸水速度も速いため、畜肉や魚肉を使用した製品や植物性の代替肉製品に使用することができる。
例えば、ハンバーグやミートボール,ギョーザ,肉まん,シューマイ,メンチカツ,コロッケ,そぼろ,つくねなどの加工食品に、繊維感強化素材として使用することができる。
上記加工食品の製造工程においては、できるだけ生地を早く作り上げて連続的に調理(焼成やフライなど)をする必要がある。吸水速度が速い本発明の組織状蛋白素材は、上記加工食品の製造に対応できるものである。
また、本発明の組織状蛋白素材は、直接調理してチャーシューのような薄切り肉やおつまみなどの蓄肉様原料として利用することもできる。
脱脂大豆に7倍量の水を加え、水酸化ナトリウムにてpH7に調整して混合・抽出し、遠心分離にて沈殿物を除去したのち、残渣にさらに脱脂大豆の5倍量の水を加えて同様に処理し、抽出液を得た。塩酸でpH4.5に調整して蛋白質を沈殿させ、遠心分離にて回収した。水を加えたのち水酸化ナトリウムで中和し、熱風温度180℃,排風温度70℃にて噴霧乾燥して粉末状の分離大豆蛋白を得た。この分離大豆蛋白の蛋白質含量は固形分換算で約90%であった。
蛋白質原料及び水を含む原料をエクストルーダーに導入して混練及び加圧加熱をし、エクストルーダーの出口に設置されたダイより原料を常圧下に押し出して組織化して、組織化物を得た。なお、組織化物の押し出し方向の長さ(10)は60mmになるように切断した。また、組織化物の押し出し方向と垂直方向の、断面の最長部分の長さ(11)は10mmであった。)。なお、エクストルーダーは2軸のものを使用し、入口側は80℃〜100℃,出口側は140℃〜180℃、バレル先端のダイの圧力が5〜40kg/cm2で管理して運転を行った。なお、加水は原料全体の水分が15〜80%となるように加水した。組織化物の一部については乾燥機に供し、水分を調整した上で水平回転型の円形スライサーに供し、スライス適性があるか確認した。
本実施例における適性とは、エクストルーダーによって得られた組織化物を水平回転型の円形スライサーに投入し、切断ヘッドの隙間(6)から切断されたものが吐出されることをいう。評価基準を以下に示した。
・水平回転型の円形スライサーのスライス適性に関する評価
○:切断ヘッドの隙間(6)からスライスされた組織化物が得られる。
×:切断ヘッドの隙間(6)からスライスされた組織化物が得られない。
評価が○の場合、水平回転型の円形スライサーのスライス適性があると判断した。
なお、水分量は、加熱式水分計(MX-50、株式会社エー・アンド・デイ製)で測定した。
エクストルーダーの出口に設置されたダイより、表2に記載の原料(製造例1の分離大豆蛋白及びコーンスターチ)を常圧下に押し出して組織化物を得た。各組織化物の押し出し方向の長さ(10)は60mmになるように切断した。また、各組織化物の押し出し方向と垂直方向の、断面の最長部分の長さ(11)は10mmであった。その後、水平回転型の円形スライサー(アーシェルジャパン(株)、MODEL CC、以下、水平回転型の円形スライサーという記述に関しては同じ機械を使用)を用いて3種類の厚みをもつ組織状蛋白素材を調製した(T-6〜T-8)。厚みの調整に関しては切断ヘッドの隙間(6)の広さを変化させて調整した。エクストルーダーは2軸のものを使用し、入口側は80℃〜100℃,出口側は140℃〜180℃、バレル先端のダイの圧力が5〜40kg/cm2で管理して運転を行った。これらの組織状蛋白素材を流動層乾燥機で乾燥し、水分6%の組織状蛋白素材を得た。
ノギスを使用して組織状蛋白素材T-6、T-7、T-8それぞれ10個のスライス後の厚み(16)の平均値を測定したところ、0.79、1.82、3.89mmであった。
また、繊維感に関する評価に関しては、組織状蛋白素材の繊維感の官能評価に熟練したパネラー5名が試食し評価した。繊維感に関する官能評価に関しては、以下に示す評価基準に基づき評価し、パネラーの合議により決定した。結果を表2に示した。
・繊維感に関する官能評価
◎:繊維感を非常に強く感じる
○:繊維感を強く感じる
△:繊維感を感じる
×:繊維感を感じない
評価が◎、○または△の場合、繊維感があり良好と判断した。
水平回転型の円形スライサーによる粉砕以外の方法で、繊維感が感じられるか検証した。エクストルーダーの出口に設置されたダイより、表3に記載の原料を常圧下に押し出して組織化物を得た。この組織化物の押し出し方向の長さ(10)は20〜40mmとなるよう切断した。また、各組織化物の押し出し方向と垂直方向の、断面の最長部分の長さ(11)は10mmであった。なお、エクストルーダーの運転条件は実施例4と同条件で行った。その後、水平回転型の円形スライサー、コミトロールプロセッサー(アーシェルジャパン(株))を用いて組織状蛋白素材を調製した(T-9、T-10)。コミトロールプロセッサーの固定刃のスリットは約5×9mmに設定した。概ねスライス後の厚み(16)としては約2mmとなり同程度となった。
なお、組織状蛋白素材を流動層乾燥機で乾燥し、水分6%の組織状蛋白素材を得た。
結果を表3に示した。
一方でT-10に関しては4.75mm×4.75mmを通過するものは19.4%であり、コミトロールプロセッサーに比べて細かいサイズの組織状蛋白素材が少なく、繊維が切れていないということがわかる。官能評価においても水平回転型の円形スライサーでの粉砕しているものと比べてコミトロールプロセッサーでの粉砕物は繊維感を感じない評価となっていた。以上により、一般的な粉砕機では繊維感を感じにくく、水平回転型の円形スライサーでスライスする必要があることがわかった。
次に蛋白含量の違いで食感を比較した。
エクストルーダーの出口に設置されたダイより、乾物換算の蛋白含量が異なる大豆たん白を含む表4に記載の原料を常圧下に押し出して組織化物を得た。なお、各組織化物の押し出し方向の長さ(10)は40mmになるように切断した。また、各組織化物の押し出し方向と垂直方向の、断面の最長部分の長さ(11)は10mmであった。その後、水平回転型の円形スライサーを用いて約2mmのスライス後の厚み(16)をもつ組織状蛋白素材を調製した(T-11〜T-15)。なお、これらの組織状蛋白素材を流動層乾燥機で乾燥し、水分は6%であった。エクストルーダーの運転条件は実施例2と同条件で行った。なお、大豆蛋白と組み合わせる他素材については種種の他素材から膨化に影響が出にくいものを各蛋白原料ごとに選び、組織化した。
組織状蛋白素材の繊維感の評価をするに際し、蛋白含量による食感を比較したいため、4メッシュのふるい上に残ったもので行った以外は実施例4と同様にして評価を行った。結果を表4に示した。
また、T-14、T-15のように2価金属化合物(硫酸カルシウム)を添加して製造することで、組織状蛋白素材の繊維感がより強くなり、良好であった。
一方で組織状蛋白素材の固形分換算の蛋白質含量が42%であると少し繊維感が弱く感じられた(実施例7)。
表5に記載の原料をエクストルーダーから押し出して組織化物を得た。なお、各組織化物の押し出し方向の長さ(10)は40mmになるように切断した。また、各組織化物の押し出し方向と垂直方向の、断面の最長部分の長さ(11)は10mmであった。その後、縦回転型のスライサー(アーシェルジャパン(株)、ダイサー)、あるいは、水平回転型の円形スライサーでスライス効果を確認した。エクストルーダーは2軸型のものを使用し、入口側は80℃〜100℃,出口側は140℃〜180℃、バレル先端のダイの圧力が5〜40kg/cm2で管理して運転を行った。縦回転型のスライサーにおいてもスライス後の厚みが2mm程度となるようにスリットを調整した。水平回転型の円形スライサーでスライスしたものもスライス後の厚み(16)は約2mmであった。縦回転型のスライサーで調製した組織状蛋白素材をT-16、水平回転型の円形スライサーで調製した組織状蛋白素材をT-17とした。なお、これらの組織状蛋白素材を流動層乾燥機で乾燥し、水分は6%であった。
縦回転型のスライサーにおいては、縦回転のため、最上部を通過する際に自重で落下してし、組織化物が残存してしまった(図5)。また、繊維長も長くなっておらず、縦回転型のスライサーにおいては粒度が非常に小さくなってしまった。粒度の大きさにおいてはJIS規格に適合した実験用ふるいを用いて測定した。
表5に載せているように、得られたものの粒度について、4メッシュ(目開き4.75mm)のふるいの上部に残っているものは縦回転型のスライサーでは24%に対し、水平回転型の円形スライサーでは63%であり、粒が大きい、つまり繊維長が長いものが多かった。また、10メッシュ(目開き1.7mm)のふるい下に通過したものに関しても、縦回転型のスライサーでは21.8%に対し、水平回転型の円形スライサーでは1.1%であり、水平回転型の円形スライサーでは粒が小さい、つまり繊維長が短いものが少なかった。
よって、縦回転型のスライサーを用いても本発明の組織状蛋白素材を得ることはできず、水平回転型の円形スライサーが必須であることがわかった。
組織状蛋白素材の繊維感をだすためには、エクストルーダーから押し出された組織化物の繊維が残るように水平回転型の円形スライサーでスライスする必要がある。
水平回転型の円形スライサーにおいては遠心力がかかるため、それを利用して繊維方向(つまり組織化物の押し出し方向。以下も同じ。)と切断方向をそろえる必要がある。これに関しては組織化物の押し出し方向の長さを長くすることで遠心力の作用で、繊維方向と切断方向をそろえることができるのではないかという仮説を立てた(図4A)。
図4Aでは、組織化物の押し出し方向の長さが長い場合を示している。この場合、組織化物は、遠水平回転型の円形スライサーの遠心力で、切断ヘッド(2)側に移動するが、組織化物の繊維方向が切断ヘッドに装着される刃(5)の方向に向く確率が高く、組織化物の繊維方向と水平回転型の円形スライサーの切断方向をそろえることができると考えられる。物体においては遠心力がかかると重心(15)が外側に引っ張られる。押出方向の長さが長いため、重心は組織状蛋白素材の中央近くにある。つまり、重心がなるべくスライサーの切断ヘッドに近接するようになる。
一方、図4Bは組織化物の押し出し方向の長さが短い場合を示している。この場合、同様に切断ヘッド(2)側に移動した場合、組織化物に長い部分がないため、組織化物の繊維方向の向きは一定せず、組織化物の繊維方向と水平回転型の円形スライサーの切断方向をそろえることが難しいと考えられる。
「組織化物の押出方向と垂直方向の、断面の最長部分の長さ(11)」:「組織化物の押し出し方向の長さ(10)」が、1:1、1:2、1:8のものから製造した組織状蛋白素材をそれぞれ、T-18(比較例6)、T-19(実施例13)、T-20(実施例14)とした。組織状蛋白素材の押し出し方向の長さ(10)は、T-18、T-19、T-20でそれぞれ、10mm、20mm、80mmであった。
この繊維感の官能評価は繊維感の強さについて評価したものであるが、咀嚼回数の観点からも評価を行った。
水平回転型の円形スライサーによる切断方向が組織化物の繊維の方向と同じであれば繊維が長くなり(図4A)、繊維が長いほど嚥下するまでに歯によるせん断が多くなると考えられる。
一方、繊維と切断方向が異なる場合(図4B)、繊維が短いため嚥下までのせん断が少なくなるため、咀嚼回数が少なくなると考えられる。
そこで、繊維の長さが異なる組織状蛋白素材について、同重量あたりを飲み込むまでにかかった咀嚼回数を測定した。咀嚼回数はパネラーごとにばらつくので、咀嚼回数比で検証した。結果を表6に示した。
実施例13の結果より、組織化物の押し出し方向の長さ(10)は、組織化物の押し出し方向と垂直方向の、断面の最長部分の長さ(11)の2倍以上である必要があることがわかった。しかしながら、例えば、組織化物の押し出し方向と垂直方向の、断面の最長部分の長さ(11)が1mmであった場合、組織化物の押し出し方向の長さ(10)は2mmでよいことになるが、これでは組織化物の押し出し方向の長さ(10)が最大でも2mmとなり、繊維感が出ない。
そこで、組織化物の押し出し方向の長さ(10)が最低何mmである必要があるか、検証した。
一方でT-18の繊維に関しては組織化物の押し出し方向と垂直方向の、断面の最長部分の長さ(11)が10mmのため、押し出し方向の長さ(10)は最大でも10mm程度であった。
段落0064に記載した官能評価においてもT-18の繊維感は感じられない結果となっているのは、組織化物の押し出し方向の長さが短いためと思われる。一方でT-20の繊維感を強く感じる結果になっているのは図6のような繊維構造があるためであると考えられた。
以上により、繊維感を感じるためには組織化物の押し出し方向の長さ(10)が10mm以上である必要があることがわかった。
繊維感が強く感じられるT-20について以下に示す、吸水倍率の測定方法に従い、吸水倍率を測定した。
また、各吸水時間(1、3、5、10分)において、水和していない硬い部分がないかという観点で官能評価を行った。この官能評価においては熟練したパネラー5名が以下に示す評価基準に基づき評価し、パネラーの合議により決定した。
また、比較としてエクストルーダーの出口にスリット状のダイスを装着して押し出した、スライス処理を施していない扁平形状品(厚さ2〜3mm、T−21)、さらに厚い形状品(厚さ10mm、T−22)についても同様に吸水倍率の測定及び官能評価を行った。結果を表7に示した。
円筒形の容器に30gの組織状蛋白素材を加え、25℃の水を6倍加水して1、3、5、10分間吸水させた後、25°程度傾斜をつけた30メッシュのふるい(目開き500μm)の上に容器ごとひっくり返して、5分間水切りした後に組織状蛋白素材の重量測定を行ない、以下の式により吸水倍率を算出した。
(式)
吸水倍率=(各時間吸水後の重量―30)/30
水和していない硬い部分がないかの評価
○:十分に吸水し、水和している
×:硬い部分があり、十分に水和していない。
さらに、T-20が水を自重の何倍吸ったら「十分に吸水し、水和している」状態になるのか検証した。10gのT-20に対し、自重の1.5、2.0、2.5、3.0倍の量の25℃の水を添加し、20分間静置して十分に水を吸わせた後、官能評価を行った。この官能評価においては熟練したパネラー5名が試食して、以下の評価基準に基づいて、パネラーの合議により決定した。結果を表8に示した。
○:十分に吸水し、水和しており、硬い部分がない。
×:硬い部分があり、十分に水和していない。
さらに、T-18、T-20について、アプリケーション評価も行った。本組織状蛋白素材はしなやかな繊維感を特徴としており、鶏の繊維に似た食感を保持していた。この繊維を活かして鶏つくねにおいて繊維感が保たれるか検討した。比較として既存製法による鶏つくねも試作した。本比較区には既存の組織状蛋白製品(アペックス950、不二製油株式会社製)を使用した。鶏つくねの配合は以下の表9の配合を使用した。
(1)T-18、T-20に水を加え、3分間静置し、吸水させた。
(2)ニーダーにT-18、T-20を投入し、軽く撹拌して繊維を分離させた後、残りの材料を加え均一に撹拌後、30gのつくねを成型した。
(3)95℃、8分間蒸し加熱を行い、冷凍した。
参考例
(1) 試作前日にアペックス950に水を加え、冷蔵庫の中で1晩静置し、吸水させた。
(2) 吸水させたアペックス950を卓上カッターで粉砕した。
(3) ニーダーに材料を投入し均一に撹拌して30gのつくねを成型した。
(4) 95℃、8分間蒸し加熱を行い、冷凍した。
一方、アペックス950については繊維長がT-18の約2倍であるが、参考例においても咀嚼回数が増加したが実施例20よりも咀嚼回数はやや少なかった。また、参考例の場合、前日から水を加えて長時間吸水させる必要があり、また、事前にカッターを使用して粉砕が必要である等、作業が煩雑であった。水平回転型の円形スライサーを使用して製造された本組織状蛋白素材は繊維長が長く、繊維感を有しながら、吸水時間も短いため作業の煩雑さを解決した素材と言える。
Claims (8)
- 以下の(A)〜(C)の工程を含む、組織状蛋白素材の製造方法。
(A)蛋白質原料及び水を含む原料をエクストルーダーに導入して混練及び加圧加熱をし、エクストルーダーの出口に設置されたダイより原料を常圧下に押し出して組織化し、水分15〜70重量%の組織化物を得る工程。
(B)(A)で得られた組織化物を押し出し方向と垂直に切断する工程。
(C)(B)で得られた組織化物を、水平回転型の円形スライサー(1)を用いて扁平形状にスライスする工程。
但し、該円形スライサー(1)は、環状の切断ヘッド(2)と、該切断ヘッド(2)の内部に同軸に配置され軸(4)の周りを回転するインペラアセンブリ(3)と備えるものであり、該切断ヘッド(2)に刃(5)が装着されたものである。 - (C)の工程において、円形スライサーの刃(5)が、インペラアセンブリが回転する方向(7)とは逆に半径方向内部に伸長するように装着されている、請求項1記載の組織状蛋白素材の製造方法。
- (B)の工程において、組織化物を、押し出し方向の長さ(10)が押し出し方向と垂直方向の、断面の最長部分の長さ(11)の2倍以上となるよう切断する、請求項1または2記載の組織状蛋白素材の製造方法。
- (B)の工程において、組織化物の押し出し方向の長さ(10)が10〜200mmの長さとなるように切断する、請求項3記載の組織状蛋白素材の製造方法。
- (C)の工程において、組織化物を1mm以上の厚さにスライスする、請求項1〜4何れか1項記載の組織状蛋白素材の製造方法。
- 蛋白質原料中の蛋白質含量が固形分換算で35〜95重量%である、請求項1〜5何れか1項記載の組織状蛋白素材の製造方法。
- 次の(a)〜(d)の特徴を有する組織状蛋白素材。
(a)蛋白質含量が固形分中35〜95重量%。
(b)押し出し方向の長さ(10)が10〜200mmであり、組織状蛋白素材がスライスされたものであり、該厚み(16)が1mm以上8mm以下の扁平形状である。
(c)25℃の常温水を自重の6重量倍加えて3分後に、自重の2重量倍以上吸水できる。
(d)組織状蛋白素材の内部の繊維状組織が表面に露出されたものである。 - 請求項7記載の組織状蛋白素材を含有する肉代替物。
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