JP6818266B2 - 二次黒鉛の製造方法、薄片化黒鉛の製造方法、二次黒鉛及び薄片化黒鉛 - Google Patents

二次黒鉛の製造方法、薄片化黒鉛の製造方法、二次黒鉛及び薄片化黒鉛 Download PDF

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Description

本発明は、原料黒鉛よりもグラフェン間が拡げられている二次黒鉛の製造方法、該二次黒鉛、並びに該二次黒鉛を用いて薄片化黒鉛を製造する方法及び該薄片化黒鉛に関する。
従来、原料黒鉛よりもグラフェン積層数が少ない薄片化黒鉛が注目されている。薄片化黒鉛は、比表面積が大きい。従って、少量の添加で合成樹脂などを補強することができる。
下記の特許文献1や2には、このような薄片化黒鉛の製造方法が開示されている。
特許文献1に記載の製造方法では、黒鉛を含む陽極と、陰極とを水溶液中に浸漬し、陽極と陰極との間に直流電圧を印加する。それによって、黒鉛のグラフェン層間に電解質に由来する陰イオンを挿入させる。それによって、陰イオンが挿入された黒鉛層間化合物が得られている。この電解質としては、硝酸、硫酸などの強酸が用いられている。しかるのち、上記黒鉛層間化合物を剥離することにより薄片化黒鉛が得られている。
他方、下記の特許文献2には、酸性電解質水溶液中に黒鉛を作用極として浸漬し、電気化学処理により膨張化黒鉛を得る方法が開示されている。この膨張化黒鉛を、さらに機械的剥離処理することにより、薄片化黒鉛が得られる。
特開2011−195432号公報 特開2012−131691号公報
特許文献1に記載の薄片化黒鉛の製造方法では、酸性電解質水溶液中で硝酸イオンなどをインターカレートしなければならなかった。そのため、最終的に得られた薄片化黒鉛には二酸化グラフェンが積層された形態である。そのため、還元処理を施さなければ、導電性などの良好な特性を得ることができなかった。また、得られた薄片化黒鉛の厚みは比較的薄かった。そのため、樹脂に展開した場合、変形し、織り込まれたり、カールしたりすることがあった。
他方、引用文献2に記載の電気化学反応を利用した薄片化黒鉛の製造方法においても、得られた薄片化黒鉛の厚みは極めて薄かった。そのため、薄片化黒鉛が屈曲しがちであるという問題があった。そのため、やはり、合成樹脂に添加されると、薄片化黒鉛が変形したり、折りたたまれたりすることがあった。
上記のように、薄片化黒鉛が屈曲したり、折りたたまれたりすると、少量の添加で合成樹脂の機械的強度を高めることが困難となる。
本発明の目的は、屈曲が少なく、剛直であり、非酸化性の薄片化黒鉛を得ることを可能とする二次黒鉛の製造方法及び該二次黒鉛を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記二次黒鉛を用いた薄片化黒鉛の製造方法及び薄片化黒鉛を提供することにある。
本発明の二次黒鉛の製造方法は、黒鉛または膨張黒鉛からなる原料黒鉛を用意する工程と、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩のうちの少なくとも一方を電解質とする電解液に、原料黒鉛を浸漬し、該原料黒鉛を作用極とし、対照極との間に5〜500mAの範囲内の直流電圧を印加し、電気化学処理を行い、グラフェン間の隙間が拡げられた二次黒鉛を得る工程とを備える。
なお、原料黒鉛とは、上記のように黒鉛または膨張黒鉛からなる。ここで、膨張黒鉛とは、グラフェン層間を拡げた後に再度圧縮して得られた膨張黒鉛シートにより従来から市販されている膨張黒鉛をいうものとする。
二次黒鉛とは、本発明により得られる黒鉛であって、原料黒鉛よりもグラフェン層間が拡げられている黒鉛をいうものとする。
本発明に係る二次黒鉛の製造方法では、好ましくは、アルカリ金属塩として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムからなる群から選択された少なくとも1種が用いられる。この場合には、アルカリ金属がグラフェン間に容易に入り込み、上記電気化学処理によりグラフェン層間をより一層確実に拡げることが可能となる。
本発明に係る二次黒鉛の製造方法では、好ましくは、上記アルカリ土類金属塩として、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、塩化カルシウム及び塩化マグネシウムからなる群から選択された少なくとも1種が用いられる。この場合には、アルカリ土類金属がグラフェン間に容易に入り込み、上記電気化学処理によりグラフェン層間をより一層確実に拡げることが可能となる。
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法は、上記二次黒鉛の製造方法で得られた二次黒鉛のグラフェン間の隙間を剥離する剥離処理を行うものである。それによって薄片化黒鉛が得られる。なお、薄片化黒鉛とは、原料黒鉛よりもグラフェンの積層数が少ない黒鉛をいうものとする。上記剥離処理は、超音波処理又は湿潤粉砕によって行われることが好ましい。
本発明に係る二次黒鉛は、本発明の二次黒鉛の製造方法で得られ、XRDスペクトルにおいて26度及び43度にのみ回折ピークを示す。すなわち、酸化グラフェンに起因する回折ピークを示さず、元の黒鉛由来の回折ピークのみを示す。
本発明に係る薄片化黒鉛は、本発明の二次黒鉛の製造方法で得られた二次黒鉛を剥離処理することにより得られる。この薄片化黒鉛では、最大距離を隔てて対向している両端間の最短距離をAとし、該両端間の道のりをBとしたとき、A/Bで表される屈曲度は0.5以上である。
本発明に係る二次黒鉛の製造方法によれば、酸化しておらず、グラフェン層間が原料黒鉛よりも拡げられている二次黒鉛を提供することができる。また、本発明の薄片化黒鉛の製造方法によれば、上記二次黒鉛を剥離処理することにより薄片化黒鉛が得られるため、酸化されておらず、屈曲が少ない、剛直な薄片化黒鉛を提供することが可能となる。
実施例1において、電気化学処理において得られた二次黒鉛のXRDスペクトルを示す図である。 比較例3において、電気化学処理後のサンプルのXRDスペクトルを示す図である。 実施例1において、電気化学処理前の原料黒鉛としての膨張黒鉛シートの断面の走査型電子顕微鏡写真(1000倍)を示す図である。 実施例1において、電気化学処理後に得られた二次黒鉛の断面を示す走査型電子顕微鏡写真(1000倍)を示す図である。
以下、本発明の詳細、並びに本発明の実施例及び比較例を挙げることにより本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(原料黒鉛を用意する工程)
本発明の二次黒鉛の製造方法では、まず、原料黒鉛として黒鉛または膨張黒鉛を用意する。黒鉛とは、天然黒鉛または人造黒鉛などを広く含むものである。膨張黒鉛とは、黒鉛のグラフェン層間を膨張させ、再度圧縮した膨張黒鉛をいうものとする。このような膨張黒鉛は、例えば東洋炭素社製、品番:PF8などの膨張黒鉛シートが挙げられる。
(電気化学処理)
本発明では、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩のうちの少なくとも一方を電解質とする電解液に、原料黒鉛を浸漬する。上記アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩としては特に限定されない。例えば、アルカリ金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムからなる群から選択された少なくとも1種を好適に用いることができる。このようなアルカリ金属塩を用いた場合には、電気化学処理によりグラフェン間の隙間をより確実に拡げることができる。
上記アルカリ土類金属塩としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム又は水酸化バリウムを挙げることができる。なかでも、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、塩化カルシウム及び塩化マグネシウムからなる群から選択された少なくとも1種を好適に用いることができる。このようなアルカリ土類金属塩を用いた場合には、電気化学処理によりグラフェン間の隙間をより確実に拡げることができる。
本発明においては、電解液は、上記アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩のうち少なくとも一方を電解質として含むものであればよい。この場合、アルカリ金属塩のうち少なくとも1種及びアルカリ土類金属塩のうちの少なくとも1種の双方を併用してもよい。上記電解液の溶媒としては、水、アルコールなどを用いることができる。好ましくは、金属塩を十分に溶媒中に溶解させる必要があるため、水が溶媒として望ましい。
上記電解液の濃度は、電気化学処理によりグラフェン間の隙間を拡げ得る限り特に限定されないが、通常、0.1mol/dm〜5.0mol/dmの濃度とすればよい。この濃度範囲であれば、電気化学処理によりグラフェン層間をより一層確実に拡げることができる。
本発明では、電解液に原料黒鉛を浸漬し、該原料黒鉛を作用極とし、対照極との間に直流電圧を印加する。対照極としては、Pt、Auなどの適宜の金属からなる電極を用いることができる。
また、好ましくは、Ag/AgCl、Hg/HgSOからなる参照極を上記電解液中に浸漬し、電気化学処理を施すことが望ましい。
作用極と対照極との間に印加する直流電圧の大きさは、5〜500mAの範囲であることが必要である。直流電流の範囲がこの範囲内であれば比較的短い時間で、グラフェン層間を拡げることができ、かつ黒鉛の酸化を確実に抑制することができる。さらに、得られた二次黒鉛を用いて薄片化黒鉛を得た場合、薄片化黒鉛における屈曲も効果的に抑制することができる。より好ましくは、上記直流電流の範囲は、10〜100mAの範囲内である。このより好ましい範囲内であれば、より一層速やかに、グラフェン層間の隙間を拡げることができ、黒鉛の酸化をより確実に防止することができる。
上記電気化学処理により、元の黒鉛の酸化を抑制しつつ、グラフェン層間を拡げることができる。すなわち、黒鉛が酸化しておらず、グラフェン層間が拡げられている二次黒鉛を得ることができる。本発明において、二次黒鉛とは、上記電気化学処理により得られた元の黒鉛よりもグラフェン層間が拡げられており、かつ酸化していない黒鉛をいうものとする。
上記のようにして得られた二次黒鉛のXRDスペクトルでは、元の黒鉛の(002)面による2θ=26度に位置する回折ピークを示し、他の回折ピークを示さない。従って、黒鉛の酸化、あるいはグラフェン層間へのインターカレーション反応が進行していないことがわかる。また、電気化学処理後の上記二次黒鉛では、グラフェン層間が拡げられている。これは、後述の実施例で示すように、得られた二次黒鉛の走査型電子顕微鏡写真により確認することができる。上記のように、酸化を抑制しつつ、グラフェン層間を拡げうるのは、グラフェン層間に物質がインターカレートされるのではなく、グラフェン層間において、電気分解に際してのガスの発生によりグラフェン間が拡げられていることによると考えられる。従って、本発明によって得られる二次黒鉛では、全てのグラフェン層間において層間が拡げられているのではなく、複数層ごとのグラフェン間においてガスが発生し、グラフェン層間の隙間が拡げられることになる。よって、最終的に剥離処理を施した場合、比較的厚みの厚い剛直な薄片化黒鉛が得られる。
(剥離処理)
本発明の薄片化黒鉛の製造方法では、上記のようにして得られた二次黒鉛に剥離処理を施す。それによって、薄片化黒鉛を得る。剥離処理としては、従来、膨張黒鉛すなわちグラフェン層間が拡げられた黒鉛を剥離処理するのに用いられていた適宜の方法を用いることができる。このような剥離処理としては、剪断力を加える機械的剥離処理、超音波処理などが挙げられる。また、剥離処理に際しては、加熱してもよい。
なかでも、剥離処理は、超音波処理又は湿潤粉砕によって行われることが好ましい。このような剥離処理は、二次黒鉛を分散媒中に分散させて行うことができる。上記分散媒としては、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)又はトルエンなどが用いられる。
上記のように、剥離処理により物理的な力を与えられると、プラスの発生によりグラフェン層間が拡げられている部分において剥離が生じ、薄片化黒鉛が得られる。
(薄片化黒鉛)
本発明の薄片化黒鉛の製造方法では、上記のように、グラフェン層間が拡げられている部分において剥離が生じ、薄片化黒鉛が得られる。従って、得られた薄片化黒鉛は、従来の薄片化黒鉛の製造方法により得られた薄片化黒鉛に比べ、グラフェン積層数がある程度大きい、剛直な薄片化黒鉛である。このような薄片化黒鉛は、剛直であるため、屈曲しがたい。このような薄片化黒鉛の屈曲度を本発明では以下のようにして評価する。薄片化黒鉛を、合成樹脂中に分散させる。このとき、1つの薄片化黒鉛の断面において、最大距離にある両端間の最短距離をAとする。この両端間の道のりをBとする。(A/B)で表される値が、1つの薄片化黒鉛における屈曲度として求めることができる。この場合、屈曲度は0.5以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましく、さらに0.9以上であることがより好ましい。上記屈曲度が1であることが断面において直線上の形状となる。
本発明により得られる薄片化黒鉛は剛直であるため、樹脂に分散させた後、上記屈曲度が0.5以上であり、従って、少量の添加で優れた補強効果を発現する。
なお、上記屈曲度を求める合成樹脂としては、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂またはポリエステル樹脂などの適宜の合成樹脂を用いることができるが、本発明では、上記合成樹脂としてエポキシ樹脂を用いた場合の屈曲度の値で、0.5以上であることが好ましい。
超音波処理に際しては、適宜の溶媒を用いることができる。このような溶媒としては、水または各種有機溶媒が挙げられる。超音波の照射時間は、特に限定されず、30分〜240分の範囲が好ましい。この範囲内であれば薄片化黒鉛の酸化を抑制しつつ、二次黒鉛を確実に剥離し、薄片化黒鉛を得ることができる。
作用極として用いる原料黒鉛の密度は、特に限定されないが、0.5〜1.5g/cmの範囲内であることが好ましい。0.5g/cm未満の場合には、電気化学処理に際し、作用極が崩壊することがある。1.5g/cmを超えると、グラフェン間が十分に拡げられないことがある。より好ましくは、作用極として用いる原料黒鉛の密度は、0.7g/cm±0.1g/cmの範囲であることが望ましい。このような原料黒鉛としては、上述した東洋炭素社製、品番:PF8の膨張黒鉛が挙げられる。
次に本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げる。
(実施例1)
原料黒鉛として、厚みが1mmの膨張黒鉛シート(東洋炭素社製、品番:PRMA−FOIL)を用意した。この原料黒鉛を作用極として用いた。この作用極をPtからなる対照極と、Ag/AgClからなる参照極とともに、1.0mol/dm濃度の塩化カリウム水溶液中に浸漬し、電気化学処理を施した。電気化学処理に際しては、50mAの直流電流を60分印加した。
上記のようにして電気化学処理を行い、二次黒鉛を得た。この二次黒鉛について、X線回折により評価した。結果を図1に示す。図1は、上記電気化学処理により得られた二次黒鉛のXRDパターンを示す図である。図1から明らかなように、θが26度と54度とに位置する回折ピークのみが確認された。これは、原料の膨張黒鉛の(002)面による回折ピークに起因するものである。従って、電気化学処理によって、酸化が進行していないことがわかる。
次に、上記のようにして得られた二次黒鉛を純水に浸漬し、60分間超音波処理した。超音波処理に際しては、発振周波数26kHzとし、強力超音波洗浄機(PHENIXIIシリーズ)を用いた。
上記のようにして薄片化黒鉛を得た。得られた薄片化黒鉛の厚みを原子間力顕微鏡(キーエンス社製、ナノスケールハイブリッド顕微鏡、品番:VN−8000)を用い、評価した。その結果、薄片化黒鉛の厚みは15nmであった。また、電子顕微鏡により断面を観察し、断面の観察から前述した屈曲度を求めた。屈曲度を評価するにあたっては、得られた薄片化黒鉛8.0gを合成樹脂としてのポリプロピレン(日本ポリプロ社製、品番:ノバテックPP)40.0gに溶融の状態で混練し、17cm×17cm×0.5mm厚のサイズのシートの形に成形し、複合材料を得た。この複合材料の断面について走査型電子顕微鏡で観察した。この断面において現われている薄片化黒鉛100個について、上記のようにして定義される屈曲度を求め、その平均値を求め屈曲度とした。屈曲度は0.9であった。
図3は、元の原料黒鉛としての膨張黒鉛シートの断面の走査型電子顕微鏡写真(1000倍)を示す図である。図4は、上記電気化学処理により得られた二次黒鉛の断面の走査型電子顕微鏡写真(1000倍)を示す図である。
図3と図4とを対比すれば明らかなように、上記電気化学処理により得られた二次黒鉛ではグラフェン間が拡げられていることがわかる。
(実施例2)
電気化学処理に際しての直流電流の大きさを10mAとしたことを除いては、実施例1と同様にして二次黒鉛を得、さらに薄片化黒鉛を得た。得られた薄片化黒鉛を原子間力顕微鏡により評価し、厚みを求めた。その結果、薄片化黒鉛の厚みは18nmであった。また、走査型電子顕微鏡で観察した断面から求められた屈曲度は0.9であった。
(実施例3)
電気化学処理に際しての直流電流の大きさを400mAとしたことを除いては、実施例1と同様にして二次黒鉛を得、さらに薄片化黒鉛を得た。得られた薄片化黒鉛を原子間力顕微鏡により評価し、厚みを求めた。その結果、薄片化黒鉛の厚みは12nmであった。また、走査型電子顕微鏡で観察した断面から求められた屈曲度は0.9であった。
(実施例4)
電気化学処理に際して用いた電解液を塩化ナトリウム水溶液としたことを除いては、実施例1と同様にして、薄片化黒鉛を得た。原子間力顕微鏡により測定した薄片化黒鉛の厚みは15nmであった。また、走査型電子顕微鏡により断面を観察して求められた屈曲度は0.9であった。
(実施例5)
電気化学処理に際して用いた電解液を水酸化ナトリウム水溶液としたことを除いては、実施例1と同様にして、薄片化黒鉛を得た。原子間力顕微鏡により測定した薄片化黒鉛の厚みは18nmであった。また、走査型電子顕微鏡により断面を観察して求められた屈曲度は0.9であった。
(実施例6)
電気化学処理に際して用いた電解液を水酸化カリウム水溶液としたことを除いては、実施例1と同様にして、薄片化黒鉛を得た。原子間力顕微鏡により測定した薄片化黒鉛の厚みは20nmであった。また、走査型電子顕微鏡により断面を観察して求められた屈曲度は0.9であった。
(実施例7)
電気化学処理に際して用いた電解液を水酸化マグネシウム水溶液としたことを除いては、実施例1と同様にして、薄片化黒鉛を得た。原子間力顕微鏡により測定した薄片化黒鉛の厚みは18nmであった。また、走査型電子顕微鏡により断面を観察して求められた屈曲度は0.9であった。
(実施例8)
電気化学処理に際して用いた電解液を水酸化カルシウム水溶液としたことを除いては、実施例1と同様にして、薄片化黒鉛を得た。原子間力顕微鏡により測定した薄片化黒鉛の厚みは20nmであった。また、走査型電子顕微鏡により断面を観察して求められた屈曲度は0.9であった。
(実施例9)
電気化学処理に際して用いた電解液を塩化カルシウム水溶液としたことを除いては、実施例1と同様にして、薄片化黒鉛を得た。原子間力顕微鏡により測定した薄片化黒鉛の厚みは20nmであった。また、走査型電子顕微鏡により断面を観察して求められた屈曲度は0.9であった。
(実施例10)
電気化学処理に際して用いた電解液を0.1mol/dm濃度の塩化カリウム水溶液としたことを除いては、実施例1と同様にして、薄片化黒鉛を得た。原子間力顕微鏡により測定した薄片化黒鉛の厚みは18nmであった。また、走査型電子顕微鏡により断面を観察して求められた屈曲度は0.9であった。
(実施例11)
電気化学処理に際して用いた電解液を5.0mol/dm濃度の塩化カリウム水溶液としたことを除いては、実施例1と同様にして、薄片化黒鉛を得た。原子間力顕微鏡により測定した薄片化黒鉛の厚みは18nmであった。また、走査型電子顕微鏡により断面を観察して求められた屈曲度は0.9であった。
(実施例12)
電気化学処理に際して用いた電解液を、1.0mol/dm濃度の塩化カリウム水溶液と1.0mol/dm濃度の塩化ナトリウム水溶液との混合液としたことを除いては、実施例1と同様にして、薄片化黒鉛を得た。原子間力顕微鏡により測定した薄片化黒鉛の厚みは18nmであった。また、走査型電子顕微鏡により断面を観察して求められた屈曲度は0.9であった。
(実施例13)
電気化学処理に際して用いた電解液を、1.0mol/dm濃度の塩化カルシウム水溶液と、1.0mol/dm濃度の塩化マグネシウム水溶液との混合液としたことを除いては、実施例1と同様にして、薄片化黒鉛を得た。原子間力顕微鏡により測定した薄片化黒鉛の厚みは20nmであった。また、走査型電子顕微鏡により断面を観察して求められた屈曲度は0.9であった。
(実施例14)
電気化学処理に際して用いた電解液を、1.0mol/dm濃度の塩化カリウム水溶液と、1.0mol/dm濃度の塩化カルシウム水溶液との混合液としたことを除いては、実施例1と同様にして、薄片化黒鉛を得た。原子間力顕微鏡により測定した薄片化黒鉛の厚みは20nmであった。また、走査型電子顕微鏡により断面を観察して求められた屈曲度は0.9であった。
(比較例1)
直流電流の大きさを3mAとしたことを除いては、実施例1と同様にして電気化学処理を行った。上記のようにして電気化学処理を行った後のサンプルについて、断面を電子顕微鏡写真で観察したところ、グラフェン間は拡がっていなかった。また、上記のようにして電気化学処理を行ったあと剥離処理を施したが、薄片化黒鉛を得ることができなかった。
(比較例2)
直流電流の大きさを700mAとしたことを除いては、実施例1と同様にして電気化学処理を行った。その結果、電解の崩壊が生じ、二次黒鉛を得ることはできなかった。また、崩壊した残渣を用い剥離処理を施したが、薄片化黒鉛を得ることができなかった。
(比較例3)
電解液を濃度が13.0mol/dmの硝酸水溶液としたことを除いては、実施例1と同様にして電気化学処理を施し、さらに剥離処理を施した。図2は、電気化学処理後のサンプルのXRDパターンを示す。図2から明らかなように、電気化学処理後のサンプルにおいて、2θが11度と22度に位置する回折ピークがそれぞれ確認された。これは、酸化黒鉛が形成されているために生じた回折ピークである。従って、電気化学処理により黒鉛の酸化が進行し、酸化黒鉛が形成されていることが確認できた。また、剥離処理で得られた薄片化黒鉛について原子間力顕微鏡により評価したところ、薄片化黒鉛の厚みは3nmであった。また、実施例1と同様にして屈曲度を評価したところ、0.6であった。上記実施例1〜14及び比較例1〜3の結果を下記の表1にまとめて示す。
表1中の剥離の○は薄片化黒鉛が得られ、×は薄片化黒鉛が得られなかったことを意味する。

Claims (1)

  1. 最大距離を隔てて対向している両端間の最短距離をAとし、該両端間の道のりをBとしたとき、A/Bで表される屈曲度が0.9以上であり、厚みが12nm以上、20nm以下である、薄片化黒鉛。
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