(第1実施形態)
以下、図1〜図7を参照して、この発明を腕時計に適用した第1実施形態について説明する。
この腕時計は、図1〜図3に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1は、本体ケース2と外装ケース3とで構成されている。本体ケース2は、ステンレスなどの金属または硬質の合成樹脂で形成されている。外装ケース3は、ウレタン樹脂などの軟質の合成樹脂で形成され、本体ケース2の外周にこれを覆って装着されている。
この腕時計ケース1の上部開口部、つまり本体ケース2の上部開口部には、図2に示すように、時計ガラス4がパッキン4aを介して取り付けられている。この場合、時計ガラス4は、その外周部が外装ケース3の内周部によって覆われている。また、この腕時計ケース1の下部、つまり本体ケース2の下部には、裏蓋5が防水リング5aを介して取り付けられている。
この腕時計ケース1の内部、つまり本体ケース2の内部には、図2に示すように、時計モジュール6が中枠7を介して設けられている。この時計モジュール6は、指針を駆動するための時計ムーブメントや、時刻などの情報を電気光学的に表示する表示パネル、これらを電気的に駆動するための回路部などの時計機能に必要な各種の部品(いずれも図示せず)を備えている。
この腕時計ケース1の12時側と6時側とには、図1に示すように、バンド取付部8がそれぞれ設けられている。また、この腕時計ケース1の2時側、4時側、8時側、および10時側に位置する各側部には、スイッチ装置9がそれぞれ設けられている。さらに、この腕時計ケース1の3時側には、センサ部10が設けられている。
このセンサ部10は、図2〜図4に示すように、本体ケース2に設けられた貫通孔11に配置されたセンサユニット12と、このセンサユニット12を保護する部品保護装置13(図4参照)と、を備えている。センサユニット12は、本体ケース2の貫通孔11内に配置される圧力センサ14と、この圧力センサ14を貫通孔11内に取り付けるための取付部材15と、を備えている。
圧力センサ14は、図2〜図4に示すように、気圧や水圧を検出する部品であり、本体ケース2の貫通孔11内に配置された状態で、接続部材であるフレキシブルな配線基板16によって腕時計ケース1内の時計モジュール6と電気的に接続されるように構成されている。この場合、圧力センサ14は、その外径が貫通孔11の内径よりも小さく、かつ軸方向の長さが貫通孔11の軸方向の長さの半分以下の長さに形成されている。
取付部材15は、図2〜図4に示すように、本体ケース2の貫通孔11に固定された筒状部材17と、この筒状部材17内に配置されて圧力センサ14の内部側を保持する保持部材18と、圧力センサ14の外部側に配置されて圧力センサ14の外周と筒状部材17の内周との間を塞ぐ防水部材19と、この防水部材19を筒状部材17と圧力センサ14とに押し付ける押え部材20と、を備えている。
筒状部材17は、図2〜図4に示すように、本体ケース2の貫通孔11に嵌め込まれて固定される円筒部17aと、この円筒部17aの外端部に設けられたフランジ部17bと、を備えている。円筒部17aは、その外径が貫通孔11の内径と同じ大きさで、内径が圧力センサ14の外径とほぼ同じか、それよりも少し大きく形成されている。
また、この円筒部17aは、図2〜図4に示すように、その軸方向の長さが貫通孔11の軸方向の長さとほぼ同じ長さに形成されている。これにより、円筒部17aは、本体ケース2の貫通孔11に嵌め込まれた状態で、ロー付けなどの溶接によって固定されるように構成されている。
フランジ部17bは、図2〜図4に示すように、本体ケース2の円周方向に長いほぼ長方形の板状に形成されている。このフランジ部17bの長手方向における両側部には、後述するビス21が挿入するビス挿入孔17cがそれぞれ設けられている。この場合、本体ケース2における貫通孔11の両側に位置する本体ケース2の外面には、ねじ孔2aがフランジ部17bのビス挿入孔17cと同一軸上でそれぞれ対応して設けられている。
また、フランジ部17bには、図2〜図4に示すように、その中心部に円筒部17aの内径よりも大きい座ぐり部17dが設けられている。この座ぐり部17dは、その内径が円筒部17aの外径と同じか、それよりも少し小さく形成されている。また、この座ぐり部17dは、その軸方向の長さ(深さ)がフランジ部17bの軸方向の長さ(厚み)とほぼ同じ長さに形成されている。
これにより、筒状部材17は、図2〜図4に示すように、円筒部17aが本体ケース2の貫通孔11に嵌め込まれ、フランジ部17bが本体ケース2の外面に配置されて、フランジ部17bのビス挿入孔17cが本体ケース2のねじ孔2aに対応し、この状態で円筒部17aが本体ケース2の貫通孔11にロー付けなど溶接によって固定されると共に、ビス21がビス挿入孔17cを通してねじ孔2aに螺合することにより、本体ケース2に取り付けられるように構成されている。
保持部材18は、図2〜図4に示すように、合成樹脂によってほぼ円筒状に形成され、その軸方向に沿ってスリット溝18aが形成されていることにより、径方向に弾力的に変形するように構成されている。すなわち、この保持部材18は、その外径が筒状部材17の円筒部17aの内径よりも少し大きく、かつ内径が圧力センサ14の外径よりも少し大きく形成されている。
これにより、保持部材18は、図2〜図4に示すように、その径方向に圧縮された状態で、圧力センサ14が挿入された筒状部材17の円筒部17a内に本体ケース2側から挿入されることにより、本体ケース2の内部側に位置する圧力センサ14の内端部に当接して装着されるように構成されている。
すなわち、この保持部材18は、図2〜図4に示すように、筒状部材17の円筒部17a内に配置された際に、径方向に弾力的に広がることにより、筒状部材17の円筒部17aの内周面に圧接されて固定され、これにより圧力センサ14の内端部を押えて、圧力センサ14を筒状部材17の円筒部17a内に保持するように構成されている。
防水部材19は、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、エラストマなどの弾性材料からなり、図2〜図4に示すように、リング状に形成されている。すなわち、この防水部材19は、その外径が筒状部材17のフランジ部17bに設けられた座ぐり部17dの内径とほぼ同じ大きさで、内径が圧力センサ14の外径よりも小さく形成されている。また、この防水部材19は、その軸方向の長さ(厚み)が筒状部材17の座ぐり部17dの深さよりも少し長く(厚く)形成されている。
これにより、防水部材19は、図2〜図4に示すように、その内周部が圧力センサ14の外部側に配置され、外周部が筒状部材17の座ぐり部17d内に配置されることにより、圧力センサ14の外周と筒状部材17の内周とに跨った状態で配置され、この状態で圧力センサ14の外周と筒状部材17の内周との間を塞いで、圧力センサ14の外周と筒状部材17の内周との間の防水を図るように構成されている。
押え部材20は、図2〜図4に示すように、金属製の平板であり、筒状部材17のフランジ部17bとほぼ同じ外形で、かつほぼ同じ大きさに形成されている。この押え部材20は、図4に示すように、その中心に流通孔20aが設けられ、この流通孔20aの両側にビス21が挿入する挿入孔20bがフランジ部17bのビス挿入孔17cと同一軸上でそれぞれ対応して設けられた構成になっている。
これにより、押え部材20は、図2〜図4に示すように、防水部材19を介して筒状部材17のフランジ部17bの外部にこれと対応して配置され、この状態でビス21が挿入孔20bおよびフランジ部17bのビス挿入孔17cを通して本体ケース2のねじ孔2aに螺合して締め付けられることにより、防水部材19を圧力センサ14の外端部と筒状部材17の座ぐり部17dの内端部とに押え付けるように構成されている。
一方、部品保護装置13は、図2〜図4に示すように、センサユニット12を保護する保護装置22(図4参照)と、この保護装置22に対する衝撃を緩衝する緩衝装置23と、を備えている。保護装置22は、本体ケース2の外面にセンサユニット12を覆って固定されてセンサユニット12を保護する保護部材24と、この保護部材24の外面に配置される第1緩衝部材25と、を備えている。
保護部材24は、図2〜図4に示すように、筒状部材17のフランジ部17bの外形よりも大きい合成樹脂製のほぼ板状に形成されている。すなわち、この保護部材24は、図4に示すように、本体ケース2側に位置する内面に設けられた枠状部24aと、中心部に設けられた流通部24bと、この流通部24bの両側に設けられて押え部材20の挿入孔20bにそれぞれ同一軸上で対応するビス挿入孔24cと、を備えている。
この場合、枠状部24aは、図2〜図4に示すように、取付部材15における押え部材20と筒状部材17のフランジ部17bとの外周を囲む大きさの枠状に形成され、その内部に押え部材20と筒状部材17のフランジ部17bとが配置され、この状態で本体ケース2側に位置する内端部が本体ケース2の外面に当接するように構成されている。
これにより、枠状部24aは、図2〜図4に示すように、外部から衝撃などの外力が加わった際に、本体ケース2側に位置する内端部が本体ケース2の外面に押し当てられることにより、衝撃などの外力を受け止めると共に、衝撃などの外力に応じて弾力的に変形するように構成されている。この場合、保護部材24と押え部材20との間には、僅かな隙間が形成されても良い。この隙間を形成することで、保護部材24の枠状部24aが弾性変形し易くなる。
流通部24bは、図2〜図4に示すように、保護部材24の中心部に位置して押え部材20の流通孔20aの外形よりも大きい円形領域内に多数の小孔をそれぞれ軸方向に貫通させて設けた構成になっている。保護部材24のビス挿入孔24cは、その内径が押え部材20の挿入孔20b、およびフランジ部17bのビス挿入孔17cの各内径よりも少し大きく形成されている。
この場合、ビス21は、図3および図4に示すように、頭部21aとねじ部21bとを備えている。頭部21aは、保護部材24のビス挿入孔24cに挿入する小径部21cを備えた段差状に形成されている。ねじ部21bは、押え部材20の挿入孔20bとフランジ部17bのビス挿入孔17cとに挿入されて、本体ケース2のねじ孔2aに螺合するように構成されている。
これにより、保護部材24は、図2〜図4に示すように、枠状部24aの内部に押え部材20と筒状部材17のフランジ部17bとが配置され、枠状部24aの内端部が本体ケース2の外面に当接された状態で、ビス21のねじ部21bが保護部材24のビス挿入孔24c、押え部材20の挿入孔20b、およびフランジ部17bのビス挿入孔17cに挿入されて本体ケース2のねじ孔2aに螺入されることにより、本体ケース2の外面に取り付けられるように構成されている。
すなわち、ビス21は、図3および図4に示すように、ねじ部21bが保護部材24のビス挿入孔24c、押え部材20の挿入孔20b、およびフランジ部17bのビス挿入孔17cに挿入されて、ねじ部21bが本体ケース2のねじ孔2aに螺合されて締め付けられた際に、頭部21aの小径部21cが保護部材24のビス挿入孔24cに挿入された状態で、頭部21aの段差部が保護部材24を押圧することにより、保護部材24を本体ケース2に取り付けるように構成されている。
このため、この保護部材24は、図2〜図4に示すように、ビス21によって枠状部24aの内端部が本体ケース2の外面に当接した状態で取り付けられた際に、押え部材20およびフランジ部17bを本体ケース2の外面に押え付けることにより、押え部材20が防水部材19を圧力センサ14の外端部と筒状部材17の座ぐり部17dの内端部とに押え付けるように構成されている。
第1緩衝部材25は、図2〜図4に示すように、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、エラストマなどの弾性材料によって形成されている。この第1緩衝部材25は、保護部材24と緩衝装置23との間に配置されたビス21の頭部21aに対する箇所および保護部材24の流通孔24bに対応する箇所を除く、複数箇所にそれぞれ分割されて貼り付けられている。
この第1緩衝部材25は、図2〜図4に示すように、その軸方向の長さ(厚み)が、保護部材24と緩衝装置23との間の隙間における軸方向の長さよりも少し長く形成されている。これにより、第1緩衝部材25は、外装ケース3の装着孔部3b内に配置された緩衝装置23によって、保護部材24に押し付けられることにより、保護部材24と緩衝装置23との間に弾力的に挟まれた状態で取りけられるように構成されている。
一方、緩衝装置23は、図2〜図4、図7に示すように、収容部26aが設けられた本体部26と、この本体部26の収容部26a内に配置されて外部に露出する変形体27と、この変形体27が外部から衝撃を受けた際に、その衝撃力を変形体27の円周方向に分散する衝撃分散部28(図7参照)と、本体部26と変形体27との間に配置されて衝撃分散部28と共に衝撃を緩衝する第2緩衝部材29と、本体部26の収容部26a内に変形体27を変形可能な状態で取り付ける取付部材であるねじ部材30と、を備えている。
本体部26は、図2〜図5に示すように、硬質の合成樹脂または金属によってほぼ円形状に形成され、その内部にほぼ円形状の収容部26aが本体部26の外端部に開放されて形成され、この状態で外装ケース3の装着孔部3b内に配置されるように構成されている。この場合、本体部26は、その外径が保護部材24の外形よりも大きく、かつ外装ケース3の装着孔部3bの内径とほぼ同じ大きさで形成されている。
このため、この本体部26は、図2〜図5に示すように、その外周面が外装ケース3の装着孔部3bの内周面に接触した状態で、外装ケース3の装着孔部3b内に配置されるように構成されている。また、この本体部26の外周面には、外装ケース3の装着孔部3bの内周面に設けられた段差部3cに係止される鍔部26bが外周に突出して設けられている。さらに、この本体部26の底部には、ねじ部材30のねじ部30aが螺着するねじ孔26cが設けられている。
これにより、この本体部26は、図2〜図5に示すように、外装ケース3の装着孔部3b内に配置された際に、外端部が外装ケース3の装着孔部3bから外部に露出し、この状態で鍔部26bが外装ケース3の装着孔部3bの段差部3cに係止されることにより、第1緩衝部材25を介して保護装置22の保護部材24を押し付けた状態で、外装ケース3の装着孔部3b内に取り付けられるように構成されている。
変形体27は、図2〜図4、図6に示すように、弾力性を有する合成樹脂によってほぼ円筒状に形成され、本体部26の収容部26a内に配置されるように構成されている。すなわち、この変形体27は、その外径が本体部26の収容部26aの内径とほぼ同じ大きさで、かつ内径がねじ部材30の頭部30bの外径とほぼ同じ大きさに形成されている。
また、この変形体27の内端部には、図4および図6に示すように、底部が設けられており、この底部には、ねじ部材30の首下部30cが挿入するねじ挿入孔27aが設けられている。このねじ挿入孔27aは、その内径が本体部26のねじ孔26cの内径よりも大きく、かつ変形体27の内径よりも小さく形成され、本体部26の収容部26a内に配置された際に、本体部26のねじ孔26cに同一軸上で対応するように構成されている。
これにより、変形体27は、図2〜図4、図6に示すように、本体部26の収容部26a内に配置された状態で、内部にねじ部材30の頭部30bが配置され、ねじ挿入孔27aにねじ部材30の首下部30cが挿入され、このねじ部材30のねじ部30aが本体部26のねじ孔26cに螺入して締め付けられて、首下部30cが本体部26の底面に当接することにより、本体部26の収容部26a内に変形可能な状態で取り付けられるように構成されている。
第2緩衝部材29は、図2〜図4に示すように、第1緩衝部材25と同様、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、エラストマなどの弾性材料によってリング形状に形成され、本体部26の底面と変形部27の内端面との間に配置されている。すなわち、この第2緩衝部材29は、その外径が本体部26の収容部26aの内径とほぼ同じ大きさで、内径がねじ部材30の首下部30cの外径とほぼ同じ大きさに形成されている。
この第2緩衝部材29は、図2〜図4に示すように、その軸方向の長さ(厚み)が、ねじ部材30の首下部30cの軸方向の長さよりも、変形体27のねじ挿入孔27aの軸方向の長さ分だけ短い長さで形成されている。これにより、第2緩衝部材29は、本体部26の底面と変形部27の内端面との間に配置された状態で、ねじ部材30の首下部30cが挿入されることにより、本体部26の収容部26a内に変形部27によって押え付けられた状態で弾力的に取り付けられるように構成されている。
この場合、ねじ部材30は、図2〜図4に示すように、ねじ部30aと頭部30bと首下部30cと流通孔30dとを備えている。ねじ部30aは、本体部26のねじ孔26cに螺合するように形成されている。頭部30bは、変形体27の内部に配置されて変形部27を本体部26の収容部26a内に押し付けるように形成されている。首下部30cは、変形体27のねじ挿入孔27aと第2緩衝部材29の内部とに挿入し、本体部26の底面に当接するように形成されている。
このねじ部材30の流通孔30dは、図2および図4に示すように、ねじ部材30の中心部にその軸方向に貫通して設けられ、腕時計ケース1の外部と保護装置22の内部とを連通させるように構成されている。これにより、ねじ部材30は、本体部26の収容部26a内に変形体27を変形可能な状態で取り付けた状態で、流通孔30dによって腕時計ケース1の外部と保護装置22の内部とが連通するように構成されている。
ところで、緩衝装置23の衝撃分散部28は、図4〜図7に示すように、本体部26の収容部26aの内周面に設けられた分散溝部31と、変形体27の外周面に突出して設けられて、分散溝部31内に変形体27の円周方向に変位可能な状態で配置された変位部32と、を備え、変形体27が外部から衝撃を受けた際に、その衝撃力を変形体27の円周方向に分散するように構成されている。
すなわち、本体部26の分散溝部31は、図4〜図7に示すように、その内部に変位部32を衝撃方向と異なる方向に変位させる溝傾斜部31aが、本体部26の外部側(図7では右側)から内部側(図7では左側)に向けて本体部26の円周方向(図7では斜め左上側)に傾斜して設けられた構成になっている。
また、変形体27の変位部32は、図4〜図7に示すように、変形体27が外部から衝撃を受けた際に、溝傾斜部31aに沿って円周方向(図7では斜め左上側)に変位する変位傾斜部32aが、溝傾斜部31aにスライド可能に圧接した状態で設けられた構成になっている。
また、変形体27には、図4および図6に示すように、衝撃分散部28によって衝撃力を変形体27の円周方向に分散する際に、変形体27をその円周方向に変形させるための複数の変形溝部である複数のスリット溝部33a、33bが設けられている。これら複数のスリット溝部33a、33bそれぞれは、変形体27の内端部から外端部に向けて形成されている。この場合、複数のスリット溝部33a、33bの各内端部それぞれは、変形体27の外周面から内周面に連通して形成されている。
これにより、変形体27は、図4および図6に示すように、衝撃分散部28によって衝撃力が変形体27の円周方向に分散される際に、複数のスリット溝部33a、33bのうち、一部(例えば図6(b)では12時側)のスリット溝部33aが円周方向に縮むように変形し、この一部のスリット溝部33aの両側に位置する変形体27の一部が互いに圧縮する方向に変形するように構成されている。
また、この変形体27は、図4および図6に示すように、衝撃分散部28によって衝撃力が変形体27の円周方向に分散される際に、複数のスリット溝部33a、33bのうち、他方の一部(例えば図6(b)では6時側)のスリット溝部33bが円周方向に広がるように変形し、この他方の一部のスリット溝部33bの両側に位置する変形体27の他方の一部が互いに膨張する方向に変形するように構成されている。
すなわち、衝撃分散部28は、図4〜図7に示すように、変形体27が外部から衝撃を受けた際に、変形体27をその円周方向における一方側(例えば図6(b)では反時計回り方向)に変位させる第1の衝撃分散部28aと、変形体27をその円周方向における一方側と反対側(例えば図6(b)では時計回り方向)に変位させる第2の衝撃分散部28bと、を備えている。
これら第1の衝撃分散部28aと第2の衝撃分散部28bとは、図5および図6に示すように、例えば3時と9時とを結ぶ対角線上に位置して互いに対向して設けられている。すなわち、第1の衝撃分散部28aは、例えば3時側に位置して設けられている。また、第2の衝撃分散部28bは、例えば9時側に位置して設けられている。このため、変形体27は、第1の衝撃分散部28aと第2の衝撃分散部28bとによって本体部26の収容部26a内にガタつかないように、弾力的に保持されるように構成されている。
すなわち、変形体27は、図6(b)および図7に示すように、3時側の第1の衝撃分散部28aによって反時計回り方向に付勢され、9時側の第2の衝撃分散部28bによって時計回り方向に付勢されていることにより、変形体27の円周方向と軸方向とにガタつきが生じないように、本体部26の収容部26a内に弾力的に保持されるように構成されている。
この場合、第1の衝撃分散部28aは、図5〜図7に示すように、変位部32を衝撃方向と異なる方向に変位させる分散溝部31の溝傾斜部31aが、変形体27の円周方向における一方側、例えば、図5(b)では反時計回り方向に位置する12時側(図7では斜め左上側)に向けて次第に競り上がるように傾斜して設けられた構成になっている。
また、この第1の衝撃分散部28aは、図6および図7に示すように、変形体27が外部から衝撃を受けた際に、変位部32の変位傾斜部32aが、溝傾斜部31aに沿って円周方向における一方側、例えば、図6(b)では反時計回り方向に位置する12時側(図7では斜め左上側)に向けてスライドしながら変位するように構成されている。
一方、第2の衝撃分散部28bは、図5〜図7に示すように、変位部32を衝撃方向と異なる方向に変位させる分散溝部31の溝傾斜部31aが、変形体27の円周方向における一方側と反対側、例えば、図5(b)では時計回り方向に位置する12時側(図7では斜め左上側)に向けて次第に競り上がるように傾斜して設けられた構成になっている。
また、この第2の衝撃分散部28bは、図6および図7に示すように、変形体27が外部から衝撃を受けた際に、変位部32の変位傾斜部32aが溝傾斜部31aに沿って円周方向における一方側と反対側、例えば、図6(b)では時計回り方向に位置する12時側(図7では斜め左上側)に向けてスライドしながら変位するように構成されている。
この場合、複数のスリット溝部33a、33bは、図4および図6に示すように、第1の衝撃分散部28aの変位部32と第2の衝撃分散部28bの変位部32との間に位置する変形体27の一方(例えば(図6(b)では12時側)の円周上と、これに対向する変形体27の他方(例えば(図6(b)では6時側)の円周上とに、それぞれ設けられている。
すなわち、複数のスリット溝部33a、33bのうち、一部のスリット溝部33aは、図6(b)に示すように、第1の衝撃分散部28aの変位部32と第2の衝撃分散部28bの変位部32との間に位置する12時側の円周上に設けられている。また、複数のスリット溝部33a、33bのうち、他の一部のスリット溝部33bは、第1の衝撃分散部28aの変位部32と第2の衝撃分散部28bの変位部32との間に位置する6時側の円周上に設けられている。
これにより、変形体27は、図6(b)および図7に示すように、第1の衝撃分散部28aによって衝撃力が、変形体27の円周方向における一方側、例えば、反時計回り方向に位置する12時側(図7では上側)に向けて分散されることにより、その分散方向(12時方向)に位置するスリット溝部33aを円周方向に縮む方向に変形させるように構成されている。
また、この変形体27は、図6(b)および図7に示すように、第1の衝撃分散部28aによって衝撃力が、変形体27の円周方向における一方側、例えば、反時計回り方向に位置する12時側(図7では上側)に向けて分散されることにより、この分散方向と反対側、例えば、時計回り方向に位置する6時側のスリット溝部33bを円周方向に広げる方向に変形させるように構成されている。
一方、この変形体27は、図6(b)および図7に示すように、第2の衝撃分散部28bによって衝撃力が、変形体27の円周方向における一方側と反対側、例えば、時計回り方向に位置する12時側に向けて分散されることにより、その分散方向(12時方向)に位置するスリット溝部33aを円周方向に縮む方向に変形させるように構成されている。
また、この変形体27は、図6(b)および図7に示すように、第2の衝撃分散部28bによって衝撃力が、変形体27の円周方向における一方側と反対側、例えば、反時計回り方向に位置する6時側に向けて分散されることにより、この分散方向と反対側、例えば、時計回り方向に位置する6時側のスリット溝部33bを円周方向に広げる方向に変形させるように構成されている。
このため、この変形体27は、図6(b)および図7に示すように、外部から衝撃を受けて、第1の衝撃分散部28aと第2の衝撃分散部28bとによって衝撃力が分散される際に、その分散方向(図6(b)では12時側)に位置するスリット溝部33aが縮むように変形し、その分散方向(12時側)に位置する変形体27が互いに圧縮する方向に変形するように構成されている。
また、この変形体27は、図6(b)および図7に示すように、外部から衝撃を受けて、第1の衝撃分散部28aと第2の衝撃分散部28bとによって衝撃力が分散される際に、その分散方向と反対側(図6(b)では6時側)に位置するスリット溝部33bが広がるように変形して、その分散方向と反対側(6時側)に位置する変形体27が互いに膨張する方向に変形するように構成されている。
次に、このような腕時計におけるセンサ部10の作用について説明する。
このセンサ部10では、センサユニット12と部品保護装置13とで構成されていても、腕時計ケース1の外部とセンサユニット12の内部とが流通路によって連通されていることにより、センサユニット12内の圧力センサ14によって腕時計ケース1の外部の圧力が検出される。
すなわち、部品保護装置13が保護装置22と緩衝装置23とで構成され、この緩衝装置23における本体部26の収容部26a内に変形体27を変形可能に取り付けるねじ部材30の中心部にその軸方向に貫通して流通孔30dが設けられており、この流通孔30dによって腕時計ケース1の外部と保護装置22の内部との間を連通させる流路が形成されている。
また、この保護装置22の保護部材24に設けられた流通部24bと、センサユニット12の押え部材20に設けられた流通孔20aとによって、保護装置22の内部とセンサユニット12の内部との間にこれを連通させる流路が形成されている。このため、これらの流路によって、腕時計ケース1の外部からセンサユニット12の内部までの間にこれらを連通させる流通路が形成されている。
これにより、このセンサ部10では、腕時計ケース1の外部からセンサユニット12の内部までの間に形成された流通路を通して、腕時計ケース1の外部の気圧や水圧などの圧力がセンサユニット12内の圧力センサ14に加わる。このため、この圧力センサ14によって腕時計ケース1の外部の圧力が検出される。
次に、センサ部10が腕時計ケース1の外部から衝撃を受けた場合について説明する。
この場合には、センサ部10における部品保護装置13の緩衝装置23が腕時計ケース1の外部に露出しているため、この緩衝装置23が外部から衝撃を受ける。このときには、その衝撃を緩衝装置23で緩衝すると共に、緩衝装置23で緩衝しきれない衝撃を部品保護装置13の保護装置22で緩衝することにより、センサユニット12内の圧力センサ14を良好に保護することができる。
すなわち、緩衝装置23が腕時計ケース1の外部から衝撃を受ける際には、腕時計ケース1の外装ケース3から外部に露出している緩衝装置23の変形体27が衝撃を受ける。このときには、図6(b)および図7に示すように、緩衝装置23の本体部26と変形体27とに設けられた衝撃分散部28である第1の衝撃分散部28aと第2の衝撃分散部28bとによって、衝撃力が変形体27の円周方向に分散される。
この場合、第1の衝撃分散部28aが衝撃力を分散する際には、図6(b)および図7に示すように、第1の衝撃分散部28aの変形体27に設けられた変位部32の変位傾斜部32aが、本体部26の分散溝部31の溝傾斜部31aに沿って円周方向における一方側、例えば、図6(b)では反時計回り方向に位置する12時側(図7では斜め左上側)に向けてスライドして変位する。
これと同時に、第2の衝撃分散部28bが衝撃力を分散する際には、図6(b)に示すように、第2の衝撃分散部28bの変形体27に設けられた変位部32の変位傾斜部32aが、本体部26の分散溝部31の溝傾斜部31aに沿って円周方向における一方側と反対側、例えば、図6(b)では時計回り方向に位置する12時側に向けてスライドして変位する。
このため、第1の衝撃分散部28aと第2の衝撃分散部28bとによって衝撃力が分散される際には、図6(b)に示すように、その分散方向(例えば12時側)に位置するスリット溝部33aが縮むように変形して、その分散方向(12時側)に位置する変形体27が互いに圧縮する方向に変形される。これと同時に、分散方向と反対側(例えば6時側)に位置するスリット溝部33bが広がるように変形して、その分散方向と反対方向(6時側)に位置する変形体27が互いに膨張する方向に変形する。
これにより、緩衝装置23は、その変形体27が受けた衝撃力を変形体27の円周方向に分散することにより、衝撃を緩衝する。このときには、衝撃分散部28が衝撃を緩衝すると共に、緩衝装置23の第2緩衝部材29も衝撃を緩衝する。すなわち、衝撃分散部28で衝撃力を変形体27の円周方向の力に分散させて緩衝すると共に、衝撃分散部28で分散されない変形体27の軸方向の衝撃力を、第2緩衝部材29で緩衝する。このため、緩衝装置23によって衝撃を良好に緩衝することができる。
また、この緩衝装置23によって緩衝しきれない衝撃は、保護装置22によって更に緩衝される。このときには、保護装置22の第1緩衝部材25によって衝撃が緩衝され、この第1緩衝部材25で衝撃を吸収しきれないときは、その衝撃が保護装置22の保護部材24に伝わり、この保護部材24の枠状部24aが本体ケース2の外面に押し付けられて弾性変形することにより、第1緩衝部材25で吸収しきれない衝撃を保護部材24で受け止める。これにより、センサユニット12が衝撃を受けないようにすることができる。
すなわち、保護部材24の枠状部24a内に配置されている押え部材20および筒状部材17のフランジ部17bが外部からの衝撃を受けることがないので、センサユニット12の圧力センサ14を保護することができると共に、フレキシブルな配線基板16による圧力センサ14と時計モジュール6との接続不良を防ぐことができる。また、このときには、筒状部材17のフランジ部17bも外部からの衝撃を受けることがないので、本体ケース2の貫通孔11に対応する筒状部材17のロー付けなどの溶接部が破壊されることがないため、気密性が確保される。
このように、この腕時計のセンサ部10における部品保護装置13の緩衝装置23によれば、収容部26aが設けられた本体部26と、この本体部26の収容部26a内に配置されて外部に露出する変形体27と、この変形体27が外部から衝撃を受けた際に、その衝撃力を変形体27の円周方向に分散する衝撃分散部28と、を備えていることにより、衝撃を効率良く緩衝することができ、かつデザイン的にも外観的にも好ましいものを提供することができる。
すなわち、この部品保護装置13の緩衝装置23では、変形体27が外部から衝撃を受けた際に、衝撃分散部28によって衝撃力を変形体27の円周方向に分散することができるので、衝撃を効率良く緩衝することができると共に、本体部26から外部に突出する変形体27の突出量を最小限に抑えることができるので、デザイン的にも外観的にも好ましいものを提供することができる。
この場合、衝撃分散部28は、本体部26の収容部26aの内周面に設けられた分散溝部31と、変形体27の外周面に設けられて、分散溝部31内に変形体27の円周方向に変位可能に配置された変位部32と、を備えていることにより、変形体27が外部から衝撃を受けた際に、本体部26の分散溝部31内で変形体27の変位部32を変形体27の円周方向に変位させることができ、これにより衝撃を効率良く確実に緩衝することができる。
また、この緩衝装置23では、分散溝部31の内部に、変位部32を衝撃方向と異なる方向に変位させる溝傾斜部31aが、変形体27の円周方向に沿って傾斜して設けられ、変位部32に変位傾斜部32aが、溝傾斜部31aにスライド可能に圧接した状態で、溝傾斜部31aに沿って円周方向に変位可能に設けられていることにより、変形体27が外部から衝撃を受けた際に、本体部26の分散溝部31内で変形体27の変位部32を変形体27の円周方向に確実にかつ良好に変位させることができる。
すなわち、この緩衝装置23では、変形体27が外部から衝撃を受けた際に、変位部32の変位傾斜部32aを分散溝部31の溝傾斜部31aに沿って変形体27の円周方向にスライドさせることができるので、変形体27の変位部32を本体部26の分散溝部31内で変形体27の円周方向に確実にかつ良好に変位させることができ、これにより衝撃を良好に緩衝することができる。
また、この緩衝装置23では、衝撃分散部28によって衝撃力を変形体27の円周方向に分散する際に、変形体27をその円周方向に変形させるための複数の変形溝部である複数のスリット溝部33a、33bが変形体27に設けられていることにより、これら複数のスリット溝部33a、33bを衝撃力に応じて変形体27の円周方向に変形させることができ、これら複数のスリット溝部33a、33bの変形に応じて変形体27をその円周方向に変形させることができるので、衝撃を確実にかつ良好に緩衝することができる。
この場合、衝撃分散部28は、変形体27が外部から衝撃を受けた際に、その変形体27をその円周方向における一方側に変位させる第1の衝撃分散部28aと、変形体27をその円周方向における一方側と反対側に変位させる第2の衝撃分散部28bと、を備えていることにより、変形体27が外部から衝撃を受けた際に、第1の衝撃分散部28aによって変形体27をその円周方向における一方側(例えば、反時計回り方向)に向けて分散させることができ、また第2の衝撃分散部28bによって変形体27をその円周方向における一方側と反対側(例えば、時計回り方向)に向けて分散させることができる。
また、複数のスリット溝部33a、33bは、第1の衝撃分散部28aと第2の衝撃分散部28bとの間に位置する変形体27の一方の円周上と、これに対向する他方の円周上とに、それぞれ設けられていることにより、第1の衝撃分散部28aによって変形体27をその円周方向における一方側(例えば、反時計回り方向)に向けて分散させた際に、その分散方向(例えば12時側)に位置するスリット溝部33aを円周方向に縮むように変形させることができると共に、その分散方向と反対側(例えば6時側)に位置するスリット溝部33bを円周方向に広げるように変形させることができる。
同様に、第2の衝撃分散部28bによって変形体27をその円周方向における一方側と反対側(例えば、時計回り方向)に向けて分散させた際には、その分散方向(例えば12時側)に位置するスリット溝部33aを円周方向に縮むように変形させることができると共に、その分散方向と反対側(例えば6時側)に位置するスリット溝部33bを円周方向に広げるように変形させることができる。
これにより、この緩衝装置23では、第1の衝撃分散部28aと第2の衝撃分散部28bとによって衝撃力が分散される際に、その分散方向(例えば12時側)に位置するスリット溝部33aを縮むように変形させて、その分散方向(12時側)に位置する変形体27を圧縮させる方向に変形させることができ、かつ分散方向と反対側(例えば6時側)に位置するスリット溝部33bを広げるように変形させて、その分散方向と反対方向(6時側)に位置する変形体27を膨張させる方向に変形させることができ、これにより衝撃を円周方向に分散させて確実にかつ良好に緩衝することができる。
また、この緩衝装置23では、本体部26と変形体27との間に、衝撃分散部28が衝撃を緩衝する際に、変形体27の軸方向の衝撃を緩衝する第2緩衝部材29が配置されていることにより、変形体27が外部から衝撃を受けて、その衝撃力を衝撃分散部28によって変形体27の円周方向の力に分散して緩衝する際に、衝撃分散部28で分散されない変形体27の軸方向の衝撃力を第2緩衝部材29で緩衝することができ、これにより衝撃を確実にかつ良好に緩衝することができる。
さらに、この緩衝装置23では、本体部26の収容部26a内に変形体27を変形可能な状態で取り付ける取付部材であるねじ部材30を備えていることにより、このねじ部材30によって変形体27を本体部26の収容部26a内に変形可能な状態で良好に取り付けることができる。
すなわち、ねじ部材30は、ねじ部30aと頭部30bと首下部30cと流通孔30dとを備えているので、頭部30bを変形体27の内部に配置させて、ねじ部30aを本体部26のねじ孔26cに螺合させることにより、変形部27を本体部26に対して変形可能な状態で確実に取り付けることができると共に、流通孔30dによって腕時計ケース1の外部と保護装置22の内部とを連通させることができる。
この場合、ねじ部材30は、その首下部30cを変形体27のねじ挿入孔27aと第2緩衝部材29の内部とに挿入させて、本体部26の底部に当接させることができ、この状態で変形部27を本体部26の収容部26a内に取り付けることができるので、首下部30cによって変形体27を変形可能な状態で本体部26の収容部26a内に取り付けることができる。
また、このねじ部材30は、変形部27を本体部26の収容部26a内に取り付ける際に、第1の衝撃分散部28aと第2の衝撃分散部28bとによって、変形体27を本体部26の収容部26a内にガタつかないように、弾力的に保持することができるので、変形体27が外部から衝撃を受けた際に、変形体27を確実にかつ良好に変形させることができる。
ところで、この腕時計の部品保護装置13では、腕時計ケース1に設けられたセンサユニット12を覆って保護する保護装置22と、この保護装置22に対する衝撃を緩衝する緩衝装置23と、を備えていることにより、外部から衝撃を受けても、その衝撃を緩衝装置23で緩衝することができると共に、保護装置22でセンサユニット12を確実にかつ良好に保護することができる。
すなわち、この部品保護装置13では、保護装置22が、腕時計ケース1の外面にセンサユニット12を覆って固定される保護部材24と、この保護部材24の外面に配置される第1緩衝部材25と、を備えていることにより、緩衝装置23によって緩衝しきれない衝撃を第1緩衝部材25によって緩衝することができると共に、この第1緩衝部材25で衝撃を吸収しきれないときは、保護部材24が腕時計ケース1の外面に押し付けられて弾性変形することにより、第1緩衝部材25で吸収しきれない衝撃を保護部材24によって確実に受け止めることができる。
このため、この部品保護装置13によれば、センサユニット12が外部からの衝撃を受けることがないので、センサユニット12の圧力センサ14を確実にかつ良好に保護することができると共に、フレキシブルな配線基板16による圧力センサ14と時計モジュール6との接続が衝撃に伴って接続不良を確実に防ぐことができる。
また、この部品保護装置13では、腕時計ケース1の外部からセンサユニット12の内部までの間に形成された流通路を通して、腕時計ケース1の外部の気圧や水圧などの圧力がセンサユニット12内の圧力センサ14に加わることにより、この圧力センサ14によって腕時計ケース1の外部の圧力を正確にかつ良好に検出することができる。
なお、上述した第1実施形態では、衝撃分散部28が、本体部26の収容部26aの内周面に設けられた分散溝部31と、変形体27の外周面に設けられた変位部32と、で構成されている場合について述べた、この発明はこれに限らず、例えば衝撃分散部を、本体部26の収容部26aの内周面に設けられた変位部32と、変形体27の外周面に設けられた分散溝部31と、で構成しても良い。このように構成しても、第1実施形態とほぼ同様の作用効果が得られる。
また、上述した第1実施形態では、第1の衝撃分散部28aと第2の衝撃分散部28bとの間に位置する変形体27の一方の円周上に1つのスリット溝部33aを設け、これに対向する他方の円周上に他の1つのスリット溝部33bを設けた場合について述べたが、この発明はこれに限らず、例えば、第1の衝撃分散部28aと第2の衝撃分散部28bとの間に位置する変形体27の一方の円周上に2つ以上の複数のスリット溝部33aを設け、これに対向する他方の円周上に2つ以上の複数のスリット溝部33bを設けた構成であっても良い。このように構成すれば、より一層、変形体27を変形させ易くすることができる。
さらに、上述した第1実施形態では、腕時計ケース1の貫通孔11に圧力センサ14を組み付けた場合について述べたが、この発明はこれに限らず、例えば、圧力センサ14に替えて、腕時計ケース1の外部の温度を検出する温度センサを用いても良く、また腕時計ケース1の外部の湿度を検出する湿度センサを用いても良い。また、この発明は、腕時計ケース1の外部環境を検出するためのセンサである必要はく、スピーカやマイクロホーンなどの各種の電子部品であっても良い。
(第2実施形態)
次に、図8〜図12を参照して、この発明を腕時計に適用した第2実施形態について説明する。なお、図1〜図7に示された第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明する。
この腕時計は、図8および図9に示すように、2時側に位置するスイッチ装置9に部品保護装置40を設けた構成であり、これ以外は第1実施形態とほぼ同じ構成になっている。
この場合、腕時計ケース1の本体ケース2は、図9に示すように、硬質の合成樹脂で形成され、その内部に金属製の補強部材2bを埋め込んだ構成になっている。また、この腕時計ケース1は、本体ケース2の上端部とこれにと対応する外装ケース3との間に見切り部材39が設けられ、この見切り部材39の内周部で時計ガラス4の外周部を覆うように構成されている。
スイッチ装置9は、図9および図10に示すように、腕時計ケース1の本体ケース2の貫通孔43に設けられた操作部材41と、この操作部材41を保護する部品保護装置40と、を備えている。操作部材41は、本体ケース2に設けられた貫通孔43にスライド可能に挿入する軸部44と、この軸部44の外端部に設けられて、外装ケース3の保護孔45内にスライド可能に配置された頭部46と、を備えている。
この場合、軸部44は、図9および図10に示すように、その軸方向の長さが本体ケース2の貫通孔43の軸方向の長さよりも長く形成されている。これにより、軸部44は、その内端部が本体ケース2の内部に突出し、外端部が本体ケース2の外部に突出して外装ケース3の保護孔45内に突出するように構成されている。
また、この軸部44の内端部には、図9に示すように、Eリングなどの抜止め部材47が取り付けられている。これにより、軸部44は、内端部が本体ケース2の内部に突出した状態で、抜止め部材47が本体ケース2の内周面に接離可能に当接することにより、本体ケース2の外部に抜け出さないように構成されている。
また、この軸部44の外周部には、図9および図10に示すように、複数の防水リング48がそれぞれ環状に設けられている。これら複数の防水リング48それぞれは、その外周部が本体ケース2の貫通孔43の内周面に圧接した状態で摺動することにより、軸部44の外周面と貫通孔43の内周面との間の防水を図るように構成されている。
さらに、この軸部44の外周部は、図9および図10に示すように、操作部材41を腕時計ケース1の外部に向けて付勢するばね部材49が配置されている。このばね部材49は、コイルばねであり、軸部44の外周に配置された状態で、内端部が本体ケース2の外面に弾接し、外端部が頭部46の内端面に弾接することにより、操作部材41を腕時計ケース1の外部に向けて付勢するように構成されている。
一方、頭部46は、図9および図10に示すように、その軸方向の長さが外装ケース3に設けられた保護孔45の軸方向の長さと同じか、それよりも短い長さで形成されている。また、この頭部46は、その外径が軸部44の外径よりも大きく、かつ本体ケース2の上下方向の高さよりも短く形成されている。すなわち、この頭部46は、その外径が外装ケース3の保護孔45の内径とほぼ同じ大きさに形成されている。
これにより、操作部材41は、図9に示すように、通常状態のときに、ばね部材49のばね力によって腕時計ケース1の外部に向けて押し出され、頭部46が外装ケース3の保護孔45から外部に露出し、軸部44の抜止め部材47が本体ケース2の内周面に当接することにより、軸部44の内端部が本体ケース2内の時計モジュール6に設けられたスイッチ部6aから離れて、スイッチ部6aをオフ状態にするように構成されている。
また、この操作部材41は、図9に示すように、外装ケース3の保護孔45から外部に露出した頭部46がばね部材49のばね力に抗して押し込まれた際に、軸部44の抜止め部材47が本体ケース2の内周面から離れて、軸部44の内端部が本体ケース2の内部に押し込まれることにより、この押し込まれた軸部44の内端部が時計モジュール6のスイッチ部6aを押圧して、スイッチ部6aをオン状態にするように構成されている。
ところで、部品保護装置40は、図9〜図11に示すように、操作部材41の頭部46を保護する保護部である外装ケース3の保護孔45と、頭部46に設けられて外部からの衝撃を緩衝する緩衝装置42と、を備えている。保護部である外装ケース3の保護孔45は、頭部46の外端部が外装ケース3の外部に露出する状態で、その内部に頭部46がスライド可能に配置されることにより、頭部46を保護するように構成されている。
緩衝装置42は、図11(a)および図11(b)に示すように、本体部である操作部材41の頭部46と、この頭部46の収容部46a内に配置されて外部に露出する変形体50と、この変形体50が外部から衝撃を受けた際に、その衝撃力を変形体50の円周方向に分散する衝撃分散部51と、頭部46の底部と変形体50の内端部との間に配置された第2緩衝部材52と、頭部46の収容部46a内に変形体50を変形可能な状態で取り付ける取付部材である両面粘着テープ(図示せず)と、を備えている。
この場合、頭部46の収容部46aは、図11(a)および図11(b)に示すように、その内部が円形状に形成されて、外装ケース3の保護孔45から外部に向けて開放されるように形成されている。変形体50は、弾力性を有する合成樹脂によってほぼ円筒状に形成され、その外端部が塞がれた構成になっている。
この変形体50は、図11(a)および図11(b)に示すように、その外径が頭部46の収容部46aの内径と同じ大きさに形成され、かつ軸方向の長さが頭部46の収容部46aの軸方向の長さとほぼ同じ長さに形成されている。これにより、変形体50は、頭部46の収容部46a内に第2緩衝部材52を介して配置された状態で、外端部が第2緩衝部材52の軸方向の長さ(厚み)分だけ頭部46の収容部46aから外部に突出するように構成されている。
第2緩衝部材52は、図9および図11に示すように、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、エラストマなどの弾性材料によって円板状に形成され、頭部46の収容部46aの底面と変形部50の内端面との間に配置されるように構成されている。すなわち、この第2緩衝部材29は、その外径が本体部26の収容部26aの内径とほぼ同じ大きさに形成され、変形体50が外部から衝撃を受けた際に、変形体50の軸方向の衝撃力を緩衝するように形成されている。
この場合、取付部材である両面粘着テープ(図示せず)は、第2緩衝部材52の内面と外面とにそれぞれ設けられ、頭部46の収容部46a内に変形体50を変形可能な状態で取り付けるように構成されている。すなわち、この両面粘着テープは、頭部46の収容部46aの底面に第2緩衝部材52を貼り付けると共に、変形部50の内端面に第2緩衝部材52を貼り付けることにより、この第2緩衝部材52によって頭部46の収容部46a内に変形体50を変形可能な状態で取り付けるように構成されている。
ところで、緩衝装置42の衝撃分散部51は、図11および図12に示すように、頭部46の収容部46aの内周面に設けられた変位部53と、変形体50の外周部に設けられて、変位部53が内部に配置された状態で、変位部53によって変形体50をその円周方向に変位させるための分散溝部54と、を備え、変形体50が外部から衝撃を受けた際に、その衝撃力を変形体50の円周方向に分散させるように構成されている。
頭部46内の変位部53は、図11および図12に示すように、頭部46の軸方向における外端部に、変形体50を衝撃方向と異なる方向に変位させる変位傾斜部53aが、頭部46の内部側(図12では左側)から外部側(図12では右側)に向けて頭部46の円周方向(図12では斜め右上側)に傾斜して設けられた構成になっている。
また、変形体50の分散溝部54は、図11および図12に示すように、その内部に変位部53が配置され、変形体50が外部から衝撃を受けた際に、変位傾斜部53aに沿って円周方向(図12では斜め左下側)に変位する分散傾斜部54aが、変位傾斜部53aにスライド可能に圧接した状態で設けられた構成になっている。
また、この変形体50には、図11および図12に示すように、衝撃分散部51によって衝撃力を変形体50の円周方向に分散する際に、変形体50をその円周方向に変形させるための複数の変形溝部55a、55bが設けられている。これら複数の変形溝部55a、55bそれぞれは、変形体50の外周部にその内端部から外端部に向けて形成されたスリット状の切欠き部である。
これにより、変形体50は、図11および図12に示すように、衝撃分散部51によって衝撃力が変形体50の円周方向に分散される際に、複数の変形溝部55a、55bのうち、一部(図11(b)では3時側)の変形溝部55aが円周方向に縮むように変形し、この一部の変形溝部55aの両側に位置する変形体50の一部が互いに圧縮する方向に変形するように構成されている。
また、この変形体50は、図11および図12に示すように、衝撃分散部51によって衝撃力が変形体50の円周方向に分散される際に、複数の変形溝部55a、55bのうち、他方の一部(図11(b)では9時側)の変形溝部55bが円周方向に広がるように変形し、この他方の一部の変形溝部55bの両側に位置する変形体50の他方の一部が互いに膨張する方向に変形するように構成されている。
すなわち、衝撃分散部51は、図11および図12に示すように、変形体50が外部から衝撃を受けた際に、変形体50をその円周方向における一方側(例えば、図11(b)では時計回り方向)に変位させる第1の衝撃分散部51aと、変形体50をその円周方向における一方側と反対側(例えば、図11(b)では反時計回り方向)に変位させる第2の衝撃分散部51bと、を備えている。
これら第1の衝撃分散部51aと第2の衝撃分散部51bとは、図11(b)に示すように、例えば12時と6時とを結ぶ対角線上に位置して互いに対向して設けられている。すなわち、第1の衝撃分散部51aは、例えば12時側に位置して設けられている。また、第2の衝撃分散部51bは、例えば6時側に位置して設けられている。このため、変形体50は、第1の衝撃分散部51aと第2の衝撃分散部51bとによって頭部46の収容部46a内にガタつかないように、弾力的に保持されるように構成されている。
すなわち、変形体50は、図11(b)および図12に示すように、12時側の第1の衝撃分散部51aによって時計回り方向に付勢され、6時側の第2の衝撃分散部51bによって反時計回り方向に付勢されていることにより、変形体50の円周方向と軸方向とにガタつきが生じないように、頭部46の収容部46a内に弾力的に保持されるように構成されている。
この場合、第1の衝撃分散部51aは、図11および図12に示すように、変位部53の変位傾斜部53aによって変形体50を衝撃方向と異なる方向に変位させる分散溝部54の溝傾斜部54aが、変形体50の円周方向における一方側、例えば、反時計回り方向に位置する9時側(図12では斜め右上側)に向けて次第に競り上がるように傾斜して設けられた構成になっている。
また、この第1の衝撃分散部51aは、図11および図12に示すように、変形体50が外部から衝撃を受けた際に、分散溝部54の溝傾斜部54aが、変位部53の変位傾斜部53aに沿って円周方向における一方側、例えば、時計回り方向に位置する3時側(図12では斜め左下側)に向けてスライドしながら変位するように構成されている。
一方、第2の衝撃分散部51bは、図11および図12に示すように、変位部53の変位傾斜部53aによって変形体50を衝撃方向と異なる方向に変位させる分散溝部54の溝傾斜部54aが、変形体50の円周方向における一方側と反対側、例えば、時計回り方向に位置する9時側(図12では斜め右上側)に向けて競り上がるように傾斜して設けられた構成になっている。
また、この第2の衝撃分散部51bは、図11および図12に示すように、変形体50が外部から衝撃を受けた際に、分散溝部54の溝傾斜部54aが、変位部53の変位傾斜部53aに沿って円周方向における一方側と反対側、例えば、反時計回り方向に位置する3時側(図12では斜め左下側)に向けてスライドしながら変位するように構成されている。
この場合、複数の変形溝部55a、55bは、図11(b)に示すように、第1の衝撃分散部51aの変位部53と第2の衝撃分散部51bの変位部53との間に位置する変形体50の一方(例えば図11(b)では3時側)の円周上と、これに対向する変形体50の他方(例えば図11(b)では9時側)の円周上とに、それぞれ設けられている。
すなわち、複数の変形溝部55a、55bのうち、一部の変形溝部55aは、図11(b)に示すように、第1の衝撃分散部51aの変位部53と第2の衝撃分散部51bの変位部53との間に位置する3時側の円周上に設けられている。また、複数の変形溝部55a、55bのうち、他の一部の変形溝部55bは、第1の衝撃分散部51aの変位部53と第2の衝撃分散部51bの変位部53との間に位置する9時側の円周上に設けられている。
これにより、変形体50は、図11および図12に示すように、第1の衝撃分散部51aによって衝撃力が、変形体50の円周方向における一方側、例えば、時計回り方向に位置する3時側(図12では下側)に向けて分散されることにより、その分散方向(3時方向)に位置する変形溝部55aを円周方向に縮む方向に変形させるように構成されている。
また、この変形体50は、図11および図12に示すように、第1の衝撃分散部51aによって衝撃力が、変形体50の円周方向における一方側、例えば、時計回り方向に位置する3時側に向けて分散されることにより、この分散方向と反対側、例えば、反時計回り方向に位置する9時側の変形溝部55bを円周方向に広げる方向に変形させるように構成されている。
一方、この変形体50は、図11および図12に示すように、第2の衝撃分散部51bによって衝撃力が、変形体50の円周方向における一方側と反対側、例えば、反時計回り方向に位置する3時側(図12では下側)に向けて分散されることにより、その分散方向(3時方向)に位置する変形溝部55aを円周方向に縮む方向に変形させるように構成されている。
また、この変形体50は、図11および図12に示すように、第2の衝撃分散部51bによって衝撃力が、変形体50の円周方向における一方側と反対側、例えば、反時計回り方向に位置する3時側に向けて分散されることにより、この分散方向と反対側(9時側)に位置する変形溝部55bを円周方向に広げる方向に変形させるように構成されている。
このため、この変形体50は、図11および図12に示すように、外部から衝撃を受けて、第1の衝撃分散部51aと第2の衝撃分散部51bとによって衝撃力が分散される際に、その分散方向(3時側)に位置する変形溝部55aが縮むように変形し、その分散方向(3時側)に位置する変形体50が互いに圧縮する方向に変形するように構成されている。
また、この変形体50は、図11および図12に示すように、外部から衝撃を受けて、第1の衝撃分散部51aと第2の衝撃分散部51bとによって衝撃力が分散される際に、その分散方向と反対側(9時側)に位置する変形溝部55bが広がるように変形して、その分散方向と反対方向(9時側)に位置する変形体27が互いに膨張する方向に変形するように構成されている。
この場合、操作部材41のばね部材49は、図9〜図11に示すように、緩衝装置42が外部の衝撃を受けた際に、少し圧縮されて変形し、緩衝装置42が外部の衝撃を緩衝しているときに、ほとんど変形せずに、緩衝装置42で衝撃を緩衝させるように、ばね力が少し強く設定されている。
次に、このような腕時計におけるスイッチ装置9の作用について説明する。
このスイッチ装置9では、通常状態のときに、操作部材41がばね部材49のばね力によって腕時計ケース1の外部に向けて押し出され、頭部46が外装ケース3の保護孔45から外部に露出し、軸部44の抜止め部材47が本体ケース2の内周面に当接している。これにより、スイッチ装置9は、軸部44の内端部が本体ケース2内の時計モジュール6に設けられたスイッチ部6aから離れて、スイッチ部6aがオフ状態になっている。
また、このスイッチ装置9では、外装ケース3の保護孔45から外部に露出した操作部材41の頭部46がばね部材49のばね力に抗して押し込まれた際に、軸部44の抜止め部材47が本体ケース2の内周面から離れて、軸部44の内端部が本体ケース2の内部に押し込まれる。これにより、スイッチ装置9は、押し込まれた軸部44の内端部が時計モジュール6のスイッチ部6aを押圧して、スイッチ部6aがオン状態になる。
次に、スイッチ装置9が外部から衝撃を受けた場合について説明する。
この場合、操作部材41のばね部材49は、緩衝装置42が外部の衝撃を受けた際に、少し圧縮して変形するが、緩衝装置42が外部の衝撃を緩衝している間のときには、ほとんど変形せずに、緩衝装置42で外部の衝撃を緩衝させるように、ばね力が少し強く設定されている。
このため、このスイッチ装置9は、操作部材41の頭部46に設けられて腕時計ケース1の外部に露出した緩衝装置42が外部から衝撃を受けても、操作部材41の軸部44の内端部が本体ケース2内に大きく突出すことがないので、軸部44の内端部によって本体ケース2内の時計モジュール6のスイッチ部6aが押圧されることがなく、スイッチ部6aがオフ状態を維持する。
このように、緩衝装置42が外部から衝撃を受けた際には、腕時計ケース1の外装ケース3から外部に露出している緩衝装置42の変形体50が衝撃を受ける。このときには、操作部材41の頭部46と変形体50とに設けられた衝撃分散部51である第1の衝撃分散部51aと第2の衝撃分散部51bとによって、衝撃力が変形体50の円周方向に分散される。
この場合、第1の衝撃分散部51aが衝撃力を分散する際には、第1の衝撃分散部51aの変形体50に設けられた分散溝部54の溝傾斜部54aが、頭部46に設けられた変位部53の変位傾斜部53aに沿って円周方向における一方側、例えば、時計回り方向に位置する3時側(図12では斜め左下側)に向けてスライドして変位する。
これと同時に、第2の衝撃分散部51bが衝撃力を分散する際には、第2の衝撃分散部51bの変形体50に設けられた分散溝部54の溝傾斜部54aが、頭部46に設けられた変位部53の変位傾斜部53aに沿って円周方向における一方側と反対側、例えば、反時計回り方向に位置する3時側(図12では斜め左下側)に向けてスライドして変位する。
このため、第1の衝撃分散部51aと第2の衝撃分散部51bとによって衝撃力が分散される際には、その分散方向(例えば3時側)に位置する変形溝部55aが縮むように変形して、その分散方向(3時側)に位置する変形体50が互いに圧縮する方向に変形される。これと同時に、分散方向と反対側(例えば9時側)に位置する変形溝部55bが広がるように変形して、その分散方向と反対方向(9時側)に位置する変形体50が互いに膨張する方向に変形する。
これにより、緩衝装置42は、変形体50が受けた衝撃力を変形体50の円周方向に分散することにより、衝撃を緩衝する。このときには、衝撃分散部51が衝撃を緩衝すると共に、緩衝装置42の第2緩衝部材52も衝撃を緩衝する。すなわち、衝撃分散部51で衝撃力を変形体50の円周方向の力に分散して緩衝すると共に、衝撃分散部51で分散されない変形体50の軸方向の衝撃力を第2緩衝部材52で緩衝する。このため、緩衝装置42によって衝撃を良好に緩衝することができる。
このように、緩衝装置42によって衝撃を緩衝する際には、操作部材41のばね部材49が少し圧縮されて変形し、操作部材41が本体ケース2内に向けて少し押し込まれるが、軸部44の内端部が本体ケース2内の時計モジュール6のスイッチ部6aを押圧することはない。このため、このスイッチ装置9では、緩衝装置42とばね部材49とで衝撃を緩衝することにより、時計モジュール6のスイッチ部6aが衝撃を受けないように保護することができる。
このように、この腕時計のスイッチ装置9における部品保護装置40の緩衝装置42によれば、収容部46aが設けられた本体部である操作部材41の頭部46と、この頭部46の収容部46a内に配置されて外部に露出する変形体50と、この変形体50が外部から衝撃を受けた際に、その衝撃力を変形体50の円周方向に分散する衝撃分散部51と、を備えていることにより、第1実施形態と同様、衝撃を効率良く緩衝することができ、かつデザイン的にも外観的にも好ましいものを提供することができる。
すなわち、この部品保護装置40の緩衝装置42では、変形体50が外部から衝撃を受けた際に、衝撃分散部51によって衝撃力を変形体50の円周方向に分散することができるので、第1実施形態と同様、衝撃を効率良く緩衝することができると共に、頭部46から外部に突出する変形体50の突出量を最小限に抑えることができるので、デザイン的にも外観的にも好ましいものを提供することができる。
この場合、衝撃分散部51は、頭部46の収容部46aの内周面に設けられた変位部53と、変形体50の外周部に設けられて、変位部53が内部に配置された状態で、この変位部53によって変形体50をその円周方向に変位させる分散溝部54と、を備えていることにより、変形体50が外部から衝撃を受けた際に、変形体50の分散溝部54内に配置された頭部46の変位部53が、分散溝部54を変形体50の円周方向に変位させることができ、これにより衝撃を効率良く緩衝することができる。
また、この緩衝装置42では、頭部46の変位部53に、変形体50の分散溝部54を衝撃方向と異なる方向に変位させる変位傾斜部53aが、変形体50の円周方向に沿って傾斜して設けられ、変形体50の分散溝部54の内部に、頭部46の変位傾斜部53aにスライド可能に圧接する溝傾斜部54aが、変位傾斜部53aに沿って円周方向に変位可能に設けられていることにより、変形体50が外部から衝撃を受けた際に、頭部46の変位部53によって変形体50の分散溝部54を変形体50の円周方向に確実にかつ良好に変位させることができる。
すなわち、この緩衝装置42では、変形体50が外部から衝撃を受けた際に、頭部46の変位傾斜部53aに沿って変形体50の分散溝部54の溝傾斜部54aを変形体50の円周方向にスライドさせることができるので、変形体50の分散溝部54を頭部46の変位部53によって変形体50の円周方向に確実にかつ良好に変位させることができ、これにより衝撃を良好に緩衝することができる。
また、この緩衝装置42では、衝撃分散部51によって衝撃力を変形体50の円周方向に分散する際に、変形体50をその円周方向に変形させるための複数の変形溝部55a、55bが変形体50に設けられていることにより、これら複数の変形溝部55a、55bを衝撃力に応じて変形体50の円周方向に変形させることができ、これら複数の変形溝部55a、55bの変形に応じて変形体50をその円周方向に変形させることができるので、衝撃を良好に緩衝することができる。
この場合、衝撃分散部51は、変形体50が外部から衝撃を受けた際に、変形体50をその円周方向における一方側に変位させる第1の衝撃分散部51aと、変形体50をその円周方向における一方側と反対側に変位させる第2の衝撃分散部51bと、を備えていることにより、変形体50が外部から衝撃を受けた際に、第1の衝撃分散部51aによって変形体50をその円周方向における一方側(例えば、時計回り方向)に向けて分散させることができ、また第2の衝撃分散部51bによって変形体50をその円周方向における一方側と反対側(例えば、反時計回り方向)に向けて分散させることができる。
また、複数の変形溝部55a、55bは、第1の衝撃分散部51aと第2の衝撃分散部52bとの間に位置する変形体50の一方の円周上と、これに対向する他方の円周上とに、それぞれ設けられていることにより、第1の衝撃分散部51aによって変形体50をその円周方向における一方側(例えば、時計回り方向)に向けて分散させた際に、その分散方向(例えば3時側)に位置する変形溝部55aを円周方向に縮むように変形させることができると共に、その分散方向と反対側(例えば9時側)に位置する変形溝部55bを円周方向に広げるように変形させることができる。
同様に、第2の衝撃分散部51bによって変形体50をその円周方向における一方側と反対側(例えば、反時計回り方向)に向けて分散させた際には、その分散方向(例えば3時側)に位置する変形溝部55aを円周方向に縮むように変形させることができると共に、その分散方向と反対側(例えば9時側)に位置する変形溝部55bを円周方向に広げるように変形させることができる。
これにより、この緩衝装置42では、第1の衝撃分散部51aと第2の衝撃分散部51bとによって衝撃力が分散される際に、その分散方向(例えば3時側)に位置する変形溝部55aを縮むように変形させて、その分散方向(3時側)に位置する変形体50を圧縮させる方向に変形させることができ、かつ分散方向と反対側(例えば9時側)に位置する変形溝部55bを広げるように変形させて、その分散方向と反対方向(9時側)に位置する変形体50を膨張させる方向に変形させることができ、これにより衝撃を円周方向に分散させて確実にかつ良好に緩衝することができる。
また、この緩衝装置42では、頭部46と変形体50との間に、衝撃分散部51が衝撃を緩衝する際に、変形体50の軸方向の衝撃を緩衝する第2緩衝部材52が配置されていることにより、変形体50が外部から衝撃を受けて、その衝撃力を衝撃分散部51によって変形体50の円周方向の力に分散して緩衝する際に、衝撃分散部51で分散さない変形体50の軸方向の衝撃力を第2緩衝部材52で緩衝することができ、これにより衝撃を確実にかつ良好に緩衝することができる。
さらに、この緩衝装置42では、頭部46の収容部46a内に変形体50を変形可能な状態で取り付ける取付部材である両面粘着テープ(図示せず)を備えていることにより、第2緩衝部材52を介して変形体50を頭部46の収容部46a内に変形可能な状態で良好に取り付けることができる。すなわち、この取付部材である両面粘着テープは、第2緩衝部材52を頭部46の収容部46aの底部に貼り付け、かつこの第2緩衝部材52に変形体50の内端面を貼り付けることにより、この第2緩衝部材52によって変形部50を頭部46に対して変形可能な状態で確実に取り付けることができる。
この場合、この緩衝装置42では、第1の衝撃分散部51aと第2の衝撃分散部51bとによって頭部46の収容部46a内に変形体50がガタつかないように、変形体50を頭部46の収容部46a内に弾力的に保持することができる。すなわち、変形体50は、12時側の第1の衝撃分散部51aによって時計回り方向に付勢され、6時側の第2の衝撃分散部51bによって反時計回り方向に付勢されていることにより、変形体50の円周方向と軸方向とにガタつきが生じないように、変形体50を頭部46の収容部46a内に弾力的に保持することができる。
ところで、この腕時計の部品保護装置40では、腕時計ケース1の本体ケース2に設けられた貫通孔43にスライド可能に設けられた操作部材41の頭部46を覆って保護する外装ケース3の保護孔45と、操作部材41の頭部46に対する衝撃を緩衝する緩衝装置42と、を備えていることにより、外装ケース3の保護孔45によって操作部材41の頭部46を保護することができ、かつこの頭部46が外部から衝撃を受けても、その衝撃を頭部46の緩衝装置42で良好に緩衝することができる。
このため、この部品保護装置40によれば、スイッチ装置9の操作部材41が外部からの衝撃を受けた際に、操作部材41のばね部材49が少し圧縮変形して、操作部材41が本体ケース2内に向けて少し押し込まれても、軸部44の内端部が本体ケース2内の時計モジュール6のスイッチ部6aを押圧することはないので、緩衝部材42とばね部材49とで衝撃を確実に緩衝することができ、これにより時計モジュール6のスイッチ部6aが衝撃を受けないように良好に保護することができる。
なお、上述した第2実施形態では、衝撃分散部51が、頭部46の収容部46aの内周面に設けられた変位部53と、変形体50の外周面に設けられた分散溝部54と、で構成されている場合について述べた、この発明はこれに限らず、例えば衝撃分散部を、頭部46の収容部46aの内周面に設けられた分散溝部54と、変形体50の外周面に設けられた変位部53と、で構成しても良い。このように構成しても、第2実施形態とほぼ同様の作用効果が得られる。
また、上述した第2実施形態では、第1の衝撃分散部51aと第2の衝撃分散部51bとの間に位置する変形体50の一方の円周上に1つのスリット溝部55aを設け、これに対向する他方の円周上に他の1つのスリット溝部55bを設けた場合について述べたが、この発明はこれに限らず、例えば、第1の衝撃分散部51aと第2の衝撃分散部51bとの間に位置する変形体50の一方の円周上に2つ以上の複数のスリット溝部55aを設け、これに対向する他方の円周上に2つ以上の複数のスリット溝部55bを設けた構成であっても良い。このように構成すれば、より一層、変形体50を変形させ易くすることができる。
さらに、上述した第1、第2の実施形態およびその各変形例では、腕時計に適用した場合について述べたが、この発明は必ずしも腕時計である必要はなく、例えばトラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の時計に適用することができる。また、この発明は必ずしも時計である必要はなく、例えば携帯電話機や携帯情報端末機などの電子機器に広く適用することができる。
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これらに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
請求項1に記載の発明は、収容部が設けられた本体部と、前記本体部の前記収容部内に配置されて外部に露出する変形体と、前記変形体が外部から衝撃を受けた際に、その衝撃力を前記変形体の円周方向に分散する衝撃分散部と、を備えていることを特徴とする緩衝装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の緩衝装置において、前記衝撃分散部は、前記本体部の前記収容部の内周面と前記変形体の外周面との一方に設けられた分散溝部と、前記本体部の前記収容部の内周面と前記変形体の外周面との他方に設けられ、前記分散溝部内に配置されて、前記変形体が外部から衝撃を受けた際に、前記変形体をその円周方向に変位させる変位部と、を備えていることを特徴とする緩衝装置である。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の緩衝装置において、前記分散溝部の内部には、前記変位部を衝撃方向と異なる方向に相対的に変位させる溝傾斜部が、前記変形体の円周方向に沿って傾斜して設けられており、前記変位部には、前記変形体が外部から衝撃を受けた際に、前記溝傾斜部に沿って円周方向に相対的に変位する変位傾斜部が、前記溝傾斜部にスライド可能に圧接して設けられていることを特徴とする緩衝装置である。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の緩衝装置において、前記変形体は、前記衝撃分散部によって衝撃力を前記変形体の円周方向に分散する際に、前記変形体をその円周方向に変形させるための複数の変形溝部を備えていることを特徴とする緩衝装置である。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の緩衝装置において、前記衝撃分散部は、前記変形体が外部から衝撃を受けた際に、前記変形体をその円周方向における一方側に変位させる第1の衝撃分散部と、前記変形体をその円周方向における前記一方側と反対側に変位させる第2の衝撃分散部と、を備えていることを特徴とする緩衝装置である。
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の緩衝装置において、前記複数の変形溝部は、前記第1の衝撃分散部と前記第2の衝撃分散部との間に位置する前記変形体の一方の円周上と、これに対向する前記変形体の他方の円周上とに、それぞれ設けられていることを特徴とする緩衝装置である。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の緩衝装置において、前記本体部と前記変形体との間には、前記衝撃分散部が衝撃力を前記変形体の円周方向に分散させて緩衝する際に、前記衝撃分散部で分散されない前記変形体の軸方向の衝撃力を緩衝する緩衝部材が配置されていることを特徴とする緩衝装置である。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の緩衝装置において、前記本体部の前記収容部内に前記変形体を変形可能な状態で取り付ける取付部材を備えていることを特徴とする緩衝装置である。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜請求項8のいずれかに記載された緩衝装置と、機器ケースに設けられて前記緩衝装置で保護される部品と、を備えていることを特徴とする部品保護装置である。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の部品保護装置において、前記部品は、前記機器ケースに設けられた貫通孔内に配置されたセンサユニットのセンサであることを特徴とする部品保護装置である。
請求項11に記載の発明は、請求項9に記載の部品保護装置において、前記部品は、前記機器ケースに設けられた貫通孔内にスライド可能に配置されたスイッチ装置の操作部材であることを特徴とする部品保護装置である。
請求項12に記載の発明は、請求項9〜請求項11のいずれかに記載された部品保護装置を備えていることを特徴とする時計である。