JP6829758B2 - 潜堤構築材料およびこの材料を用いた潜堤構造 - Google Patents

潜堤構築材料およびこの材料を用いた潜堤構造 Download PDF

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Description

本発明は、潜堤構築材料およびこの材料を用いた潜堤構造に関する。
人工干潟は、潜堤を設置した後に浚渫土等の中詰材を投入し、その上に覆砂を行うことにより造成する(例えば、特許文献4参照)。潜堤の材料としては礫材の他に、製鋼スラグ(例えば、特許文献1参照)や固化体(例えば、特許文献2参照)等が使用される。また、浚渫土と製鋼スラグの混合材(例えば、特許文献3参照)も潜堤材への利用が進められている(例えば、非特許文献1,2参照)。
図8に従来の人工干潟構造の一例を概略的に示す。この人工干潟は、水底の原地盤G上に浚渫土に製鋼スラグを混合した混合材料により潜堤1を構築した後、岸側(陸側)の原地盤G上に浚渫土等からなる中詰材2を投入し、その上に覆砂3を行うことで造成される。
特開2005-256497号公報 特開2011-246336号公報 特開2009-121167号公報 特開2011-208365号公報
「カルシア改質土 設計・施工マニュアル」カルシア改質土研究会(2013) 山田耕一・辻 匠・渡部要一・水谷崇亮・森川嘉之・鵜飼亮行「軟弱地盤上のカルシア改質土を用いた干潟潜堤に関する実験と考察」土木学会論文集B3(海洋開発),vol.69,No.2,I_1048-1053,2013 (www.jstage.jst.go.jp/article/jscejoe/69/2/69_I_1048/_article/references/-char/ja/)
干潟潜堤に用いられる、軟弱地盤における浚渫土と製鋼スラグとの混合材料のめり込みに関する模型実験の報告(非特許文献2)によれば、混合材料の固化に伴い、潜堤底面1a(図8)にクラックの発生がみられ、クラックは最大で数mmにも達した。こうしたクラックは、潜堤の安定性に影響を及ぼすことが考えるため好ましくない。
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、潜堤におけるクラック発生の問題を回避でき潜堤の安定性を保つことができる潜堤構築材料およびこの材料を用いた潜堤構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための潜堤構築材料は、堤体が水面下に没する潜堤を構築するための材料であって、含水比を100〜300%に調整した粘性土と粒径37.5mm以下の製鋼スラグとを、前記粘性土が内割り体積比で70〜90%、前記製鋼スラグが内割り体積比で30〜10%となるように混合し、さらに繊維状物質を外割り体積比で0.1〜1.0%添加したものである
この潜堤構築材料によれば、粘性土に製鋼スラグを混合することで、強度を向上させることができる。また、繊維状物質の添加により粒状材料である製鋼スラグに繊維状物質が絡みやすくなることで、高い変形追随性を有するとともに、ひずみが加えられても強度低下が抑制され、クラックの発生を抑制することができる。また、この潜堤構築材料は強度回復性を有し、材料にクラックが発生したとしても強度を回復することができる。このように、本潜堤構築材料を用いることで、潜堤におけるクラック発生の問題を回避することができ潜堤の安定性を保つことができる。
粘性土の含水比が100%以上であると、製鋼スラグや繊維状物質との施工性が低下せずに良好で、含水比300%以下であると、強度が低下せずに良好である。製鋼スラグの混合量が体積比30%以下であると、流動性・施工性が低下せずに良好であり、また、体積比10%以上であると、強度の向上が期待できる。また、繊維状物質の添加量が体積比0.1%以上であると、強度低下抑制・変形追随性付与・強度回復の効果を得ることができ、また、添加量が体積比1.0%以下であると、流動性・施工性を確保できるとともに添加量が多くなり過ぎずにコストがさほどかさまない。
上記目的を達成するための別の潜堤構築材料は、堤体が水面下に没する潜堤を構築するための材料であって、含水比を100〜300%に調整した粘性土と粒径37.5mm以下の製鋼スラグとを、前記粘性土が内割り体積比で70〜90%、前記製鋼スラグが内割り体積比で30〜10%となるように混合し、さらに繊維状物質を外割り体積比で0.1〜1.0%添加した材料についての一軸圧縮試験において5%の圧縮ひずみを与えてから除荷し養生した後に再負荷をすると一軸圧縮強さが前記除荷時の一軸圧縮強さよりも大きくなる特性を有するものである

上記目的を達成するための潜堤構造は、上述の潜堤構築材料から構築されたことを特徴とする。かかる潜堤構造によれば、潜堤におけるクラック発生の問題を回避できるので、安定性を保つことのできる潜堤構造を実現できる。
また、別の潜堤構造は、上述の潜堤構築材料から構築された潜堤下部と、前記潜堤構築材料以外の材料から構築された潜堤上部と、を有することを特徴とする。かかる潜堤構造によれば、潜堤下部におけるクラック発生の問題を回避できるので、安定性を保つことのできる潜堤構造を実現できるとともに、潜堤全体の材料コストを削減可能である。
上記別の潜堤構造において、前記潜堤構築材料以外の材料は、前記潜堤構築材料において前記繊維状物質の添加を省略した材料であることが好ましい。
本発明によれば、潜堤におけるクラック発生の問題を回避でき潜堤の安定性を保つことができる潜堤構築材料およびこの材料を用いた潜堤構造を提供することができる。
本実施形態による人工干潟用潜堤を示す概略図である。 本実施形態による別の人工干潟用潜堤を示す概略図である。 本実施例において表1の材料について実施した一軸圧縮試験から得られた応力ひずみ線図を示す図である。 (a)〜(i)は本実施例において表2の材料について実施した一軸圧縮試験から得られた応力ひずみ線図を示す図である。 本実施例において強度回復の確認のために表3の材料について実施した一軸圧縮試験から得られた圧縮ひずみと圧縮応力比との関係を示す図である。 本実施例において表4に示す材料について実施したフロー試験の結果を示す図である。 本実施例において表5に示す材料について実施したフロー試験の結果を示す図である。 従来の人工干潟構造の一例を示す概略図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。図1は本実施形態による人工干潟用潜堤を示す概略図である。
図1に示すように、本実施形態による人工干潟用潜堤10は、水底の原地盤G上に、粘性土と製鋼スラグとを混合しさらに繊維状物質を添加した潜堤構築材料を用いて水面下に没するように構築されている。人工干潟は、潜堤10と、潜堤10の構築後に岸側(陸側)の原地盤G上に投入された浚渫土等からなる中詰材11と、中詰材11の上に設けられた覆砂12とから構成される。
図1の潜堤10の構築のための潜堤構築材料は、含水比を100〜300%に調整した粘性土(内割り体積比で70〜90%)と粒径37.5mm以下の製鋼スラグ(内割り体積比で10〜30%)とを混合し、さらに繊維状物質を外割り体積比で0.1〜1.0%添加したものである。
上述の粘性土としては、浚渫土の他、購入材料、たとえば山粘土、ベントナイトなどを使用できる。含水比を100〜300%に調整して使用する。
上述の製鋼スラグは粒径37.5mm以下であり、目標強度等に応じて、製鋼スラグの混合量を10〜30%(体積比)の範囲で調整する。なお、製鋼スラグとして、高炉で製造された銑鉄を転炉で精錬する工程で生成される粒状体である転炉系製鋼スラグを用いることが好ましい。
上述の繊維状物質として各種繊維を使用可能であり、たとえば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ビニロン等を使用できる。繊維の寸法は任意であるが、製鋼スラグのザラザラした表面に繊維が引っかかるため、混練時に事前の短繊維をほぐす手間を省略することが可能である。また、細い繊維を使用することにより、少ない繊維量で効果を発揮することが可能である。添加量は外割り体積比で0.1〜1.0%の範囲で調整される。
かかる潜堤構築材料によれば、粘性土に製鋼スラグを混合することで、強度を向上させることができる。また、繊維状物質の添加により粒状材料である製鋼スラグに繊維状物質が絡みやすくなることで、高い変形追随性を有するとともに、ひずみが加えられても強度低下が抑制され、クラックの発生を抑制することができる。このため、図1の潜堤10の下部10aにおけるクラック発生が抑制される。さらに、この潜堤構築材料によれば、材料にクラックが発生しても、その後、強度の回復を期待することができる。以上から、上記潜堤構築材料を用いることで、浚渫土と製鋼スラグとを混合した混合材料からなる潜堤におけるクラック発生の問題を回避でき、潜堤10の安定性を維持することができる。
粘性土の含水比が100%以上であると、製鋼スラグや繊維状物質との施工性が低下せずに良好で、含水比300%以下であると、強度が低下せずに良好である。製鋼スラグの混合量が体積比30%以下であると、流動性・施工性が低下せずに良好であり、また、体積比10%以上であると、強度の向上が期待できる。また、繊維状物質の添加量が体積比0.1%以上であると、強度低下抑制・変形追随性付与・強度回復の効果を得ることができ、また、添加量が体積比1.0%以下であると、流動性・施工性を確保できるとともに添加量が多くなり過ぎずにコストがさほどかさまない。
図2は本実施形態による別の人工干潟用潜堤を示す概略図である。図2の人工干潟用潜堤20は、水底の原地盤G上に潜堤構築材料から構築された潜堤下部21と、その上に構築された潜堤上部22と、を有し、水面下に没するように構築されている。潜堤下部21は、図1の潜堤10と同様の潜堤構築材料を用いて構築されるが、潜堤上部22は上記潜堤構築材料以外の材料から構築されている。かかる潜堤上部22のための材料は、上記潜堤構築材料において繊維状物質の添加を省略した材料であることが好ましい。
図2の潜堤20によれば、潜堤下部21の下部21aにおけるクラック発生が抑制され、またクラックが発生してもその後強度の回復を期待できるので、潜堤20全体の安定性を維持することができる。また、潜堤全体ではなく、クラックが生じやすい潜堤下部21のみをクラック発生の抑制可能な上記潜堤構築材料から構築し、潜堤上部22を、繊維状物質を含まない材料で構築することで、潜堤全体の材料コストを削減可能である。なお、繊維状物質を添加した上記潜堤構築材料から構築した潜堤下部21の厚さは、潜堤の設置水深や構造、必要強度等を基に決定することが好ましい。
次に、図1の潜堤10および図2の潜堤下部21の施工方法の一例について説明する。ただし、施工方法は、本例に限定されず、他の方法であってもよい。
(1)調泥
浚渫土等の粘性土に所定量の海水または清水を加え、粘性土を目的とする含水比に調整する。
(2)混練
調整泥をミキサーに送り、所定の体積比で製鋼スラグ・短繊維を加え練り混ぜ、潜堤構築材料を製造する。
(3)圧送
製造された潜堤構築材料を、圧送ポンプを用いて、圧送管により打設場所まで搬送する。
(4)打設
トレミー管により所定の位置に潜堤構築材料を水中打設する。すなわち、潜堤構築材料を図1の潜堤10、図2の潜堤下部21に相当する位置に水中打設することで、潜堤10、潜堤下部21を構築する。なお、潜堤上部22も同様にして構築できるが、潜堤構築材料の混練時に短繊維の添加を省略する。また、潜堤構築材料の水中投入は、グラブによる水中投入によって行うようにしてもよい。
また、本実施形態による潜堤構築材料によれば、繊維を混合することにより流動性が低下するため、一般的なカルシア改質土と比較して潜堤の勾配を大きくすることが可能である。このため、潜堤構築に使用する材料を低減でき、コスト削減を図ることができる。
本発明による潜堤構築材料について実施例によりさらに説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
変形追随性
本実施例の潜堤構築材料は、含水比160%に調整した浚渫土(土粒子密度2.633 g/cm3、液性限界101.3%)と、製鋼スラグ(室内試験のため粒径9.5mm以下に調整)とを混合し、ポリエステル短繊維(繊維長20mm、繊維径14.8μm)を所定の体積比fで添加し混合したものである。実施例1〜6では短繊維の配合割合を体積比で0.1〜1.0vol%まで6段階に変え、比較例1では短繊維を配合していない。実施例1〜6および比較例1についての配合を次の表1に示す。
Figure 0006829758
表1のように繊維添加量をパラメータにした潜堤構築材料を作製し、養生7日後に一軸圧縮試験を実施した。この一軸圧縮試験から得られた応力ひずみ線図を図3に示す。なお、一軸圧縮試験は、JIS A 1216に基づいて実施した。
図3の結果から、短繊維を混合しない比較例1では5%の圧縮ひずみに達する前から圧縮応力が低下したのに対し、実施例2〜6のように短繊維を体積比で0.2%vol以上添加すると、5%以上の大ひずみレベルにおいても圧縮応力が低下しない材料となることがわかる。また、短繊維を体積比で0.1vol%添加した実施例1では、圧縮ひずみが5%のとき圧縮応力が低下しないことがわかる。また、繊維添加量が体積比で0.2〜1.0vol%の実施例2〜6では、繊維の添加量に応じて5%以上の大ひずみレベルにおいて圧縮応力の保持効果が高くなることがわかる。つまり、繊維添加量が増すと、変形追随性が向上する。
上述のように、繊維添加量が0.1〜1.0vol%の実施例1〜6では、繊維の添加量に応じてひずみ5%またはそれ以上における圧縮応力が低下せず、変形追随性が向上することがわかる。また、繊維添加量が1.0vol%を超えた場合においても圧縮応力が低下しないと考えられるが、5%のひずみレベルにおいて添加量を増やすことによる顕著な差が認められないこと、添加量の増加はコストアップの要因となることから、繊維添加量の上限は、1.0vol%と設定することが妥当であることがわかる。
製鋼スラグの体積比による圧縮強度
次に、別の浚渫土(土粒子密度2.668g/cm3、液性限界84.3%)を用い、次の表2に示すように、浚渫土の含水比を125,150,175%とそれぞれ変化させるとともに、製鋼スラグ(粒径37.5mm以下)の体積比を20vol%(実施例7〜11)、30vol%(実施例12〜16)と変化させ、ポリエステル短繊維(繊維長20mm、繊維径14.8μm)の添加量を0.1〜1.0vol%と変化させて潜堤構築材料を作製した。また、繊維を添加せず製鋼スラグの体積比を20vol%(比較例2)、30vol%(比較例3)とした材料、および、製鋼スラグの体積比を40vol%とし繊維添加量を0、0.1〜1.0vol%(比較例4〜9)とした材料を同様にして作製した。これらの材料について、養生7日後に一軸圧縮試験をJIS A 1216に基づいて実施した。この一軸圧縮試験から得られた応力ひずみ線図を図4(a)〜(i)に示す。
Figure 0006829758
図4(a)〜(f)に示される結果から、製鋼スラグの体積比が20vol%の場合には繊維添加量が0.2vol%以上のケースにおいて、製鋼スラグの体積比が30vol%の場合には繊維添加量が0.3vol%以上のケースにおいて、5%のひずみレベルにおいて圧縮応力が低下しないことがわかる。この傾向は、浚渫土の含水比が125,150,175%のいずれでも同じである。また、図4(g)〜(i)から、製鋼スラグの体積比が40vol%の比較例の場合には繊維添加量が0.5vol%以下のケースにおいて、5%未満のひずみレベルにおいて圧縮応力が低下していることがわかる。
強度の回復
次に、含水比160%に調整した浚渫土(土粒子密度2.633g/cm3、液性限界101.3%)に、次の表3のように、実施例17として製鋼スラグ(室内試験のため粒径9.5mm以下に調整)を所定の体積比で、ポリエステル短繊維(繊維長20mm、繊維径14.8μm)を所定の体積比で添加し混合して潜堤構築材料を得た。繊維の添加量は、本実施形態による潜堤構築材料における繊維添加量(0.1〜1.0vol%)の中央値に近いことから0.5vol%とした。また、繊維の添加の有無によるせん断強度の回復性を比較するため、比較例10として繊維添加量を0vol%とした材料を得た。なお、繊維の比重を1.38g/cm3とすると、繊維添加量が0.5vol%の場合の単位体積あたりの繊維重量は6.9kg/m3となる。
Figure 0006829758
上記潜堤構築材料から作製した供試体を28日間養生してから、5%のひずみレベルまで一軸圧縮した後、載荷を一旦停止し供試体をとりだし、85日間暴露した後、再び一軸圧縮試験を実施した。暴露方法は、供試体をラップで包み乾燥を防ぐ方法(気中暴露)による。なお、最初に与える圧縮のひずみレベルを5%とした理由は、比較例10の繊維添加量0vol%の供試体では、5%を超える圧縮ひずみを与えると、その後、供試体をとりだし暴露の準備をする際に供試体が崩壊してしまう恐れがあるためである。
図5(a)に比較例10、図5(b)に実施例17の各圧縮試験の結果を示す。図5(a)(b)の縦軸の圧縮応力は、圧縮ひずみ5%以下における圧縮応力の最大値により正規化(圧縮応力比)している。図5(a)のように繊維を添加していない場合、再負荷すると最初の圧縮時の一軸圧縮強さ以下であったのに対し、図5(b)のように繊維添加量が0.5vol%とした場合、浚渫土に製鋼スラグと繊維を添加することで、最初の圧縮時の一軸圧縮強さを超え、強度回復が確認できる。このように、本実施例の潜堤構築材料によれば、クラックが発生しても、その後の強度の回復を期待することができる。
フロー試験(1)
次に、含水比126.5%の浚渫土(土粒子密度2.668g/cm3、液性限界84.3%)に、表4のように、実施例18〜27として製鋼スラグ(粒径37.5mm以下)を所定の体積比(20vol%,30vol%)で混合し、ポリエステル短繊維(繊維長20mm、繊維径14.8μm)を体積比0.1〜1.0vol%添加し混合した材料についてJHS A 313に基づいてフロー試験を実施した。また、比較例11〜14として繊維添加量を0vol%,1.5vol%とした材料についても同様のフロー試験を実施した。
Figure 0006829758
これらの試験結果を図6に示す。ここで、良好な施工性・流動性の指標としてフロー値85mm以上と規定することにする。図6から、短繊維の添加量が増えるに従い、フロー値が小さくなることがわかる。短繊維を1.5vol%添加した比較例12,14では、良好な施工性の指標であるフロー値85mmよりも低くなったが、1.0vol%の繊維添加量の実施例22,27でフロー値が85mm以上となったので、繊維添加量の上限は1.0vol%であることが良好な施工性・流動性を得る点で好ましいことを確認できた。
法面勾配
また、含水比126.5%の浚渫土(土粒子密度2.668g/cm3、液性限界84.3%)に、製鋼スラグ(粒径37.5mm以下)を体積比で30vol%混合し、ポリエステル短繊維(繊維長20mm、繊維径14.8μm)を0.3vol%添加し混合した材料を用いて、水中打設した際の法面の勾配は1:3であった。これに対し、短繊維を添加しない場合の法面勾配は1:4程度であったことから、短繊維を添加した材料の使用により潜堤としての使用材料を減らす効果を期待することができる。
フロー試験(2)
次に、表5のように、実施例28〜30として含水比160%に調整した浚渫土(土粒子密度2.633 g/cm3、液性限界101.3%)と製鋼スラグ(室内試験のため粒径9.5mm以下に調整)とを所定の体積比で混合し、ポリエステル短繊維(繊維長20mm、繊維径14.8μm)を体積比0.5vol%で添加し混合し、これに流動性を向上させるため、分散材(AMPS系)を2kg/m3添加した材料についてJHS A 313に基づいてフロー試験を実施した。また、比較例15として製鋼スラグの体積比を40vol%とした以外は同様の材料についてフロー試験を実施した。
Figure 0006829758
図7に試験結果を示す。図7から製鋼スラグの混合量が増えるにしたがって、フロー値が小さくなり、材料の流動性が低下することがわかる。製鋼スラグの混合量を40vol%とした比較例15は、フロー値が85mm未満となって、流動性が低く、材料が硬く混練が難しくなることを確認した。これに対し、製鋼スラグの添加量が30vol%以下の実施例28〜30はフロー値が85mmを超えて、流動性を確保できることがわかる。材料の混合打設には一定の流動性が求められるところ、ここでは必要となる流動性をフロー値85mm以上とし、これを満たす配合として、製鋼スラグの混合量を10〜30vol%とすることが妥当であることが確認できた。なお、製鋼スラグの混合量を30vol%とした際の材令28日の一軸圧縮強さは、300kN/m2程であった。
以上のように本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。たとえば、本発明による潜堤構築材料および潜堤構造は、人工干潟の潜堤に適用することができるが、人工干潟以外の潜堤に適用できることはもちろんである。
また、本発明による粘性土と製鋼スラグと繊維状物質とから構成される材料は、潜堤に限定されず、たとえば、消波構造物の人工リーフの中詰材等にも適用可能である。
本発明の潜堤構築材料および潜堤構造によれば、潜堤におけるクラック発生の問題を回避でき潜堤の安定性を保つことができるので、たとえば、人工干潟において安定した潜堤を構築することができる。
10 人工干潟用潜堤、潜堤
10a 下部
11 中詰材
12 覆砂
20 人工干潟用潜堤、潜堤
21 潜堤下部
21a 下部
22 潜堤上部
G 原地盤

Claims (5)

  1. 堤体が水面下に没する潜堤を構築するための材料であって、
    含水比を100〜300%に調整した粘性土と粒径37.5mm以下の製鋼スラグとを、前記粘性土が内割り体積比で70〜90%、前記製鋼スラグが内割り体積比で30〜10%となるように混合し、さらに繊維状物質を外割り体積比で0.1〜1.0%添加した潜堤構築材料。
  2. 堤体が水面下に没する潜堤を構築するための材料であって、
    含水比を100〜300%に調整した粘性土と粒径37.5mm以下の製鋼スラグとを、前記粘性土が内割り体積比で70〜90%、前記製鋼スラグが内割り体積比で30〜10%となるように混合し、さらに繊維状物質を外割り体積比で0.1〜1.0%添加した材料についての一軸圧縮試験において5%の圧縮ひずみを与えてから除荷し養生した後に再負荷をすると一軸圧縮強さが前記除荷時の一軸圧縮強さよりも大きくなる特性を有する潜堤構築材料。
  3. 請求項1または2に記載の潜堤構築材料から構築されたことを特徴とする潜堤構造。
  4. 請求項1または2に記載の潜堤構築材料から構築された潜堤下部と、前記潜堤構築材料以外の材料から構築された潜堤上部と、を有することを特徴とする潜堤構造。
  5. 前記潜堤構築材料以外の材料は、前記潜堤構築材料において前記繊維状物質の添加を省略した材料である請求項4に記載の潜堤構造。
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