JP6814393B2 - 水栓装置及びその製造方法 - Google Patents
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Description
また、この従来の水栓装置の外殻部材の内部には、別体のケーシング部材が挿入されている。このケーシング部材には、水栓機能ユニットが内蔵されており、この水栓機能ユニットは、給水源及び給水源のそれぞれから一次側流路により供給された湯と水とを混合し、この混合した湯水を吐止水する機能を備えている。
また、従来の水栓装置の樹脂製のケーシング部材については、金属製のものに比べて強度が低く、経年変化等による耐久性も低いという問題もある。これにより、長期的な安全性を確保するためには、点検や部品交換等のメンテナンスにおいてもコストがかかるという問題がある。
また、常時湯水に晒される水栓装置の事情を考慮し、ケーシング部材として耐食性が高いステンレス材料を採用した場合には、ステンレス材料が高い加工精度で加工することが難しいという問題もある。
したがって、脱銅合金や脱鋳物を実現し、銅合金以外の素材を活用し、水栓装置の種類に応じて様々な仕様に対しても、いかに製造コストを抑制しつつ、設計の自由度を高めていくかが、近年要請された課題となっている。
更に、本発明は、スパウト側流路形成部材の支持(の少なくとも一部)を外殻部材から解放することにより、外殻部材に求められる強度を低減することができる水栓装置及びその製造方法を提供することを目的としている。
また、外殻部材の支柱部と二次側アダプタ部材とを別部材としたことにより、外殻部材の材料を外観品位を満たす材料から幅広く選択できる一方で、二次側アダプタ部材の材料を通水に関する要求仕様を満たす材料から幅広く選択できる。これにより、設計の自由度を向上させることができると共に、製造コストを抑制することができる。
更に、スパウト側流路形成部材を二次側アダプタ部材に取り付ける作業が容易である(吐水口側から作業可能である)という利点も得られる。
これにより、外殻部材及び二次側アダプタ部材を機能部ユニットに対して回転することによって吐水の方向を適宜に調整することが可能であるため、水栓装置の利便性が更に高められる。
機能部ユニットの外周面と二次側アダプタ部材の内周面との間に二次側流路が形成されている場合でも、例えば軸シールによって水密が保持されていれば、外殻部材及び二次側アダプタ部材を機能部ユニットに対して回転することを阻害しない。
これによれば、外殻部材と二次側アダプタ部材との間の回転力の伝達がスパウト側流路形成部材を介して行われる場合と比較して、ガタツキの発生を顕著に抑制することができる。
本発明によっても、機能部ユニットと支柱部との間に概ね筒状の二次側アダプタ部材が設けられており、スパウト側流路形成部材は二次側アダプタ部材によって固定されている。これにより、スパウト側流路形成部材は、二次側アダプタ部材を介して例えば機能部ユニット(更には後述する台座部材)によって支持され得る。従って、スパウト側流路形成部材の支持(の少なくとも一部)を外殻部材から解放することができ、外殻部材に求められる強度を低減することができる。
また、外殻部材の支柱部と二次側アダプタ部材とを別部材としたことにより、外殻部材の材料を外観品位を満たす材料から幅広く選択できる一方で、二次側アダプタ部材の材料を通水に関する要求仕様を満たす材料から幅広く選択できる。これにより、設計の自由度を向上させることができると共に、製造コストを抑制することができる。
更に、スパウト側流路形成部材を二次側アダプタ部材に取り付ける作業が容易である(吐水口側から作業可能である)という利点も得られる。
そして、本発明によれば、外殻部材の支柱部と台座部材とが互いに直接擦れ合うことがないため、それらの要素にめっき等を施しても、当該めっきの剥がれ等が生じる虞がない。
以上の各発明において、上記機能部ユニットの外周面と上記二次側アダプタ部材の内周面との間に、水密にシールされた二次側流路が形成されており、上記機能部ユニットの上記外周面には、上記二次側流路に混合後の湯水を流出させる流出穴が設けられており、上記スパウト側流路形成部材は、上記二次側流路に連通していることが好ましい。
これによれば、二次側流路を所望の形態で設計することができるため、装置材料が水に浸浸することで引き起こされ得る問題(例えば銅合金からの鉛成分の溶出等)を効果的に回避することができる。
この場合、好ましくは、上記機能部ユニットの外周面と上記上部二次側アダプタ部材の内周面との間に、水密にシールされた二次側流路が形成されており、上記機能部ユニットの上記外周面には、上記二次側流路に混合後の湯水を流出させる流出穴が設けられており、上記スパウト側流路形成部材は、上記二次側流路に連通していることが好ましい。
これによれば、二次側流路を所望の形態で設計することができるため、装置材料が水に浸浸することで引き起こされ得る問題(例えば銅合金からの鉛成分の溶出等)を効果的に回避することができる。
そして、下部二次側アダプタ部材は、当該二次側流路に関与せず、すなわち、下部二次側アダプタ部材を交換しても特段の調整作業が不要である。従って、異なる高さの下部二次側アダプタ部材を用意しておいてそれらを適宜に交換することで、二次側アダプタ部材の高さを容易に変更することができる。
また、外殻部材の支柱部と二次側アダプタ部材とを別部材としたことにより、外殻部材の材料を外観品位を満たす材料から幅広く選択できる一方で、二次側アダプタ部材の材料を通水に関する要求仕様を満たす材料から幅広く選択できる。これにより、設計の自由度を向上させることができると共に、製造コストを抑制することができる。
更に、スパウト側流路形成部材を二次側アダプタ部材に取り付ける作業が容易である(吐水口側から作業可能である)という利点も得られる。
そして、上記外殻部材及び上記二次側アダプタ部材が上記機能部ユニットに対して一体的に回転可能であることにより、外殻部材及び二次側アダプタ部材を機能部ユニットに対して回転することによって吐水の方向を適宜に調整することが可能であるため、水栓装置の利便性が更に高められる、あるいは、上記機能部ユニットが上記台座部材に固定されて上記二次側アダプタ部材の下端部にフランジ部が形成されて上記台座部材上に上記二次側アダプタ部材の上記フランジ部が載置されて上記二次側アダプタ部材の上記フランジ部上に上記支柱部の下端部が載置されていることによって、外殻部材の支柱部と台座部材とが互いに直接擦れ合うことがないため、それらの要素にめっき等を施しても、当該めっきの剥がれ等が生じる虞がない。
まず、図1は、本発明の第1実施形態による水栓装置を斜め前方から見た概略斜視図である。
図1に示すように、本発明の第1実施形態による水栓装置1は、給湯源(図示せず)から供給される湯と給水源(図示せず)から供給される水とを混合して吐止水する、いわゆる、「シングルレバー式」と呼ばれる水栓装置であり、台所のシンク又は洗面台のカウンター等の設置面F1上に設置されている。
すなわち、このシングルレバー式の水栓装置1においては、いわゆる、「シングルレバー」と呼ばれる単一の操作ハンドル2が手動で回動操作されることにより、流量と温度が調整された湯水がスパウト4の吐水口6から吐止水されるようになっている。
また、図1に示すように、操作ハンドル2が止水操作位置から上方の操作位置に回動操作された場合には、スパウト4の吐水口6から吐出される湯水が吐水状態に設定されるようになっている。
すなわち、操作ハンドル2は、吐水状態において、より上方(図1に示す矢印「開」の方向)に回動操作される程、湯水の流量が大きく設定され、より下方(図1に示す矢印「閉」の方向)に回動操作される程、湯水の流量が小さく設定されるようになっている。
一方、図1に示すように、操作ハンドル2が回転中心軸線A1を中心に湯側(図1に示す矢印「H」側)に回動操作された場合には、スパウト4の吐水口6から吐出される湯水の混合比を湯が大きく設定されるようになっている。
図2は、本発明の第1実施形態による水栓装置全体の分解斜視図である。また、図3は、本発明の第1実施形態による水栓装置の中央側面断面図である。
まず、図2及び図3に示すように、本実施形態の水栓装置1は、その種類又は仕様に応じた形状に形成された中空の外殻部材8(外殻ユニットの一要素)を備えている。この外殻部材8は、上下方向に概ね筒状に延びる支柱部8a、及び、この支柱部8aの側面から外側に延びるスパウト部8bをそれぞれ備えている。
なお、外殻部材8については、金属材料で形成されていてもよいし、樹脂材料で形成されていてもよい。
図2及び図3に示すように、台座部材16は、水栓装置1の設置面F1に配置された状態で固定金具14の馬蹄形の把持金具14a及び締結金具14bにより固定されるようになっている。
また、図2に示すように、台座部材16には、縦方向に貫く通湯穴16a及び通水穴16bがそれぞれ形成されている。通湯穴16aには、給湯器等の給湯源(図示せず)から湯を供給する湯供給管10が下方から接続されている。同様に、通水穴16bには、水道等の給水源(図示せず)から水を供給する水供給管12が下方から接続されている。
さらに、図2及び図3に示すように、本実施形態の水栓装置1は、外殻部材8の支柱部8aの内部において、詳細は後述する水栓機能ユニット18を備えている。
図4及び図5に示すように、本実施形態の水栓装置1は、水栓機能ユニット18の外側において、下方から上方に向って、下側下方シール保持部材20、下方シール部材22、上側下方シール保持部材24、下側上方シール保持部材26、上方シール部材28、及び、上側上方シール保持部材30をそれぞれ備えている。水栓機能ユニット18に、下側下方シール保持部材20、下方シール部材22、上側下方シール保持部材24、下側上方シール保持部材26、上方シール部材28、及び、上側上方シール保持部材30を装着させた構成が、機能部ユニット19である。
また、図4及び図5に示すように、下方シール部材22及び上方シール部材28のそれぞれは、水栓機能ユニット18の外側面と外殻部材8の支柱部8aの内側面との間を水密にシールするものである。
さらに、図4及び図5に示すように、下側下方シール保持部材20及び上側下方シール保持部材24のそれぞれは、下方シール部材22を保持するためのものでもあり、一方、下側上方シール保持部材26及び上側上方シール保持部材30のそれぞれは、上方シール部材28を保持するためのものである。
図6及び図7に示すように、外殻部材8の支柱部8aは、略円筒形状の機能部収容空間を区画しており、機能部ユニット19は、当該機能部収容空間内に収容されるようになっている。図6及び図7から分かるように、外殻部材8は、機能部ユニット19の上方から当該機能部ユニット19に被さるように取り外し可能に装着可能となっている。
外殻部材8に、二次側アダプタ部材64、スパウト側流路形成部材68、及び、吐水口形成部材70を装着させた構成が、外殻ユニットである。
外殻ユニットの各要素は、機能部ユニット19に装着する前に互いに組み付けられることが通常であるが、幾つかのサブユニットが機能部ユニット19に順次に装着されながら互いに組み付けられてもよい。
これらの部材32,34,36,38については、外殻部材8の支柱部8a内に挿入された機能部ユニット19について、上方から水密に保持するものである。
さらに、図2に示すように、外殻部材8と二次側アダプタ部材64との間に、概ね半筒状の係止部材62が設けられている。係止部材62には、後述するスパウト側流路形成部材68に嵌合する嵌合溝62gが設けられている。また、係止部材62の対向する端縁部には、内側に折り返された嵌合突縁部62fが形成されており、当該嵌合突縁部62fが二次側アダプタ部材64の外周面上に形成された対応する収容溝(不図示)内に収容されることで、係止部材62は二次側アダプタ部材64に固定されるようになっている。係止部材62は、十分な強度を担保するべく、例えば金属製である。
まず、図3〜図9に示すように、本実施形態の水栓装置1の水栓機能ユニット18は、詳細については後述する金属製のケーシング部材40を備えている。この金属製のケーシング部材40は、外殻部材8の支柱部8a内に挿入された状態で、その一端側(下端側)が台座部材16に対して固定されている。
また、図4及び図5に示すように、水栓機能ユニット18は、ケーシング部材40の外側面において、台座部材保持用の機械的係合ピン58、及び、一次側アダプタ部材保持用の機械的係合ピン60をそれぞれ備えている。
また、図8に示すように、湯供給管44は、下側被接続部44a及び上側被接続部44bをそれぞれ備えている。湯供給管44の下側被接続部44aは、台座部材16の通湯穴16aの上端(下流端)の湯側接続受け部16c内に湯側軸シール部材42aを介して差し込まれて水密に接続され、いわゆる、軸シールされている。一方、湯供給管44の上側被接続部44bは、一次側アダプタ部材50の通湯穴50aの下端(上流端)の湯側接続受け部50c内に湯側軸シール部材48aを介して差し込まれて水密に接続され、いわゆる、軸シールされている。
同様に、図8に示すように、水供給管46は、下側被接続部46a及び上側被接続部46bをそれぞれ備えている。水供給管46の下側被接続部46aは、台座部材16の通水穴16bの上端(下流端)の水側接続受け部16d内に水側軸シール部材42bを介して差し込まれて水密に接続され、いわゆる、軸シールされている。一方、水供給管46の上側被接続部46bは、一次側アダプタ部材の通水穴50bの下端(上流端)の水側接続受け部50d内に水側軸シール部材48bを介して水密に接続され、いわゆる、軸シールされている。
これらのクリアランスd1,d2,d3,d4により、湯供給管44の各被接続部44a,44b及び水供給管46の各被接続部46a,46bが、台座部材16の各接続受け部16c,16d及び一次側アダプタ部材50の各接続受け部50c,50dにおける各クリアランスd1〜d4の範囲内で水密状態を保ちながら移動することができるようになっている。
また、これらの一次側アダプタ部材50及び弁座部材52は、詳細は後述する上側ケーシング部材74の底部74aを間に挟みつつ、湯供給管44及び水供給管46のそれぞれの下流端とシングルレバーカートリッジ54とを互いに水密に接続する接続部材として機能するようになっている。
ここで、図4、図8及び図9に示すように、シングルレバーカートリッジ54の構造については、周知のシングルレバーカートリッジの構造と同様であるため、詳細な説明は省略するが、代表的には、下方から上方に向って、固定弁体54a、可動弁体54b、及び、レバー54cをそれぞれ備えている。
つぎに、図8及び図9に示すように、可動弁体54bは、固定弁体54aの上面に対して並進及び回転する摺動が可能に配置されている。
さらに、図8及び図9に示すように、レバー54cは、その下端が可動弁体54bに連結されており、上端が操作ハンドル2に連結されている単一の軸部材となっている。
なお、図8に示すように、固定弁体54a及び可動弁体54bのそれぞれには、弁座部材52の通湯穴52a及び通水穴52bのそれぞれと連通する一次側流路である通湯路54d及び通水路54eがそれぞれ形成されている。
また、図9に示すように、固定弁体54a及び可動弁体54bのそれぞれには、通湯路54d及び通水路54eのそれぞれから供給された湯と水を混合する二次側流路である湯水混合路54fがそれぞれ形成されている。通湯路54d及び通水路54eから湯水混合路54fに供給される湯水の混合比と流量は、可動弁体54bの位置に応じて調整されるようになっている。
また、図5及び図9に示すように、シングルレバーカートリッジ54の湯水混合路54fの流出口54gは、詳細は後述するケーシング部材40の上側ケーシング部材74の側面の流出穴74fと連通している。
また、前述のように、本実施形態の水栓装置1は、外殻部材8のスパウト部8b内において、スパウト流路68aを形成するスパウト側流路形成部材68と、吐水口6を形成する吐水口形成部材70と、をそれぞれ備えている。
また、スパウト側流路形成部材68の二次側アダプタ部材64側の端部の近傍において、スパウト側流路形成部材68の外周面に、フランジ状の突出部68fが設けられている。
そして、係止部材62は、フランジ状の突出部68fの吐水口側の面(下方側の面は除く)を係止することによって、スパウト側流路形成部材68が二次側アダプタ部材64から抜け出ることを防止するようになっている。具体的には、係止部材62の嵌合溝62gが、スパウト側流路形成部材68の突出部68fに対して吐水口側に隣接する部分(嵌合溝68g)との嵌合を許容する一方で、突出部68fの通過は許容しない形状ないしサイズで形成されている。
これによって、二次側アダプタ部材64と当接するリブ部68rが「つっかえ棒」のように機能して、スパウト側流路形成部材68の吐水口側が下方側へ撓む(「おじぎ」をする)事象の発生を効果的に抑制するようになっている。
図10は、本発明の第1実施形態による水栓装置1のケーシング部材40の分解斜視図である。また、図11は、図10のXI−XI線に沿った断面図である。
図4、図10及び図11に示すように、本実施形態による水栓装置1の金属製のケーシング部材40は、下方から上方に向って、下側ケーシング部材72、上側ケーシング部材74、及び、上部円環部材76をそれぞれ備えている。
また、これらの部材72,74,76の金属材料としては、耐食性が比較的高く、耐久性や強度等も比較的高いステンレス材料(例えば、SUS304等)等が用いられている。
しかしながら、本実施形態による水栓装置1の金属製のケーシング部材40に用いられる金属材料については、耐食性が比較的高く、耐久性や強度等も比較的高い材料であれば、ステンレス材料以外の他の金属材料であってもよい。
そして、図4、図10及び図11に示すように、下側ケーシング部材72の上端と上側ケーシング部材74の下端とは、溶接加工等により互いに一体的に接続されていると共に、上側ケーシング部材74の上端と上部円環部材76の下端とは、溶接加工等により互いに一体的に接続されている。
例えば、ほぼ円筒状の金属製の下側ケーシング部材72を成形する際には、金属製の薄板材について、ロール成形等の曲げ加工を行うことにより湾曲状に成形し、最終的には、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法でほぼ円筒状に形成する。
或いは、予め外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法径の金属製の管材を用意し、この管材について、切断加工又は切削加工を行うことにより、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な軸方向の長さ寸法に調整する。
すなわち、金属製の下側ケーシング部材72を成形する際には、鋳型等を用いる鋳造加工は採用されていないため、水栓装置1の種類に応じた外殻部材8の形状毎に下側ケーシング部材72の成形用の型を用意する必要がない。
これにより、図3、図4、図10及び図11に示すように、台座部材保持用の機械的係合ピン58は、下方ピン係合穴72aに対して外側から挿入されるようになっている。そして、この機械的係合ピン58は、下方ピン係合穴72aに係合した後、その内側端部が台座部材16の側面の係合穴16eに係合するようになっている。
したがって、これらの下側ケーシング部材72の下方ピン係合穴72a、台座部材保持用の機械的係合ピン58、及び、台座部材16の係合穴16eは、下側ケーシング部材72が機械的係合により台座部材16を保持可能にする機械的係合手段として機能するようになっている。
これにより、図3、図4、図10及び図11に示すように、一次側アダプタ部材保持用の機械的係合ピン60は、上方ピン係合穴72bに対して外側から挿入されるようになっている。そして、この機械的係合ピン60は、上方ピン係合穴72bに係合した後、その内側端部が一次側アダプタ部材50の側面の係合穴50eに係合するようになっている。
したがって、これらの下側ケーシング部材72の上方ピン係合穴72b、一次側アダプタ部材保持用の機械的係合ピン60、及び、一次側アダプタ部材50の係合穴50eは、下側ケーシング部材72が機械的係合により一次側アダプタ部材50を保持可能にする機械的係合手段として機能するようになっている。
なお、本実施形態の水栓装置では、下側ケーシング部材72の側面について穴開け加工を行うことにより、下方ピン係合穴72aや上方ピン係合穴72bを下側ケーシング部材72の機械的係合部とするような形態を採用している。
しかしながら、下側ケーシング部材72の機械的係合部として、下方ピン係合穴72aや上方ピン係合穴72bの代わりに、下側ケーシング部材72について曲げ加工を行うことにより、下側ケーシング部材72の側面に機械的係合を可能にする係合面等を設けた形態を採用してもよい。
まず、図12に示すように、下側ケーシング部材72の下方ピン係合穴72a及び上方ピン係合穴72bのそれぞれが穴開け加工により形成された場合、下側ケーシング部材72の下方ピン係合穴72a(又は上方ピン係合穴72b)の内周面上の任意の各点Q1について、それぞれ下側ケーシング部材72の軸方向の中心軸線A1と平行に移動させることにより、下側ケーシング部材72の軸方向の中心軸線A1に対して垂直な任意の仮想平面S0上に投影させる。
このとき、仮想平面S0上には、各点Q1の鉛直方向に位置する各仮想点Q2が存在し、これらの各点Q2の集合をすべて結んだ状態の平面が、いわゆる、投影面S1,S2として、仮想平面S0上に形成される。
すなわち、本実施形態の水栓装置1においては、穴開け加工により形成された下側ケーシング部材72の下方ピン係合穴72a及び上方ピン係合穴72bのそれぞれが、下側ケーシング部材72の軸方向の中心軸線A1に対して垂直な任意の平面S0に投影面S1,S2をそれぞれ形成することが可能である。
また、図12に示すように、下側ケーシング部材72の下方ピン係合穴72a及び上方ピン係合穴72bのそれぞれに対して上下に位置する側壁については、例えば、穴開け加工時の切削工具(図示せず)等によるせん断力f1等が下側ケーシング部材72の軸方向の中心軸線A1に対して垂直な方向(下側ケーシング部材72の径方向A2)に作用するため、互いにA2方向にずれる傾向にある。
さらに、図13に示すように、下側ケーシング部材72の下方ピン係合穴72a及び上方ピン係合穴72bのそれぞれの上下の側壁が互いにA2方向にずれている状態では、各投影面S1,S2における下側ケーシング部材72の径方向A2の幅W1は、下側ケーシング部材72の側壁の厚みW2よりも大きくなっている(W1>W2)。
したがって、図12に示すように、下側ケーシング部材72の下方ピン係合穴72a及び上方ピン係合穴72bのそれぞれが、投影面S1,S2のそれぞれを形成することができるということは、各係合穴72a,72bに係合する各機械的係合ピン58,60が下側ケーシング部材72に対して鉛直方向(中心軸線A1方向)に移動しようとした際に、下側ケーシング部材72の各係合穴72a,72bの内周面が、各機械的係合ピン58,60との機械的係合が可能な面を形成していることは当然であるが、各機械的係合ピン58,60を介しながら、台座部材16及び一次側アダプタ部材50のそれぞれとの機械的係合が可能な面を形成していることにもなる。
まず、図13に示すように、下側ケーシング部材72の下方ピン係合穴72a及び上方ピン係合穴72bのそれぞれが曲げ加工により形成された場合、下側ケーシング部材72の側壁の一部分B1が、下側ケーシング部材72の径方向の内側方向A2に向って押圧力(曲げ力f2)で押圧されることにより折り曲げられている。
つぎに、図13に示すように、下側ケーシング部材72の下方ピン係合穴72a(又は上方ピン係合穴72b)の内周面上の任意の点Q3について、それぞれ下側ケーシング部材72の軸方向の中心軸線A1と平行に移動させることにより、下側ケーシング部材72の軸方向の中心軸線A1に対して垂直な任意の仮想平面S0上に投影させる。
このとき、仮想平面S0上には、各点Q3の鉛直方向に位置する仮想点Q4が存在し、これらの各点Q4の集合をすべて結んだ状態の平面が、いわゆる、投影面S3,S4として、仮想平面S0上に形成される。
すなわち、本実施形態の水栓装置1においては、曲げ加工により形成された下側ケーシング部材72の下方ピン係合穴72a及び上方ピン係合穴72bのそれぞれが、下側ケーシング部材72の軸方向の中心軸線A1に対して垂直な任意の平面S0に投影面S3,S4をそれぞれ形成することが可能である。
また、図13に示すように、各投影面S3,S4における下側ケーシング部材72の径方向A2の幅W3は、下側ケーシング部材72の側壁の厚みW4よりも大きくなっている(W3>W4)。
したがって、図13に示すように、下側ケーシング部材72の下方ピン係合穴72a及び上方ピン係合穴72bのそれぞれが、投影面S3,S4のそれぞれを形成することができるということは、各係合穴72a,72bに係合する各機械的係合ピン58,60が下側ケーシング部材72に対して鉛直方向(中心軸線A1方向)に移動しようとした際に、下側ケーシング部材72の各係合穴72a,72bの内周面が、各機械的係合ピン58,60との機械的係合が可能な面を形成していること当然であるが、各機械的係合ピン58,60を介しながら、台座部材16及び一次側アダプタ部材50のそれぞれとの機械的係合が可能な面を形成していることにもなる。
また、図10及び図11に示すように、上側ケーシング部材74は、その底部74aから上方にほぼ円筒状に延びるように形成されている。
さらに、上側ケーシング部材74の上縁には、外側に突出するフランジ部74bが形成されている。
例えば、このような有底のカップ状の上側ケーシング部材74を成形する際には、金属製の薄板材について絞り加工等を行うことにより、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法で有底のカップ状に成形する。
すなわち、金属製の上側ケーシング部材74を成形する際には、鋳型等を用いる鋳造加工は採用されていないため、水栓装置1の種類に応じた外殻部材8の形状毎に上側ケーシング部材74の成形用の型を用意する必要がない。
ちなみに、図8に示すように、上側ケーシング部材74の底部74aの湯側連通穴74cにより、その下方の一次側アダプタ部材50の通湯穴50aと上方の弁座部材52の通湯穴52aとが連通可能となっている。
また、図8及び図11に示すように、上側ケーシング部材74の底部74aの水側連通穴74dにより、その下方の一次側アダプタ部材50の通水穴50bと弁座部材52の通水穴52bとが連通可能となっている。
さらに、図9〜図11に示すように、上側ケーシング部材74の底部74aの取付穴74eにおいて、その上方の弁座部材52の底面から下側に突出する突起52cが挿入された後、その下方の一次側アダプタ部材50の取付穴50fに挿入されるようになっている。これにより、弁座部材52が上側ケーシング部材74の底部74aに固定されるようになっている。
また、図10及び図11に示すように、上側ケーシング部材74の側面において、各流出穴74fに対して互いに周方向に離間する側には、複数(例えば、2個)の下方突起係合穴74gのそれぞれが、穴開け加工により互いに対角線上に形成されている。
ちなみに、図2、図5及び図10に示すように、上側ケーシング部材74の側面の各下方突起係合穴74gについては、上側下方シール保持部材24の内周面に対角線上に設けられた複数(例えば、2個)の突起24aのそれぞれが嵌合されるようになっている。これにより、上側下方シール保持部材24の内周面が上側ケーシング部材74の外周面上に対して保持されるようになっている。
さらに、図10及び図11に示すように、上側ケーシング部材74の側面において、各流出穴74f及び各下方突起係合穴74gよりも上方には、複数(例えば、2個)の上方突起係合穴74hのそれぞれが、穴開け加工により互いに対角線上に形成されている。
ちなみに、図2、図5及び図11に示すように、上側ケーシング部材74の側面の各上方突起係合穴74hについては、下側上方シール保持部材26の内周面に対角線上に設けられた複数(例えば、2個)の突起26aのそれぞれが嵌合されるようになっている。これにより、下側上方シール保持部材26の内周面が、上側下方シール保持部材24よりも上方の位置で上側ケーシング部材74の外周面に対して保持されるようになっている。
これらの穴開け加工の後、図10及び図11に示すように、有底のカップ状の上側ケーシング部材74の底部74aの外縁且つ下縁部分が下側ケーシング部材72の上方開口縁部72c内に挿入された状態で、この上側ケーシング部材74の底部74aの外縁且つ下縁部分と下側ケーシング部材72の上方開口縁部72cとが互いに溶接加工される。これにより、下側ケーシング部材72の上端と上側ケーシング部材74の下端とが互いに一体的に接続されるようになっている。
例えば、ほぼ円環状の金属製の上部円環部材76を成形する際には、予め外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法径の金属製の管材を用意し、この管材について切断加工又は切削加工を行うことにより、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な軸方向の長さ寸法に調整する。
すなわち、金属製の上部円環部材76を成形する際には、鋳型等を用いる鋳造加工は採用されていないため、水栓装置1の種類に応じた外殻部材8の形状毎に上部円環部材76の成形用の型を用意する必要がない。
また、図8及び図9に示すように、上部円環部材76の雌ねじ76aにより、カートリッジ押さえ部材56の外周面に形成された雄ねじ56aが螺合可能であり、カートリッジ押さえ部材56がケーシング部材40の上端部(上部円環部材76)に対して固定されるようになっている。
このような雌ねじ加工の後、図10及び図11に示すように、上部円環部材76の下縁部分と上側ケーシング部材74のフランジ部74bの外縁部分とが互いに溶接加工され、上側ケーシング部材74の上端と上部円環部材76の下端とが互いに一体的に接続されている。
なお、本実施形態の水栓装置1では、上部円環部材76の内周面に雌ねじ76aを形成して雌側部材とし、カートリッジ押さえ部材56の外周面に雄ねじ56aを形成して雄側部材として互いに螺合させる形態を採用している。しかしながら、このような形態に限られず、上部円環部材76の外周面に雄ねじを形成して雄側部材とし、カートリッジ押さえ部材56の内周面に雌ねじを形成して雌側部材として互いに螺合させる形態を採用してもよい。
また、図9に示すように、概ね円柱状の一次側アダプタ部材50の外径D1は、弁座部材52の外径D2よりも大きく設定されている(D1>D2)。
また、図9に示すように、シングルレバーカートリッジ54の上方において、カートリッジ押さえ部材56の雄ねじ56aが上部円環部材76の雌ねじ76aに螺合されることにより、シングルレバーカートリッジ54が上側ケーシング部材74内の弁座部材52の上方において押圧された状態で保持されている。すなわち、カートリッジ押さえ部材56は、シングルレバーカートリッジ54を弁座部材52に固定する固定部材となる。
このとき、図5及び図9に示すように、シングルレバーカートリッジ54の湯水混合路54fの流出口54gは、上側ケーシング部材74の流出穴74fと連通している。
また、図5及び図9に示すように、上側ケーシング部材74の外周面とその外側の二次側アダプタ部材64の内周面との間には、二次側流路78が形成されている。シングルレバーカートリッジ54の湯水混合路54fの流出口54gから流出した湯水は、上側ケーシング部材74の流出穴74fを介して二次側流路78に流出するようになっている。
さらに、図9に示すように、二次側流路78内の湯水は、二次側アダプタ部材64内の開口部64aに流出した後、スパウト側流路形成部材68内のスパウト流路68aに流出するようになっている。
図14に示すように、二次側アダプタ部材64の下端部には、フランジ部64fが形成されており、台座部材16上に、当該フランジ部64fが載置されている。そして、当該フランジ部64f上に、外殻部材8の支柱部8aの下端部が載置されている。
これにより、外殻部材8の支柱部8aと台座部材16とが互いに直接擦れ合うことが防止されている。
図15乃至図17に示すように、外殻部材8の支柱部8aと二次側アダプタ部材64とは、機能部ユニット19に対する回転方向に、互いに直接的に係合されている。
より具体的には、外殻部材8の支柱部8aの下端部の内周面上に設けられた回転係合凹部8rと、二次側アダプタ部材64のフランジ部64fの上方の外周面上に設けられた回転係合凸部64pとが、機能部ユニット19に対する回転方向に係合している(上下方向には摺動移動可能となっている)。
これにより、外殻部材8及び二次側アダプタ部材64は、機能部ユニット19に対して、一体的に回転可能となっている。また、外殻部材8の回転係合凹部8pと二次側アダプタ部材64の回転係合凸部64pとの間で回転力が直接的に伝達されるため、回転力の伝達がスパウト側流路形成部材68を介して行われる場合と比較して、ガタツキの発生が顕著に抑制されている。
その際、予め、この水栓機能ユニット18のケーシング部材40において、台座部材保持用の機械的係合ピン58及び一次側アダプタ部材保持用の機械的係合ピン60のそれぞれを介して、台座部材16及び一次側アダプタ部材50のそれぞれを保持することができる。これにより、台座部材16と一次側アダプタ部材50とをケーシング部材40を介して軸方向に接続することができる。
また、金属製のケーシング部材40により、水栓装置1の種類に応じた形状の外殻部材8に応じて、その支柱部8a内の台座部材16と一次側アダプタ部材50との間の軸方向のスペースや距離寸法を定めることができると共に、外殻部材8の支柱部8a内に挿入されている水栓機能ユニット18等の内部構造の強度を高めることができる。
さらに、金属製のケーシング部材40については、水栓装置1の種類に応じた形状の外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能に金属製の板材又は管材によって概ね円筒状に形成することができる。
これにより、ケーシング部材40が樹脂材料で射出成形された場合や金属材料で鋳造成形された場合に比べて、水栓装置1の種類に応じた外殻部材8の形状毎にケーシング部材40の成形用の型を用意する必要がないため、比較的安価な加工方式でケーシング部材40の寸法や形状を容易に調整することができる。
また、ケーシング部材40が金属製の板材又は管材によって概ね円筒状に形成されるため、ケーシング部材40について、必要な強度を保ちながら、薄く形成することもできる。これにより、水栓装置1の内部寸法を抑制することができる。
さらに、水栓装置1の種類に応じた様々な形状の外殻部材8に対しても、ある程度共通化させたケーシング部材40を用意しておけば、このケーシング部材40の一部に切断加工等を施すだけで、比較的安価な加工方式で所望の軸方向の寸法に調整することができる。これにより、台座部材16と一次側アダプタ部材50との間のケーシング部材40の軸方向の寸法距離についても、ケーシング部材40の軸方向の寸法に応じて自由に設定することができる。また、軸方向の寸法を調整した状態のケーシング部材40を外殻部材8の支柱部8a内に挿入するだけで、簡単に組み付けることができる。
これらの結果、水栓装置1の設計の自由度を向上させることができると共に、製造コストを抑制することができる。
これにより、スパウト側流路形成部材68は、二次側アダプタ部材64を介してケーシング部材40によって支持される。従って、スパウト側流路形成部材68の支持(の少なくとも一部)を外殻部材8から解放することができ、外殻部材8に求められる強度を低減することができる。
これにより、ケーシング部材40によって二次側アダプタ部材64が効果的に支持される。また、二次側アダプタ部材64を小さく(薄く)設計することが容易で、水栓装置1の小型化が阻害されない。
また、外殻部材8の支柱部8aと二次側アダプタ部材64とを別部材としたことにより、外殻部材8の材料を外観品位を満たす材料から幅広く選択できる一方で、二次側アダプタ部材64の材料を通水に関する要求仕様を満たす材料から幅広く選択できる。これにより、設計の自由度を向上させることができると共に、製造コストを抑制することができる。
これにより、二次側アダプタ部材64によってスパウト側流路形成部材68を効果的に支持することができる。
また、スパウト側流路形成部材68を二次側アダプタ部材64に取り付ける作業が容易である(吐水口側から作業可能である)という利点も得られる。
これにより、スパウト側流路形成部材68が二次側アダプタ部材64から抜け出ることを効果的に防止することができる。
また、係止部材62が二次側アダプタ部材64に支持(例えば固定)されていることによって、係止の際の力も、二次側アダプタ部材64を介してケーシング部材40によって支持され、外殻部材8に不所望の負荷が生じることがない。
これにより、二次側アダプタ部材64と当接するリブ部68rが「つっかえ棒」のように機能して、スパウト側流路形成部材68の吐水口側が下方側へ撓む(「おじぎ」をする)事象の発生を効果的に抑制することができる。
また、図12及び図13に示すように、下側ケーシング部材72の各係合穴72a,72bは、その内周面を下側ケーシング部材72の軸方向(中心軸線A1の方向)に対して垂直な面S0に投影させることにより、投影面S1〜S4をそれぞれ形成可能であり、台座部材16や一次側アダプタ部材50が下側ケーシング部材72に対して軸方向(中心軸線A1の方向)に相対的に移動しようとした際に台座部材16や一次側アダプタ部材50との機械的係合が可能な面を形成することができる。
すなわち、図12及び図13に示すように、下側ケーシング部材72の各係合穴72a,72bを下側ケーシング部材72の軸方向(中心軸線A1の方向)に対して垂直な面S0に投影させることにより投影面S1〜S4を形成することができるということは、台座部材16や一次側アダプタ部材50が下側ケーシング部材72に対して軸方向(中心軸線A1の方向)に相対的に移動しようとした際に、下側ケーシング部材72の各係合穴72a,72bが、各機械的係合ピン58,60を介して台座部材16や一次側アダプタ部材50との機械的係合を可能にする面を形成することができることにもなる。
したがって、このような投影面S1〜S4を形成可能な下側ケーシング部材72の各係合穴72a,72bにより、下側ケーシング部材72が台座部材16や一次側アダプタ部材50を保持することができるようになる。
これらの結果、下側ケーシング部材72の下方ピン係合穴72a、台座部材保持用の機械的係合ピン58、及び、台座部材16の係合穴16eは、下側ケーシング部材72が機械的係合により台座部材16を保持可能にする機械的係合手段として機能する。
さらに、下側ケーシング部材72の上方ピン係合穴72b、一次側アダプタ部材保持用の機械的係合ピン60、及び、一次側アダプタ部材50の係合穴50eは、下側ケーシング部材72が機械的係合により一次側アダプタ部材50を保持可能にする機械的係合手段として機能する。
これらにより、金属製の板材又は管材によって概ね円筒状に形成されているケーシング部材40であっても、このケーシング部材40が、台座部材16及び一次側アダプタ部材50を確実に保持することができる。
これに対し、本実施形態の水栓装置1では、図8に示すように、湯供給管44の各被接続部44a,44b及び水供給管46の各被接続部46a,46bが、台座部材16の各接続受け部16c,16d及び一次側アダプタ部材50の各接続受け部50c,50dにおける各クリアランスd1〜d4の範囲内で水密状態を保ちながら移動することができる。これにより、熱膨張による湯供給管44の各被接続部44a,44b及び水供給管46の各被接続部46a,46bの移動を吸収することができる。
したがって、一次側アダプタ部材50において、湯供給管44及び水供給管46のそれぞれが軸方向に接続されるスペースを十分に確保することができる。
これにより、上側ケーシング部材74に保持されるシングルレバーカートリッジ54の周辺の水により上側ケーシング部材74の溶接等の継ぎ目箇所が接水されるおそれがない。
したがって、金属製の上側ケーシング部材74が腐食されるリスクを軽減することができる。
このように、二次側流路78を所望の形態(位置、大きさ等)で設計することにより、装置材料が水に浸浸することで引き起こされ得る問題(例えば銅合金からの鉛成分の溶出等)を効果的に回避することができる。
これにより、外殻部材8及び二次側アダプタ部材64は、機能部ユニット19に対して一体的に回転可能である。外殻部材8及び二次側アダプタ部材64を機能部ユニット19に対して回転することによって、吐水の方向を適宜に調整することが可能である。これにより、水栓装置1の利便性が高められている。
ここで、二次側流路78は、下方シール部材22及び上方シール部材28によって軸シールされているため、外殻部材8及び二次側アダプタ部材64を機能部ユニット19に対して回転することを何ら阻害しない。
また、外殻部材8の回転係合凹部8rと二次側アダプタ部材64の回転係合凸部64pとの間で回転力が直接的に伝達されるため、回転力の伝達がスパウト側流路形成部材68を介して行われる場合と比較して、ガタツキの発生が顕著に抑制される。なお、外殻部材8の支柱部8aの内周面上に回転係合凸部が設けられ、二次側アダプタ部材64の外周面上に回転係合凹部設けられてもよい。
これにより、外殻部材8の支柱部8aと台座部材16とが互いに直接擦れ合うことが防止されている。従って、外殻部材8の支柱部8aや台座部材16にめっき等を施しても、当該めっきの剥がれ等が生じる虞がない。
図18は、本発明の第2実施形態による水栓装置の中央側面断面図であり、図19は、図18の二次側アダプタ部材の斜視図である。
ここで、図18及び図19に示す本発明の第2実施形態による水栓装置100において、図1乃至図17に示す本発明の第1実施形態による水栓装置1と同一部分については同一の符号を付し、これらの説明については省略する。
ここで、図20及び図21に示す当該変形例によるケーシング部材140において、図8及び図9に示す本発明の第1実施形態による水栓装置1のケーシング部材40と同一部分については同一の符号を付し、これらの説明については省略する。
すなわち、図20及び図21に示すケーシング部材140おいては、上述した水栓装置1、100のケーシング部材40の下側ケーシング部材72に相当する部材が、概ね円筒状の下側ケーシング部材172及び中間ケーシング部材174の二つの金属製の部材となっている点で異なった構造となっている。
また、これらの下側ケーシング部材172及び中間ケーシング部材174の金属材料としては、耐食性が比較的高く、耐久性や強度等も比較的高いステンレス材料(例えば、SUS304等)等が用いられている。しかしながら、ケーシング部材140に用いられる金属材料については、耐食性が比較的高く、耐久性や強度等も比較的高い材料であれば、ステンレス材料15の他の金属材料であってもよい。
そして、図20及び図21に示すように、下側ケーシング部材172の上縁部172aの外周面と中間ケーシング部材174の下方開口端部174aの内周面とは、溶接加工等により互いに一体的に接続されている。
さらに、図20及び図21に示すように、中間ケーシング部材174の上方開口端部174bの内周面と有底の上側ケーシング部材74の底部74aの外周面とは、溶接加工等により互いに一体的に接続されている。
例えば、金属製の下側ケーシング部材172を成形する際には、金属製の薄板材について、ロール成形等の曲げ加工を行うことにより湾曲状に成形し、最終的には、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法で、その横断面視の形状が概ねC字形形状に形成する。
或いは、予め外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法径の金属製の管材を用意し、この管材について、切断加工又は切削加工を行うことにより、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な軸方向の長さ寸法に調整すると共に、下側ケーシング部材172の側縁部172b,172c同士の周方向に所定間隔がd101[mm]となるように、この所定間隔d101とほぼ同一寸法の溝幅の縦溝G101を成形する。
すなわち、金属製の下側ケーシング部材172を成形する際には、鋳型等を用いる鋳造加工は採用されていないため、水栓装置1、100の種類に応じた外殻部材8の形状毎に下側ケーシング部材172の成形用の型を用意する必要がない。
これにより、図20及び図21に示すように、台座部材保持用の機械的係合ピン58は、下方係合穴172dに対して外側から挿入されることにより下方係合穴172dに係合した後、その内側端部が台座部材16の側面の係合穴16eに係合するようになっている。
したがって、これらの下側ケーシング部材172の下方係合穴172d、台座部材保持用の機械的係合ピン58、及び、台座部材16の係合穴16eは、下側ケーシング部材172が機械的係合により台座部材16を保持可能にする機械的係合手段として機能するようになっている。
例えば、ほぼ円筒状の金属製の中間ケーシング部材174を成形する際には、金属製の薄板材について、ロール成形等の曲げ加工を行うことにより湾曲状に成形し、最終的には、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法でほぼ円筒状に形成する。
或いは、予め外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法径の金属製の管材を用意し、この管材について、切断加工又は切削加工を行うことにより、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な軸方向の長さ寸法に調整する。
すなわち、金属製の中間ケーシング部材174を成形する際には、鋳型等を用いる鋳造加工は採用されていないため、水栓装置1の種類に応じた外殻部材8の形状毎に中間ケーシング部材174の成形用の型を用意する必要がない。
これにより、図20及び図21に示すように、一次側アダプタ部材保持用の機械的係合ピン60は、係合穴174cに対して外側から挿入されることにより係合穴174cに係合した後、その内側端部が一次側アダプタ部材50の側面の係合穴50eに係合するようになっている。
したがって、これらの中間ケーシング部材174の係合穴174c、一次側アダプタ部材保持用の機械的係合ピン60、及び、一次側アダプタ部材50の係合穴50eは、下側ケーシング部材172が機械的係合により一次側アダプタ部材50を保持可能にする機械的係合手段として機能するようになっている。
また、比較的に安価な曲げ加工で成形される下側ケーシング部材172のみを変更することにより、水栓装置1、100の種類に応じた様々な形態のケーシング部材140を用意することができるため、より一層のコストダウンを実現することもできる。
したがって、水栓装置1、100の設計の自由度を向上させることができると共に、製造コストを抑制することができる。
また、本実施形態による水栓装置1、100においては、湯供給管44及び水供給管46のそれぞれが互いに別部材である形態について説明したが、各供給管44,46内の各流路(湯供給流路、水供給流路)が互い独立した流路であれば、湯供給管44及び水供給管46のそれぞれが互いに一体に設けられた形態であってもよい。
しかしながら、本実施形態では、金属製のケーシング部材の形状については、必ずしも全周に亘って連続的に形成された完全な円筒形状に限られず、半円筒形状であってもよいし、この半円筒よりも周方向に延びて且つ完全な円筒未満の形状や、半円筒未満の形状等であってもよい。要するに、金属製のケーシング部材の形状については、少なくとも半円筒形状に形成された形状であってもよいし、半円筒未満の板形状であってもよい。
2 操作ハンドル
4 スパウト
6 吐水口
8 外殻部材
8a 支柱部
8b スパウト部
8r 回転係合凹部
10 湯供給管(一次側流路)
12 水供給管(一次側流路)
14 固定金具
14a 把持金具
14b 締結金具
16 台座部材
16a 通湯穴
16b 通水穴
16c 湯側接続受け部
16d 水側接続受け部
16e 係合穴
18 水栓機能ユニット
20 下側下方シール保持部材
22 下方シール部材
24 上側下方シール保持部材
24a 突起
26 下側上方シール保持部材
28 上方シール部材
30 上側上方シール保持部材
32 Cリング
34 シール部材
36 固定部材
38 留め具
38a ビス
38b キャップ
40 ケーシング部材
42 軸シール部材
42a 湯側軸シール部材
42b 水側軸シール部材
44 湯供給管(一次側流路、湯供給流路)
44a 下側被接続部(被接続部)
44b 上側被接続部(被接続部)
46 水供給管(一次側流路、水供給流路)
46a 下側接続部
46b 上側接続部
48 軸シール部材
48a 湯側軸シール部材
48b 水側軸シール部材
50 一次側アダプタ部材(接続部材)
50a 通湯穴
50b 通水穴
50c 湯側接続部
50d 水側接続部
50e 係合穴
50f 取付穴
52 弁座部材(接続部材)
52a 通湯穴
52b 通水穴
52c 突起
54 シングルレバーカートリッジ
54a シングルレバーカートリッジの固定弁体
54b シングルレバーカートリッジの可動弁体(開閉弁)
54c シングルレバーカートリッジのレバー
54d シングルレバーカートリッジ内の通湯路(一次側流路)
54e シングルレバーカートリッジ内の通水路(一次側流路)
54f シングルレバーカートリッジ内の湯水混合路(二次側流路)
54g シングルレバーカートリッジの湯水混合路の流出口
56 カートリッジ押さえ部材(固定部材)
56a 雄ねじ
58 台座部材保持用の機械的係合ピン(第2機械的係合手段)
60 一次側アダプタ部材保持用の機械的係合ピン(機械的係合手段、第1機械的係合手段)
62 係止部材
62g 嵌合溝
62f 嵌合突縁部
64 二次側アダプタ部材
64a 開口部
64f フランジ部
64p 回転係合凸部
68 スパウト側流路形成部材
68a スパウト流路
68f 突出部(フランジ状)
68g 嵌合溝
68s シール部材(例えばOリング)
68r リブ部
70 吐水口形成部材
72 下側ケーシング部材
72a 下方ピン係合穴(機械的係合手段、第2係合部)
72b 上方ピン係合穴(機械的係合手段、第1係合部)
72c 上方開口縁部
74 上側ケーシング部材
74a 上側ケーシング部材の底部(上側ケーシング部材の底面)
74b 上側ケーシング部材のフランジ部
74c 上側ケーシング部材の底部の湯側連通穴
74d 上側ケーシング部材の底部の水側連通穴
74e 上側ケーシング部材の底部の取付穴
74f 上側ケーシング部材の側面の流出穴
74g 上側ケーシング部材の側面の下方突起係合穴
74h 上側ケーシング部材の側面の上方突起係合穴
76 上部円環部材
76a 雌ねじ
78 二次側流路
100 本発明の第2実施形態による水栓装置
164 二次側アダプタ部材
164a 上部二次側アダプタ部材
164b 下部二次側アダプタ部材
164e 回転係合凸部
164f 回転係合凹部
140 ケーシング部材
172 下側ケーシング部材
172a 上縁部
172b 側縁部
172c 側縁部
172d 下方係合穴
174 中間ケーシング部材
174a 下方開口端部
174b 下方開口端部
174c 係合穴
A1 回転中心軸線、下側ケーシング部材の軸方向の中心軸線
A2 下側ケーシング部材の径方向
A3 下側ケーシング部材の径方向における内側方向
B1 下側ケーシング部材の側壁の一部分
D1 一次側アダプタ部材の外径
D2 弁座部材の外径
d1 クリアランス
d2 クリアランス
d3 クリアランス
d4 クリアランス
d101 間隔
F1 設置面
f1 せん断力
f2 曲げ力
G101 縦溝
Q1 下方ピン係合穴(又は上方ピン係合穴)の内周面上の任意の点
Q2 下方ピン係合穴(又は上方ピン係合穴)の内周面上の任意の点
Q3 下方ピン係合穴(又は上方ピン係合穴)の内周面上の任意の点
Q4 下方ピン係合穴(又は上方ピン係合穴)の内周面上の任意の点
S0 下側ケーシング部材の軸方向の中心軸線に対して垂直な任意の仮想平面
S1 投影面(第2投影面)
S2 投影面(第1投影面)
W1 投影面の幅
W2 下側ケーシング部材の側壁の厚み
W3 投影面の幅
W4 下側ケーシング部材の側壁の厚み
Claims (6)
- 給湯源から供給される湯と給水源から供給される水とを混合した湯水を吐止水可能にする水栓装置であって、
概ね筒状の支柱部と、この支柱部の側面に設けられたスパウト部と、を備えた外殻部材と、
この外殻部材の支柱部内に挿入され、吐止水制御及び/または温調制御を行う機能部ユニットと、
この機能部ユニットにそれぞれ延びて湯及び水をそれぞれ供給する一次側流路を形成する湯供給流路及び水供給流路と、
上記スパウト部内において、吐水口へと延びるスパウト流路を形成するスパウト側流路形成部材と、
を有し、
上記機能部ユニットと上記支柱部との間に概ね筒状の二次側アダプタ部材が設けられており、
上記スパウト側流路形成部材は、上記二次側アダプタ部材に連通されており、
上記外殻部材及び上記二次側アダプタ部材は、上記機能部ユニットに対して、一体的に回転可能である
ことを特徴とする水栓装置。 - 上記外殻部材及び上記二次側アダプタ部材は、上記機能部ユニットに対する回転方向に、互いに直接的に係合されている
ことを特徴とする請求項1に記載の水栓装置。 - 給湯源から供給される湯と給水源から供給される水とを混合した湯水を吐止水可能にする水栓装置であって、
概ね筒状の支柱部と、この支柱部の側面に設けられたスパウト部と、を備えた外殻部材と、
この外殻部材の支柱部内に挿入され、吐止水制御及び/または温調制御を行う機能部ユニットと、
この機能部ユニットにそれぞれ延びて湯及び水をそれぞれ供給する一次側流路を形成する湯供給流路及び水供給流路と、
上記スパウト部内において、吐水口へと延びるスパウト流路を形成するスパウト側流路形成部材と、
を有し、
上記機能部ユニットと上記支柱部との間に概ね筒状の二次側アダプタ部材が設けられており、
上記スパウト側流路形成部材は、上記二次側アダプタ部材に連通されており、
当該水栓装置が設置される設置面に固定される台座部材
を更に備え、
上記機能部ユニットは、上記台座部材に固定されており、
上記二次側アダプタ部材の下端部に、フランジ部が形成されており、
上記台座部材上に、上記二次側アダプタ部材の上記フランジ部が載置されており、
上記二次側アダプタ部材の上記フランジ部上に、上記支柱部の下端部が載置されている
ことを特徴とする水栓装置。 - 上記機能部ユニットの外周面と上記二次側アダプタ部材の内周面との間に、水密にシールされた二次側流路が形成されており、
上記機能部ユニットの上記外周面には、上記二次側流路に混合後の湯水を流出させる流出穴が設けられており、
上記スパウト側流路形成部材は、上記二次側流路に連通している
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の水栓装置。 - 上記二次側アダプタ部材は、上部二次側アダプタ部材と下部二次側アダプタ部材とを有している
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の水栓装置。 - 上記機能部ユニットの外周面と上記上部二次側アダプタ部材の内周面との間に、水密にシールされた二次側流路が形成されており、
上記機能部ユニットの上記外周面には、上記二次側流路に混合後の湯水を流出させる流出穴が設けられており、
上記スパウト側流路形成部材は、上記二次側流路に連通している
ことを特徴とする請求項5に記載の水栓装置。
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