JP6820654B2 - 空気調和機 - Google Patents
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Description
しかしながら、多室型のいわゆる室内マルチタイプの空気調和機では、複数台の室内機が一台の室外機に接続されているため、室内機の設置場所の室外機からの遠近や、高低差によって、冷凍能力に差異が生じる場合があった。
この発明は、起動時の冷凍能力のばらつきを抑制して、各室内機にて快適な空調場を運転開始時から得られる空気調和機を提供することを目的とする。
そして、この空気調和機においては、前記演算部は、前記起動初期開度の学習値であるEVIKIDOU(n)を演算する場合において、前記室内機が運転中のときは、前記記憶部に記憶されている前記各電子膨張弁の開度情報から、今回運転中の前記室内機の中で今回における起動初期開度が最大であった室内機の当該今回の起動初期開度を今回の起動初期開度の最大値EVIKIDOUMAX(n−1)として読み出し、今回運転中のそれぞれの前記室内機における今回の弁開度EVI(n)を分子とし、今回運転中の室内機の中で今回最大である室内膨張弁開度EVIUNTENMAXを分母として、それぞれの開度比EVI(n)/EVIUNTENMAXを演算し、前記読み出した前記今回の起動初期開度の最大値EVIKIDOUMAX(n−1)に前記演算したそれぞれの開度比EVI(n)/EVIUNTENMAXを乗算して、今回の起動初期開度の学習値EVIKIDOU(n)をそれぞれ演算する。
前記制御装置は、前記演算されたそれぞれの前記電子膨張弁についての今回の起動初期開度の学習値EVIKIDOU(n)を、次回の起動時にそれぞれの前記電子膨張弁の起動初期開度として設定する。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
以下、図1に示す冷凍サイクルの模式図を用いて、空気調和機100の構成を説明する。
図1において、本発明の実施形態1の空気調和機100は、一台の室外機Cに複数の室内機10a,10b,10c,10d(以下、室内機10a…等または室内1号機10a,室内2号機…等とも記す)を接続する室内マルチタイプの空気調和機である。
本実施形態1の空気調和機100の各室内機10a…等は、室外機Cからの距離や、高低差になどにより負荷の異なる部屋に設置されていても、個別に冷凍能力を調整できるように構成されている。
空気調和機100は、前記室内機10a…等と、一台の室外機Cと、この室外機Cに各室内機10a…等を並列に接続する冷媒通路100L,100Vと、を備えている。
このうち、室外機Cは、圧縮機1と、四方弁2と、第1熱交換器としての室外熱交換器3と、室外膨張弁4と、アキュムレータ6と、液阻止弁7,ガス阻止弁8と、室外膨張弁4の開度を検知して弁開度信号を出力する開度センサ9と、各弁の開度を調整する制御部としての制御装置20とを含む。
このうち、前記冷媒通路100Lの一端は、液阻止弁7を介して、室外膨張弁4に接続されている。
このうち、前記冷媒通路100Vの一端は、ガス阻止弁8および四方弁5を介して圧縮機1に接続されている。四方弁2は、切換えによって、圧縮機1から吐出された冷媒の流通方向を正,逆方向に変更可能とする。
そして、制御装置20は、図示しない温度センサなどからの検出信号とともに、前記開度センサ15a〜15dおよび開度センサ9からの弁開度信号を受信して、これらの信号に基づいて、各弁の開度を調整する。
このうち、記憶部22は、前記空気調和機100の運転中に、室内膨張弁12a…等の開度情報を記憶する。
また、演算部24は、記憶部22が前回以前に記憶した開度情報に基づいて、今回の運転起動時の各室内膨張弁12a〜12dの膨張弁開度を演算する。
開度が可変できる電子膨張弁を有する空気調和機においては、冷房運転、暖房運転等の所定の運転モードが設定されて運転を開始すると、運転開始直後に、所定の初期開度となるように電子膨張弁の開度が調整される。
所定の電子膨張弁の初期開度は、室内空気温度、室外空気温度、室内の目標温度、接続配管長等の空気調和機を取り巻く環境因子に応じて、各種センサにより検知された情報に基づいて設定されている。
また、制御部は、運転開始時に登録データベース内から運転条件に適合する過去運転条件を検索する条件検索手段と、機器制御手段と、データ登録手段とを有している。
機器制御手段は、制御により電子膨張弁の開度を調整して、データ登録手段は、安定した状態になったときの電子膨張弁の開度を安定開度として取得し、運転条件に関連づけて登録データベースに記憶する。
(室内マルチタイプの空気調和機に適用する場合の課題)
すなわち、複数台の室内機が一台の室外機に接続される室内マルチタイプの空気調和機の場合は、各室内機と室外機の接続配管長や設置高低差等の施工状態の違い、各室内機が設置されている空調場の負荷の違い等により、各室内機に設けられている電子膨張弁の安定開度が異なる。
このように各室内機での立ち上りにばらつきが生じると、各室内機にて所望される快適性が低下するといった問題があった。
冷房運転時の場合は、室外機Cの圧縮機1から吐出された高温、高圧のガス冷媒は、四方弁2を通り室外熱交換器3に流入し、室外熱交換器3に導入される空気との間で熱交換が行われる。熱交換されたガス冷媒は、空気に放熱されることで高圧の液冷媒となり、前記室外熱交換器3から流出する。
液冷媒は、室外膨張弁4、液阻止弁7を通り室外機Cから流出すると、高圧のまま、冷媒通路100Lに設けられた液分配器14a〜14cを介して、各液接続配管100La,100Lb,100Lcから、それぞれの室内機10a〜10dに分流される。
その後、低圧のガス冷媒は、ガス阻止弁8、四方弁2を通ってアキュムレータ6に流入し、このアキュムレータ6で所定の冷媒かわき度に調整され、圧縮機1に吸入され、再度、圧縮機1で圧縮されることにより、冷房時の冷凍サイクルが形成される。
一方、暖房運転の場合は、室外機Cの圧縮機1から吐出された高温、高圧のガス冷媒は、四方弁2、ガス阻止弁8を通り室外機Cから流出して、冷媒通路100Vに設けられたガス接続配管100Va,100Vb,100Vc、ガス分配器13a〜13cを介してそれぞれ室内機10a〜10dに分流される。
上記課題を解決するため、本実施形態1の空気調和機100の制御装置20では、まず、起動初期の開度の学習制御が開始される。
制御装置20は、各室内膨張弁12a〜12dに、この起動初期開度(EVIKIDOU)を設定して、圧縮機1などを駆動することにより、空気調和機100の運転を開始させる。
ステップS4に処理が進むと、各室内機10a〜10dが運転中であるか、停止またはサーモOFF中(送風中)であるかが判定される。ステップS4にて、各室内機10a〜10dの何れかが運転中である場合(ステップS4にてYes)は、ステップS5に進み、起動初期開度EVIKIDOU(n)として、演算部24にて、次の数式1に示す演算が運転中の各室内機10a〜10dに対して行れる。
EVIUNTENMAX:運転中の室内機の中で最大の室内膨張弁開度
EVIKIDOUMAX(n-1):運転中の室内機の中で前回記憶した起動初期開度の最大値
n:学習回数
EVIKIDOU(n)=EVIKIDOU(n-1) ・・・(数式2)
ステップS7では、各室内機10a〜10dについて、演算部24による演算が終了したか否かが判定される。演算が終了している場合(ステップS7にてYes)には、ステップS8に処理を進めるとともに、全ての室内機10a〜10dについて、すなわち、一つの室内機10a…等であっても、演算が終了していない場合(ステップS7にてNo)には、ステップS4〜ステップS6を繰り返す。
このような学習制御の処理は、所定時間T経過毎に実施される。
なお、ここでは、理解の容易化のため、暖房運転を実行する場合について説明するが、冷房運転を実行する場合についても同様の効果が得られる。
この際、制御装置20の記憶部22では、記憶領域に記憶されているデータがリセットされていて、各室内機10a…等に備えられている室内膨張弁12a…の最大開度(EVIMAX:ここでは、2000pls)が起動初期開度(EVIKIDOU)として、記憶部22に記憶される(図3中最上行目b参照)。
この状態にて安定している場合、運転中の室内膨張弁12a…の最大開度(EVIUNTENMAX )は、室内4号機10dの1500plsとなる(図3中、d部参照)。
ここで、演算部24は、上記数式1を用いて、起動初期開度(EVIKIDOU)を演算する。
図3中、d部に示すように、前回(n−1)、学習回数0回目に最大である室内4号機10dの膨張弁開度1500plsに対して、室内1号機のEVIは、500plsである。
このため、開度比EVI(n)/EVIUNTENMAXは、500/1500=1/3となる。
そして、記憶部22に予め記憶されている学習回数0回目の起動初期開度(EVIKIDOUMAX (n-1))である2000plsに、この開度比EVI(n)/EVIUNTENMAX=1/3を乗算すると、室内1号機10aの起動初期開度(EVIKIDOU(n))である、2000pls×1/3=667plsが求められる。
演算結果は、図3中c部に示されるように、室内1号機10aが2000pls×1/3=667pls、室内2号機10bが2000pls×2/3=1333pls、室内3号機10cが2000pls×4/5=1600pls、室内4号機10dが2000pls×1/1=2000plsとなり、記憶部22は、これらの演算結果を記憶する。
空気調和機100の運転により、膨張弁開度(EVI)は、室内1号機10aが1200pls、室内2号機10bが1800pls、室内3号機10cが40pls、室内4号機10dが40plsを示して安定している場合、運転中の室内膨張弁12a…の最大開度(EVIUNTENMAX )は、室内2号機10bの1800plsとなる(図3中、e部参照)。
室内1号機10aの開度比EVI(n)/EVIUNTENMAXは、1200/1800=2/3となる。
空気調和機100の運転により、膨張弁開度(EVI)は、室内1号機10aが750pls、室内2号機10bが40pls、室内3号機10cが2000pls、室内4号機10dが40plsを示して安定している場合、運転中の室内膨張弁12a…の最大開度(EVIUNTENMAX)は、室内3号機10cの2000plsとなる(図3中、h部参照)。
演算結果は、図3中g部に示されるように、室内1号機10aが600pls、室内3号機10cが1600plsとなる。
空気調和機100の運転により、膨張弁開度(EVI)は、室内1号機10aが1200pls、室内2号機10bが40pls、室内3号機10cが40pls、室内4号機10dが1000plsを示して安定している場合、運転中の室内膨張弁12a…の最大開度(EVIUNTENMAX )は、室内1号機10aの1200plsとなる(図3中、j部参照)。
演算結果は、図3中i部に示されるように、室内1号機10aが2000pls(=2000/[1200/1200])、室内4号機10dが1667pls(=2000/[1000/1200])となる。
このため、室内2号機10bは、1333pls、室内3号機10cは、1600plsとなる。
したがって、現在停止もしくはサーモオフしている各室内膨張弁12a…の起動初期開度は、継続されて、最大膨張弁開度(EVIUNTENMAX)を有する他の室内機10a等との開度比を起動初期開度に反映させない。このため、現在停止もしくはサーモオフしている各室内膨張弁12a…の運転が再開された場合に、十分冷媒を循環させて、冷凍能力を発揮させることができ、各室内機10a…の立ち上がりのばらつきを抑制することができる。
図4は、本発明の他の実施形態(参考例)である実施形態2(参考例)の空気調和機100の制御装置20にて、初期開度を算出するフローチャートである。
本実施形態2(参考例)の空気調和機100の制御装置20では、実施形態1の上記数式1における演算にて、比率を乗算した場合に起動初期開度(EVIKIDOU)が減少傾向となることを抑制するものである。なお、前記実施形態1と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明を省略する。
制御装置20は、各室内膨張弁12a〜12dに、この起動初期開度(EVIKIDOU)を設定して、圧縮機1などを駆動することにより、空気調和機100の運転を開始させる。
ステップS14に処理が進むと、各室内機10a〜10dが運転中であるか、停止またはサーモOFF中(送風中)であるかが判定される。ステップS14にて、各室内機10a〜10dの何れかが運転中である場合(ステップS14にてYes)は、ステップS15に進み、起動初期開度EVIKIDOU(n)として、演算部24にて、次の数式3に示す演算を行う。
EVIUNTENMAX:運転中の室内機の中で最大の室内膨張弁開度
EVIMAX:運転中の室内機の中での最大開度
EVIKIDOU(n)=EVIKIDOU(n-1) ・・・(数式4)
ステップS17では、各室内機10a〜10dについて、演算部24による演算が終了したか否かが判定される。演算が終了している場合(ステップS17にてYes)には、ステップS18に処理を進めるとともに、全ての室内機10a〜10dについて、一つの室内機10a等でも演算が終了していない場合(ステップS17にてNo)には、ステップS14〜ステップS16を繰り返す。
このような学習制御の処理は、所定時間T経過毎に実施される。
したがって、空気調和機100の停止、起動が繰り返されても、必ず、少なくとも1台の室内機10a…等は、最大開度(EVIMAX)となるため、冷媒循環量を最大限に確保することが可能となる。
図6は、本発明の他の参考例である実施形態3の空気調和機100の制御装置20にて、初期開度を算出するフローチャートである。
本実施形態3(参考例)の空気調和機100の制御装置20では、演算部24における上記数式1の演算にて、起動初期開度(EVIKIDOU)が絞られ過ぎないように、補正を行うものである。
なお、前記実施形態1,2と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明を省略する。
制御装置20は、各室内膨張弁12a〜12dに、この起動初期開度(EVIKIDOU)を設定して、圧縮機1などを駆動することにより、空気調和機100の運転を開始させる。
すなわち、ステップS27にて、全ての室内機10a〜10dについて、演算部24による上記数式1による演算が終了したと判定されると、ステップS28に処理が進む。
ステップS28では、全室内機10a〜10dの演算が終了した時点で、今回演算された起動初期開度の最大値(EVIKIDOUMAX(n))と、各室内機10a〜10dに付設する室内膨張弁12a〜12dの最大開度(EVIMAX)とを比較する。
EVIKIDOU(n)=EVIKIDOU(n)×EVIMAX/EVIKIDOUMAX(n) ・・・(数式5)
また、ステップS28にて、今回演算された起動初期開度の最大値(EVIKIDOUMAX(n))と最大開度(EVIMAX)が等しい場合(ステップS28にてNo)は、ステップS30に処理を進める。
したがって、空気調和機100の停止、起動が繰り返されて、学習回数が増大しても、必ず、少なくとも1台の室内機(実施形態3では、室内3号機10c)は、最大開度(EVIMAX)=2000plsとなるため、冷媒循環量を最大限に確保することが可能となる。
[変形例]
本発明は上述した実施形態(実施形態1)に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。上述した実施形態(実施形態1)は本発明を理解しやすく説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態(実施形態1)の構成に他の実施形態(参考例(図6のフローチャートに即した処理))の構成を加えた実施形態とすることも可能である。上記実施形態に対して可能な変形は、例えば以下のようなものである。
以上のように、実施形態1における空気調和機100によれば、制御装置20は、空気調和機100の運転中に、室内膨張弁12a…等の開度情報を記憶する記憶部22と、前回以前に記憶した開度情報に基づいて、今回の運転起動時の膨張弁開度を演算する演算部24とを有している。
このため、室内膨張弁12a…の開度が運転開始時の初期開度から安定状態になるまでの期間を短縮することができ、各室内機10a…が配置される各空調場にて、起動初期時から所望の快適性が得られる。
2 四方弁
3 室外熱交換器
4 室外膨張弁
6 アキュムレータ
7 液阻止弁
8 ガス阻止弁
9,15a〜15d 開度センサ
10a〜10d 室内(1〜4号)機
11a 室内熱交換器
12a 室内膨張弁
13a〜13c ガス分配器
14a〜14c 液分配器
20 制御装置
22 記憶部
24 演算部
100 空気調和機
100L,100V 冷媒通路
100La〜100Ld 液接続配管
100Va〜100Vd ガス接続配管
C 室外機
Claims (2)
- 第1熱交換器を含む室外機と、
第2熱交換器および電子膨張弁を含む複数の室内機と、
前記室外機に、前記各室内機を並列に接続して、冷媒を前記第1熱交換器および第2熱交換器の間で循環させる冷媒通路とを備え、
前記各電子膨張弁の開度を制御して、前記各第2熱交換器の冷凍能力を調整する空気調和機であって、
前記室内機の運転中に、前記電子膨張弁の開度情報を記憶する記憶部と、過去の所定の時点以前に記憶した開度情報に基づいて、次回の運転起動時の電子膨張弁の開度として設定される起動初期開度の学習値を演算する演算部とを有する制御装置を備え、
前記演算部は、
前記起動初期開度の学習値であるEVIKIDOU(n)を演算する場合において、前記室内機が運転中のときは、
前記記憶部に記憶されている前記各電子膨張弁の開度情報から、今回運転中の前記室内機の中で今回における起動初期開度が最大であった室内機の当該今回の起動初期開度を今回の起動初期開度の最大値EVIKIDOUMAX(n−1)として読み出し、
今回運転中のそれぞれの前記室内機における今回の弁開度EVI(n)を分子とし、今回運転中の室内機の中で今回最大である室内膨張弁開度EVIUNTENMAXを分母として、それぞれの開度比EVI(n)/EVIUNTENMAXを演算し、
前記読み出した前記今回の起動初期開度の最大値EVIKIDOUMAX(n−1)に前記演算したそれぞれの開度比EVI(n)/EVIUNTENMAXを乗算して、今回の起動初期開度の学習値EVIKIDOU(n)をそれぞれ演算し、
前記制御装置は、
前記演算されたそれぞれの前記電子膨張弁についての今回の起動初期開度の学習値EVIKIDOU(n)を、次回の起動時にそれぞれの前記電子膨張弁の起動初期開度として設定すること
を特徴とする空気調和機。 - 前記演算部は、今回停止もしくはサーモオフしている室内機については、今回の電子膨張弁の起動初期開度の前記学習値EVIKIDOU(n)として、今回の起動初期開度EVIKIDOU(n−1)を引き継ぐこと
を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
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