以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
(本開示の実施の形態に至った経緯)
光ディスクをより大容量化するために、さらにトラックピッチを狭め、ランドとグルーブの両方に記録し、記録層を複数積み重ねて多層化した場合、他の記録層の記録状態による透過率変化の影響がより顕著に現れる。これにより、目的の記録層に対する適切な光量照射ができず、保存信頼性を保証できる記録品質を確保してデータを記録することが非常に困難になる。そこで、他の記録層の影響を受けないように、光ディスクの表面より最も奥側の記録層からデータを記録することとする。
光ディスクには、ユーザデータ領域のほかに、管理情報領域、スペア領域等がある。これらの領域は、全記録層の領域を1つの領域とみなして記録しており、記録層を移動するタイミングが異なる。つまり、ユーザデータ領域については記録層L1に記録していても、スペア領域については記録層L0に記録することがある。その場合、記録層L0のスペア領域に記録するときに、記録層L1のユーザデータ領域の記録状態によって透過率変化が起こり、記録層L0のスペア領域に記録できないということが起り得る。この問題を解決するために、スペア領域やユーザデータ領域のように隣接した領域の間を、約200μm離して配置することとする。しかしながら、スペア領域とユーザデータ領域との間の約200μmの間の領域は、未記録のままにしておかなければならないため、無駄な領域となってしまう。また、スペア領域と管理情報領域とも隣接しており、スペア領域は外周にも存在する。このため、外周側にも約200μmの間隔を空けて配置しなければならず、ユーザデータ領域を多く確保することができない。
本開示は、これらの問題を解決し、光ディスクにデータを記録するときに、光ディスクにおいてより多くのデータ領域を確保可能な情報記録方法、及び情報記録装置を提供する。
(実施の形態)
以下、本実施の形態における情報記録方法、及び情報記録装置について、図面を参照しながら説明する。なお、同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明の繰り返しは省略する。また、本実施の形態では、情報記録媒体として3つの記録層を備えた追記型の光ディスクを一例として説明する。ただし、あくまで一例であって、記録層が2つ以上の記録媒体であっても同様の効果を得ることが出来る。
(1)光ディスクの構成
図1は、実施の形態にかかる光ディスク1の全体構成を説明する平面図およびフォーマット図である。図1において、円盤状の光ディスク1は、データ(情報)を記録する、例えば3つの記録層L0,L1,L2(図2、図3)を備える。各記録層L0,L1,L2には、螺旋状に複数のトラック2が形成されている。トラック2は、隣接するグルーブトラック2Gとランドトラック2Lで構成される。トラック2には、細かく分けられた多数のセクタ3が形成されている。トラック2の幅であるトラックピッチは、0.225μmである。
光ディスク1の領域は、リードイン領域(インナーゾーン)4と、データ領域5と、リードアウト領域(アウターゾーン)6とに大別される。さらに、データ領域5は、ユーザデータが記録されるユーザデータ領域11と、ユーザデータ領域11で検出された欠陥セクタに記録されるはずであったデータを交替記録するために用いられるスペア領域であるISA(Inner Spare Area)10及びOSA(Outer Spare Area)12で構成される。ISA10は、ユーザデータ領域11よりも内周側にあるスペア領域である。OSA12は、ユーザデータ領域11よりも外周側にあるスペア領域である。なお、ISA10及びOSA12を総称して、単にスペア領域と称する場合がある。
リードイン領域4及びリードアウト領域6は、後述する情報記録再生装置の光ピックアップがデータ領域5の端部へアクセスする場合に、光ピックアップがオーバーランしてもトラック2に追随可能にするためのマージンとして機能し、いわゆるのりしろとしての役割を果たす。また、リードイン領域4は、光ディスク1に記録再生するために必要な管理情報を記録する領域と、最適な記録条件等を求めるために所定のテストデータをテスト記録するOPC領域(Optimum Power Control Area)とを含んでいる。
各セクタ3には、そのセクタを識別するために、物理セクタ番号(Physical Sector Number;PSN)が割り付けられている。さらに、データ領域5にあるセクタ3には、ホストコンピュータ等の上位装置(図示せず)がそのセクタを認識するために、0から始まる連続した論理セクタ番号(Logical Sector Number;LSN)も割り付けられている。以下、物理セクタ番号を物理アドレス、論理セクタ番号を論理アドレスともいう。
(2)光ディスクの領域の構成
図2は、図1の光ディスク1の全ての記録層のランドトラック2L及びグルーブトラック2Gにおける領域の配置を示すフォーマット図である。なお、図中で#を使用して記載している値は通し番号である。
図2において、光ディスク1は、3層の記録層L0,L1,L2を備える。光ディスク1には、光ディスク1の表面(レーザ光が入射する側)から見て、最も奥側に記録層L0が配置され、記録層L0よりも表面側に記録層L1が配置され、さらに記録層L1よりも表面側に記録層L2が配置されている。
リードイン領域4は、記録層の内周側に配置された領域である。リードイン領域4は、記録パワーおよびライトストラテジ信号を調整するOPC領域20と、光ディスク1の記録状態等を示す管理情報を記録するためのDMA(Disc Management Area)21を備える。
データ領域5は、ユーザデータが記録されるユーザデータ領域11と、ユーザデータ領域11で検出された欠陥セクタに記録されるはずであったデータを交替記録するために用いられるISA10及びOSA12とを備える。
OPC領域20、DMA21、ISA10、ユーザデータ領域11、及びOSA12は、各領域それぞれ、全ての記録層のグルーブ部及びランド部の半径方向の同一の位置に配置される。
また、OPC領域20及びDMA21、DMA21及びISA10、ISA10及びユーザデータ領域11、ユーザデータ領域11及びOSA12は、それぞれ隣接した位置に配置される。
OPC領域20、DMA21、ISA10、ユーザデータ領域11、及びOSA12は、他の記録層の記録状態による透過率変化の影響を受けないように、各領域において表面から最も奥側の記録層L0から記録を開始し、光ディスク1においてより表面に近い側の記録層L1、記録層L2の順番で使用していく。また、グルーブ部とランド部も含めると、記録層L0のグルーブ部、記録層L0のランド部、記録層L1のグルーブ部、記録層L1のランド部、記録層L2のグルーブ部、および記録層L2のランド部の順番で所定のデータが記録される。
図3は、図1の光ディスク1におけるDMA21の詳細な領域構成の一例を示すフォーマット図である。
図3において、DMA21は、TDMA(Temporary Disc Management Area)30と、LDMA(Layer−latest Disc Management Area)31とで構成される。
TDMA30は、管理情報を過渡的に記録するための領域である。追記型の光ディスク1は、一度記録した管理情報を上書きによって更新することができない。そのため、管理情報を更新するときには、TDMA30の追記位置から新たに管理情報を記録することで、管理情報を更新していく。
LDMA31は、その記録層内での最新の全管理情報を記録するための領域である。LDMA31に管理情報が記録されていることは、そのLDMA31と同一の記録層に配置されるすべてのTDMA30の使用を完了したことを示す。例えば、記録層L0のLDMA31#1に管理情報が記録されている場合、記録層L0のTDMA30#0とTDMA30#1とは使用を完了したことを示す。ここで、TDMA30の使用が完了するとは、例えば、記録層L0の場合、TDMA30#0及びTDMA30#1の領域を全て使いつくして、これ以上データを記録できなくなった場合、もしくは未使用領域が残っている状態だが、これ以上TDMA30#0及びTDMA30#1を使用しない場合を示す。
バッファ領域32は、データを記録してはならない領域である。バッファ領域32は、未記録状態のままの状態にしておく緩衝領域である。バッファ領域32のサイズは、バッファ領域32が位置するトラック1周分以上のサイズであればよい。
図4は、図1の光ディスク1におけるDMA21に記録される、ディスク管理構造(Disc Management Structure;DMS)40のデータ構造を示すフォーマット図である。
図4において、管理情報であるDMS40は、欠陥リスト(DeFect List;DFL)41と、未記録範囲情報(Non−recorded Range Informatio;NRI)42と、連続記録範囲情報(Sequential Recording Range Information;SRRI)43と、ディスク定義構造(Disc Definition Structure;DDS)44とで構成される。
図5A〜図5Dは、図1の光ディスク1における図4のDMS40の詳細なデータ構造を示すフォーマット図である。
図5Aは、図4のDFL41のデータ構造を示すフォーマット図である。図5Aにおいて、DFL41は、光ディスク1上の欠陥の検出や、擬似書き換え(Pseudo OverWrite;POW)指示での書き換え要求を受けた交替クラスタに関する情報である欠陥エントリ512と、欠陥エントリ512の個数である総欠陥エントリ数511とを備える。
DFL41は、欠陥エントリ512の#1から#dまでの総計d個(dは0以上の整数)の欠陥エントリが存在する。なお、欠陥クラスタや交替クラスタが存在しない場合のDFL41は、総欠陥エントリ数511が0個で、欠陥エントリ512が存在しない。
ここで、クラスタとは、光ディスク1に対して記録再生動作が行われる最小の単位であり、エラー訂正が行われる単位でもある。本実施の形態では、BD同様、1クラスタは32個のセクタ3で構成され、1クラスタのサイズは64KB(キロバイト)である。
欠陥エントリ512は、エントリ種別情報513、交替元位置情報514、交替先位置情報515、及び連続クラスタ数情報516で構成される。
交替元位置情報514には、欠陥が発生したクラスタ、または擬似書き換え要求されたクラスタ先頭の物理セクタ番号が格納される。
交替先位置情報515には、交替記録したクラスタ先頭の物理セクタ番号が格納される。
連続クラスタ数情報516には、欠陥が発生したクラスタや擬似書き換え要求されたクラスタが連続している場合に、その連続クラスタ数を示す情報を格納する。より具体的には、クラスタが連続していない場合には、連続クラスタ数情報516には0が格納される。クラスタが連続している場合には、連続クラスタ数情報516に(連続するクラスタ数−1)の値が格納される。
エントリ種別情報513は、交替元位置情報514が示すクラスタが未記録部分を含んだ未記録欠陥クラスタであるか否かを示す識別情報である。
ここでPOWとは、1回しか記録できない追記型光ディスクにおいて、記録済み領域に対して記録要求された場合、そのデータをユーザデータ領域11やISA10及びOSA12に交替記録を行い、あたかも記録済み領域に上書きしたかのようにみせかけることである。
具体的には、記録要求されたクラスタ先頭の物理セクタ番号を交替元位置情報514に格納し、ユーザデータ領域11やISA10及びOSA12に交替記録を行ったクラスタ先頭の物理セクタ番号を交替先位置情報515に格納する。記録要求が1クラスタの場合は、連続クラスタ数情報516に0を格納し、例えば、5クラスタの場合は、連続クラスタ数情報516に4を格納する。これにより、記録要求されたクラスタを再生する場合には、交替先位置情報515に格納されている物理セクタ番号のクラスタから、(連続クラスタ数情報516に格納されている値+1)個のクラスタのデータが読み出されるようになり、新しく記録されたデータが再生されるため、上書きしたかのようにみせかけることができる。
図5Bは、図4のNRI42のデータ構造を示す図である。図5Bにおいて、NRI42は、ISA10、OSA12、及びDMA21の領域において、記録が失敗して完全に未記録状態、もしくは一部が未記録状態となってしまった未記録欠陥クラスタや、未記録状態のまま使用されず放置されている未記録クラスタに関する情報を管理する管理情報である。
NRI42は、未記録欠陥クラスタや未記録クラスタを管理する非記録エントリ522と、非記録エントリ522の個数である総非記録エントリ数521とを備える。
NRI42は、非記録エントリ522の#1から#nまでの総計n個(nは0以上の整数)の非記録エントリ522が存在する。なお、未記録欠陥クラスタと未記録クラスタが存在しない場合のNRI42は、総非記録エントリ数521が0個で、非記録エントリ522が存在しない。
非記録エントリ522は、非記録クラスタ位置情報523と、連続クラスタ数情報524とで構成される。
非記録クラスタ位置情報523には、未記録欠陥クラスタ、または未記録クラスタ先頭の物理セクタ番号が格納される。
連続クラスタ数情報524には、未記録欠陥クラスタ、または未記録クラスタが連続している場合に、その連続クラスタ数を示す情報を格納する。より具体的には、クラスタが連続していない場合には、連続クラスタ数情報524には0が格納される。クラスタが連続している場合には、連続クラスタ数情報524には連続するクラスタ数−1が格納される。例えば、未記録欠陥クラスタが5クラスタ連続している場合には、4を格納する。
図5Cは、図4のSRRI43のデータ構造を示す図である。図5Cにおいて、SRRI43は、データをシーケンシャルに記録する記録範囲であるSRRと呼ばれる記録ゾーンに関する情報である記録ゾーンエントリ532と、記録ゾーンエントリ532の個数である総記録ゾーン数531と、実追記位置情報535とを備える。
SRRI43は、記録ゾーンエントリ532の#1から#sまでの総計s個(sは1以上の整数)の記録ゾーンエントリ532が存在する。なお、ユーザがSRRを設定しない場合、すなわち全ての記録層に存在するユーザデータ領域11を1つの記録ゾーンとして記録する場合のSRRI43は、総記録ゾーン数が1個で、記録ゾーンエントリ532が#1の1つとなる。
記録ゾーンエントリ532は、記録ゾーン先頭位置情報533と、最終記録位置情報534とで構成される。
記録ゾーン先頭位置情報533には、記録ゾーンの先頭に位置するクラスタの先頭セクタの物理セクタ番号が格納される。
最終記録位置情報534には、その記録ゾーンに記録を行った場合、ユーザデータが記録されている最終セクタの物理セクタ番号が格納される。その記録ゾーンに記録を行っていない場合は、0が格納される。
実追記位置情報535は、ユーザデータ領域11の実追記位置を示す情報である。ユーザデータ領域11は、他の記録層の記録状態による透過率変化の影響を受けないように、表面から最も奥側の記録層である記録層L0から順番にデータを記録する。そのため、実際の追記位置はSRRI43の記録ゾーンの追記位置とは異なる。そのため、実際の追記位置を管理するための情報が、実追記位置情報535である。
図5Dは、図4のDDS44のデータ構造を示す図である。図5Dにおいて、DDS44は、記録モード541、ユーザデータ領域開始位置情報542、ユーザデータ領域終了位置情報543、ISAサイズ544、OSAサイズ545、DMAサイズ546、LDMAサイズ547、OPC領域開始位置情報548、OPC領域追記可能位置情報549、OPC領域サイズ550、最新DFL記録位置情報551、最新SRRI記録位置情報552、最新NRI記録位置情報553、記録禁止状態フラグ554、スペア領域追記可能位置情報555、アドレッシングアルゴリズム情報556、及び特殊記録状態情報557で構成される。
記録モード541は、光ディスク1が論理的な上書き記録モードであるか連続記録モードであるかを示す情報である。
ユーザデータ領域開始位置情報542は、ユーザデータ領域11の先頭セクタの物理位置情報を示す情報である。ユーザデータ領域開始位置情報542には、記録層L0のユーザデータ領域11#0の先頭セクタの物理セクタ番号が格納される。
ユーザデータ領域終了位置情報543は、ユーザデータ領域11の最終セクタの論理位置情報を示す情報である。ユーザデータ領域終了位置情報543には、記録層L2のユーザデータ領域11#5の最終セクタの論理セクタ番号が格納される。論理セクタ番号は0から開始されているため、ユーザデータ領域終了位置情報543に格納されている(論理セクタ番号+1)のセクタ数が、光ディスク1におけるユーザデータ領域11のサイズとなる。
ISAサイズ544は、各記録層のグルーブ部、またはランド部のISA10のサイズを示す情報である。
OSAサイズ545は、各記録層のグルーブ部、またはランド部のOSA12のサイズを示す情報である。
DMAサイズ546は、各記録層のグルーブ部、またはランド部のDMA21のサイズを示す情報である。
DMA21の内周側の位置は固定であるため、このDMAサイズ546の情報を用いることで、ISA10の配置位置(内周側位置)を特定することができる。その後、ISAサイズ544の情報を用いることで、記録層L0と記録層L2におけるユーザデータ領域11の先頭セクタを特定することができる。また、データ領域5の外周側の位置は固定であるため、OSAサイズ545の情報を用いることで、記録層L0と記録層L2におけるユーザデータ領域11の終端セクタと、記録層L1におけるユーザデータ領域11の先頭セクタとを、それぞれ特定することができる。
LDMAサイズ547は、各記録層のLDMA31のサイズを示す情報である。なお、LDMAサイズ547は、必ずDMAサイズ546よりも小さい値となる。
OPC領域開始位置情報548は、OPC領域20の開始位置を示す情報である。図示していないが、DDS44は、各記録層のグルーブ部、及びランド部にあるOPC領域20#0〜#5の開始位置情報を示す6つのOPC領域開始位置情報548を格納する。OPC領域開始位置情報548には、例えば、OPC領域20#0の場合、OPC領域20#0の先頭セクタの物理セクタ番号が格納される。
OPC領域追記可能位置情報549は、OPC領域20の追記位置を示す情報である。図示していないが、DDS44は、各記録層のグルーブ部、及びランド部にあるOPC領域20#0〜#5の追記可能位置情報を示す6つのOPC領域追記可能位置情報549を格納する。OPC領域20は、物理セクタ番号と逆順に使用されるため、OPC領域追記可能位置情報549には、例えば、OPC領域20#0が未使用の場合、OPC領域20#0の最終クラスタの先頭物理セクタ番号が格納される。OPC領域20に所定のテストデータをテスト記録する場合は、このOPC領域追記可能位置情報549を用いて、その位置からテストデータをテスト記録する。
OPC領域サイズ550は、OPC領域20のサイズ情報が格納される。図示していないが、DDS44は、各記録層のグルーブ部、及びランド部にあるOPC領域20#0〜#5のサイズ情報を示す6つのOPC領域サイズ550を格納する。
最新DFL記録位置情報551は、最新のDMS40のDFL41が記録されている位置を示す情報である。最新DFL記録位置情報551は、最新のDFL41が記録されている先頭セクタの物理セクタ番号を格納する。
最新SRRI記録位置情報552は、最新のDMS40のSRRI43が記録されている位置を示す情報である。最新SRRI記録位置情報552は、最新のSRRI43が記録されている先頭セクタの物理セクタ番号を格納する。
最新NRI記録位置情報553は、最新のDMS40のNRI42が記録されている位置を示す情報である。最新NRI記録位置情報553は、最新のNRI42が記録されている先頭セクタの物理セクタ番号を格納する。
記録禁止状態フラグ554は、光ディスク1が記録禁止状態にあるか否かを示す情報である。記録禁止状態フラグ554は、ユーザデータ領域11への記録が可能であるが禁止状態にしていることを示すフラグと、光ディスク1がファイナライズされていて、リードイン領域4等も含めて光ディスク1に完全に記録できない状態にあることを示すフラグとを備える。
スペア領域追記可能位置情報555は、各記録層のグルーブ部、及びランド部にあるISA10#0〜ISA10#5、OSA12#0〜OSA12#5の追記可能位置情報で構成される。スペア領域追記可能位置情報555は、各スペア領域の追記可能位置を示す。例えば、ISA10#0が未使用の場合、スペア領域追記可能位置情報555にはISA10#0の先頭セクタの物理セクタ番号が格納される。ISA10及びOSA12に記録する場合は、該当するスペア領域追記可能位置情報555を用いて、その位置からデータを記録する。
アドレッシングアルゴリズム情報556は、上位装置(図示せず)等ユーザからの記録再生要求に使用する論理セクタ番号に対して、どのような規則にしたがって光ディスク1上の領域を割り当てているかを示す情報である。
特殊記録状態情報557は、光ディスク1の表面から最も奥側の記録層L0から順に、ユーザデータ領域11に対してデータを記録するように制御しているか否か等の記録方法を示す情報である。本実施の形態では、記録状態の違いによる透過率や反射率の変化を考慮し、必ず記録層L0から順に記録を行っている。したがって、特殊記録状態情報557にはこのことを示す1を設定する。
(3)情報記録再生装置の構成
次に、本実施の形態にかかる光ディスク1に対してデータを記録再生する情報記録再生装置である光ディスクドライブについて説明する。
図6は、図1の光ディスク1に対してデータを記録再生する光ディスクドライブ600のブロック図である。図6において、光ディスクドライブ600は、I/Oバス680を介して、上位装置(図示せず)と接続される。上位装置は、例えば、ホストコンピュータや制御コントローラ等である。
図6において、光ディスクドライブ600は、命令処理部610、光ピックアップ620、光ディスクコントローラ630、レーザ制御部640、メカニズム制御部650、メモリ660、管理情報格納メモリ661、及びシステム制御部670を備える。
命令処理部610は、コマンド等の形態で上位装置から要求される各種命令を処理する。光ピックアップ620は、光ディスク1に対してデータを記録再生するためにレーザ光を照射する。光ディスクコントローラ630は、光ピックアップ620を制御することにより、光ディスク1に対して各種信号を記録再生する。光ディスクコントローラ630は、光ピックアップ620が光ディスク1から再生したデータをメモリ660に格納する。また、光ディスクコントローラ630は、光ピックアップ620が光ディスク1から再生したDMA21等の各種情報を管理情報格納メモリ661に格納する。光ディスクコントローラ630は、光ディスク1に記録すべきデータをメモリ660から読み出して、光ピックアップ620を制御することにより光ディスク1に記録する。また、光ディスクコントローラ630は、光ディスク1に記録すべき管理情報を管理情報格納メモリ661から読み出して、光ピックアップ620を制御することにより光ディスク1に記録する。レーザ制御部640は、光ピックアップ620から出力されるレーザパワー等を制御する。メカニズム制御部650は、光ピックアップ620を目的位置に移動させ、サーボ制御を行う。メモリ660は、光ディスクコントローラ630が光ディスク1から再生したデータや、光ディスクコントローラ630が光ディスク1に記録するデータを一時的に格納するバッファとして使用される他、上位装置から要求される各種命令に関する情報等、システム制御部670が制御に必要になる各種情報を一時的に格納するために使用される。管理情報格納メモリ661は、光ディスクコントローラ630がDMA21から読み出した最新状態の管理情報であるDFL41、NRI42、SRRI43、DDS44を格納したり、光ディスクコントローラ630がDMA21に記録するための管理情報を格納するために使用される。システム制御部670は、メモリ660及び管理情報格納メモリ661に格納された各種情報に基づいて、命令処理部610、光ディスクコントローラ630、レーザ制御部640及びメカニズム制御部650を制御することにより、光ディスク1への記録再生処理等のシステム処理全般を統括的に制御する。
(4)記録対象層決定処理
次に、記録対象層を決定する処理について説明する。
光ディスクドライブ600に光ディスク1が装着されると、システム制御部670は、光ディスク1上のDMA21を探索し、最新のDMS40を取得する。すべてのDMA21にデータが未記録である場合、システム制御部670は装着された光ディスク1をブランクディスクと判断し、最新のDMS40として初期値を設定する。各領域の追記位置の初期値は、記録層L0グルーブ部にある各領域の先頭クラスタ(OPC領域の場合は最終クラスタ)となる。
システム制御部670は、最新のDMS40より、OPC領域20、ISA10、ユーザデータ領域11、及びOSA12の追記位置を求める。なお、DMA21の追記位置は、最新のDDS44が記録された次のクラスタが、DMA21の追記位置となる。これらの追記位置が存在する記録層が記録対象層となる。ここで、光ディスク1がブランクディスクであった場合、OPC領域20、ISA10、OSA12、ユーザデータ領域11、DMA21の記録対象層は、表面から最も奥側の記録層L0に設定される。
(5)データ記録処理
図7は、図6のシステム制御部670により実行される、図1の光ディスク1にユーザデータを記録するユーザデータ領域記録処理を示すフローチャートである。ここで、システム制御部670は、最新のDMS40から、OPC領域20、DMA21、ISA10、ユーザデータ領域11、及びOSA12の追記位置情報を既に把握している場合について説明する。
図7のステップS701において、システム制御部670は、記録対象層のOPC領域20に、記録に必要な空き容量があるか否かを判断する。具体的には、システム制御部670は、DDS44内の記録対象層のOPC領域追記可能位置情報549とOPC領域開始位置情報548との差分から、OPC領域20の空き容量を算出する。OPC領域20の空き容量が記録パワーとライトストラテジ信号の調整に必要なサイズ以上であると判断した場合(S701においてYes)、ステップS702に進む。OPC領域20の容量が不足していると判断した場合(S701においてNo)、ステップS710に進む。
次いで、ステップS702において、システム制御部670は、レーザ制御部640に対して記録パワーとライトストラテジ信号の調整を指示する。指示を受けたレーザ制御部640は、記録対象層のOPC領域20に対して所定のテストデータをテスト記録し、記録パワーとライトストラテジ信号を調整する。
次いで、ステップS703において、システム制御部670は、記録対象層のユーザデータ領域11に空き容量があるか否かを判断する。具体的には、SRRI43内の実追記位置情報535、ユーザデータ領域開始位置情報542、DMA21のサイズ、ISA10のサイズ、及びOSA12のサイズから当該記録対象層のユーザデータ領域11の空き容量を算出する。例えば、記録層L0の場合、ユーザデータ領域開始位置情報542及びOSA12のサイズから記録層L0ランド部のユーザデータ領域11#1の終端アドレスを求める。実追記位置情報535が、求めた終端アドレスより小さい場合、当該記録対象層のユーザデータ領域11に空き容量があると判断する。当該記録対象層のユーザデータ領域11に空き容量があると判断した場合(ステップS703においてYes)、ステップS704に進む。空き容量が不足している場合(ステップS703においてNo)、ステップS710に進む。
次いで、ステップS704においてシステム制御部670は、実追記位置情報535の示す位置からユーザデータを記録することで図8のユーザデータ領域記録処理を実行する。当該ユーザデータ領域記録処理では、ユーザデータを記録した後、システム制御部670は、記録した次のクラスタの物理セクタ番号を、管理情報格納メモリ661内の実追記位置情報535に格納することで、管理情報を最新の状態に更新する。
次いで、ステップS705において、システム制御部670は、ユーザデータを記録しているときに欠陥を検出したか否かを判断する。具体的には、ユーザデータを記録しているときに光ディスクコントローラ630でエラーが発生したか否かで判断する。エラーが発生した場合は、欠陥を検出したと判断し、エラーが発生しなかった場合は、欠陥を検出しなかったと判断する。欠陥を検出したと判断した場合(ステップS705においてYes)、ステップS706に進む。欠陥を検出しなかったと判断した場合(ステップS705においてNo)、ステップS708に進む。
次いで、ステップS706において、システム制御部670は、記録対象層のISA10及びOSA12に十分な空き容量があるか否かを判断する。具体的には、DDS44の情報からスペア領域終端アドレスを算出し、スペア領域追記可能位置情報555のアドレスが算出したスペア領域終端アドレスより小さいときに記録対象層のISA10及びOSA12に十分な空き容量があると判断し、そうでない場合は記録対象層のISA10及びOSA12において空き容量が不足していると判断する。記録対象層のISA10及びOSA12に十分な空き容量があると判断した場合(ステップS706においてYes)、ステップS707に進む。記録対象層のISA10及びOSA12に空き容量が不足していると判断した場合(ステップS706においてNo)、ステップS710に進む。
次いで、ステップS707において、システム制御部670は、欠陥を検出したクラスタに記録するはずであったユーザデータを、スペア領域に交替記録する。そしてシステム制御部670は、交替元位置情報514に、欠陥を検出したクラスタの物理アドレスを設定する。またシステム制御部670は、交替先位置情報515に、実際に記録したスペア領域の物理アドレスを設定する。またシステム制御部670は、エントリ種別情報513に未記録であることを設定し、DFL41に欠陥エントリ512を追加する。また、ユーザデータをスペア領域に交替記録した後、システム制御部670は、ユーザデータを記録した次のクラスタの物理セクタ番号を、管理情報格納メモリ661内の使用したスペア領域のスペア領域追記可能位置情報555に格納し、最新の状態に更新する。
次いで、ステップS708において、システム制御部670は、記録対象層のDMA21に十分な空き容量があるか否かを判断する。具体的には、メモリ660に保持しているDMA21の追記位置情報に基づいて記録対象層のLDMA31の終端アドレスが小さいときに記録対象層のDMA21に十分な空き容量があると判断し、そうでない場合は記録対象層のDMA21に空き容量が不足していると判断する。記録対象層のDMA21に十分な空き容量があると判断した場合(S708においてYes)、ステップS709に進む。記録対象層のDMA21に空き容量が不足していると判断した場合(S708においてNo)、ステップS710に進む。
次いで、ステップS709において、システム制御部670は、SRRI43やDFL41が更新されたので、管理情報格納メモリ661に保持している最新状態のDMS40をDMA21に記録することで図10の管理情報記録処理を実行する。当該管理情報記録処理では、管理情報であるDMS40を記録した後、システム制御部670は、メモリ660に保持しているDMA21の追記位置情報を、記録した次のクラスタの物理セクタ番号に更新する。
次いで、ステップS710において、システム制御部670は、OPC領域20、ユーザデータ領域11、ISA10、OSA12、及びDMA21のうち、いずれか1つの空き容量が不足した場合、全ての領域の記録対象層を、すでにデータを記録した記録対象層よりも表面側に配置された記録層に切り替える記録対象層切り替え処理を実行する。詳細な説明は、後述する。記録対象層を切り替えた後、ステップS701に進み、次の記録層に対してデータを記録する。
これにより、データを記録する(追記位置が異なる)全ての領域に対する記録を、同一の記録層に制限することができる。そのため、記録対象となっている記録層よりも光が入射してくる側にある記録層は未記録の状態が保たれ、他の記録層の記録状態による透過率変化の影響を受けずに、全領域に記録することができる。
また、透過率の影響を受けないようにするために、半径方向の位置をずらす必要がないので、各領域を半径方向の同一の位置に配置することできる。これにより、限られた領域を有効に活用することができ、ユーザデータ領域を従来技術に比較してより多く確保することができる。
また、従来、領域を重ね合わせることが困難であったOPC領域20についても重ね合わせることができる。
さらに、データを記録する記録層が同一層になるため、光ピックアップ620が層間移動(レイヤジャンプ)することがない。記録時のレイヤジャンプにかかる数十ミリ秒から数百ミリ秒の時間の消費を抑制でき、さらに、その間にデータを保持しておくバッファも不要となることから、バッファサイズも小さくすることができ、コスト削減することができる。
なお、本実施の形態では、記録パワーを調整した領域の透過率変化が奥側の記録層の再生に影響がないものとし、OPC領域20とDMA21を隣接して配置している。これにより、OPC領域20とDMA21との間に約200μmの間隔を空ける必要がなく、領域を有効に使用することができる。
なお、OPC領域20は半径方向の同一の位置に配置するとしたが、2つ以上の記録層で少なくとも一部が重なり合っていればよい。
また、OPC領域20は、半径方法に対して互いに重なり合わないように配置してもよい。この場合、OPC領域20の空き容量が不足しても、記録対象層を次の記録層に移動する必要はない。
なお、ステップS708で、DMA21の空き容量を求めるのに、LDMA31の終端アドレスを用いたが、ランド部のTDMA30の終端アドレスを用いてもよい。これにより、TDMA30とLDMA31に最新のDMS40が記録されることになり、冗長性が向上する。
次に、ステップS704のユーザデータ領域11にユーザデータを記録する処理について説明する。図8は、図7のサブルーチンである、ユーザデータ領域11にユーザデータを記録するユーザデータ領域記録処理(S704)を示すフローチャートである。図9A及び図9Bは、ユーザデータ記録時の論理アドレス(論理セクタ番号)と物理アドレス(物理セクタ番号)の関係を示すフォーマット図である。
ユーザデータ領域11への記録は、擬似書き換え処理の技術を応用して記録する。擬似書き換え処理は、記録済み領域に対する記録要求に対して行っていた。本開示はこれに限らず、未記録領域のうち、実追記位置に対して不連続な領域に対する記録要求に対しても同様のアドレスの変換を行うことで、1点の実追記位置で光ディスク1の記録層L0から順番にデータを記録することができる。
図8のステップS801において、光ディスクドライブ600が、上位装置(図示せず)から記録を開始する論理セクタ番号と記録するセクタ数とを設定した記録コマンドを受け付けると、命令処理部610は、記録要求された論理セクタ番号を物理セクタ番号Pに変換する。このアドレス変換は、一般的な1対1の論理‐物理アドレス変換である。本実施の形態では、論理セクタ番号LAiが物理セクタ番号PAi(iは0以上の整数)に変換されるものとする。例えば、上位装置が記録を開始する論理セクタ番号をLA0と指定した場合、物理セクタ番号は、PA0となる。また、論理セクタ番号LA3に対応する物理セクタ番号は、PA3となる。
次いで、ステップS802において、システム制御部670は、表面から最も奥側の記録層から記録していくように、物理セクタ番号Pを、実際にデータを記録する物理セクタ番号である実記録セクタ番号Rに変換する。具体的には、実記録セクタ番号Rは、SRRI43内の実追記位置情報535となる。例えば、図9Aにおいて、実追記位置情報535にはPA0が格納されており、論理セクタ番号LA0が指定されたとする。このとき、物理セクタ番号PはPA0となり、これに対応する実記録セクタ番号RがPA0となる。図9Bにおいて、実追記位置情報535にはPA1が格納されており、論理セクタ番号LA3が指定されたとする。このとき、物理セクタ番号PはPA3となり、これに対応する実記録セクタ番号RがPA1となる。
次いで、ステップS803において、システム制御部670は、実記録セクタ番号Rから、上位装置により指定されたセクタ数だけ、ユーザデータを記録する。ユーザデータを記録した後、システム制御部670は、SRRI43内の実追記位置情報535が記録した次のクラスタの物理セクタ番号になるように、管理情報格納メモリ661内の値を更新する。これにより、ユーザデータ領域11の最新の追記位置が管理される。
次いで、ステップS804において、システム制御部670は、交替元位置情報514に記録要求された物理セクタ番号Pを設定し、交替先位置情報515に実記録セクタ番号Rを設定して、DFL41に欠陥エントリ512を追加する。このとき、エントリ種別情報513には、交替元のクラスタが未記録ではないため、何も設定しない。
なお、物理セクタ番号Pと実記録セクタ番号Rが同一のとき、論理セクタ番号LAiを物理セクタ番号PAiに変換することで、実記録セクタ番号Rを求めることができるため、欠陥エントリ512を追加しなくてもよい。
以上の処理により、表面から最も奥側の記録層である記録層L0のユーザデータ領域11から記録を開始する。これにより、奥側の記録層から記録済みになっていく。つまり、光の入射側にある記録層には記録を行わないので、他の記録層の記録状態による透過率変化の影響を受けずに、記録することができる。また、光ディスクドライブ600が、アドレス変換を行うので、上位装置に対して、記録位置を制限することなく、データを記録することができる。
次に、図7のステップS709のDMA21に最新の管理情報を記録する処理について説明する。図10は、図7のサブルーチンである、図2のDMA21に最新の管理情報を記録する管理情報記録処理(S709)を示すフローチャートである。以下では、TDMA30のうち、DMA21の追記位置情報で示される追記位置を含み、次に記録使用可能なTDMA30のことを、「次記録TDMA30」という。
図10のステップS1001において、システム制御部670は、更新されて記録が必要な管理情報のクラスタ数M(Mは1以上の整数)を算出する。例えば、ユーザデータを記録しさらにそのときに欠陥クラスタが検出され、ISA10、またはOSA12へ交替記録が実施されたとする。この場合、SRRI43とDFL41が更新されている。更新後のDFL41のサイズが1クラスタと30セクタ(62セクタ)とし、SRRI43が2セクタとすると、さらにDDS44の1セクタを合わせて全部で65セクタを記録する必要がある。このため、記録が必要な管理情報のクラスタ数は3クラスタと算出される。ここで、内容が更新されておらず、記録が必要でない管理情報(この場合は、NRI42等)についても、合わせて記録してもよい。例えば、NRI42のサイズが1セクタの場合、更新が必要なDFL41、及びSRRI43、DDS44と合わせても、3クラスタとなり、記録に使用されるクラスタ数は変わらない。このようなケースでは、更新されていない管理情報も冗長性向上の観点から、記録したほうが好ましい。また、DFL41が2クラスタと3セクタ(67セクタ)であった場合で、欠陥エントリ512がDFL41の最後の欠陥エントリ位置(欠陥エントリ#dとして)追加されたとき、DFL41で内容が更新されたのは、総欠陥エントリ数のある先頭クラスタと、欠陥エントリ#dのある3クラスタ目の2クラスタだけである。このような場合、DFL41として更新が必要なセクタ数は、先頭クラスタの32セクタと3クラスタ目の3セクタとなり、DDS44と合わせて、更新が必要なクラスタ数は2クラスタとしてもよい。これにより、DMA21の消費を抑えることができるため、すべてのDFL41を更新する場合に比べ、DMA21の領域サイズを小さくできるので、ユーザデータ領域を従来技術に比較してより多く割り当てることもできる。
次いで、ステップS1002において、システム制御部670は、次記録TDMA30において連続して記録可能な残クラスタ数N(Nは0以上の整数)を算出する。具体的には、次記録TDMA30の位置とDMA21のサイズ、あるいはLDMA31のサイズとから、記録使用可能なクラスタ数を算出する。例えば、次記録TDMA30が、記録層L0のグルーブ部のTDMA30#0の場合、次にデータを記録する追記位置から、TDMA30#0の終端位置(つまり、ISA10#0の手前)のクラスタまでの領域が、連続して記録するのに使用可能なクラスタの領域である。
次いで、ステップS1003において、システム制御部670は、記録するすべての管理情報が、次記録TDMA30に記録できるか否かを判断する。具体的には、ステップS1001で算出した記録が必要な管理情報のクラスタ数Mと、ステップS1002で算出した次記録TDMA30の連続して記録可能なクラスタ数Nとを用い、NがM以上か否かを判断する。NがM以上の場合(ステップS1003においてYes)、次記録TDMA30に全ての管理情報を記録することができると判断し、ステップS1004に進む。NがM未満の場合(ステップS1003においてNo)、次記録TDMA30だけでは記録できない(別のTDMA30、もしくはLDMA31に跨って記録が必要な)ことになる。この場合、ステップS1005に進む。
次いで、ステップS1004において、システム制御部670は、次記録TDMA30に最新の管理情報を記録する。具体的には、システム制御部670は、光ディスクコントローラ630を介して光ピックアップ620を制御し、管理情報格納メモリ661に格納されている最新状態の管理情報を、次記録TDMA30の追記位置(DMA21追記位置情報が示す位置)からMクラスタだけ記録する。
次いで、ステップS1005において、システム制御部670は、次記録TDMA30がグルーブ部のTDMA30か否かを判断する。具体的には、次記録TDMA30の追記位置の物理セクタ番号で判断する。次記録TDMA30がTDMA30#0、またはTDMA30#2、またはTDMA30#4の場合(ステップS1005においてYes)、次記録TDMA30はグルーブ部と判断し、ステップS1006に進む。そうでない場合(ステップS1005においてNo)、ランド部であると判断し、ステップS1008に進む。
次いで、ステップS1006において、システム制御部670は、グルーブ部にある次記録TDMA30に記録可能な分だけ管理情報を記録する、もしくは未使用クラスタとしてNRI42に登録する。例えば、記録が必要な管理情報のクラスタ数Mが3で、記録可能なクラスタ数Nが2の場合、DFL41とDDS44の2クラスタを次記録TDMA30に記録する。もしくは、次記録TDMA30の追記位置を非記録クラスタ位置情報523、残りの記録可能クラスタ数を連続クラスタ数情報524として、管理情報格納メモリ661に格納されているNRI42に対して追加する。NRI42に登録すると、管理情報を使用しないので、領域を無駄にしているように思えるが、最新の管理情報であるDMA21が次のTDMA30にまとまって配置されることになるため、最新の管理情報取得にかかる時間を短縮することができる。すなわち、光ディスク1の起動時間を短縮することができる。
次いで、ステップS1007において、システム制御部670は、次記録TDMA30と同じ記録層のランド部のTDMA30に対して、最新の管理情報を記録する。具体的には、ステップS1006で記録されずに残っている管理情報で構成されるDMS40を、ランド部のTDMA30の先頭クラスタから記録する。例えば、次記録TDMA30がTDMA30#0の場合、同じ記録層にあるTDMA30#1の先頭クラスタからデータを記録する。
次いで、ステップS1008において、システム制御部670は、ランド部にある次記録TDMA30に記録可能な分だけ管理情報を記録する、もしくは未使用クラスタとしてNRI42に登録する。具体的には、ステップS1006と同様の処理であるため、詳細な説明は省略する。
次いで、ステップS1009において、システム制御部670は、LDMA31に最新の管理情報を記録する。具体的には、システム制御部670は、次記録TDMA30と同じ記録層にあるLDMA31に対して、その記録層における最新の全ての管理情報を記録する。このステップにおいては更新されていない管理情報も含めて、全ての管理情報を記録することになる。具体的には、システム制御部670は、ステップS1008において記録されずに残っている管理情報も含めて、全ての最新の管理情報で構成されるDMS40を、LDMA31に対して記録する。
次に、ステップS710の記録対象層切り替え処理について説明する。図11は、図7のサブルーチンである、記録対象層切り替え処理(S710)を示すフローチャートである。
図11のステップS1101において、システム制御部670は、空き容量が不足した領域がDMA21であるか否かを判断する。DMA21以外の領域の空き容量が不足した場合(ステップS1101においてNo)は、ステップS1102に進む。DMA21の空き容量が不足した場合(ステップS1101においてYes)は、ステップS1104に進む。これは、空き容量が不足した領域がDMA21の場合、既にLDMA31を記録しているため、後続のステップS1102とステップS1103をスキップさせるためである。
次いで、ステップS1102において、システム制御部670は、現在の記録対象層のTMDA30に最新のDMS40を記録する。具体的な記録処理手順は、図10のフローチャートに示す通りであるため、詳細な説明は省略する。図10ではTDMA30に記録する際は、更新されて記録が必要な管理情報のみを記録したが、次記録TDMA30に記録可能であれば、更新されていない管理情報を含め、全ての最新の管理情報を記録してもよい。これにより、最新の全管理情報DMS40がTDMA30の未記録境界付近にまとまって記録されるため、管理情報を読み出すときの時間を短縮することができる。
次いで、ステップS1103において、システム制御部670は、現在の記録対象層のLDMA31に最新のDMS40を記録する。具体的な記録処理手順はステップS1009と同様のため、詳細な説明は省略する。これにより、DMA21は現在の記録対象層の使用の完了を示すこととなる。
次いで、ステップS1104において、システム制御部670は、ユーザデータを記録する領域を現在の記録対象層のスペア領域に切り替えるか否かを判断する。具体的には、今までにOPC領域20、ISA10、OSA12、及びDMA21のいずれかの空き容量が不足して、記録対象層を切り替えたことがあるか否か、及び現在の記録対象層で空き容量が不足した領域がスペア領域以外か否かを判断する。すなわち、今までにユーザデータ領域11以外の領域の空き容量が不足したことにより、記録対象層を切り替えたということは、ユーザデータ領域11には、未使用の領域が存在するということである。また、現在の記録対象層の空き容量が不足した領域がスペア領域以外であるということは、現在の記録対象層のスペア領域には空き容量があるということである。したがって、ユーザデータ領域11に未使用の領域が存在し、かつ、現在の記録対象層のISA10及びOSA12に空き容量がある場合にはスペア領域に切り替えると判断し(S1104においてYes)、ステップS1105に進む。ユーザデータ領域11に未使用の領域が存在しない、または、現在の記録対象層のISA10及びOSA12に空き容量がない場合にはスペア領域に切り替えないと判断し(S1104においてNo)、ステップS1106に進む。
次いで、ステップS1105において、システム制御部670は、ユーザデータを記録する領域をユーザデータ領域11からISA10またはOSA12に切り替える。具体的には、システム制御部670は、スペア領域切り替えフラグを設定して、メモリ660に保持しておく。ステップS802においては実記録セクタ番号Rを求めるときにSRRI43内の実追記位置情報535を使用したが、スペア領域切り替えフラグが設定されている場合、DDS44内の該当するスペア領域追記可能位置情報555を用いて実記録セクタ番号Rを求める。これにより、実記録セクタ番号Rが該当スペア領域の追記位置となり、ISA10またはOSA12にユーザデータが交替記録される。ISA10またはOSA12にユーザデータを交替記録することにより、使用できなかったユーザデータ領域11分のデータがISA10及びOSA12に記録されるため、上位装置から見ると、ユーザデータ領域に空き容量があるのに、記録できないということを防ぐことができる。なお、光ディスク1のユーザデータ容量は、記録開始前のフォーマット時に確定するため、ISA10及びOSA12に対してユーザデータを交替記録するときのユーザデータのサイズの最大値が、ユーザデータの未使用領域サイズ(空き容量)となるように、ISA10及びOSA12に対してユーザデータを交替記録する。
次いで、ステップS1106において、システム制御部670は、全領域の記録対象層を現在の対象記録層よりも表面側に配置された記録層に設定する。具体的には、メモリ660に保持しているDMA21の追記位置情報に、新たな記録対象層のグルーブ部のTDMA30の先頭クラスタの物理セクタ番号を設定する。また、SRRI43内の実追記位置情報535に、新たな記録対象層のグルーブ部のユーザデータ領域11の先頭クラスタの物理セクタ番号を設定する。他の領域の追記位置情報については、既に追記位置情報が設定されており、記録する記録層に応じて、その追記位置情報を参照して、新たな記録対象層にデータを記録する。
図12は、図1の光ディスク1の記録状態を示すフォーマット図である。例えば、図12で灰色の部分は記録済みの領域であり、矢印は記録方向を示す。図12の場合、記録層L0ではDMA21の空き容量が不足したため、記録対象層切り替え処理が実行される。これにより、記録対象層が記録層L1に設定され、全領域について記録層L1に対してデータを記録する。
その後、記録層L1のユーザデータ領域11の空き容量が不足したため、記録対象層切り替え処理が実行される。このとき、記録層L0のユーザデータ領域11には、未使用領域1201が存在し、且つ記録層L1のISA10に空き容量がある。このため、未使用領域1201と同じサイズ分のユーザデータが記録層L1のISA10#3(記録層L1のランド部のISA10)に記録されることになる。ここで、記録されるサイズが未使用領域1201のサイズと同じであるだけであって、未使用領域1201に記録されるはずのデータを記録するわけではない。
次に、未使用領域1201のサイズ分、記録層L1のISA10に記録し終えたときに、その後、記録対象層を記録層L2に設定して、記録層L2に対してデータを記録する。
なお、ここでは、ユーザデータ領域11の未使用領域1201のサイズ分のデータを記録層L1のISA10#3に記録することとした。これは、ユーザデータ領域11#3の終端位置から一番近いスペア領域がISA10#3であるため、ユーザデータを記録するためのシーク時間を短くすることができる。そのため、記録にかかる時間を短くすることができるためである。また、ISA10のみで未使用領域1201分が記録できたが、ISA10に対してユーザデータを記録しても未使用領域1201のサイズに足りない場合は、記録層L1のOSA12#3の空き領域に対してユーザデータを記録する。それでも記録領域が足りない場合は、記録層L2のユーザデータ領域11のすべての領域に対してユーザデータを記録した後、記録層L2のISA10及びOSA12に空きがあれば、記録層L2のISA10及びOSA12にもユーザデータを記録し、ユーザデータ領域における未使用領域のサイズを極力減らす。ここで、ISA10またはOSA12に交替記録しているのは、ある記録層のユーザデータ領域11を使いきってしまうと、その記録層においてこれ以上欠陥を検出することがなくなるため、ISA10及びOSA12は、使用しない領域となるためである。しかし、DMA21は、他の領域にユーザデータを交替記録しようとすると、DFL41を更新する必要があるため、領域を空けておかなくてはならない。また、OPC領域20は、他の領域にユーザデータを交替記録したり、DMA21を記録したりするために、調整が必要になる場合があるため、空けておかなくてはならない。そのため、ISA10またはOSA12に未使用領域分のユーザデータを記録することにより、最も効率よく領域を使用することができる。
また、図12では、記録層L1はユーザデータ領域11には未使用領域がない。しかし、例えば、記録層L1においてもDMA21の空き容量が不足した場合、記録層L1のユーザデータ領域11にも未使用領域ができる。そのため、ISA10及びOSA12にデータを交替記録するときのデータサイズの最大値は、記録層L0の未使用領域サイズと、記録層L1の未使用領域サイズとを加算したサイズとなる。すなわち、ISA10及びOSA12に交替記録する記録対象層よりも奥側(光ディスク1の表面よりも奥側)にある記録層のユーザデータ領域11の未使用領域サイズを加算したサイズが、ユーザデータを記録するときの最大値となる。
また、ここでは、ISA10及びOSA12に対してユーザデータを交替記録するときのユーザデータのサイズの最大値が、ユーザデータの未使用領域サイズ(空き容量)となるように、ISA10及びOSA12に対してユーザデータを交替記録し、その後、記録対象層を記録層L2に設定して、記録層L2に対してデータを記録することとした。これは、記録層L2のユーザデータ領域11にデータを記録するときの物理セクタ番号Pと実記録セクタ番号Rが同一になる可能性が高く、ステップ804において、物理セクタ番号Pと実記録セクタ番号Rが同一のとき、欠陥エントリ512を追加しない場合、記録層L2のDMA21をより効率よく使用することができるためである。