JP6812038B1 - ビスコースレーヨン用処理剤、ビスコースレーヨン用処理剤の水性液、ビスコースレーヨン、及びビスコースレーヨンの製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】調製された水性液の外観を向上でき、泡立ちを低減できるビスコースレーヨン用処理剤等の提供。【解決手段】本発明のビスコースレーヨン用処理剤は、亜鉛化合物と、界面活性剤とを含むことを特徴とする。本発明のビスコースレーヨン用処理剤の水性液は、界面活性剤を含むビスコースレーヨン用処理剤と、亜鉛化合物と、水とを含むことを特徴とする。望ましくは、界面活性剤が、アニオン界面活性剤及びノニオン界面活性剤から選ばれる少なくとも一つを含むものである。【選択図】なし

Description

本発明は、ビスコースレーヨン用処理剤、その処理剤が付着しているビスコースレーヨン、ビスコースレーヨン用処理剤の水性液、その水性液が付着しているビスコースレーヨン、及びビスコースレーヨンの製造方法に関する。

パルプ、コットンリンター等を原料とした再生繊維として、ビスコースレーヨンが知られている。ビスコースレーヨンは、生分解性に優れ、吸湿性及び吸水性に優れる観点から綿花の代替繊維として注目されている。一般に、ビスコースレーヨン繊維は、原料溶液を調製後、湿式紡糸され、紡績工程等を経て得られている。例えば紡績工程前に工程通過性を向上させるためビスコースレーヨン用処理剤が付与されることがある。

従来、特許文献１に開示されるビスコースレーヨン用処理剤が知られている。特許文献１は、ビスコースレーヨン用処理剤として、油脂、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤等を含む構成について開示する。

特許第５６３０９３２号公報

しかし、この従来のビスコースレーヨン用処理剤は、界面活性剤を含有するため水性液を調製する際又は使用する際の泡立ち、特に水性液を付着させる工程での泡立ちが生じやすいという課題を有している。その一方、界面活性剤の含有量を低下させると水性液の乳化安定性が低下するため、外観が悪化しやすいという課題を有している。

本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、調製された水性液の外観を向上でき、泡立ちを低減できるビスコースレーヨン用処理剤を提供することにある。また、外観を向上でき、泡立ちを低減できるビスコースレーヨン用処理剤の水性液を提供することにある。また、このビスコースレーヨン用処理剤又はビスコースレーヨン用処理剤の水性液が付着したビスコースレーヨンを提供することにある。また、このビスコースレーヨン用処理剤又はビスコースレーヨン用処理剤の水性液を用いたビスコースレーヨンの製造方法を提供することにある。

本発明者らは、前記の課題を解決するべく研究した結果、界面活性剤を含むビスコースレーヨン用処理剤において亜鉛化合物を含有して成る処理剤がまさしく好適であることを見出した。

上記課題を解決するためのビスコースレーヨン用処理剤（紡糸浴に添加されるもの又はモノアゾ色素が結合しているＺｎ−スルホン化フタロシアニン化合物を含有するシェーディング組成物を除く）は、亜鉛化合物と、界面活性剤とを含むことを特徴とする。
上記課題を解決するためのビスコースレーヨン用処理剤（モノアゾ色素が結合しているＺｎ−スルホン化フタロシアニン化合物を含有するシェーディング組成物を除く）は、亜鉛化合物と、界面活性剤と、７０℃で液状を呈する、炭化水素系化合物、油脂、及びエステルから選ばれる少なくとも一つの油とを含むことを特徴とする。
上記ビスコースレーヨン用処理剤は、前記界面活性剤が、アニオン界面活性剤及びノニオン界面活性剤から選ばれる少なくとも一つを含むものが好ましい。
上記課題を解決するためのビスコースレーヨン用処理剤（モノアゾ色素が結合しているＺｎ−スルホン化フタロシアニン化合物を含有するシェーディング組成物を除く）は、亜鉛化合物と、界面活性剤として少なくともアニオン界面活性剤を含むことを特徴とする。
上記ビスコースレーヨン用処理剤は、更に、ノニオン界面活性剤を含むものが好ましい。

上記ビスコースレーヨン用処理剤は、前記界面活性剤が、前記アニオン界面活性剤を含み、前記アニオン界面活性剤が、油脂の硫酸エステル、油脂の硫酸エステルのアミン塩、及び油脂の硫酸エステルのアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも一つの硫酸化油を含有することが好ましい。

上記ビスコースレーヨン用処理剤は、前記界面活性剤が、前記アニオン界面活性剤を含み、前記アニオン界面活性剤が、炭素数８〜２４の脂肪酸の硫酸エステルのアルカリ金属塩、炭素数８〜２４の脂肪族アルコールの硫酸エステルのアルカリ金属塩、炭素数８〜２４の脂肪族アルコールに炭素数２〜４のアルキレンオキサイドを合計で１〜２０モル付加したものの硫酸エステルのアルカリ金属塩、炭素数８〜２４の脂肪族アルキルリン酸エステルのアルカリ金属塩、及び炭素数８〜２４の脂肪族アルキルスルホン酸のアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましい。

上記ビスコースレーヨン用処理剤は、前記亜鉛化合物及び前記界面活性剤の含有割合の合計を１００質量％とすると、前記亜鉛化合物の含有割合が、０．００１〜５質量％であることが好ましい。

上記ビスコースレーヨン用処理剤は、更に、７０℃で液状を呈する、炭化水素系化合物、油脂、及びエステルから選ばれる少なくとも一つの油を含有することが好ましい。
上記ビスコースレーヨン用処理剤は、前記亜鉛化合物、前記界面活性剤、及び前記油の含有割合の合計を１００質量％とすると、前記亜鉛化合物の含有割合が、０．００１〜１質量％であることが好ましい。

上記ビスコースレーヨン用処理剤は、紡績用原綿に用いるものであることが好ましい。
上記課題を解決するためのビスコースレーヨンは、前記ビスコースレーヨン用処理剤が付着していることを特徴とする。

上記課題を解決するためのビスコースレーヨン用処理剤の水性液（紡糸浴又はモノアゾ色素が結合しているＺｎ−スルホン化フタロシアニン化合物を含有するシェーディング組成物を除く）は、界面活性剤を含むビスコースレーヨン用処理剤と、亜鉛化合物と、水とを含むことを特徴とする。
上記課題を解決するためのビスコースレーヨン用処理剤の水性液（モノアゾ色素が結合しているＺｎ−スルホン化フタロシアニン化合物を含有するシェーディング組成物を除く）は、界面活性剤と、７０℃で液状を呈する、炭化水素系化合物、油脂、及びエステルから選ばれる少なくとも一つの油とを含むビスコースレーヨン用処理剤と、亜鉛化合物と、水とを含むことを特徴とする。
上記ビスコースレーヨン用処理剤の水性液は、前記界面活性剤が、アニオン界面活性剤及びノニオン界面活性剤から選ばれる少なくとも一つを含むものが好ましい。
上記課題を解決するためのビスコースレーヨン用処理剤の水性液（モノアゾ色素が結合しているＺｎ−スルホン化フタロシアニン化合物を含有するシェーディング組成物を除く）は、界面活性剤として少なくともアニオン界面活性剤を含むビスコースレーヨン用処理剤と、亜鉛化合物と、水とを含むことを特徴とする。
上記ビスコースレーヨン用処理剤の水性液は、更に、ノニオン界面活性剤を含むものが好ましい。

上記ビスコースレーヨン用処理剤の水性液は、前記界面活性剤が、前記アニオン界面活性剤を含み、前記アニオン界面活性剤が、油脂の硫酸エステル、油脂の硫酸エステルのアミン塩、及び油脂の硫酸エステルのアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも一つの硫酸化油を含有することが好ましい。

上記ビスコースレーヨン用処理剤の水性液は、前記界面活性剤が、前記アニオン界面活性剤を含み、前記アニオン界面活性剤が、炭素数８〜２４の脂肪酸の硫酸エステルのアルカリ金属塩、炭素数８〜２４の脂肪族アルコールの硫酸エステルのアルカリ金属塩、炭素数８〜２４の脂肪族アルコールに炭素数２〜４のアルキレンオキサイドを合計で１〜２０モル付加したものの硫酸エステルのアルカリ金属塩、炭素数８〜２４の脂肪族アルキルリン酸エステルのアルカリ金属塩、及び炭素数８〜２４の脂肪族アルキルスルホン酸のアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましい。

上記ビスコースレーヨン用処理剤の水性液は、前記亜鉛化合物、前記界面活性剤、及び水の含有割合の合計を１００質量％とすると、前記亜鉛化合物の含有割合が、０．００００１〜０．４質量％であることが好ましい。

上記ビスコースレーヨン用処理剤の水性液は、更に、７０℃で液状を呈する、炭化水素系化合物、油脂、及びエステルから選ばれる少なくとも一つの油を含有することが好ましい。

上記ビスコースレーヨン用処理剤の水性液は、前記亜鉛化合物、前記界面活性剤、前記油、及び水の含有割合の合計を１００質量％とすると、前記亜鉛化合物の含有割合が、０．００００１〜０．３質量％であることが好ましい。

上記ビスコースレーヨン用処理剤の水性液は、紡績用原綿に用いるものであることが好ましい。
上記課題を解決するためのビスコースレーヨンは、前記ビスコースレーヨン用処理剤の水性液が付着していることを特徴とする。

上記課題を解決するためのビスコースレーヨンの製造方法は、界面活性剤及び亜鉛化合物を含有する水性液（紡糸浴又はモノアゾ色素が結合しているＺｎ−スルホン化フタロシアニン化合物を含有するシェーディング組成物を除く）をビスコースレーヨンに付着させる工程を経ることを特徴とする。
上記課題を解決するためのビスコースレーヨンの製造方法は、亜鉛化合物と、界面活性剤と、７０℃で液状を呈する、炭化水素系化合物、油脂、及びエステルから選ばれる少なくとも一つの油とを含有する水性液（モノアゾ色素が結合しているＺｎ−スルホン化フタロシアニン化合物を含有するシェーディング組成物を除く）をビスコースレーヨンに付着させる工程を経ることを特徴とする。
上記課題を解決するためのビスコースレーヨンの製造方法は、亜鉛化合物及び界面活性剤として少なくともアニオン界面活性剤を含有する水性液（モノアゾ色素が結合しているＺｎ−スルホン化フタロシアニン化合物を含有するシェーディング組成物を除く）をビスコースレーヨンに付着させる工程を経ることを特徴とする。
上記ビスコースレーヨンの製造方法は、前記水性液が、更に７０℃で液状を呈する、炭化水素系化合物、油脂、及びエステルから選ばれる少なくとも一つの油を含むものが好ましい。

上記ビスコースレーヨンの製造方法は、前記水性液中の亜鉛化合物の含有割合が、０．００００１〜０．３質量％であることが好ましい。
上記ビスコースレーヨンの製造方法は、ビスコースレーヨンに対し、前記亜鉛化合物、前記界面活性剤、及び前記油の合計が０．０１〜１．０質量％となるように付着させることが好ましい。

本発明によると、調製された水性液の外観を向上でき、泡立ち、特に水性液を付着させる工程での泡立ちを低減できる。

（第１実施形態）
本発明に係るビスコースレーヨン用処理剤（以下、処理剤ともいう）を具体化した第１実施形態について説明する。処理剤は、亜鉛化合物と、界面活性剤とを含む。本発明において処理剤は、モノアゾ色素が結合しているＺｎ−スルホン化フタロシアニン化合物を含有するシェーディング組成物は除かれる。

亜鉛化合物は、界面活性剤を含む処理剤の泡立ちを低減させる。亜鉛化合物としては、例えば無機酸の塩、有機酸の塩、塩化亜鉛、酸化亜鉛、硫化亜鉛、パラフェノールスルホン酸亜鉛等が挙げられる。無機酸の塩の具体例としては、例えば硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、硝酸亜鉛、炭酸亜鉛、クロム酸亜鉛、スズ酸亜鉛、リン酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛等が挙げられる。有機酸の塩の具体例としては、例えばラウリン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。これらの亜鉛化合物は、１種を単独で使用してもよく、２種以上を組み合わせて使用してもよい。

処理剤中において、亜鉛化合物及び界面活性剤の含有割合の合計を１００質量％とすると、亜鉛化合物の含有割合の下限は、特に限定されないが、好ましくは０．００１質量％以上、より好ましくは０．０１質量％以上である。かかる亜鉛化合物の含有割合が０．００１質量％以上の場合、調製された水性液の泡立ちをより低減できる。かかる亜鉛化合物の含有割合の上限は、特に限定されないが、好ましくは５質量％以下、より好ましく３質量％以下である。かかる亜鉛化合物の含有割合が５質量％以下の場合、後述する界面活性剤による紡績特性付与への影響を抑制できる。

界面活性剤は、処理剤から得られるエマルションの安定性を向上させ、水性液の外観を向上させる。平滑成分又は集束成分としてレーヨン繊維に優れた紡績特性を付与できる。界面活性剤としては、例えばアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は、１種を単独で使用してもよく、２種以上を組み合わせて使用してもよい。

アニオン界面活性剤の具体例としては、例えば（１）ひまし油脂肪酸硫酸エステルのアルカリ金属塩、ごま油脂肪酸硫酸エステルのアルカリ金属塩、トール油脂肪酸硫酸エステルのアルカリ金属塩、大豆油脂肪酸硫酸エステルのアルカリ金属塩、なたね油脂肪酸硫酸エステルのアルカリ金属塩、パーム油脂肪酸硫酸エステルのアルカリ金属塩、豚脂脂肪酸硫酸エステルのアルカリ金属塩、牛脂脂肪酸硫酸エステルのアルカリ金属塩、鯨油脂肪酸硫酸エステルのアルカリ金属塩等の、炭素数８〜２４の脂肪酸の硫酸エステルのアルカリ金属塩、（２）ラウリル硫酸エステルのアルカリ金属塩、セチル硫酸エステルのアルカリ金属塩、オレイル硫酸エステルのアルカリ金属塩、ステアリル硫酸エステルのアルカリ金属塩等の、炭素数８〜２４の脂肪族アルコールの硫酸エステルのアルカリ金属塩、（３）ポリオキシエチレン（オキシエチレン単位の数３、以下ｎ＝３とする）ラウリルエーテルの硫酸エステルのアルカリ金属塩、ポリオキシエチレン（ｎ＝５）ラウリルエーテルの硫酸エステルのアルカリ金属塩、ポリオキシエチレン（ｎ＝３）ポリオキシプロピレン（オキシプロピレン単位の数３、以下ｍ＝３とする）ラウリルエーテルの硫酸エステルのアルカリ金属塩、ポリオキシエチレン（ｎ＝３）オレイルエーテルの硫酸エステルのアルカリ金属塩、ポリオキシエチレン（ｎ＝５）オレイルエーテルの硫酸エステルのアルカリ金属塩等の、炭素数８〜２４の脂肪族アルコールに炭素数２〜４のアルキレンオキサイドを合計で１〜２０モル（平均付加モル数を示す）付加したものの硫酸エステルのアルカリ金属塩、（４）ラウリルリン酸エステルのアルカリ金属塩、セチルリン酸エステルのアルカリ金属塩、オレイルリン酸エステルのアルカリ金属塩、ステアリルリン酸エステルのアルカリ金属塩等の、炭素数８〜２４の脂肪族アルキルリン酸エステルのアルカリ金属塩、（５）ラウリルスルホン酸エステルのアルカリ金属塩、セチルスルホン酸エステルのアルカリ金属塩、オレイルスルホン酸エステルのアルカリ金属塩、ステアリルスルホン酸エステルのアルカリ金属塩、テトラデカンスルホン酸エステルのアルカリ金属塩等の、炭素数８〜２４の脂肪族アルキルスルホン酸のアルカリ金属塩、（６）ポリオキシエチレン（ｎ＝５）ラウリルエーテルリン酸エステルのアルカリ金属塩、ポリオキシエチレン（ｎ＝５）オレイルエーテルリン酸エステルのアルカリ金属塩、ポリオキシエチレン（ｎ＝１０）ステアリルエーテルリン酸エステルのアルカリ金属塩等の脂肪族アルコールに炭素数２〜４のアルキレンオキサイドを合計で１〜２０モル（平均付加モル数を示す）付加したもののリン酸エステルのアルカリ金属塩、（７）ひまし油の硫酸エステル、ごま油の硫酸エステル、トール油の硫酸エステル、大豆油の硫酸エステル、菜種油の硫酸エステル、パーム油の硫酸エステル、豚脂の硫酸エステル、牛脂の硫酸エステル、鯨油の硫酸エステル等の、油脂の硫酸エステル、そのアミン塩、又はそのアルカリ金属塩等の、硫酸化油、（８）ラウリン酸のアルカリ金属塩、オレイン酸のアルカリ金属塩、ステアリン酸のアルカリ金属塩等の、脂肪酸のアルカリ金属塩、（９）ジオクチルスルホコハク酸のアルカリ金属塩等の、脂肪族アルコールのスルホコハク酸エステルのアルカリ金属塩等が挙げられる。

上述したアニオン界面活性剤を構成するアルカリ金属塩の具体例としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。上述したアニオン界面活性剤を構成するアミン塩の具体例としては、例えば、（１）メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、Ｎ−Ｎ−ジイソプロピルエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、２−メチルブチルアミン、トリブチルアミン、オクチルアミン、ジメチルラウリルアミン等の脂肪族アミン、（２）アニリン、Ｎ−メチルベンジルアミン、ピリジン、モルホリン、ピペラジン、これらの誘導体等の芳香族アミン類又は複素環アミン、（３）モノエタノールアミン、Ｎ−メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジブチルエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、オクチルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン等のアルカノールアミン、（４）Ｎ−メチルベンジルアミン等のアリールアミン、（５）ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステリルアミノエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル、（６）アンモニア等が挙げられる。

これらのアニオン界面活性剤の中で、処理剤から得られるエマルションの安定性を向上させ、水性液の外観をより向上させる観点から、（１）〜（５）のアニオン界面活性剤、（７）の硫酸化油が好ましく、平滑成分としてレーヨン繊維に優れた紡績特性を付与する観点から（７）の硫酸化油がより好ましい。さらに本発明の効果を向上させる観点から、（１）〜（５）のアニオン界面活性剤から選ばれる少なくとも一種と、（７）の硫酸化油を併用することが好ましい。

カチオン界面活性剤の具体例としては、例えばラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。

ノニオン界面活性剤の種類は、例えばアルコール類又はカルボン酸類にアルキレンオキサイドを付加させ化合物、カルボン酸類と多価アルコールとのエステル化合物、カルボン酸類と多価アルコールとのエステル化合物にアルキレンオキサイドを付加させたエーテル・エステル化合物等が挙げられる。

ノニオン界面活性剤の原料として用いられるアルコール類の具体例としては、例えば（１）メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、エイコサノール、ヘンエイコサノール、ドコサノール、トリコサノール、テトラコサノール、ペンタコサノール、ヘキサコサノール、ヘプタコサノール、オクタコサノール、ノナコサノール、トリアコンタノール等の直鎖アルキルアルコール、（２）イソプロパノール、イソブタノール、イソヘキサノール、２−エチルヘキサノール、イソノナノール、イソデカノール、イソドデカノール、イソトリデカノール、イソテトラデカノール、イソトリアコンタノール、イソヘキサデカノール、イソヘプタデカノール、イソオクタデカノール、イソノナデカノール、イソエイコサノール、イソヘンエイコサノール、イソドコサノール、イソトリコサノール、イソテトラコサノール、イソペンタコサノール、イソヘキサコサノール、イソヘプタコサノール、イソオクタコサノール、イソノナコサノール、イソペンタデカノール等の分岐アルキルアルコール、（３）テトラデセノール、ヘキサデセノール、ヘプタデセノール、オクタデセノール、ノナデセノール等の直鎖アルケニルアルコール、（４）イソヘキサデセノール、イソオクタデセノール等の分岐アルケニルアルコール、（５）シクロペンタノール、シクロヘキサノール等の環状アルキルアルコール、（６）フェノール、ベンジルアルコール、モノスチレン化フェノール、ジスチレン化フェノール、トリスチレン化フェノール等の芳香族系アルコール等が挙げられる。

ノニオン界面活性剤の原料として用いられるカルボン酸類の具体例としては、例えば（１）オクチル酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、ヘンエイコサン酸、ドコサン酸等の直鎖アルキルカルボン酸、（２）２−エチルヘキサン酸、イソドデカン酸、イソトリデカン酸、イソテトラデカン酸、イソヘキサデカン酸、イソオクタデカン酸等の分岐アルキルカルボン酸、（３）オクタデセン酸、オクタデカジエン酸、オクタデカトリエン酸等の直鎖アルケニルカルボン酸、（４）安息香酸等の芳香族系カルボン酸等が挙げられる。

ノニオン界面活性剤の原料として用いられるアルキレンオキサイドの具体例としては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が挙げられる。アルキレンオキサイドの付加モル数は、適宜設定されるが、好ましくは０．１〜６０モル、より好ましくは１〜４０モル、さらに好ましくは２〜３０モルである。なお、アルキレンオキサイドの付加モル数は、仕込み原料中におけるアルコール類又はカルボン酸類１モルに対するアルキレンオキサイドのモル数を示す。

ノニオン界面活性剤の原料として用いられる多価アルコールの具体例としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、１，３−プロパンジオール、１，２−ブタンジオール、１，３−ブタンジオール、１，４−ブタンジオール、１，４−ブタンジオール、２−メチル−１，２−プロパンジオール、１，５−ペンタンジオール、１，６−ヘキサンジオール、２，５−ヘキサンジオール、２−メチル−２，４−ペンタンジオール、２，３−ジメチル−２，３−ブタンジオール、グリセリン、２−メチル−２−ヒドロキシメチル−１，３−プロパンジオール、２−エチル−２−ヒドロキシメチル−１，３−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ソルビタン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。

処理剤は、さらに７０℃で液状を呈する、炭化水素系化合物、油脂、及びエステルから選ばれる少なくとも一つの油を含有することが好ましい。この油を配合することにより、例えばレーヨン繊維に紡績特性を付与できる。また、この油及び界面活性剤を含む処理剤から調製された水性液の泡立ちを低減させる。これらの油は、１種を単独で使用してもよく、２種以上を組み合わせて使用してもよい。

油の７０℃における状態は、ＪＩＳ Ｋ ００６４により測定できる。
炭化水素系化合物の具体例としては、例えば鉱物油、パラフィンワックス等が挙げられる。

油脂の具体例としては、例えばひまし油、ごま油、トール油、パーム油、パーム核油、やし油、菜種油、豚脂、牛脂、鯨油、これらの硬化油等が挙げられる。
エステルの具体例としては、例えばブチルステアレート、ステアリルステアレート、グリセリンモノオレート、グリセリントリオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタントリラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート等が挙げられる。

処理剤中において、亜鉛化合物、界面活性剤、及び前記油の含有割合の合計を１００質量％とすると、亜鉛化合物の含有割合の下限は、特に限定されないが、好ましくは０．００１質量％以上、より好ましくは０．０１質量％以上である。かかる亜鉛化合物の含有割合が０．００１質量％以上の場合、調製された水性液の泡立ちをより低減できる。かかる亜鉛化合物の含有割合の上限は、特に限定されないが、好ましくは１質量％以下である。かかる亜鉛化合物の含有割合が１質量％以下の場合、調製された水性液の外観をより向上できる。

処理剤中において、上述した各成分の含有量は、本発明の効果及び紡績特性付与等の観点から適宜設定される。例えば硫酸化油を１〜３０質量％、アニオン界面活性剤を１〜５０質量％、油を１５〜７５質量％、ノニオン界面活性剤を３０〜８０質量％の範囲で使用される。

なお、処理剤には、使用する界面活性剤、油の成分により、遷移金属イオンが含まれることがある。例えば、エステルを合成する際に触媒としてＴｉ、Ｍｏ、Ｍｎ、Ｓｎ等の遷移金属が用いられるため、残留遷移金属イオンが処理剤中に含まれることがある。遷移金属イオンもＣａイオン等と同様に泡立ち低減効果が得られる。処理剤中における遷移金属イオン濃度は、水性液での泡立ち低減効果の発揮の観点から、１０ｐｐｍ〜３００００ｐｐｍが好ましく、１０ｐｐｍ〜１００００ｐｐｍがより好ましい。

（第２実施形態）
次に、本発明に係るビスコースレーヨンを具体化した第２実施形態について説明する。本実施形態のビスコースレーヨンは、第１実施形態の処理剤が付着しているビスコースレーヨンである。付着方法としては、公知の方法、例えば浸漬法、スプレー法、ローラー法、シャワー法、滴下・流下法等を適用できる。また、付着させる工程としては、特に限定されないが、例えば精錬工程の後工程、紡績工程等が挙げられる。特に精錬工程の後工程、つまり紡績工程の前において紡績用原綿に用いるものであることが好ましい。

第１実施形態の処理剤をビスコースレーヨン繊維に付着させる際の形態としては、例えば水性液等が挙げられる。なお、本発明の効果を阻害しない範囲内において少量の有機溶媒が含まれることを妨げるものではない。ビスコースレーヨン繊維の処理方法は、第１実施形態の処理剤を水で希釈して、例えば濃度０．５〜３０質量％の水性液となし、該水性液をビスコースレーヨン繊維に対し、溶媒を含まない第１実施形態の処理剤として０．０１〜１質量％の割合となるよう付着させることが好ましい。かかる割合で付与することにより、特にレーヨン繊維に優れた紡績特性を付与できる。

（第３実施形態）
本発明に係るビスコースレーヨン用処理剤の水性液（以下、水性液ともいう）を具体化した第３実施形態について説明する。水性液は、界面活性剤を含むビスコースレーヨン用処理剤と、亜鉛化合物と、水とを含む。本発明において水性液は、モノアゾ色素が結合しているＺｎ−スルホン化フタロシアニン化合物を含有するシェーディング組成物は除かれる。

界面活性剤は、処理剤を含む水性液の乳化安定性を向上させ、外観を向上させる。界面活性剤の具体例は、第１実施形態において記載の具体例を採用できる。
亜鉛化合物は、界面活性剤を含む水性液の泡立ちを低減させる。水性液は、処理剤と亜鉛化合物とを混合した後、水を混合して調製しても、処理剤と水とを混合した後、亜鉛化合物を配合して調製してもよい。亜鉛化合物の具体例は、第１実施形態において記載の具体例を採用できる。

水性液中において、亜鉛化合物、界面活性剤、及び水の含有割合の合計を１００質量％とすると、亜鉛化合物の含有割合の下限は、特に限定されないが、好ましくは０．００００１質量％以上、より好ましくは０．０００１質量％以上である。かかる亜鉛化合物の含有割合が０．００００１質量％以上の場合、水性液の泡立ちをより低減できる。かかる亜鉛化合物の含有割合の上限は、特に限定されないが、好ましくは０．４質量％以下、より好ましく０．３５質量％以下である。かかる亜鉛化合物の含有割合が０．４質量％以下の場合、水性液の外観をより向上できる。

水性液は、さらに７０℃で液状を呈する、炭化水素系化合物、油脂、及びエステルから選ばれる少なくとも一つの油を含有することが好ましい。この油を配合することにより、例えばレーヨン繊維に紡績特性を付与できる。この油の具体例は、第１実施形態において記載の具体例を採用できる。

処理剤中において、亜鉛化合物、界面活性剤、前記油、及び水の含有割合の合計を１００質量％とすると、亜鉛化合物の含有割合の下限は、特に限定されないが、好ましくは０．００００１質量％以上、より好ましくは０．０００１質量％以上である。かかる亜鉛化合物の含有割合が０．００００１質量％以上の場合、水性液の泡立ちをより低減できる。かかる亜鉛化合物の含有割合の上限は、特に限定されないが、好ましくは０．３質量％以下である。かかる亜鉛化合物の含有割合が０．３質量％以下の場合、水性液の外観をより向上できる。

水性液中において、上述した各成分の含有量は、本発明の効果及び紡績特性付与等の観点から適宜設定される。例えば硫酸化油を０．００１〜６質量％、アニオン界面活性剤を０．００１〜１０質量％、油を０．０２〜１８質量％、ノニオン界面活性剤を０．０３〜２１質量％、水を７０〜９９．９質量％の範囲で使用される。

水性液中における溶媒以外の固形分濃度は、レーヨンへの付着方法等に応じて適宜設定されるが、例えば濃度０．５〜３０質量％である。
（第４実施形態）
次に、本発明に係るビスコースレーヨンを具体化した第４実施形態について説明する。本実施形態のビスコースレーヨンは、第３実施形態の水性液が付着しているビスコースレーヨンである。付着方法としては、公知の方法、例えば浸漬法、スプレー法、ローラー法、シャワー法、滴下・流下法等を適用できる。また、付着させる工程としては、特に限定されないが、例えば精錬工程の後工程、紡績工程等が挙げられる。特に精錬工程の後工程、つまり紡績工程の前において紡績用原綿に用いるものであることが好ましい。水性液は、ビスコースレーヨン繊維に対し、溶媒を含まない固形分（亜鉛化合物、界面活性剤、及び前記油の合計）として０．０１〜１質量％の割合となるよう付着させることが好ましい。かかる割合で付与することにより、特にレーヨン繊維に優れた紡績特性を付与できる。

本実施形態の処理剤、水性液、及びビスコースレーヨンの作用及び効果について説明する。
（１）本実施形態の処理剤又は水性液は、亜鉛化合物を含有する。したがって、処理剤から水性液を調製する際及び水性液を使用する際の泡立ち、特に水性液を付着させる工程での泡立ちを低減できる。また、界面活性剤は、処理剤から得られるエマルションの安定性を向上させ、水性液の外観を向上させる。

（２）本実施形態の処理剤又は水性液は、特に浸漬法、スプレー法、シャワー法、滴下・流下法等の泡立ちやすい使用方法で繊維に付与される方法を用いた場合であっても、泡立ちを低減できる。

（３）本実施形態の処理剤又は水性液は、エマルションの安定性を向上させ、泡立ちを低減できる。したがって、特に精錬工程の後工程、つまり紡績工程の前において紡績用原綿に用いられる場合、処理剤又は水性液をビスコースレーヨンに対して均質に付与することができ、紡績特性をより向上させる。

上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記実施形態、及び、以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
・上記実施形態の処理剤又は水性液には、本発明の効果を阻害しない範囲内において、処理剤又は水性液の品質保持のための安定化剤や制電剤として、上記以外の界面活性剤、帯電防止剤、つなぎ剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ｐＨ調整剤等の通常処理剤又は水性液に用いられる成分をさらに配合してもよい。

・上記実施形態の水性液の調製時に用いられる水の種類としては、特に限定されず、不純物をほとんど含まない蒸留水、Ｃａイオン、Ｍｇイオン等を含有する硬水又は軟水であってもよい。Ｃａイオン、Ｍｇイオンによる泡立ち低減効果が得られる観点から軟水又は硬水が好ましく適用される。水性液中におけるＣａイオン等の金属イオン濃度は、泡立ち低減効果の発揮の観点から、０．１ｐｐｍ〜１００００ｐｐｍが好ましく、０．１ｐｐｍ〜１００ｐｐｍがより好ましい。

また、処理剤には、使用する界面活性剤、油の成分により、遷移金属イオンが含まれることがある。例えば、エステルを合成する際に触媒としてＴｉ、Ｍｏ、Ｍｎ、Ｓｎ等の遷移金属が用いられるため、残留遷移金属イオンが処理剤中に含まれることがある。遷移金属イオンもＣａイオン等と同様に泡立ち低減効果が得られる。水性液中における遷移金属イオン濃度は、泡立ち低減効果の発揮の観点から、０．１ｐｐｍ〜１００００ｐｐｍが好ましく、０．１ｐｐｍ〜１０００ｐｐｍがより好ましい。

以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は質量部を、また％は質量％を意味する。

試験区分１（ビスコースレーヨン用処理剤の調製）
（実施例１）
処理剤の原料として、以下の材料を用いた。なお、各成分の数値は、処理剤中の含有量を示す。

亜鉛化合物：酢酸亜鉛（Ａ−１）０．１％
アニオン界面活性剤：トール油脂肪酸の硫酸エステルのナトリウム塩（Ｂ−１）３％
アニオン界面活性剤：ポリオキシエチレン（ｎ＝３）オレイルエーテルの硫酸エステルのナトリウム塩（Ｂ−２）３％
アニオン界面活性剤（硫酸化油）：牛脂硫酸エステルのナトリウム塩（Ｃ−２）９％
ノニオン界面活性剤：ポリオキシエチレン（ｎ＝５）ステアレート（Ｄ−１）９％
ノニオン界面活性剤：ポリオキシエチレン（ｎ＝１０）オレート（Ｄ−２）３９．９％
油：２０℃の粘度が１０ｍｍ^２／ｓの鉱物油（Ｅ−１）１５％
油：牛脂（Ｅ−２）２１％
（実施例２〜２０及び比較例１，２）
表１に示す材料及び配合比率を採用したこと以外は、実施例１と同様の手順で処理剤を調製した。各例で使用した各成分の種類、処理剤中における各成分の含有比率（％）を表１の“亜鉛化合物”欄、“アニオン界面活性剤”欄、“ノニオン界面活性剤”欄、及び“油”欄に示す。

表１において、
Ａ−１：酢酸亜鉛
Ａ−２：硫酸亜鉛
Ａ−３：硝酸亜鉛
Ｂ−１：トール油脂肪酸の硫酸エステルのナトリウム塩
Ｂ−２：ポリオキシエチレン（ｎ＝３）オレイルエーテルの硫酸エステルのナトリウム塩
Ｂ−３：ラウリルスルホン酸のナトリウム塩
Ｂ−４：ラウリルリン酸エステルのカリウム塩
Ｂ−５：ラウリル硫酸エステルのナトリウム塩
Ｂ−６：ポリオキシエチレン（ｎ＝３）ラウリルエーテルの硫酸エステルのナトリウム塩
Ｃ−１：豚脂硫酸エステルのナトリウム塩
Ｃ−２：牛脂硫酸エステルのナトリウム塩
Ｃ−３：ひまし油硫酸エステルのナトリウム塩
Ｃ−４：ごま油硫酸エステルのナトリウム塩
Ｃ−５：トール油硫酸エステルのナトリウム塩
Ｃ−６：ひまし油硫酸エステルのトリエタノールアミン塩
Ｄ−１：ポリオキシエチレン（ｎ＝５）ステアレート
Ｄ−２：ポリオキシエチレン（ｎ＝１０）オレート
Ｄ−３：ポリオキシエチレン（ｎ＝１０）ステアレート
Ｄ−４：ポリオキシエチレン（ｎ＝３）オレート
Ｄ−５：ポリオキシエチレン（ｎ＝１３）オレート
Ｄ−６：ポリオキシエチレン（ｎ＝１０）ラウレート
Ｄ−７：ポリオキシエチレン（ｎ＝８）ラウレート
Ｄ−８：ポリオキシエチレン（ｎ＝２０）ソルビタンモノオレート
Ｅ−１：２０℃の粘度が１０ｍｍ^２／ｓの鉱物油
Ｅ−２：牛脂
Ｅ−３：２０℃の粘度が３１ｍｍ^２／ｓの鉱物油
Ｅ−４：ソルビタンモノオレート
Ｅ−５：パラフィンワックス（融点５６℃）
Ｆ−１：水
＊１：亜鉛化合物及び界面活性剤の含有割合の合計を１００質量％とした場合の亜鉛化合物の含有割合
を示す。

試験区分２（処理剤の評価）
（評価試験）
実施例１〜２０及び比較例１，２の処理剤を用いて、水性液外観及び水性液泡試験を行った。各試験の手順について以下に示す。また、試験結果を表１の“水性液外観”欄及び“水性液泡試験”欄に示す。

（水性液外観）
上記配合比率となるように調製した各例の処理剤１０部に水９９０部を加え、５０℃で撹拌し、処理剤を１％含有する水性液を調製した。下記の基準に基づいて水性液の外観を目視で確認し、評価した。

・水性液外観の評価基準
◎（優）：スカムの析出が見られない場合
○（良）：スカムは若干析出しているが、表面に浮かんでいる程度で実用的に問題となるレベルではない場合
×（不良）：スカムが多く析出しており外観不良である場合
（水性液泡試験）
蒸留水を用いて、試験区分１で得られた処理剤の１％水性液を調製した後、５０℃に保温した。次に、この水性液２５ｇを１００ｍＬ共栓付きメスシリンダーにいれて３０秒間で３０回強振し、３０秒間静置した後、再度３０秒間で３０回強振した。５分間静置したのち、水面から泡の上面までの高さを測定した。

・水性液泡試験の評価基準
◎（優）：水面から泡の上面までの高さが５ｃｍ未満の場合
○（良）：水面から泡の上面までの高さが５ｃｍ以上且つ１０ｃｍ未満の場合
×（不良）：水面から泡の上面までの高さが１０ｃｍ以上の場合
表１の結果から明らかなように、本発明によれば、水性液の外観を悪化させることなく、水性液の泡立ちを抑制できる効果がある。

試験区分３（ビスコースレーヨン用処理剤の水性液の調製）
（実施例２１）
水性液の原料として、以下の材料を用いた。なお、各成分の数値は、水性液中の含有量を示す。

亜鉛化合物：酢酸亜鉛（Ａ−１）０．００１％
アニオン界面活性剤：トール油脂肪酸の硫酸エステルのナトリウム塩（Ｂ−１）０．０３％
アニオン界面活性剤：ポリオキシエチレン（ｎ＝３）オレイルエーテルの硫酸エステルのナトリウム塩（Ｂ−２）０．０３％
アニオン界面活性剤（硫酸化油）：牛脂硫酸エステルのナトリウム塩（Ｃ−２）０．０９％
ノニオン界面活性剤：ポリオキシエチレン（ｎ＝５）ステアレート（Ｄ−１）０．０９％
ノニオン界面活性剤：ポリオキシエチレン（ｎ＝１０）オレート（Ｄ−２）０．３９９％
油：２０℃の粘度が１０ｍｍ^２／ｓの鉱物油（Ｅ−１）０．１５％
油：牛脂（Ｅ−２）０．２１％
上記配合比率となるように調製した処理剤１０部に水９９０部を加え、５０℃で撹拌し、処理剤を１％含有する水性液を調製した。

（実施例２２〜４０及び比較例３，４）
表２に示す材料及び配合比率を採用したこと以外は、実施例２１と同様の手順で水性液を調製した。各例で使用した各成分の種類、水性液中における各成分の含有比率（％）を表２の“亜鉛化合物”欄、“アニオン界面活性剤”欄、“ノニオン界面活性剤”欄、“油”欄、及び“水”欄に示す。

表２中におけるＡ−１等の成分表記は、表１と同様の成分を示す。

＊２：亜鉛化合物、界面活性剤、及び水の含有割合の合計を１００質量％とした場合の亜鉛化合物の含有割合を示す。
試験区分４（水性液の評価）
（評価試験）
実施例２１〜４０及び比較例３，４の水性液を用いて、水性液外観及び水性液泡試験を行った。評価方法及び評価基準は、試験区分２と同様である。また、試験結果を表２の“水性液外観”欄及び“水性液泡試験”欄に示す。

表２の結果から明らかなように、本発明によれば、水性液の外観を悪化させることなく、水性液の泡立ちを抑制できる効果がある。

Claims (30)

1. 亜鉛化合物と、界面活性剤とを含むことを特徴とするビスコースレーヨン用処理剤（紡糸浴に添加されるもの又はモノアゾ色素が結合しているＺｎ−スルホン化フタロシアニン化合物を含有するシェーディング組成物を除く）。
2. 亜鉛化合物と、界面活性剤と、７０℃で液状を呈する、炭化水素系化合物、油脂、及びエステルから選ばれる少なくとも一つの油とを含むことを特徴とするビスコースレーヨン用処理剤（モノアゾ色素が結合しているＺｎ−スルホン化フタロシアニン化合物を含有するシェーディング組成物を除く）。
3. 前記界面活性剤が、アニオン界面活性剤及びノニオン界面活性剤から選ばれる少なくとも一つを含むものである請求項１又は２に記載のビスコースレーヨン用処理剤。
4. 亜鉛化合物と、界面活性剤として少なくともアニオン界面活性剤を含むことを特徴とするビスコースレーヨン用処理剤（モノアゾ色素が結合しているＺｎ−スルホン化フタロシアニン化合物を含有するシェーディング組成物を除く）。
5. 更に、ノニオン界面活性剤を含むものである請求項４に記載のビスコースレーヨン用処理剤。
6. 前記界面活性剤が、前記アニオン界面活性剤を含み、前記アニオン界面活性剤が、油脂の硫酸エステル、油脂の硫酸エステルのアミン塩、及び油脂の硫酸エステルのアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも一つの硫酸化油を含有する請求項３〜５のいずれか一項に記載のビスコースレーヨン用処理剤。
7. 前記界面活性剤が、前記アニオン界面活性剤を含み、前記アニオン界面活性剤が、炭素数８〜２４の脂肪酸の硫酸エステルのアルカリ金属塩、炭素数８〜２４の脂肪族アルコールの硫酸エステルのアルカリ金属塩、炭素数８〜２４の脂肪族アルコールに炭素数２〜４のアルキレンオキサイドを合計で１〜２０モル付加したものの硫酸エステルのアルカリ金属塩、炭素数８〜２４の脂肪族アルキルリン酸エステルのアルカリ金属塩、及び炭素数８〜２４の脂肪族アルキルスルホン酸のアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも一つを含む請求項３〜６のいずれか一項に記載のビスコースレーヨン用処理剤。
8. 前記亜鉛化合物及び前記界面活性剤の含有割合の合計を１００質量％とすると、前記亜鉛化合物の含有割合が、０．００１〜５質量％である請求項１，４，５のいずれか一項に記載のビスコースレーヨン用処理剤。
9. 更に、７０℃で液状を呈する、炭化水素系化合物、油脂、及びエステルから選ばれる少なくとも一つの油を含有する請求項１又は４に記載のビスコースレーヨン用処理剤。
10. 前記亜鉛化合物、前記界面活性剤、及び前記油の含有割合の合計を１００質量％とすると、前記亜鉛化合物の含有割合が、０．００１〜１質量％である請求項２又は９に記載のビスコースレーヨン用処理剤。
11. 紡績用原綿に用いるものである請求項１〜１０のいずれか一項に記載のビスコースレーヨン用処理剤。
12. 請求項１〜１１のいずれか一項に記載のビスコースレーヨン用処理剤が付着していることを特徴とするビスコースレーヨン。
13. 界面活性剤を含むビスコースレーヨン用処理剤と、亜鉛化合物と、水とを含むことを特徴とするビスコースレーヨン用処理剤の水性液（紡糸浴又はモノアゾ色素が結合しているＺｎ−スルホン化フタロシアニン化合物を含有するシェーディング組成物を除く）。
14. 界面活性剤と、７０℃で液状を呈する、炭化水素系化合物、油脂、及びエステルから選ばれる少なくとも一つの油とを含むビスコースレーヨン用処理剤と、亜鉛化合物と、水とを含むことを特徴とするビスコースレーヨン用処理剤の水性液（モノアゾ色素が結合しているＺｎ−スルホン化フタロシアニン化合物を含有するシェーディング組成物を除く）。
15. 前記界面活性剤が、アニオン界面活性剤及びノニオン界面活性剤から選ばれる少なくとも一つを含むものである請求項１３又は１４に記載のビスコースレーヨン用処理剤の水性液。
16. 界面活性剤として少なくともアニオン界面活性剤を含むビスコースレーヨン用処理剤と、亜鉛化合物と、水とを含むことを特徴とするビスコースレーヨン用処理剤の水性液（モノアゾ色素が結合しているＺｎ−スルホン化フタロシアニン化合物を含有するシェーディング組成物を除く）。
17. 更に、ノニオン界面活性剤を含むものである請求項１６に記載のビスコースレーヨン用処理剤の水性液。
18. 前記界面活性剤が、前記アニオン界面活性剤を含み、前記アニオン界面活性剤が、油脂の硫酸エステル、油脂の硫酸エステルのアミン塩、及び油脂の硫酸エステルのアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも一つの硫酸化油を含有する請求項１５〜１７のいずれか一項に記載のビスコースレーヨン用処理剤の水性液。
19. 前記界面活性剤が、前記アニオン界面活性剤を含み、前記アニオン界面活性
    剤が、炭素数８〜２４の脂肪酸の硫酸エステルのアルカリ金属塩、炭素数８〜２４の脂肪族アルコールの硫酸エステルのアルカリ金属塩、炭素数８〜２４の脂肪族アルコールに炭素数２〜４のアルキレンオキサイドを合計で１〜２０モル付加したものの硫酸エステルのアルカリ金属塩、炭素数８〜２４の脂肪族アルキルリン酸エステルのアルカリ金属塩、及び炭素数８〜２４の脂肪族アルキルスルホン酸のアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも一つを含む請求項１５〜１８のいずれか一項に記載のビスコースレーヨン用処理剤の水性液。
20. 前記亜鉛化合物、前記界面活性剤、及び水の含有割合の合計を１００質量％とすると、前記亜鉛化合物の含有割合が、０．００００１〜０．４質量％である請求項１３，１６，１７のいずれか一項に記載のビスコースレーヨン用処理剤の水性液。
21. 更に、７０℃で液状を呈する、炭化水素系化合物、油脂、及びエステルから選ばれる少なくとも一つの油を含有する請求項１３又は１６に記載のビスコースレーヨン用処理剤の水性液。
22. 前記亜鉛化合物、前記界面活性剤、前記油、及び水の含有割合の合計を１００質量％とすると、前記亜鉛化合物の含有割合が、０．００００１〜０．３質量％である請求項１４又は２１に記載のビスコースレーヨン用処理剤の水性液。
23. 紡績用原綿に用いるものである請求項１３〜２２のいずれか一項に記載のビスコースレーヨン用処理剤の水性液。
24. 請求項１３〜２３のいずれか一項に記載のビスコースレーヨン用処理剤の水性液が付着していることを特徴とするビスコースレーヨン。
25. 亜鉛化合物及び界面活性剤を含有する水性液（紡糸浴又はモノアゾ色素が結合しているＺｎ−スルホン化フタロシアニン化合物を含有するシェーディング組成物を除く）をビスコースレーヨンに付着させる工程を経ることを特徴とするビスコースレーヨンの製造方法。
26. 亜鉛化合物と、界面活性剤と、７０℃で液状を呈する、炭化水素系化合物、油脂、及びエステルから選ばれる少なくとも一つの油とを含有する水性液（モノアゾ色素が結合しているＺｎ−スルホン化フタロシアニン化合物を含有するシェーディング組成物を除く）をビスコースレーヨンに付着させる工程を経ることを特徴とするビスコースレーヨンの製造方法。
27. 亜鉛化合物及び界面活性剤として少なくともアニオン界面活性剤を含有する水性液（モノアゾ色素が結合しているＺｎ−スルホン化フタロシアニン化合物を含有するシェーディング組成物を除く）をビスコースレーヨンに付着させる工程を経ることを特徴とするビスコースレーヨンの製造方法。
28. 前記水性液が、更に７０℃で液状を呈する、炭化水素系化合物、油脂、及びエステルから選ばれる少なくとも一つの油を含むものである請求項２５又は２７に記載のビスコースレーヨンの製造方法。
29. 前記水性液中の亜鉛化合物の含有割合が、０．００００１〜０．３質量％である請求項２６又は２８に記載のビスコースレーヨンの製造方法。
30. ビスコースレーヨンに対し、前記亜鉛化合物、前記界面活性剤、及び前記油の合計が０．０１〜１．０質量％となるように付着させる請求項２８又は２９に記載のビスコースレーヨンの製造方法。