JP6833224B2 - 光学測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光学特性を測定することのできる光学特性測定システム、および光学特性測定システムの校正方法に関する。
光増感物質を含むような材料または試薬の特性値を評価するために、それらの物質が発する微弱な光を測定したいというニーズがある。例えば、特開平09−159604号公報(特許文献1)は、紫外域から可視域の任意の波長に光吸収特性をもつ光増感物質を含む試料や、光に対して直接的および間接的に不安定で、少量しか入手できない試料でも測定可能な一重項酸素測定装置を開示する。
また、特開平09−292281号公報(特許文献2)、国際公開第2010/084566号(特許文献3)、および、特開2011−196735号公報(特許文献4)は、蛍光発光する物質を含む試料が吸収した光量子量と、試料から発生した蛍光の光量子量との比を示す量子効率を測定する測定装置および測定方法を開示する。
特開平09−159604号公報 特開平09−292281号公報 国際公開第2010/084566号 特開2011−196735号公報
特許文献1に開示される一重項酸素測定装置は、検出感度を高めるために、液体窒素冷却型ゲルマニウム検出器を用いている。液体窒素などを用いて検出素子を冷却することにより、検出素子が安定化し、検出ダイナミックレンジを拡大することができる。一方で、液体窒素で検出素子を冷却するためには、予冷なども含めて、実際に使用できる状態にするまでに数時間の準備を要して実用的ではない。
比較的短い時間でセットアップでき、かつ、検出感度をより高めることのできる光学特性測定システムの実現が要望されている。
本発明のある局面に従えば、第1の測定装置を備える光学特性測定システムが提供される。第1の測定装置は、筐体内に配置された第1の検出素子と、第1の検出素子に少なくとも部分的に接合し、検出素子を冷却する第1の冷却手段と、筐体内の検出素子の周囲に生じる温度変化を抑制する抑制手段とを含む。
好ましくは、抑制手段は、筐体と少なくとも部分的に接合し、筐体内の熱を筐体の外部へ放出する第2の冷却手段を含む。
好ましくは、抑制手段は、筐体の周囲に配置され、筐体の周囲から筐体内への熱侵入を抑制するための断熱手段を含む。
好ましくは、光学特性測定システムは、さらに、第2の測定装置を含む。第1の測定装
置は、第1の検出素子に対応付けて配置され、第1の波長範囲の光を第1の検出素子に導くように構成された第1の回折格子をさらに含む。第2の測定装置は、筐体内に配置された第2の検出素子と、第2の検出素子に対応付けて配置され、第2の波長範囲の光を第2の検出素子に導くように構成された第2の回折格子とを含む。第1の測定装置の第1の検出素子は、第2の測定装置の第2の検出素子に比較して、検出感度がより高くなるように構成されている。
好ましくは、光学特性測定システムは、測定対象からの光を分岐して、第1および第2の測定装置にそれぞれ導く分岐ファイバをさらに含む。
好ましくは、第1の測定装置は、近赤外域の波長成分に検出感度を有するように構成されている。第2の測定装置は、紫外域から可視域の範囲に含まれる少なくとも一部の波長成分に検出感度を有するように構成されている。
本発明の別の局面に従えば、第1の測定装置と、第1の測定装置より検出感度が低くなるように構成されている第2の測定装置とを備える光学特性測定システムの校正方法が提供される。光学特性測定システムの校正方法は、第1の設置条件に従って、予めエネルギー値が値付けされた光源と第2の測定装置とを配置し、光源からの光を第2の測定装置で受光して得られる出力値に基づいて、第2の測定装置のエネルギー校正係数を決定するステップと、第2の設置条件に従って、光源と第2の測定装置とを配置し、光源からの光を第2の測定装置で受光して得られる出力値と、第2の測定装置のエネルギー校正係数とに基づいて、第2の設置条件に対応する光源のエネルギーの換算値を決定するステップと、第2の設置条件に従って、光源と第1の測定装置とを配置し、光源からの光を第1の測定装置で受光して得られる出力値と、第2の設置条件に対応する光源のエネルギーの換算値とに基づいて、第1の測定装置のエネルギー校正係数を決定するステップとを含む。
本発明のある実施の形態によれば、比較的短い時間でセットアップでき、かつ、検出感度をより高めることのできる光学特性測定システムを実現できる。
また、本発明のある実施の形態によれば、第1の測定装置と、第1の測定装置より検出感度が低くなるように構成されている第2の測定装置とを含む光学特性測定システムの校正方法が提供される。
本実施の形態に従う光学特性測定装置を含む光学特性測定システムの構成例を示す模式図である。 図1に示す光学特性測定システムを用いた光学特性の測定方法を説明するための図である。 図1に示す光学特性測定システムを構成するデータ処理装置の装置構成を示す模式図である。 図1に示す光学特性測定システムを構成する測定装置の装置構成を示す模式図である。 図4に示す測定装置の温度ドリフトの影響を評価した結果を示すグラフである。 量子効率の測定に適した光学特性測定システムの装置構成の要部を示す模式図である。 本実施の形態に従う測定装置を用いた測定方法の手順を示すフローチャートである。 図6に示す光学特性測定システムを用いて溶媒中のフラーレン(C60)から一重項酸素を発生させたときの測定例を示す図である。 本実施の形態に従う光学特性測定システムに対して校正を行なうための手順を示すフローチャートである。 本実施の形態に従う光学特性測定システムに対して校正を行なうための手順を説明するための模式図である。
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<A.システム構成例>
まず、本実施の形態に従う光学特性測定装置(以下、「測定装置」とも略称する。)を含む光学特性測定システム1について説明する。図1は、本実施の形態に従う光学特性測定装置を含む光学特性測定システム1の構成例を示す模式図である。
図1を参照して、光学特性測定システム1は、光源4と、積分器6と、測定装置100とを収納するシステム本体2と、データ処理装置200とを含む。図1には、光源4、積分器6、および測定装置100が一つの筐体に収納された構成例を示すが、これに限られず、一部または全部のコンポーネントを別体に構成してもよい。この場合には、1または複数の測定装置100のみで光学特性測定システムを構成することもある。
図1に示す光学特性測定システム1は、様々な光学特性を測定することができる。光学特性としては、例えば、全光束量、照度(または、分光放射照度)、輝度(または、分光放射輝度)、光度、色演色(色度座標、刺激純度、相関色温度、演色性)、吸収率、透過率、反射率、発光スペクトル(および、ピーク波長、半波値)、励起スペクトル、外部量子効率(または、外部量子収率)、内部量子効率(または、内部量子収率)などを含む。
以下の説明では、主として、蛍光発光する物質を含む試料に対して、所定波長の励起光(典型的には、紫外域〜可視域の光)を照射し、当該試料から発生する蛍光(典型的には、近赤外域〜赤外域の光)を検出する場合について例示する。この場合、測定対象の光学特性は、典型的には、試料から発生する蛍光のスペクトルおよび量子効率を含む。
光源4は、試料に照射する励起光を発生する。光源4としては、例えば、キセノン放電ランプ(Xeランプ)、レーザダイオード、白色LED(Light Emitting Diode)などが用いられる。試料の量子効率を測定する場合には、励起光として、試料の特性に応じた単一波長を有する単色光を用いるのが好ましい。発生する励起光が波長帯域に広がりをもつ場合(キセノン放電ランプなどの白色光源を採用した場合)には、目的の単色光を選択するための波長帯域透過フィルターを設けてもよい。
光学特性測定システム1は、積分器6として半球型の積分球を採用する。積分器6としては、全球型のものを用いてもよい。半球型の積分球を採用することで、測定精度を高めることができるとともに、試料の着脱をより容易に行なうことができる。
図2は、図1に示す光学特性測定システム1を用いた光学特性の測定方法を説明するための図である。図2(A)には、粉体試料または固体試料を測定する場合の測定方法の一例を示し、図2(B)には、溶液試料を測定する場合の測定方法の一例を示す。
図2(A)を参照して、積分器6は、その内部に半球型の積分空間を形成する。より具体的には、積分器6は、半球部61と、半球部61の実質的な曲率中心を通り、かつ半球部61の開口部を塞ぐように配置された円板状の光拡散反射層62aを含む平面ミラー6
2とからなる。半球部61の内面(内壁)に光拡散反射層61aを有する。光拡散反射層61aは、典型的には、硫酸バリウムまたはPTFE(polytetrafluoroethylene)など
の光拡散材料を塗布または吹付けることによって形成される。平面ミラー62は、半球部61の内面側に鏡面反射(正反射および拡散反射)する光拡散反射層62aを有する。平面ミラー62の光拡散反射層62aが半球部61の内部に向けて配置されることで、半球部61についての虚像が生成される。半球部61の内部に定義される空間(実像)と、平面ミラー62により生成される虚像とを組み合わせると、全球型の積分器を用いた場合と実質的に同じ照度分布を得ることができる。
粉体試料または固体試料である試料SMP1は、半球部61の頂点を含む領域に形成された試料窓65に装着される。試料SMP1は、その蛍光発光する物質が半球部61の内部に露出するように、試料窓65に装着される。
光源4が発生した励起光は、光ファイバ5を伝搬して、投光光学系50を通じて、積分器6の内部に配置された試料SMP1へ照射される。投光光学系50は、集光レンズ52を含んでおり、光源4からの励起光を試料SMP1へ集光する。平面ミラー62には、励起光を積分器6の内部に導くための投光窓64が形成されている。
試料SMP1が励起光を受けて発生する光(典型的には、蛍光)は、積分器6内部で繰り返し反射することで、積分器6の内面に表れる照度は均一化する。
平面ミラー62には、積分器6の内面の照度を観測するための観測窓67が形成されており、観測窓67に対応付けて光取出部68が設けられている。光取出部68には、測定装置100と光学的に接続されている光ファイバ7の端部が接続されている。すなわち、積分器6の内面(観測窓67から見た視野範囲に相当)の照度に応じた強度をもつ光が測定装置100へ入射する。測定装置100は、光ファイバ7を通じて観測される光から、試料SMP1などの光学特性を測定する。
図2(A)に示すように、ユーザは、半球部61の頂点(図面では最下部)に設けられた試料窓65に試料SMP1を装着さえすればよいので、複数の試料SMP1を測定する必要がある場合であっても、試料の装着および交換の作業を簡素化できる。
図2(B)を参照して、溶液試料である試料SMP2を測定する場合には、平面ミラー62の中心部に形成された試料窓66に試料ホルダー63が装着され、試料ホルダー63内に試料SMP2が配置される。このとき、半球部61の頂点を含む領域に形成された試料窓65には、標準反射部材69が装着される。
投光光学系50は、試料ホルダー63を長さ方向に延長した位置に、試料窓66に対応付けて配置される。投光光学系50は、光源4からの励起光を試料ホルダー63の内部を通じて試料SMP2へ照射する。試料SMP2が励起光を受けて発生する光(典型的には、蛍光)は、積分器6内部で繰り返し反射することで、積分器6の内面に表れる照度は均一化する。測定装置100は、図2(A)と同様の方法で、光ファイバ7を通じて観測される光から、試料SMP2などの光学特性を測定する。
図2(B)に示す使用状態において、投光窓64(図2(A)参照)にも標準反射部材が装着される。
試料の材質または特性などによっては、再励起蛍光発光が生じる場合がある。再励起蛍光発光とは、試料表面で反射した励起光が積分器6内で拡散反射され、再び試料に入射することにより、さらに発光を生じる現象である。光学特性測定システム1では、このよう
な再励起蛍光発光による誤差を補正することも可能である。
再度図1を参照して、測定装置100は、光ファイバ7を通じて観測される光を受光して、測定結果(スペクトルなど)を出力する。データ処理装置200は、測定装置100からの測定結果を処理することで、試料の光学特性を算出する。測定装置100の詳細については、後述する。
データ処理装置200は、典型的には汎用的なコンピュータによって実現される。図3は、図1に示す光学特性測定システム1を構成するデータ処理装置200の装置構成を示す模式図である。データ処理装置200は、オペレーティングシステム(OS:Operating System)を含む各種プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)202
と、CPU202でのプログラムの実行に必要なデータを一時的に記憶する主メモリ204と、CPU202で実行されるプログラムを不揮発的に記憶するハードディスク206とを含む。測定装置100を構成する各コンポーネントは、バス220を介して互いに通信可能に接続されている。
ハードディスク206には、本実施の形態に従う測定方法を実現するための測定プログラム208が予め格納されている。このような測定プログラム208は、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)ドライブ210によって、記録媒体の一例であるCD
−ROM212などから読取られる。すなわち、本実施の形態に従う測定方法を実現するための測定プログラム208は、CD−ROM212などの記録媒体などに格納されて流通する。あるいは、ネットワークを介して測定プログラム208を配信してもよい。このような場合、測定プログラム208は、データ処理装置200のネットワークインターフェイス214を介して受信され、ハードディスク206に格納される。
ディスプレイ216は、測定結果などをユーザへ表示する。入力部218は、典型的には、キーボードやマウスなどを含み、ユーザの操作を受付ける。
なお、上述の機能の一部または全部を専用のハードウェア回路で実現してもよい。また、データ処理装置200をシステム本体2の一部として組み込んでもよい。
<B.新たな課題の発見>
紫外域または可視域の波長成分を有する励起光を試料に照射し、当該試料が生じる発光を測定する場合などを想定する。このような測定において、試料が生じる光は、近赤外域から赤外域の波長成分を有する極めて微弱なものとなる場合が多い。また、試料によっては、寿命が短く、わずかな測定時間しか確保できないものもある。
そのため、検出感度を可能な限り高めた測定装置を用いることが好ましい。先行技術のように、液体窒素などを用いて検出素子を冷却することで、検出感度を高める方法も知られているが、セットアップに長時間を要し、また、取扱いが容易ではないという課題もある。
そこで、液体窒素などの特別な冷却をすることなく、常温で使用可能な検出素子を用いて測定装置を実現することが、測定の利便性をより高めることになる。このような常温で使用される検出素子には、温度による外乱を避けるために、検出素子自体の温度を一定に維持する機能が設けられている。
本願発明者らは、極めて微弱な光を検出するために、検出素子の検出ゲインを高めていくと、検出素子自体の温度が一定に維持されているにもかかわらず、測定装置の周囲温度の影響を受けるという新たな課題を見出した。本願発明者らの鋭意研究によれば、測定装
置の周囲温度が変化することに伴って、測定装置内部にも温度変化が生じ、ゲインを高めた検出素子は、その温度変化による輻射熱の変化も捉えてしまい、その結果、測定対象の光の強度が変化していないにもかかわらず、測定結果には、その影響による誤差を生じるという結論にたどり着いた。そこで、本願発明者らは、検出素子自体に加えて、測定装置内部で生じる温度変化の影響、すなわち輻射熱による影響を生じさせない機能を採用した、測定装置100を発明した。本実施の形態に従う測定装置100によれば、測定装置100の周囲温度が変化したとしても、安定した測定が可能である。
<C.測定装置100の構成例>
次に、本実施の形態に従う測定装置100の構成例について説明する。
図4は、図1に示す光学特性測定システム1を構成する測定装置100の装置構成を示す模式図である。図4を参照して、測定装置100は、分光受光器であり、光学スリット104と、凹面回折格子106と、検出素子108とを含む。これらのコンポーネントは、筐体102の内部に配置される。
筐体102の一部には、光ファイバ7の端部を装着する接続部材116が設けられている。接続部材116により、光ファイバ7の開口端の光軸は、光学スリット104の中心軸に位置合わせされている。積分器6から取り出された光(以下、「測定光」とも称す。)は、光ファイバ7を伝搬して測定装置100の光学スリット104を通過する。測定光は、光学スリット104で断面径を調整された上で、凹面回折格子106に入射する。
測定光が凹面回折格子106に入射することで、測定光に含まれるそれぞれの波長成分が光学的に分離される。すなわち、測定光が凹面回折格子106によって回折されることで、測定光に含まれる各波長成分は、その波長の長さに応じた異なる方向に進むことになる。それぞれの波長成分は、凹面回折格子106に対して光学的に位置合わせされた検出素子108に入射する。このように、凹面回折格子106は、検出素子108に対応付けて配置され、所定の波長範囲(本構成例では、近赤外域〜赤外域)の光を検出素子108に導くように構成されている。
検出素子108は、互いに独立した検出面を複数並べて配置したアレイセンサが採用されている。検出素子108としては、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサ
を採用してもよい。検出素子108を構成する検出面の数および長さは、凹面回折格子106の回折特性および検出対象となる波長幅に応じて設計されている。アレイセンサである検出素子108は、測定光の強度スペクトルを所定波長幅ごとに検出する。
検出素子108は、検出素子108に少なくとも部分的に接合し、検出素子108を冷却する自己冷却機能を有している。検出素子108は、自己冷却型の検出素子であり、熱雑音を低減して、暗電流(ダーク電流)を低減させることで、検出感度を高めるとともに、S/N(Signal to Noise)比を向上させるように構成されている。具体的には、検出
素子108は、冷却機能を有する基部110を有している。基部110の内部には、検出素子108を冷却するための機能が実装されている。典型的には、基部110の内部には、ペルチェ素子などの電子冷却素子111が採用されてもよい。
基部110の検出素子108とは反対側には、接合層113を介して冷却フィン112が接合されている。検出素子108で発生した熱の一部は、基部110内部の電子冷却素子111にて吸収されるとともに、別の一部は、基部110および接合層113を介して、冷却フィン112から測定装置100の外部へ放出される。
基部110の電子冷却素子111は、冷却コントローラ114によって電流値などが制
御される。冷却コントローラ114は、図示しない温度センサなどからの検出値に基づいて、検出素子108が予め定められた温度に維持されるように、電流値などを制御する。
本実施の形態に従う測定装置100は、検出素子自体の冷却機能に加えて、検出素子108に対して輻射熱の変化による影響を与えないような機能が実装される。すなわち、測定装置100は、筐体102内の検出素子108の周囲に生じる温度変化を抑制する機能および構成を有している。図4に示す構成例においては、筐体102の内部空間の温度を一定に維持するための温調機能と、筐体102への熱侵入を低減するための断熱機能とを組み合わせた例を示す。
温調機能は、筐体102と少なくとも部分的に接合し、筐体102内の熱を筐体102の外部へ放出する冷却機構により実現される。より具体的には、温調機能は、筐体102の側面に配置された電子冷却素子130と、電子冷却素子130に接合された放熱プレート132とを含む。電子冷却素子130は、ペルチェ素子などからなり、冷却コントローラ134によって電流値などが制御される。
放熱プレート132の内部には、冷媒(典型的には、水またはフロンなど)が流れる流路(図示しない)が形成されている。放熱プレート132は、冷媒経路138,139を通じて冷媒循環ポンプ136と連結されている。冷媒循環ポンプ136は、冷媒経路138、放熱プレート132、冷媒経路139の順で冷媒を循環させる。冷媒循環ポンプ136の運転により、筐体102の内部にある熱の一部は、放熱プレート132から外部へ放出されるとともに、放熱プレート132において冷媒と熱交換されて、冷媒循環ポンプ136による循環経路上で外部へ放出される。すなわち、放熱プレート132および冷媒循環ポンプ136は、電子冷却素子130による筐体102内部の冷却を促進する。
温調機能としては、冷媒循環ポンプ136により放熱プレート132との間で冷媒を循環させる構成を例示したが、検出素子108の自己冷却機能と同様に、放熱プレート132に代えて冷却フィンを用いる構成を採用してもよい。
断熱機能は、筐体102の周囲に配置され、筐体102の周囲から筐体102内への熱侵入を抑制するための構造により実現される。より具体的には、断熱機能として、筐体102の外周に断熱材120が配置されている。断熱材120としては、任意の材質のものを用いることができるが、例えば、グラスウールおよびロックウールなどの繊維系の断熱材を用いてもよい。あるいは、ウレタンフォームおよびポリスチレンフォームなどの発泡系の断熱材を用いてもよい。このような断熱材120を筐体102の外周に配置することで、周囲から筐体102の内部への熱侵入を低減することができる。
上述のように、本実施の形態に従う測定装置100は、検出素子108の周囲に生じる温度変化を抑制することで、輻射熱の変化による影響を与えないような機能および構成を有している。検出素子108の周囲に生じる温度変化を抑制するものであれば、図4に示す構成例に限られず、どのようなものを採用してもよい。
例えば、図4には、電子冷却素子130を主とする温調機能と、断熱材120を主とする断熱機能との組み合わせの構成例を示すが、いずれか一方の機能だけを採用してもよい。
別の構成例として、断熱材120に代えて、筐体102の外周側または内周側に真空層を設けることで、周囲温度からの熱侵入を低減するようにしてもよい。あるいは、温度制御された冷媒(典型的には、乾燥空気および窒素など)を筐体102の周囲に循環させることで、筐体102の内部の温度を一定に維持するようにしてもよい。
さらに、上述した複数の機能のうち、2つ以上の機能を適宜組み合わせてもよい。
本実施の形態に従う測定装置100は、上述したような本願発明者らの新たな知見に基づいて、検出素子108が配置される筐体102の内部の温度を制御する安定化することで、検出素子108に対する輻射熱の影響を低減し、検出感度を高めるとともに、S/N比を向上させることができる。
筐体102内の検出素子108の周囲に生じる温度変化を抑制する機能および構成に加えて、検出素子108の検出面のうち、測定に用いない部分についてマスク処理をすることで、暗出力の安定性を向上させることもできる。
<D.改善効果>
次に、図4に示す測定装置100での温度ドリフトの改善効果について説明する。図5は、図4に示す測定装置100の温度ドリフトの影響を評価した結果を示すグラフである。図5には、図4に示す測定装置100と、図4に示す温調機能(電子冷却素子130、放熱プレート132、冷却コントローラ134、冷媒循環ポンプ136)および断熱機能(断熱材120)が存在しない測定装置(比較例)とについて、それぞれ恒温槽内に配置して、周囲温度を変化させた場合の出力値の変化を評価した結果である。
図5に示す「周囲温度」は、恒温槽内の温度変化を示す。具体的には、10℃〜30℃の範囲で、2時間ごとに5℃ずつステップ的に変化させた。
比較例の測定装置については、検出素子の検出感度を標準にしたもの(図5の(1)標準感度(比較例))と、検出素子の検出感度を高くなるように設定したもの(図5の(2)高感度(比較例))との2種類について測定した。一方、図4に示す測定装置100については、検出素子の検出感度を高くなるように設定した状態で測定した(図5の(3)高感度(実施の形態))。
いずれの場合も、測定光の入射を遮断した状態での、ダーク補正後の出力値を示す。各出力値は、露光時間を20秒とした撮像を4回繰り返した積算値である。図5に示す測定結果は、ダーク補正後の出力値であり、その値が小さいほど好ましい。
図5に示すように、比較例の測定装置であっても、標準感度で使用する場合には、周囲温度の変化による影響は小さいが、検出感度を高めると、周囲温度の変化による影響を受けて、同一の測定条件であっても、その出力値は変動することが分かる。
これに対して、本実施の形態に従う測定装置100は、周囲から筐体102の内部への熱侵入を低減する対策を施しているので、検出感度を高くなるように設定しているにもかかわらず、周囲温度の変化による影響は小さい。その結果、比較例の測定装置を標準感度で使用する場合よりも、よりノイズの影響を小さくできていることが分かる。
<E.量子効率の測定に適した構成>
次に、量子効率の測定に適した構成例について説明する。例えば、蛍光発光する物質を含む試料の量子効率を測定する場合には、紫外域または可視域の波長成分を有する励起光を試料に照射するとともに、その照射された励起光を測定し、併せて、当該試料が生じる近赤外域または赤外域の波長成分を有する蛍光を測定する必要がある。一般的に、発生する蛍光は、励起光に比較して極めて微弱である。さらに、試料の寿命が短く、測定時間がわずかしか確保できないものもある。
このような場合には、主として励起光を測定する第1の測定装置と、主として蛍光を測
定する第2の測定装置とを組み合わせた構成を採用してもよい。以下、蛍光発光する物質の量子効率を測定するのに適した装置構成について例示する。
図6は、量子効率の測定に適した光学特性測定システム1Aの装置構成の要部を示す模式図である。図6を参照して、光学特性測定システム1Aは、主として励起光を測定するための測定装置100Aと、主として蛍光を測定するための測定装置100とを含む。
光学特性測定システム1Aは、測定対象からの光を分岐して、測定装置100および測定装置100Aにそれぞれ導く分岐ファイバを含む。すなわち、積分器6の光取出部68に接続された光ファイバ7は、分岐部73にて、測定装置100Aに接続される光ファイバ71と、測定装置100に接続される光ファイバ72とに分かれる。すなわち、光ファイバ7を通じて観測される光は、2つに分離されて、それぞれ測定装置100および測定装置100Aへ入射する。
測定装置100Aは、主として励起光を測定するものであり、検出範囲が紫外域〜可視域となるように設計される。一方、測定装置100は、主として蛍光を測定するためのものであり、検出範囲が近赤外域〜赤外域となるように設計される。すなわち、測定装置100Aは、主として、近赤外域または赤外域の波長成分に検出感度を有するように構成されており、測定装置100は、紫外域から可視域の範囲に含まれる少なくとも一部の波長成分に検出感度を有するように構成されている。
測定装置100の装置構成は、上述の図4に示す装置構成と同様である。一方、測定装置100Aの装置構成についても、上述の図4に示すのと同様の装置構成を採用してもよいが、励起光を測定する場合には、検出対象となる光の強度が高いので、図4に示す温調機能(電子冷却素子130、放熱プレート132、冷却コントローラ134、冷媒循環ポンプ136)および断熱機能を必ずしも設ける必要はない。図6に示す光学特性測定システム1Aにおいては、温調機能および断熱機能を省略した測定装置100Aを採用している。
測定装置100Aと測定装置100との間の検出範囲の相違に応じて、測定装置100Aの凹面回折格子106は、所定の波長範囲(本構成例では、近赤外域〜赤外域)の光を検出素子108に導くように構成されており、一方、測定装置100の凹面回折格子106は、異なる波長範囲(本構成例では、紫外域〜可視域)の光を検出素子108に導くように構成されている。
また、測定装置100Aの検出素子108は、測定装置100の検出素子108に比較して、検出感度がより高くなるように設定されている。言い換えれば、測定装置100は、測定装置100Aより検出感度が低くなるように構成されている。
図6に示す光学特性測定システム1Aによれば、2つの測定装置が並列に測定できるので、紫外域から近赤外域(または、赤外域)までのスペクトルを同時計測できる。例えば、1台の測定装置で紫外域から近赤外域(または、赤外域)までのスペクトルを測定するための機能としては、回折格子を機械的に順次回転させて検出対象の波長を順次変化させる(すなわち、波長を掃引する)ものが知られている。しかしながら、このような機能を採用した場合には、目的のスペクトルの測定が完了するのに、比較的長い時間を要するという課題がある。また、紫外域および可視域の測定が完了し、近赤外域または赤外域の測定に移行する際に、機械的な切り替え動作が必要となり、測定上の不安定要因となり得るという課題もある。
これに対して、図6に示す光学特性測定システム1Aは、紫外域から可視域の波長を一
度に測定できるアレイセンサ(測定装置100Aの検出素子108)と、近赤外域から赤外域の波長を一度に測定できるアレイセンサ(測定装置100の検出素子108)とを有している。このような構成を採用することで、波長を掃引することなく、広い波長域のスペクトルを同時かつ短時間で測定することができる。また、発光強度の高い励起光を測定するための測定装置100Aと、発光強度の低い蛍光を測定するための測定装置100との間で、検出素子108の検出感度をそれぞれ最適化することで、量子効率を高精度で測定できる合理的かつ経済的な光学特性測定システム1Aを実現できる。
<F.測定方法>
次に、図4に示す測定装置100を用いた測定方法について説明する。なお、図6に示す光学特性測定システム1Aのように、測定装置100および測定装置100Aを用いる場合も同様の手順で測定を行なうことができる。
図7は、本実施の形態に従う測定装置100を用いた測定方法の手順を示すフローチャートである。図7を参照して、まず、ユーザは、光学特性測定システムの各コンポーネントの電源を投入してエージングする(ステップS100)。具体的には、エージングは、測定装置100を構成する検出素子108の自己冷却機能の安定化、測定装置100の筐体102内における温度の安定化、光源4の安定化などを含む。
まず、ユーザは、レファレンスを、光源4からの励起光が当該レファレンスに直接照射されるように、積分器6内に配置する(ステップS102)。粉体試料または固体試料の場合には、標準反射部材69がレファレンスとなり、溶液試料の場合には、試料が封入される容器と同型の容器に溶媒のみが封入されたものがレファレンスとなる。測定装置100は、レファレンスに励起光を照射したときの光を測定する(ステップS104)。この測定値は、試料の測定時に生じる光吸収などの影響を示す値であり、補正値として用いられる。
続いて、ユーザは、光源4からの励起光が試料に直接照射されるように、積分器6内に試料を配置する(ステップS106)。測定装置100は、励起光を受けて試料から発生する光を測定する(ステップS108)。このとき、測定装置100は、試料から発生する光に加えて、試料を透過した励起光、および/または、試料で反射した励起光を測定することになる。
続いて、ユーザは、再励起蛍光発光を補正するための設定をする(ステップS110)。測定装置100は、励起光を受けて試料から発生する光を測定する(ステップS112)。再励起蛍光発光を補正するための設定としては、粉体試料または固体試料の場合には、光源4からの励起光が直接照射されない位置に試料を配置し、積分器6内で反射した励起光が試料に照射されたときに発生する光を測定する。また、溶液試料の場合には、積分器6の試料窓65に装着されている標準反射部材69を取り外し、試料を透過した励起光が積分器6内に反射されないようにした状態で測定を行なう。
最終的に、データ処理装置200は、ステップS104において測定装置100が測定した結果と、ステップS108において測定装置100が測定した結果と、ステップS112において測定装置100が測定した結果とを用いて、試料の光学特性値(例えば、量子効率など)を算出する(ステップS114)。
<G.測定例>
次に、図6に示す光学特性測定システム1Aを用いて試料を測定した結果の一例を示す。図8は、図6に示す光学特性測定システム1Aを用いて溶媒中のフラーレン(C60)から一重項酸素を発生させたときの測定例を示す図である。図8(A)には、比較例とし
て、検出素子の検出感度を標準にした測定装置を用いた例を示し、図8(B)には、図4に示すような構成を採用するとともに、検出素子の検出感度を高くなるように設定した測定装置を用いた例を示す。
より具体的には、重水素化したベンゼン(C)の溶媒中に存在するフラーレンに対して、励起光を照射して一重項酸素を発生させた。図8には、一重項酸素を発生させるプロセスにおいて生じる蛍光のスペクトルを測定した結果の一例を示す。励起光を発生する光源4としては、532nmのレーザ光源(出力20mW)を用いた。
図8(A)に示すように、検出素子の検出感度を標準にした状態では、発生する蛍光のスペクトルを測定できていないが、図8(B)に示すように、検出素子の検出感度を高くした状態では、発生する蛍光のスペクトルを測定できていることが分かる。
さらに、図6に示す光学特性測定システム1Aを用いて、溶媒中のフラーレンの内部量子効率を測定した。なお、再励起蛍光発光についての補正も行なっている。測定の安定性を検討するため、同一の試料に対して、3日間にわたって同じ測定を繰り返した(測定は、1日1回、合計3回行なった)。その結果を以下に示す。
・1日目:0.061%
・2日目:0.062%
・3日目:0.062%
この量子効率の測定結果によれば、量子効率がごく小さい試料であっても、安定して測定できていることが分かる。
<H.校正方法>
図6に示す光学特性測定システム1Aは、それぞれ検出感度が異なる2台の測定装置100および100Aを含む。量子効率の測定などを考えると、同一の標準光源を用いてエネルギー校正を行なう必要がある。つまり、2台の測定装置の間で、測定値から換算されたエネルギーの大きさを整合する必要がある。一方で、検出感度が異なるため、同一の標準光源を用いて、2台の測定装置についてのエネルギー校正を行なうことは容易ではない。そこで、本実施の形態に従う光学特性測定システム1Aを校正する測定装置100および100Aに対する校正方法の一例について説明する。
図9は、本実施の形態に従う光学特性測定システム1Aに対して校正を行なうための手順を示すフローチャートである。図10は、本実施の形態に従う光学特性測定システム1Aに対して校正を行なうための手順を説明するための模式図である。
図9および図10を参照して、まず、校正に用いる標準ランプ150に対して、予め校正された上位の標準光源(国際標準トレーサブルな光源)を用いて、距離L1にて、照度などの値付けを行なう(ステップS200)。標準ランプ150は、例えば、50Wの光源であるとする。ステップS200によって、標準ランプ150についてのエネルギー値が取得される。エネルギー値は、典型的には、分光放射照度[μW・cm−2・nm−1]を用いて定義される。
続いて、所定の設置条件に従って、予めエネルギー値が値付けされた光源である標準ランプ150と測定装置100Aとを配置する。一例として、図10(A)に示すように、標準ランプ150と測定装置100A(標準感度)とを、光軸を合わせて距離L1だけ離して配置する(ステップS202)。標準ランプ150から生じる迷光成分などの影響を低減するために、標準ランプ150と測定装置100Aとの間には、遮光板ユニット152,154が配置される。
そして、標準ランプ150からの光を測定装置100Aで受光して得られる出力値に基づいて、測定装置100Aのエネルギー校正係数を決定する。すなわち、図10(A)に示す設置条件での測定装置100Aからの出力値に基づいて、測定装置100Aについてのエネルギー校正係数を算出する(ステップS204)。
エネルギー校正係数は、測定装置からの出力値(シグナル値)をエネルギーに換算する係数であり、エネルギー=ダーク補正後の出力値(測定値−ダーク補正時の測定値)/エネルギー校正係数の関係にある。
ステップS204においては、測定装置100Aの測定値I2から測定装置100Aのダーク補正値(ダーク状態で出力された測定値Id2)を差し引いた値を、標準ランプ150に対して値付けされたエネルギー値で除算することで算出される。すなわち、測定装置100Aのエネルギー校正係数k2=(I2−Id2)/(標準ランプ150の値付けされたエネルギー値E1)となる。
続いて、別の設置条件に従って、光源である標準ランプ150と測定装置100Aとを配置する。一例として、図10(B)に示すように、標準ランプ150と測定装置100A(標準感度)との間を距離L1から距離L2まで近付けた上で、標準ランプ150と測定装置100Aとの間の光軸上に減光メッシュ156を配置する(ステップS206)。減光メッシュ156としては、例えば、透過率1%(すなわち、1/100への減光)のものを採用することができる。なお、距離L1から距離L2まで近付けているのは、減光メッシュ156の減光度合いを弱めるためであり、より適切な減光メッシュ156を準備できれば、距離を変更する必要はない。
そして、標準ランプ150からの光を測定装置100Aで受光して得られる出力値と、測定装置100Aのエネルギー校正係数とに基づいて、現在の設置条件に対応する標準ランプ150のエネルギーの換算値を決定する。すなわち、図10(B)に示す設置条件での測定装置100Aからの出力値に基づいて、減光メッシュ156および距離L2を反映した、標準ランプ150のエネルギーの換算値を算出する(ステップS208)。具体的には、測定装置100Aの測定値I2’から測定装置100Aのダーク補正値(ダーク状態で出力された測定値Id2)を差し引いた値に、ステップS204において算出されたエネルギー校正係数k2を乗じて、換算エネルギー値E2が算出される。すなわち、換算エネルギー値E2=(I2’−Id2)×エネルギー校正係数k2となる。
続いて、当該別の設置条件に従って、光源である標準ランプ150と測定装置100とを配置する。一例として、図10(B)に示す状態において、遮光板ユニット152,154および減光メッシュ156の配置状態を維持したまま、測定装置100A(標準感度)に代えて、測定装置100(高感度)を配置する(図10(C)参照)(ステップS210)。
そして、標準ランプ150からの光を測定装置100で受光して得られる出力値と、図10(B)の設置条件に対応する、標準ランプ150のエネルギーの換算値とに基づいて、測定装置100のエネルギー校正係数を決定する。すなわち、図10(C)に示す設置条件での測定装置100からの出力値に基づいて、測定装置100についてのエネルギー校正係数を算出する(ステップS212)。ステップS212においては、測定装置100の測定値I1から測定装置100のダーク補正値(ダーク状態で出力された測定値Id1)を差し引いた値を、ステップS208において算出された換算エネルギー値E2で除算することで算出される。すなわち、測定装置100のエネルギー校正係数k1=(I1−Id1)/(標準ランプ150の換算エネルギー値E2)となる。
以上の手順によって、同一の標準光源を用いて、測定装置100および測定装置100Aのそれぞれについてのエネルギー校正係数を決定できる。
なお、測定装置100(高感度)と測定装置100A(標準感度)との間の感度差に応じて、標準ランプ150のワット数、距離L1と距離L2との差、減光フィルターの特性などを適宜調整すればよい。
<I.利点>
本実施の形態に従う測定装置100Aは、筐体102内の検出素子108の周囲に生じる温度変化を抑制する機能および構成を有している。このような機能および構成を採用することで、検出素子108の検出感度を高めたとしても、測定ノイズの影響を低減した測定が可能になる。このような測定装置100Aを用いることで、例えば、紫外域または可視域の波長成分を有する励起光を試料に照射し、当該試料から発生する、極めて微弱な発光についても安定して測定することができる。
また、本実施の形態に従う測定装置100Aは、電子冷却素子を用いて、検出素子108自体および筐体102の内部をそれぞれ冷却する方式を採用しているので、液体窒素などを用いて冷却する方式に比較して、エージングも含めた測定時間を大幅に短縮できる。
本実施の形態に従う光学特性測定システム1Aによれば、それぞれ検出範囲の異なる測定装置100および測定装置100Aを用いて、測定対象からの光を同時計測することができる。測定装置100および測定装置100Aは、いずれも検出素子としてアレイセンサ(一例として、CCDイメージセンサ)を用いており、複数の波長成分の強度を一度に取得できる。これにより、広帯域にわたるスペクトルを高感度に測定することができる。併せて、波長を掃引する方式に比較して、測定時間を短縮化できる。
また、測定装置100および測定装置100Aに対する検出感度をそれぞれ最適化することで、極めて微弱な光を、周囲環境の変化に影響されず、再現性よく安定して測定できる。そのため、高精度な量子効率の測定が可能である。このような装置構成を採用することで、例えば、例えば生体内の物質が発生する近赤外域の波長成分を有する蛍光を検出することができる。また、各種の材料開発にも応用できる。さらに、人工光を合成して利用するようなエネルギー開発の分野への応用も可能である。
上述した説明によって、本実施の形態に従う光学特性測定装置および光学特性測定システムに係るそれ以外の利点については明らかになるであろう。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,1A 光学特性測定システム、2 システム本体、4 光源、5,7,71,72
光ファイバ、6 積分器、50 投光光学系、52 集光レンズ、61 半球部、61a 光拡散反射層、62 平面ミラー、62a 光拡散反射層、63 試料ホルダー、64 投光窓、65,66 試料窓、67 観測窓、68 光取出部、69 標準反射部材、73 分岐部、100,100A 測定装置、102 筐体、104 光学スリット、106 凹面回折格子、108 検出素子、110 基部、111,130 電子冷却素子、112 冷却フィン、113 接合層、114,134 冷却コントローラ、116
接続部材、120 断熱材、132 放熱プレート、136 冷媒循環ポンプ、138,139 冷媒経路、150 標準ランプ、152,154 遮光板ユニット、156 減光メッシュ、200 データ処理装置、202 CPU、204 主メモリ、206 ハードディスク、208 測定プログラム、210 CD−ROMドライブ、212 CD−ROM、214 ネットワークインターフェイス、216 ディスプレイ、218 入力部、220 バス。

Claims (5)

  1. 筐体外に配置された試料が発生した光を筐体に導く光ファイバと、
    前記筐体の内部に配置された検出素子と、
    前記試料からの光を前記検出素子に導く回折格子と、
    前記検出素子に少なくとも部分的に接合し、前記検出素子を冷却する冷却機構と、
    前記筐体の内部空間の温度を一定に維持するための温調機構と、
    前記筐体の周囲に配置され、前記筐体の周囲から前記筐体内への熱侵入を低減するための断熱機構とを備え、
    前記冷却機構は、
    前記筐体の一部を形成するとともに、前記検出素子を支持するための基部と、
    前記基部の内部に配置された第1の電子冷却素子と、
    接合層を介して前記基部の外表面に接合された冷却フィンとを含む、光学測定装置。
  2. 前記温調機構は、前記筐体と少なくとも部分的に接合し、前記筐体内の熱を前記筐体の外部へ放出する機構を含む、請求項1に記載の光学測定装置。
  3. 前記温調機構は、
    前記筐体と少なくとも部分的に接合する第2の電子冷却素子と、
    前記第2の電子冷却素子に接合された放熱プレートと、
    前記放熱プレートを含む経路で冷媒を循環させる冷媒循環ポンプとを含む、請求項2に記載の光学測定装置。
  4. 前記断熱機構は、断熱材および真空層の一方を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学測定装置。
  5. 前記断熱機構は、温度制御された冷媒を前記筐体の周囲に循環させる機構を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学測定装置。
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